関西電力は七日、夏の電力供給力について、大飯原発(福井県おおい町)を再稼働しなかった場合でも、
政府が「最低限必要」とした3%を超える余裕があったとの試算を明らかにした。同社は電力不足を
訴えて再稼働を強行したが、夏の節電目標の最終日に、必要なかったことを自ら認める形になった。
大飯原発3、4号機を七月に稼働したことで、関電は電力消費が増える同月下旬から八月にかけて、
一部の火力発電所を休ませていた。大飯原発がなくても、こうした待機火力を活用すれば供給力の余裕は
最低でも3・2%確保でき、電力不足にはならなかったとの試算を示した。さらに関電が電気予報で
「厳しい」と位置付ける5%以下になる日は、試算によると三日間だけだった。
こうした試算を示す一方で、七日に大阪市で記者会見した八木誠社長は「発電所のトラブルが重なる
可能性も否定できない」と述べ、再稼働は妥当だったと強調した。
同社は九月も「電力需給が厳しくなるおそれがある」として大飯原発を稼働し続ける。だが、根拠と
している需要予想は八月に公表した最大2902万キロワットのままで、八月実績の最大2681万キロワット
を大幅に上回るという無理な想定だ。夏の需要予想も過大だったことが明らかになっており、専門家でつくる
大阪府市エネルギー戦略会議(座長・植田和弘京都大教授)は停止を求めている。
一方、政府は七日午後八時、関西、四国、九州の三電力管内に求めた夏の節電の数値目標を解除した。
関電は二〇一〇年比10%の節電目標を上回る11%、九州は目標通り10%程度の節電を達成したと分析。
四国も5%の目標を上回る8・3%の効果があったと試算した。