288 :
名無しさん@お腹いっぱい。:
65 名前:奉 先 ◆Ryohu/B1sc 投稿日:04/08/30 19:22
結納済み婚約者に、挙式直前に棄てられた分際で
糞梅が嫉妬に狂って、♀コテに激情した瞬間に立ち会ったことがある。
それは、ダンパの開催された夜のことである。
昨年の今頃だっただろうか。
夜間でも蒸し暑い夜だった。
30代板で人気のあったそのイベントについては
それほど関心が深かったわけではないが
その♀コテの誘いもあって
一度はのぞき見くらい、してみようと決心した。
会場は中央線沿線にあったので
ターミナルの新宿駅で待ち合わせて
会場に向かった。
道すがら聞くところによると
その♀コテは、糞梅とも接点があったので
彼にも参加を誘いかけたという。 (注・奉先の勘違いで実際は梅が♀コテに声をかけた)
♀コテの計略では、糞梅同伴で参加する予定ではあるが
糞梅が日頃からオレ様に、何かにつけ会いたがることを知っていたため
まさか、そのイベントのために
わざわざホカイドー在住のオレ様が上京しているとはつゆ知らざる糞梅に
会場でバッタリ出くわす形で引き合わせて
彼奴を驚き喜ばそうという茶目っ気である。
なるほど…それも一興と同意して、それに従った。
そうして、会場に向かったのである。
二人とも、久々の糞梅との邂逅の喜びと
三者による屈託ない談笑の図柄を念頭に描いていた。
さても、会場に到着した二人が、薄暗い場内で
最初に探したのは、糞梅の姿だった。
ところが、香具師の姿が見られない。
改めて場内を見渡すと、それほど広くはない会場で
壁際に椅子が置かれ、数人が談笑している。
それでも音響施設や防音設備は優れていたようで
BGMは耳障りではなく、むしろ快い響きだった。
中央では、プロポーションの良い男女が軽快に踊っていた。
若い頃から、そうした場に慣れているという垢抜けた生活歴が感じられた。
見ると、壁際には2ch用語をあしらった行灯までがセットされており
驚かされた。
戸口近くの壁際に陣取った二人は
所在なく糞梅の登場を待った。
289 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/08/07(火) 10:31:31
84 名前:奉 先 ◆Ryohu/B1sc 投稿日:04/08/30 20:15
そうした観察をしている間に、左手に立っていたドアマンが扉を開けた。
入ってきたのは、そのシルエットからして糞梅らしき人物である。
ただ、暗がりでは鮮明には見えないため
確認すべく、その姿を凝視していたら………………
その人物は、フイに外へ出てしまった。
「今出て行ったのは、糞梅だよな……」、「そう思う」
と二人で確認し合った。
「なぜ、出て行ったのだろう………???」
「さぁ………???」
追うまでもあるまいと思い、再登場を期待して
その場に留まっていた。
そのとき、♀コテの携帯電話が鳴った。
彼女は、場のムードを壊さないよう、携帯を抱えて外に出た。
それ以降、いつまで経っても、その♀コテが戻ってこないので
さすがに、これはオカシイと感じた。
長話にしては、あまりに長すぎる。
想像では、会場の外で携帯を持って立ち話をしているものと思っていた。
そこで、♀コテの荷物を持って外に出たが、どこにもその姿はない。
夜の会話は目立つもの。そこで、辺りの様子に耳を澄ませてが
その気配がないので、やむなく会場に戻った。
そこに♀コテが姿を現した。
聞けば、糞梅からの電話で、
付近の飲み屋で一人飲んでいるところに呼び出されたという。
糞梅は、かなりの剣幕で意味不明の何事かを訴えて
♀コテをなじっていとのこと。
これは、当初に予期した和やかな邂逅は
望むべくもあるまいと判断して、ともに会場を退出した。
その直後に、♀コテの携帯に再び糞梅からのコールが鳴った。
会話内容は聞こえないが
♀コテが辟易しながらも詫びている様子から
またも、糞梅が難癖をつけている様子は見て取れた。
そこで、携帯を受け取って代わりに応対してみた。
290 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/08/07(火) 10:33:59
112 名前:奉 先 ◆Ryohu/B1sc 投稿日:04/08/30 21:01
携帯を受け取って応対したところ、糞梅はすでにへべれけ!ヒック、ウ〜イ
ロレツが回らず、何を言っているのかサッパリ分からん。
ただ、何かについて抗議したがっていることだけは、
その口調から理解できた。
終電の時間も迫っていたので
内心は、ここで散会しようと考えていたが
「お前は、いまどこにいる??」と尋ねたら
会場に接した小路の突き当たりの飲み屋にいるという。
これは、糞梅の不満の一つも聞いてやらねばなるまいと考え
「これから、オレもそこへ向かうぞ」と回答した。
♀コテを伴い、糞梅の待つ狭い店内に入ると
彼奴は入り口付近のテーブルで、一人崩れた様子で座っていた。
「オイ、しばらく。どうした??ずいぶんカンムリの様子だが…」
と、気さくに声をかけて対面に座り、彼奴の表情を読んだ。
それほどアルコールに強くない彼奴が
フテ腐れて、相当量のヤケ酒を飲んでいたのだろう。
かなり酩酊状態であることが見て取れた。
注文を取りに来た店員に、3人分のビールを注文して追い払い
「何を、そうフテ腐れている。まずはその理由を聞こう」
と、単刀直入に切り出した。
しかし、糞梅は呂律が回らず、しかも感情が高揚して先走るためか
♀コテに対する情念的な悪態と罵声ばかりが先行して
まるで要領を得ない。
「感情の発露は、取りあえず横に置け。
まず大切なのは事実と、それについて、お前が怒る理由だ」と制し
「お前は、一度は会場に現れたのだろう。なぜ、すぐに退出したのだ?」
と質問し、話しに秩序を与えた。
291 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/08/07(火) 10:36:21
182 名前:奉 先 ◆Ryohu/B1sc 投稿日:04/09/06 11:33
そうして時折激昂しつつも、断片的に語った内容をまとめてみると
♀コテが、糞梅と一緒に会場に向かう予定であったのに
会場に着いてみると、先に到着してオレ様と同席していたのが
面白くなかったというわけである。
糞梅は瞬時に逆上して、会場を出てしまったわけである。
そのため、♀コテが再三謝罪し、理由を説明して
悪気のない茶目っ気であったことを弁解しようとしたが、
糞梅は「ウルサイっ!」と喚き散らして、
なだめようとしたその手を払いのける。
周囲の客や店員が、見てみぬフリをしつつも
聞き耳を立てていたのが分かった。
しまいにはオレ様を顎で指し「こんな男の、どこが良いんだ!!」と
何度も激昂してはテーブルを叩く。
その様子を見ていて確信した。
糞梅のこの醜態は、すっぽかされたことが原因ではないと……
♀コテの携帯を三回も鳴らし、その都度、長々と罵倒し
さらには、店にまで呼びつけて罵倒し
そうして、終電が過ぎても居座り
目前でも執拗に罵倒している様子から
実は、糞梅がその♀コテに対して
日頃は気のないフリをしつつも
実はその大いに気が合ったことが、アリアリと見て取れた。
それだけに、嫉妬の情念がアルコールを燃料にして
メラメラと燃え上がっていた様子である。
ここは、彼奴の気が鎮まるまで
聞いてやる以外にはあるまいと覚悟した。
そうして、糞梅が散々、怒鳴り散らして
ようやく鎮火した頃合いを見計らって店外に出た。
帰り道に、会場前にさしかかった。
BGMが微かに漏れ聞こえる。
「梅よ。せっかくだから顔くらいは出していけ。
お前の兄貴分もいることだし、挨拶くらいはしていけ」と勧めた。
一瞬、ためらった様子だったが、気持ちも幾分落ち着いたのか
素直に「そうする」と頷き、会場に向かった。
入り口で振り返り、オレ達はどうするか?と尋ねてきたが
生憎、すっかり興醒めてしまい
しかも、疲労と酔いの上に、翌日には帰宅する予定であったので
「オレは疲れたから帰るだけだ」と言い残し
後に♀コテとも別れ、いそいそとタクシーで宿に帰った。
会場内では、カウンター脇でションボリとうなだれる糞梅を尻目に
終盤に向けて大いに盛り上がっていた。
陰気な彼奴を顧みる者もなかったが
唯一、主宰陣の一人であり、彼奴が「兄貴」と慕っていた♂コテだけが
何かと気遣っていた。
−完−