スシは日本の食品で、わずかばかりの熱したコメのかたまりの上に、ろくに加工もしていない
切れ端のような生の魚肉を置いたものである。その大きさは片手に2ピースを乗せてもまだ余る
ほど小さく、2つのスシを乗せたその掌には、ろくに重さも感じない。無論、カロリーもごく低い。
このようなつまらない食品が、日本では信じがたい高値で売られている。スシ一食の値段が庶民
の月収の一割を超えることも珍しくないという。
この高値を生み出しているのが、スシをつくる職人であるスシマスターの存在である。彼らはコメ
を熱したり、魚肉を切ることに、数百年の伝統によって培われた秘術があるということを、日本人に
信じ込ませることに成功している。熟練したスシマスターはコメを手で固める際、その手から分泌さ
れる酢でコメと魚肉にかすかな味をつけるのだ。日本人がスシに払う金の大部分は、このスシマス
ターの手垢への対価である。スシマスター達は明治維新や第二次世界大戦の敗戦といった日本に
おける大きな体制変革期にも、巧みな世渡りで、官僚層と結託し、コメや魚肉を提供する農漁民にも
利権の一部を分け与えて、自らの特権的立場を一貫して保持し続けてきた。
その犠牲になったのは日本の貧しい庶民であった。庶民は、自分の子どもにスシを食べさせるよう
洗脳されている。スシで育った子は、成人すれば自分たちの惨めな階層から脱出できるほどの才覚
を発揮するものと信じられている。しかし、庶民のわずかな収入で買えるスシの量は限られており、
そのため多くの子ども達が栄養失調の状態にある。人類史上まれな日本の少子化、その主原因が
スシであることも、我々には常識である。
日本にも子どもの成長に必要な栄養を摂らせるのに適した、安価な食料は実はいくらでもある。
正しい知識の普及と公平な分配によるスシ離れが実現されるならば、このような事態はすぐに解消さ
れるはずなのだ。日本政府はその事実を意図的に隠蔽して、自ら国益を損なっているわけだが、
その背景にあるのが、前述のスシマスターと官僚の癒着である。日本の子ども達を悲惨な境遇に
陥れている主犯は、日本の生産力の不足ではなく、日本社会の不公正なシステムなのだ。
日本政府がスシの輸出をもくろんでいる事には強い警戒が必要である。