889 :
ワイ杯:
田中はいじめられっこで、最初は殴るとか皆の前で射精させるとかそういうありきたりのいじめを俺達はやっていた。
そのうち刺激が足らなくなって担任の中年女をレイプするように誰かが言った。結局抵抗されて失敗したが、担任が転任しただけで特に問題にもならなかった。
つまらないので代わりにその辺の子供を襲わせた。ごめんぬ、ごめんねと言いながら、血まみれのちんこをしっかり勃起させてやがった。やる方もやられる方も泣いていた、そんな様子を俺達はビデオに撮って後で一緒に見て笑った。「田中お前鬼畜だな!」
これには堪えたらしく、それからは何をやらせても腑抜けたように従順で、うんこしろといえばするしそれを食えと言えば食う。もうどうしようもなかった。
そのうち東欧で流行ってるやばい薬がハーブとガソリンと溶剤で造れるとかいう情報を誰かがネットで仕入れてきたので実験することにした。常習化して体中が腐り一年後の生存率は二割とかいうふざけた薬だ。
そのレシピとハーブの取り寄せ方を田中に教えた。「幸せになれる薬だ。お前不幸だろ?毎日造って食え」
もう引きこもるのを咎めなかった俺達だから、半年かぐらいか、存在自体忘れていた。多分俺達ももうあいつに引いてた。
思い出して様子を見に行ったがすぐ後悔した。父親は消えていた、母親は痩せて全裸でハムを齧ってる。キッチン隅っこで田中はうずくまっていた。
ガスのように異臭を放ったなんだか縮んだ黒ずんだように見えた。髪は無いしかさぶたのようになって皮膚の至る所があるし指も壊死して何本か落ちていた。急いで逃げた。もういいだろ、あんなの。共通した意見だった。あのままひっそり死んでくれれば良かったのに。
真っ昼間の田中が現れた校庭はそれから一ヶ月後のことでそこらへんを歩いていたんだろうか婆さんを引きずって、陽光の中に婆さんの顔面を噛んだ。
騒然となって至る教室が見下ろしたその光景はきっとレシピを忘れて狂ったんだ。文字通り食っていた。迸る血。漂ってくるのに離れている臭い。呻き。それからあの形相。あれは…妖怪とかもう人間じゃなかったそういう類のものだ。
病院で間もなく死んだ田中が、俺にはあれが田中だったなんてどうにも信じられない。どこからか降ってきて妖怪があいつになりかわったんだろう
なぁそうだろう?
それを薬が確かめるために打った今がまだ大丈夫、大丈夫…