四行リレー小説

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1名無しさん@お腹いっぱい。
起承転結。
春夏秋冬。
一行では短すぎる。
そして、四行リレー小説の始まり。
2名無しさん@お腹いっぱい。:2001/06/29(金) 02:43
彼女の横顔は、泣いているようにも、笑っているようにも見えた。
「確か、新品のティーシャツがあったから」
雨で透けてしまった白いブラウス。
彼女の方を極力見ないようにしながら、竜之介は晶子にタオルを手渡した。
3名無しさん@お腹いっぱい。:2001/06/29(金) 02:48
竜之介はいそいで晶子に背を向け、箪笥に向かう。
──背中では晶子が濡れた身体を拭いている──
竜之介は、視界が極端に狭まり、顔が火照るのを感じた。
がたがたと不器用に抽斗を開け、あるはずのティーシャツを探す。
4名無しさん@お腹いっぱい。:2001/06/29(金) 04:18
「ごめんね、竜之介。私、もうバージンじゃないんだ」
風のように寂しい声で、彼女がつぶやいた。
竜之介は思わず振り向いた。しかし、どんな言葉をかければ?
暮れかかる夕日を背に、晶子は真っ直ぐに竜之介を見つめていた。
5名無しさん@お腹いっぱい。:2001/06/29(金) 04:23
一瞬だったかもしれない。永遠だったかもしれない。
その時確かに、見詰め合った二人の魂は一つに溶け合ったのだ。
電話が鳴った。その音が、恋の魔法を打ち砕いた。
呪縛から解けた竜之介は、そろそろと受話器に手を伸ばした。
6名無しさん@お腹いっぱい。:2001/06/29(金) 11:50
受話器を手に取り、
彼女の股間に突きたてた。
抜いた。
突きたてた。
7名無しさん@お腹いっぱい。:2001/06/29(金) 12:17
「ああ堪忍してえ」と、えも言われぬ声をあげる晶子。
──と、ついつい妄想に身をまかせてしまった竜之介は、
猛烈に汗をかきながら抽斗の中をかきあさる、意味不明な動作を繰り返していた。
「竜之介さんの着古しで構いません」後ろから晶子の声がした。
8名無しさん@お腹いっぱい。:2001/06/29(金) 12:59
着古しを手に取り、
自分の尻に突きたてた。
抜いた。
突きたてた。
9名無しさん@お腹いっぱい。:2001/06/29(金) 13:04
自分が立てたストーリーは、そうなるはずではなかった。と後悔するのか?
一行がたとえ四行に、四行が百行になったところで
物語の最後に責任の持てないものに、真面目に取り組むことはできない。
自分で尻をふかずに、うんこはできない。それが糞別のある大人の態度だ!
10名無しさん@お腹いっぱい。:2001/06/29(金) 13:06
硬く引き締まったうんこを手に取り、
彼女の股間に突きたてた。
抜いた。
突きたてた。
11名無しさん@お腹いっぱい。:2001/06/29(金) 17:23
抜き、突く、抜き、突く。ただひたすら繰り返し続ける竜之介。
そこには既に音もなく、風もなく、手に握っていたはずのものの実体さえ弾けてとび、
抜き差ししていたはずのその無限の空間さえ消えていた。
ただただ竜之介は熱を発していた。その熱こそ竜之介そのものとなった。
12名無しさん@お腹いっぱい。:2001/06/29(金) 23:40
二人の狂態を、ドアの影で泣きながら見ている男がいた。
中也。昨夜、彼は晶子にプロポーズしていた。
雨は降り続く。
窓に映る紫は、六月の紫陽花の花。
13名無しさん@お腹いっぱい。:2001/06/29(金) 23:48
紫陽花の花は、身を硬くした。
また、抜き、突くの道具にされてしまうのかと。
しかし、硬くなればなるほどに、
その危険性は、高まってしまうのだった。
14名無しさん@お腹いっぱい。:2001/06/29(金) 23:54
竜之介は紫陽花の花を手に取り、
彼女の股間に突きたてた。
抜いた。
突きたてた。
15名無しさん@お腹いっぱい。:2001/06/29(金) 23:58
竜之介の目に光るもの、それは涙だったのだろうか。
こうなるはずじゃなかった。
涙の粒に夕日が映り、キラキラと反射した。
中也は、それがとてもウツクシイ、と思った。
16名無しさん@お腹いっぱい。:2001/06/30(土) 01:19
しかし。美しいとは何か?
ダイアモンドよりも硬質なものとは何か?
そして夕日に輝く涙の粒よりも輝くものとは何か?
中也の心は虚空を彷徨い、そしてその下半身は失禁していた。
17名無しさん@お腹いっぱい。:2001/06/30(土) 17:02
物質をどこまでも分割していくと、最後に十三次元の『紐』が残る(『超弦理論』)。
全ての物質が、その『紐』の波動の異なる表現ならば?
宇宙とは、神様の作った音楽。
中也は、無意識のうちにステップを踏み始めていた。
18名無しさん@お腹いっぱい。:2001/06/30(土) 17:03
眠れ、中也。傷ついた心なんか捨ててしまえ。
中也の意識は深層の暗黒に沈み、しかしその身体は踊り続ける。
クイッククイックスロー。クイッククイックスロー。
魂のあふれる世界で、魂のない男は絶叫した。
19名無しさん@お腹いっぱい。:2001/06/30(土) 23:13
変態行為の最中、偶然竜之介は晶子の視線を捕らえた。
同時に、二人の弾けるような笑い声が部屋にこだまする。
「こんなに簡単な事だったんだ」
夏の訪れを予感させる、それは爽やかな笑顔だった。
20名無しさん@お腹いっぱい。:2001/06/30(土) 23:39
だがしかし、竜之介はそれと同時に彼女の中に居座っている遙かなる虚空も見て取った。
いくら変態行為で躁になっても虚空は埋まらない――
竜之介は目を閉じ、遠い少年の日々に思いを馳せた。
「こいつは細いから小説家になるとええ。よし、辰年じゃけえ、竜之介でどうじゃ」
21名無しさん@お腹いっぱい。:2001/07/02(月) 11:57
虎蔵は、噺家になった。
漱石は、葬儀屋になった。
熊太郎は、下痢をした。
よしこは、便秘だった。
22名無しさん@お腹いっぱい。:2001/07/02(月) 19:35
子供の頃、竜之介は父親の仕事の関係で各地を転々としていた。
祖父が住むその町には、夏休みに帰省する位のものだった。
竜之介が中也と会ったのも、そんな夏のある1日の事だった。
「おまい、男なん?女のごたる美しか顔ったい。・・・・」
23名無しさん@お腹いっぱい。:2001/07/02(月) 19:35
「男だよ!なんだい、君は?」
「おいの子分にしちゃる」
「何を言ってるんだい?」
「おいと、死体を捜す冒険に行こう、ち言っとるんじゃ!」
24名無しさん@お腹いっぱい。:2001/07/02(月) 23:48
スタ〜アン スタ〜アン スタ〜アン
バ〜イ ミ〜
オ〜ウ スタ〜アン
バア〜〜イ ミイ〜〜
25名無しさん@お腹いっぱい。:2001/07/03(火) 03:26
木の上に作った秘密基地で竜之介は歌った。
体全体でリズムを取りながら中也は、煙草をふかしていた。
あの夏休みを思い出すたび、竜之介の耳にはスタンド・バイ・ミーのメロディが聞こえてくるような気がした。
だが、なぜ中也は男の子の格好をさせられていたのだろう……。
26名無しさん@お腹いっぱい。:2001/07/03(火) 13:23
竜之介はズボンを下ろし、自分の性器を見つめた。
これは明らかに女性の性器だ。
それなのに何故両親は自分を男だと言うのだろう……。
いつの間にか、竜之介の手はクリトリスへとのびていた。
27名無しさん@お腹いっぱい。:2001/07/06(金) 21:45
少年時代の回想から、竜之介は目覚めた。
それから竜之介と晶子は、一週間愛し合い続けた。
部屋から、一歩も出なかった。
喉が渇いたら水道水を飲み、腹が減ったら生の米を食べた。
28名無しさん@お腹いっぱい。:2001/07/06(金) 21:49
男と女は、愛し合った。
女は情緒不安定になって、訳も無く泣いたり叫んだりした。
暴力をふるわれても、男はじっと我慢をしていた。
優しいというよりは、女性の扱いを知らなかったのだ。
29名無しさん@お腹いっぱい。:2001/07/06(金) 23:25
女のナックルアローが竜之介の顔面にめりこむ。優美な鼻梁が拉げた。
女の正中線四連撃が竜之介を襲う。竜之介は意識が朦朧とし始めた。
女の握撃を竜之介の腕を襲う。皮が裂け、筋繊維が剥き出しになった。
最後にジャーマンスープレックスをかけられ、目の前に星が飛び散った。
30名無しさん@お腹いっぱい。:2001/07/07(土) 00:32
薄れていく意識の中、再び竜之介は少年時代を回想した。
あの時だ。曲がり角でぶつかったあの時に・・・・
「おれがおまえで?」
「私があなた?」
31名無しさん@お腹いっぱい。:2001/07/07(土) 00:33
中也の秘密基地に走る時、曲がり角で少女とぶつかった。
その時、竜之介と少女の精神が入れ替わったのだ。
竜之介がクリトリスをいじらんとした時、木の下から声が聞こえた。
「返して!私の体!」
32名無しさん@お腹いっぱい。:2001/07/07(土) 00:57
木下は、小さな体をしていた。
その小さな体を、掘った土の下に埋めて芽が出るのを待っていた。
雨が降って、太陽が照って、十月十日たった時。
地面からは「おぎゃぁ」と、つるつる頭の芽が出て来た。
33名無しさん@お腹いっぱい。:2001/07/07(土) 02:20
竜之介は、つるつる頭の芽を育ててみることにした。
庭の片隅で……。
「これぞ『すみの園芸』」
竜之介の頭を、中也がどつきまくった。
34名無しさん@お腹いっぱい。:2001/07/08(日) 00:08
完敗だった。
中也とのデスマッチに敗北した竜之介は今、大の字に寝ていた。
身体のあちこちが痛くて、どうにも動けない。
竜之介の額に、濡らしたハンカチが乗せられた。
35名無しさん@お腹いっぱい。:2001/07/08(日) 00:09
「大丈夫?」少女の声が聞こえる。
「へへ。かっこ悪いとこ、見られちまったな」
「ううん。かっこ良かったよ。・・・・」
夜空には、満天の星。
36名無しさん@お腹いっぱい。:2001/07/08(日) 00:50
星は、次々に地上に落ちてきて突き刺さった。
至るところで、核弾頭のような爆発が続いた。
地球は、すでに粉々にくだけちった。
軌道上には、ひとつの大きな固体としての星は存在しなかった。
37名無しさん@お腹いっぱい。:2001/07/08(日) 01:12
地球は爆発したが竜之介も中也も生きていた。
偶然通りかかった銀河鉄道に拾われたからだ。
車掌さんはいい人だった。
その声はスネオにそっくりだったが。
38名無しさん@お腹いっぱい。:2001/07/08(日) 22:42
隣の車両から、一色の白い細身の少年が入ってきた。
「お、治……」
竜之介は、絶句していた。
入ってきたのは、先月河で溺れ死んだ筈の治だったのだ。
39名無しさん@お腹いっぱい。:2001/07/08(日) 23:02
忘れられた少女は、地球の軌道上に浮かんでいた。
つるつる頭の芽もその目をクリクリさせていた。
ハムとタマゴのミックスおにぎりは、もう食べてしまったので。
マヨネーズヨーグルトを口に入れていた。
40名無しさん@お腹いっぱい。:2001/07/08(日) 23:30
「治…中也…そして竜之介…させるか、貴様らを彼の地へ通す訳にはいかぬ!」
少女は、マヨネーズヨーグルトを飲み込みそう呟くと、奥歯を舌で動かした。
すると踵のイオンロケットが作動し、少女は凄まじい速度で宇宙空間を切り裂く。
ついに目前に銀河鉄道が迫り、少女は懐から小型レールガンを取り出した。
41名無しさん@お腹いっぱい。:2001/07/09(月) 03:42
小型のレーガン大統領は、
大型のジャイアント馬場に大統領のバトンをわたした。
バトンは、バトントワラー達へと手渡され
くるくる回転しながら、少女と天へ昇って行った。
42名無しさん@お腹いっぱい。:2001/07/10(火) 23:27
そんな事も知らず、竜之介と中也と治は、酒を酌み交わしていた。
「わっはっは」
「うっふっふ」
とそこに、黒い服を着た、髪の長い華奢な美人が通り掛かった。
43名無しさん@お腹いっぱい。:2001/07/11(水) 20:30
「お、なかなか別嬪じゃねえか」
中也がひゅう、と口笛を鳴らす。
「おいおいさっき女で痛い目にあったばかりだろう」
と竜之介がたしなめたが、中也の目は女に釘付けだった。
44名無しさん@お腹いっぱい。:2001/07/11(水) 21:28
「竜之介さん?」
夏の風が、女の腰まで伸びた長い髪をふわりと揺らす。
「一葉」
驚いて叫んだ竜之介を、中也が暗い目で見つめた。
45名無しさん@お腹いっぱい。:2001/07/14(土) 00:20
・・・・・・長い長い少年時代の回想から、竜之介は戻って来た。
裸の胸に、違う体温を感じる。
晶子の寝息がくすぐったくて、竜之介は身をよじらせた。
その動きで、晶子が目を覚ました。
46名無しさん@お腹いっぱい。:2001/07/14(土) 00:20
「君に、伝えなければいけない事がある」
「・・・・?」
「ハンカチをありがとう」
あの時から、俺は、ずっと君に恋してる。
47名無しさん@お腹いっぱい。:2001/07/14(土) 00:21
同時刻。
薄暗い地下室。ささやくような中也の声。
「あの夏の冒険は忘れられない。君もそうだろう?」
傷だらけの顔の中で、治の眼が暗く光った。
48名無しさん@お腹いっぱい。:2001/07/14(土) 00:21
その日、竜之介と晶子は一日中話をした。
竜之介のとりとめのない夢の話に、晶子は声を上げて笑った。
夕方、「買い物に行く」と晶子が出掛けて行った。
夜になっても、彼女は帰って来なかった。
49名無しさん@お腹いっぱい。:2001/07/17(火) 23:13
その図書館は、郊外の少し高くなった静かな場所にあった。
緑に包まれた古い建物だった。
ここで晶子の親友、一葉が働いている。
竜之介は、自動ドアの前に立った。
50名無しさん@お腹いっぱい。:2001/07/18(水) 17:33
ドアは開かなかった。
閉館日でないことは確かめている。「おかしい・・・」
その時、竜之介は背後に人の気配を感じた。
同時にラベンダーの香りに包まれていることに気付いた。
51名無しさん@お腹いっぱい。:2001/07/19(木) 20:35
「いらっしゃい、竜之介さん」
いつの間にか竜之介の背後に一葉が立っていた。
驚く竜之介に一葉は微笑みかけ、
「晶子を捜しているの?」と問うた。
52名無しさん:2001/07/21(土) 17:14
その時だった。「あ、ああ・・・」龍之介が白目をむいた。
「りゅ、龍之介君?」
戸惑う一葉は信じられない光景を目撃した。
龍之介袖から数百本はあろうかという触手が一葉に向かって飛び出してきた。
53名無しさん@お腹いっぱい。:2001/07/21(土) 20:37
触手を払いのけると、一葉は静かな声で言った。
「……彼女を捜さないであげて」
「何故だ?君は、何を知っている?」
カタリ、と図書館の鍵を、内側から開ける音がした。
54名無しさん:2001/07/21(土) 21:36
バタンという大きな扉を開く音と共に、中からチェーンソーを持った覆面の男が現れた。
龍之介は叫んだ「逃げろ一葉!こいつの狙いはお前だ」
一葉「こ、この誰なの!」
龍之介は一葉の手を引っ張り走りながら叫んだ「晶子だ」
55名無しさん@お腹いっぱい。:2001/07/22(日) 01:33
竜之介、中也、治、一葉。少年達の冒険は続く。
冒険の二日目、海に続く川原を四人は歩いていた。
何気なく河面を見て、竜之介は驚愕した。
「あれは、ニッポノサウルス・サハリネンシスじゃないか?」
56名無しさん@お腹いっぱい。:2001/07/22(日) 01:33
ニッポノサウルス・サハリネンシス。
和名、日本竜。
体長2メートル、カモノハシの顔を持つ。
日本でしか発見されなかった、幻の恐竜。
57名無しさん@お腹いっぱい。 :2001/07/22(日) 04:37
ニッポノサウルス・サハリネンシス。
和名、日本竜。
体長2メートル、カモノハシの顔を持つ。
日本でしか発見されなかった、幻の恐竜。
58名無しさん@お腹いっぱい。:2001/07/22(日) 04:54
2回も繰り返すことはないじゃないか、と
宇宙から僕に電波が教えてくれた。
そろそろ僕は逝かなきゃいけないんだろうな、
という意識が強くなってきた。
59名無しさん:2001/07/22(日) 08:19
とりあえず話だけはつなげろよな、と
宇宙から僕に電波が教えてくれた
そろそろ僕は逝かなきゃいけないんだろうな、
という意識が強くなってきた。
60名無しさん@お腹いっぱい。:2001/07/23(月) 15:45
すごくラクなんだけどさみしい。
このままでいいのかな。いやいいわけない。
おれは自分の意志で生きているわけでない。
ただながされていっているだけだ。
61名無しさん@お腹いっぱい。:2001/07/23(月) 21:51
「日本竜とかいいながら、サハリンかい」
中也の突っ込み。
「ちくしょー。樺太も北方領土も日本のもんだッ!」
なぜか泣き叫ぶ龍之介。
62名無しさん@お腹いっぱい。:2001/07/25(水) 10:47
age
63名無しさん@お腹いっぱい。
age