◆天国之箱酒をブッ殺すスレ◆

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298天国之箱酒 ◆HaKaI/Z18c

某したらばでの続きをここでやることにした。過去ログは貼っておくぜ。

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14 名前: 天国之箱酒 ◆HaKaI/Z18c 投稿日: 2006/03/25(土) 02:51:35


「社用携帯」

社用携帯は、去年の11月後半あたりから貸与された。

現在のプロジェクト本番突入前の検証経過・結果報告を、
オレがメールで受けるために貸し出しされたのがキッカケだった。

# 現在でもオレの会社の芽垢宛メールは全て転送される。土日だけな。

一日200件超えるメールを携帯で見るのは、
ハッキリ言って拷問としか言いようがなかった。
おまけに12月は本番稼動直前で、TELによる問い合わせもピーク。
夜中の2時3時に呼び出し受けて、朝6時に家を出て職場へGO!なんてザラだった。

FOMA(N900iL:これは法人にしか販売されていないらしいぞ)の癖に、
いま一つ容量に乏しかったのか、一日メールの整理を怠るとすぐに容量オーバーになった。
仕方がないので毎日時間を見つけては、セッセと携帯のメール整理に明け暮れていた。

# 当然CC含めた全メールに目を通し、消去しても絶対問題ないことを確認した上でな。

そんなオレの苦しみを緩和してくれたのが、他ならぬ2chだった。

再三に及ぶメール整理で、夜中も社用携帯に向き合いっ放しの生活に嫌気が差し、
くたびれ果てたオレは、まずiモードのFFで憂さ晴らしする事を覚えた。
のみならず、次は社用携帯から2chで遊ぶことが日課になった。
当然これは、会社の金で無断で遊ぶことを意味していた。

去年12月の初めあたりからだったと記憶している。
299天国之箱酒 ◆HaKaI/Z18c :2006/04/30(日) 15:05:23

17 名前: 天国之箱酒 ◆HaKaI/Z18c 投稿日: 2006/03/26(日) 06:05:49


>>14より

去年12月は今年1月本番開始のプロジェクトがすでに大詰めの段階だった。
毎日転送されてくるメール量の膨大さにしばし言葉を失っては、
iモードから2chを含む様々なサイト(有料除く)にアクセスし、
毎日の苦痛のウサをとことん晴らしてはまた仕事、そんな毎日だった。

この頃の一日の生活。その流れはざっと下記の通りだった。

6:00〜  起床 7:00〜 出勤 
9:00〜  出社 22:00〜3:00 退社

0:00〜4:00 帰宅(終電がなくなればタクシー)

またこの頃、帰宅後の早朝未明や深夜の障害通知メールとセットになっている緊急コール、
これも頻繁にあった。土・日の2時・3時に何の前触れもなしの緊急コールを受け、
始発で出勤したのも一度や二度ではなく、まともに休みはおろか睡眠を取った気さえしなかった。

けれどもこの役割を担える人間は、他にはひとりもいなかった。
そうである以上はこの損な役割にひたすら耐え、
生活リズムがガタガタになろうとも、とにかく我慢するしかなかった。
300天国之箱酒 ◆HaKaI/Z18c :2006/04/30(日) 15:07:32

20 名前: 天国之箱酒 ◆HaKaI/Z18c 投稿日: 2006/03/28(火) 01:23:48

最もロクでもなかった思い出は、
12月24日クリスマス・イヴの話だろう。
オレはこの日自宅でノンビリくつろぎながら(土曜日だったしな)、
静寂なる聖夜を過ごしていた。
黙っていても山下達郎の歌声が聞こえてくるような夜だった。。

と言えば聞こえはいいが、
実は部下を一人現場に朝から休出させて、
緊急コールに脅えながらも有事の際の出動準備だけは整えていた。
随時送られてくる部下からの報告メールからは、
この日の検証Runの順調さを伺い知る事ができた。

# もう酒もズイブンと入ってデキ上がっていたし、
  何とか仕事の不可能な状況を、
  あと一歩で既成事実として作れるところだったのだがな。。

ところがだ。

どうも夜中の11時を過ぎた辺りから、
だんだんと雲行きが怪しくなってきた。
メールによる報告とそれを補足する電話報告によると、
あらかじめ想定された処理性能が出ていないと言うのだ。
部下には考えられるあらゆる不安な箇所を点検させ、
何とか召還されることだけは避けようと、オレは必死の思いだった。
ところが原因は以前として掴めぬまま、
処理時間は冗長化する一方だった。

そうこうしている内に、一足先に他チームのMが遂に家族を置き去りにして、
超緊急の呼び出しに呼応する破目になった。

明くる25日の0時過ぎ、遂にタクシーで移動中のMから、非常の緊急コールが鳴り響いた。

「XXさん(オレの本名)、もうわかっていると思うけど、次はアナタだからね。早く来てヨ!」

この時点でオレは既に、
ビール数リットル、シャンパン3本、ワイン2本は空けていたと記憶している。
301天国之箱酒 ◆HaKaI/Z18c :2006/04/30(日) 15:09:27

21 名前: 天国之箱酒 ◆HaKaI/Z18c 投稿日: 2006/03/29(水) 01:33:08

続きだ。

かくしてオレは、聖夜の呼び出しに応じることになった。
既にオレはこの時点で悪酔状態に陥っていた。
時間は早くも1時を回っていた。
Mから詳しい事情をTELで聞いているうちに、
あっという間に30分以上経過してのだ。

「こんな泥酔状態で仕事なんか出来るわけねーだろうが、
 どうすんだヴォケ」

そう喚き散らしたところで、
修羅場に召還されることを免れる筈もなかった。
不幸中の幸いと言うか、
オレが甚だ酩酊状態であったこと、
そして部下のTと他チームのM、
そしてマネージャその1が、
翌朝までの対応要員として十分なメンバーであったことを理由に、
オレは25日朝始発を使っての出勤でいいだろう!
ということになった。

そのかわりこの緊急事態をリアルで把握できるよう、
オレは酩酊しながらも25日未明から朝まで、
ベッドの中での熟睡が認められない状態となった。
またいつ何時緊急コールが飛び込んできても即対応できるように。

しかたがないのでベッドの上で横になり、
右手には社用携帯を握りしめ、
DVDを観ながら朝5時を待っていたのだと思う。

もちろんひっきりなしにメール着信音とバイブで小うるさい社用携帯は、
最低でも15分に1回はチェックするようにしていた。

そのせいかこの夜、オレは何の映画を観ていたのか、今どうしても思い出せない。。
302天国之箱酒 ◆HaKaI/Z18c :2006/04/30(日) 15:10:40

22 名前: 天国之箱酒 ◆HaKaI/Z18c 投稿日: 2006/03/30(木) 08:52:51

夜が明けかかってきた。

朝4時過ぎた時点で、
オレはただただ始発を待つことに嫌気がさした。
嫌がる体に鞭打って外へ飛び出し、
タクシーを拾って渋谷駅まで行くことにしたのだ。
既にアルコールも抜けかかって、
何とか平常を保てる状態にはなった。

# ただし極端な睡眠不足ではあったが、
  これにはいつもいつも悩まされていたので、
  さほど苦痛とも言えなかった。

外はまだほの暗い。そして寒い・・。
西口周辺は夜中楽しんで来た連中がソコココに散在。
東横線の始発は朝帰りのオニーチャンオネーチャン達に支配されていることは、
この時点ですでに約束されていることだった。。

始発の5:00にはまだ早い。30分程度の時間つぶしのため、
桜ケ丘のジョナサンに入ることにした。
セルリアンタワーに見下されながら、
坂を上ってひとりジョナサンまで辿りつくのが、
何とも言えず寂しく空しい気分だった・・そして寒い。とにかく寒い。

ここで相変わらずブンブンと小うるさい社用携帯を空けてみることにした。
303天国之箱酒 ◆HaKaI/Z18c :2006/04/30(日) 15:12:54

24 名前: 天国之箱酒 ◆HaKaI/Z18c 投稿日: 2006/04/04(火) 06:02:34

(一部省略)

1時間の間に未読50件のメールが既に蓄積、
その中に1通、部下からの直近のメールが。
サブジェクトが今回の緊急コールの件だ。
順番なぞ全くどうでもいい、まずこれを読め。

「4時30分現在、
処理遅延時間5時間半経過、
XX(オレの本名)始発にて到着予定」

それから先は、
ジョナサンで腰落ち着けて未読メールを全て読破だ。
始発が動くまでは余計なことも考えるユトリはない。
緊急対応が済んだとしても、
対応後の無事を数時間は見届けなければならない。
少なくとも、夕方までは現場に釘付けになる。
だがそんなことは忘れた振りだ、それしかなかった。

ジョナサンに着いてから、
美味くもないコーヒーを何杯かすする。
そして感覚がおかしくなった舌で煙草を何本か吸った。
喉が荒れ咳が出た。それでも何本か吸わずにいられなかった。
未読分は全て読破した。だが原因が全く不明だった・・。
今回の障害が従来と異なる点がそこだった。
始発の5時10分前にジョナサンを飛び出し、
坂を下って渋谷駅西口へ向かう。
案の定東横線始発はゴッタ返し、
武蔵小杉まで車内を突っ立ったまま過ごしていた。

果たして処理遅延の原因は何だったのか?
焦点となるのはそこだった。
武蔵小杉に到着するまでは社用携帯と睨み合い、
再度これまで対応済みで効果ゼロだった箇所を再点検した。

現場に到着した時間は既に6時、まだ日も昇っていなかった。
現場では既に、前夜から泊りがけで対応している部下のT、
オレの普段いるフロアとビルの棟を跨いだ別フロアに常駐するMが、
非情の修羅場を打開せんと躍起になっている最中だ。
304天国之箱酒 ◆HaKaI/Z18c :2006/04/30(日) 15:13:56

>>303続き

24 名前: 天国之箱酒 ◆HaKaI/Z18c 投稿日: 2006/04/04(火) 06:02:34

だが実際にはこの時点で,打つべき手段は全て尽きていた。

# オレが到着するまでに、
# 既にTがオレの手足となって全ての作業指示を実施したからだ。

昨夜から延々と同じ処理が終わらない。待てど暮らせど、先に進むことはない。
この事実を目の前にして、この場に居合わせた全員はただただ呆然とするしかなかった。

居合わせた全員の中で、
もっとも悲壮感に満ち溢れた顔をしていたマネージャーその1が、
該当処理モジュールの品質管理を担当するKを呼びつけた。
実際にやってくるべきは主任のKなのだが、
部下のKに上手く対応責任をスライドさせて、
自分は自宅からのメールで対応方針を得々と述べるだけだった。

この部下のK、予定時刻より遥かに遅れて9時に到着後、
モタモタと該当処理モジュール隅々の精査を開始させていた。

既にオレは馬鹿馬鹿しくなり、社用携帯をネット遊びの道具に変えていた。

メールは様々なプロキシ規制でガンジガラメになったイントラネット経由でPCにも飛んでくるし、
だいたいにおいてKの調査結果が出るまでは、オレを含む誰もがもう何もできないことがわかっていた。
調査結果が弾き出された時、時計の針は既に11時を回っていた。

結局のところモジュールは、VerUpの際にデグレードを起こしていたことが判明した。
誰もが正確に見積もることのできなかった想定外の処理件数に耐え切れず、
長い長い時間をかけて地を這うように処理を続けていただけだったのだから、
その意味では全く妥当な結果だ。今頃になって大騒ぎしている方がどうかしている。

かくしてKが修正したモジュールがアップされ、足踏み状態だった処理は瞬く間に先に進んだ。
この頃になるともう1時を過ぎ、修羅場を切り抜けサッサと逃げ出したKのみならず、
部下のTも帰宅してしまった・・。
オレはこの後実質上Tと交代となり、夕方までは朦朧としながら検証の無事を見守っていた。

この日は結局予め予想した通り、夕方まで拘束された。
そして帰宅後はさすがに携帯の電源も切り、泥のように眠りこけた。