米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)が、また大規模な金融緩和を始める。
住宅ローン担保証券を大量に買い、市場に出回る資金の量を増やす量的緩和である。
リーマン・ショック後、初めて実施して以来、今回で3度目だ。過去2度の緩和では計2・3兆ドルもの資金が供給されたが、
景気の改善は続かなかった。このため経済専門家の間では、第3弾の効果を疑問視する声が強かった。
バーナンキFRB議長自身、金融政策に限界があることを認めている。円高など他国の通貨高やエネルギー価格の上昇など、副作用も多く指摘されてきた。
にもかかわらず、今回、大々的な第3弾となった背景には、大統領選挙が近づき、雇用情勢の改善の遅れがクローズアップされていることがある。
このため今回は、過去の量的緩和と異なり、終了時期や総枠を明示しなかった。失業率が明らかに下がるまで、
毎月400億ドル(約3・1兆円)の供給を続け、それでもだめなら、次の手を打つという。
さらに、経済が上向き始めた後も、しばらくやめないそうだ。量的緩和に加え、これまで「2014年終盤」としてきたゼロ金利の終了時期も「15年の半ば」へと延期した。
なりふり構わぬ危険な賭けだ。