119 :
電通の歴史1:
「今度あすこの異人さんの事務所に学校を出てそんなに経ってない坊やが給仕として入ってきたよ」
「ほっぺはまだ真っ赤だね」
「そうだね。よく働きそうな坊やだね」
120 :
電通の歴史2:2008/03/18(火) 16:48:30 ID:fT4aVLEX
「あすこの異人さんの事務所にはいつもコドモがいっぱい溜まっているね」
「あれは近所の小学校のコドモたちですよ」
「ベースボールもやるそうだね」
「七面鳥なんか食べたことない子たちだから、みんな大はしゃぎですよ」
「異人さんの真っ青な目は、ずっとコドモの動きを追っているね」
121 :
電通の歴史3:2008/03/18(火) 16:51:26 ID:fT4aVLEX
「今日は雪だけど、街に兵隊さんが多いね」
「朝から大変なものですよ」
「あすこの角に立ってる兵隊さんは、なんだか落語家みたいな顔をしているね」
「おむすびみたいなね」
「噺家にでもなったら一旗挙げそうだね」
「坊やもあすこの兵隊さん達の役に立つ仕事をしているようですよ」
「坊やが勤めてるお店の異人さんも、あの兵隊さん達を応援しているからね」
「親戚筋の別のお店のご隠居なんかは、差し入れもしているそうですよ」
「坊やはいいお店に勤めることが出来てよかったね」
122 :
電通の歴史4:2008/03/20(木) 18:25:24 ID:L/9YVj97
「坊やがまた手柄を立てたらしいよ」
「へえ」
「なんでも光永さんの事務所と合併するとき大手柄を立てたんだそうだ」
「ご両親も草葉の陰からさぞお喜びだろうね」
「坊やはもう一人前だよ」
123 :
電通の歴史4:2008/03/20(木) 18:26:11 ID:L/9YVj97
「例の件は順調に行ってるの?」
「うん。光永商店の店先をみてごらん
光永さんが今お店の人を前に何か大声で話してるから」
【光永社長告別の辞】
今日は光輝ある電通の歴史において、後にも先にもただ一度しかない
重大な要件につきまして、皆様にお告げしたいことがありまして、
お集まりを願った次第であります。電通はご承知の通り、
営業部と通信部を両翼としてその使命を果たしてきたのであります。
ところが今回営業部と通信部を切断しまして、営業部はとどまり、
通信部は他に行かなければならぬ次第になったのであります。
どういうわけでそういうことになったかということは、
定めしお聞きになりたいと思うのでありますけれども、詳しいことを
語るのは老人に免じましてお許しを願いたいと思うのであります。
しいて一言すれば四囲の情勢と内外の事態が左様せしめたというほかないのであります。
124 :
電通の歴史4:2008/03/20(木) 18:27:43 ID:L/9YVj97
負け惜しみのようでありますが、私としては三分も四分も、
六分とも言うべき理屈はもっておるのであります。しかしながら
これをせんさくしますことは愚痴に過ぎないのでありますから、
過去の事は過去に葬りたいと思うのであります。
ことすでにここにいたりました以上は、われわれはすべからく
天空海闊花自ら紅に柳自ら緑なりという心境をもって心機一転、
新天地に向かってともにばく進するほかないと思うのであります。
問題は全く一朝一夕に起こったものではなく、顧みれば随分古い問題で
種々複雑な事情が潜在しておるのであります。今日の結論からみますれば、
電通が兜を脱いだわけではなく、
もちろん他が勝ったというわけでもなければ
また負けたというわけでもないと思うのであります。
新たに設立されたる通信社は、もともとわが電通を向かうべく
種々の難関を排して設立されたるものであれば
勝敗の問題はないはずであります。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「光永さんは町内会で役員の席を得たんだそうだ」
「それぐらいないとかわいそうだからね」
「坊やはもう一人前だよ」
125 :
電通の歴史5:2008/03/20(木) 18:28:51 ID:L/9YVj97
「どうしたんだい?そんなにあわてて」
「坊やが、大変なことをやらかしたらしい・・・
詳しい事はまだよくわからないけど、どうやら
水戸黄門の格さんをうちに引き入れたらしい・・・」
「格さんってあの格さん?」
「そう・・・・・・」
「・・・・・ まさか・・・」
「大変なことをしてくれたね・・・一体この先どうなるかね・・・」
126 :
電通の歴史6:2008/03/20(木) 18:29:47 ID:L/9YVj97
「今日玉音放送が流れた時、坊やはどうしていたかね」
「坊やも聴いていましたよ」
「坊やの様子はどうだったかね」
「坊やも泣いていましたよ」
「坊やの涙の意味は周りの人たちとは違うね」
「坊やの涙の意味は周りの人たちとは違いますよ」
「坊やの涙には他の人よりずっと深い意味があるんだろうね」
「坊やの涙には他の人よりずっと深い意味がありますよ」
127 :
電通の歴史7:2008/03/20(木) 18:31:10 ID:L/9YVj97
「今度の事で坊やはもう仕事はよしちゃうそうですよ」
「仕事をよしちゃうって・・・ いったいこれから先どうすんだい?」
「坊やは後を信頼する子達に任せて、後ろから見守っていくそうですよ
みんな坊やが自分で選んだ子達ですよ」
「電通はヨシ坊に」
「共同はイト坊に」
「時事はハセ坊に」
毛利元就の三本の矢
お前達が協力していけば毛利家は栄えるであろう。
しかし仲たがいすれば毛利家は滅ぶであろう。
128 :
電通の歴史 番外編:2008/03/20(木) 18:33:17 ID:L/9YVj97
「公はまた、踏ん切りがつかないようだね。」
「公はいつもああだよ やるやるって言っていつまでもやらない。」
「公はいつまでたっても悩んでるよ どうせ」
「誰かが公の手助けをしてあげないといけないね」
129 :
電通の歴史 番外編:2008/03/20(木) 18:36:28 ID:L/9YVj97
130 :
電通の歴史 番外編:2008/03/20(木) 18:37:22 ID:L/9YVj97
「シゲちゃんっ、手が震えてるっ」
「トモちゃんこそ・・・」
「シゲちゃんはもっとこういうのに慣れてると思ってた」
「トモちゃんが際どい声を出すから瓶が手から滑ってしまった」
「それより、もう朝になるから早く部屋に戻らなくては」
「トモちゃん、奥さんが呼んでるよ」
「友さん、ちょっと・・・」
「奥さん・・・」
「友さん、やっぱりやりましたよ・・・」
「・・・・・・・・・」
「シゲちゃん、元気だしなよ。わかりゃしないって」
「うん・・・ まあ」
「今朝の毎日新聞を読んでごらん。
僕らが隣室に泊まっていた事は一言だって触れてやしないよ。」
131 :
電通の歴史8:2008/03/20(木) 18:42:54 ID:L/9YVj97
A 鴨鍋の季節だね。
B 鴨鍋の季節だろうね。
A 鴨鍋の季節だそうですよ。
B ちょっと・・・ 何の話だい?
A だから、「本を出されると困る」って話ですよ。
B そうだね・・・金で動かない奴は実際タチが悪いね。
A それでなくても、あの二人はね・・・
B ・・・・・・ いったい何のこと? 何がいいたいの?
A だから、「風が強い」ってことですよ。
B しかし・・・ 風が強いだけではどうにもなるまい。
A だから、冒頭に戻って、「鴨鍋の季節」だって事ですよ。
B 元さんに渡した後で?
A 元さんに渡した後でならね。
B しかし我々も何かしなくては・・・
A じゃあ、不忍池の傍に石を立てましょう あっはっは
【木暮剛平元電通会長】
「私が電通に入社した翌年の事であった。その時の衝撃は今も忘れる事ができない。」
イエスは人間の側から仲間と慰めとを求められる。
このようなことは、彼の生涯でただ一度だけだったと思う。
だが彼はそれを得ることができない。弟子たちが眠っているからである。
イエスはこの世の終わりまで苦しまれるであろう。その間われわれは眠ってはならない