【京王グループ】西東京バス【17号車】

>>65
良く晴れた土曜日、職場仲間3人でツーリングに行きました。
府中四谷橋に集合し、まずは浅川サイクリングロードを西に向かいました。
途中、多摩御陵近くの陵南公園で休憩し、コンビニで補給食を購入。
新緑まぶしい高尾街道を快調に飛ばし、霊園方面へ進路を取ります。
霊園のアップダウンを経て、川原宿交差点から陣馬街道に入りました。
ここから先は、やや登り基調なのでケイデンスはそのままに速度をやや落とします。
20分ほどでバスの終点、もとい和田峠ヒルクライムのスタート地点でもある陣馬亭に到着。
ここからは各々タイムアタックをかけます。登坂前にトイレを済まし、いざアタック！
と自転車の所に戻ると、後輩E君のロードバイクがありません。確かここに3台並べて止めたはず。
当事者のE君は状況を理解するにつれ、見る見る顔が青ざめていきます。
無理もありません。節約に節約を重ね、先週やっと手に入れたロードバイクですし
今日が初めてのツーリングなのですから。私達も周囲を探してみます。
｢盗んだとしたら、まだ遠くへは行ってないはずだ…｣と同期のHが陣馬街道を逆に戻ります。
私は和田峠方面へ向かい、ハイキングの方々に、E君のピナレロが通らなかったか聞きながら探索しました。

和田峠まで行ったものの、結果は芳しくありません。すでに藤野方面へ下ったとは考えられません。
私も趣味でレースに出場することがあり、足には自信があります。並の足では振り切れるとは思えないのです。
不可解な思いを抱きつつ、陣馬亭へ下りたところで同期のHから着信がありました。
｢川原宿までスッ飛ばしてきたが見つからねぇ。こりゃ相手はシロウトじゃねぇぞ！Eはどうしてる？｣
我に返りE君のもとへ。バス停のベンチ脇で地面に座り込みうなだれています。
｢E君、大丈夫だよ。すぐに見つかるさ…｣
根拠の無い励ましをかける私も辛いのですが、本人はもっと辛いのです。
どうかお願いです。E君のピナレロを盗んだ人、どのような形でも良いので返してあげて下さい。
24歳の青年が残業と節約を繰り返し、やっと手に入れたロードバイクです。
あれ以来E君は仕事を休んでいます。あんなに明るかったE君が、ふさぎ込んでいます。

E君はピナレロの納車された日、とても嬉しそうに私に電話してきました。
｢先輩！いま納車されました！マジ嬉しいです。来週のツーリング連れてって下さいね！｣
あの時の、嬉しさ溢れるE君の言葉が私の耳から離れません。