原始キリスト教の信者には黒人奴隷、兵士刑吏でないひとごろし、ぬすっと売笑男女
といったアウトサイダーもあったでしょうから、ショウビズ関連の人三化七、フシギ形態の者どもも沢山いたことでしょう。
「さあ俺の前に浄財を投げ出して天に宝を積むべし。」なんて奴はざらにいそうだ。
ちょっと露伴の話が出たので、暑苦しい団地から5分ほど歩き、田舎道一本挟んで
海水浴場の向かいにある古い寺の本堂、涼しい風が渡る回廊で、枯山水の庭を
前に寝そべって、ジョジョの不思、じゃねえ露伴全集(4〜9、20〜24巻だけは持って
いる。予約出版のはずなのにフシギなことですが、これは高校生の頃、横浜の南の
端にある小さな町金沢とゆうところの古本屋で、11冊千円で買った。この町は古くは
大日本帝国憲法の草案、近頃はイルカの曲芸で有名ですが、当時はミスタードーナツのCMが毎回
撮影されるお店と日産自動車関連の内装メーカー、授業料が安くて立派な病院と国や外国の
医療機関へのコネがたくさんあるので人気の医科大学くらいしかアクセントのない地味な
町でした。今はさらに地味で、自動車関連は廃れ漁協はレジャーボートに占領され、
海浜には海苔もカワハギも干しておらず、イルカと市民病院をとったら住宅都市整備公団の
ロシヤかカナダのSF映画みたいな集合住宅が並んでいるだけの埃っぽい町です。休日の
明け方にはタンブルウィードがころがってそうだ。)第5巻で「五重塔」を読んでおりました。
17時の鐘がなって、小説にでてくるお使坊主みたいな棒読み口調で本堂から追い
出されるまで、ウルウルと涙を浮かべては鼻をすすってました。
「五重塔」なんかは短編も短編。わたくしが子供の頃買った文庫本なんかは90円
とか100円とゆう薄さですし、ありとあらゆる現代国語の教科書に載ってる国民的
文芸ですから、自宅にある人はしょっちゅう、それこそ長風呂や便秘の時なんかに
何回も何回も読んでいそうなものですが、わたくしはどうゆうわけかあまり何度も
読んでません。通して読んだのは、人となってからは初めてなのではないか。
コドモの頃は、オトナになったら背広を着て、学校か病院か会社(わたくしの親類は
全員先生か医師で、ただひとり父親だけが謎の商売をしていた)にかよって給料を
もらうようになるのだろうと思ってましたから、よもや自分が渡り職人になる
などとは想像もしなかった。上の学校へ上がった頃は、頭デッカチで芸術家気取りの青二才ですから、作家さんだのカントクさん
だのに憧れこそすれ、自分が工員職人になるだなんて可能性についてはこれっぽっち
も考えない。映画不況の時代でしたが学校を出ても好きな映画を撮ってさえいたら
ある日夢の大コンペで名前が売れて、スタッフ役者さん共々銀幕に延々名前が流れるのだ
くらいに無邪気に考えているうち、役者さんも大工仕事が好きな友人もキチガイじみた
運転をするガテン系免許を30何種類持ってるドライバーさんも一人死に二人首を括り、
やっぱり二人飛び降りて死に、何人も病院に入りクニに連れ戻され…気がつけば
しがない半端仕事の職人一匹、田舎町に昼間っからやることもなくゴロゴロと電話の
鳴るのを待っています。わたくし、十兵衛お浪の気持ちが痛いほどわかる。もちろん
生活者として男として源太お吉清公の気持ちもわかる。いや泣きました。泣きました。
文人露伴はこの小品が、市井の職人八ぁん熊公に読まれるとは夢にも思わなかった
でしょうけどねw。夜の職人職工技術者といわれる全ての皆様で、未読の方はぜひ。
わたくし、なにをたて続けてに誤爆しているのか。
信仰深きカステラの女王陛下ならびにアラゴンの国王陛下!
私ついにインディアの地に到着いたしました!