★アスベスト:規制法案に業界抵抗 審議せず廃案 92年
・アスベスト(石綿)の原則使用禁止を定めた「アスベスト規制法案」が92年、議員
立法で国会に提出されたが、提出前に業界団体の日本石綿協会が「健康障害は
起こり得ないと確信できる」などとした見解を文書で政党と省庁に配り、自民党などの
反対で一度も審議されないまま廃案になっていたことが15日、分かった。旧クボタ
神崎工場(兵庫県尼崎市)周辺では先月、住民5人(うち2人は既に死亡)が中皮腫を
発症していたことが明らかになったが、文書は「一般環境においては石綿による健康
問題は発生していない」と強調。危険性を軽視した業界の“圧力”が規制の遅れに
つながった可能性が出てきた。
当時、市民団体などを通じて国内外の石綿被害を知った社会党(当時)は、規制法案
づくりに着手。(1)石綿製品の製造、輸入、販売の原則禁止(2)健康被害調査
(3)代替品の開発や適正な廃棄処理の推進−−などを柱としていた。92年は
イタリアとフィンランドでも石綿使用が全面禁止され、世界的潮流になりつつあった。
これに対し、石綿協会は同年5月、同党に文書を渡し「健康への影響について誤解
され、危険性を過大に受け取られることで、石綿業界は社会的に大きく制約を受けて
いる」と主張。代替品については「コスト高で資源エネルギーを余分に消費する。
安全性確認も不十分で、安易な代替は望ましくない」とし、法案への反対姿勢を
明確にした。文書は通産省(現経済産業省)にも提出した。
社会党は同年12月3日、議員立法で法案を衆院に提出したが、所管の委員会には
付託されず、同10日の議院運営委員会で自民党などの反対で廃案になった。国内
では昨年10月、ようやく石綿使用が原則禁止になった。(一部略)
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/env/news/20050716k0000m040138000c.html