3 :
狐うどん ◆XF.Ox1rqe2 :
ダニエル物語2
《前回までのお話》
「ダイナゴンサン、コトシコソ ワタシハアナタニ カツ!」
サマージャンボ宝くじの売り場。ダニエルはそうかたく誓うのであった。
さて、ダニエルはまたもや大納言宅へ招待されたのである。
あくまで招待。
あ、うんの呼吸だ。
長年のつきあい、彼の言いたいことは大抵わかる。
よろこんでお招きにあずかることにした。
「ダイナゴンサンハ、マネカレルヨリマネクノヲ コノミマース。」
ぴんぽーん
手みやげのことがふと心配になる。
大納言はああ見えて、意外とあれこれうるさい男である。
「イガイジャアリマセーン。」
今日のみやげは扇風機だ。
せんだっての日曜に呼ばれた折、おかしな具合の扇風機を自慢げにみせつけられたからだ。
それは不良品であった。
扇風機の前面からは風がこず、後ろから来る。しかも吸い込み式。
風におあたりなさいと言われおとなしく待っていたら、
スイッチを入れろと言われた。
そこで後ろを向いていた扇風機を自分の方へ向けスイッチを入れたら、
なんと髪を吸い込まれ、大惨事に!! 文字通り巻き込まれたのである。
「ダイナゴンサン、オソロシイヒトデース。」
4 :
狐うどん ◆XF.Ox1rqe2 :2007/07/21(土) 22:34:16
ほれぼれと傍らの扇風機を見つめた。
コジマ電器で先着10名様のみ980円(税込)。
充実感で胸がいっぱいなる。
値段を笑うなかれ。この、機械は前から風がでるのであるから!
恐らく大納言は今朝の新聞折込広告をチェックしていないだろう。
日経に広告はあまり入らず、大納言家は日経である。(ちなみに朝は和食党)
広告を見ず、このお買い得を買いに走ることは不可能・・
ダニエルなどは朝の四時半からコジマ前である。
すでに、ちらほら客もいた。
「アンズルコトハアリマセーン。」
自らを鼓舞した。
ぴんぽーーーーん
???
二回目である。
おかしい。いつもなら、せっかちな大納言は一回目ぴんぽんのぴの字で飛んで出てくる。
どんどんどん
ドアを叩いた。
いやな予感がする。
「ダ、ダイナゴンサン、ダイナゴンサンッ!!」
5 :
狐うどん ◆XF.Ox1rqe2 :2007/07/21(土) 22:35:49
ご自慢の扇風機を地面に置く。
そうまでして、ダイエルは大納言の身を案ずる。
いやな予感がするのだ。
あのおかしな扇風機は、自分の頭皮をひっぺがす勢いで髪を吸い込んだ。
万が一、風呂上りの大納言を吸い込んだら?
(注※ 大納言氏がいつも風呂上りに風にあたりくつろぐのを知っていた)
「いやはは。夏でも風呂はいいもんです。え。」
などとビールを片手にうっかり、あの扇風機に裸体をさらしたら・・・
玄関の扉を叩き壊した。ダニエルは元アマレスチャンピオン。
靴のまま転がり込んだ。一刻の猶予もならない。
「ダイナゴンサン、アナタノキノコハ ワタシガマモリマース!!」
ばりっっ
勝手は知っている。まっすぐ和室へすすみ、ふすまをつきやぶった。
(注※ 大納言氏がいつも和室で風呂上りにくつろぐのも、知っていた)
そこには!!
なんと!!!
サトームセンで先着3名様のみ880円(税込)の扇風機を満足げにかかえながら、
昨夜秋葉原で一夜をすごした大納言が幸せそうに眠りこけていたのであったーーーーーーっっ!
不定期連載 つづく