1 :
Hb:
掠れた金属音がする。
規則的に響くそれは、タイムリミットの近いことを俺に告げる。
上がりきって、角を曲がり、進んでくる。
枕元を確認する。確かにおいてある。嘲う。
足音は止まり、俺の部屋の前で暫く躊躇するようにたたずむ。
分かっている。
誰がそこに居るか、俺は分かっている。
ノック。
俺がそれに応え、彼女はこの薄暗い俺の領土へと侵入してくる。
2 :
Hb:2001/05/18(金) 06:29
詰まらない退屈なビデオ。
詰まらない退屈な物語。
詰まらない他愛のない会話。
詰まらない、前擬。
彼女は俺の横に座って、ベッドに背を持たれて暗い部屋の中のぼんやりとした光源を見ている。
偶に、思い出したようにメンソールを吸い、頻繁にミルクティーを飲む。
ピッタリと、肩が触れ合っている。
ピッタリと、手が触れ合っている。
体温が伝わっている。
ひんやりとした空気が、熱を帯びてきている。
「分かって」いる。そう。俺は。「分かって」いる。
どんなに抗おうと、逆らえないという事を。
缶コーヒーに、手を伸ばした。
たまたま、彼女の手に重なった。
それだけで、十分だった。
3 :
Hb:2001/05/18(金) 06:37
「いや…駄目だよ。ビデオ…見るんでしょう?」
吐息混じりに、彼女はそう言った。
絡み合い、重なり合い、今は半身をはだけてベッドの上にいる。
俺は、生臭い口づけでその言葉を塞ぐ。
メンソールの味が、舌に苦い。
貪るように、彼女は俺の舌を刺激する。お互いの口内で、お互いの舌が粘膜を蹂躙する。
唾液があふれて、べとついた。
俺はそのまま、彼女のストッキングの上から陰部をさすった。
はう、と、息を飲み込んだ。
熱が絡みついた。湿気かも知れない。蒸れていた、とも言える。
「駄目、駄目、やめて…駄目だよ…」
甘ったるい声で、彼女が俺の官能を擽る。
陰茎の先は、人に言えないくらいいに濡れている。
ぐい、っと、彼女の腰を持ち上げる。
「浮かせて」
そう、耳元で囁く。
手だけは、女性器の辺りをおざなりに押さえていた。
しかしさしたる抵抗も無く、彼女のストッキングと下着ははぎ取られる。
それは左脚に絡みついて、俺の情欲を刺激する、淫靡な装置と化している。
4 :
Hb:2001/05/18(金) 06:46
ぬるりと。そしてあっけなく簡単に。
俺の人差し指は彼女の中へと侵入していた。
再び、彼女は激しく身もだえる。
汗をかいていた。
はだけた上半身、脂肪の薄い華奢な体の上に、水滴がポツリポツリと落ちる。
そうだ。自分の汗でもある。
いやいやをする様に、首をふる。その仕草が、またいやらしかった。
俺は容赦なく、指で中をかき回した。
そして耳元で囁く。
どうして欲しい? いやなの? つづけた方がいい? 何がほしい?
彼女は側にあったシャツを口にくわえ、声を堪える。
この部屋の壁はあまり厚く無い。昼間っから、大声を出せる環境でも無い。
「ずる…いです…。そんな…体に…そんな…」
口調が、変わってきている。
まるで、従順な奴隷のように。まるで、従う事が当然であるかのように。
「声…出ちゃいます…。駄目…です…」
舌っ足らずな、甘えた服従。
膣の中に入れた指の平で、ざらつく粘膜のウチをなぞる。
それから不意に激しく出し入れをし、すっと抜き出してからクリトリスを溢れ出ている愛液で撫で上げる。
俺の背に回した手が、爪を立てる。
再び、耳元で俺は囁く。
どうして欲しい? いやなの? つづけた方がいい? 何がほしい?
まるで呪文のように。或いは、朗々とした詩のように。
5 :
Hb:2001/05/18(金) 06:56
「お…おちんちんが…欲しいですぅ…」
荒い息の底から、掠れた声でそう吐き出した。
それを、待っていた。
その、許可を。
俺は濡れた陰茎をズボンから吐き出させ、一呼吸もせずに彼女の膣口へあてがう。
すでにかなり濡れている。そして、やけどするほどに、熱い。
2〜3回、クリトリスと膣口の間を行き来して、それから一気にその中へと侵入をした。
粘膜が、俺のかり口の裏を締め付け、刺激した。
熱を帯びた彼女の中は、陶酔するほどの恍惚感を俺の脳へと送り込む。
「はっ…はっ…はっ…はっ…」
規則的な、荒い呼吸。
「あはぁ。良い、良いですぅ…。お、おちんちん…気持ち良いです!!」
爪を、ガリリと立てた。
微かな。それでいて確かな痛み。
俺はゆっくりと、子宮口の入り口まで陰茎を押し込む。
それから、浅く素早く腰を動かし摩擦する。
そのたびに、彼女は様々な反応を見せる。
様々な顔。様々な音色。様々な、痴態。
奥へと押し込む、押しつけるかの動きにより強い刺激を感じる。
「あぁ…、あはぁぁぁ…」
吐息にも似た、鼻から抜ける声。
俺の官能を支配する、彼女の声。
6 :
Hb:2001/05/18(金) 07:05
それから、俺は彼女の腰の後ろに手を回した。
膣内に陰茎を深く押し込んだまま、ゆっくりと彼女の上体を起こす。
向かい合う形でキスをして、抱きしめる。
お互いの舌を貪るような、キスを。
舌の先で、互いをつつき合うようなキスを。
それから、そのまま俺が後ろに体重を落とす。
騎乗位の形になった。
何度か、俺は舌から彼女を突き上げる。
そのたび、押し殺した声で、腰の動きに合わせて、あ、あ、とリズムを刻む。
ぐっ、と、深く押し入れ、それから動きを止め、「動いて」。そう、囁く。
彼女は膝を立て、まるで力士の立ち会いの様なポーズで、腰をゆっくりと上下させ始める。
今まで以上の官能が、俺の陰茎から脳へトコ伝達される。
ゆっくりと、ゆっくりとだが、彼女の濡れた膣癖が、優しく、それでいて熱く、俺の陰茎を舐めあげ、包み込み、高ぶらせる。
耳元へ、舌を這わせてくる。
それから首筋に、キツめのキス。跡のつく様なヤツだ。
そして、腰を浮かせながら、乳首へと舌を動かす。
呻き声を、俺は上げる。
いや、喘ぎ声と意って方が正確だろう。
彼女は舌先で俺の乳首を転がし、押しつけ、軽く吸っては、その周辺を円を描くかのように刺激する。
そしてその間も、間断なく尻を上下させ、俺の陰茎を激しく摩擦し、絞り上げている。
7 :
Hb:2001/06/11(月) 06:04
俺は喘ぎ、彼女は上で汗を流しながら腰を動かし続ける。
耳を擽る吐息。
時折、疲れてか上下の動きが、前後のものに変わる。
俺の陰茎に対する刺激は減るが、彼女はクリトリスがこすれるらしく、その動きに自ら敏感に反応をする。
今にも果てそうな俺にとっては、ちょっとした休息だ。
「ねぇ…」
俺の耳の奥に舌を這わせ、彼女が息を吹き込む。
「…私のこと…好き?」
問いかけと云うより、懇願。或いは、密やかな暗号のやりとり。
「ねぇ、好き? 好き? 好き…?」
俺は呻いて、両手で彼女の臀部を掴む。
「…あ」
広げるようにして刺激を与え、そして下から腰を打ち付ける。
「あ・あ・あ・あ・あ・あ…」
リズミカルに彼女は応え、快楽のボルテージが痛いほどに高まってゆく。
「…出るよ」
告げると同時に、俺の陰茎は激しく脈打ち、彼女の内部で射精をした。
「あ…はあ…いい、いいよ…出して…、わたしの中で出して…。たくさん…たくさん…出して……」
最後の快楽を貪るように、彼女は痙攣する陰茎を締め付ける。
俺は搾り取られ、苦痛に似た呻きをあげた。
8 :
Hb:2001/06/11(月) 06:15
未だ冬の頃に、俺は彼女と会った。
インターネットを通じて知り合った数人の集まりの中に、彼女は居た。
長い髪を、軽く染めて居た。
面長で、少し哀しげな目をしていた。
哀しげ、というのはもしかしたらただの思い入れかもしれない。
目は口ほどにモノを云うと云うが、同時に目は鏡のように気持ちを映し出す。
つまりは、俺自身の心を、だ。
飲み会の幹事というには、彼女の動きはあまりにお粗末で、危なげだった。
お陰で俺は、とてもじゃないが目が離せなかった。
いや、それだけじゃない。
既に、俺はそのとき彼女に好意を持っていたのだと思う。
彼女はしたたかに酔い、やたらとはしゃいでいた。
下戸な俺は、そこそこに彼女のフォローに入り、柄にもなく二次会を取り仕切った。
まぁ、ネットを通じてのオフ会に慣れているというのもある。
そう、慣れてはいた。
約1年ほどの間、ある時期を除いて1月に2〜3回はオフ会に出ると云うほどの、ヘビーローテーションだったのだ。俺は。
9 :
Hb:2001/06/11(月) 06:54
1次会で帰った数人を除いて、およそ10人程度グループが、そのまま深夜のオールナイトコースのカラオケに行った。
飲み放題のコースで、皆各々に呑み、唄い、騒ぎ、話をした。
その輪に加わったり、加わらなかったりして、俺は時間を潰した。
ずっと彼女を見ていた。
通路のベンチで、休んでいた。
部屋の中には人の熱気がこもり、冬場の暖房も相まって、とてもじゃ無いが長時間は居られないと思った。
何より、タバコの煙が苦手だ。
ひんやりとした壁にもたれかかり、一呼吸をついているところに、彼女が来た。
「どしたの? 居なくなって、みんな心配しているよ」
「いや、別に。…ちょっと休んでいるだけだよ」
何か後ろ暗い事でもある様に、俺は口ごもった。
足を投げ出して座っている俺に、覆い被さるようにして話しかけてくる。
「なんか元気無いの? 疲れちゃったの?」
子供っぽい問いかけに、嫌に気持ちがじくじくとした。
「まぁ、ちょっとね」
特に話したい事は無かった。無かった、と云えば嘘になるが、話したい心境では無かった。
じっと、目を見つめてきた。
哀しい色がそこに映し出されていた。
俺の、色だった。
10 :
Hb:2001/06/11(月) 07:05
「あたしね」
首を傾げるようにして、彼女は話していた。
「人との距離の取り方が分からないの」
殆どもたれかかるような姿勢だった。
「・・今もね。こうやって話しているけど、どうやって相手との距離をとったらいいのかが、分からないの」
聞きつつ、俺はあまり“それ”を理解しては居なかった。
ただ彼女の体から伝わってくる熱が、やけに痛かった。
「いつもそうなの。誰と居ても、相手と自分の境目が分からなくなっちゃうの。人からは、だからなんか凄くべたべたしている様に思われちゃう。でも、自分でもよくわからないの。どこまでしていいのかとか、そういうのが」
彼女は良く喋り、皆と親しくし、そして有り体に言えばいちゃいちゃしているかに見えていた。確かに、そうだ。それを、ずっと見ていた。ホステスの様だ、とも思った。男の参加者の方が人数は矢役、その側に行っては抱きついたり体を寄せたりしていた。
見ていて、嫌だったのだ。それを。
だから、部屋を出てきたのだ。
嫉妬していた。
彼女の好意が自分以外に向けられているのを。
そして多分。
彼女に慰めて欲しいと。そう願っていたのだ。
俺の中の、脆い部分が。
ずっと、俺の中を占めていた、脆くて卑しい部分が。
11 :
Hb:2001/06/11(月) 07:34
柔らかく、両手で俺の陰茎を包み込んでいた。
舌を伸ばし、裏側を舐めあげる。
鬼頭を口に含み、先程のほとばしりの残りを吸い上げた。猫が、ミルクを舐めるような音がする。
右手で、優しくしごきながら、また大きくなっているね、と云った。
射精後しばらくは、全体が敏感に成りすぎて痛みを感じる。それでも、数分すると俺の中の情欲が彼女に反応していた。
丁寧に、愛おしむ様に、陰茎を擦り、鬼頭の膨らみに舌を這わせ、それから竿をすっと撫でるようにして下へ向かい、袋ごと睾丸を口に含む。
それに反応して、俺は足を開いた。
その間に体を滑り込ませ、彼女は右手で陰茎を刺激しながら、肛門をちろちろと舌先で愛撫する。
心地よい快楽に、声をあげた。
含むように、「可愛い…」と、彼女は囁く。
そう云われる事が、俺は嫌いではなかった。
肛門の奥まで、舌先を尖らせて突き入れ、そのまま、動かしてくる。
全神経が彼女のもたらす快楽に注ぎ込まれ、陶酔していた。
それでいて、いつもの様に奇妙に醒めた意識で彼女の行動、行為、言葉を観察している。
「ねえ。お尻、気持ち良い?」
「…うん」
「もっとお尻舐めて欲しい…?」
「うん…。もっと舐めて。もっと…手も動かして」
言葉遊びだった。
彼女が責めていて、何かを聞いてくるときには、俺はまるで子供のように受け答えをした。
甘える様なその態度を、彼女は好んでいた。
逆に、俺が責めるときには、彼女がとたんに優位性を無くして従うような言葉遣いになる。
お互いに、倒錯したマゾヒズムを演出し、その関係性における役割をこなしていた。
俺は、彼女に甘えるという態度で接した。
彼女は、それを受けつつ、従うという形で接した。
「手を、どうして欲しいの…?」
「もっと、早く」
「もっと、何をどうして欲しいの…?」
「もっと…おちんちんを…早く…動かして…口に含んで…」
行為における俺と彼女の関係は、母親と息子か、或いは教師と生徒のように位置づけられていた。
彼女の舌が、再び鬼頭を舐めあげ、口中に含まれる。
激しく、上下を繰り返し、官能が下半身を痺れさせた。
俺は、声をあげる。声をあげて、そのまま彼女の口の中で果てた。
「ねぇ…あたしの事好き…?」
耳元でそう彼女が呟いた。
俺は、右手で彼女の頭を撫で、それに応えた。
12 :
Hb:2001/06/11(月) 07:45
携帯の呼び出し音が鳴る。
彼女が、慌ててそれに飛びついた。
子供のように間延びした、呑気な声で応じている。
「あ、うん、今から帰るとこ。んと、御飯は? うん。じゃあ、何か買っておいて。うん。帰ったら食べる」
じゃあね、と云って、彼女は携帯を切り、バッグに戻した。
「旦那からか?」
知っていて、俺はそう聞いた。
「うん」
そう云って、彼女は少し笑い、
「ねえ、妬いた? 妬いた?」
抱きついてきて、耳元に囁く。
俺は渋面を作って、顔を逸らす。
陳腐な問いかけに、陳腐なやりとりだった。
時間を見て、彼女は急いで服を正して帰っていった。
旦那の待っている、自分の家に。
俺はメンソールの臭いの残る猥雑な部屋で、一人ベッドに腰を下ろした。
世の中は、ありふれた物語に溢れている。
そして誰も、新しい物語なんか必要としていない。
残された吸い殻のフィルターを軽く千切って、暫く弄んでから、もう一度灰皿に戻した。
−了−
悪くないとは思うが、何の説明もなしに始められても、
単に書いた文章を発表してみたかっただけなのか、どこかからコピペしてきただけの嵐なのか、さっぱりわからぬ。
もし文章を発表したかったのなら、虎の穴へ。嵐なら地獄へと行きなさい。
推測するに、大方昨晩の若松スレで熱を浴びて、
いきなり一晩中かかってこさえたものだろう。
見ろよ、朝6時からこんなもんアプしてきて、、、、なんか哀愁が漂うよ。