1 :
801:
第二章「保健室の青い罠」
夜。パン屋から出てくる求人君を見つめる怪しい目。
「求人君は木曜日に角のパン屋さんで、一週間分の食パンを買う……か。
フフフいただきね……」
次の木曜日
「こんばんわー」
「あら、いらっしゃい、待っていたわ。求人君」
「あれ?いつもの店員さんは?」
「ええ……ちょっと体の具合が悪くて、あたしがかわりに出ているの」
妖艶な笑みを浮かべる女性。
レジの裏では、猿轡をかまされたパン屋のバイト君がもがいている。
「はい……いつもの……フフフ」
女性は求人君にパンの袋を手渡すと、不自然なほどに顔を接近させた。
強烈な麝香の匂いが漂う。思わず一歩退く求人君。
「じゃ、じゃあ僕はこれで!」
足早に店を出て行く求人君。
女性は軽く舌打ちをすると、急に言葉遣いを変えて悪態をついた。
「ちっ!シトラス系にしとくんだったよ」
濃い化粧の上からでも、一目で30代とわかる顔に、古典的なメイド姿。
逃げられた理由が匂いではないことは明らかだった。
2 :
801:2001/06/10(日) 12:59
翌朝。いつものようにパンをくわえて走る求人君。
口の中にかすかな違和感を感じつつも、教室に滑り込んだ彼を激しい胃痛が襲う。
「おい求人、どうしたんだ、顔が真っ青じゃないか」
「先生……ちょっと胃が……」
「これはいかん、すぐに保健室に行きなさい」
「先生!俺が連れて行きます」
「いいんだ……吠えくま。僕一人で平気だから……」
せっかく授業に出る気になってくれた吠えくまに、これ以上の迷惑はかけられない
そう思った求人君は一人で保健室に向かった。
保健室には、白衣を着た化粧気のない女性が、黒いスツールに座っていた。
「ううん……あら、いらっしゃい。どうしたのかなー転校生君?」
超ミニの姿でこれみよがしに足を組替えた女性に、求人君はかすかな既視感を覚えた。
「ぼ、僕には求人案内っていう名前がありますよ!」
「ふふふ……いきがっちゃって……はい、これを飲んで、向こうのベッドに横になって」
「あれ?まだなにも言ってませんよ」
「あ……ほ、ホホホ、保健室の主と言われたあたしには、一目でわかるのよー」
素直に薬を飲んで、横になる求人君。
「あたしの名は、猫くん。よろしくね求人君」
「猫……先生?」
「いいえ。『猫くん』までが名前なの。猫くんって呼び捨てにして☆」
「……猫くん先生……なんだか眠いんですが……」
「他人行儀ね。でも、すぐにそんなこと、言ってられなくなるんだから」
猫くんが求人君に迫る。
「……な、なにを……まさか……」
3 :
801:2001/06/10(日) 13:01
「ホホホ……これがあの求人広告を倒した男?たあいもない。
安心おし。あなたは無傷であのお方の所に連れて来いという命令よ」
「あの……お方……」
「恐ろしいお方よ……でも……あなたは可愛い……うん。いいや、やっちゃお。えへ☆」
猫くんの手が求人君のブラウスの第一ボタンにかかる。途端、求人君が飛び起きた。
「僕が……許すのは、吠えくまだけだーッ!」
「ヴァカなッ!鉛筆の先で膝を刺した?!なんて子なの!」
「猫くん先生……許さない!」
「ホホホ……さすがは求人君。気に入った。気に入ったわ。
でも、これには気がつかなかったでしょ?ほら……」
猫くん先生の手が素早く振られ、白く長いものが求人君の自由を奪った。
「ホホホホホホホ……この『のび〜る包帯(弾力性当社比10倍)』に掴まったら、もうおしまいよ……
あら……随分と威勢がいいのね。そんな君には……いきなりここよ」
猫くんの手が求人君のズボンのジッパーにかかった瞬間、窓から黄色い物体が飛来した。
「つッ!……おのれ何奴!?」
物体は猫くんの手をしたたかに打った後、きれいに磨き上げられた床の上でぴよぴよとないている。
「ひよこの……おもちゃだと?」
「そこまでだ。猫くん。この世界では女性に、その行為は許されていないのだよ」
猫くんが声のするほうを見ると一人の男が、窮屈そうに身をかがめて窓から入ってくるところだった。
男は黒いマントに、ひよこの着ぐるみを頭にかぶっていた。
4 :
801:2001/06/10(日) 13:02
「ああ……変態か。暑いからねー……ていうか窓から入ってくんな」
「名前だと……名などない。しいていうなら、そう、ぴよちゃん仮面とでも言っておこうか」
「ていうか名前きいてないし」
「ちなみに声は速○奨」
「お前が言うな!」
猫くんののび〜る包帯がぴよちゃん仮面を襲う!ぎりぎりでかわすぴよちゃん。
「その動き……求人広告!貴様か!……貴様が生きていたとはね」
「私は影……本体が生きていればいつでも復活する……」
ぴよちゃんが仮面を外すと、そこにはあの求人広告の姿があった。
味方になったためか、目の輝きが前と違う。
「裏切り者がどうなるか、分っているのか?」
「百も承知よ……!もはや私は目覚めたのだ……求人君の、人を愛する心によってな……
そして猫くん。お前にもそれはわかっているはずだ。お前は求人君のことを」
「言うなといっているのよ!」
激しく宙を舞う包帯。だが、求人広告には一本もあたらない
「なぜなの!なぜあたらないの!」
「迷っているからだ」
猫くんの後ろに回り、求人君の包帯を剥ぎ取る求人広告。
扉からは吠えくまが入ってきた。
「求人!何があった……貴様らは!?ってお前!?求人広告!生きていたのか!」
「そんなことはどうでもいい!お前は求人を連れてここから逃げろ!」
「そうだな。さ、いこうぜ、求人」
「わたしのことは構うな!早く、早く行け!」
「言われなくても行くって。じゃ、さよなら」
5 :
801:2001/06/10(日) 13:03
求人広告と猫くんが対峙している。
「仲間を逃がすために一人残るとは、殊勝な心がけ。せめてあたしの最終奥義で逝かせてやる!
のび〜るタイフーン!」
「見切った!ひよこフェザー!」
無数の黄色い羽毛が、乱舞する包帯をことごとく切り刻む。
「そ……そんな……」
「猫くん。素直になりたまえ……」
「あたし……あたしは……求人君を……」
猫くんが続きを言おうとしたとき、求人広告の体が崩れ落ちた。
「ぐはっ、これは……ま、まさか」
「やれやれ……様子を見にきてみれば、裏切り者との馴れ合いとはな……
猫くん先生。随分と悠長ではないか?」
白い影が窓から踊りこんできた。
「ていうかまた窓から入ってくるな……は!あなた様は!
そ、その校則違反な白い学生服……そしてこの明るいさなか、なぜか影に覆われて見えない顔……
せ、生徒会長?!……まさか、あなた様がこんなに早く……」
猫くんと求人広告。分かり合いかけた二人の前に、謎の生徒会長が立ちふさがる。
彼の正体とは?
からくも逃げ延びた求人君と吠えくまの運命は?
次回「ピュアーロード」に
Let's 801!
今、801の雲が世界を包み込んでいく
6 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/06/10(日) 13:33
愛の抒情詩アゲ!
7 :
求人案内:2001/06/10(日) 15:52
面白い。笑
文芸版だから即興でこれを作れたんだ。誇りにしないとね。
8 :
猫柳:2001/06/10(日) 18:29
猫柳も出してくれ〜
後コテハン使っている人って、誰がいる?
へらさんも登場するのか? クソ番長は?
待て以下次号――
生徒会長はクソ番長と思われ
なんかおれ、痛めつけられてばっかだな。
もっといいおもいさせてよ。
11 :
サーガの人:2001/06/11(月) 00:11
第三話「ピュアーロード」
※この物語はフィクションであり、
登場する人物、ハンドルネーム、性的嗜好は全て現実のそれとは異なります(←逃げ)
OP(後期)Promissed Sky〜明日へ〜:マキハラ
ED(後期)らびぃんゆー(かばー):ひっきー
12 :
サーガの人:2001/06/11(月) 00:12
猫くんからからくも?逃げ出した求人と吠えくまは、校庭の隅で休んでいた。
「やれやれ……ここまでくれば平気だな」
「それはどうかな?」
「!!」
二人の前に白い学生服の男が立ちはだかった。
顔は黒く塗りつぶされ、目だけが爛々と輝いている。
何故か右手はナポレオンのように、学生服の中に入れていた。
そして左手には
「求人広告さん!」
ボロ雑巾のようになった求人広告が地面に叩きつけられる。
求人君は慌てて駆け寄った。
「求人広告さん……どうして?」
「私は……君になりたかった……
生まれたときから……君の影として生きることを運命付けられた名を憎んだ……
だが……今は違う。誇りに思うよ。君のような人間の影として生まれたことを。
たのむ、求人君。せめて影は影らしく、君の足元で逝かせてくれ……」
「は?こうですか?」
求人君は、求人広告を足蹴にした。
「はうっ!……そうだ……もっと、もっと強く……ぐはぁ!」
「求人広告さん!しっかりしてください!求人広告さぁぁん!」
「いや、踏んでるし……それにどうせ死なないんだろ?」
「求人君がいる限りはね……さあ、猫くん。」
生徒会長が鼻にかかった中性的な声で命令すると、
後ろから猫くんが悄然とした様子で出てくる。
「猫くん……求人君を僕の元へ……」
猫くんがのび〜る包帯をかまえる。求人君たちは戦いの構えをとった。
「ひとつ……お聞きしてもいいかしら……あなた様と求人君の関係は?」
猫くんが震える声で生徒会長に質問する。
13 :
サーガの人:2001/06/11(月) 00:14
「なにを言っているんだい?」
「……求人君のことを聞いたあなた様の様子……ただごとではありませんでした」
「それで?」
「求人君が見えた途端、お隠しになった右手……手袋のようでしたが?
なにがあるのですか?あたしには求人君と同じ匂いを……」
「……ヴァカな!……身の程をわきまえたまえ!!」
「……ならば!」
猫くんの包帯が一直線に生徒会長を襲った。しかし包帯は生徒会長の直前で静止する。
「裏切りか……一応は聞いておこう。……なぜだ?」
「求人君は渡さない。ましてや、あなたと求人君の間に、何かあるというのなら!」
「フ……僕も低く見られたものだ」
生徒会長は一瞬にして猫くんの後ろに回ると、左手で彼女の肩にかすかにふれた。
崩れ落ちる猫くん。
「たったいま、君のテロメアを少しばかり破壊したよ。
次の細胞分裂で、君の体は四十代に突入する……」
「い、いやぁぁぁぁぁ……」
「猫くん先生!」
求人君が絶叫した。傍らではいつのまにか復活した求人広告が青白い顔で吐くように呟く。
「まさか……『アウラ』だと?よもやこの目で見ることになろうとは!」
「知っているのか?!求人広告?」
「そう……アウラ。選ばれし者だけが持つことを許される、魂の輝き……
そしてそれを使いこなす者は、全てを制する……相手が悪かったね」
「猫くん先生!」
「ああ……求人君……こないで……」
14 :
サーガの人:2001/06/11(月) 00:15
「求人君……こないでって行ったのに……がっかりしたでしょ?幻滅したでしょ?
白衣の似合う、美しい保健室のおねーさんが、こんなふうになっちゃって……」
猫くんの目じりに見る見るうちに小皺がよっていく。
「……きれい、ですよ」
「え……今、なんて……」
「すごくきれいですよ。今の猫くん先生。悪い奴のいいなりになってるときより
ずっと輝いてるもん。」
「ああ……そうよ、そうなの!愛する人の側にいることで、女は美しくなれるのよ!
求人君、あたしを許して……くれる?」
「あたりまえですよ。猫くん先生。先生は本当はいい人なんだもの。
いままでずっと、傷ついた生徒を癒してきた先生が、悪人のわけないでしょ?」
「き、求人君……君って子は……」
「先生……はやく良くなってね」
先生を思う求人君は涙を流した。その涙が猫くんの手に落ちたとき、
猫くんの体がみるみる若返っていくのだった
「あっ!……これは……凄い!十代の体よ!」
「それはサバの読みすぎだな」
「まったくだ」
のび〜る包帯にしばかれる求人広告と吠えくまだった。
「イテテ……まあ、その元気があれば、大丈夫なんじゃない?」
「それよりも……求人君の力は、まさか……」
15 :
サーガの人:2001/06/11(月) 00:16
「なんだって……『アウラ』だというのか!
……既に手に入れていたのか……貴様……」
異様な気迫があたりに満ちる。しかし求人君には、以前同じ気を感じたように思えた。
(あれ……この感覚は……前にどこかで……)
「求人案内……こうなったら、僕自らの手で葬り去ってやるよ!」
「させないよッ!」
猫くん先生の手が鳴った。刹那、校庭に引かれた白線から包帯が飛来して、生徒会長の体を打った。
「既に……仕掛けていたわ!」
「ヴァカなッ?白線の上に……包帯をッ!」
「隙ありッ!」
生徒会長が動揺した隙に、吠えくまの一撃がボディに食い込む。
弾みで隠されていた生徒会長の右手が現れた。それは黒い皮の手袋をしていた。
「ああっ!そんな……そんなことが!嘘でしょ!作家志望(以下作志)兄さん!」
「作志……求人君の兄?」
右手が現れると同時になぜか生徒会長の素顔が暴かれた。
エメラルドグリーンの髪に、金色と黒の瞳を持つ細身の美青年だ。
17 :
サーガの人:2001/06/11(月) 00:17
求人広告が吠えくまの肩に手を置いてささやいた。
「……負けたな。君」
「なにがだよ!」
「見たまえ。あのとても人間とは思えない髪の色に、ヘテロクロミアの瞳を。
しかも声が石○彰だぞ?
801キャラとして、君に勝ち目はないッ!」
「なるほど……ってそういう問題かよ!」
二人が漫才をやっている間に、求人君は作志と最後に別れたときのことを思い出していた。
***
「……本当に行ってしまうの?兄さん」
「ああ……世界放浪こそが作家への近道なんだよ……わかってくれるよね?求人」
「でも、兄さんが行ってしまったら、僕は……僕は……誰をライバルにしたらいい?」
「大丈夫。お前は強い子だからね。僕がいなくても、きっと立派な作家になれるよ
僕も、いつかきっと、いい経験を積んで帰ってくる。その時は……」
「その時は?」
作志は右手を伸ばし、愛用の皮手袋で求人君の唇をかすかになでた。
思わず一歩退く求人君。
「その時は……アウラを持った立派な作家になってみせるよ……」
作志は少しだけ顔をゆがめて、左手の手袋を外すと、求人君に渡した。
「さよなら……それを僕だと思って、大切に持っていてくれ……」
作志はかぶりを振ると、一度も振り返らずに搭乗口に駆け込んでいった。
「兄さん?どうしたの兄さん!」
飛行場の床に、一粒の涙が流れ落ち、求人君の顔には皮手袋の匂いだけが残った。
***
18 :
サーガの人:2001/06/11(月) 00:17
「兄さん……もうやめて、作志兄さん!」
「作志、作志、作志……なんだ……この不快感は……この名前になにがあるというんだ!
ああ、頭がいたい、いたいよ……」
頭をかかえて地面にうずくまる作志。求人は、ふと、辺りの邪悪な気が和らいだような気がした。
「作志兄さん……目を覚まして!……」
求人広告が吠えくまの肩にそっと手を置いてささやいた。
「おまけに洗脳系か。駄目押しだな。吠えくま」
「そんなことねぇよ」
「負け惜しみか?しかしこれは事実……はっ。
な……なんということだッ!この男の心には……一片の疑いすらないッ!
まるで赤子のように……求人を信じきっている!」
「ってなんで分かるんだよ。……まあいい。俺は求人を信じる。それだけだ……」
「ううっ……僕の、僕の邪魔をする者は逝ってしまえー」
「やめて兄さん!」
「危ない!求人!」
作志の拳が求人の腹にめり込んだかに思えた。しかし、拳は求人君の一歩手前で止まっている。
「なんだって!そんなばかな……」
作志の右手の拳が、宙に浮いた左手の皮手袋に止められている。
「目を覚ませ!兄さぁぁぁん!」
求人は皮手袋をはめると、左手で作志の頬を張り飛ばした。
19 :
サーガの人:2001/06/11(月) 00:18
「……やっと……思い出した……求人案内……弟よ」
「兄さん!いったい何があったんだよ兄さん!」
吹き飛ばされて地面に倒れ込んだ作志からは、もはや邪悪な気は感じられない。
「求人……僕は、僕は焦っていた
お前の作品を見て、僕は確かに嫉妬を感じたんだよ
お前には才能があるって……それにくらべて僕なんかは……」
「まさか……そんなこと……」
「謙遜しなくてもいいんだよ……僕は……君みたいに自力でアウラを手に入れられなかった
焦りと嫉妬につけ込まれて、闇の力で、生徒会長になって初めて
……アウラを使えるようになったんだ」
「違うよ……違うんだ。僕だけの力じゃない。みんなとの、仲間との愛が、
僕のアウラを目覚めさせてくれたんだ。
もちろん、兄さんのおかげでもあるんだよ……」
「僕の……?」
「うん……だって、兄さんがいたからこそ、兄さんを目標にしたからこそ
僕はここまでやってこれたんだから……」
「僕が……目標……ありがとう、求人……
俺は……いい弟を持って、幸せ……ごほっ、ごほっ……
ふふ、間違ったアウラを使ったツケが……出てきたようだ」
「兄さん!しっかりして!兄さん!」
「求人……また、昔のように……お医者さんごっこ……したかった……」
「兄さん!しっかりして!そんなことをした覚えはないよ!兄さん!」
「冗談だ」
「……」
「なんだ。冗談か。びっくりさせるぜ」
「吠えくま。なんだそのナイフは」
吠えくまは握り締めたナイフを後手に隠した。
「そんなことより……来るぞ……闇が……」
「あ、あれは!」
いつのまにか太陽が一面の雲に隠されていた。
不自然にどす黒い雲の中から、声がした。
「余は アウラを切り裂く刀
余は 反撃をよせつけぬ盾
余は 闇
余は 暗黒皇帝なり」
やがて雲の中から、巨大な影が校庭へと降りてきた……
第三話、おしまい?
しかし、君はつきぬけてヴァカだなぁ。
だが、それがいい(w
21 :
サーガの人:2001/06/11(月) 00:22
訂正……
省略された続き
ここから
不自然にどす黒い雲の中から、声がした。
「余は アウラを切り裂く刀
余は 反撃をよせつけぬ盾
余は 闇
余は 暗黒皇帝なり」
やがて雲の中から、巨大な影が校庭へと降りてきた……
……ついに姿をあらわした陰の黒幕。
暗黒皇帝とは? 闇の力とは?
謎が謎を呼ぶ中で、ついに求人君たちの最後の戦いがはじまった……
次回求人君サーガ最終話・前編「底無き闇の中で」に……
Let's 801!
今、801の闇が世界を包み込んでいく
22 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/06/11(月) 01:22
age
お笑い・SFファンの人だと推測します。
テロメアのところがいいな〜自分の独創だった舌を捲くな〜。
個人的にはもっと静かなのが・・・笑・・・ワンピースのファンでもあるでしょう?
あれは落ちで泣けるからすごいですよね。
最近見ていないけど泣いたな〜昔。
あと、「たけし」だっけ?(リーダーとかなんとかの)
お化け屋敷に行ったら、ただ薄汚いのが立ってるだけなのね、あれ。
で、それを唖然としてたけしたちが通り過ぎていく。
あれは、最高の笑いの笑いのセンスをもって書いたと思う。
ふう、やっと終わった。
二日に分けて書き込もうと思ったけど、
まとめて出来たので今から入れます。
求人君サーガ最終話・前編「底無き闇の中で」
※この物語はフィクションであり、
登場するハンドルネーム、過去の出来事、性的嗜好は全て現実のそれとは異なります(←逃げ)
※PCの前の皆さんは、部屋の明かりを調節して
モニターのリフレッシュノートを最適にしてご覧下さい
OPなし
余は アウラを切り裂く刀
余は 反撃をよせつけぬ盾
余は 闇
余は 暗黒皇帝なり
雲の中から、漆黒のマントを纏った巨大な影が校庭へと降りてきた……
全長は創作文芸高校に並ぶほどだ。
「余は 暗黒批評もちて 全てのアウラを飲み込まん」
「求人、あ……あいつこそが、暗黒皇帝クソ番長!
暗黒批評の力で、アウラを持った人々を次々に襲う闇の化身なんだよ!」
「あいつが……兄さんを?!」
「皇帝なのか番長なのかどっちなのだ」
「きっとクソ番長までが名前なのよ、あたしの『くん』みたいに」
「ってそんなことを言ってる場合かよ!攻撃来るぞ!」
クソ番長の前に突然黒い球体が出現し、ものすごい速度で校庭に落ちてくる。
「危ない!」
しかし球体は誰もいないところに落下した。落下地点に敷かれた砂がごっそりと消えている。
「なんてこと……今の攻撃から重力子が検出されたわ!」
「どうやってだよ!」
「まさかマイクロブラックホールまで作り出すとはな……恐るべきはクソ番長の闇、か」
「だからなんでだよ!」
「今のはただの脅しに過ぎん……求人案内。アウラに目覚めた者よ。滅すべし」
「くっ……でもアウラではじき返せば!」
巨大な球体が校庭にせまる。身構えた求人君の周りを仲間達が囲む。
「みんな!なにをするの!」
「求人!お前をやらせはしない!広告!猫くん!作志!……いくぞ!」
「ああ!私を目覚めさせてくれた求人君、君のためならば!」
「この命捨てても惜しくはないわ!」
「僕は兄として、今できることをする!いくぞ……結界!!」
求人君を中心として球状の力場が広がる。
黒い球体は力場に触れると、激しい振動とともに消滅した。
「ほう……きさまらもアウラが目覚めかけているというのか。ならば 」
闇よ わが言葉よ その理(ことわり)で 魂を砕け すなわち
クソ クソ クソ
厨房 厨房 厨房
「なっ……うわぁぁぁ……」
突然絶叫して転げまわる仲間達。求人君にはなにが起こったのか分からない。
「『ばったもん』てなにー『まがいもの』ってなにーおしえてよーおかーさーん、おかーさーん」
「求人広告さん?!」
「違うの……あたしは、おばさんじゃない!おばさんじゃない!」
「猫くん先生?!」
「行くな、求人!俺を……俺を見捨てないでくれ!もうあのころには戻りたくないんだ!」
「吠えくま?!」
「奴の暗黒批評は、まさに闇の言霊……聞くものの心さえ破壊する……」
「兄さん!大丈夫なの!?」
作志は辛うじて理性を保っているようだった。
「ああ……アウラのおかげで、なんとかな。しかし……求人……
せめて、せめてお前だけでも逃げろ……ぐあっ!僕には才能がないのか?ないのか?ああ、僕は」
「兄さん!」
「ククククク。脆いものよのう。人の心は。
所詮その程度の人間に、アウラなど不釣合い。余が全て飲み込んでくれる!」
バシュッ!再び出現した黒い球体は、進み始めてすぐに、轟音とともに消失した。
「なに!」
求人君の体が激しく輝く。同時に、仲間達の様子が少しずつ落ち着いてきた。
(おまえか……)
「き、求人君?なんだ?なにが起こっているというのだ!」
(おまえが、みんなを)
「求人君?そ、その体はどうしたの?」
(求人広告さんを苦しめ……猫くん先生を苦しめ……)
「求人!お前……」
(兄さんを苦しめ……今また僕の吠えくまを苦しめているのは……)
「お前だ!お前なんだ!暗黒皇帝クソ番長!」
「ほう、この期に及んで完全に覚醒したというのか。
ふん、苦しめる?この腐れ厨房どもが!これはお前達のためである。
お前達のような不完全な存在は、余の中で生き延びることこそが至福!」
「なめるなーッ!」
「駄目だ求人!早まるな!」
求人君の体が宙に浮かび、クソ番長に突進していく。
途端、巨大な黒い左手が出現し、求人君の攻撃を止めた。
「これが闇の左手」
「なに!」
次に巨大な両足が出現、求人君の体を蹴鞠のようにもてあそぶ。
「これが闇の足そして……これが闇の右手だよ求人案内!」
「よけろーッ!求人ーッ!!!」
吠えくまは目撃してしまった。求人君の体に巨大な右手の一撃が叩き込まれるのを。
「がはっ……吠えくま……」
求人君は急激に光を失うと、そのまま落下を始める。吠えくまは落下地点に急いだ。
「ククククク。おしかったな……吠えくま」
「ああっ、てめえ……てめえ何をしやがる!求人を返しやがれ!」
闇の右手が求人君をしっかりと捕らえている。
「何をする?フハハハハハ……決まっておろう。余の一部にしてやろうというのだ!
光栄に思うがいい!フフフフフフ……ハーッハッハッハッ……」
「求人!目を覚ませ求人ーッ!」
吠えくまの叫びも虚しく、求人君の体は、クソ番長の闇のマントの中に吸い込まれていく。
「ああ……嘘だろ……求人……」
「吠えくま……」
「フン!てこずらせおって。余に手足を出させたことはほめてやろう……
だが!これで終わりにさせてもらおう!」
再び黒い球体が作り出される。
「とどめだ!」
黒い球体が放たれた。しかし吠えくまはその場から動かない。
「どうしたんだ、吠えくま!逃げろ!」
「求人……求人ーッ!」
「なんだと!」
吠えくまの体から光がほとばしる。いや、吠えくまだけではない。
求人広告も、猫くんも、作志もまた、全身から強い光を放っていた。
「これは……アウラか?」
「あたしたちにも……アウラが!」
「わかる……わかるぜ。これはあいつの力だ。感じるんだ。あいつは、求人は生きている!」
「ヴァカな……奴の力は、他者のアウラを活性化させることができるというのか!」
「どうだ!クソ番長!アウラは……誰にだってあるんだぜ!」
「ようし吠えくま!」
求人広告、猫くん、作志が吠えくまの手をつかむ。
「なんだよ……お前ら。変な気おこすなよ。今はそれどころじゃないだろ?」
「違う!求人を助けに行くんだろう?だったらあたしたちの力を持っていきなよ」
「そうだ。求人君はお前が来るのをきっと待っている。」
「一人一人の力は弱くても、みんなの力を一つにすればあいつの闇を打ち破れるはず!
吠えくま!弟を頼む……」
「みんな……そんなにまで俺と求人のことを……
ありがとう。ごめんな。俺、今までみんなのこと、
解説役だとか、年増だとか、同人女向けのキショイキャラだとかおもってたけど
本当はいい奴らなんだな……」
「吠えくま!」
「みんな!」
「逝ってこーい!」
「え゛!?うわぁぁぁぁぁぁ……」
三つの光が吠えくまを空へと弾き飛ばした。
「行っちまったか……あいつは……本当に凄い奴だ」
「ええ……あたし達にはとてもあんな勇気はないわ」
「本当に求人のことが好きなんだね……弟の目に狂いはなかったよ」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ……求人ーッ……今行くぞーッ!!!」
暗黒皇帝クソ番長に飲み込まれた求人。
それを助けんとする吠えくま。
(ここはどこだろう……なにも見えない……いや
……こ、これは……そうか、そういうことか……
ああっ!助けて!飲み込まれる!僕が僕でなくなってしまう……
助けて吠えくま!)
果たして間に合うのか?
次回、求人君サーガ最終話・後編「約束の空〜明日へ」……
君は、801の奇跡を目撃する。
32 :
サーガの人:2001/06/12(火) 00:19
CMの後は
引き続き求人君サーガ最終話・後編「約束の空」
をお楽しみください。
CM
「夏だ!」
「プールだ!」
「男ばかりの水泳大会!」
ザブーンバシャバシャ
「うわーっ、吠えくま、目が真っ赤だぁ〜」まっかだぁ〜(エコー)
「うおっ、こりゃ大変だ」
「そんなときは!ロ(自主規制)おとなソフト!目にしみる目薬だよ!」
「う〜っ気持ちいいーっ」
「これで今年の夏もバッチリだね!あ……おーい、まってよーみんなー」
CM終り
求人君サーガ最終話・後編「約束の空」
OP無し
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ……求人ーッ……今行くぞーッ!!!」
求人君を助けるため、吠えくまは暗黒皇帝クソ番長の体に飛び込んだ。
「フハハハハ飛んで火に入る夏の虫とはこのことだ。
血迷ったか?吠えくま。まあよい。あとはアウラを消費し尽くしたザコを残すのみ
……くらうがいい!」
ドキュソ ドキュソ ドキュソ
逝ってよし 逝ってよし 逝ってよし
「くっ……まだまだぁ!」
求人広告が、猫くんが、作志がクソ番長の暗黒批判に懸命に耐える。
「なに……なぜだ!なぜそこまでして耐える!
もう貴様らに戦う力は残っていないというのに!」
「き……貴様にはわかるまい……私たちにとって求人君とは……全てなのだ!」
「もし、あたしたちが倒れたら……誰が求人君の帰る場所を守るのよ!」
「僕は倒れない……求人に『おかえり』を言うまでは!」
「ならば!……滅びるがいい!」
闇の右手が仲間達を襲う。必死で避けつづける三人。
「猫くん!……あとどのくらいもつ……?」
「くっ……せいぜい二、三分てとこかしらね。ドジッたわ……
もう少しアウラを残しておけばよかった……」
「それはかっこ悪いかな。それに……ほら、吠えくまがたどり着いたよ」
一方、吠えくまは暗闇の迷路を抜けて、求人君の前にたどり着いていた。
「求人!無事か……なんだ?これは?」
何も無い空間に座り込んだ求人君の周りには、薄い卵のような膜が張られている。
「ふん、こんなもの俺達のアウラで壊してやる!いくぞ!ベアクローアウラスペシャル!」
吠えくまは光の拳を膜に叩きつけた。途端、体が巨大な力で弾き飛ばされる
「な!……どうなってやがる!」
(吠えくま……それは……おそらくそれは求人君自身の力が作り出している……)
借りているアウラから、仲間の声が聞こえる。
「なんだって!」
(吠えくま……求人君の声を聞いて……)
猫くんの言葉に従い、吠えくまが精神を集中すると、求人君の心の声が聞こえてくる
(ここはさむいよ……怖いよ……もうだめだ……もう……なにもかも終りなんだ……)
「求人!そんなことがあるか!求人!」
(ああ……なんだかとっても気持ちが良くなってきたよ……)
(駄目だ……僕達の声は届かない……おそらく奴の闇に飲まれて
自らの心を閉ざしてしまったんだ)
「そんな……そんなヴァカなことがあるかーッ!」
吠えくまは、何度も何度も膜を叩いた。全ての力は自らに跳ね返り、拳に血がにじむ。
(うるさいなあ……もう、ほおっておいてよ……)
「違う!お前はそんな奴じゃない!求人!求人ーッ!」
(なんだろう……なにが起こってるんだろう。でももう、どうでもいいや)
「求人……」
吠えくまは血まみれになってその場に崩れ落ち、なおも求人君の名前を呼び続けた。
「求人……きいてくれ、求人!俺は……俺はお前と出会う前は最低の奴だった。
小学校の時から、パタ○ロを読みふけっていたし
中学の時の読書感想文は草○花だった……
おまけに、河出文庫のコーナーで、立○和平を読むふりして、
長○ま○みその他諸々を読んでさえいたんだ!」
(誰?……何のことかわからないよ!)
「わからなくてもいい!……こんなことはわからないほうがいいんだ。
ただ、お前が俺をどん底から救ってくれたことは確かなんだ!
あのとき……約束したじゃないか。いつか俺とアメリカで……求人!きゅうじぃぃぃん!
俺の、俺の求人ーッ!」
(これは……なに?誰か泣いているの?いや、これは……吠え声……)
求人は闇の中で、吠えくまとのひと時を思い出していた。
***
「吠えくま……どうしてまた乱暴を!」
「うるせーな。いちいち先公みてぇに言うなよ」
「……ヴァカ……吠えくまのヴァカヴァカ!もう知らない!」
「な、なんだよ……泣くなよ。求人。お、俺が悪かったよ……」
「だったら……約束してくれる?もう、誰かに向かって吠えたりしない、って」
「……あ、ああ約束だ……もう、お前のため以外に、吠えたりしない」
「ホント!」
「もちろんさ……その代わり、俺にも一つだけ……
もし、俺達が大人になっても同じ気持ちでいたら、そのときは俺と……」
「うん……約束する、じゃあ、指きりげんまんね」
ゆーびきーりげんまん うそついたらはりせんぼんのーます ゆびきった
***
(これは……吠えくまだ!吠えくまが僕のために吠えてるんだ!……僕は、僕は……)
「求人!目を……覚ましてくれーッ!!!!!」
「吠えくまーっ」
卵のような膜が破られ、中から裸の求人が出てくる。
「求人……もう、離さないから、な……」
「吠えくま……心配かけて、ごめんなさい……」
一方その頃、地上では、仲間達が力尽きようとしていた。
「フハハハハ。もう、終りのようだな……所詮、厨房は厨房か」
「それはどうかな!クソ番長!」
「もうあたし達に怖いものはない!」
「そう、あの二人が、求人と吠えくまが帰ってくるんだ!」
「な……ヴァカなッ!グッ、グオオオオオ」
クソ番長の闇のマントが膨らみ、その中心が破れて求人と吠えくまが飛び出してきた。
二人は生まれたままの姿で校庭に降り立った。
「な、なんで裸なわけ?!あんたたち、なにしたのよ!」
猫くんが目を丸くしている。
「最終回は裸で飛ぶものと相場が決まっているからな」
求人広告はあくまでペースを乱さない。
「おめでとう。お二人さん」
作志はアウラで紙吹雪を出しながら微笑んでいる。
「みんな……ありがとう。そして、ただいま」
「おかえり。求人君……」
求人君たちの周りに温かいアウラが取り巻く。
「求人君は他者に活力を与えるアウラ。吠えくまは愛する者を勇気付けるアウラ、か
まったく……二人とも少しは自分のことも考えたまえ」
「グォォォォ許さん!許さんぞ!余の体に傷をつけた罪!
万氏に値するわ!」
闇の右手が迫る。だが、求人君たちのアウラがそれを払いのけた。
「クソ番長!僕は見たんだぞ!お前の心の中にあるのは……
あまりにも深い悲しみと憎しみ!結局お前も人間なんだ!
ただ、面白くない作品を読まされつづけて歪んでしまっただけなんだ!」
「若造が知った風な口を!貴様には分かるまい!
あのような作品を読みつづける者の心の変化など!
そう、これ以上、あのような作品を世に出さないためにも!
生半可なアウラは消し去らねばならんのだ!」
「それは違う!……アウラは、みんなで成長させるものなんだ!
クソ番長は……違うんだ。ただ、焦っていて……迷っているだけなんだ……」
「ええい!もはや厨房との議論など無意味!このまま押しつぶしてくれる!」
クソ番長は四肢を出すと、そのまま校庭に迫ってくる。
「求人君!どうする?後がないぞ……いくら奴が人間であっても……」
「まだだ!まだ諦めるもんか!そうさ!僕はもう二度と、諦めたりしない!
闇の中で、吠えくまと……約束したんだ」
「求人……お前は……」
(そうだ。あきらめてはいけない)
ふと見ると、校庭に人が集まってきている。
一人、また一人と、創作文芸高校の校門から、校庭めがけてやってくる。
「……誰!」
(僕達は、名無しだよ。求人君)
「……みんな?みんなそこにいるの?」
(ごめんね。求人君。今まで見ていたばかりで)
(僕達は単なる名無しだけど、でも僕達だって、求人君を助けることができる)
(そう、僕達のアウラは小さいけど、みんなの力を集めれば)
(きっと強い力になると信じることができたから)
(だから、戦って。そしてクソ番長の闇を払ってあげて)
「……みんな!ありがとう!みんな!」
名無しの群れは校庭を埋め尽くし、その中心・求人君と吠えくまに向けて、光の波が集まっていく。
「そう……これがアウラだ!クソ番長!
お前にも、誰にも奪うことは出来ない、人の心がもたらす力だ!」
「ヴァ、ヴァカな!認めぬ!認めぬわ!
この暗黒皇帝たる余が、人間ごときに圧倒されているなど!
この……このド厨房どもがぁー!!!」
クソ番長がすさまじい邪気を発して襲いかかる。
「……これは苛烈な運命に生まれた求人広告の苦しみ!」
求人君の拳が、闇の左手を引き裂く。
「グァァァァ!?」
「これは運命を操られた猫くんと兄さんの悲しみ!」
求人君の蹴りが闇の足を薙ぎ払う。
「そしてこれはッ!愛する者を傷つけられた
僕と吠えくまの……怒りだァァァァァッ!」
求人君と吠えくまの手から放たれたアウラの光は闇の右手を貫き
そのままクソ番長の体を破壊し、天へと昇っていった。
「……これが……余の運命?……これで……これでよかったのか……」
いつしか暗雲は消え去り、六月の柔らかな日差しが校庭によみがえっていた。
クソ番長は人間の姿に戻り、校庭の隅に横たわっている。
「……クソ番長」
求人君がクソ番長の横に歩み寄る。
「求人か……余は……破れたのだな……だが、余は……余は間違っていたとは認めぬ……」
「わかってるよ。あなたはただ……ほんの少し迷ってしまっただけと思うだから。」
「人が……読者であるということはな……
より面白いもの、もっと喜ばせてくれる作品を求めつづけることに他ならない……
余はただ……素晴らしい作品が読みたかった……それだけだ……」
「……わかって……いたのに……」
「泣いているのか?ふ、暗黒皇帝ともあろうものが、
厨房の同情を受けるとはな……
求人案内とその仲間よ……これだけは忘れるな。アウラとは……人の心の在り方。
人が人としてあるかぎり、必ずやまた余のような存在が現れるだろう……
それでも……それでも人として生きていきたいというのか……
そこに苦しみが待っているとわかっていても……」
「うん!」
「当然だ!」
「あたりまえじゃない」
「そうだろう?僕達は……」
「生きているんだからな!」
求人君たちの笑顔が輝いている。みんなの笑顔が輝いている。
「そうか……ならば……」
クソ番長の体からアウラの光があふれ出る。
「これは……クソ番長?」
「余が奪ってきたアウラを……空に……かえすよ……」
「クソ番長!」
クソ番長の体が消滅すると同時に、膨大な量のアウラが地表を離れ
先に求人君たちが発したアウラと合流し――そして世界へと拡散した。
「見て……これは……雪?」
校庭に雪が降っている。
「これは……アウラだ!みんなのアウラが帰ってきたんだ!」
アウラの雪は世界を覆っていた。
海で 山で 島で 荒野で 砂漠で 戦場で
地球上のあらゆる場所で人々はアウラの光を見た。
あるものは天に向かって祈りを捧げ
あるものは戦いの道具を放り出し、敵であった者同士が抱き合って泣いた
そしてまたあるものは、直ちに「2ちゃんねる創作文芸板」にアクセスをはじめた
それはまさに、一つの奇跡に他ならなかった。
「……もういくの?」
「ええ、しばらく実家に帰って……今後のことを考えるわ」
猫くんが去っていく。
「求人君。今度会うときはより一層きれいになってるからね」
「……じゃあ求人。いくよ」
「……兄さん……また世界を旅するの?」
「知りたいんだ……アウラとは、なんなのか。それを確かめるために」
作志が去っていく。
「みんないなくなっちまったな……っておい!広告!お前何してんだよ!」
「フッ……私は影。本体とともに生きるのが定め……」
「求人?いいか?」
「うん。せーの」
「飛んで逝けー!」
「ノオオオオオオーッ」
求人広告が飛んで逝く。
「さて、と……これで本当に俺達以外誰もいなくなったな、求人。で、俺達はどうするよ?」
「うん、吠えくま。僕達はね……」
42 :
サーガの人:2001/06/12(火) 00:26
ED:「Promissed Sky〜明日へ〜」instrumental version
――数年後
アメリカの小さな田舎町で、二人の男がヴァージンロードを歩いていた。
「汝健やかなる時も病める時も……(中略)誓いますか?」
「誓います!」
「誓います……!」
紙ふぶきと花束でもって、大勢の人に祝福された二人は、
そのまま空と大地の交わる道をどこかへと去っていく。
後には空き缶の鳴る音だけを残して……
しかしいつかまた彼らは帰ってくるのだろう
なぜなら、彼らはアウラを追い求め、作家を目指しているのだから
しかし……そう、勇者にも休息は必要だ。
今は彼らにひとたびのお別れを言っておこう。
ありがとう 求人案内
ありがとう 吠えくま
そしてありがとう 創作文芸の勇者達……
求人君サーガ・「完」
43 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/06/12(火) 01:04
逝ってよし〔1〕
もうすこし情景描写を足すと良い感じになるかとおもわれます。
落ちも直球で、なんともはや。
アニメを見てない人でも楽しめる作品をつくれば良いと思われ。
コテハンのキャラに乗っかった作品なのに、コテハンのキャラがベクトル滑り
して、違和感。(とくに猫くん)
作士のキャラが弱いですね、広告は最終回なにしましたか。
最後にひとこと…… きみ、オタクですね。
44 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/06/12(火) 02:24
駄作[1]
序盤は勢いもあり楽しめた。いいよ。
しかし、後半読むに耐えなかった。ダメダメ。
残念ながら[駄作]に入れます。
ネタものは新鮮さが命。
ちょっとばかし続けすぎたな。
でもまあ心意気は良かったと思うよ。
みんな厳しいのう。
ワシは面白かったぞい。