・大津市で昨年10月、市立中学2年の男子生徒(当時13歳)が自殺した問題で、市教委が
自殺直後に全校生徒(約860人)に行ったアンケートの回答からは、生徒が受けた激しい
いじめの実態や、心配する同級生らの前で平静を装って耐える様子などが浮かび上がってくる。
回答のうち「暴力」に関する記述は138件あり、「トイレで殴られた」「廊下でおなかを蹴られた」
「鉢巻きで首を絞められた」「体育大会で集団リンチのようなものにあっていた」などと書かれていた。
「金銭要求」は13件、「万引きをさせられた」が11件。自殺の練習をさせられるといった「暴言・嫌がらせ」は
173件で、「おまえの家族全員死ね」と言われたり、ハチの死骸を食べさせられそうになったりし、顔に
落書きされたとの回答もあった。
生徒の異変に気付いた同級生もいた。「いじめられているのを隠すかのように、つらそうな笑顔をして
いるのを何度も見た」「口数が減っていたような気がした」などのほか、「2学期の中間テスト(死亡の
直前)の頃、極端に元気がなかったので心配した」との記述も。
生徒は、目の下にできた青あざについて「自分で殴った」と説明。同級生には「大丈夫」と言って
平静を装っていたという。
一方、回答からみえる学校側の対応はほとんど無策だった。「(生徒が)担任に泣きながら
電話したが、翌日、担任から、加害者とされる生徒らの前で『大丈夫か』と尋ねられ、『大丈夫』と
答えていた」とした後、「いじめている人の前で聞くのはおかしい」との教師批判も書かれていた。
教諭らが「見て見ぬふり」をしていたとの指摘は、伝聞で15件。生徒への暴力やいじめは教室、
廊下、校庭など人目に付きやすい場所でもあったとされるが、生徒からのSOS、同級生らが
気付いた生徒の異変は学校側に届かなかったようだ。
いじめを示す回答335件のうち、昨年11月に市教委が記者会見で明らかにしたのは、同級生らが
実際に見聞きし、記名があった内容のみで、約半数。市教委は「伝聞や無記名の回答は
追跡調査が難しかった。加害者とされる生徒に、教育的配慮から確認できなかった内容もある」
としている。