沖雅也の遺書 (京王プラザホテル宛 全文)
今……
プラザホテル様へ
大変申し分けなくおゆるし下さいませ。
つかこうへい様 あなたの名、つかを使いし僕をゆるせるものならおゆるし下さい。
人は病む。いつかは老いる。
死を免れることはできない。若さも、健康も、生きていることも、どんな意味があるというのか。
人間が生きていることは、結局何かを求めていることにほかならない。
老いと病と死とを超えた、人間の苦悩のすべてを離れた境地を求めることが、
正しいものを求めることと思うが、今の私は誤ったものの方を求めている者。
(便箋裏)
"おやじ 涅槃で まってる"
沖 雅也
沖雅也の遺書 (自宅に残された遺書 その1)
私は生きる気力を失い苦しさに負け、死を選びます。
私の死は、私自身の人間としての問題で有り、沖雅也としてでなく日景城児として、死んでいきます。
一、日景家一同様、名を汚して申しわけ有りません。許してください。
一、日景忠男殿、あなたにうけたあたたかい思いやり、身にしみて感じておりました。一五年、大変お世話になりました。楽しい日々でした。お元気で、ありがとう
沖雅也の遺書 (自宅に残された遺書 その2)
私 沖雅也は生きていく 気力を失い自殺します
この自殺は私個人の問題で有り人をきづつけた私のせめてものおわびです、
死という弱いひきょうなことでしかおわびの方法を知らない私をおゆるし下さい
他人にめいわくのかからぬ様死にたかった
日景忠男殿
あなた様のこの一五年の心苦いかばかりか さっするにあまりあります
あなた様から受けた人生道、人間道、身にしみて、心より感謝いたします
一心同体で歩いてきた道ですが途中で投げ出す私をおゆるし下さい。
あなた様に何もしないで何も言わないで死んでいく私を、おしかり下さい。
私のごとき男がそばにいてはあなたの人生がダメになります
有りがとうございました
お世話になりました。