ねこどんの冒険

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1ねこどん
小麦色のからだをむずむずと動かして、ねこどんは公園のベンチの上で目覚めた。
どういうわけだろう、ねこどんは時々自問自答してみる。
どうして朝になるとちゃんと目覚めるんだろう?
節度ってものが、自分にはあるのかな?
どうして自分は公園が好きなんだろう?
自分は文化的な存在なのかな?

初夏は、いい。
湿気が不思議と気持ちをわくわくさせる。
ねこどんは、静かな朝が好きだ。
丘の上の公園には、人も少ない。
酷い目に合うこともない。
カラスもほとんど来ない。
だから・・・ご飯の邪魔もされないし。
だから、ボクはここに住んでいる。
うん、いいぞいいぞ。

誰だろうか、いつからだろうか。
朝も昼も夜も、ちゃんとご飯を置いていってくれる人がいるんだ。
そうとも!
ねこどんはしっぽを、フンフン、と振りまわした。
そうだ、ボクは、人間的なんだ、はっきり言ってしまえば。
ボクには品位ってもんがあるんだ。

「かっははっははは、バーカ、人間を気取るんじゃないよ、ノラ猫野郎!」
突然、背後から声がした。

つづく