夏へのステージ

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1自然界最低クラス
「まったく僕はなんてバカなんだろう、クソー!!」

右手の腕時計はもう既に2時間目の授業の終わりを告げていた。
どうしてこんな大事な日に限って、遅刻なんてしてしまうのだろう?
どうして目覚ましの電池が切れる、なんて間抜けな事が起きるのだろう?
一人でブツブツと悪態をつきながら僕は駅の改札をすべるように飛び出した。

今日は「えみ」が半年の海外留学を経て復学する日。

彼女の、あのこぼれるような笑顔に会いたくて 僕は学校へと続く道を急いだ。
途中の信号機ですれ違った、僕の母親と同じくらいの年齢のおばさんが
チラッと僕の顔を見て笑ったような気がしたけれど、僕はかまわず無視した。
もしかして「えみ」に会える喜びを押さえきれずに変な感じでニヤついていたのかも?
僕は急ぎ足で、学校へと続くコンビニのある三叉路を抜けながらそんな事を一瞬考えた。

2自然界最低クラス:2001/01/04(木) 01:26
僕がどれほどこの日を待ち望んでいた事か。
「えみ」に対して僕がこれほど心を奪われているのは正直、彼女のそのたぐいまれな
容姿にもあるのだけれど(何人もの有名タレントを輩出しているTV番組のプロデューサーに
街でスカウトされ、かなり熱心に口説かれたが彼女はそれを未だに固辞し続けているらしい)
そんな浮ついた世界には見向きもせず、将来外交官になりたいという夢に向かって
頑張っている今時ではない彼女に惹かれたからだ。
3最低者@横槍:2001/01/05(金) 01:45
「うふふ、相変わらずね、勇平(←僕の名前。決定)。今何時だと思ってるのよ」
3時間目の始まる直前。何とか教室に駆け込んだ僕に待っていたのは、そんな「えみ」の前と変わらない仕草での―しかしすべてが変わってしまっているこぼれてほしいような笑顔だった。
「嘘だろ?・・・えみなのか?」
泣きたい気分で僕は聞き返すが、目の前の「それ」は残酷にも僕の問いに笑顔のまま首を振った。
「久しぶり、勇平」
その「物体」は、留学前となんら変わらない声で、変わらない仕草で僕に言葉を返した。物体。そう、物体という表現以外に、目の前のそれをどう表せるというのだろう。異様に横に肥大した全身。三重ぐらいにわかれたあご。目じりが垂れてきもい顔。象のような足。その体のあまりの体積にぴちぴちに張り詰めている制服。
彼女に以前の面影はまったくなかった。だってやたら太ってやがるんだもん。
「えへへ、あっちの食べ物がさぁ、妙にあたしにフィーリングしててさぁ―」
そういうその物体は、僕の足より太そうな腕をあげて照れくさそうに頭をかいた。
半年で―人がこれ程変われるものだなんて・・・ありえるはずが・・
「嘘だ・・」
こんなデブが彼女のはずがない!彼女はもっと美しくて可憐でかわいらしくて目はぱっちりとしていてほっそりとしていて色白で
「嘘だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
気がついた時には、僕は狂ったように叫んで教卓の上の花瓶を振り上げていた・・

つづく。つーか、だれか続けれ。願。
4名無しさん@お腹いっぱい。
・・・あれから、三年の年月が流れた。
あの忌まわしい事件の後、
僕は悟った。そう、この監獄の中で。
「デ、、、デブでもいいじゃん・・・」

とりあえず、続けてみました・・・誰か後を・・