王家の紋章番外編@2ちゃんねる

このエントリーをはてなブックマークに追加
412名無しさん@お腹いっぱい
「黙れ、そなたの言うことは解せぬ。不安で怖い・・・だと?私を裏切った罪が恐ろしいのであろう?
姫っ、申せ!そなたが密かに想っている者の名を!私がその者の首級を・・・婚儀の贈り物としてそなたにやろう。そなたが私以外の者を想うは・・・許せぬ。
ふ・・・何て顔をしている?嗤いたければそれもよかろう。こんなことになってもなお・・・そなたを求める私の愚かしさを・・・。
姫、そなたは私のものとなり、私の子を、ヒッタイトの世継ぎを産む身ぞ。そなたの心はどうあれ・・・そなたの体は我が妃としての務めを果たしてもらおうぞ!」
王子の顔は冷たく冥い炎に彩られていた。初めて知る嫉妬。愛しい人に裏切られた哀しみ。それでも最愛の人を思いきれない自分の弱さへの憐憫・・・。
王子はゆっくりとキャロルに手を伸ばした。
「もはや・・・婚儀の日は待たぬ。今この場でそなたを我が妃とする」
「ひ・・・。嫌、王子、嫌。私はあなたを裏切るようなことなどしていません!こんな・・・恐ろしい王子は嫌い!私への侮辱だわ・・・王子自身への侮辱でもあるのよ。どうして・・・」
その時。
「王子・・・国王様より火急のお召しでございます。協議の間にお急ぎくださいませ・・・」
扉の外から遠慮がちな声がした。
「今、参る!」
王子は驚くほど冷静な声で答え、キャロルから身を離した。
しかし。部屋の中に絹を裂く音とキャロルの細い悲鳴が響いた。
「姫・・・この部屋に誰も呼ぶことは叶わぬぞ。そなたを一人にしておくように皆にも申しつけておく。・・・ここでそなたは私を・・・裁きを待つのだ」
王子はそう言うと出ていった。
寝台の上では鞭で後ろ手に縛られた姿勢のキャロルが泣き濡れていた。美しい衣装の胸元と腰から下は引き裂かれ、王子を惹きつけてやまない白い肌が隠すすべもなく晒されていた。
(ひどい・・・ひどいわ、王子。私はただ・・・水盤を見に行っただけなのに。あなたを裏切るような真似はしていないのに。何故、私の話も聞かずに決めつけてしまうの。あなたは私を・・・裏切り者だと思うの?あなたを裏切るような心根の持ち主だと思ってるの・・・)
屈辱的な姿でただキャロルはむせび泣いた。