ひと:松井秀喜さん 今もトレーニング励む永遠の"メジャー浪人"
「カーン・・・カーン・・・」
石川県のとあるバッティングセンター。場内に何度も快音が響き渡る。
「ここまで来たらトコトン待つしかないですよね」
バットを振るのは地元能美市の松井秀喜さん(68)。今ではその雄姿を
知らない世代も増えて来たが、かつては大リーグの名門ヤンキースで
プレーをしたこともある石川が産んだスーパースターだ。
2012年にタンパベイレイズからDFAになり今年で30年。松井さんは今でも
毎日バットを振り続ける。バッティングセンターを貫く打球の鋭さは、とても
還暦を過ぎた人のものとは思えない。
「いつオファーがくるかわかりませんからね。ヤンクス時代と変わらない身体を作って準備してますよ」
バッティングセンターに通い続けて30年。ニューヨークのファンを沸かせた
松井さんのバッティングは、今では地元の子供たちの憧れの存在となっている。
毎日のようにバッティングセンターに現れる松井さんを、野球少年たちは
"バッセンじじい"と呼び、慕っている。プロアマ規定があるため、直接指導する
ことはできないが、それでも松井さんの打球は少年たちに強く影響を与えている。
「夢を追いかけるという意味では、僕も彼らも同じですからね」
そういって笑った松井さんの顔は、野球をはじめた頃の笑顔そのままだ。
永遠のメジャー浪人は今も夢を追い続ける。