「なんだ?あの人集り」
階段の前の踊り場に目をやると、掲示板の前に生徒の山。
「ああ、あれ、多分この間の校内模試の結果じゃないかな。入学式の翌日にあったんだぜ?おまえ、受けなくて儲けたな」
「美味くねえ儲け話」
「上位百番まで張り出されるって聞いたけど。…おい、長谷川」
群集から抜け出した奴を捕まえて、三上が聞く。確かクラス委員だった…か?
「トップは誰だよ」
「隣のクラスの水川青弥」
「水川か。まあ妥当なところだろうな」
「なんだ?その言い方。そいつそんなに有名人なのか?」当たり前のように吹く三上の言い方が気になって、聴き返してみる。
「宿禰は知らないんだったな。水川青弥。入学式の新入生代表で宣誓した奴だよ。同じ寮生なんで顔も覚えたし…ああ、ほら、あいつだ。あの真ん中の眼鏡っ子」
目線と顎で教えてくれた先を見る。
ちょうど隣の三組の教室から出てきた固まりに、ひとり、際立って白い子がいる。
眼鏡をした生徒は珍しくもなかったが、そいつは妙に目立つ。
一言で言えば…物憂い優等生…
翼に傷でもあるのか?裁かれてみたいもんだね…