一
とある夕方の事である。
一人の男が歩いていると突然、
2 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/25(水) 23:09
雨が降り出した。男は急いで店の軒下に駆け込んだ。
男がふと横を向くと、
3 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/25(水) 23:16
火のついていないタバコをくわえた女子高生が立っていた。
正面をみすえたまま涙をこぼしていた。
二人の前をタクシーが、
3人のテロリストを乗せて走り去った。
一人は87歳、もう一人は
5 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/25(水) 23:53
血だらけで、もう一人に抱きかかえられていた。
なぜ、一人が87歳と分かったか?
男は、今朝見たニュースでその87歳のテロリストが
爆弾で100以上を殺傷し、今も逃走中であることを知っていた
からである。男はすぐさま女子高生に「携帯持ってるか?」と
たずねると、女子高生は
6 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/25(水) 23:59
制服を脱ぎ出した。
彼女の制服の裏地には、
7 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/26(木) 00:39
双頭の龍の紋が縫いこまれていた。
男は来るべき時が来たのを知った。
男は無言で頷き、彼女が内ポケットから取り出した携帯電話を受け取ると、
不吉な番号をプッシュした。
「もうあともどりはできないな・・・」
男はつぶやき、
9 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/26(木) 18:34
空を見上げた。
2人の頭上にはもうすでにヘリコプターがけたたましく旋回し、
男は降ろされた縄梯子に手をやると、女子高生を脇に抱えたまま、
見上げて手を振った。まもなくヘリは上昇し、雨をかき分けて
タクシーの走り去った方へ、飛び去った。
二
「名前は?」と男は女子高生に聞いた。すると女子高生は
10 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/26(木) 18:39
「アルゼンチン子」と言った。
11 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/26(木) 21:01
「……仮名にしても趣味が悪いな。
俺はそんなにもお前に嫌われてるのか?」
苦笑して眼を伏せ、男はコートのポケットから煙草の箱を取り出した。
ヘリが降りたのは、
12 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/26(木) 21:35
女子高生が一言「蘭」とつぶやいてから、10分後だった。
それが本名かどうかは問題ではなかった。
ヘリポートは、
巨大な墓標となっていた。
炎上する惨劇の中、ただ一機生きていたヘリに乗り込み
14 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/26(木) 22:57
「これだから、乗換えはやだなぁ〜。地下鉄で一本が一番早いって言ったのに」
15 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/26(木) 23:38
男はそれを聞き流しつつ、小さくなっていく
ヘリポートを眺めていた。
二人を乗せたヘリが降りたのは、この大都会、メトロシティの端の
港にある高層ビルのヘリポートであった。すでに夜のとばりは下り、
そのヘリポートからは大都会の夜景が一望できた。
「お待ちしておりました」二人がヘリを降りるとそこには一人の
男が立っていた。「さあ、どうぞ」。案内されたのはそのビルの最上
階にある会議室であった。しばらくの静寂の後、それを打ち破るかの
ように男はきりだした。「私たちはこれから
16 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/27(金) 01:54
あの男を殺しに行く」
その言葉に少女は弾かれたように顔を上げ、驚愕の眼差しで男を見た。猫のように尖った瞳。
「本気で言ってるの?」
「もちろん、冗談さ」
男の頬の筋肉が隆起し、優しい目線を少女に送る。
「でも、なぜその手に
18 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/27(金) 15:28
クサ
19 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/27(金) 16:30
リガマなんて?」
問われて男は、自嘲めいた笑みを浮かべて、
20 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/27(金) 23:04
「ふっ、ダンディーな男にはクサリガマだろう?」
と呟いた。
21 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/27(金) 23:30
「クサリガマなんてどうするの?」
「ジャッキーチェンを知らないのか?」
男はにやりと笑い
そのまま逝ってしまった。
少女は唖然とし、テーブルに
23 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/28(土) 00:05
常備してあるウォッカに手を伸ばし、一息であおった。
頬をふくらませたまま、倒れた男に顔をちかづけ、
唇をあわせた。
男が蘇ったときには、蘭の姿は部屋から、
24 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/28(土) 00:10
花のようにこぼれ、乱れ舞散るだろう。
25 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/28(土) 01:34
窓が開いていた。
男はあわてて、
26 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/28(土) 01:51
夜空にほえた。
「…
27 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/28(土) 01:57
「…なんでチクワに穴開いてんだー!」
男はすっきりした。
28 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/28(土) 02:04
「チーズを入れるためにきまってんだろー!」
彼方より咆哮。
少女はちくわに関しては五月蝿かった。
「それは万理
29 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/28(土) 03:24
……い、いえ。なんでもない」
一国が傾くほどの機密情報を漏らすわけにはいかない。
30 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/28(土) 04:25
「そこまでだ」
男が振りかえるとドアが静かに開き、ラッキーストライクを
くわえた蟹江敬三が現れた。
31 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/28(土) 04:28
ビルの間を春の風が吹いていく。
男は、下を行き交う深夜の車を見下ろしながら、我が運命を思った。
「俺はこの先どうなるかわからない」
静かに夜はふけていく。
三
32 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/28(土) 04:40
翌朝、アルゼンチン子はベッドから急いで起き上がると、忙しく
かばんに荷物を詰め込み始めた。
「どうしたんだ、急に」
「あたし、旅に出る」
「え、どういうこと?」
しかし、少女は返事をせず、ビルを飛び出した。少女は地下鉄の階段を
駆け下り、始発に飛び乗った。
地下鉄は少し走ると、この大都会の中央駅に滑り込んだ。朝の構内は
人がまばらで、清掃員や開店準備をする人だけで静かな様子である。
すこし日が登り始め、一筋の光線が構内に差し込む。少女はまず
33 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/28(土) 04:42
「そんなに心配する事ないだろう?」
蟹江は、にやりと笑いながらつぶやき、部屋を出ていった。
(何しに来たんだよ。まったくもう・・・)
そう思いながら、俺はパソコンの電源を入れた。
接続。
思い当たる事のないアドレスのメールが1通来ていた。
「嫌な予感がする・・・」
そう思いつつメールを開けた。
34 :
33:2001/04/28(土) 04:48
「書きこみのタイムラグには注意してね・・・ってなんだこりゃ」
と思いつつ、俺は電源を落し、散歩がてら駅構内をぶらついた。
すると、かわいらしい少女が一筋の光線に照らされながら
あくびをしていた。
35 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/28(土) 05:01
「書き込む前にリロードするべきだな」
と思いつつ、男は少女のそばへ歩み寄った。
「君はどこへいくんだい?...いや、怪しいもんじゃないよ。
俺も今日はちょっと郊外の方へね」
「わたし、旅がしたいの。自分発見の旅。私って、いきなり物語に
登場させられて、「アルゼンチン子」って命名されて。
私って誰なんだろうって。17歳が何とかって言うけど、きっとこんな
時代、みんなが自分を探してると思うの。」
「そうか、実は俺も
36 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/28(土) 07:11
蟹江にもう一度会いたいんだ。
会って…
37 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/28(土) 09:32
「呼んだか?」
男が振り返るが早いか、再びドアを開いてこちらの様子
を窺っているのは「わかば」をくわえた蟹江敬三その人であ
った。
38 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/28(土) 09:40
言うまでもないことだがーー「ドア」は駅の待合室のドアの
ことだ。
39 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/29(日) 04:15
蟹江はシャンプーのCMで白く傷一つ無い美しい尻を披露している。
私はそれが未だに誰にも犯されていない神聖なものである、と確信している。
40 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/29(日) 16:23
私って誰のことですか。
「え?ふっ、私?私のことは語るに値しないからね」
含み笑いもいやしく見えないのは、なるほど、彼が
ハリウッドスターであるのも至極当然に思える。
「彼は、現代においては珍しい−−
貞操観念をしっかりともっているようだ」
41 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/29(日) 17:34
私は蟹江にマティーニを勧めた。すると、彼は酒が飲めないんだ、と言った。
誰があのダンディーなマスクの男が下戸であると思うか。
仕方なく私だけマティーニを煽りながら、
「今日の仕事どうだった?」と訊いた。
42 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/29(日) 20:28
「もうだめだっつうの。ココアの粉が脳にまでもたっしている。氷無しボタンももう効かない。それでも訊きたいのなら俺んちに来い」
蟹江は低い姿勢で駆け出した。私は何が彼をそこまで追い詰めたのか知りたいと思った。いや、別にどうしてもってほどでもなかったのだが、酔った勢いでなんとなくついていってしまった。
43 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/29(日) 20:34
「どうして今日はそんな事訊くんだよ、俺の仕事に関しては、いつも不羈だったじゃないか。」
確かにその通りだ。私は、蟹江の身体さえあれば何でもいいと思っていた。
私は、微醺を感じながら蟹江に凭れた。
そして、蟹江の耳元で微かにこう囁いた。
44 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/29(日) 20:39
「ダメじゃない蟹江。洗濯する前にポケット調べなきゃ、ティッシュが入ってたわヨ。」
なんとなくサザエが浮かんだ。
45 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/30(月) 01:07
私と蟹江がこうして恋人同士のように他愛も無い会話を交わすことに
熱中して気付かなったが、アルゼンチン子が居なくなっていた。
先程まで彼女が座っていた椅子の下には彼女のトルコ石の指輪が落ちていた。
46 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/30(月) 02:54
「アルゼンチン子・・おまえの名前を人前で呼ぶのは少し
ためらわれるな」
彼女のトルコ石の指輪を拾い上げながら、わたしはそんなこと
を考えていた。
47 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/30(月) 03:23
私と蟹江は待合室を飛び出ると、二手に分かれアルゼンチン子を
探した。私は人の波を掻き分け探し続けた。キヲスクで
アルゼンチン子らしき後姿が何かを買おうとしている。私は声を掛けた。
振り向いたその顔は、
48 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/30(月) 03:53
私に突き刺すような視線を向けてきた。
酔っ払いの私に対する、軽蔑の眼差し…。
アルゼンチン子ではなかった。
再び人波に揉まれながら、私は激しい後悔の念に捕われていた。
極度のアルコール依存症の私にとって、酒は命に等しい存在だ。
彼女はそれを理解してくれていた。
昨日の彼女の唇の感触とウォッカの味は、泥酔していた為にデタラメだった
記憶の中でも鮮明に残っている。
「なんて間違いを犯していたんだ、俺は…」
蟹江が、あの下戸の男が、
彼女以上に私を理解してくれるはずはないのだ。
49 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/30(月) 04:12
私は蟹江の携帯に電話を掛けた。
「おい、蟹江、アルゼンチン子、見つかったか」
「いや見つかってない、けどな、掃除のオバチャンが黒服の男二人が
体操服ブルマ姿の女子高生を無理矢理連れていこうとしているのを見た
と言ってた」
「今、お前何処だ」
「西口の改札前だ」
俺は走る。この中央駅の中にもはやアルゼンチン子は居ないだろう。
遅かった。蟹江にかまけている場合ではなかった。
50 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/30(月) 04:35
「あなた、アルゼンチン子を探してるの?」
声をかけてきたのはヤンキー風の少女二人組だった。
そうだ、アルゼンチン子を知ってるのか?と応えると、二人
は意味ありげに顔を見合わせて笑った。
「だってあの子さあ、さっき駅前の公園で、、、
51 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/30(月) 04:49
黒服の男とイカ焼き食べてたよ」
少女が話し終えるや否や、私は公園に向かって走った。
蟹江はどうでも良かった。よりによってイカ焼きを食うなんて…
52 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/30(月) 05:13
すでに駅前の公園では壮絶な銃撃戦がはじまり、今まさに
正規軍の装甲車両が一斉になだれ込もうとしているところで
あった。
その光景を前にして男が呆然と立ちすくんでいると、正規軍の
強力なサーチライトが一瞬、イカ焼を手にしたままAK−47
を構えるアルゼンチン子の姿をはっきりと照らし出した。
「ア、アルゼンチン子!!」
53 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/30(月) 05:37
私は予め携行していた旧ソ連のロケットランチャー、RPG-7を
正規軍装甲車にぶちかました。凄まじい爆音と共に積まれていたイカ焼きが
公園中に飛び散った。アルゼンチン子の姿が見えない。
「アルゼンチン子ーっ」と叫んでいる所に蟹江と彼と土曜ワイド劇場で
コンビを組んでいる松下由樹が応援に駆けつけてきた。
54 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/30(月) 06:17
松下由樹の大きな胸がゆさゆさと弾んでいる。
「どこ見てんのよ!」
「あ、いや・・・」
「ったく、あいかわらずねぇ。ところでこの大量のイカ焼きは何?
こんなの見たらイカが怒(いか)るわよ!」
55 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/30(月) 06:27
まさか彼女がこんな駄洒落を言うなんて…
私は呆気に取られていたが、気を取り直して彼女に尋ねた。
「アルゼンチン子の事、何か分かった?」
松下由樹は急に真剣な顔になって、
「チン子ちゃんが狙われる理由はね、実は彼女が厚生大臣、大泉純逸郎の
娘だからなのよ」
56 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/30(月) 06:30
実際の戦闘を目の当たりにして興奮したのか、松下由樹が
「あたし地雷を抱いて装甲車に飛び込むわ」
と涙ながらに訴えるので、蟹江と男は「たったひとつの命を
粗末にしてはいけない」と叫び、今にも装甲車の方へ駆け出そ
うとしている彼女を必死に引き止めた。
57 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/30(月) 06:35
しかし今や彼女は冷静だ。
松下の話にもう少し耳をかたむけてみよう。
「で、チン子はね、、、
58 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/30(月) 06:38
チン子はだから、小泉アルゼンチン子というわけなのよ」
なるほど。それで謎が解けた。
59 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/30(月) 06:41
「ちがう小泉じゃない、大泉」
蟹江がそっと松下に耳打ちした。
60 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/30(月) 06:51
蟹江は重ねてこう言った。
「俺が決死隊となってあの三台の装甲車を引き付ける。
その間にお前たちはチン子ちゃんをさがしてくれ」
「そんな、蟹江さん、止めてください」
松下が止めるのも聞かず、蟹江は飛び出して行った。
61 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/30(月) 06:58
「しかたない。ぼくらでチン子をさがすんだ。さあ、松下さん
頼んだよ」
松下由樹は小さくうなずくと、声を限りに叫んだ。
「チン子ーー!!チン子ーー!!」
62 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/30(月) 07:06
彼女ではなく、私がチン子を見つけた。チン子は公園の植え込みの
枝に突き刺さっていた。心臓は外れているので大丈夫だろう。私は松下を呼んだ。
松下はバストを思う存分揺らしながらこちらに走ってきた。私は必死にその光景を
脳裏に焼き付けた。
63 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/30(月) 07:22
私は松下由樹に応急手当を手伝うよう命じた。
「僕が人口呼吸をやるから君は止血を。早く!」
チン子に三角巾を当てる松下由樹の胸が激しく腕や肩に
触れてしまうのにも構うことなく、私はチン子の口に何度も
息を送り込んだ。
64 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/30(月) 07:28
その時、彼方より蟹江の叫び声が聞こえた。
「やあやあ、我こそは武蔵国の住人、蟹江中堅俳優敬三である。いざ、
勝負」と言うと蟹江は装甲車に打ちかかっていった。
65 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/30(月) 07:39
わたしは思った。
蟹江は死ぬだろう、と。
わたしがこうして巨乳に触れながら少女にマウストゥマウスを
施している間に蟹江は装甲車の下敷きになって一人惨めに死ん
でいくのだ。
わたしは人知れず心の中で蟹江に詫びていた。
66 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/30(月) 07:47
爆音がした。蟹江、爆死。爆死ってなんかかっこいい響きだな、と私は思った。
私が快楽を味わっている一方、蟹江は落命した。何と言う、人の世の儚さよ。
まあ、蟹江のことだからこんなことで死にはしないだろう。
67 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/30(月) 07:53
蟹江の身を案じつつも、ここらで一旦休みませんか?と私は
立ち上がり燃え盛る駅前を眺めた。
68 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/30(月) 07:56
私の意識の一部が遠のいていく気がした。戦線離脱。直に復帰するだろう。
69 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/30(月) 08:03
駅の方から一人の学生が走ってきた。授業に遅れそうなのだと
いう。彼は修羅場と化した駅前を顧みることもなく素早く路地
を駆け抜けて行ったのであった。
70 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/30(月) 11:22
そのおかげでアルゼンチン子が息を戻した。
そして、こう言った。
「疲れたろ?チャットしないか?今は携帯でもチャットが出来るんだぞ!」
そして、
71 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/30(月) 11:48
三台の装甲車はこちらに迫ってきた。私は手元にもう武器がないので、これまでか、
と諦めた。しかし、装甲車は突如として噴煙を上げた。ミサイルが装甲車を襲っている。
そのミサイルを撃っているのはこれまた松下由樹との共演が多い長塚京三だった。
72 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/30(月) 11:56
長塚はスティンガーを肩に乗せたままこう言った。
「上で学生が授業に出るとか言ってるけど、今日、振替休日だよな」
73 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/30(月) 12:22
そうだったわ!
と、松下が一驚を喫していると背中に熱いものが込み上げてきた。
振りむいてみると
74 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/30(月) 12:26
アルゼンチン子が自分の服に火を放っていた。
炎を纏ったチン子はまるでキャンプファイヤーの様で
松下は‘マイムマイム’を踊りたくなっていた。
75 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/30(月) 16:31
「踊れねえだろ?こんなていたらくじゃ、踊れねえよな?」
長塚は、火だるまのチン子を見つめながら言った。
「仕方ねえ、一肌脱ぐか。」そう言って長塚は、自ら火だるまと化した。
「さあ、踊れ!松下。踊れ!」
76 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/30(月) 19:30
長塚は叫んだ。
「蟹江、出て来い。お前が死んでねーのは分かってんだ。松下と
チームを組むのはどっちがふさわしいか、俺と勝負して決めろ」
77 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/30(月) 20:25
後ろでは松下が、頬を紅潮させながら、ゆっくり、ゆっくり
二倍で拍をとり、踊り出していた。
78 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/30(月) 20:35
蟹江はCMの時の様に素っ裸で猛然と彼方から突進してきた。
「俺の自慢のケツにさっきの爆発で傷が付いちまった。この恨み、
晴らさでおくべきか」
蟹江はクラウチングスタイルで長塚の中に入り、左アッパーを放った。
79 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/30(月) 23:33
長塚は顎を上げ、後ろへ仰け反ったが、すぐに態勢を立て直して、左へステップし、
蟹江のボディーを抉った。
こうして打ち合っていると、蟹江はあの頃を思い出す…
蟹江は孤児院育ちで手も付けられない悪ガキだった。十五の時、盗みの廉で
特等少年院に入れられた。そこで出会った虫の好かない元エリートボクサーが
長塚だった。
80 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/04/30(月) 23:50
その元ボクサーの強みを生かして長塚は特等少年院の
ボスへと、のし上がった。
蟹江は、当時長塚に足として使われたことを
ぼんやりと思い出していた。
「課長・・・、2人で飲みに行きませんか?」
いきなり、OL風のかわいらしい女の子が長塚に話しかける。
(こんな時でも、あいつばっかりいい思いするんだもんなぁ〜)
蟹江は、その目を怒りに燃えさせ、言った。
81 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/01(火) 00:09
「俺のケツはこいつよりも数倍綺麗だぜ、良かったら貸してやるよ」
OLらしい女の子は言い放った。
「あんたの顔はねー、訳わかんないの、何とも言いようが無いの、いくら
CMでケツ見せたってそんなの殆どの人が知らないよ」
蟹江は体が火照ってくるのを知った。長塚への復讐。
蟹江は丹下段ペイジムの門を叩いた。
82 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/01(火) 00:24
「おれに最高のボクシングを仕込んでください!」
「あ〜、すまんが今忙しいんでのう。またにしてくれ」
だみ声で、丹下段ペイが言った。
「それはそうと・・・」蟹江が聞く。
「ここのジムはけっこう広いですね。何畳くらいあるんですか?」
丹下が叫ぶ。
「ジョーー! ジョーー!!」
「い、いや、だから何畳なんですか?」
「ジョーー! そこだぁー!!」
「・・・わけわからんわ。このオヤジは・・・」
蟹江は途方にくれ、OLに対し不器用に接しながら蟹江の到着を
待つ長塚の元に急いだ。
83 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/01(火) 00:35
なぜか、長塚は文壇バー、ルパンで飲んでいた。
「すいません、遅れちゃって」
蟹江はハンケチで汗を拭った。
「まあ、座れや」
長塚は横柄に椅子を勧め、蟹江のグラスにチリワインを入れながら、OLを
紹介してくれた。
「こちらは俺のジムの会長のご令嬢、畑中葉子さんだ」
84 :
俺は20代だ(w:2001/05/01(火) 01:02
(畑中葉子?・・・古風な名前だな・・・)
蟹江は思ったが、口にはしなかった。
「長塚さん、今日はもう遅いから帰るわ」
そう言って畑中葉子は、帰っていった。
「綺麗なお嬢さんですね」蟹江がうらやましそうにつぶやくと
「いや、実はな、すっごいんだよ。後ろから前からって
うるさいくらいだぜ」
う、うらやましい・・・、蟹江は思った。
85 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/01(火) 01:07
蟹江が志願したのは陸軍第七歩兵中隊であった。
蟹江はそこで、生まれて初めて38式歩兵銃を見た。
86 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/01(火) 01:12
当時はお国の為と、日本国中の住民が旗を振っては出征していく若者を見送るのだった。
(NHK朝の連ドラのナレーター風ね)
87 :
俺は二十丁度です:2001/05/01(火) 01:13
「彼女は一発やの歌手で、その後仕事が無くてロマンポルノに出たくらいだから
とにかく凄いんだよ」
長塚はキューバ産の葉巻、モンテクリストNO.2を吹かしながらそう言った。
蟹江は日本にも階級社会があるのだ、と思い知らされた。俺も、俺も、いつかは
チャンプになって、
88 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/01(火) 03:28
ポケモンカードを全種類集めるぞ! と心に誓う蟹江だった。
カウンターでは、ちょうど二十歳くらいの学生風の2人が
かなり昔のアイドル歌手の話をしていた。
最近の二十歳はいろんな事を知っているらしい・・・
そう思いながら蟹江と長塚はピート香のきつい
アイラモルトを飲みつつ静寂の時間を過ごした。
アルコールが少しまわって来て、体中が心地よく弛緩するのを感じた。
復讐に燃えた自分がバカらしく感じられてきた、
その時であった! バーの扉が勢いよく開いて、
89 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/01(火) 03:40
蟹江の上司である酒好き木暮裕次郎課長と大門団長が入ってきた。
90 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/01(火) 13:30
「マスター、いつもの」
マスターは裕次郎のグラスにもちろんブランデーを注いだ。
「お客さんは何にします」
マスターが訊くと、団長は、
「自分は松竹梅で、お願いします」と答えた。うちは松竹梅置いてないんですけど、
とマスターが申し訳なさそうに言っても、団長は、
「自分は松竹梅で」の一点張りだった。
91 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/01(火) 13:39
上司の二人に挨拶するべき、新米刑事の蟹江は無理して飲んだ酒に酔い、
カウンターに突っ伏していたが、むっくと起き上がるや叫んだ。
「うるせーよ、松竹梅、松竹梅って、黙れよ、あっ……」
92 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/01(火) 22:27
カウンターの片隅に座っていた男が立ち上がった。
「マスター、おあいそ」
男が財布を取り出すために胸もとに手を入れた時だ。
「危ない!みんな、伏せるんだ!」
大門団長がとっさにカウンターの下へ滑り込んだ。
蟹江と木暮はそんな団長を憐れむように見ていたが、やがて
いたたまれなくなり静かに声をかけた。
「お気持ちは分かりますが・・もうやめましょう団長」
93 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/02(水) 01:33
「すまん・・・つい西部警察にいたころのことを思い出してな」
むっくりと起き上がった大門の顔は赤らんでいた。
それが恥ずかしさのためか、それとも酒に酔ったためかは
木暮も蟹江も分からなかった。
3人はカウンターに座り、また飲み直すことにした。
木暮(裕次郎)はブランデー、蟹江はシングルモルト、大門は・・・
「はい、買って来ました」マスターが松竹梅を差し出す。
「おお、すまんな」大門は嬉しそうにうなずきそれを一気にあおった。
3人の男が共有する甘美な時間。
「しりとりでもする?」いきなりかわいらしく大門が言った。
94 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/02(水) 02:44
「あんたたちねー、俺の事、忘れてるだろ、もういいよ、どうせさ、お前らはさ、
平気で犯人を撃ち殺すんで本庁から左遷された馬鹿刑事なんだよ、それに比べて俺はさ、
元医者で一流企業の課長で教頭先生もしてんだよ、お前らは社会の屑なんだよ」
長塚はそう吐き捨てると、椅子から立ち上がり、バーを出ようとした。
その刹那、
95 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/02(水) 03:22
その提案に蟹江と木暮は悲痛な面持ちでうつむいてしまった。
団長、我々はしりとりなどやりたくありません、蟹江はグ
ラスをもつ手を震わせ、訴えかけるような眼差しで大門団長を
見た。
木暮は下を向いたままじっと黙している。
「なんだ、誰も最初の言葉を言わないのか。よしそれなら
ワシから行くぞ。クリトリス。『ス』だ。さあ続けろ」
そう言うと大門はグラスの中の松竹梅を一息に飲み干し、
次はおまえだといわんばかりに蟹江を睨んだ。
96 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/02(水) 03:24
もとい、長塚を睨んだ。
97 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/02(水) 03:27
「ちょっと待てよ!」蟹江が気色ばんで長塚の腕をつかむ。
「俺のことをどう言おうとかまわないが、ボスと団長の
ことを悪く言うのは許せねぇ。やっぱりあんたとは
ケリを付けなきゃならんようだな」
「キャンサー(←蟹江のニックネーム)、よせ!」裕次郎が叫ぶ。
「ガルウイングのスカイライン! あっ、ンがついちゃった」
状況を飲みこめない大門が1人で笑う。
蟹江と長塚は一瞬凍りついた後、もみ合いながら外へ出た。
「この野郎!…
98 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/02(水) 03:28
それを受けて、蟹江はアルコールで痺れた脳髄から「ス」で始まる単語を検索しはじめた。
「ス……ス……」
寝ぼけ眼で暫く呟いた後、なにを閃いたのか、蟹江は唐突に叫んだ。
「ス
99 :
98:2001/05/02(水) 03:30
スマソ、遅れた。98は無視してやってください。
100 :
97:2001/05/02(水) 03:38
「ス…少しの時間にいろんな物事が進むんだ!
し…仕方ないんだ!」
そこにいたみんなが「何言ってるんだ、蟹江は」と思ったが
まぁ酔ってるからしかたないだろうと感じた。
「俺の方こそスマソ!」また蟹江が叫んでる。
そんな混乱の時は過ぎ、まったりとした時間が流れ出す。
101 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/02(水) 03:48
「落ち着け、みんな」
長塚が席に戻り一同をさとした。
102 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/02(水) 03:56
蟹江が目を開けると、薄闇に綺麗な満月が輝いていた。何だ、あれは夢だったのか、
ところでここは何処だ、と思い横を向くと、長塚が体育座りで遠くの方を見ていた。
「長塚、俺、やっぱりお前に勝てなかったんだ……」
長塚は微笑みを浮かべて、
「まあ、どうだっていいじゃないか、そんなことは、それより起てよ」
と言い、手を差し伸べてきた。蟹江はその手を力強く握り締めた。長いファイトだった。
12ラウンドフルに打ち合った末の称えあいだ。勝者は何処にも存在しない。
103 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/02(水) 04:08
一方、私はスタミナ切れでクリンチばかりしている老ボクサーの試合を
見ても仕方が無いので、両手に花、松下とチン子を連れて署に帰ることにしていた。
道中、私はチン子に謝った。
「すまんな、あの雨降りの夜、お前に携帯貸してくれって、近寄ったのも上司の
大門団長にお前の警護を頼まれての事だったんだ。けど、お前が大泉大臣の娘だとは
知らされて無かったけどな……」
チン子は笑って、
「うすうす気付いてたよ、そんなの気付かない分けないじゃん」
と得意満面そうに言った。
104 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/02(水) 04:13
しかし、私には気になることがある。何故、私たちの行く先々にテロリストや
正規軍といった敵が現れるのか。私の中にまさか、という思いが過ぎった。
そんなわけが無い、結束力の強い新生大門軍団に内通者が出るなんて……
私をこの不夜城、新さいたま市の闇が包み込む。
一方その頃、ホワイトハウスでは
106 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/02(水) 06:10
大統領とその愛人が淫らに絡み合っていた。
107 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/02(水) 06:49
モニカ溜飲スッキリは大統領の寝首を掻くため、実習生となってホワイトハウスに
忍び込んでいた。
「モニカ、オーラルセックス、してくれ」
大統領のその一言を聞いた時、チャンスが来た、とモニカは思った。
108 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/02(水) 07:06
「あら、でもまだ大統領のお好みのオーラルセックス・スタイ
ルを存じ上げておりませんわ」
「ん?スタイル?」
首をかしげて問い返す大統領に、モニカは笑みをつくりながら
答えた。
「ええ、スタンダード、ヨーロピアン、そしてモンゴリアンと
ございますわ。どれがお好きかしら、大統領閣下?」
109 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/02(水) 07:14
「キラーカーンみたいな、モンゴルスタイルでお願いします」
大統領は恥ずかしそうに答えた。
110 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/02(水) 07:26
「やはりモンゴリアンを選びましたか。わかりました」
モニカは鞄から何やら丸いものを取り出した。
「モニカ、それは何だい?」
「特大マンゴーですわ、大統領閣下」
111 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/02(水) 07:34
モニカはマンゴにしゃぶりつくと、とうもろこしの食べ方をした。
芯が残っていた。
112 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/02(水) 07:48
そしてモニカはおもむろに大統領のズボンを下ろし、その場に
ひざまづいた。
「いよいよだね?モニカ」
「ええ、いよいよですわ、閣下」
モニカの口元がいきり立つ大統領の一物を捕らえた。
「こ、これはァァッ!?」
それはまさにモンゴリアンチョップであった。
113 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/02(水) 07:55
モニカは大統領をロープに振ると、元相撲取りレスラーがやる様に仕切り
から立ち上がり、戻ってきた大統領にアックスボンバーをかました。
大統領は舌を出して、ベッド下に転げ落ちた。
114 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/02(水) 08:07
大統領がダウンしたのを見届けたモニカは懐からアサシンダガー
を取り出した。
「さて、寝首を掻かせてもらうわ」
大統領は起き上がらない。
115 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/02(水) 08:16
その時、寝室の窓ガラスが割れ、SWATが入ってきた。
コロンビアの麻薬王に飼われ、女アサシンとして育てられたモニカでも
ダガー一つでSWATにかなう訳が無い。
が、
116 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/02(水) 08:30
モニカは大統領の机の中にあった拳銃でSWATの攻撃に
応戦した。
しかしすぐに弾を撃ち尽くしてしまった。
「ちっ、こうなったら奥の手を出すしかないわね」
鞄から何やら取り出し組み立てるモニカ。
「できたわ!さあ反撃開始よ!」
117 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/02(水) 08:39
007でお馴染み、黄金銃を辺りに乱射した。そして、何とか先程SWATが
破ってきた窓から外に出た。ヘリが既に停めてあった。
118 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/02(水) 08:49
迷うことなくヘリをジャックする。
「北へ行くのよ。さあ早く!」
ヘリが高度100mまで飛び上がった時だ。下の方で轟音が
響き、ホワイトハウスが粉々に吹っ飛んだ。
「作戦成功ね」
119 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/02(水) 09:05
操縦桿を握っているバルデラマにそう言うと、バルデラマはこちらを向き、
「麻薬王、虚映チュ様も喜ばれるでしょう」と言った。
虚映チュ……あの男の面を思い出すだけで、モニカは吐き気がしてくる。
このまま、このヘリでアジトに帰らず、何処かへ行きたい、モニカはヘリの
窓から見える右往左往する人間や炎上するハウスを見ながら、そう思った。
120 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/02(水) 09:19
そうだ、日本へ行こう。この最新鋭原子力ヘリ「ダルマー」の
航続距離ならおそらく日本まで飛べる。
「パルデラマ、北回りコースで日本までいける?」
「もちろんです、モニカ姉貴」
そして、ヘリは一路日本を目指した。
121 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/02(水) 09:39
……
私はその日、珍しく寝坊してしまい、大慌てでさいたま署に向かった。
さいたま署刑事部一課の部屋に入ると、大門軍団全員着席していた。
団長、キャンサー、バウンド松下、トミーとマツ、壱億徳重、みんないた。
あっ、モンキー青島だけはヘルニアで入院していたっけ。
122 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/02(水) 13:58
だが彼らの情報網をもってしても、
逃亡したテロリスト達の行方はまだ掴めていないのだった。
「奴ら、一体何処へ雲隠れしやがった…」
テロ事件からもう、丸3日が経過していた。
同時刻、新さいたま市郊外ではタクシー運転手が焼死体で発見された。
その現場のあまりに陰惨な光景に、そこにいた誰もが顔をしかめていた。
ダイナマイトを肛門に突っ込まれ、駆けずり回って死を迎えた哀れな被害者の姿。
彼が死の間際に聞いたのは、彼が乗せた客達の狂喜の歓声だ。
「さあ、踊れ!松下。踊れ!」
123 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/02(水) 14:42
蟹江は現場に急行して、第一発見者からその被害者の最後の言葉を聞くと、
全身が震えだした。お前なのか、お前なのか、頭の中の長塚に訊く。
バーで酒を飲んでいる長塚、公園で殴り合った後、手を出してきた長塚、
少年院での無愛想な長塚。蟹江は長塚の勤めている学校に電話を掛けた。
「あのー、今日、長塚先生は居られますでしょうか」
「今日、長塚先生は病気で休んでらっしゃいます」
124 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/03(木) 02:05
「やはりお前なのか・・・長塚・・・」
全てが、そのことを暗示していた。
厚生大臣、大泉純逸郎の孫アルゼンチン子が
何者かに命を狙われた時彼が常にそばにいたこと。
昨日の殺しのガイシャがつぶやいた最後の言葉。
そして先日のホワイトハウス爆破事件の容疑者が日本に渡ったという
情報とそれと時を同じくして彼が消えたということ。
これらの事に思いをはせていた蟹江は愕然とした。
昨日のガイシャの最後の言葉…「さあ、踊れ!松下。踊れ!」…
ということは、その殺しの現場にはバウンド松下由樹がいたのだ!
ここで始めて、蟹江はアルゼンチン子が言った言葉を思い出した。
「私の動きが相手に読まれてるみたい…」
内通者は松下だったのか!
(ここは一人で動かなくては・・・)と思っていた蟹江に後輩の刑事
トミーが話しかけてきた。
「あの〜、話がシリアス過ぎてついていけません…。ね、先輩!」
「だって俺達、『噂の』刑事だからなぁ」マツがだみ声で言う。
蟹江は思わず言った。
「…
125 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/03(木) 02:20
「俺、シャンプーのCMに出てるんだけど、それな、家で流されてんの見たの。
そしたらさ、自分でさ、あー髪の毛最近うすくなっちゃたんだ、俺と思ったのよ、
どうしたらいい、マツ」
マツは赤のジャケットを翻し、
「リーーーーーーブにじゅういいいちーーーーーーーーー」
とシャウトした。
126 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/07(月) 05:04
「病気なんかしったこっちゃない!今すぐ出せや!」
127 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/07(月) 05:59
「だからー、いないったらいないの」
電話が切られた。
128 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/07(月) 19:22
蟹江が憂鬱なまま署に戻ると、木暮課長が珍しく一課の部屋に来ていた。
いつも木暮課長は自分の部屋に篭って、内側から鍵を掛けている。大門団長でさえ
中に入ったことはないらしい。蟹江は課長の部屋から、鎖がジャラジャラいう音や、
皮膚が破けるような音を聞いた事がある。何をしているのだろう、課長は……
129 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/07(月) 22:41
「ダッフンダ!!」顔マネつきでそう言った。
一瞬にして、その場の空気が凍りつく。
「課長壊れた。」
誰しもが、そう思った。
しかし、どうしたらいいのか誰も分からないまま、全員が
棒っきれのように立ちつくしていると突然、電話が鳴った。
(助かった・・・。)皆に安堵の雰囲気が流れる。
「課長、水谷豊という方からお電話です。」
「はい、木暮ですが・・・。」
「あ、ラッキーラッキーラッキー!」
「なんだチミは?」
130 :
水谷豊はちょっと知らん:2001/05/07(月) 23:57
「僕の先生はー」
「フィーバー!」
木暮はつい乗せられてしまった。大門が横で首を傾げている。
131 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/08(火) 19:33
「フィーバー!フィーバー!」 「ハッピー!ハッピー!」
生きる事は何故、こんなにも辛いのか・・・。
132 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/09(水) 06:02
うなだれた一同は雀荘で徹マーを打つことにした。
東一局。
「あっ、コレ天和だよ」
「まじっすか大門さん」
驚いた一同がよく見ると、一面子だけ微妙に違っていた。
大門は一索と一筒を勘違いしていたのだ。
「残念ですが・・大門団長、チョンボですよそれ」
一見、同情しているような調子で指摘する長塚。
しかしその口元には確かに大門をあざける様な笑みが浮かべ
られていた。
>>132 これまでの流れをよく見たら「長塚」はおかしいな。ごめん、
長塚→蟹江
にしといてください。
134 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/09(水) 12:40
ガラガラと音がして、雀荘の扉が開き、水谷豊が入ってきた。
「待った?ごめんね。その変わりといっちゃなんだけどさ、兄貴連れてきたよ、兄貴ー」
135 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/12(土) 03:20
その男は自己紹介もせずドカッと席に座った。
そして一言・・「ふっ、流れは俺にある」
そういうと無造作にサイコロをふった。
136 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/12(土) 08:09
「丁!」
木暮はブランデーを飲み干すと、男の目を睨み力強くそう言った。
137 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/16(水) 04:45
三
138 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/17(木) 23:38
139 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/21(月) 05:57
「んもぅ〜。。おバカさんだなー。今は麻雀やってるだろ。」
・・・・と小暮に寒いツッコミをしてみた。
すると、水谷の兄貴と呼ばれる男が突然、目を見開いてこちらに近づいてきた。
「表へ出ろ!」 男はそういうと、上着を脱ぎ捨てて店からでた。
140 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/21(月) 21:57
「たまにいるんだよね、ああいうの」
小暮は気にした風でもなく、苦笑いの表情で麻雀を続けた。
放って置かれた水谷は、木枯らしの中で立ち尽くしていた。
141 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/21(月) 22:29
次の日、蟹江は長塚の家を訪ねた。さすが、教頭先生兼一部上場企業の課長、
元医者だけあり、白亜の大豪邸である。蟹江は豪邸の高い塀を見上げ、
ほんとに差がついちまった、俺たちは、と思った。
142 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/05/22(火) 05:54
蟹江が周辺をうろついていると、警戒したのか門番と思しき黒服の男が早足で近づいてきた。
「ちょっと失礼」
突然声をかけられて、蟹江は飛び上がって驚いた。
蟹江はそのまま宇宙まで飛んでいった。
144 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/06/05(火) 09:55
すると、
145 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/06/18(月) 23:35
蟹江を火星人が救ってくれて、地球まで戻してくれた。
だがそこは人類が猿に支配されてる地球であった
147 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/06/21(木) 11:42
蟹江はさっそくサルを皆殺しにした。
最後のサルを殺しながら、絶頂に達して射精した。
初当選を果たした真紀子が、赤じゅうたんを踏んだ時
当選5回目の中堅代議士となっていた。
アホの坂田に似たこの男が、後に真紀子の前に大きく
立ちふさがることになろうとは、誰も知る由もなかった
のである。