男はサンクスで490円のノリ弁当とスーパードライを買い、溜まった性欲を吐き出すように、若い女の店員を舐め回すように見てから、店を出た。
住んでいるのは地価の安い、治安もあまり良くない雑多な土地にある築30年のオンボロアパート。
甘ったるいような嫌なにおいのするピンクの合板ドアに鍵を差し込み、捻って開錠する。
同居人のいない部屋は、独り身の男の老廃物の臭気が発酵したような、嫌な臭いで噎せ返っていて、ドアを開けただけで臭いがモアッとする。
「ただいま帰りましたよぉ〜っと」
誰もいないのに、中年化した男は帰宅の挨拶をして、部屋に上がった。
居間の電気をつけ、丸い木のテーブルに弁当とビールの入ったコンビニ袋を置く。コートを壁のフックに掛け、テレビをつける。
お笑い番組がやっていて、やらせ臭い笑い声がスピーカーから流れてくるが、男の耳に入った声は、右から左にただ抜けるだけだった。
「どっこらしょぉ〜っとお」
男はどっかりと腰を下ろし、胡坐を掻いて、「いただきまぁ〜す」と言ってから、弁当を食い始めた。
「ああ、そうだった」
男はパソコンの電源を入れ、起動すると、ネットに接続して、創作文芸板を開いた。
そしてこんな書き込みをした。
521 名前:ぼぇけぇえええええ ◆Bookeeou744lp :2014/03/26(水) 21:17:57.26
アサヒのスーパードライとは!
オイの中でビールと云えばスーパードライ!
ゴクゴクと喉を鳴らして呑める!
今日のオイは控え目にデパートの高級弁当!
明日は色々と忙しい!(`・ω・´)
自らの身分を偽装して、より大物に見せる事で、日常生活のむなしさを紛らわす。
これが男の日課になっていたのだった。
終わり