51 :
名無しさん@お腹いっぱい。:
49です。誰も期待してないかもしれませんが…
妖は邪子をバイクに座らせ、彼女の傷を見た。
「あ〜あ、大分深く切ったな。歩けないだろ、これじゃ」
「な、何言ってんだよ!平気だって、これくらい。オイ、あんまし触んなっ!」
尚もムキになるに邪子だったが、ハッと我に返った。妖があまりに真面目な顔をして
いたからだ。
「おい、…妖?」
恐る恐る顔を覗き込む。邪子の視線に気付いたのか、妖は普段のポーカーフェイスに
戻って言った。
「なあ、お前もあんまり自分で抱え込むなよ。たまには素直になってみろって」
突然そんな事を言われて邪子は面食らった。しかし心配させたくないと言う思いと、
素直になりきれない思いで更に反抗した言葉になってしまった。
「平気だって言ってるだろ!あんましゴチャゴチャ言う…」
「俺にも心配ぐらいさせろって言ってんだよ!」
妖のセリフに邪子も言葉を詰まらせた。何も言えない彼女に更に妖は言う。
「なあ、お前にとって俺は泣き言一つ言えない位頼りない男なのかよ。俺だってお前
の本心を聞きたいと思う時はあるんだぜ」
正直邪子は驚いた。いつも憎まれ口ばかり叩き合っていた妖が自分に対してそんな風に
思っていたなんて思わなかったからだ。 しかし不思議と嫌な感じはしなかった。
自然と邪子の口に笑みができる。
「オイ、人が真面目に話してるの聞いてんのか?」
照れ隠しなのか、少し不機嫌そうに言う妖に
「あのさあ」
「…何だよ?」
「やっぱり足痛くてダメみたい。手当てしてくんない?」
少し顔を赤らめて言う邪子に妖も笑って言った。
「ったく、最初からそう言えって」