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バス乗務員の労働時間算定の基準

バス運転者が超過勤務時間内の運転にも作業にも全く従事していない、乗務と乗務の合間の時間
について、割増賃金の支払を求めた過去の民事訴訟の判決。
「客観的に見て（該当する時間は）労働しているとは言えず、休憩しているものとみなさざるを得ない」
という理由で原告の主張を退け、労働時間ではなく休憩時間であって、賃金の支払義務は免除さ
れる、としたもの。

ただし、この判例は昭和57年の「大阪淡路交通事件」の判決で完全に逆転しており、判決の確定
と同時に判例集からこの事件は抹消され、差し替えられている。したがって、上記の過去の判例を
法的根拠として締結された労使協定は昭和57年よりその効力を失っており（労働基準法第13条）、
手待ち時間を休憩時間として扱って賃金を支払わない行為は、労働基準法第24条違反で摘発の
対象となる。

現行の国の基準
拘束時間　　　：出勤してから退勤するまでの時間
作業時間　　　：運転や作業に実際に従事している時間
手待ち時間　　：拘束時間内の運転にも作業にも全く従事していない、次の仕事までの待機時間
休憩時間　　　：使用者に対し、労働者の生活リズムを確保させることを目的に、労働を命じてはな
　　　　　　　　　　らない、と国が定めた時間。
　　　　　　　　　　手待ち時間の一部をこれに割り当てることによって、義務を全うしなくてはならないが
　　　　　　　　　　、割り当てることのできる時間の限度は、労働基準法第34条の「下限」を「上限」
　　　　　　　　　　とする時間までであり、この限度を超えて休憩時間の扱いとし、賃金の支払義務
　　　　　　　　　　を免れることはできない。
労働時間　　　：作業時間と手待ち時間の合計。
　　　　　　　　　　即ち、拘束時間から法定休憩時間を除したすべての時間。
　　　　　　　　　　別の言い方をすれば、労働者が労働の対価を求めて使用者に提供する、労働者
　　　　　　　　　　の時間。使用者が買い上げた時間をどのように使用したかは問題にならず、単価は
　　　　　　　　　　法の定めたとおりに算出し、支払われなければならない。
所定勤務シフト：労働基準法第32条の労働時間の限度週40時間に、5日分の法定休憩時間5時
　　　　　　　　　　間を加えた週45時間以内で定め、該当する勤務を消化することに基本給を支給し
　　　　　　　　　　なくてはならない。

あれ？スレッドストッパー来ないね。じゃ、ついでに書いちゃおう。

昭和58年以降新設（分社化も含む）されたバス会社は、判例集の差し替えにより、
手待ち時間を休憩時間の扱いとすることを取り決めても良いという、法的根拠を失
った状態で開業しているが、これらの会社で実労働時間、非労働時間の扱いを行
なって国が手待ち時間と認定した時間を休憩時間の扱いとすることは、国の基準
を詐称し、被契約者を騙して賃金を支払わず、それを会社の利益として計上しよう
とするものであるから、労働基準法違反より罪の重い、刑法　第246条　詐欺罪　
の適用が妥当であろう。
労使協定を別の多数派労働組合が結んでいる場合、当然の事ながら、連帯責任
として該当組合の委員長も処罰の対象となるのが相当であろう。

＜以下、監督署でのやりとり＞

監督官「お持ち頂いた判決文は、観光貸切専業業者へのものじゃないですかー。
　　　　　路線バスに当てはまるかどうかは、ちょっと・・・」

おいら　「ほう、それでは少々お伺いします。バスが運行を停止し、駐車している時間
　　　　　は休憩時間なのでしょうか、労働時間なのでしょうか」

監督官「車両内にいて、客や添乗員がいつ帰ってきても対応できるような環境は、
　　　　　明確に手待ち時間と言えると思いますが、路線バスは休憩施設が整って
　　　　　いて、明らかに休憩しているとみなさざるを得ないですよねー。」

おいら　「この判決理由の、ここを見てもらえますか？駐車スペースが確保され、休憩
　　　　　施設が整っているような状況で、長時間にわたって運転からも作業からも開
　　　　　放されて、食事を取ったり、私用を済ませたり、時には仮眠が取れる場合で
　　　　　あっても、たまたまそのような状態が生じるに過ぎず、労働の密度が薄いとい
　　　　　うべきであって、該当する時間は手待ち時間である。とはっきり裁定している
　　　　　じゃないですか。路線バスとどこが違うんですか？」

監督官「なるほど、確かにご指摘の通りですね」

おいら　「それよりも、この判決の重要なところは、裁判長が終始一貫して“拘束時間
　　　　　から原告所定の休憩時間1時間を除したすべての時間が労働時間であり、
　　　　　正当な賃金の支払義務がある”として、休憩しているものとみなさざるを得な
　　　　　い時間を多く含んでいる場合でも、休憩時間の扱いを行なって賃金の支払
　　　　　義務を免れることができる「限度」を明確に出していることだと思います。休憩
　　　　　していると勝手にみなして、「限度」を超えて手待ち時間を法定休憩時間と
　　　　　同様の扱いとし、賃金を不当に支払わないことは許されない、としているので
　　　　　すよ。如何でしょうか？」

監督官「ふむ、その観点から捉えれば、いっそう明確にこの判決の趣旨がわかりますね。
　　　　　わかりました。仰る通りです。」

おいら 「私は今日、労働協約と賃金規定の一部を転載したものを持参しています。
　　　　　この判例と比較した場合、いかに支払い義務のある賃金を支払っていない
　　　　　かが、明瞭に判ると思います。」

監督官「拝見しますね。（中略）・・・ほう、なるほど。」

おいら 「この労働協約に関し、会社側も労働組合も“違法なものは何も無い”、と、
　　　　　主張するばかりです。責任ある方が揃ってこう言えば、私たち労働者は違法
　　　　　性を疑うことのほうが難しくなってしまいます。私は、この抜き出した条文に
　　　　　関して、労使双方とも改定の意思が無い以上は、国の強制力をもってこれを
　　　　　書き改めさせるべきだと思います。
　　　　　　労働基準法13条並びに労働組合法第16条の定める通り、協定の無効の
　　　　　通告を行なってこれを破棄させ、手待ち時間と休憩時間の記述をしっかりと
　　　　　行なった労使協定を締結するよう、行政指導を行なうべきだと思いますが、
　　　　　如何でしょうか。」

監督官「なるほど、そのような状況でしたら行政指導が重要な意義を成しますね。
　　　　　わかりました。いつ行なえるかはすぐには申し上げられませんが、行政指導
　　　　　を行なう必要を認めました。若干ご連絡が必要な場合があるかと思います
　　　　　ので、連絡方法を教えていただけますか？」

おいら （電話番号をつげ、労働協約が書き改められれば長時間労働も自ずと減る
　　　　　だろうと心の中で願いつつ）
　　　　　「よろしくお願いします。」

と、言うことで、一気にageだー。