1 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :
2001/01/01(月) 22:01 いい作家になるにはまず読書から。 21世紀は読んだ本を必ずメモしましょう。 題名、作者、感想は必須です。出版社は任意で。 まずは100冊目標にGO!
2 :
まりあ :2001/01/01(月) 22:19
001.エーリヒ・ケストナー「点子ちゃんとアントン」 002.エーリヒ・ケストナー「飛ぶ教室」 21世紀は児童文学から、ということでケストナーを攻めてみました。 ちなみに昨日もケストナーの「エーミールと探偵」「エーミールと 3人の双子」です。 ケストナーのちょっと電波入ってる文体、よいですね。 「第一に、この話は奇妙だから、奇妙であり、第二に、じっさいあった ことだから、奇妙です」だそうな。何のこっちゃ。 まぁまぁ面白かったです。 母親思いの男の子がしつこいほど出てくるのが何ですが。
子供の頃に読んで楽しかった事だけ憶えている。>ケストナー >「第一に、この話は奇妙だから、奇妙であり、第二に、じっさいあった >ことだから、奇妙です」だそうな。 絶妙な文章だと思うよ、コレ。 こういう作家だったのか・・・知らなかった。 どうでもいいけど山田某が好きで まりあ ですか?
4 :
まりあ :2001/01/02(火) 03:11
>3さんー ケストナー、よいですよね。改めて読むと結構凝った文体なので 驚いてしまいました。ちなみに岩波@高橋健二訳で読んでいます。 明日はマルケスの「100年の孤独」の続きです。今のところ一番 気に入ってるのはアマランタ。この人の人生が一番気になります。 ウルスラは苦労してますね。眉間に深く皺よってそうで、まるで 「おしん」のよう。続き読むのが楽しみです。 ちなみに「まりあ」はうちの母親が私につけそこなった名前のようです。 山田某のような胸になりたい、まりあ@2ちゃんねるでした。
いや、エイミじゃ露骨だから まりあ かなって思ったんです。
6 :
まりあ :2001/01/02(火) 23:33
今の所よいペースですね。 003.エーリヒ・ケストナー「サーカスの小人」 004.ガルシア=マルケス「百年の孤独」 これでケストナーは全部制覇です。「サーカスの小人」ですが、 とてもほのぼのしたお話です。年とってから読んでしまうと ちょっと子供騙し入ってますが、こういう本を読んで育った 子供はすくすくよい子に育つでしょう。実際にマッチ箱に入る 程小さい芸人がいたら世の中パニックになるんでしょうね。 ちょっとしみぢみしました。 「100年の孤独」も終了しました。マコンド、行ってみたいですね。 私の大好きなアマランタは最後までシュールでした。 「仲のよい一生の付き合いより、たとえつかの間でも、死ぬ前の 仲直りの方が値打ちがあるんだよ」 というウルスラの老婆心に 「今さら無駄だわ」と平然と答えるアマランタは、マコンドの住人 の象徴です。マルケスの淡々とした語り口に乗せると銃撃シーンも 死体の山も干物みたいにみえます。さすがノーベル賞作家。 単純に面白かったです。 明日は寺山修司(二?)の「幸福論」です。久しぶりに読むので 楽しみっす。 >3さん 確かに山田詠美好きかも、です。恥ずかしいので隠して おきます(笑)
7 :
まりあ :2001/01/04(木) 01:36
寺山修司、久しぶりに読んでますが深いっすね。 じっくり読んでるとなかなか進みません。ドラクエしてたせ いもありますが。ドラクエ、まだ2枚目にいってません。こっ ちもいつ終わるんでしょ。 さて今日は「マッチ箱のロビンソン・クルーソー」なる所だけ 読みました。読めば分かるんですが、歴史やら何やらが引用さ れまくってるので、関連知識ないとつらいですね。グーテンベ ルグの悪魔の発明、なんてさらり書かれていて一瞬思考が停止 してました。昔(といってもたかだか30年前ですが)は読み手 の前提知識が必須なんですよね。最近の文学は衰退している、 と言われるのは、頭使わなくても読める文章が氾濫してるから なんでしょうね。吉本ばなな、なんて小学生でもさらって読め るからなぁ。まー日本国民総出でバカになってる、という噂も ありますが、感覚的に分かることがもてはやされる時代とも言 えるのでは?なんて考えてました。あは、そのうち反動が来る だろうから先取りしてせっせと本を読むことにしましょう。 アランの「幸福論」とかブラッドベリの「華氏451度」とか色々 引用されてるんですが、読んだはずなのにさっぱり忘れている 所がつらいっす。この本読み終わったら読まなくては、です。
8 :
まりあ :2001/01/05(金) 12:35
004.寺山修司「幸福論」 結局合計3日かかって完読です。 考えてみれば「幸福論」って概念自体、すごく曖昧ですよねぇ。 本人も本の中でいっていたけど、やっぱり書物を離れた所に 「それ」は存在するんじゃないかと。 まーだけど「幸せ」て何だろう、て考えるのって悪いことじゃ ないかも。そんなことをつくづく思いました。 一箇所、カップルが温泉宿にチェックインした瞬間に ひどい訛りで喋り始めた、という話を聞いて、寺山修司が 「幸福になるのを放棄している」と語っている所だけ理解 不能でした。性行為のすばらしさは、全てをさらけだす事 ではない、という所は納得できるんですが、訛って喋る事が それに繋がるかというと私的には??マークっす。 そうそうこの本の中にケストナーの詩集が引用されてました。 詩の方は読んだことないっすね。今度チェックしてみます。 今日は何を読もうかな。あまり時間がないので、 かもめのジョナサンでも読もうかな。
9 :
まりあ :2001/01/09(火) 00:34
まとめて感想。 005.桐生操「やんごとなき姫君たちのトイレ」 電車の中で読んでいて異様に咳き込んでしまった程 何か匂ってきそうな本。ヨーロッパ人てば不潔過ぎ・・。 まーだけどためになったし面白かった。 まさか自分がそういう事言うようになるとは思っていなかったけど もっと世界史勉強しておけばよかったなーって思ってます。 まー歴史物にも手を出してみようかなぁ。 006.リチャード・バック「ONE」 かもめのジョナサンの作家。最初は面白かったけど 後半やたら説教臭かった。考えてみればかもめのジョナサンも 説教臭かったっすね。この人、本当はこういう教訓めいたことを 書くために作家やってるのね。ちょっとゲンナリ、、というか今年 始めての駄作でした。んー無駄な時間を費やした感じです・・。 聖なる予言を読んだ時も思ったんだけど、言いたいことって 作家は言葉にしちゃいけないんじゃないかなぁ。 明日はヘッセの「デミアン」です。文学版ではこれを人生に影響 与えた本としてあげている人多かったですねぇ。「車輪の下」は 駄目だったんですが、これは大丈夫でしょうか。ちょっと不安・・。
10 :
まりあ :2001/01/14(日) 22:45
007.ヘルマン・ヘッセ「デミアン」 んー、デミアン、読みました。前半はいかにも”ヘッセ”て感じ だったけど、後半がかなり微妙。少なくとも私にはリアリティ 0でした。アプラクサスのくだりとか、キリスト教的社会観に疑問を 感じた西洋人の行きつく果てって感じ。ソシュール(フランスの 言語学者)も前半で「ラング」と「パロール」なんてガチガチの 理論を掲げてた割に結局後々アナグラムの研究に没頭しちゃ ってるし、カント(ドイツの哲学者)も結局「神」という存在なし ではこの世は語れない、なんて結論に行き着いてる。 つまりすごく西洋的なお話だと思った。神の存在がヨーロッパでは 絶対的なだけに、逃げ場を探しちゃう、というか、世の中に疑問を 抱くというか。上手く言えないけど、そんな感じで読んでました。 ただ表現は違えど、こういう経験は誰にでもあるかも。 善良とされているモノに属していながら、退廃的なものに惹かれる とか、理想とする友人に巡り合えるとか、神秘的なものを求める とか。文学版の住人の人が影響受けたのも分かるなーって感じ。 私的には可もなく不可もなく、という感じだけど、読んでおいて よい本、と言えるんじゃないかな?
11 :
まりあ :2001/01/16(火) 14:16
008.ジャン=フィリップ・トゥーサン「浴室」 これはすごく面白かったです。巻頭にピタゴラスの定理が 書かれているんだけど、最後まで読んで「は、はぁぁん」 と明らかになる感じ。 コルタサルの「石蹴り遊び」もこんな感じの作りだったんだけど、 私的には「浴室」の方が面白かった。 「風呂から出てこない男の話」ということを知り合いから聞いていて 不条理系かなぁ、と思っていたのですが、そんなことはまったくなく リアリティありまくりでした。 特にダーツの矢を奥さんに向かって投げちゃう所がよかった。 ワイドショーのニュースとかはどんな事件にも必ず理由を つけたがるけど、実際の犯罪は、結構こんな感じで行われてるのでは? とも思いました。まーそれじゃ視聴者の興味はひきつけられんけど。 文体は乾燥していて、その分風景の描写とかが生々しく想像できた。 こういう文章、書いてみたいなぁ、と思ったです。
12 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2001/01/17(水) 12:41
さらしage
13 :
まりあ :2001/01/22(月) 01:22
あげられてもすぐに下がってるし・・ てな訳で009.。て思ったら004がのっけから被ってるんっすね・・。 010.中坊公平「中坊公平・私の事件簿」 これは単純に面白かったです。友達が司法試験受かって、そんな 訳で「あいつこんなことやるんだー」と今更ながら感動。 中坊さんって、確か日経の「私の履歴書」書いてましたよねぇ。 最初の方しか読んでないんだけど、「私は出来の悪い子供だった」と 散々書いていたのに、実はエリート街道まっしぐらの人だったのね。 ちょっと興ざめ・・と思ったのは一瞬だけで、後は非常に興味深く読めた かな。 中坊さんには悪いけど、司法って究極の言葉遊びだなぁ、と今更ながら(笑) まーただその言葉遊びの出来次第で、生かされる人も殺される人もいる かと思うとすごいねぇ。 「アリー・マイ・ラブ」も好きなんだよねぇ。関係ないけど。
14 :
まりあ :2001/01/22(月) 01:31
011.スペンサージョンソン「チーズはどこへ消えた?」 ベストセラーなんで読んでみました。感想。面白いんだけど 説教臭い。シチュエーションは確かに「フムフム」て感じなんだけど、 後半になるにつれ増えていく「格言」がウザイ。最初と終わりの、 実例を交えながらこの話を語る挿話も余計。 リチャード・バックの「ONE」とちょっと被ってる気が。 アメリカ人はこういうのが好きなんでしょうねぇ。 まーこれは非文学だから、突っ込むのも何なんだけど、古い チーズを忘れる必要0なんだと思う。そりゃ新しいチーズを探し 続けるのは大事だけどさ。
15 :
まりあ :2001/01/22(月) 01:41
012.高橋いづみ「ハートで読む古文」 これは高校の時の愛読書。これ読んで古文にはまった (といっても現代語訳)思い出深い一冊。 平安時代って一番日本が風流だった時代だったと思う。 漢文の知識必須で会話とかしたら楽しいだろうなぁ。 竹見て「おい、この君にこそ」とか言ってみたいなぁ。 そういえば高校の頃は清少納言って林真理子のイメージですごく 嫌いだったのに、今読み返すと、何気にいい人?。 定子が没落していく様子や藤原道隆の隆盛を敢えてかかなかった、 というエピソードにしんみり。高校時代には何とも思わなかった所で じんとくるのに気付くのって、読書の醍醐味ですな。
16 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2001/02/12(月) 00:29
わりと楽しみにしてんだけど…どうなりました まりあさん?
17 :
まりあ :2001/02/12(月) 23:26
>>16 さん
あは、単に最近本読んでないんです、、(笑)
私一人だけ書いてると間がもたないんで、皆さんも読んだ
本の感想教えてくれると嬉しいです・・。
18 :
まりあ :2001/02/25(日) 02:56
013.村上龍「すべての男は消耗品である」 中学の頃から龍≧春樹だったんですが、久しぶりに読んで ちょっと変わってきたかも。 村上龍って、言いたい事が一杯あってしんどそうなイメージが しやした。フラストレーションこそが書くエネルギーなんだろうけど、 春樹氏みたいに「透明な僕」を追いかけた方が人生的には楽しそうな、、 て考えてるあたり、自分、年取ったんでしょうねぇ・・。 「人妻を誘惑したりするのは嫌いだ」て言いきっちゃう所が龍イズムっすね。 やってると思うけどさ(笑) 友達が村上龍はオナニズムだといっていたけど、私はそれは感じなかったな。 現状にもどかしさを感じてそのエネルギーが鬱積してる気はしたけど・・。 だけど、それでも村上龍は好き。ニューヨーク・シティ・マラソンなんかの ほのぼの系から「愛と幻想のファシズム」、「コインロッカーベイビーズ」の マッチョ系まで見境なく。「イン・ザ・ミソスープ」は駄目だったが・・。 印象に残る言葉は色々あるけど、別な意味で気になったのは 「そんな訳にはイカの金玉」 妙に気になって電車の中で藁ってしまった・・。
19 :
まりあ :2001/03/12(月) 00:30
笑っちゃう位本読んでないっすね。。 3月は2ch見る時間減らそう、、(ってもう1/3終わってるが) 014.村上春樹「シドニー!」 週刊文春で向井万起男さんが絶賛してたので買ってみました。 向井って奥さんが有名になったからついでに、という嫁の七光りの 人なんだけど、何気に面白い。 さてさて村上春樹。昔は毛嫌いしてたのに、今はちょっと好きかも知れないです。 万起男さんがうけていた「砲丸投げの選手は・・・もっとマジメに協議しろよ」という くだりも面白かったけど、オリンピックみてるのに妙に冷めてる視線も面白かった。 ナンバーズの対極にありますね、この本。 感動や興奮を共有させよう、といった思惑がまるでなく、そのやる気なさに脱帽。 素直に頭に入るっていうか、ここまで淡々としているのもちょっと珍しいなぁ、と 感心しながら読んでた。 高校の頃に村上龍や山田詠美が好きだったのは、明確なメッセージがそこに あったからなんでしょうね。世の中はこうだ、ああだ、と断言されると、やみくもに 信じてたあの頃。最近あまり読まなくなったのは、もう自分の価値観ができちゃった からなんだろうなぁ。そう思うとやっぱり若いうちには色々な本を読んどいた方が いいなぁ、とますます思ふ。世の中の本って、案外適当な時期に読まないと、 面白さが分からなくなっちゃうみたいです。
20 :
まりあ :2001/03/12(月) 01:10
015.村上春樹「辺境・近境」 友達から借りたんですが、一気に読めました。 「シドニー!」に続く、やる気のない(笑)旅行記第二弾。 旅行記って「俺はこんな珍しい体験をした」系の自慢話が多いので、 あんまり好きじゃないんですが、これはそんなことなくて面白かったです。 どっちかというと、「何で俺、こんな所に来ちゃったんだろ、、」といったような トホトホなことが書いてあるので、そこが新鮮だったかな。 「無人島・からす島の秘密」なんて、読んだ後に、「うわ、絶対行きたくない、、」 と心から思わせるモノがあります。ゾウリムシなんかに襲われたくないっ。 一番心に残ったのは「ノモンハンの鉄の墓場」かな。 「真夜中に目覚めた時、それは激しく世界を揺さぶっていた」からの件が インパクト強かった。 淡々と書いてるから、よけい「恐怖」が浮き彫りになるって感じ? 私の文章はそれが欠けてるから、すごく参考になったと思う。 ちなみにモンゴルは行ってみたい国の一つなんですが、 これ読んだらちょっと行く気失せました(笑)) 馬乳酒なんて聞いただけで飲みたくないしな。 ただ360度のパノラマな風景はみてみたい・・
21 :
まりあ :2001/03/12(月) 01:39
016.村上春樹+糸井重里「夢で会いましょう」 てな訳でまたまた村上春樹。集中して読むタイプなんです、割と。 さてさてバブルの最中に書かれてる割に今読んでもあまり違和感 ないっすね。ちなみにこの本は、糸井さんと村上春樹が代わりば んこにカタカナ言葉のショート・ショートというよりは断片を書いて いる本です。 まず「オールナイト」(糸井さんの方) 。風俗している人と、その「ヒモ」の話なんだけど、幸せって こういう感じだよなぁ、、としみぢみ。バブルの時にもこういう話って あったんだと別な所で感動してるのも多々ある。 「ハイヒール」(村上春樹の方) 象がハイヒールを履いて地下鉄に乗ってる話なんだけど、私的にはすごく リアリティがあって情景がありありと浮かんだ。丸の内線に乗るハイヒールを 履いた象。申し訳なさそうにしている様子が伝わってくる。絶対に迷惑だけど(笑) いやーそれにしても、年って好きな作家が変わった時に一番感じるな。 ・・という割に村上春樹の読者層って10代が多いんだよねぇ、、
22 :
まりあ :2001/03/12(月) 01:39
sage 忘れ、、逝ってきます、、
23 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2001/04/17(火) 02:51
優良スレ期待age
井上祐美子著「桃花源奇譚」「柳絮」 桃花源奇譚1〜4(完結) 舞台は中国。 主人公は王の第一夫人の子。第二婦人の陰謀から母親もろとも死んだことにされた少年は身分を隠し別の皇族の養子として育てられる。 少年は街で偶然居合わせた青年と一緒に旅芸人の少女を救う。 少女は第二婦人の「桃花源」探しの鍵とされ誘拐されそうになり、祖父を殺された。 少年達の見ている目の前で祖父の遺骸は桃の香りを残して消散してしまったのだった。 桃花源探しと母探しと王位を巡って少年の旅は始まった。 感想:桃太郎的冒険活劇と中華的政治劇の同時進行にワクワクした。 主人公が仲間達と助け合い、時に反発し、王位継承者として成長していく様が爽快。 柳絮 今読んでるトコ。
井上祐美子著「柳絮」 舞台は魏晋六王朝時代の中国。 主人公は名家の娘。 物語は娘が嫁ぐところから始まる。 娘は戦乱の時代を施政家の妻、軍師の姉といった視点から追う。 感想:実はあまり読んだ事のない一人称視点の長編小説で不安でしたが、これが読み始めたらすいすいと進みました。 語り部は汚い覇権争いや惨たらしい戦争を女性の視線から冷たく捉え、次代への教訓として語ります。 それだけでなく、表舞台に出ることができない女という立場でありながら家のため、国のために尽くした自分の人生を伝えます。 うん、これも読後感爽快。 ああ男として生まれたからには立派に名を残したいと思わせてくれます。
26 :
名無しの歌が聞こえてくるよ♪ :2001/04/29(日) 04:29
.
27 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2001/05/01(火) 07:50
ドストエフスキー/「罪と罰」 貧乏な学生が金ほしさに、質屋のケチなババァをブッ殺して質草をパクって 逃げようとしたらそこにババァの妹がやってきちゃって、こいつもブッ殺してヒャッハー♪ ↑絶対に違うんですが。まあこんなもんです。 煽り文では「ひとの罪の意識が云々」とか「人間の良識のあり方云々」 とか書いてありますが、とくに説教臭いこともなく、構えて読むほど堅苦しくもない、 どうにもこうにもドロドロとした暗黒小説で非常に面白かった。
28 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2001/05/21(月) 01:45
こういうスレはアゲましょう。
29 :
(゚д゚) :2001/06/16(土) 00:54
うわ、まだ残ってた。。
あは。またまりあ、なんてかわいらしいハンドルで。。 ???リチャード・P・エバンス「天使がくれた時計」 さらっと読めるのにすごく深い話でした。海外の 作家は重い話を美しくまとめるのが上手いなーと 感心。最初から何か重い話が来るなぁ、という予感 があったにも関わらず、幸せ一杯の描写も冴えて たように思う。この人はあまり文章がキレイではない んですが、その分文章から滲み出るものが際立つんです。 小説ってのはやはり技術ではなくて感性なんだな、としみ じみ思いました。
???トルーマン・カポーティ「草の竪琴」 疲れていたのかタイトルに惹かれて買っちゃった本。 冒頭の文章が甘たるくてどうかと思ったんですが、 訳がよくないのか?話自体は切なくて私好みでした。 ただ一番良かったのは解説で、解説を読んだ後 改めて読むと再度じーんとする感じ。作者のインフォ メーションなんか必要ないと、かのロブ=グリエさんは 言ってるけど、より深くお話を楽しめるなら別にいいじゃん 、て感じです。 ???夢野久作「オシャベリ姫」 最近読んではまった作家。青空文庫にも結構 収録されているので、よかったら是非。おもろい です。虎の穴に貼り付けられていたら間違いなく 逝ってよしが炸裂する系なんですけど、なんかE。 アホみたいなカタカナの使い方とか小学生のような 単純な文章がデムパな「オシャベリ姫」だけど、他 の作家には書けないと思う話です。名文スレにも 書いたけど、「書けない探偵小説」もよかった。 今度は是非「ドクラ・マグラ」とやらを読みたい。 それにしても明治時代にこんな人がいたなんて 日本って結構面白い。
32 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2001/06/16(土) 01:19
へ?まりあ=(゚д゚)?
33 :
(゚д゚) :2001/06/17(日) 02:07
???ジェーフリー・アーチャー「十二の意外な結末」
海外の小説って名作と呼ばれるもの以外あんまり
読んでなかったんですが、結構面白いもんですね。
このアーチャーって人は話が陳腐という意見もある
んですが、ぐいぐい読ませちゃう才能みたいなものを
感じました。うーん、書ける人にしか書けない系。
ちなみにベタなタイトルから分かるように、12個の小説
の短編集です。
一時期イギリスに住んでた(゚д゚)としては、「掘り出し物」
が上手くイギリス人の特徴捉えてて一番よかったと思い
ます。アホな夫婦に捕まって落胆しているいたいけな夫婦
のフラストレーションが手にとるように伝わってきました。
「泥棒達の名誉」だけ未だに話がよく掴めてません。
わざと間違えて全部飲みたかったということ?うーん、
読んでる方、解説きぼーん。
>>32 …。(゚д゚)
34 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2001/06/17(日) 02:09
>>33 は法輪功?
欧米文芸を理解するまえに、もっと欧米的なセンスと頭脳が必要だよ。
それは市場原理、自由競争、民主主義。
百姓が何十日英国で過ごそうが、上っ面はやっぱり上っ面。
文面読めばわかるよね。
35 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2001/06/17(日) 02:11
アナルセックスさせてくれる女性急募!
>>34 キリスト教的価値観、階級意識によるモノの
見方も重要かと。何気にカーストっぽい所、
イギリスにはありましたよ。
37 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2001/06/17(日) 02:25
>>36 だからカーストにしても階級にしても、神様が決めたわけじゃないんだよ。
イギリスに何気に決まってしまったものなんて、何もないよ。
全部自由市民が生活とビジネスの過程で最適化を進めてきたの!
あんたはもっと真剣に勉強しろって!
>>37 いやぁ、それは偏見ですよ。イギリスなんてちっとも
最適化されてないし。ハーディなんかを読むとキリ
スト教的価値観が必ずしも人を幸福にはしないという
何ともやりきれない気持ちになったりします。
産業革命後の悲惨さについてはディケンズを読まれる
のがよいかと。
39 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2001/06/17(日) 02:32
>>38 だからスタティックな形容詞で語るなよ!
世の中は市場なの!
もっとダイナミックなアタマをみせてくれって!
うーん、市場原理をはみだした所に文学は 存在すると思うのですがいかがなもんでしょ。 いや、それにしても濃い話ができてよかったです。 金融の知識とか弱いんで、まずはミニ株からでも はじめてみます(゚д゚)
41 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2001/06/17(日) 03:30
>>39 何をそんなに興奮してるんだ?
お前はタン・ロンか?
少なくとも自分は君に何か教えてもらいたいとは思わないね。
感じ悪いよ。
42 :
良スレ認定委員会 :2001/06/17(日) 11:21
良スレのため、ageさせて頂きます。
43 :
ルパン :2001/06/17(日) 11:36
くだらねーーーーー。
44 :
大王 :2001/06/17(日) 12:11
>>40 O.Henryの物語は、まるでBusinessWeekのコラムみたいな内容ですわな。
Sherlock Holmesも The Economistという感じだ。
つまり信賞必罰、自由競争、インフレデフレ、そういった市場原理哲学みたいなものが根底にあるよ。
人間世界は人の市場っていう捉え方はアングロサクソンの根本原理だもんね。
いわゆる知識じゃなくて、経済哲学の問題のような気がする。
株買ったってダメかもよ。
サファイア著「プッシュ」
今年読んだ本の中で一番よかった。泣けました。
父親の子供を産んだ女の子が勉強して読み書き
できるようになるだけの話。お涙頂戴系の話かと
思いきやとてつもない力強さがある。こういう系の
話って、大抵読み終わった後に厭世的な気分に
なるのに、「プッシュ」にはそれがない。逆境の中、
前向きに生きる主人公に元気をもらう感じ。アメリカ
文学のこういう力強さはすごいと思う。日本にはこう
いう類の話、少ないんじゃないかな。サクセスの半ばで
話を終わらせるのも何とも格好よかったです。
ただどうせなら原文で読みたかったかも。このテの文の
翻訳には限界があると思われ。
>>44 O.ヘンリーのやつって実際に何かの雑誌に連載されてた
のでは?アメリカ文学弱くスマソ。
今まで色々読んできましたが、英米文学の根底に自由競争
の思想があると感じたことは正直ないです。どちらかというと
そういった価値観に反発する所から創作が始まっているとい
うのが私の印象です。ヘミングウェイの「老人と海」なんて
正に市場原理の対極にあるというか。
>>人間世界は人の市場っていう捉え方はアングロサクソン
>>の根本原理だもんね。
いやー、それはどうでしょ。まず絶対的な神の存在があって、
それと人間の社会とどう絡めるかということ、宗教国家故の
苦悩を私は感じました。あ、一応20世紀初頭辺りまでの話
ってことでよろしくです。
46 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2001/06/17(日) 14:21
まりあしゃんへ 自分のHP勝手につくってそこでやってください。 2chでやる必然性が皆無です 以降まりあしゃんのレスがついた場合、まりあしゃんを求人案内と同等と認定します
>>46 君は状況をわきまえずageてしまったね。
つうことが、どういうことかは君は分かってるのだよね。
君はLOVERと認定します。
>>46 つーかゴル姉がレス返してるのがそんなにいかんか?
文句は
>>39 みたいに絡んでる方に言え。
まあ別に良いと思うけどね、そういう議論も。
ただ吹っかけ方にも色々あって
どうせなら建設的な方向になるように吹っかけようよ。
>(゚д゚) スレ違いのレスをすれば、非難されるのは当然。 レスの内容が、スレの趣旨と同等なら誰も文句は言わないよ。 それと宗教とか経済とかの話は、適切な板に難民として赴き、 そこで徹底的にやり合うのが良いでしょう。
エマニュエル・ベルナイム「彼の奥さん」
久しぶりに仏文学。いやー、この本はすごかったです。
淡々とした文体なんですけど、感情が伝わる伝わる。
愛人?のコンドームの包装を取っていたり、とかベタな所も
あるんですけど、一見何気ない描写の中に感情を潜ませる
ってなんて格好いいんだろう、と夢中で読んでしまいました。
不倫系の話って「どうして彼は一人の人だけじゃ満足できな
いんだろう?」みたいな展開になりがちで、それを言葉にし
ちゃうとすごくよくある話になってしまうのに、それを文体で
コントロールすると、こんなにも斬新になるもんなんだなぁ、と
目から鱗です。今年一番刺激を受けた本かも。あまり読んで
いないのに言うのもなんなのですが。
>>49 ういっす(゚Д゚)
51 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2001/06/18(月) 13:17
いいスレはageましょう。
52 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2001/06/18(月) 22:37
あげ
53 :
(゚д゚) :2001/06/20(水) 19:14
池澤夏樹「メランコリア」 池澤夏樹という人は作者の名前が嫌いで買わなかった 作家の一人なんですけど、この「メランコリア」はむちゃ くちゃよかったです。ちょっとデムパがかっている短い物語 (一応詩集のようなんですが)の世界に今日はひたすら 酔ってました。調べたらおっさんなんですね、この人。 こういうのは若い人にしか書けないもんかと思いきや、 気のもちようで50過ぎても書けるみたいです。ビックリ。 男のコが消えてしまった女のコを永遠と追いかけている 話なんですが、世界中が舞台という感じで、ちょっとした 旅行気分も味わえます。 それに文章のリズムが!(・∀・)イイ! 音読した時に美しい文章って理想です、実は。 さっそく池澤さんの本をブックオフで仕入れてきました。 ああ、また仕事が滞る…(゚д゚)
54 :
(゚Д゚) :2001/06/21(木) 12:32
池澤夏樹「君が住む星」 写真がすごくよかったのもあるけど、文章も好きです。 ただ「メランコリア」以上に甘ったるいので、嫌いな人は 嫌いかも。(゚Д゚)は音楽でも甘ったるいのが好きなんで、 かなりうっとりしてましたが。「僕」が「君」に宛てた手紙 なんですけど、写真からイメージしただろう空想がキレイ。 池澤さんの顔写真を何でみてしまったんだろうと心が痛み ます、アア・・ 池澤夏樹「スティル・ライフ」 これで池澤さんはどっかの新人賞と芥川賞をダブル受賞して ます。んで読んだんですが、、ちょっと期待外れでした。 無駄なエピソードが多い気がしてます。何故二人が染め物工場 で出会ったかという意味がないし、冒頭の文章も最後まで読んだ のに意味不明でした。ただ文学賞向きの小説ってこういう風に書く んだ、と参考にはなりました。12月に向けてがんばります(゚Д゚)
55 :
(゚д゚) :2001/06/24(日) 03:38
池澤夏樹「ヤー・チャイカ」 作中作のディプロドクスの作文の出来がむちゃくちゃ よかったです。話自体は幻想的な感じ。「アリゾナ・ ドリーム」という映画を思い出しました。「スティル・ ライフ」と同じ本に入っていたんですが、こっちの方が 全然好きです。霧に包まれて右往左往するエピソード もたまらない、、というかこの人、話の幅が広い。モノ カキ目指すなら、色々な分野に精通するのに限るなぁ、と 脱帽。 池澤夏樹「マリコ/マリキータ」他5編 作品の幅に圧倒される感じでした。「マリコ/マリキータ」が 文化人類学者のラブ・ストーリーなら「アップリンク」は気象 庁の職員の話で、「梯子の森と滑空する兄」は職を転々と する兄への所感を綴ったもの。ひたすら脱帽。個人的には 「アップリンク」の幻想的な雰囲気が好きでした。日本の離島 での話なのに、どこか異国めいた雰囲気が漂い。「アップリン ク」のような話は私も書いてみたいです、、(゚д゚)
オツカレモード(゚д゚) 池澤夏樹「南の島のティオ」 何気に一番世の中の役に立っている文学って児童文学なんじゃ ないかと思ってるんですが、これは数ある児童向けに書かれた 本の中でかなり高いレベルになってるんじゃないかと思います。 優れた児童文学って大人が読んでも楽しい、ていうのが欠かせ ないと思うんですけど、これは私も夢中で読んでしまいました。 児童文学って丁寧に情景を説明し、ストーリーにメリハリを聞 かせ、なおかつ健全(wに育つためのそれなりの教訓めいた ものが入っているのが重要じゃないかと思ってます。そして この本にはこれが全部ある。今読むとどうしても表現を盗んで やろうとか、姑息な視点がどうしても出てしまうので、小説書こう なんてちっとも思ってなかった子供の時に読みたかったです。 こういう連作短編って私が理想とするお話の形、、なんて そんなことはどうでもいいんでしょうが、、。 池澤夏樹「インパラは転ばない」 なんか提灯記事書いてるみたいですが、こんな丁寧に書かれた エッセイを久しぶりに読んだ、、。日常の垂れ流しでもなくただの 独り言でもなく、日々や思い出、意見といったものを「小説」とい う手段を使わずに書くのって本当に難しいと思うんですが、この 池澤さんという人はそれを何の苦もなくやってしまわれる。構成 も緻密。そして一つ一つのまとまりごとにテーマがある。随筆文 を書く上で当たり前なんだとは思うんですけどね。 ただ軽い文体の割に頭を使わざるを得ない文章なんで、すごく 疲れました。この話の中に出てきたアーヴィングの短編でも 読んで、頭を休ませたいと思った六月の蒸し暑い夜(゚д゚)
うわわ、凹んでるYO。。。 山田詠美「姫君」 平積みにされていたので、ついつい。まだ読んでない+だけど これから読む人も多いと思うので、抽象的に、、。 AtoZとマグネット(ただし最初の一話目を除く)があまりすきじゃ なかったんで、ドキドキしてたんですが、それよりかは面白かった です。ただ前ほど熱狂的に読めないのが切ない。私が憧れていた 詠美さんの世界を時代が飲み込んでしまったのと、私が言葉一つ 一つを素直に受け取れない程年を取ったというか。特に「ラビット病」 を読んだ時に感じた何とも悲しい感情がフラッシュバックしてきま した。作家になるってデビューするだけでも大変なのに、デビュー した後、時代がどう変化するかによってもかなり左右されると思う んで、本当に儚い作業だな、と。インパクトのある思想をもって 登場した分だけ、その独特の世界がもはや特殊ではない、て 致命的っすよね。村上龍とかはその辺上手くやってるなぁ、と 思います。ただ詠美さんの文章は相変わらずリズムがよくて、 久しぶりに触れてみると、私の文章って山田詠美のできそこない みたいだなぁ、と反省しました。ある方にいつも言われている 「(゚д゚)独自の言葉で語る」必要性というのをひしひしと感じたり、、 ただ私は小6の時から長い間山田詠美信者だったため、余 計に
↑の下の二行は失敗です、、ああ、こんな所にも動揺が、、(゚д゚)
だ、だいじょうぶか、オイ? なんか落ち込んだツレと飲んで別れて 手を振ってそのまま見てたら、一人で電柱に激突してすっ転んでる。 そんなかんじ(w
(゚д゚)姐さん、池澤夏樹に凝ってるみたいだけど、国文学のドラ特集号でドラと 対談してたよ。もうご存知でしょうが。
池田久作「ドグラ・マグラ」(上巻の半分まで)
いやいや、この本はやばいですね。確実にどこかへ
連れてかれそう。正木先生の論文をすっ飛ばして
読もうと思ったら上巻の途中から最後までそれの話
だし。ただここまで上手く狂人を書いた人は初めてかも。
突然笑い出す主人公とか余りにも心の流れが自然で、
思わず自分までおかしくなりそうでやばかった。
挫折するか明日一気に読むかのどっちかみたいです。
突然アーヴィングを読み出したら、完読することはないかと。
ただ夢野久作という人は天才だったんだなぁ、としみぢみ思った。
何で今まで読んだことなかったんだろ。
>>59 もう大丈夫みたい。ラウンジで暴れてすっきりした。
>>60 おお、知らなかった。貴重な情報ありがトン(゚д゚)
62 :
59 :2001/06/28(木) 01:59
池田大作とかぶっとりゃせんか? 傷は深そうだ…
63 :
そうは :2001/06/28(木) 17:41
いかんざき
夢野久作嶋田久作池田大作図画工作島耕作二毛作寡作乱作佳作寡作駄作多作豊作不作
いや、とにかく、名前間違えて、
>>61
65 :
(゚Д゚) :2001/07/02(月) 16:54
池澤夏樹「夏の朝の成層圏」
言葉にオリジナリティがないと言われ続けているので、
いいと思った表現にはラインマーカーをひいてやろう、
という気負いで読み始めたのですが、、、。面白すぎて
、3P目位でそんなことはすっかり忘れてしまってました(w
彼氏の家でもひたすら読み続ける本にであったのは
久しぶりのことです(絶賛モード)
この本の最大のよさはとにかくリアリティがあること。
船から落っこちた人が無人島に住みつく話をこんなに
自然に語れるってすごいなぁ、と。漂流中に暑いから
ジーンズ被る件とかヤシの実を一生懸命割るシーン
とか。何だか印象に残るシーンが多くて、話のラスト
自体は好きでなかったんですが、今年読んだ本の
中で一番面白かった、、なんて言ってしまいます。
そうそう描写といえば、夕焼けの描写は見習わなくては
、というよりただため息ついて読んでおりました、はぁ。
>>62 -
>>64 どうやら立ち直ったようで、、夢野ですよね、夢野、、
フィッツジェラルド「フィッツジェラルド短編集」 「夏服を着た女達」という小説を探しにわざわざブックファースト にまで足を運んだのに作者を勘違いしていて買えませんでした。 アーヴィングではなくてアーウィン・ショーだったんですね、、全然違うじゃん。 そこで何の気なしに買った3冊の文庫本のうちの1冊がこれでした。 ちなみに家にもよくみたら一冊あって、今無意味に二冊持ってます、、 欲しい人がいたら差し上げますよ、、、よよ。 フィッツジェラルドは村上春樹氏が敬愛していることで有名ですが、 実はあんまり好みじゃないです。金持ちの男が持つコンプレックス とか野望を抱いた男の葛藤とかに興味がないからです。グレート ギャッツビーは映画の方が好きだし、チョト気が合わないみたいです。 まぁまぁ面白かったのが一番最初の「氷の宮殿」で後は暇つぶし って感じでした。好きな人がいたらスマソ。「氷の宮殿」は暑苦しい 南部の描写→髭も凍るような東部の描写→再び南部の描写という 構成が上手い、というか好きでした。情景描写の中で、何気に一番 伝わりやすいのが温度だと思うんで、この展開でちょっとお話を書 いてみようかな、なんて思ってみたり、、 #ドグラ・マグラは挫折中、、(はぁと)
67 :
(゚д゚) :2001/07/05(木) 21:35
サリンジャー「フラニーとゾーイ」
「文学板・今までの人生で読んだ本ベスト5は?」
http://mentai.2ch.net/test/read.cgi?bbs=book&key=988640357 で割と名をあげる人が多かった本。ただ私はまたしても
駄目でした。実は前に読みかけて挫折していて、さすが
に年の功で今回は最後まで読めたんだけど。
サリンジャーって言いたいことはごくシンプルで、生きていて
ズレを感じる瞬間にたまらなくひかれてしまう人だと思う。
ただそれをこう長々と語られてしまうと、ちょっとゲンナリする
のも事実。ライ麦畑はそれが上手くはまっていた気がするん
だけど、この「フラニーとゾーイ」、特に「ゾーイ」の章はどうよ、
という気持ちで一杯でした。「ナインストーリー」は面白かった
んだけども。書いている世界がたまらなくスキなだけに、淀ん
だ展開が何とも歯がゆかった。こういうのをもったいぶらずに、
でんと示してくれる小説が好きです、私の場合。
ただキリスト教しかない世界で生きるというのは日本人には
想像もつかない位ハードなことで、キリスト教の否定=社会
の否定とも言うべきプレッシャーにはすごく同情する。
フラニ-のような悩みって人間誰しも一度は感じるものだと
思うけど、キリスト教が根付いている国でそれを抱える、ての
はやっぱり重みが違うと思います、うん。宗教ってすごく文学
の要素を含んでいるのだけど、それを万人の共感を呼ぶ、と
いう意図で持っていくのは至極困難なことだなぁ、と改めて実感。
これが上手く書けたらカリスマだな、と(゚д゚)の野望は膨らんで
いく、、。
俺は上のサリンジャー三作品だと ナインストーリー>ライ麦>フラニーかな。 ナインストーリーはさすが傑作短編と言うだけあって、雰囲気作りがとても上手いと思う。
あ〜ここがあったよ。ここにさっき「みんなでエッチな文を書いてみよう!」で 書いたやつをやっとけばよかったなあ。いやなんせここ外国文学多いもんで私み たいに外人名出てくるだけでダメな者にゃキッツイのですよ。はは。
リチャード.P.エバンス「クリスマス・ボックス」
いやいやこれは自費出版で出した「クリスマス・ボックス」
が売れに売れて、これを契機にリチャードさんは専業作家
になったというエピソードがある訳で、、じゅるる。文芸社?(w
ウソウソ。
普通こういうのって2作目にあたる
>>30 のが駄作という確率
が高いように思うんですが、(゚д゚)的には二作目の方が
面白かったかも。大大ベストセラーになった本書な訳なの
ですが、あまりストーリーに入り込めずチョト切なかったです。
ただこういうちょっと感情過多気味なシンプルなストーリー
というのは今世の中で一番求められてるんじゃないかなぁ、と
思いました。化け猫の話を書いている場合じゃなかったり、、と
思いつつ、そういえば最近シンプルな話をちっとも書いていな
いやと反省したり。いやぁシンプルなもので読ませるのって
最高に(・∀・)カコイイ!すよね(゚д゚)
チンギス・アイトマートフ「この星でいちばん美しい愛の物語」 ちなみに原題は「ジャミーリア」です。それもどうかと思うんで すが、このタイトルでネタバレしちゃったのがかなり残念です。 ていうかこのタイトルはないだろう、と話がよかっただけに悲しく なった夏の午後のことでした。 この本は構成がすばらしい。回想シーンに入る所、 また現実の世界へ戻る所の線がくっきり引かれて いるにも関わらず、とても自然。今→回想→今って 使い古された構成のようで、キレイに機能しているもの って以外に少ない。キルギスの荒々しい自然と穏やかな 今の「私」との対比もきれいに決まっているように思い ました。惜しむらくはタイトル・・(゚д゚)
アーウィン・ショー「夏服を着た女達」 いやいやこれはよいです。短編書く時のお手本という 感じ。ひとつひとつのお話の構成が練られていてかな り鮮やかでした。パリとNYを舞台にしているものが主 なんですけど、風景の描写も美しくて夢中で読んで しまいました。表題作ももちろんよいんですが、一番 最初の「80ヤード独走」と最後の「愁いを含んで、ほ のかに甘く」もよかったです。悲しい話ではあるんだけど、 最後に救いがあるような結末の話は理想です。ウムム(゚д゚)
笹野みちる「Coming Out!」 実は(゚д゚)の書きたい小説の世界に同性愛ってヤツがあります。 今書いてるのもチョト絡んでいるので、参考のために買いやした。 といっても(゚д゚)の興味があるのは同性しか好きになれないコを 好きになったノーマルのコの話。一時期ちとゲイの男のコに惚れた ことがあって、こんな切ない恋愛の形があるのかと呆然とした事が あたからです。タブーなど最早存在しない、いわば何でもアリの世の中 ですが、この歪んだ恋愛っつうのは21世紀、結構真剣な問題かと 思いまっせ。 だけどこの本は期待はずれでした。かなり強烈なフェミニズム入っていて 上野千鶴子アレルギーの(゚д゚)としては読み終えるの苦痛だったり。 笹野みちるがやっていた東京少年はすごく好きだっただけに残念。 彼女ナリの同性愛の位置付けが「対等な恋愛ができる」でくくるのは どうよ、と。まーそれ位の確信がないとなかなかカミングアウトには ならなかったりするんだと思うんですけどね。 ただお話の参考になるフレーズは結構あったんで、暇つぶしに 読むのはよいかと思いました。
江國香織「落下する夕方」 彼氏の弟くんの本の趣味が笑える位に一致しているなんて 全く笑えないんですが、そんな訳で彼の部屋からかっぱらっ てきました。もともと私の本だったりもするような気がして、、 言い訳です。 読み直しました、落下する夕方。吉本ばななと江國香織が 似ている所は登場人物にリアリティがないんですね。悪い性格 の人が出てこない。みんないい人というか。普通キレルような シチュエーションもこの2人の手にかかるとただの心温まるエピソード と化してしまったり。ただ吉本ばななより江國を強く勧める訳は 話に漂う悲壮感の強さというのかな。 この落下する夕方も、結局誰一人として一般的な幸せというの は手に入れてません。最後に元彼を襲っちゃうシーンなんて胸が マジ痛みます。だけど不思議と甘く感じる仕上がりになってる。ば ななさんが夢見る少女としか思えないのは、救いのない残酷な シーンをあの甘い文体で書けてないからだと思ってます。江國さ んはそれができるんですね。デュークとか読んだ時に感じた「へ?」 と思う表現はこの本でもてんこ盛りなんですが、全体として読む とそれほど気にならない。まー江國さんだからね、で許される 部分があるというのも否めないんですが。 こういう本が人をひきつける訳を考えた場合、やっぱり人間何だ かんだいって救いを求めてるんだなぁ、て結論になっちゃうんですが、 どうでしょうねぇ(゚д゚)
レーモン・クノー「文体練習」 この本は6年越しで探していてようやくゲットしました。 3398円、、タカカッタデス、、。。 さて知ってる人も多いかと思うんですが、バスに乗ってたら 人に押されたとブツクサ言う青年がいて、二時間後、その男 を偶然広場でみかけたよ、というクソつまらない文章を99 通りの文体で書き表したという本。これが面白い。文体 の可能性というのをひしひしと感じました。最近飽き気味の ラウンジのスレなんですが、チョトこれ読んだ経験を生かして(w この後頑張ってきたいと思いました。 好きなのは21番の「区別」というヤツです。 ――彼は(枯れ葉ではない)ひどく長い首をしていた(長い首は ひどいと言っているのではない)。 といった感じで続いてきます。ああ、ダジャレの世界。 だけどよかったです。こういうアホ臭い文章もいつか 書けたらと思います。ボリボーリみたいな世界、マジ好き なんですよ(w
田中芳樹・赤城毅「中央怪奇紀行」 お話を作る際のネタ本として買ったんですが、見事に失敗 でした。最近勘が悪くて参ってます。雑談がほとんどで、 肝心の「怪奇話」はほとんどないです。。がーーん。 ただ幽霊船が波止場に辿り付いて、その中からペストに 感染したネズミがぐわわーと押し寄せるという有名な話を 思い出して、その点はまあよかったです。マジ怖いですよね、これ。 後ハーメルンの笛吹き。これは小説的に絶対使いたいエピソード ですよね。色々なマンガや本でちょっとした比ゆやネタとしてよく 使われるんですが、全然私の中では色あせてないですね、これ。 こういうちょっと背筋が寒くなる話も書きたいなぁ。 なんか後半赤城さんと田中さんの短編小説がくっついてるんですが、 騙されたようで悔しいので読んでないです。面白いのかな? 今度暇な時に読もうと思ってます。そういえばドグラマグラ、、(w
77 :
(゚д゚) :2001/07/16(月) 23:24
正本ノン「Pain」 いやいや、好きな人がいたら本当に申し訳ないんですけど、 下手だなぁ、、、と苦笑しながら読んでました。最初の数行で 結末が見える話ってどうなんでしょうねぇ、、。ちなみに正本 ノンさん、私がコバルトとかX文庫とか好きだった頃にはまった 作家だったりします。「あいつ」という作品は未だに好きです。 数を読むタイプなんで、よほど印象に残った本しか覚えてません。 そんな中で「あいつ」を読んだ時の衝撃というのが濃くあって、つい つい買ってしまったんですが、、あっはははは。 まず「大人の女」という触れ込みで入ってきた夏川さん。 それを眩しく思う「私」だけど夏川さんの魔性の女ぶりが 次第に明かされていって、、という話です。夏川さんは夏川 さんでやりたい放題やりながらも憎めない部分があるんですが、 どうしてそうなったのかぁ?という部分がまるで藪の中。ヒントも 何もありゃしない。そして時折出てくるブラジルにいる「私」の彼の 都合のよさ。章ごとの間に入るどうしようもない性描写、と構成 的にこれは虎の穴に投稿されてたら罵声を浴びるのではないかと 思いました。「私」自身の性格付けも薄いし。 ただこの作者さんが書きたい世界というのはやっぱりはっきりしていて 私もどこか憧れてしまう部分があったり。だからよけい構成の下手さに 腹立ちました。(゚д゚)がそれ以下しか書けないにしてもプロでそれは ないだろうみたいな。そんな感じで今週末は外れ続きでした。 はは。
79 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2001/07/18(水) 01:20
>>79 あー、それは参加してた(w
今みるとヘタクソで笑える、、ていうかウトゥ。
上野千鶴子アレルギーの(゚д゚)さん、質問なんですが「男体文学論」でもうっかり 読んじゃったんですか?こないだ蓮實重彦「絶対文藝時評宣言」読んだときに かなりあの人にしてはストレートな物言いでそれを攻撃してましたが。 と、読書と質問をからめてみる。
藤沢周平「神隠し」 薦められて読みました。基本的に日本の歴史モノって、 平安時代以外スキじゃないんですが、これはうーむ、短 編小説はこう書くんだなぁ、という見本のような本でした。 薦めてくれた人曰く、物語の舞台を現代に置き換えても 違和感のない作品集だったんですけど、正にその通り でした。こういうの読むと、自分の書いたものがクソみた いに思えてきます。もちろん愛着はあるんですけどねぇ、、 「告白」 これはよかったです。娘が結婚した後に明かさ れる真実。もうちょっと歳の若い夫婦だったらドロ ドロすると思うんですが、長年連れ添った夫婦だ からこそ許される結末というか。こういう必然性の あるラストの結論の出し方とか、上手いなぁ、と思 いました。 「三年目」 すごく短いんですけど、ムチャクチャ濃い話。ありきたり の話なんですが、ラストに個性出てますね。こうい う無邪気なものの見方、ダイスキです。 「桃の木の下で」 ちょっとした推理小説仕立てになっていて楽しめました。 ほのかな恋心がぽわ〜んという終わり方がスキー 「暗い渦」 一番よかった話です。健気な恋心とすれ違いのような一つ の決まりきった恋愛の終わり方が上手く絡まっている感じ。 「夜の雷雨」 これは読後感が非常に悪い話なんですが、きれいに書け ていると思いました。この話に出てくるようなおばあさん、て 感情移入しやすい。こういう人物を書けたらなあ、と思います。 「神隠し」 表題作なんですが、これも暗い、、ただ切ないラストに思わず 泣いてしまいました。人生ってこういう事ばっかりなんですよね。 ・・ああ、グチです、、 後関係ないんですが、後書きがすごくよかったです。こういう 細部まで手抜きしない人って、本当に真の作家だなぁ、と 思いました(゚д゚)
84 :
(゚д゚) :2001/07/23(月) 21:19
江國香織「いくつもの週末」
ああ、また言ってしまう、、だけど言います。今年読んだ
本の中で一番よかったです。本というより、今まで読んだ
エッセイの中で一番よかったかも。限りなくノンフィクションの
はずなんですが、江國さんの出世作、「きらきらひかる」と
かなり被っている事に驚きました。あれを書いた時からこ
んな結婚生活になる事を予測していたのだとしたら、本当に
すごい人だと思います。作家としてではなく人間として。
私は幸せの頂点にいる時、「ああ、今が一番幸せかも」
と悟ってしまう悲しい性格なんですが、江國さんの場合、
もっと先まではっきりと見えてしまうんですよね。愛に満
ちているようで、実はすごく悲しい。こんな貴重な感情を惜し
げもなく書き綴れる彼女の切符のよさに感服。余りにもきれい
で悲しくて、カップルや高校生が仲良く語らうケンタッキーで
思わず泣いてしまいましたよ、、(゚д゚)(゚д゚)
>>82 日雇い人夫さん
いやいや上野千鶴子の本は読んだことないんですが(w
TVに出ているのをみて嫌いになったんです。フェミニスト
の「男は一体何でうんぬん」ってほとんどが男だけじゃな
く女にも当てはまるんですよね。そこに性別持ってくるの
はどうよ、と(゚д゚)的には憤りを感じる訳で。
女でいると差別と同じくらい優遇されている事もある訳で、
男も自由な分だけ責任もある訳で、ジェンダーの問題って
ものすごく難しいと思うんですよね。ああ、熱く語ってしまい
ました、、(゚д゚)
いま吉本隆明の「日本近代文学の名作」など読んでるところです。私は評論ばかり 読んじゃう方で全然名作ものに当たってないんですが、「作家の値打ち」とともに ガイドとして参考にしようかとおもってます。こないだやっと川端康成の「千羽鶴」 読んだし。まあ良くわかんなかったんですが。 (゚д゚)さん、とりあえずそれぞれ違うものなんだ、とだけ今は思う事にしています。 あんまりそんな事でどうこう言うのはあまり面白そうじゃあ、なさそうなんで。
書いている小説が進まないので本ばっか読んでるYO! ああ、もう一言言えばシメキリ(ライタの方の)からも逃げてる、、 藤沢周平「暗殺の年輪」 これも仲良くしている人からもらった本です。 面白いんだけど暗い話が多く、悲しいハッピーエンド(造語)が好きな (゚д゚)にとってはちときつかったかも(w この本の中に北斎と広重の話があったんですけど。 面白いんですが、せっかく画家同士の話なんだから もっと絵の話してくれYO!とか思ってました。(゚д゚)は 北斎派なんで、もっと強気でいてほしかったと。それに してもこの間ヴェルディが作った養老院の特集を みて感じた気持ちになりやした。輝かしい過去を持った 人の晩年ってかなり切ないっすよね。美人薄命ってよい 言葉だと思ったりなんかしちゃって。残念ながらどちらか というと生き延びる方みたいですが(w 「囮」という話は今でも繰り返されているお話のパターン でしたね。暇な時に起承転結スレにでも書いておこう。 ネタ切れた時に使おう、という不順な動機ですが。 2冊しか読んでないのに言うのもなんですが、どちらか というと「神隠し」の方がおもろいと思いました。
江國香織「都の子」 この人って前から変わった人だなぁ、とは思って いたんですが、これほどとは思わなんだ。江國さんの 独特の世界って作り出されたんじゃなくって、そのまま 江國さん自身だったんですね、、むむむ。 ちなみにエッセイというより作文みたいでした、この本。表現が 汚い所が多々あるし、脈略がなさすぎる。それでも最後まで 読んでしまうのは、あまりにもこの人が変わっていて、次は 何言い出すんだろう、という部分があるからに尽きると思われ。 「きらきらひかる」の笑子とか、どうやったらあんなに特殊な人を 自然に書けるのかと疑問に思ったことがあったんだけど、 ・・・江國さん、それ、あんたやん!みたいな。 雨ふりおじさんの歌とか自然に口ずさめる江國さんは、本当に 小説を書くために生まれてきたんだろうなぁ、としみぢみ。 変わってると言われることが多かった(゚д゚)ですが、この本を 読んで私は凡人だぁ、、と素直に思いました。
ヨースタイン・ゴルデル「カードミステリー」 二日で読んじゃいました。はやっ(w いやいや面白かったです。宮部みゆきとかシドニィ・シェルダンに 通じる先が気になり夜も眠れない系。 ただ「ソフィーの世界」と共通して言えることは、(後シドニィ・シェル ダンにも)読んだ後にあんまり残らないんですよ。ああ、面白かった 、んで何だっけ?みたいな。ゴルデルさんは哲学の先生だった人で 分かり易く哲学の面白さを伝えるために小説を書いているような所が ある人なんですけど、チョトその辺は空回りしているかも。 ただこの量(すごく分厚い)を一気に読ませる点にはひたすら脱帽。 130枚予定の小説でまだ3枚しか書けていない私は何なのだ、、と、、。
89 :
(゚д゚) :2001/07/26(木) 21:56
>>85 日雇い人夫さん
おお、(゚д゚)とは全く逆のパターン!私はお話ばっかり読んじゃって
批評系って全然読んでないんですよ。「日本近代文学の名作」、
面白いですか?今度買ってみようかなぁ。
千羽鶴はかなりスキな小説です。繰り返し出てくる茶碗にかなり
やられた記憶が。そう考えると小説って本当にそれぞれで
面白いっすね(゚д゚)
面白いかどうかは吉本をどう見るかによるなあ。オススメできるかどうか……。 立ち読みで済ませた方がいいかも。そんなにむつかしく書いてないから、サラッと 読めるでしょう。私はもともと日本のSFばっかり読んでたから、文学らしいものに 当たってないので参考にって事なんで。 大体小説より漫画の方が遥かに読んでる量多いのです。なんせのらくろから筑摩漫画 選集から(これ読んでると赤瀬川源平の櫻画報なんかの話が出来る……といっても誰 も知らないけど)漫画少年から読んでますから。おかげでオリジナル書きにくいので す。
91 :
ネギ :2001/07/29(日) 01:02
結局、どこかに公開という形にした方が、自分のサボリが他人の目に晒される訳 だから緊張感が出て、読書量も自然に増えて万々歳、という事で、一人で日記や感想記 付けてても続かないのでここを利用することに。HN考えるのに一晩かかったので読んだ のは昨日になるんですが。本を読んで思ったことなんて、いくらら強い衝撃を受けても、 やがて忘れるから、大したこと書けなくても感想くらい残しておいた方がいいんです。貧乏性。 「オイディプス王・アンディゴネ」ソポクレス 福田恆存訳 岩波の別の翻訳者と比べてこっちが読みやすそうだったから決めたものの、王が民 衆に向かって「お前ら」。これは最後まで違和感が。一番最初は「我が子ら」なのに。 エディプス・コンプレックスの元として知られてるこの話、「男性が無意識のうちに 自分と同姓である乳を憎み、母の愛を得ようとする態度のこと(広辞苑)」とフロイト が定義したらしいが、どうもそのようには読めなくて。臥所を共にしていたのなら おそらく気付いたであろう自分の息子である証拠を、母が知らなかったと、父の面影 を見なかったかと、知りながら息子と交わっていたんじゃないかと、そう思えて仕方ない。 別に近親相姦萌えじゃないですが。 次の「アンディゴネ」でも、アンディゴネが兄の埋葬を、禁を破って命を懸けて まで行うのは、兄妹愛、家族愛、神々の掟を犯した王への反抗、それ以外にやっぱり、 禁忌の愛があったのではないかと。近親相姦者オィディプスの娘であるだけに尚更。 アンディゴネの方はオィディプス王よりも作りがチャチに見え(オィ〜が悲劇として 完成されすぎてるからかもしれませんが)、途中に挟まるテンションの高いコーラス が不自然。
92 :
ネギ :2001/07/30(月) 01:50
藤枝静男「悲しいだけ・欣求浄土」(講談社文芸文庫)のうち、後半、連作「悲しいだけ」 大傑作「空気頭」以降に書かれた作品をまとめたもの。もう一つの特大傑作「田紳有楽」 以降のをまとめた「欣求浄土」の方は、ラスト一編以外の印象がイマイチだった。自然 主義系作品に興味のない私にとって、志賀直哉を師と仰ぐ藤枝の自然好きにはちと ついていけなくて。しかし古美術嗜好については、知らない分野だけに興味深く読め、 いい歳した老人が胸ときめかせて土器に興奮するくだりなんか、可愛い。 「出てこい」内に引用されている、三枝充悳という人の「大智度論の物語」で語られて る、自分が「在る」ことについての文章が、昨日思いつきで書いた、人が「在る」ことと 「無い」こととの違いなど、あまりないんだという意味の私の文にそっくりで、読んだ 瞬間驚いたものの、今確かめなおすと意味が違う。興奮先走り。 「庭の生きものたち」を読んでると、ほとんど異世界を描いたと思っていた「田紳有楽」 が、作者の目を通したゆがんだ現実を書いた私小説、ってどこかで聞いた表現だと 思ったら大塚英志の吾妻ひでお評。大塚作品はサイコ途中で迷走しか知らないから 措いて、確かに吾妻と藤枝は繋がるな、と。蛇と蝦蟇と鯉と鮒と雉鳩が共存して (食われたりしてるが)いる庭を間近に持っていた作者は、身近に異世界を常に感じて た、と。いや、ほとんどは自然主義風私小説なんですが。ともかく「田紳有楽」は。
93 :
ネギ :2001/07/30(月) 02:12
牧野信一「父を売る子・心象風景」から、前半収録の、いわゆる「父親小説三部作」 と二編。 連続して私小説。別に私小説好きでもないのに。 醜い家庭内の出来事を書き、父親が憎いと書き、母も妻も親類もウゼえと書く、 父の事を小説に書いたことを父に知られて父切れる、「小説─と云ってしまうのは、 おそらく狡猾で、下品なまねだろうが・・・・・・。」と主人公に言わせてるように、本来 ならばワイドショー的不愉快さ、おぼっちゃん愚痴小説なんて、途中で投げ出して しまいかねないのにスラスラ読めたのは、何よりも、全編「父への愛」に溢れているから。 途中、同人にその創作態度をボロクソにけなされてる場面があるが、その中から現在 に至るまで作品が生き残っているのは牧野一人というのが(浅原六郎、下村千秋って 名前が出てますが、知りません)アレ。 しかしこうまで自分を、あるいは家族を、暗く掘り下げて書くとなると、どうしたって 苦しむしかないのは悲しい。やっぱり自殺してるし。上記エディプス・コンプレックスには 当てはまってませんね。父へは憎しみ以上に愛が強く、母へはその欠片も見当たらない。
94 :
ネギ :2001/07/30(月) 02:21
作品というわけじゃないからちゃんと推敲してないと、やっぱおかしい部分が出てくる
なあ・・・
>>91 下から8行目
>おそらく気付いたであろう自分の息子である証拠を、母が知らなかったと、父の面影
>を見なかったかと、知りながら息子と交わっていたんじゃないかと、そう思えて仕方ない。
は
おそらく気付くであろう自分の息子である証拠を母が見なかったとは、父の面影を
見なかったとは思えなくて。知りながら息子と交わっていたんじゃないか、と。
だな。他にもおかしいとこあるだろけど、眠気は全てに勝ります。
95 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2001/07/30(月) 08:04
にゃあ
96 :
ネギ :2001/07/31(火) 02:52
「かめれおん日記」中島敦 自らの良い部分を封印し、変に希望を持って絶望を知ることのないように凡人を 目指し、結果 「自分が苦心の結果取除くことに成功したところのものが、如何に黄金なす緑色を なしていたかを悟った時には、すでにそれを取返す術を失っているのだ」 と煩悶する姿は痛々しい。ただあれやね、素晴らしい才能であってもつまらないもの であっても、時が過ぎればどっちみち取り返す術は失うんだけどね。というわけで ちょっと青々しい中島さんです。 「光と風の夢」中島敦 「傑作」と一言書くだけじゃ何の鍛錬にもならない。 スティヴンソン(スティーブンソン、「宝島」「ジキル博士とハイド氏」等の作者) のポリネシア生活記を、客観的記録と、スティヴソンの日記とに、章ごとに交代し 書かれている。読み進めるうちにいつのまにかスティヴンソンの叫びは中島の叫び に、スティヴンソンの憤りは中島の憤りに見えてくる。 引用しようと付箋を貼ったページをめくっていたところ、日本の文壇批判ともとれる 文章等、あまりに正論で(中島敦にとっての)、若さ故の激昂とも思える。しかしその 言葉はスティヴンソンと同じく若くして亡くなった中島が書くだけに、真摯に響く。てか 引用は面倒なんでこれだけ 「読者を納得させるのがリアリズム。読者を魅するものがロマティシズム」 「悟浄出世」の続編とか考えてたけれども、深い知識に裏打ちされたこの人の作品 には、今のところ到底太刀打ち出来ませぬ。
97 :
ネギ :2001/07/31(火) 23:44
「夜叉ヶ池」泉鏡花 代議士(鉱蔵)「俺なぞは、鉱蔵は、村はもとより此処にいるただこの人民蒼生のため というにも、何時でも生命を捨てるぞ」 主人公「死ね! 死ね、死ね、死ね、民のために汝死ね。見事に死んだら、俺も死んで、 それから百合(恋人)を渡して遣る。死ね、死なないか」 いや、気持ちいい。人妖入り混じっての、根っこは恋愛ロマンス。ラストも気持ち良い カタルシス。山下和美「不思議な少年」第一話もこんな感じのラストだった気が。 「天守物語」泉鏡花 夜叉ではあれほど気持ち良かったラストがこちらでは不満。しかし解説の渋澤龍彦 ─この桃六(ラストまとめる人の出現によって、劇ぜんたいが一挙に高い批評性を 獲得したといえるからだ─ ─戯曲としての質の高さからいえば、ドイツ・ロマン派風とはいえ単純で土俗的な 匂いを払拭しきれない「夜叉ヶ池」よりも、この「天守物語」のほうが数等すぐれて いるのは論を俟たぬであろう─ と書いてるが、「単純で土俗的な匂い」が大好きな身からいえば待つも待たぬもない。 戯曲としての質の高さ=劇にした時の格調の高さ だとしたら、なるほど夜叉〜は ラストがあまりに物語的に綺麗なオチで、劇としても大洪水は現しにくいかもしれない。 しかしやはり、天守〜の狭く閉じられた、ラストがあまりに作劇的なものよりも、 夜叉〜の持つ強い情熱と愛の力強さ(ああ、これは恥ずかしい言葉だ)と土臭さと の方が好きだ。大好きだ。 渋澤龍彦好きなんだし。
98 :
ネギ :2001/07/31(火) 23:48
また忘れてた。澁澤龍彦、がただしい。 あと、ここ数日私しか書いてませんが、この板の人が誰でも読書日記を書き込むスレ だと思ってたんですが、最近は(゚д゚)さんばかり書いてたようだけれど1は違う人 だし、と、読み直すと実は1=(゚д゚)さんのようだし、この板の他のスレはろくに見て ないから空気読めてないし、で、いや、でも便利だし、まあいいか。
99 :
漏れは :2001/08/01(水) 00:28
良スレだからチェックしてますよ、いつも。 (゚д゚) さんも一人だと疲れるカモー つーわけでいいんじゃないでしょうか? >ネギさん
お、このスレの救世主が光臨してるYO! 鈴木清剛「ラジオデイズ」 文藝新人賞受賞作。ストーリーがどうしようもないのに、なんか ぐいぐい引き寄せられた作品です。文体とか言葉遣いが平凡 なのになんか読ませる、てこれはセンスの部分だなぁ、と思う 次第で。ファッション系の仕事をしていた人だから、視点の 珍しさというのがあるにしろ、なんだかじわ〜んとくるよさがあった。 本当にストーリーはどうしようもないんだけどねぇ。ただ長年会って いなかった友達と突然1週間一緒に住むという。うーん、何が いいかと訊かれると言葉に詰まっちゃうんだけど、こういう作品が 新人賞取るのはステキだなぁ、と思った。オミズの話とかSMとか そういうのにはかなり食傷気味なもんで(゚д゚)
あ、救世主ってネギさんのことだよ、念のため、、 キョウコ・モリ「シズコズ ドーター」 昔英語で読んで途中で止めちゃった話なんだけど、今 読み返すと笑っちゃう位におもしろかったです。すごく 色々不満があるんだけど(話が恐ろしく中途半端なのと 有紀の義母にちっとも救いの色がないため) 何だかこれくらい濃い話だと許せる、ていうか。 最近どうも文章の技術を上げよう上げようとばかりに気を とられてチョト反省。いい話、ていうのは技術とは全く別の 所にあるんだなぁ、としみぢみ思いました。 それにしても章それぞれに植物や果物の名前がついている 系の小細工って好きっすね。読む楽しさが増えるYO(゚д゚)
感想書こうと思ってたらアプする人が増えてるー ヽ(´ー`)ノ 【エバ・ルーナのお話】 イザベル・アジェンデ 人に薦められたのですが「すごく面白かった…」だと感想にならないですね、ハイ。 面白すぎて何となく気に入ったエピソードを延々ベッドで読み返す、そんな本でした。 僕にとって何度も読める本、その度に発見があったり面白さが褪せない物語と いうのは良書の一条件なのですが実際にはこれがなかなか。久々のヒット。 (゚д゚) さんのフレーズじゃないですけれど「今年一番良かった」デス。 南の奔放で奇怪な想像力と、女性らしい深い優しさが混じりあって 独特の雰囲気を醸しています。政情不安定な南米の国で語り部 エバ・ルーナが語る23の物語。普通これだけ数があるとアタリは 半分以下だろうと思うのですが、打率(?)は八割以上でした。 何というか物語の力を信じたくなる、そんな本。 自身が「村から村へと渡り歩く語り部になりたい」と、どこかで言って いたのを読んだ憶えがあるのですが、それを地でいく「二つの言葉」と いうエピソードから、怒涛の想像力に溢れた「お話」が次から次へと 紡がれて…一日一話のつもりが仕事中に読み始めて止まんないぃぃぃ。 あえてベスト3は「ある復讐」「二つの言葉」「小さなハイデルベルグ」。 舞台であるアグア・サンタはマコンド(百年の孤独)やパロマ(ラヴ∩ロケッツ) を髣髴とさせます。魅力的な場所なので拝借してなんか書いてみようかとか そんなことを思わされたり。自由な想像力が売りの物語や作家は大好きなの ですが、これまで読んだものと較べて優しさが際立ってました。愛情の欺瞞や 裏も自覚しつつそれらも飲み込むような、そんな大らかな優しさ。 気のおけない恋人と深さを分かち合いたくなる、そんな本でした。ヽ(´ー`)ノ
で、仕事を抜け出し本編の「エバ・ルーナ」を買いに御茶ノ水に 行ったのですが残念、ナカタよ。腹いせに「愛」と「権力」繋がりで マルケスの「予告された殺人の記録」を買ってきちゃいました。 こうして未読の本が溜まっていくナリ… ヽ(´ー`)ノ
104 :
ネギ :2001/08/02(木) 00:56
>>100 単に、自分を律する力としてここを利用してるだけ、なんですが。
今日は映画千と千尋と、漫画サイボーグ009を1〜3巻で、ここに書くことはねえんですが、
下がりすぎもあれなんでage。
【踏みはずし】 ミシェール・リオ 愛とは、優性の異形だ、 自ら規律を任じても 甲斐のない、あわれな異形だよ 新書版が出ていたので購入(ハードカバーに手を出す勇気がナイノヨネー)。 主人公は一匹狼の殺し屋。財界の大物を暗殺するという契約を、これ から殺すターゲットに依頼させるサスペンス風の始まり。歴史書を愛読 し哲学的な台詞を口にするこの奇妙な主人公は、自ら定めたルールを 偏執的な正確さで遂行していくのだけれども、それは決してプロの矜持 などというものではなくて、持って生まれた悲劇的な性格に所以している (と思う)。「愛」によって男のルールが崩れていくのが見ものなんですが 別に哲学的な深みをイマイチわかってない僕みたいなのでも十分楽し めました。しかしまあ何というか、ある小さな娘を連れた女と恋(と呼ぶ には少々アレです)に落ちて、男のロジックに亀裂が生じるのだけれど だったらだったで素直になれよコノヤロウヽ(‘Д´)ノ と作者の意図を 無視して怒ってました(w 。そんなに思いつめなくてもなあとか。 エバ・ルーナ読んだ後だったので特に…うーん、「良質」(w この妙な理屈っぽさは五年も若かったら もりもりハマッたかと思いますー ヽ(´ー`)ノ
ニール・ジョーダン「チュニジアの夜」#1 全部読んでから感想書こうと思ったんだけど、忘れちゃいそうなので 少しづつ。作者さんは「クライング・ゲーム」という映画を撮った監督 さん。映画撮り始めるまでは監督だったのね。ビクーリ。 多分この本はいわゆる「文学」なんだと思います。ストーリーがどうこう とかいうよりも、表現の美しさを追及しているというか。2年前だったら 途中で投げてますね。今は以前よりは真剣に(w 文章書いているか ら色々ためになる。装飾過多なんだけど、言葉の使い方が独特なんで ある意味ネタ本かも。 「最後の儀式」 何故か銭湯で最後を遂げる人の話。どうでもいいんだけど、シャワー ルームについてこれだけクドクド描写できるもんなのかと目から鱗。 情景描写が苦手なんで、そういう意味で読んでよかった。 「誘惑」 これはよくありがちな「少年が夏にだけ訪れる場所で友人と女の人に 悩殺される」という(w 一言で言うとつまらなかった。ただフライドポテトの描写と悩ましい? ラストは好きかも。 「砂」 むちゃくちゃな話なんだけど、割と心に残るかなぁ。 お姉さんがレイプされかかるきっかけを作ったという 話。ついつい頭に浮かぶみのるタン。ハァハァ(゚д゚) 「ソロモン氏の涙」「チュニジアの夜」 なんで並べて書くかというとネタ的に被ってるから。 表題作は大好きな音楽モノなのにつまんなかったっす。 ただ「ソロモン氏の涙」と合体させたらさぞかしいい話に 仕上がっていたろうにとチョト残念。 「皮」 残酷な人生、て感じですね。冒頭の文章がすごくよかった。 今まで読んだ中では一番短編としてキレイだったように思う。タ マネギ切っている最中に指をざっくり切り落とした状態を夢想 しているという感じで始まるんだけど、台所の描写が異様なほど 細かくて、あんまり話を読みながら絵が浮かばないタイプなんだ けどこれははまりやした(゚д゚)
107 :
ネギ :2001/08/02(木) 23:45
短中編乱れ読み 「片恋」ツルゲーネフ 米川正夫 訳 この後に収録されている「ファウスト」(題名につられて以前先に読んだ)と比べる とやや落ちる、というか、「ファウスト」(地獄めぐりとは関係なく、温室育ちの奥様に、 ゲーテ作ファウストの一節を聞かせると、強い刺激を受け、恋とからめて最後は死に 至る、という、今は失われてしまったかもしれない書物の持つ力の強さを書いた作品) が大好きな(また泥臭さだ)だけなんですが。 どうだろう。苦痛もなく訳に不満もなかったけれど、登場人物達のように感情が 高ぶりまくる(ロシアの連中は高ぶりすぎですが)ことはなかったです。 「死霊の恋」テオフィル・ゴーチェ 田辺貞之助 訳 「あたしずいぶん長いことお待ちしていましたが、とうとう待ちきれずに死んでしまい ましたの」 別に調べて選んだ訳ではないのに、上のツルゲーネフと、同時代、老人が若き日の恋 を語るという形、警句じみた最後の締め ──こうした果敢ない草花のあるかなきかの香織でも、人間のあらゆる喜びや悲しみ より寿命が長い──人間自身より寿命が長いものです──「片恋」 ──決して女を見てはなりませんぞ。いつでも地面をみつめて歩きなされ。いかに 邪心のない悟りすました人でも、一刹那の気のゆるみは、手もなく永遠をうしなわせる ものですからなあ──「死霊の恋」 まで似てる気がする、と書こうとしたのに、打ってみると全然違いますね。 話は、まあありがちなんですが、死後蘇った遊女のセリフ(最初に書いたのとか)が 美しいです。似たような題名のなら夢野久作「死後の恋」のが上かと(しかし私は 内容を思い出せません)。
108 :
ネギ :2001/08/03(金) 00:06
「化粧」川端康成
わずか三ページの小品。我が家の便所の窓から向かいの葬儀所の便所が見える。
化粧をする女を見て嫌な気持ちになる(女子高生電車内化粧と似たよな気持ちでしょう)。
そこで
──私は好きな女達へ手紙へ出しておこうかと思ったりした。彼女等に魔女の仲間
入りをさせないようにである──
と思う主人公。そら変態扱いされますのでやらなくて正解。
ラストはゾクっと来るので内容書かず。
「結婚申し込み」チェーホフ 米川正夫 訳
直球ベタドタバタ喜劇です。ちょとしんどくなってきたんで流しますが、ラスト、
それまでと同じことをやっているのに夫婦となっただけで意味が違う(と端からは
見える)、ああ、これを書きたかったんだな、と。
「遺言文学」葉山嘉樹
なんだか紙を見る気が失せたので、青空文庫から適当にDLしておいたもの。
「遺言のつもりで、命を懸けて作品を書けば人を打つ凄い作品が出来るはず」
と言いたいらしい。文学と生命との距離が近かったプロレタリア隆盛期。しかし
これを友達に言っちゃいかんでしょ。
「人間レコード」夢野久作
題名から想像したほど酷い情景は書かれてませんでした。同じ作者の「人間腸詰」の方
では・・・(以下略)上記チェーホフ同様「これが言いたかったんだな」系。二回言ってます。
「失敗園」太宰治
これは、なんちゅーか、作品自体がしっぱ
>>96 の日に得た満足感は今日はなかった。作者も作風も乱雑な作品群だったからか、
作品数がちと多すぎたか。私の読書に当たる姿勢は「量より質、質より量、などでは
なく、大量に良質のものを」なんですが。
109 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2001/08/03(金) 01:06
sage進行やめれ。
110 :
(゚д゚) :2001/08/03(金) 21:42
江國香織「泣く大人」
仕事でストレス溜まってたので新刊買いました。
しごく無難なエッセイ集でした。
>>87 と比べると文章の
美しさとかが雲泥の差なんだけど、あまり心に残ら
ないというか。むむむ、好きな作家なのに盲目的に
なれないのは(゚д゚)が歳を取ったからかなぁ?
それにしてもこういうのは格好悪いから書かないよ
うにしよう、という事を最近どうも本を読んでいて意
識しちゃうんですが、ダイスキな江國香織なのにこの
本にも似たような事を感じる個所が多々あって、何
だか悲しくなった。
「男友達の部屋」という章?がある。「こういう人は嫌
い」とカテゴリ分けしているんだけど、そこがどうも
気になった。ストレートすぎて、それこそ2ちゃんねる
の落書きみたい。言葉のよい所は感情をオブラート
に包める事だと思うんだけど、違うかな?活字にな
ったワルグチめいたものは江國香織らしい要素も溢れ
てはいるんだけど、なんだかなぁ、という気持ちが
抜けません、、そういう意味で池澤夏樹の「インパラ
は転ばない」は良質だった。自転車泥棒に対して
怒っているパッセージがあるんだけど、実際自転車
盗んだ人も素直に反省できるユーモアが溢れてたから。
どうせ書くならそういう読後感のいい文章が書きたいもの
デスネ(゚д゚)
>>109 ageてみますYO!
エイミー「対談集」 厳冬社文庫の新刊で出てたやつ。タイトル忘れた。 輝様との対談が入ってたから、そこだけ立ち読み。 何年か前(まだすばるの審査員をしていらしたころ)の対談らしいけど。 …あぁ、輝様。 知っているネタがほとんどだったけど、 中上健次を「中上」と少し親しげに呼び捨てにされていらしたり、 いくつかうれしい新発見もございました。 (゚д゚)、たくさん読んでるのね。
112 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2001/08/03(金) 22:41
>>111 あ、テルだ!!!!
で、あのクソ長いタイトルは荒らしじゃないの?
あれは、やめよーよ。
あんま本を読む時間が取れるわけじゃあないので、 ここ最近読んだ物で感じ入ったことなどを少々、この場をお借りしてフィードバックさせてもらいまさぁ。 フランツ・カフカ『城』 これすごすぎ。ここ一年で読んだ物では最高だった。 百年ぐらい前に刊行された本なんだけど、20世紀の近代社会と言うか、 疎外というか、一人の人間が世の中に向き合おうとしたときに起こる混沌が 不条理混じりに描かれていてほとんど鳥肌モノの興奮を覚えながら読みましたわ。 途中で打ち切られたかのように終わるのも、主人公=作者の、城=世の中を知るための 探求が絶望に終わったかのような感じがしてリアルでいい。 個人的にこれほど打ちのめされた小説体験は初めてだよ。 ビートたけし『たけしの死ぬための生き方』 これ、バイク事故起こした直後に書かれた奴。 個人的にたけしはお笑い芸人としか見ていなかったけど、作る映画を見て考えを改めた一人。 映画で言えば『キッズリターン』を作る直後に書かれた物。 この「生きること」に対する、それと同じ意味で死ぬことに対する生々しさは戦慄すら覚えてしまった。 あんま関係ないが、北野映画でお勧めはやはり『ソナチネ』。 死生観があれほど見事に打ち出された作品は見たことがない。
人が増えててビクーリ ヽ(´ー`)ノ
【サーカスが通る】 パトリック・モディアノ
僕には過去のこととなった事件や亡霊に彼女が今なお
とらわれているのを見ると、胸のしめつけられる思いが
した。ぼくは外界に出たのに、彼女のほうは海岸近くで
波とたたかっているようだった。
「踏みはずし」に続いてフランスもの連チャン。作者は
「イヴォンヌの香り」の人なんですが映画すら見ていなかったりして。
六十年代前半のパリ。そこで起こった数日の事件を大人になった
「ぼく」が回想するという筋立て。十八歳の主人公の男の子が
謎めいたジゼルという年上(二十代前半)の女の子と出会う。
主人公は長い間、唯一の肉親である父親と離れて暮らしていて
寄る辺のない孤独を抱え、ジゼルは何か秘密を背負って生きてい
るらしい。そんな二人が互いの秘密や傷を少しずつ解いていって
未来へ気持ちを向けていく…のだけど、もうどうしようもなく悲しい
雰囲気が漂っているんですねえ。不意に挿入される大人になった
「ぼく」が、こんなことがあった、あんなこともあったって回想する
ものだからだと思うのだけれど。
ローマに向かう二人の為に、幻の列車が使われていない駅
に止まるビジョンが胸を打ちました。
あまりと言えばあまりの終わり方に元気がなくなりそう。
>>111 おお、テルさんだぁ、ファンですよー ヽ(´ー`)ノ
続き。 R・ガートン『ライブガールズ』 バカエロホラー、称して「スプラッタパンク」の文脈に連なる作家の一人。 いやぁ、アホでいい。中身はと言えば主人公がエロ小屋に行って吸血鬼にチンポ噛まれて 吸血鬼になる、と言うのだが、ニューヨークを舞台にしたその辺の「パンク調」が妙に心地よい。 俗受けの要素満載でおもしろいことはおもしろいんだけど、その裏に透かして見える現代社会の病理を思うと ゾッとするわな。 三島由紀夫『潮騒』『仮面の告白』 三島は合わないだろうなぁ……と思って読んだらその通り。 あんま好きではないな。よく太宰と比較されてるが、太宰の方が好きだ。 太宰の場合は自分の信念に従ってる感じがするが、三島は感触で生きている人間なような気がする。 まぁ、どちらも現実と自己の理想とのギャップに苦しんで自殺した人なんだろうけど、 太宰は自分の信念を貫き通すための自決、三島は自己から逃れるための自殺、って感じがするな。 二冊しか読んでないのにいいすぎか。5点。 カミュ『異邦人』 簡単に言うと、「母親の死で泣かなかった男が周りの人間に殺される」話。 常識を押しつけたり自分勝手な正義感を押しつけるバカが多い中でこれほどの寓話はねぇな。 もう言葉もない。 #感想に対する反論もお待ちしております。
なんか感想書くのってこそばゆいな。 もうやめよっと(笑
117 :
ネギ :2001/08/04(土) 00:51
「好色の魂」野坂昭如 そういやこないだ選挙出てたなあ、とか、来週映画「火垂の墓」やるなあ、とかは 関係なく。 読み終えた後調べるまでは、主人公は宮武外骨と野坂本人を混ぜた人物だと思って たのだが、モデルは梅原北明という人。エロ・グロ雑誌を官憲の弾圧に負けず律儀に 出版し続けては潰したりしてた人。 ──だからあらかじめ一文の高僧を練り、論理的破綻きたさぬよう整えて筆をとる ことは苦手で、時には筆がすべり、自分勝手な飛躍につぐ飛躍が続いて── と、自身と梅原を露骨に重ね合わせるような文も。 昨日読んだ「人間レコード」にも名前が出ていた片山潜の名を見つけたり、友人に フィリピン行きを誘われた翌日読んだこの本にフィリピンに住んだ日本発大悪人村岡 伊平次のことが載ってたり、その類の因縁は、当然偶然。 宮武外骨のことはすぐに思いついたのに、読み終えた後まで全く頭を掠めなかった、 映画「ラリー・フリント」。舞台はアメリカでも内容はこの本と同じく筆禍者の伝記 なのに。出来は「好色の魂」の勝ち。 野坂文体が好きな自分ならともかく、梅原北明という一人物の伝記が、小説として 面白いか、他の人にどう映るか、それは知らず。最近「面白い」の感覚がはっきりと 分からなくなっている。おそらくこれは、明かに疑問の余地待つまでもない駄作を 読めばすぐ治るだろうけど。ともかく今日は、33年前の書物に頭を下げつつ楽しく読んだ。
原ゆたか「かいけつゾロリきょうふのカーニバル」 私このシリーズを楽しみにしてまして、ついこないだ新刊のこれが出てたんで早速 読みました。まあこういうユーモア少年向けっていうのはあまりなくって、あって も私向きじゃないもの多いんですけど、これはなかなか昔懐かしい展開のバカバカ しいシリーズなんで結構楽しめます。 まあゾロリというドジな盗賊がイシシとノシシの2人の子分とドタバタやってるだけ なんですけど、いちおう時代に合わせてモーモー娘とかチュンくんなんていったキャラ も出てきます。話はゾロリのたまたま立ち寄った村での出し物をカーニバルのコンテスト で勝たせるためにゾロリがからんで、それを利用して銀行のお金を盗んじゃおうてな 筋になってます。ラストはお約束。なんかこれ読むとほのぼのしていいなぁといつも 思います。息抜きにいいと自分では思うんですけど、どんなもんでしょうか。
【流れよわが涙、と警官は言った】 P・K・ディック おれにはわかるよ。あんたは夜遅くひとりきりでいたくないんだ。 ことにちょうどいまみたいに季節はずれの冷え冷えとしたときにはね。 本を整理してたら出てきたので、何となくめくり始めたら止まらなく なりました。ずいぶんと前に読んだ時に「二度と読みたくないな」と 思ったのですが、やっぱりすごい話でした。SFミステリーとしても 楽しいとは思うし、ディックお得意の「自分や世界の不確かさ」って テーマも出ているのだけれど、自分にとってはそういう部分は割と どうでも良かったりして。そういうのは「ユービック」とかでいいや(w 抱えきれない悲しみを背負った署長がガソリンスタンドで黒人に 抱きつくシーンは圧巻。いずれ消えていく人種として設定されてい る黒人が実は一番人間らしかったり、彼自身が黒人を撲滅する側 の人間であるというのは皮肉だけれど、そういう事ではなくって。 暴虐の世界でそれが幻想であれ、一人の人間として個人と個人が 優しさを持ってつながった瞬間に自分は打たれてしまったり。 そして登場人物たちのその後が至極あっさりと語られて、それが また妙な読後感を誘ってます。最後の一節は希望なのか諦念なのか。 自分は希望であって欲しいと密かに願う軟弱者ですが(w ♯正直、自分はきっとディックの良い読者ではないのだろうと思う。 ヽ(´ー`)ノ
120 :
ネギ :2001/08/05(日) 00:38
「イセ市、ハルチ」(「なにもしてない」収録)笙野頼子 「なにもしてない」読んでる時は、自身皮膚の荒れに悩んでいた時だけに、皮膚病の 細密な描写が心に残ると同時に気分悪くなり、もう一つの話は放っておいたのを今日。 それほど宮崎アニメ好きというわけでもない私が「千と千尋の神隠し」を見に行った のは、予告の、千尋が止めても飯を食らい続ける両親の姿に「夢の世界」を見出した からで、全編夢っぽい作品ならいいなと期待していったところ、多数出てくる化物 のデザインがシンプルすぎたり、変にストーリーがこじつけっぽく展開されたり、 ラスト近くの展開に矛盾や疑問に首傾げたり、そもそも理由なく進行する話を期待 して観に行ったのになぜ物語の整合性を求めているんだと、矛盾だらけの自分を発見 したり、それでも充分楽しめたり、つまりは、「特に理由もない物語」ってのは好き なんです。 イセ市を知らないと気付いたせいだろうか、いつしか窓の外の景色まで変に なってしまった。先程までは次々と現れた山や河がなんだか横縞のように流 れていた。 駅についた直後、バスの停留所に立っていた車掌さんは百人程だったし、タ クシー乗り場には最初おびただしくドライバーだけがいた。 等の、故郷の記憶をなくした主人公の目から見る街の描写が心地良く、暑くて疲れて いるというのに、文章に憑かれたように目は進んだ。後半の、幻想的描写が減って 家族のことを書く部分は好き嫌いあるでしょうが。 解説読んで知ったのは、この作品集出すまではデビュー後十年間本を出せなかったこと、 群像新人賞受賞した時の審査員が藤枝静男で、彼が強く推したこと、藤枝氏の本を 読んだことなどなかった作者が「田紳有楽」を読んで衝撃を受けたこと、同時期の 群像新人賞最終選考まで残った高橋源一郎が、笙野頼子よりも先に本を出し、一時代を 築いたこと、など。 81年群像新人賞、91年初作品集、同年野間文芸「新人」賞。うーん・・・・・・・
121 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2001/08/05(日) 02:34
一日一回はageとこーよ
122 :
(゚д゚) :2001/08/05(日) 22:59
サリンジャー「ナイン・ストーリーズ」
文学板でまんまのスレが立っていたので、読み返し。
http://mentai.2ch.net/test/read.cgi?bbs=book&key=996675874 いやいやこの本、何回読んでもバナナフィッシュしか頭に入らない、、
ちなみにシーモア〜序章〜は面白いんでしょうか??
読んだ人感想キボンヌ。
「バナナフィッシュにうってつけの日」
やっぱりこれのインパクトは大きいでしょ。マニアックだけど、
ミュリエルとお母さんの不毛な会話がすごく好き。ラストが
乾いているのもいい。こういう風に乾いている死も世の中に
はたくさんあって、どうせ書くならこういうのがいいな、と
思ってみたり、、
「笑い男」
実はこれ何気に好きな話。笑い男を捨てた宣教師夫妻の件って、
キリスト教的な価値観の否定、なんて風に言われているけど、
そういう事抜きにして、ああ、子供の頃ってこんなだったよなぁ、
て純粋に浸れる話だと思う。
「小舟のほとりで」
これはすごく上手だと思う。ラストも秀逸。予想を裏切る切ない結末が
ぎゅっと濃縮されている感じ。(゚д゚)が穴に投稿したのは場面
の切り抜きに過ぎないんで、こういう系のをそのうち投稿したいな
ぁ、と、、ああ、何だか不純な読書してますね、、
>>111 テルちゃん!!
たくさん読んでるんだけど、かなり偏ってるよ。
歴史モノとか全然わかんないし。三国志とか高校の頃から
読め読め言われているのに、未だに手をつけていなかったり、、
テルちゃんの書いたヤツで予備知識つけてる、、(w
123 :
ネギ :2001/08/06(月) 01:42
「てろてろ」野坂昭如 似た系譜の作品、例えば「遅れてきた青年」「俗物図鑑」「コインロッカー・ベイ ビーズ」「愛と幻想のファシズム」、あるいは「THE WORLD IS MINE」。の中では これがダントツ。抜けてる。良い。面白い。付箋貼りすぎで本がゴワゴワ。 スカトロジスト、オナニスト、酒乱、の、各々恥を持つ主人公達がテロリストとなる まで、テロ実行時の、ってああもどかしい。今は売ってないし、図書館にもあるか どうかは知らないが、読む機会があれば是非。風呂敷たたみも、ベタだけれど綺麗。 今年度ベスト3、いや今の気分じゃ一位。気分はすぐ変わるだろうけど。 一番驚いたのは、真実かどうかはともかく、あとがきにある↓の文。 連載一回分が原稿用紙十五枚半、平均二時間半で仕上げて、終了するまで、 一切読み返しをしなかった。 結局一番強いのは、感想でも批評でも作者の行動でもなく、作品の持つ力。どんな 言葉費やしても表現出来る気がしないっす。
たまたまかぶってしまいカナーリ迷ったのですが ヽ(´ー`)ノ 【ナイン・ストーリーズ】 J.D.サリンジャー エズミ、本当の眠気を覚える人間はだね(中略) 無傷のままの人間に戻る可能性を必ず持っているからね。 「ライ麦〜」がイマイチ肌に合わなかったので敬遠していたのですが この短編集は周囲でも評判が良かったので読んでみました。良かっ たです。(゚д゚) さんと被ってしまうのもあるのですが特に心に残った短編を。 「バナナフィッシュにうってつけの日」 無視できない作品。ミュリエルと母親のズレたまま進む交わらない会話。 夏の浜で子供と無邪気に戯れるシーモア。描写は淡々と進むのだけれど 馬鹿に明る過ぎてかえって不穏で。こうも「完璧な一日」でなければ彼は あんな行動をとらなかったのではないか、ハァ。いずれにせよ、いつか その日は来てしまったのだろうけれど。 目覚めたミュリエルを想像すると不憫すぎて、もう。 「笑い男」 かぶって申しわけないんだけれど良かったから仕方ない…スミマセン。頼りに なるアニキ、男の子達のヒーローである団長がいい味出してます。子供達 を夢中にさせるお話を紡げるなんて、それだけでも素敵なことだと思う。 そんな団長がガール・フレンドの前だと緊張するのが可愛い、すごく。で、 一緒になって子供達も緊張するのがまた。いい匂いのするミス・ハドソンが 活躍して「僕」が誇らしくなるとか、男の子ならきっと分かる、と思う。 「いつか君達も恋をするんだぞ、チキショウメ ヽ(´ー`)ノ」なんつって(w
〜続き
「エズミに捧ぐ」
暴力にさらされて少し精神の平衡を失った主人公。おしゃまな女の子と
その弟からの手紙。背伸びしつつ一生懸命に気遣った女の子の手紙と
控えめに言って自発的に書いたとは思えない弟の手紙。女の子の手紙は
もちろん、弟の手紙がもたらしたであろう安堵もどれほどだったろう。書い
ている幸せな情景が目に浮かぶようだし、「こんにちは」というごく普通の
あいさつに主人公は救われる思いだったのでは。
そしてこの話が成長した女の子の結婚に際して語られるってのが(・∀・)イイ!
>>122 「シーモア 序章」は読んでみたいですねえ。しかし古本屋で見ない…。ヽ(´ー`)ノ
126 :
ネギ :2001/08/07(火) 02:12
「獄中記」オスカー・ワイルド 田部重治 訳
たかが90ページだというのに、時間かかるかかる。
同性愛の罪で牢獄に入れられたワイルドが恋人(男)に送った書簡集。個人的な作者の
意向により省かれているので、色っぽい話はなし。
恋人にこんなの書いてどうすんだってくらい、観念論、宗教観、要は自分哲学が続く。
引用は、面倒。
しかし彼の、獄中に於いてキリスト教再考を経て発見した「自己の魂を自分のものに
する」という考え、外部からの知識教養を得ることを否定するのなら、この本は一体
なんだと言いたいですが、しかし頷けること多し。
多く本を読み多く漫画を読み多く映画を観ても、厚着を繰り返しているだけで、全て
脱いだ後は痩せた身体が残り、それこそが自分の姿でしかないのではと。
しかしまあ、悟りをえられるほどには年とってなし。あまり気にせず。
ラスト近くにゴーチェの名が。
>>107 に繋がる。
確かオスカー・ワイルドの自伝的映画近日BSでやるような。
127 :
ネギ :2001/08/07(火) 23:45
「東一局五十二本場」阿佐田哲也 とんでもない題名の、勿論麻雀小説集。 「なつかしのギャンブラー」は、マガジン連載「哲也」にも出てくるダンチの晩年の話。 今は読んでないからよく知らんが、場所が少年誌ということもあって、食い足りなかった。 同じ原作なら和田誠監督の映画「麻雀放浪記」の方が上。 それはともかく、久し振りに麻雀小説を読んで一局打ちたくはなったものの、どちら かといえば色川武大色の強いこの本、尾引いて心に残りそうなのは「雀ごろ心中」 「茶木先生、雀荘に死す」くらいか。阿佐田名義は「好き」で色川名義は「大好き」 なもので、少し距離を取りづらい。「麻雀放浪記」「ドサ健バクチ地獄」他の阿佐田 作品はあまり読んだことないので短中編作品の作風について仔細は知らず。 本名松倉○○、それだけや。本名だけは失いたくはないけどな、何をして 生きようとたいした意味はないんや。 同じ名持ちながら、苗字は構わないが、名が大嫌いな私と正反対の「雀ごろ心中」 主人公。しかし本名があろうとなかろうと、何をして生きようとたいした意味は ないことに変わりなく。
128 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2001/08/08(水) 21:26
『日本語の起源』 大野 晋 著 (岩波新書 700円) ■言語学の研究書です。 世界的にも珍しい体系を持った日本語の意外なルーツを、 言語学者大野晋氏が詳細に論じています。 ■宮古島の古い方言と南インドのタミル語との発音や語意の類似点から始まり、 タミルの人々の文化と日本文化との共通するものまで挙げられているので、 語学書の難解さに敬遠がちな私たちでも気軽に楽しく読めます。 ■小説の文章上達などには役立つものではないのですが、 もの書く者の教養としてお勧めします。
>>128 横槍ごめん。
大野さんはその「日本語=タミル語起源説」で
いっきに学界の信用を失いました。
>>129 あれ、そんなことになってたの?
(藁
十年前に講義を受けた時は教授が大野説を
大大的に支持していたんですが。
現在はどこの説が有力なんでしょうか?
131 :
(゚д゚) :2001/08/08(水) 23:37
(関わった人色々)「ケイシ―・ヒーリングの秘密」 彼氏のママから薦められて読みました。いやいや ケイシーが癒した患者のカルテめいた文章があり、 その後に医学的な見地からどうよ、という形式で書か れているんで、何だか思っていた以上に楽しめました。 自分が割と霊感?が強いんで、何だかすごく親近感 があるというか(w こういう純粋に読書するのが久しぶりだったんで、 よかったです。頭使わない本読むのも大事っすね。 そしてこんな気を抜いて読んだ本に限って後々まで しっかり覚えているだろう事を思うと、モノカキなんて 目指していない方が活字中毒の(゚д゚)にとっては幸 せなことなんかなぁ、と思ってしまいました、はは(w
132 :
ネギ :2001/08/08(水) 23:54
短中どこに線引くかは知らず、とにかく四編。 の前に、「群像」今月号、笙野頼子、町田康の対談。どうでもいい文学 用語が頻出するようなこともなく、仲の良い中年会話、失業保険貰って アナーキー気取るイギリスパンクロッカーの話は笑えた。 子供時代の読書体験を語り合う二人、いわゆる「家には昔から本棚に文学 全集があって」「少ない小遣いから買い集めて」といった少年期における 「黄金時代」を送っていない私には、当然のごとく話す二人が、いや、 同じような読書人達が羨ましくて、というより、悔しかった。 どちらも好きな作家でなければ、対談なんてあまり読みませんが。 「妖術的過去」深沢七郎 対談にも名前が出てたので。ちなみに深沢七郎大好きです。 題名の怪しさと、のっけからの「〜のだった」「〜である」の連続、虎の穴 等に投稿すれば酷評間違いなしの(私は虎の穴作品は読んでませんが)この 文体、文章というよりも呪文に近く、これだけで作品に絡め取られる、 だから深沢七郎が好きなんだ。内容は、ちと落ちますが。
133 :
ネギ :2001/08/09(木) 00:25
「骨飢身峠死人葛」野坂昭如 いわゆる「傑作」に出会える回数なんて、どのように本を選んだところで そう機会は多くないのが常なのに、最近の読書の中、「てろてろ」以来の 傑作。廃坑の周囲に築かれた異常な共同体は、深沢七郎というよりガルシア= マルケスっぽいか。当時の悲惨な採掘作業の描写 臨月まで坑内に降り、そこで産めば、これは入る時の数より、出る人間 の数が増えるから、吉兆とされて、しかし、だからといって赤飯一つめ ぐまれるわけではない。そのまま納屋の隅に放置して、殺してしまうこ とも珍しいばかりではなく、産んですぐ後山つとめる母親の乳房から、 白い乳がほとばしり、炭の層に吸い込まれ、それは濛々たる炭塵にかく されてしまうにしろ、炭は黒ばかりとは限らなかった。 だけでも腹いっぱいにあるのに、死人を栄養にして咲く花、兄妹姦、母娘姦、 花の実つみ取る為に死体捧げる習慣、泥臭く美しいイメージが次々と。 深沢七郎「楢山伏考」と双璧飾る、土着文学の傑作。 「砂絵縛後日怪談」野坂昭如 やや時代は降り、といっても「死人〜」からはたった二年後の作。 貝の粉撒く砂絵、美少女の死体を男五人がインポテンツ治療の為に犯す、 怨念の塊の幼女が乳の代わりに陽物吸って成長する様、妖艶至極な場面 は多けれど、物語の展開があまりに因果に沿いすぎて、順番きちんと成され ているのも食い足りない。あまりにきちんとされた話には何故か破綻を 求めたがる。 「流転の記」深沢七郎 亡き兄弟子の息子と小屋演劇の旅回りに出る主人公、達者な芸にかつての 兄弟子の陰を見ても、本性は金に汚い、時代遅れの旅芸人。そんな話。
134 :
ネギ :2001/08/11(土) 00:50
中二つ 「色即回帰」野坂昭如 マンコの形状は七百六十八種類あるらしい。 「異説太閤記」深沢七郎 ここでは立身出世は煉獄への転落であり、知恵者であると設定されている 豊臣秀吉は、阿呆者、間抜け者、と呼びたいが、ここでは無知者と設定す ることにしてみよう。 何度も何度も、この「秀吉=馬鹿」論が繰り返され、武者小路実篤じゃないが、 ひょっとして筆者がボケているのじゃないかと心配になるほど。 秀頼=石田三成もしくは大野治長と淀殿との子供、という説は頷けるもの多く面白かった。 しかし「秀吉=馬鹿」説を延々と聞かされただけのような気も。 おそらくは似たようなものなのかと、「因果物語-巷説・武田信玄」は途中で読む手が 止まり。 火垂の墓やってる時間に観た、ジョン・ウー監督「男たちの挽歌」内、撃たれた兄を 助け起こさねば助からないというシーン、足の不自由な兄の親友では無理で、弟が兄 への憎しみを捨て、兄を救う。全ての伏線が見事に凝縮されていて見事と思った。 本じゃないけど。
135 :
ネギ :2001/08/11(土) 23:50
「マリ&フィフィの虐殺ソングブック」中原昌也 読む意味は別にない、とも思う。読み終わった時に各編の内容を思い出すことは無意味 であるし、また覚えもない。ただ意味不明な物語風の文字面を目で追っただけという 気もするし、すぐれた感覚の文章もたまに見かけ、それなりの爽やかな感動もあった 気もする。 しかし結局、作者がこれらの物語を書いた事も、意味ない話でもそれなりに面白いのも、 「『これを読んだらもう死んでもいい』とまで言われ、10代、20代の圧倒的支持を受け」 (本裏解説より)というのにも、ただとまどいを感じるばかり。 世間の過大評価か、流行か、徒花か、私の感覚の古さかは知らず、「少し好き」以上の にはならず。 「死体で出来ている背広だから、死臭プンプンだし、他のクラスメートに 嫌われるかな、って思ってたけど、他の子たちもやっぱり死体で出来た背 広とかドレスとか着てたから、逆に皆と同化できたって感じ」 しかし、その後に些細なことで孤立し、三ヶ月目には学校を自主退学せ ざるを得なかった。 全編このようにキャッチーではなく。 「物語終了ののち、全員病死」は、題だけで完成しているので、話はなくても良かった。 「子猫が読む乱暴者日記」中原昌也 「マリ〜」より落ちる。 最初、祖母はなかなか自分の気持ちを表すことはせず、朗々と不明瞭な歌を ボソボソと歌うだけで洋子を無視した。 などの文章にはやはりとまどい、そこで目が止まり幾度も文章を読み直してしまうが、 そんなことにおかまいなしに話は続く。というかその手の突っ込みは無意味。
136 :
ネギ :2001/08/13(月) 00:20
「金閣寺」三島由紀夫
三島に対する思いは
>>115 さんに似ていて、これまで何冊か読んだものの決して好きに
なれず、政治的姿勢も好きではない、というか、作品に政治的思想を持ち込むものは
何であれ好きではないのですが。そうは言っても面白ければ良しとするのであやふや
ですが。
本棚に積まれた本を地道に消化してきた最近(図書館の本勢に押されてましたが)、
特に好きでもない三島の、しかも兄の持つもの、何故選んだかを深沢七郎風に言うと
「すーっと」読みたくなって「すーっと」本棚を探し「すーっと」読み始めた、としか。
葦原島のかげから夜鳥が叫びをあげて飛び翔った。私はわが肩に父の痩せ細った
手の重みを感じていた。その肩に目をやったとき、月光の加減で、私は父の手が
白骨に変わっているのを見た。
この種の幻想的描写が後半書かれなくなるのは、主人公の成長に合わせてあるからと
見え、また、クライマックスの放火シーン近くまで、具体的「行為」の描写を敢えて
避けているように思える(性交にしろ初恋の人の射殺にしろ、あるいは目の前で繰り
広げられる友人とその恋人の接吻にしろ、主人公の目からは距離的にもしくは精神的
に遠く、主人公にとって現実感を伴った「行為」ではなかったであろうと思える)のは
やはり巧者の筆。
陳腐な偶然かもしれないけれど、主人公が放火の準備をしている際、椅子に座りだら
しなく本を読む私の心臓の鼓動が少し速くなったのを感じた。
いくらドキドキしているからといってそれはないだろう、と思った後
賽銭箱の前まで来たとき、金を投げ入れるために沢山の桟をつらねたのが、
その桟の影が燐寸の火のゆれるにつれ、波立って見えた。
の一行を読み、何気ないこの描写にたちどころにリアリティを感じ、暗闇の堂の中を
歩く主人公の姿を容易に想像し、共感出来た。
その後寺内の細かい説明にまた冷めたりもするんですが。
それでも嫌味なく「すーっと」読め、意外だった。
今ぼちぼち読んでいる、野坂昭如描く三島伝「赫奕たる逆光」の影響もあるんでしょうが。
【飲食男女】アン・リー 家には儀式というものがある。 日曜日の晩餐は、朱家にとって一つの神聖な儀式だった。 台湾を舞台にしたやもめの父親と三人娘の物語。映画「恋人達の 食卓」のノベライズ。父親は高名な中華の料理人。長女はお堅い クリスチャンの学校教師、次女は美人でバリバリのキャリアウーマン、 三女は大学生。このキャラクター設定だけで何となく察しがついた人。 まあ予想通りな感じです。それぞれの恋と家族についての物語なの だけれど映画を淡々となぞっている感じで、いまいちこうインパクトに 欠けるきらいが。うーストレスたまる。 ストーリー自体は悪くないのだけれど、もう少し内面に切り込んで欲し いなあ…と思って気がついたり。たまーに虎穴に投稿するのだけど 「ものたりない」「表面的」と言われ続けてたりして(w ああ、こういうことかー とあらためて思いました。 ♯ちょっといい勉強にナターヨ ヽ(´ー`)ノ
【ザ・ビーチ】 アレックス・ガーランド いいか、こういう場所はいつか破滅する運命にあるんだ。 永遠に守りつづけるなんてできない。 それは世界中どこに行ったっておんなじことさ。 アジアを旅するバックパッカー達の交差点であるタイ、バンコク。主人公 のリチャードは安宿で自殺した男から伝説の楽園「ビーチ」の地図を手に 入れる。こんな始まり。物語は「存在しない楽園」を探すロマンチックな お話かと思ったのですが、予想はハズレ。 今や世界はとても狭くなっている。情報の速度は以前と比べものになら ないし、個人に提供される情報の質も結果的には上がっている、と思う (それがある種の注意深さを必要とするにしても)。そして自分が知ってい ることはたいてい他の誰かも知っている、と思った方が。そして秘境や 楽園もそんな風にして片っ端から手垢にまみれてしまうわけです。 バリ島、パンガン島、タオ島、ボラカイ島----東南アジア各地に 散在していたユートピアは、結局どれも同じ運命をたどることになった。 「ロンリープラネット(ガイドブック)」に載らずにいるのは避けられなかったし、 いったん載ってしまえば、消滅へのカウントダウンはもう始まったも同然だった。 だからこそ旅人は無人の楽園を夢に見る。真っ白な砂浜、サンゴ礁、漁 によるダメージなんてどこにもない、点在する淡水の滝、手つかずの植物。 そんな場所はもうないのかもしれない、けれど行動に移すことにこそ意味が ある訳で、そうしなければ納得なんて出来ないのが本当だと思う。それが 例えハイリスクでも、何につけ知った気になってしまうのは勿体ないこと。 小旅行の帰り、キャンセル待ちの空港で。行きは二人で帰りは一人、ハァ。 明日は仕事、ハァ。 夏休み、楽園…ハァハァ ヽ(´ー`)ノ
139 :
ネギ :2001/08/14(火) 00:44
「幽界森娘異聞」笙野頼子 出たばかりの本だって読みますさ。たまには。 短編「気違いマリア」とエッセイ「贅沢貧乏」途中まで読んだことしか私とは関わり合い のない森茉莉の「評伝もどき(筆者が書いてる言葉です─ネギ注)」。 以前から度々名前が出、藤枝静男と同じくらい影響を受けているであろう、いや、 これを書いたことで森茉莉からは離れられた─と町田康との対談で言ってましたが。 しかし「だけど森茉莉は猫を捨てたんですよね」と言われた時の町田康はどんな気 持ちだったのか、─いや何も話の脱線をこの本の通り真似ることはない。 ──私の本を買ふほんの少しの人々はPRなんかしなくても買ふのである。もし 疫病が蔓延して七千人から一万人前後の私の読者だけが偶然死ねば、私の本を 出版する本屋は一軒もないのである。(本作品内にある森茉莉作品からの引用文) 笙野頼子自身違うと言い張っても、やはり似ている。そして、54歳デビューで文豪 鴎外の娘であった茉莉が持たざるを得なかった我儘と傲慢を、これから作者が身につける かもしれないという根拠を本作品中見受けられる、柴田連三郎や中島梓への粘着質 な批判─等に見、また、猫達の為に住居を構え、人との接触が極端になくなるであ ろうこれからの生活を想像し、森茉莉と同じ道を進む以外の姿が見えてこないこと に「あんた森茉莉やってるがな」と突っ込むのは─意味繋がってるかな? やめとく。 実際森茉莉のことを知ろうと思うのなら他の評伝や書簡集の方がずっと為になるで あろうが、いや、今の時代美少年美声年の恋物語とファザコン丸出し&「贅沢貧乏」な エッセイを残した(いや、読んでないから言い切ると怒られるかもしれないが、引用 される、少なくとも小説部分には、今読んで感銘を受けられるようなところはなかった) 森鴎外の娘について「為になる」本を求める読者が「七千人から一万人」以上いる とは思えないのだけれど。 ─私の考へでは、ほんたうにあった事を書いたとしても、なにか一つの世界を こしらへてゐれば、フィクション(本作品内にある森茉莉作品からの引用文) なんかを見ると、森茉莉という作家は笙野頼子がでっちあげた人じゃないかとまで 思えてくるけど、54歳から84歳まで作家活動を続けた森鴎外の娘です。
鷺沢萠「海の鳥・空の魚」 20編の掌編小説集。むむむ、どうなんでしょ。この人のエッセイは 割と好きなんですけど、この小説集はいただけなかったです。いや、 友達に「絶対いいから」と以前薦められて期待していたせいもある んだけどね。 なんだか書かれている世界が安易で、妙なカタカナ使いとか場面 の切り方とかがちょっと気になったり。まー(゚д゚)が言うなよ、て所 は置いておいてください(w 群ようこが解説で「小説とはこういう風に書くんだ、と感心した」なんて 言っているんですけど、それにもチト同意をしかねました。 ただ当時22歳、ちょうどバブルがはじける前?に書かれたにしては 世界が落ち着いていて、その辺がやっぱり新鮮だったのかなぁ、と 思ったり。後長さかな。どの話も10枚程度なんだけど、これ位短い とほんの開いた時間にさらさら読めるんで、そこもよい。 #「普通のふたり」は割とよかったです。
池田満寿夫「しっぽのある天使」 池田満寿夫の飼ってた犬に関するエッセイ集なんですが、 この人の「エーゲ海に捧ぐ」がダイスキだった(゚д゚)にとっては 創作の裏側が覗けた事だけでかなり満足でした。アニタに モデルがいる話は前々から知っていたんだけど、むむ、こん な話だったとは、、。それにしても何がよかったかって奥さんで ある佐藤陽子さんのあとがき。きっと泣きながら書いたんだろう なぁ、と思って胸が痛くなりました。愛情って極まると「悲しい」とか 「寂しい」というより本当に痛むんだろうなぁ、と変な所ですごく 印象深い本になりました(゚д゚)
142 :
(゚д゚) :2001/08/14(火) 22:42
阿刀田高「マッチ箱の人生」
昔集中的に読んだ気もするんですけど、再び読み直し〜。
ちなみにこの人の「ギリシャ神話を知っていますか」はよい
本でした。オススメです。
月並みだけど表題作がよかった。バーのママさんの優しさを
こんな風に上手く描写する、て粋だと思います、はい。
後これはこの本だからという訳ではないんだけど、やっぱり純
文学とエンターテイメントは違うなぁ、としみぢみ思ったり。
言葉が乱暴だったり場面があっさり変わったりするんだけど、
こういう人を楽しませるお話に、小手先の技術というか文章の
美しさの話は持ち出しちゃいけないんだなぁ、と改めて実感。
文学板のスレッドに
「芥川賞と直木賞の違いわかった。」
http://mentai.2ch.net/book/kako/981/981336163.html というのがあって、
>芥川賞は読ませて、書いた人が楽しむ
>直木賞は読んで、その人楽しむ
>よって芥川賞はオナニー文学です
というのがあって、チョト同意(w
この人みたいに人を楽しませる事を何より念頭に置いて
書く作家、例えば赤川次郎とかシドニィシェルダンとか、
やっぱり世の中にとっても必要な人達だなぁ、と思った。
ただショートショートの分野では、やっぱり星新一がずば
抜けてると思うんですが、どうでしょうかねぇ、、(゚д゚)
143 :
(゚д゚) :2001/08/16(木) 00:09
阿刀田高「夢判断」 古本屋でまとめ買いしたんで引き続き。電車の中で本を読むには うってつけの長さ+軽さなんですよ、この人のは。 ハードカバーを持ち歩くと重いし内容が濃かったりすると乗り過ごし そうになるしろくな事がない(w さてさてこの「夢判断」ですが、昨日読んだ「マッチ箱の人生」より 印象に残るエピソードが多くてラッキーでした。小説に出てくる小話 のようなエピソードって良質のものが多くて、何気に書く時に無意識 にぱくってたりします(w この本で一番よかったのが「紅白梅の女」 という話で、小道具で出てくる尾形光琳の「紅梅白梅図」の衝撃的な 解釈にかなりはまりました。あの絵って何がいいんだろーともともと 思っていただけに、すごく新鮮だった。あのエピソードだけでも 知っておく価値があると思うんで、立ち読みでもしてみてください。 246ページです。もしムチャクチャ有名な話だったらスマソ。。 よく小説のネタ本として人文科学系の本を読むんですけど、やっぱり この「紅白梅図」のようにそれだけで話ができちゃうようなもんって 少ないんですよね。最近ではペストを運んでくるネズミとアフリカの 月に関する民話がぐっときたんですが、これはそれ以上でした。 あ、もちろんラ○ディさんみたいに丸写しはしないんで、、念の為(w
144 :
ネギ :2001/08/16(木) 01:33
「取り替え子」大江健三郎 キン肉マンフェニックスの悲劇、次にサスケか影丸伝かは忘れたけれど── とにかく白土三平の──人が消える手品で実際に人攫いするシーンを思い 浮かべる題名だけれども、それらのように実際的子取り替えではなく(フェ ニックスの場合、母の告白により、取り替えはなかったことが分かるけど)。 サーカスで、軽率な母親は、その子供を、支那人の魔術師の実験に提供 する。子供は箱の中に入れられる。箱の蓋が開くと、空っぽである。再び 箱が閉ざされる。開かれる。すると子供はあらわれ、もとの場所に戻って いる。ところで、二度目にあらわれた子供はもう、もとの子供ではない。 しかし誰もそれには気がつかない。──ジャン・コクトー「大胯びらき」澁澤龍彦 訳 こちらの方。しかしこの本の場合母親役の──伊丹十三の妹、つまりは大江 健三郎の妻──千樫は、兄が「取り替え」られたことに気付き、ラストに、 再び兄を産んでもらうことを兄の愛人に託すのだが。 (しかし何よりも驚くべき事実は、上記コクトーの小説を訳し始めた 時の澁澤龍彦が、浪人時代〔18〜20歳?〕であること。発表したのは25歳。)
145 :
ネギ :2001/08/16(木) 02:12
古義人(コギト、終章以外の語り手、モデル大江健三郎)、吾良(ゴロウ、 モデル伊丹十三)のあからさまな名前に(古き義の人、吾は良し)、富野由 悠季風に言えばオールドタイプ、ニュータイプのキャラ付けが頭に浮かび、 実際その通りであった(しかし語り手があまりにニュータイプ気質であっても 困るかもしれない)。 もっとも、古義人の由来は「コギト・エルゴ・スム(我思う故に我あり)」 であり、嘲笑の的にされ、吾良は最後、他でもない希望の象徴的人物アカリ (勿論モデルは大江光)に「Goro」という曲を作られ、解体されることに なるのだが──。名前について深読みすれば、吾良の妹千樫についても ──僕の経験では、樫の種類を文章に書こうとすると、たいてい間違って しまうよ。(中略)つい樫材で内装した家というようなことを書いて、 この国では樫がそのように使われることはないはず、と投書をもらった りするんだ。 と、妻であろうと親友であろうと、やはり他人で異性である千樫の考えは 分からないと保険を掛けておいてから、終章で語り手を千樫に変えていると 見ることも出来る。いささか乱暴な、出産〜生まれ変わり論について(これ にも「言い訳」となる伏線は多々張ってあるが面倒なのではぶく)「投書」 が来ても対抗出来るように。 勿論作者は主人公ではなく、あくまで物語は吾良の自殺から始まるので あり、伊丹十三のそれではないのは承知しているけれど、「万延元年の フットボール」を「ラグビー試合一八六○」とするのはあんまりだ。 加えてきみの自己言及癖! おれはさ、一般によく非難されるように、 きみの新作に引用される旧作をすべて読んでいなければ、新作が理解 できない、とまではいわないよ。 も勿論だけど、英和ならともかく、独語辞典まで必要とするような語句を ──日本語にしにくかったのだろうけど──挟むのも、たまたま図書館で 読んでたから良かったものの、困ります。非難するほどのことではないけど。 内容は、肝心の場面では肩透かしを──つまりは「行為」は直裁には書かれ ない。「キルプの軍団」を思い出した。そういえばあれに出てきた優しく 強く逞しい叔父さんであった作者の弟がモデルの人物は、こちらではただの厚か ましい中年だ──食わせられるけれど、文章は きみは小説の第一稿を書いた後、一日十時間働く日々を延々と重ねてさ、 すっかり書き直すだろう? の結果、難しい言葉も読みとりにくい文もなく、非常に読みやすい。 序章を読んだ時の期待感は途中で収まったが、読書の充実感は充分に 得られた、が、終章はあまりにセンチメンタル過ぎないか。
146 :
広告 :2001/08/16(木) 16:47
突然失礼します。 テネシー・ウィリアムズの光と闇 英宝社 発行日: 2000年10月 ISBN: 4-269-82009-8 形態: 497P 22cm 価格: 5,600円 御読みくださいまし。 失礼しました。
147 :
ネギ :2001/08/16(木) 23:37
「母と息子の囚人狂時代」見沢知廉 左の次は右というわけで。まあ書物からの主義思想の影響は受けない体質なんであまり 関係ないですが。 「元気なの?」 「うん。そっちは? 変わったこと、ない?」 「変わったことって、あなた、大変わりもいいところよ。あなたのお陰で、私、 お嫁に行き直せなくなっちゃたんだから! 人ごとみたいに、まったくもう」 「ぶはっ! 看守が思わず吹き出した。 つられて俺も笑い、それを見て母も笑った。 母は強しと言いますが、悪筆ゆえに母にしか読めない文字を、しかも炙り出しやパンフ レットの綴じ目などに隠された小さい文字を、清書してワープロ打ちして推敲のため に息子に送り、それの長い長い繰り返し、殺人罪で刑務所入りした息子の為に職を 転々と変え苦労を重ね腱鞘炎になってまで、苦労の元凶のその息子の書く小説の ために、ここまで頑張る(悲惨な中にもユーモア混じりで)人は知りません。 「天皇ごっこ」に収められた作品がどれも素晴らしいからいいものの、同様の情熱で 持ってつまらないものを書き続けられたら、全て徒労であり、その徒労をひょっと して今どこかで家族巻き込んでやっている人がいるかもと思うと、今浮かんだ表情の 通り素直に書くと、笑える。
148 :
ネギ :2001/08/16(木) 23:56
「紫苑物語」「善財」 三編収録「紫苑物語」より二つ。中の「鷹」は別の本にて既読。 石川淳の文体世界一好きなんです。しかし話は文体ほどには好きではなく、特に「鷹」 には「鷹」には馴染めなかった思い出有り。 しかしこの二編は良い。解説の福永武彦氏の文まで凄い。下手な感想付ける必要なし。 スレのタイトル「読書日記」。 8月16日 石川淳中編二つ読む。感動する。
149 :
ネギ :2001/08/17(金) 00:13
いやしかし、感動とは曖昧で大袈裟か。「良かった」止まりに訂正。
実家に帰省=読書三昧なようで、、 遠藤周作「恋愛とは何か」 いやいや、時代を痛切に感じた一冊でした。 ここまで内容が虚しくなっちゃった本も珍しい位に(w ただ狭き門、とかシラノ・ド・ベルジュラックとか、古典の 名作をお手本にした恋愛論自体は面白かったです。 こういう話を国語の時間に取り入れていけば、最近の 読書離れももっと何とかなるんじゃないかなぁ、、と。 それにしても 「恋愛の感情の中にこうした肉体的な欲望をまじえる ことを大変、汚らわしいとお考えになる人もいられる でしょう。」 という文章が笑える私は薄汚れてしまったのでしょうか、、 むむむ(゚д゚)
姫野カオルコ「H(アッシュ)」 姫野カオルコはよく松浦理英子とごちゃ混ぜになっていて、 「姫野カオルコ?ああ、読んだことある、親指Pとか、、」なんて よく恥を書く作家です(w この人の「終業式」というのと「変奏曲」 というのは文章はどうであれ、話がすごく好きなので、見かけたら 是非是非。 さてさてこの「H」は明るいエロ文学でした。内田春菊とかもその系統 だと思うんだけど、これは今まで読んだ何よりも明るいエロだった。 正調・H物語とか、本当におかしかった!元々スカパーでやってる ような低予算ポルノとか大好きなんで、本当に楽しく読めました、 て感じ。頭使って読むのもいいけど、こういう風に読んで「ああ、 面白かった!」と思わせる本もよいなぁ。ただ下世話な話をこう さらっと書くってのはそれなりに骨の折れる作業なんだなあ、と も実感。こういうのも、そのうち書いてみたいなぁ(゚д゚)
152 :
ネギ :2001/08/20(月) 23:54
「マンガ 世界 戦略〜カモネギ化するかマンガ産業」夏目房之介 マンガの国際化、アジアから見たマンガ、これからのマンガ等についての、本。 アニメ業界にはほとんど無知な身でも、押井守の投げ遣りな、アメリカにおける著作権 の放棄、対外国向けの作品輸出時の日本側の無知等は、ヤバいと感じる。 クレジット勝手に変更問題についても <このようなことがなされてきたため当時、多くのヨーロッパ人はアニメが日本で 制作されていることを知らなかった。実際、ぼくは『アルプスの少女ハイジ』は スイスで制作された作品と信じ込み、いくら説明しても聞く耳をもたない愛国的? なスイス人に何度も出会ったことがある> てなことが、日本側が意識をしっかりと持たない限り続くことに。いくらか業界への啓蒙 の書に、なるかならんか。作家側に適当な人多そうだしなあ。 韓国マンガ取材の折りに誉められてた梁栄淳(ヤンヨンスン)作「NUDL NUDE(ヌー ドルヌード)」他いくつかの作品が日本でも出版、と今日の朝刊に載っていたけれど、 引用されていた分を見る限り、榎本俊二風で少し面白そうなソレはあくまで「韓国マンガ の内では面白い」以上のものには見えず、多分売れない。「コミック・バンチ」連載中の 韓国作家書くマンガも不人気から隔週連載に以降らしいけれど、これは噂。 不況出版業界への檄と意見はいろいろ書きたいこともあるけれど短く収まらないしここに 書くことでもない。
153 :
ネギ :2001/08/21(火) 00:06
「渋谷色浅川」笙野頼子 「積まれてるの無視して図書館本からかゴルァ」「ただの内気なおばはんのミーハー的 渋谷観光感想文じゃねえのか」「後半数編は森茉莉評論やってた頃だからやっぱり森 茉莉的になっててあまり興味持ててねえじゃねえか」と心にもない毒を少し混ぜて 自問自答しながら「でもやっぱり今読むのはこれなんだよ」と最後まで。 私の頭の中ではポッサムはその時完全にきっちょむと化している。別に三重県 にはきっちょむはいないけれど。でもそういや田村信の「できんボーイ」の子供 が確かきっちょむって名前だった。 「できんボーイ」はこの間のBSマンガ夜話(夏目房之介レギュラー)で取り上げられた ところ。また「微妙にリンク」だと、いやただの思いこみ。 感想、観想、特に、いや、最後まで読んだということが何よりの証──何の? 半径10メートル、少女漫画、いや森茉莉、それよりももっと小説を。滅裂。
154 :
ネギ :2001/08/21(火) 00:24
「赫奕たる逆光」野坂昭如 焼跡で読んだ短編に強姦されたような衝撃を受けて以来、深く三島由紀夫を意識し、 (中略)十七回忌あえて描いた三島由紀夫の禁忌! だそうだけど、果たしてどれが「禁忌」だったのか。 「三島由紀夫の日記を持っている」という男の電話から始まり、三島由紀夫の学生時代 の日記、いつ男色を覚えたのか、など好奇心を煽らせて実態は闇。最後その日記所有者 らしき人物とは連絡のつかぬまま別れ、人づてに聞いたところ多分死んだと、それで 済まされているけれど、宙ぶらりんに浮いた期待感はどうすれば。 六年の時、悪童たちが男根を話題にし、このことで三島を揶揄うと、「みて、みて」 と、三島はズボンの前ボタンを外し、一物を引き出した。ウラナリの瓢箪の如き 体つきと、まるで別物の偉容をしめしていて、並みいる連中、言葉を失った。 三島の持つ煌びやかな面のみが好きな人にはこの部分だけでも「禁忌」と感じるの だろうか。 三島の祖父祖母、男根、実際に会った時のこと、どれもそれなりに読ませるのだけれど ──私は別に三島由紀夫に興味がない。なら何故読んだのだろう。野坂昭如の小説なら 他にも貯まっている。これもやはり「何故か分からんけど今読むのはこれ」。感想が。
ホムペにここのスレで書いた感想をまとめていたんだけど、 終わらない、、むむむ。 鈴木いづみ「いづみ語録」 はづかしながら最近知りました、この人。一言でいうとすごい。 何がすごいって全く時代を感じない。70年代を象徴する人と 言われているようなんだけど、この語録に収録されている言葉 は、今の(゚д゚)にも説得力があった。 クスリやったり乱交したりと食傷気味のジャンルではあるんだけど、 言葉の重みに感動したかも。鈴木いづみ全集が出てるんで、残業 して全部揃えたいと思いました。 それにしてもストッキングで首を吊って。子供の目の前で自殺する なんて所から、もう、やられた。。生きていただけで、説 得力がある人をヒサシブリに見た、て感じでした。 ちょっとオススメ。
岩波少年少女文学全集より-ルナール「にんじん」 ヒサシブリに読んで、どう考えてもこの話はおかしいだろうという 結論に達した(w 執拗に母親に苛められるにんじんくん。最後は彼の父親も母 親を嫌ってる事を知って小躍りするシーンで終わるんだけど、 この理不尽なストーリーにやられました(w 先週の週末に実家に帰って、ペリーヌ物語とかルパンとかを せっせと読んでいたんだけど、心に深く残ったのはこれ。 小さい頃に「にんじん」を読んだ時はもっとすんなり読んだはず なのに、妙につっかかってしまった。そn突っかかり具合が気持 ちよくって妙にさわやかな気分に(w 読み方としては絶対に間違ってるんだけど、読後感がかなり よかったです。あは(゚д゚)
阿刀田高「アイディアを探せ」 これは前の虎穴スレで誰かが話題に上げていた本。 阿刀田さんのネタの捕まえ方とか、かなり被る所が あったんで、かなり面白かったです。後つい最近 読んだばかりの「夢判断」とか「マッチ箱の人生」 の創作秘話がてんこ盛りで、いっそう楽しめたかもです。 さてさてこの場を借りて、以前読むと約束した「空飛ぶ カーペット」の話について。 これは広告に載せるために書かれたショート・ショート という事をさしひいても、ちょっとレベルが低いな、と思った。 出だしと結びのまじめな文章と、回想シーンのギャップが ?だし、盛り上げなきゃいけない「僕」と幼稚園の先生の 会話とかがあっさりしすぎていて、すごくもったいない。 この話は阿刀田さんの言葉でいう一流のネタなんで、 もうちょっと丁寧に書けばいいのに、と思いました。 穴に投稿されてたら評価0だな。厳しい事を書くと思う。 ただネタ的にはすごく好き。もっていきかたと強引でな ければすごくいい話になると思う。結論、というか展開も 何パターンか用意できるし、この題材で近いうちにお話を 書きたいなぁ、と思いましたです。 >いつぞかの人 見てるかな?遅くなってスマソ(゚д゚)
池澤夏樹「骨は珊瑚、目は真珠」 むむ、これはダイスキな池澤さんの本なのにチョトつまらなかった です。最初の話とか、沖縄の描写が多すぎてすごく萎えたし、 表題作も文体が不自然。 ただある程度認められた作家であるにも関わらず、こういう挑 戦的な人称なり描写で書く勇気はすごいと思う。虎の穴とかで も、もっと色々な話を書きたいと思いつつ、結局無難なモノを 投稿してしまう(゚д゚)は反省しきりでした。 ただ池澤さんのよさって、平穏な日常の中に奇妙さや不可思 議さ、幻想といったものを見出すのがピカイチだと思うだけに、 世界滅亡ネタとか死人ネタ、挙句の果てにUFOネタなんかを 使うのはちょっと寒い気がした。 マルケスやアジェンデを読んで思うのは、マジックリアリズム 的なモノは練習しても書けないんじゃないかという事。 元々そういう要素がない人が書くと、どうも不自然だったり 格好悪かったりチンプになる気がする。その辺、お笑いと 共通するものがあると思う、、てのは極論かな、ヤパーリ(゚д゚)
159 :
(゚д゚) :2001/08/22(水) 01:15
植村直巳「極北に駆ける」 語感的にシオラパルクという場所の話を書きたいなぁ、と 思って、実際に滞在した植村さんの本を買ったものの、、 一言で言うとお話の舞台としてシオラパルクは、無理(w 食べ物、風俗、総ての事に関して(゚д゚)が思い描いていた 世界よりもはるかに強烈で、読みながら開いた口がふさがら なかったです。。一ヶ月前に取ったセイウチの肉が軒に吊る してあって、おなかが空いたらそれをナイフで切り取って食べる ってどうなんだろ。。家の中に置かれたバケツがトイレ、時には 男女仲良く向かい合って道端でじゃ〜と。 こういうのは本当にエッセイ向きだと思う。実際にそこに住んだ 人が語った言葉だからすごく説得力がある。事実は小説よりも 奇なり、て名言っすね、全く。 小説の舞台を失った(゚д゚)は再び世界地図とにらめっこの 日々が始まるようです、ハイ(゚д゚)
誕生日プレゼントで図書券もりもりゲット。イヒヒ ヽ(´ー`)ノ 【さして重要でない一日】 伊井直行 罪の意識とまでは言わないけど、罪の影というか、 心の中に暗い日の当たらない場所ができたみたいなんだ。 「社内局」を通じて配られた資料を回収する主人公。ところが「社内局」の 実態を同僚は誰も知らない。そんな妙な設定の中篇。別に不条理系って 訳でもないし、さしたる物語がある訳でも、ない。不意に顔を出す暴力の影。 暴力といっても具体的なものではなくて、コミュニケーションの不全というか あえて言うとカーヴァー風味?(違) 取り巻く世界のゆがみを上手く書けている と思う。こういうの好きです。 もっと読みたいのだけどあんまり書かない人らしいので見つからない、残念。 主人公の友人が罪の意識を婚約者に話すというシーンがあるのだけど その彼女の対応がかなり寒々しくリアルで嫌だった。 なんでこんな女と結婚するかな?実際こんなもんかなとは思うけれど。 ヽ(´ー`)ノ
【娘たちのための狩りと釣りの手引き】 メリッサ・バンク わたしたちはお互いに心を開いて話し合うことが できなかったのだと言ったその瞬間に、 たった今、そうしている自分に気がついた。 主人公のジェーンを取り巻く恋と仕事と家族の話。十代、二十代、三十代 の彼女を題材にした短、中篇集。それぞれ独立しても読めるのだけれども、 互いが微妙に引き立てあっているのが上手い。 個人的には「郊外に住む女の子にとって想像し得る最悪の事態」が面白か った。お話として、というよりはアーチーという二十八歳年上の恋人がとても 魅力的で。大人としての分別と茶目っ気のあるこの人物は、名編集者にして 元アル中。公私にわたってジェーンをサポートする得難い人物…なのだけれ ど、だからといって上手くいくとは限らないのがせつない。 最終話は惚れた相手と上手くやるために巷の必勝本の助けを借りるジェーン。 正直さが売りの彼女の前に、本の中で必勝法を伝授する女の子二人組の幻 が現れていちいち指図をはじめる。いわく「電話を切るのはこちらから」「急な 誘いは断れ」「男は自分のことを聞かれるのが大好き」「目と目は合わせない」 「助けを必要としているなんて彼に思わせちゃだめ」etc…ルールの嵐はかなり 笑えるんだけど、成る程と思うのもあったりして。まあなんというか、いやはや。 ヽ(´ー`)ノ
【いちげんさん】 デビッド・ゾペティ
僕らはしばらくの間びくとも動かなかった。
雨と小説の余韻が僕らを動けない状態にさせていた。
京都に住む留学生と盲目の娘の恋の話。目の見えない彼女のために
主人公が対面朗読をするのがきっかけ。うーん、しかし何だろう。文章
は綺麗だし、話もそう悪くないんだけれど異様にありがちで全く面白み
に欠けた。冗談や比喩は口調のせいか春樹モドキに見えるし、モノロー
グは極めて平凡(だと思う)。文章や構成が上手なだけにその辺りの弱
さが際立ってしまって、文藝新人賞受賞作の
>>100 とは対照的(ちなみ
にコレはすばる文学賞)。
文章下手クソでも物語の魅力に欠けるよりはマシだなと思いまひた。
♯出張朗読っていうネタは映画「読書する女」を見た時
♯いつか使おうと思っていたんだけどしばらくないなあ、これは、ハァ。 ヽ(´ー`)ノ
163 :
ネギ :2001/08/22(水) 23:39
「砂絵呪縛後日怪談」野坂昭如 のうち
>>133 で読んだ表題作以外の作品
適当に選んで読んだものの「方外者淫斎」は順通り最後に読むべきだった。
杉浦日向子の、北斎を題材にした漫画「百日紅」内に出てくるお気楽色好き(池田)
渓斎栄泉の晩年の姿、
だが、見得きってみても、逆に卑下してもいっこうにとりとめがなく、空しい
ばかりで、それも権勢ぶれば足をすくわれるの、またへり下り過ぎて、あざけりを
招くといった処世上の配慮が働くわけではない。たしかに栄泉は小心者だった。
他人の気持ちを常以上に配慮し、一見放胆に見えて、実は、気がねばかりしていた。
以下に続く、他からは豪放磊落に見える自分の内にある弱さみじめさ、師北斎と比べて
の卑小さ、死に際にある老人の泣き言にどこか自分が重なり、涙こぼれそうに。
「百日紅」読み直したところ、栄泉の明るい振る舞いの中に、北斎にも届かず、本式の
道化にもなれず、自分の絵を見つけられずのか弱い精神が見え隠れする、ような気になる。
他の話、それぞれ因業物、同系作品まとめたのだろうが、いささか食傷。
解説文にある通り、いささか破格な野坂の文章、影響を受けざるを得なく、いつに
なれば抜けきれるのかこれも業。
164 :
ネギ :2001/08/22(水) 23:54
「滑稽漫画館」宮武外骨 明治34年から八年間、外骨が大阪で発行していた「滑稽新聞」からの、滑稽漫画、 広告パロディ他の抜粋本。 今の目で見ると、声を上げて笑い立てるという物ではない。骨頂はやはり文章の方で あったと思われる(ところどころで小さく「クスリ」としたのは文章において)。 度重なる伊藤博文題材の戯画は、同じことを今やっても問題になるだろうと思われ、 当時なら尚のこと、筆禍事件やむなしとは言わぬが、少しやりすぎの感。
165 :
ネギ :2001/08/24(金) 01:00
「けものたちは故郷をめざす」安部公房 つまり、感想が浮かばない作品は言葉を尽くすことが出来ないほど完璧な傑作である、 というわけではない、じゃなくて。 最初の部屋から逃げ出す時「戦慄」のあだ名を持つ少尉に逃亡を見透かされていた のが、それからの悲惨な道のりの、でもなく。 くそ、付箋は即物的文章の部分にしか貼られていない。 ちゅうごく人とにほん人がきょうりょくして日本へかえろうとするのが、とても かんどうしました、とくにちゅうごく人の人がしにそうになったときもにほん人の人が、 これは当然違う。 「君は、ヒトラーの生いたちを知ってるかね?」 「知りません」 「ヒトラーはただの伍長だったんだ。おれが聞いているのは、その伍長になる まえのことなんだが・・・・・・」 「知りませんよ」 「そうか・・・・・・おれも知らんのだがね」 引用してどうする。 「デルス・ウザーラ」・・・・・・どうだろう。いいかも。 安部公房の長編はあと「終わりし道の標べに」だけだと思ってたら、小説版榎本武揚 というのが残っていた。調べている途中に「壁」の序文を書いてるのが石川淳だと いうことに気付き読み直すと、確かに新人作家の初単行本に寄せる序文に相応しく 痛快に、いや今日と関係ない。 とにかく、だ、何だ。
166 :
ネギ :2001/08/25(土) 00:40
「山椒魚戦争」カレル・チャペック 「ロボット」という言葉の発明者チャペックのあまりに有名なSF古典。少年時代に こういうのを読んでこなかったから今後悔してる。 知性を持つ山椒魚を発見して労働力として使い、やがて人類との立場が逆転して・・・ まあストーリー書くまでもなく。 中盤までの細かいギャグ群は終盤では見当たらなくなるので、実際に子供が読んで 楽しめるかどうか。地名頻出も厄介か。気楽に楽しめる分には大人も子供も関係なく。 この地震はルイジアナ大地震をはるかに上回る規模だったが、ろくに注目され ずじまいだった。中国の大災害には世界はもう慣れっこで、かの大陸で何百万の 死者が出ようがどうでもいいということらしい。 中国代表ももちろん発言を求めたが、移管ながら何を言っているのか誰にも理解 できなかった。会議場を不安な空気が支配した。時刻はすでに午前一時だった。 日本はドイツ・イギリス・フランスと並んでよく出てくるが、中国はギャグとしてしか 使われていない。1936年。現代ならロシアか。 あるいは山椒魚を中国人のカリカチュアライズされたものと見て、などと書くのは 解説にある「この小説からしちめんどくさい文明批判なんて読みとる必要はないと 思います」の言葉通りに面倒。
167 :
ネギ :01/08/30 00:39 ID:A6i2JlVo
閉鎖問題で様子見してた時の分も。変なテンション。 : 2001/08/26(日) 01:20 繋がらないならこっちで、名前もその気で臨時でGO(何がなんだか) 「愛」ウラジミール・ソローキン 表題作「愛」は大傑作。図書館の本だったから、すぐコピーした。もう何。たとえば 「愛」というテーマのちくま文学の森全集風の本を編むなら冒頭にこれを入れるね。 生温い恋愛と癒しとを求め頁をめくった人はすぐさま投げだし抗議文を送り、以降 「ソローキン」という名を見る度に眉をしかめ、一生を捧げる愛を誓った連れ合いが ソローキン好きだと知ったならすぐ離婚届けを取りに行くだろうし、返品だらけで 売り上げどころじゃなく馘首されるだろうが、愛に、太文字で書けないからかっこ 付きで書けば「愛」に、過剰な期待を抱かずしかし恐るべき力を内包している、混沌と した塊の本質、真実でなくてもそういうものに触れたいと、日頃から思ってるわけでは なく、本の表紙の「愛」という文字を見た途端蹴り飛ばしそうになったが、まあ本屋に 火を付けるのは最初の一編読んでからにしよう、という輩に喜ばれ、ロシア旅行と 鉈購入を決意させるだろう。 さて他のは。 「真夜中の客」「弔辞」等、本の裏の紹介や解説でも触れられているこの二つ(勿論 触れられていたから好きになったわけではない)、愛と合わせて合計三つ、これら は「大好き」の部類。以下、中原昌也を読んだ時と同じような「ちょっと好き」が 幾つか、後は嫌いというより、どうでも良い。自動筆記系作品で面白いものに出会っ たことがない。 その後「愛」をタイプまでしたものの、そこまで来ると熱は冷めていた。ちなみに この日虎の穴に初投稿。簡素ウランへの丁寧な書き込みにいまだ何の返事も思いつかず。
168 :
ネギ :01/08/30 00:43 ID:A6i2JlVo
いつ消える/移転するか分からないのでage。長文だけど勘弁を。 「黒い時計の旅」スティーブ・エリクソン さて。この作品に対するスタンスはどうとればよいか。ねちっこい文体と有無を言わせぬ 世界観とに圧倒・魅了されたのは確かだけど、後半五分の一ほどは、次に読もうとして いるソローキン「ロマン」に心惹かれていたことも事実。その分には付箋も貼られて いない。 これは窓が割れる音の余韻にすぎないのだ、それもおれが割った窓でさえなく、 どこかよその町でよその誰かが割った窓の。曖昧で合点の行かぬ運命の周波数を 発信する者たちを捜して、人々は夜の中を狂ったようにさまよいつづける。 彼女は踊り、男たちが死んだ。彼らはニューヨークじゅうで死んだ。時には豪奢な マンションの最上階で死に、時にはベッドを壁に収納した独身者用アパートで死んだ。 彼らは独り身のよそ者として、無気力な諦念の中に安楽を見出すようになった中年男 として、死んでいった。 突然哀愁漂う、 お前が美しかったかどうかを訊くのを忘れた。お前が歌うのを聞いたことがあるか訊く のを忘れた。 なんかも含めて、文章を読んだ瞬間恍惚感に襲われ「すげーよ、エリクソン(文学板に 以前あったエリクソンスレのタイトル)」と思わずにはいられなかった時に付箋を 貼り、読み直した今も同じことを感じるのだけれど、物語についてはどうか。 読んでる最中は、よく切り替わる一人称の語りに呑み込まれて引きずり込まれざるを 得ないけれど、読み終えた今、その世界にまだ引きずられているかというと否。 強固な世界ゆえに本の中と外界との温度差が激しく、冷める時間も早いのか。 とにかく三日間どっぷり浸かっていた世界から抜け出した今、開放感溢れる「ロマン」 は心地よい(それが最後まで続かないのはネタバレを読んでしまい知ってる)。 しかしエリクソンを著者紹介で「ラテンアメリカ風」とまとめるのは早計。 粘着質グルグル感・・・・・・あ、笙野頼子。でも笙野は性格でエリクソンは構造で、 まとわりつく文体とじわじわ迫って来る世界観と、、、また投げ出し。
閉鎖危機も一段落なんで、そろそろ通常活動を・・(w 林望「イギリス観察辞典」 ネタ本としてチョイス。林望は「イギリスはおいしい」の時から 全部読んでるかな?こういう軽い文章大好きです。移動中や ちょっと時間が空いた時に手に取るには至極良質というか。 だんだんマークス寿子化(イギリスは素晴らしい=日本は糞) していってるのがちょっと切なかったりもするんですが、それを 差し引いてもイギリスののどかな風景が滲み出ててウマー(゚д゚) でした。NYが若い人を惹きつけるように、イギリスはちょっとその 上の世代をひきつけるようで。以前住んでた時は(アメリカがヨカッタ) と本気で思っていたのに、今思い返すとまた行ってみたいと切に 思っていたりで、自分の変化に驚くことしきり。 ひとつ例をあげるなら、最初の「挨拶」がいい感じでした。 イギリスの雨は随分疎らで、ちょっとの雨なら傘をささずに 歩いていくのが普通なのであるが、その朝はさすがにそういう わけにはいかなかった。 玄関を出たところで、ドッドソンさんに出会った。 彼は黒いコウモリ傘をさしいて、それでも黒っぽいスーツを着、 グレーの山高帽をかぶって苦虫を噛み潰したような表情で歩 いてきた。そうして、私と目が合うとそこでちょっと立ち止まり、 その表情のままコウモリ傘を見上げて言った。 「G'd norning, Mr.Hayashi. Well, what a beautiful morning it is!」 ちなみにこういういかにもイギリス的な会話は絶滅の危機に あるようで。まだ健在のうちに是非是非もう一度行きたいと 旅行の計画を練る(゚д゚) なのでした。
植村直己「北極圏一万二千キロ」 ということで植村直己、第二弾。 これは世界初北極犬ぞり単独横断の記録なんですが、 まあよくもこんなに・・の一言につきます。夏にお奨めの 一冊でしたね.背筋が寒くなーる寒くなーる・・・。 もともと冒険談みたいなのは好きなんですが、これは こうやって生き延びたのか・・みたいな、いつも読むのとは 全然違う、どちらかというと情けないエピソード満載で(w つまり「世界のウエムラをここまで追い詰めた北極」という のが脳裏に焼きつく作品て所が他の冒険談とチョト違うかな。 元々小説の舞台探しで読み始めた本にも関わらず、全然 違う所で感銘を受けた本でした、ハイ(゚д゚)
江國香織「とっておき作品集」 マガハの本は信用していなかったんですが、これはよかったです。 元々江國さんの「409ラドクリフ」(処女作)が読みたいがために 買ったんですけど、それよりも江國パパによる「香織の記録」に ほろっときました。 新生児室には五、六十人の同じような赤ちゃんがズラリと寝か されていたが、その中で香織が一番かわいい顔をしていた。 親の欲目ではなくて、これは客観的な事実である。 いやいや、この文章ほど親バカを表す文章はないというか(w こういうのをグレた子供が読んだら更生する気がします。 409ラドクリフは、いつもの江國さんの本より文章が練られている 感じがしました。やっぱり新人賞を取るためには、これくらい丁寧に 書かなければ駄目なようです、はい。
172 :
(゚д゚) :01/09/03 20:14 ID:ncC4Njno
ルイス・サッカー「穴」 「とある方」に借りて読みました。いやいや面白かったです、 ジュブナイル。こういう子供も大人もひきつける本って日本 ではあんまりないっすね。強いていえばコロボックルシリー ズでしょうか、(゚д゚) 的には。 構成(過去の物語が挟間に挟まれるんだけど分かりにくい)など、 ちょっとどーーよ、と思う部分はあったんですが、水がない湖とか 「巨大な指」というネーミングの山とか、設定だけで気持ちよくなれ る系の本ではそんな事関係ないんですね。悪党とヒーロー、隠さ れた宝物、明るいエンディングなど子供向きの設定の中に、ほろ 苦い大人の話もあったりと、あっぱれ、て感じです。こういう上質な 話はいつか書いてみたいなぁ、と思っております。
色川武大「生家へ」 麻雀放浪記で有名な阿佐田哲也の、私小説的な一作。 主人公の生家への思いを、自らの愚かしさと共に語りつくさんとの思いが滾る作品 です。読んだ人はそのどうしてもろくでなしとしか生きられない(すごい人なんです けどね)主人公とその父親の屈託に、何がしかの思いを寄せる事でしょう。私この人 のエッセイは読んだことあるんですけど、確かにそんな事を言っていたなあ、なんて 思い出してしまいました。濃ゆ〜いです。オチとかそういうのをこれにくれぐれも求 めぬようお願いします。まあ読む機会あったらだけど。 伊藤整、武田泰淳、三島由紀夫に激賞されていたとは、純文学を最近読み始めた私は 知りませんでした。ああ、勉強しなくちゃだわ……。
174 :
ネギ :01/09/03 23:42 ID:nj93Qjtw
「ロマン」ウラジミール・ソローキン 実に爽やかな、前時代ロシア的、題名通りロマン味溢れる青春恋愛小説。 雄大な田舎ロシアの風景描写が秀逸で、自分がそこに居て、ロシア風ハイテンション な人々と共に自然を楽しみ生の悦楽を謳歌している気分になる。主役二人が婚約を交わ しすぐに結婚式を挙げてからの幸せ描写がいささかくどく、恋愛物に不慣れな私にはお 腹いっぱいに。 と、それは本編の五分の四まで。 残り五分の一の、主人公が家族、恋人、村民ことごとく殺戮し、教会の祭壇に死体の断 片を積み上げ、死肉を食らい排便しそれを食らい射精し便と混ぜ合わせやっぱり食らい、 屁をして跳び上がり痙攣し死に至るまでの狂気は、説明不能なのは分かってるから深く 考えるのはやめとこ。 ソローキンにとっては、物語が突然変調し、牧歌的ロシア風ロマンが狂気の虐殺話にな るのは、「自然」であり「必然」であったんだろうから。 となると、結局何も言えないのと一緒で、感想ではなくただの敗北宣言になるしかない。
175 :
ネギ :01/09/04 00:05 ID:qODPnTzY
「ルビコン・ビーチ」スティーヴ・エリクソン 島田雅彦 訳
こちらは最初から敗北覚悟で読んだからその分楽だったけど。頑張ってストーリー
説明しようとするならば、
顔に、瞳に、異常な力を持つインディアン系の血を引く娘に人生を振り回される男
たちの物語。いや、振り回されているのはアメリカそのものか。
「もう一つのアメリカ」に住み女の幻影を追い、待ち、「自分が何度も彼女に殺される」
のを見る第一部の語り手。娘の生い立ちと、第一部にも登場する男を含めた、「現実
のアメリカ」に生きる人達と彼女の関わりを誌す第二部。数に取り憑かれた男が、これは
まぎれもなく「現実のアメリカ」に生きながら、「もう一つのアメリカ」の存在を二人の
家族の失踪により感じさせられながら、老人となった第一部の語り手と出会い死に別れ、
彼女への幻影を託され、彼女に振り回された全ての男達の分身としてもう一つのアメ
リカに旅立ち、そこで、歳を取った彼女に出会い、処女を奪い、その最中に挿入される、
夢現の境界を立ち割る幾つかの言葉で終わる第三部。
正確とはいえないし、読んでも意味がよく分からないが、とにかく精一杯努力して
出来る説明はこれくらい。
感想書ききる力は今日はなし。これからもあるかどうかは知らんけど。
あと、山田風太郎「うんこ殺人」読む。題名から予想される程スカトロジックでは
なかった。
>>173 色川武大は「狂人日記」がすごいですよ。(ここ数日言葉がうまく出てこな
くて、すごいくらいしか言えない)
176 :
ネギ :01/09/05 01:00 ID:JgqDykc6
「読書学」夏目房之介 学というほどの内容ではないけれど。マンガ評論家だけあって、一章に取り上げられ ている、いわゆる活字本についての考察より、マンガについての二章の方が面白い。 坂田靖子を取り上げる回で、藤枝静男「田紳有楽」や中島敦「山月記」について触れ られていたのがなんか嬉しかった。 著者が昔、仕事帰りの夜八時、埴谷雄高の「死霊」を読んでてふと顔をあげると時計が 六時半を指しており、「時間が戻った!」と感じたエピソードに(実際は時計が故障 してただけ)、村上春樹「ねじまき鳥クロニクル」を読み終えた瞬間、窓の外を、 ネジを巻くような声を出して鳥が飛んでった私自身の変な経験を思い出す。以降そんな 声で鳴く鳥は通らないから、錯覚か、隣近所からその音が聞こえてきた時たまたま 鳥が通っただけなんでしょうが。
W.サローヤン「パパ・ユーア・クレイジー」(何故か伊丹十三訳) この本は前から読みたいと思っていた本でした。山田詠美か彼女に はまっていた時期に読んだエッセイの中でこの本が引用されていた ので。 タイトルこそ美しいんですが、内容は退屈(w ただ結局惰性ながら最後まで読んでました。自分の中で不思議 なのは、面白いんだけど途中で読まなくなる本と、つまんないんだけ ど、何故か最後まで読んでしまう本があるという事。映画もそうかな。 面白いのに場面場面で早送りしたり、つまんないんだけど、最後まで 見たり。世の中矛盾に満ちてますね。 きっとこの本の感動ドコロは「初々しい少年から見た世界」なんですが、 (゚д゚) にはあんまりぴんとこなかったです。ただ虎の穴に投稿している とついつい話の面白さで読ませようとしてしまいがちですが、本当は 退屈な場面や話なりをつまらないなりに読ませる訓練も必要だなぁ、と 思う次第で。そうなるとこの本の「偉大なる退屈さ」は見習うべきものが あるなぁ、なんて思いました。 そうそう勇気のあるお方、本を50冊ほど捨てるんで、住所晒す勇気の ある方、メールくださいな。送料サービスするYO!(゚д゚)
「土間の四十八滝」町田康 やっぱ散文の方いいなと、詩集読みながら思うのも失礼ですが。 かといって、町田康の書く小説はマンネリ化しているように思うし。 「壊色」みたいな散文詩とも詩とも小説ともなんともいえないような作品 の方が好み。 「六号病棟」チェーホフ 湯浅芳子 訳 精神病棟を書いた古典として有名な作品。 解説によると、レーニン曰く ≪ゆうべこの小説を読みきったとき、ぼくはなにがなしむしょうに怖く なって、そのまま自分の室にいられず、立って外へ出た。まるでぼく も六号病室に閉じこめられているような、そんな感触があるのだ≫ だそうですが、私にとっては、「医者と患者とそれらを取り囲む人々の 配置が実に巧いなあ」という以上ではなく。 もっと長い作品だったならば、個々の掘り下げをもっと深く書き込めて、 いや、そうすると多少読みにくくなるだろうけれど、どうも私の好きな 「ロシア的饒舌さ」が足りないような気がして。
で、同じ本に入ってた次の 「退屈な話」チェーホフ 湯浅芳子 訳 「六号〜」の三年前に書かれた作品。不眠症に悩む、地位も名誉も持つ 老人の独白。彼の周囲の人達、環境、皆老人から見ればおかしいとしか 思えないのに、たまらず怒り出した時には、老人こそがおかしいと決め つけられ行き場をなくしていく。 内蔵に、きた。 昨日、昔の知り合いが、劇団活動をしていたという「残骸」を見た(要す るに閑古鳥の鳴いたまま「解散舞台」の告知を残し、忘れられたサイト に名前を見つけた)。この小説には、女優を夢見て旅に出、男に騙され 死産を経験し、昔の純真さを失った主人公の義理の娘が出てくる。 一月前、中学時代の知り合いに会った。 彼の語る昔の私の姿は、「それは誰のことだ?」としか思えなかった。 「どうしてきみは女優に帰りたくないの?」 「ニコラーイ・ステバーヌイチ、それは残酷というものよ!」彼女は金切り 声をあげ、急に真っ赤になる。「口に出してほんとのことを言わせたいので すか? どうぞ、もしそれが・・・・・・それがあなたのお気に召すなら! あたしには才能がないんです! 才能がなくて・・・・・・そして自負心が 多いの! それなのよ!」 たとえば歴史に名を残すほどの、あるいは少数人々ではあるが、心に 残り続けるほどの、果ては一瞬で忘れ去られるほどの、「何者か」に なることは簡単ではなく、大抵は夢の残骸と無駄な努力の残滓が散ら ばるだけ。やがて自負心だけが大きくなり。 そんな光景がそこら中に転がり過ぎていて、見るのは嫌だけれど確かに 現実であり、それをこの小説はきっちりと写し取っていた。 身体に良くないなあ、読書は。
誰も気にしちゃいないと思いますが、翻訳者の名前書き忘れてるので追加。
原書で読んでるわけはないので。
>>167 「愛」ウラジミール・ソローキン 亀山郁夫 訳
>>168 「黒い時計の旅」 スティーヴ・エリクソン 柴田元幸 訳
>>174 「ロマン」ウラジミール・ソローキン 望月哲男 訳
しかしたかだか数十分前の書き込みだというのに、自分の書き込み見直すと、
若くて青い。
>>179
三代目魚武濱夫「自由になぁれ」 もともとこの人は好きなんで楽しく読めました。 この人の詩、繰り返しモノはよくないんですけど、 割と好きなの多くてお気に入りなんですよ。 そんな彼の自伝は・・ いやいや濃い濃い! 運を引き寄せたっていうか、そうなる運命だった、というのか。 ここまであからさまに自分を解き放てるというのはマジで才能 だなぁ、て思いました。今はなんだかしがないライターという感が 強くて痛々しいんですけど、「俺の存在が最早アートだzr」道を 貫いていったほしいと感じた次第です。 暇つぶしに読むとよいかも。って好き嫌いありまくりだと思うん ですけどね。
リチャード・P・エバンス「最後の手紙」 「クリスマス・ボックス」・「天使がくれた時計」の完結編。 一言でいって暗かったです・・。いやいや、前向きなラスト なんですけど。 いやいや実際にこういう不幸は重なるもんで、現実は もっと悲惨で鬱々としているとは思うんですが、お話 くらい夢を見させてくれYO!と叫んでました。 ただ文章はどんどん上手くなっているので、新シリーズ も是非是非また追っかけて読みたいと思います。(゚д゚)
「夢の涯てまでも」(ヴェンダースの映画のノベライズ版) あは。これは映画の副読本としては最高ですが、お話としては 最低でした(w 最初と最後で文体違うし、ト書きがやたら入ったかと思えば ぴたりと止んだり。よくコネがあれば・・とウツウツする人がいる かと思うんですが、チャンスをもらっても生かしきれないとそれ までなんだなぁ、、とこの本を読んでしみぢみと思いました。 ただ映画の副読本としては最高です。映画のとおりに文章 が進んでいくので(w 映画自体がおもろかったので、なんだかなぁ、という感じで すが、観ている時には分からなかった事が明らかになった りもしたので良しとしましょ(゚д゚)
「彷徨う日々」スティーヴ・エリクソン 越川芳明 訳 エリクソンデビュー作。運命的に異常に引かれ合う男女、世代を越え時間 軸を越えた因縁、ってモティーフ今まで読んだのと全部全部一緒じゃん、 とさすがに腹がもたれてゆっくり読む。 しかし、何十年も完成されない映画や、霧の濃いヴェネツィアを、スタート 直後に全員迷子になったまま走り続けた自転車レーサー達、等のイメージ は美しい。 感想書こうと思えば延々と続きそうだけれど、それを諦めれば書くことも なし。 今日父と小津安二郎の映画について話してたところ、「晩春」「麦秋」 「東京物語」と私は以前続けて観ていたために、記憶が混乱してどれが どの話だったかがすぐには分からなかった。 同じように、時が経てば、エリクソンの話を思い出す時、みんなこんがらが りそうで、これは楽しみ。
「奇想小説集」山田風太郎 チンコが鼻の位置に、鼻がチンコの位置に「陰茎人」 蛸のようにクネクネと、しかし美しい骨軟化症の少女「蝋人」 説明不用「自動射精機」 切っても再生するトカゲ男、ありがちなネタを実に美しく幻想的に仕上げた 「万人坑」 若き日の漱石とホームズとの推理対決「黄色い下宿人」 他四編。 設定は無茶なのに、読んでるうちに気にならなくなり、すらすらページを めくり、読み終えた時の「ああ面白かった」感は、ただ笑えた、楽しかった、 だけではなく、「納得した」とよく分からない気持ちも含まれている。 「読者を納得させるのがリアリズム。読者を魅するものがロマティシズム」 by中島敦 じゃなくて、「読者を納得させるほどの、リアリズムの持つ力を越える自由奔放な 発想力とロマティシズム」か。虚しい定義付けだけど。 山田風太郎にはまりそうだと思ったのに、本を開くとビルに旅客機が突っ込む 映像が浮かんでくる。 「勝てねえなあ」と諦めてる。
中学の時の知り合いと公園を歩きながら話している。 「なんか本読んでるって?」 「(なんで本読んでるくらいで疑問系で話されなきゃならんのだ)ああ」 「でも今更何で本なんか読むん?」 「いや、面白いから」 「なんか古臭いやん」 「そりゃまあ、古い作品だと『こんなこと言うやついねえよ』とか思うけど」 「それになんか日本の本って辛気くさいし」 「(だから『本』ってなんだよ)まあ俺も、日本の近代以降の小説なんて 全部ギリシャ悲劇の焼き直しだと思うんだけどね(あれ?なんで俺こんな こと言ってんだ)」 という夢を見たのでギリシャ悲劇を読もうと思い立つ。振り返ってみれば このスレに書き始めた日に読んだのはソポクレスだ。 「縛られたプロメテウス」アイスキュロス ゼウスに逆らい人間に火を与えたプロメテウスが縛られる話。三部作の 一つといわれ、他の部分は発見されず。そりゃ紀元前のものだから。 「オィディプス王」なんかの時も思ったことだけど、大昔にこれだけの意欲的 な作品群が創られていた後では、現代の作家が物語作りに対して出来る ことは「縮小再生産」でしかないのではということ。今の時代にてらして「面白い」 という評価を与えることは難しくても(いや、私には充分に面白いんですが)、 「深みにかける」だの「人間が描けてない」などといった批判は全く受け付けさせない。 ただ、合唱隊の部分が、詩的にはどうか知りませんが退屈で。あと、話に 出てくるギリシャ神話の神々についての説明はあまりされないので、「ギリシャ 神話小辞典(バーナード・エリスン 小林稔 訳)」というのを片手に読んで いるので、戯曲自体の印象がちょっと散漫になってしまった。 敵はでかいのでのんびりやろうと思った。
「インディヴィジュアル・プロジェクション 」阿部和重(新潮文庫版) 読もう読もうと思いながら、どういうわけか手をつけないでいた阿部和重をやっと 読むことができて、そのこと自体に満足してるのがどうにもいけません。 ストーリーは、5年もの間スパイ私塾にいたオヌマという一人暮らしの33歳(男) がトラブルに巻き込まれていく中で、自らの狂気を叙述推理モノよろしく日記の形 を取って、露わにしてゆくといったもの。かっての仲間との駆け引きなんてなかなか スリリングですよ。 この人のモノで最初に読んだのがなぜか「アブストラクトなゆーわく」だったので、 まさかこんなハードな文体だとは思わなかったんですが、それに引っ張られて全1 85ページを約一時間半で読み終えました。 解説には東浩之が「鏡像」がどうのこうのと書いてるんですけど、個人的には狂気 をゆっくりと描き出す叙述の妙とハードな文体に身を任せるのが面倒くさくない 楽しみ方ではないでしょうか。ちなみに「値打ち」では76点となってました。 古本屋で見つけたからどんなんかと買ってみたんですけどね。
佐伯一麦「一輪」(これも新潮文庫版) 非常にロマンチックな、風俗嬢と電気工事夫(もちろん佐伯一麦)とのはかない恋愛 を、彼独特の一種乾いた文体で描き出した私小説であります。 「一輪」と「ポートレート」の2編で構成されていて、前者が男、後者が女とそれぞ れの立場で書かれていて、もうなんというか、「一輪」のラストなんか、まさにブル ースだぜ、なんて感じちゃったりしてしみじみとしちゃいました。後者はやはり女ら しくしたたか、かつ前向きで、なんとも言えませんでした。Vシネになったと言う事 らしいのですが、そのくらい乾いたセンチメンタルぶり爆発といったところです。 文学板の佐伯スレ見たら結構これのファン多いんだよなあ。いや素晴らしい。 それにしても、「ノルゲ」でも連れなんかいたりして、モテモテでうらやましい。
コテハン論議がさかんな今日この頃、沈んでいるスレで名乗ればそんなウザくない よねえ……。 松浦理恵子「ナチュラルウーマン」(河出文庫版) レズビアン(ビアンって付けないと怒られるっていうんだけど、どうかなあ)さん たちの複雑な心理描写ものです。柴門ふみっぽいんだけど、あっちが真似なのかな あ……。私ああいうの苦手なもので困っちゃうんですけど、こういうのもある程度 読めないとこれからキツイんだろうなあ……。松浦先生も若くしてデビューして、 気がつくともう42なんですね……、私も年を取るわけだなあ。
「変奏曲」 姫野カオルコ ごぶさた。 らしくないものを読んだよ、あはは。 こういう物語は、女性的な読み方と男性的な読み方では ずいぶんと印象の違う読み方になるのかな? 双子の姉弟の倒錯した恋、というテーマを 現代、大正、昭和終戦後、近未来と 章ごとに時代を移して描く、タイトル通りの「変奏曲」スタイル。 仕掛けじたいは面白いと思うが、 いかんせん、主人公のひとりである双子の姉に まったく魅力を感じられなかった。 弟をはじめ男性陣のほうは類型的なところもあるにせよ、 それなりの魅力を感じたが故、 余計に読みが、作者の意図と(おそらく)離れてしまった気がする。 たとえば、姉が弟の手の中指を反対側にぐーっと押し曲げていくシーンは 印象に残ったが、そこで弟が何も(痛みも)口に出さない理由は、 弟の性癖が故ではなく、自分に依存し拘泥する『可哀相な姉』への やるせなさ、といった具合に。 また、せっかく時代を無造作にとびこえていくような 面白い手法を使ったにも関わらず、 ダイアログの考証に不自然さが感じられたのは、惜しかった。 まあ、そんなとこです。 #とある人から借りて感想を言う約束が、 #ずいぶん経ってしまったよ。すまん。
リハビリ宙〜(゚д゚) (゚д゚) 夢野久作「ドグラ・マグラ」 いやいや、読みました、最後まで。 最後のページをめくった時に熱いものまでこみあげる始末で(w 今までこんな読みにくい本は正直なかったです。特に上巻の 中盤辺り(w 正木博士のキチガイ坊主うんぬんの件が本当に 苦痛でした・・。 ただそこを乗り越えてしまうと後は一気に読めました。ちょっと ストーリー的に??な部分があるにはあるんですけどね。 まーそれにしてもよくこの本を昭和10年に書いたなぁ、、という のが一番の感想かも。(゚д゚) の中では夏目漱石よりもすごい 人です。後100年もしたら評価がもうちっとあがるんじゃないかなぁ なんて思ってます。精神病院が舞台なんですけど、出てくる知識と か、全然古臭くないんだもん。恐るべし、夢野久作。 特に胎児の記憶というフレーズが気に入りました。(゚д゚) も胎児の 話を少しづつ書いているんで、ちょっと参考になりました。えへ(゚д゚)
アーヴィング「サイダー・ハウス・ルール」 モルディブに行っていた時に↑と一緒に読んでました。 長い小説を書くにはどうでもいい部分をこまめに書く事 だぁ、と妙な所で刺激を受けたり、と。 まー面白いんですけど、この人のは「ガープの世界」が 一番よかった気がしています。(ちなみに映画も最高です。 よかったら是非)「フォレスト・ガンプ」にも似た匂いを感じた んだけど、断然ガープでしょう。そんな訳でサイダー・ハウス ルールは「あ〜面白かった」位の感想しかないような・・。 いや、テーマも重いし、設定も何もかもが緻密なんだけど、 どうも何もかもが計算されすぎていて、「ガープの世界」の 時のようなワクワク感がないんですよ。どんどん結末に 向かっている閉塞感というか。(゚д゚) の書いたものも「閉じて いる」と前に言われた事があるんですが、あまりいいものじゃ ないっすね。そんな事を思いながら読んでましたYO!
193 :
(゚д゚) :01/10/01 00:33
井伏鱒二「ジョン万次郎漂流記・本日休診」 ジョン万次郎は旅行に行くたんびに読み返すお話です。 まーある意味ノンフィクションなんですけど、お話の重さが 旅先で読むにはちょうどいいんですねぇ。今回は内容、本の厚 さ共に重めの↑の2冊が旅の友だったので、余計にこの軽さが 心地よかったです。 さてさてどちらかというと「本日休診」の方がモノカキ志望としては ためになるかな??本日休診がお医者さんが色々な患者を 診察する様子が時系列で淡々と書いてあるんですけど、患者 さんを通してその時代背景や街の様子、お医者さんの人柄や そういうモノが見えてくるという点で上手いなぁと思いました。 小説とは何か?という問いに対する答えは色々あると思いますが、 (゚д゚) としては言葉にしていないものが豊かな文章が小説ではな いかなぁ、と思います。森瑶子がギリギリのライン、というか。 「私はこう思う」といってしまうのがエッセイで、「こう思う」というのを 言葉にしなくても上手く伝えるのが小説というか。 まーマイ定義なんであんまり突っ込まないでください、あは(゚д゚)
194 :
mojo hands :01/10/01 00:45
「遠い水平線」アントニオ・タブッキ 事象と事象を繋ぐ関係を理解していない状態、 之即ち「偶然」である、と言う。 ふ、深い!!
195 :
mojo hands :01/10/01 00:57
「くそったれ少年時代」C・ブコウスキー 色川武大みたいだ。 怒りを正当な手段でぶつけている。 でも、正し過ぎる気がするのは、含羞が不足しているからか?
「街で一番の美女」「ありきたりの狂気の物語」C・ブコウスキーの短編集 イノセントでいけてます。 しかし「ファック・マシーン」の最後の方とか、明らかに手抜きしている。 そのすぐ前の「15Cm」の出来が素晴らしいだけに?!?!って感じでしょうか。
「キッチン」吉本バナナ は、初めまして。 ガメラ日記で思い出して来たけど、コテハンだらけになってて ビクーリしたYO……。(とりあえず今回はステハンで……) ブックオフで100円で売ってたから、購入。 大島弓子もどきって噂を聞いてたけど、そんな印象は受けなかった。 台所のイメージが全編を支配する、短編のお手本みたいな作品。 好みじゃないから感動はしなかったけど、創作の参考になりまくりだった。
秋月こお「テンペラ風狂伝」 やおい物を読んでみなさいという事でこの本を一冊50円でブコーフで買いました。 で、読んでみると、ああこんな性描写軽くていいのかぁという事と、方向性は なるほどイケメンと似てるやねえ、てな事を思いました。ライトノベル的な文体 より、も少し抑えたほうがらしいような気がするのはきっと私がトシだからなんで しょう。人気あるみたいだし。雑学本の知識くらいであんなに膨らませられるのは いいなあ。まあ中堅日本画家の設定はありがちな感じだったけど、そういう事を 問題にするような作品でもないし。
199 :
(゚д゚) :01/10/31 23:58
こっちはすごく久しぶりだ。。。 トルーマン・カポーティ「夜の樹」 「ティファニーで朝食を」と「草の竪琴」しか読んでいな かったんで、暗めの路線にビクーリ。 すごく面白いんだけど、読んだ後、どんより暗くなる系 でした。「誕生日の子供達」は前にも読んでいるんだけ ど、今読むともっと切ないなぁ。。ただこれは(゚д゚) は 次に書いてみたい結末→回想という流れだったんで、 すごく参考になったかも。出だしにインパクトがある文 章、しかも途中で最初にばらされたネタを忘れさせてく れる文章というのは、結構な技術がいると思った。 それにしても疲れている時にこの本は凹んだなぁ・・。 ミリアム、とか上手いんだけど、こういう路線の話は苦手 です、ハイ(゚д゚)
ハワード・スーンズ(中川五郎訳) 「ブコウスキー・イン・ピクチャーズ」 ブコウスキーの伝記を書いた人が集めた写真等を肴にあれこれ言ってる 本です。3500円、ウッ!高っ!私はもちろん買ってません(笑) ブコウスキー、なんか評判いいからちょいちょい読んでみるんだけど、 色川先生の方が圧倒的に徹底してると思うんだけどな…。この本だと ブコって意外と堅実なんだよってな事書いてるし…。やはり原文から 読まないと良さがわからんのかな…。皮肉もそんな面白くないんだよ な…。まあ全部読んでるわけじゃないから、何とも言えんけど。 「パルプ」がバカミス指定を受けてるから、気が向いたら読んでみよっと。
>>200 そりゃ武大は巨きいし深い。
風貌も武田信玄みたいだし(藁
ま、比べたらハンクがかわいそうです。
っておいらも比べたけどさ。
ブコウスキー
>201 私は武田信玄というより、フィル・コリンズだなあと思ってました(笑) そうか、比べちゃいかんかったか…。色川文学はもう少し評価されるべきですね。 ちなみにバカミスは 横田順彌「奇想天外殺人事件」 がオススメ。とくにブコーフあたりで100円価格なのを見つけたら 是非買うべし。バカバカしくも妙に論理整合性のある推理に仰天(というか 眩暈がするかも)することでしょう。こういういいものが絶版になる 世の中であるのは残念な事です。
フィル・コリンズか。なるほどな。 バカミスだったら「黒死館殺人事件」と「フーコーの振り子」なんかどうだ?ヽ(゚∀゚)ノ
『早く肉をやめないか?―狂牛病と台所革命』船瀬 俊介 2ちゃんねるで「電波電波」って言われてるだけの事はある、トンデモ本。 構成はノストラダムスシリーズと同じだし、ベジタリアンのヒトラーの事は書かず に情報操作してるのも気に食わない。 しかし、狂牛病に罹患した牛を平気で流通させる行政は、さらに毒電波だ。 「特定危険部位以外は、安全です!!」 ──この本を読んでから、ベジタリアンに挑戦していまーす。(T∀T)
↑なるべく文芸関係の本にしてほしいんだけど…。まあいいか。 植村直巳の本もあるし。
206 :
名無し物書き@推敲中? :01/11/24 00:33
誰も本読んでないのか。
207 :
ノンフィクションでもいい? :01/11/24 01:28
あ、このスレ、探してたよ。検索したけど出てこなかったのに…さんきゅう 堕ちてなかったのね。 -----読書--------- 暗号解読 さいもん・しん著 ちょっと前作(フェルマーの最終定理)よりも取っつきにくい。 でも、こういう特殊なテーマを一般人にも分かるように、そして そこにドラマがあることを、織り込んで組み立てる力はすごい。
綿矢りさ「インストール」 なんと30分で読んじゃいました(笑)1000円なのになあ…。 内容的には、登校拒否をした女子高生が、死んでしまったおじい ちゃんに買ってもらったパソコンを、惜しみながらも自分自身の 気分転換のために、自分の家にあった物と一緒に捨てたところ、 よく素性のわからない小学生に欲しいというので譲って、しばらくして、 引越し祝いと称して、勝負用下着と思しきものを引っ越してきたばかりの 女性にプレゼントされてしまい、そのお返しにその人の家に行ったところ、 その小学生がいたと。で、その小学生がもらったパソコンを元にチャット のアルバイトをやらないかと持ちかけられ、それに女子高生が巻き込ま れていく。といった感じです。 読みやすくはあったけれども、それだけといった感じなのですが、ライト ノベルと純文のちょうど中間くらいのつもりで読むとちょうでいいかなと 思います。書き手には、そういう意味で参考になるかも知れません。
古い作品のポイント弄る人は簡素ウ入れてYO!
>208 要約下手すぎ。 何がなんだか全くわからない。
ごめんね。酔っ払って書いたもんだから。 確かに所々おかしな文章が…。 でも書き直すのだるいので、興味のある人は立ち読みしてください(笑)
チャールズ・ブコウスキー「パルプ」 競馬場と酒場にばかり行き、死神と宇宙人が出てきて、偶然ですべてを解決する というかってないデタラメバカミス。ヨコジュンよりデタラメとは驚きました。 ひたすらいい加減な描写、ひたすら愚痴(どうも晩年の人生観が集結しているよう だ)の、ある意味すばらしいミステリ。「バカミスの世界」で2ページが割かれた のも頷けます。人によっては駄作の評価もあるのですが、私は素晴らしいと思う。 ブコウスキー4〜5冊読みましたが、私の評価ではこれがピカイチです。 決して読んで為になると思ってはいけません。ブコ節でミステリを書くとこうなる という見本でもあります。
>213 見本ったてブコが書いたんだろ? ヘンなの....
見本のようにブコらしいと言う事なのです。 よくこういう風に言うはずなんだけどなあ……。
216 :
名無し物書き@推敲中? :01/12/24 08:36
さがりすぎage
217 :
(゚д゚)@久しぶり〜 :02/01/01 14:47
このスレ建ててもう一年たったYO! しみぢみ・・(゚д゚) 「ハリーポッターと賢者の石」 「ハリーポッターと秘密の部屋」 「ハリーポッターとアズカバンの囚人」 「Harry Potter and the goblet of fire」 と年末はメガベストセラーに手をだしてみました。クィディッチへの 熱狂ぶりはまんまサッカーじゃん・・とか、魔法世界と人間世界の共 存ぷりって矛盾してない?とかつっこみながら最初は読んでたのです が、やはり売れるだけあって分かりやすいしおもろい。原書にまで手 を出すなんて何年ぶりなんだろ?売れる本にありがちなマイナス要素もあ るにはあるんだけど、3年後にブックオフとかでみかけても、寒くな いレベルだと思ってます。特に4巻目なんて原書で796Pもある! これを読みきらせるパワーってのは強いっす。 ハリーポッターに関しては最初は全く興味がなかったんですけど、普 段全然本を読まない友達から「面白いよ!」とすすめられる事が多く て・・てのがキッカケでした。モノカキ志望〜とはいいつつ、本、サパーリ売れ てないじゃん、みたいな今日この頃ですが、面白いものは書けば1800 円でも売れる!これを励みに最近ご無沙汰な原稿用紙と向き合ってみ ようと思いました。 *そうそう4巻目。あまりの分厚さに挫折しそうになりましたが、3 *巻目まで日本語で読んだ人なら多分読めると思いますYO!
高橋源一郎「ゴヂラ 」 出鱈目に書くというのも根気の要ることよなあ、と思いました。アヴァン・ポップ の日本代表(みたいなもんでしょ)として逃げずに長年やっているのには感心しま す。向井豊昭の影響もあるのかな……。なんか似てた。 買っておいた群像特別号の「ゴーストバスターズ」より先に読んでしまった……。
219 :
名無し物書き@推敲中? :02/01/14 08:45
名スレに突き上げます
今朝、通勤途中の電車内で 「文学界」最新号の町田 康の短篇読んだっす。 町田、好きになりそうじゃ。 「ビバ・カッパ」 なんちゃって。
俺も読んだよ。安定はしてるよね。
おお!あの作風で安定されちゃうと読むやつ増えるんじゃないか? つーか、もうたくさんいるか、芥川賞だし(ハハ WEEKLY読売の連載も床屋とかラーメン屋で読むが、 いつもおもしろい、おいら的には。
223 :
名無し物書き@推敲中? :02/01/21 19:02
224 :
名無し物書き@推敲中? :02/01/23 23:52
この板で見るスレはこれだけなので、もうちょっと頑張ってほしい。
225 :
(゚д゚) :02/01/31 23:34
(゚д゚) 保守(゚д゚) だけではつまらんので最近読んだ漫画の話でも。 本は最近一切読んでいなかったり・・・あはは。 「ダリアの帯」大島弓子 流産を契機に気が狂ってしまった奥さんを抱えたダンナの話。 「そんな事あるわけねぇだろ」と思いながらも読ませてしまうの は大島マジックですな、はい。筋だけ聞くと暗〜い話なんだけ ど、読後感がいいのは何でだろ?現実にそんな奥さん抱えた ら笑えないトラブルも柔らかいタッチで描かれると不思議と コミカル。 これって漫画だから、て訳ではないんだと思う。シリアスな場面 も見方を変えるとコミカルな訳で、そういう視点で小説を書けば 新鮮だろうなぁ、なんて思って読んでました。 後大島弓子のタイトルのつけ方がスキー(゚д゚) 「ダリアの帯」って言葉はお話の脈絡からいえば全くナンセンスで 実際一言二言しかセリフに出てこないんだけれども、後から思い 返すと何だかしんみりくるんだよね。「告白」とか「秘密」とかベタな タイトルよりも、いったいそれだけじゃ何だか分からないようなタイ トルの本に惹かれるワタクシなのでした(゚д゚)
226 :
入院中改め脱走中(M :02/02/08 23:00
入院中、たっぷり読むつもりだったけれど・・・・・ 読んだのはこれだけっす。 「インド夜想曲」アントニオ・タブッキ 所謂一つの「自分捜しもの」である。 核心の2〜3歩手前で停まるが如く淡い描写と、 ところどころに散りばめられた深〜いアフォリズム。 まだ途中だけれど、長田弘という人のねこに関するエッセイもよろしい。 芸術家の矜持、みたいなものが伝わってきますで。 よし、がんばれ! と云う気にさせる珍しい本。
河野多恵子「半所有者」 約50Pの短編です。無理やり一冊の本にしてるのは何故なのでしょうか? まあぶっちゃけて言えば死んだ女房とヤルお話です。法律がどうの言ってますけど、 妄想に取り付かれてヤッてしまうってだけです。これくらいでは、今は狂気と言える かな……?文豪河野らしくないね。文章はキレイな気がする。
228 :
(゚д゚) :02/02/28 01:24
「2ちゃんねる宣言」井上トシユキ+神宮前.org いやぁ、久しぶりに買った本が・・とはおはづかしい 限りです(w 一言でいうとカナリつまんなかったのですが、とりあえず モナーが表紙ってだけで許せちゃう本でした。あはは。 2chの醍醐味はやっぱりその渦中にいることだと(゚д゚) は 思うのでありまして、例えばミノルタン祭りとか閉鎖騒動とか 乗り遅れてしまうとチト寂しい、だから毎日見ずにはいられ ない、てのが強烈にあって。もちろん匿名性うんぬんの話 も確かにあるとは思うのですが、要はキッカケがそれであ っても理由はもはやそんな事じゃないというか。 そんな事を思いながら読んでました。 社会学的に見れば2chは面白い題材だと思う。ただかなりヤヴァイ レヴェルで2chにはまっている(゚д゚)にとってはイマイチその第三者 的な視点が??な部分があったりしてました。 ちなみに宮台×ひろゆきの対談はイタカッタです(w
229 :
名無し物書き@推敲中? :02/02/28 02:17
「2ちゃんねる宣言」か、 まだ売ってるかな
保守〜〜 いやいや最近会社関係の本しか読んでないのが 情けない・・。 最近は0からはじめるネットワークという本を買いました。あはは。 この手の本が家にごろごろしてるんだけど、結局自分で鯖立てて みないと何もわからんのねん。。むむむ。固定IPをゲットするべき??
自鯖立ては忙しい身の上にさらに追い討ちをかけると思われるよ。 しかし文学作品の感想がないなあ。しょうがないので、 「ボヴァリー夫人(上)」フロベール 岩波文庫版 文学板では視点がどうとかってのが話題になってたんだけど、場面ごとに切り替わって るだけな気がした。当時そんな事が斬新だったのかどうかは不勉強なのでわかりません。 なんかエマはゼイタクだなって気しかしなかった。(下)は読む気になりませんです。 訳のせいかもしれないけど、美しい文章とは思えなかった。箇条書き多いし。川端の方が ずっと美しいと思うよ私は。フランス語は前に一週間で挫折したのでなおさらわかりません。
233 :
名無し物書き@推敲中? :02/04/05 13:58
良スレage
234 :
名無し物書き@推敲中? :02/04/24 21:47
おわり
再開〜〜 斎藤薫「美人へのレッスン」 すごーく疲れている日に買ってしまったYO! 冷静に考えるとなんかイタイタしいタイトルだねぇ。。 まー結局美人とはなんなのかという事を深く深く考えさせ られました。ふむ。 まー自分が人の面接をしたりして思うのは、やっぱり顔って のはすごく大事だなぁって事で、ただ美人でもカコイイ男の子 でも冷たい感じ、意地悪い感じの人は取らない訳で。じゃあ 何がポイントかというと人当たりのいい雰囲気だったり清潔 感だったり、要は努力で何とかなっちゃう部分も非常に多い って事ですわな。 その事実についてくどくど書いていくと、一冊の文庫本になっ ちゃうって事が(゚д゚) 的には驚きでした。あはは。 いや、読みやすくていいんだけどね。ただこの本に書いてある 事っていうのは自分で気付いたり感じたりしないと駄目なんだ ろうねぇ、て所がチョト気になったりする訳なんです。
エリス・ピーターズ「死体が多すぎる」 テレビでもやってる修道士カドフェルシリーズ。 実は本で読むのはこの本が初めてだったりします。さてさて 肝心のお話の内容なんですが・・・。 いやぁ、16位の子が男装しても普通ばれるだろう、とか、生死 を賭けた知恵較べに敗北したにも関わらず、敵だと思っていた 男が実はいい人だったりするのは如何なものか、とか突っ込み 所は満載なのですが、とりあえず楽しく最後まで一気に読めた! 筋が詰まらなくてもなぜか面白い本ってのがあって、(゚д゚) の場 合、この本がソレ。こういうのは文章がうまいんだろうねぇ。 あまり情景描写とかは深く読まないタイプなんだけど、カドフェル さんのいる修道院とかは読んでしばらく経ってもまだ覚えてる。 文字列から絵が浮かび上がるってのはいいもんだねぇ、、と しみぢみした一冊でございました(゚д゚)
237 :
名無し物書き@推敲中? :02/05/29 19:18
終了
238 :
名無し物書き@推敲中? :02/06/14 23:18
はじめり
読書日記を「断念する」ことから、真の読書は始まる……。 じつに、いったん「卒業」したと思っても、しばらくしてふたたび つけたくなるのが読書日記。 作家志望者七つの大罪の一つに数えられる読書日記。 読書日記に「卒業」はない。われわれに出来ることは「断念する」 ことだけだ……。 そんでもって、知性度11以上の方はダニエル・ベナックの 「奔放な読書」(藤原書店)を読んでください。 知性度10以下の奴は、同じ内容をかなり泥くさく語った 「不良のための読書」(筑摩書房)を読んどけ! 通読するのは20冊に1冊でよい。 100冊買って20冊パラパラめくって1冊読め。 あの柳田國男でも速読しとったらしいぞよ。
240 :
名無し物書き@推敲中? :02/06/14 23:38
自分の知性度がわかりまへん こんなんはどないする?
>>240 3D6の合計値に職業修正をくわえて決めてちょんまげ。
242 :
名無し物書き@推敲中? :02/06/24 22:09
243 :
名無し物書き@推敲中? :02/06/25 01:11
河野多恵子「小説の秘密をめぐる12章」 指南書以前に、ふつーに面白い 最後まで読むと、谷崎をも1回読もう、という気になる 天邪鬼なおいらは、論争の相手だった芥川を読んだりしてる、最近「羅生門」「鼻」
244 :
名無し物書き@推敲中? :02/07/11 12:15
245 :
名無し物書き@推敲中? :02/07/24 02:22
246 :
名無し物書き@推敲中? :02/07/24 07:01
漏れら極悪非道のageブラザーズ! 今日もネタもないのにageてやるからな!  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ∧_∧ ∧_∧ age (・∀・∩)(∩・∀・) age (つ 丿 ( ⊂) age ( ヽノ ヽ/ ) age し(_) (_)J
248 :
名無し物書き@推敲中? :02/08/21 00:47
読書系のスレッドって、こっちのほうが古くからあるけど、 相互リンクする?
249 :
名無し物書き@推敲中? :02/08/21 00:51
懐かしか〜、このスレ。 漏れは、書くとことがなく、 呆然、とするのでした。
保守sage
251 :
名無し物書き@推敲中? :
02/09/12 06:20 漏れら極悪非道のageブラザーズ! 今日もネタもないのにageてやるからな!  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ∧_∧ ∧_∧ age (・∀・∩)(∩・∀・) age (つ 丿 ( ⊂) age ( ヽノ ヽ/ ) age し(_) (_)J