春は嫌いだ。普通の人間は別れを悲しみ、出会いを喜ぶ。喜々として桜を見る。いつかは散るのだ。桜も、人間の命も。
「どういうことですか?」
誰かが私に問い掛ける。私は無視する。愚の骨頂である。身の程をわきまえろ。お前らは死ぬのだ。五分後に。
私は卒業式の打ち上げには呼ばれていない。が、あの世のあの男からは呼ばれている。彼らと一緒に。
あの男──とはキンブレル師範である。彼は私に青酸カリを渡し、青酸カリを飲んで死んだ。その時にこう言った。
「殺人は罪ではない。法律は嘘だ。飽く迄人間が作ったものだ。人間が自分に都合の良いように作っただけだ。殺人を成功させなさい。別れを悲しむ、春に」
私は打ち上げ会場に向かう。青酸カリを持って。
私は店員に銃を向けた。怯んだ顔を晒す。気持ちが悪い。私は店員の脳髄を吹き飛ばす。SF映画に出てくるエイリアンみたいだ。
私は厨房に侵入し、全ての食材に青酸カリを注入する。うふふふ......。
私を裏切った愚かな者たちが来たようだ。頭を失った店員を見て驚いていることだろう。
私は自分の顔に硫酸を掛け、融かした。。そしてマスクを被る。
「いらっしゃいませー。飲み物は?」
烏龍茶、コーラ、メロンソーダ、ジンジャーエール。死ぬがよい。
私は飲み物に青酸カリを入れた。その後のことは、言うまでもない。