ワイが文章をちょっと詳しく評価する![29]

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492名無し物書き@推敲中?
第二十四回ワイスレ杯参加作品
「くそ、なんなのこの道は」みどりは後ろ手にバッグを引きずりながら埃だらけの道を進んだ。
秋だというのに日差しは暑く、髪の毛が汗でべっとりと顔に貼りつく。立ち止まって額の汗を手の甲で拭った。
「手を貸しましょうか?」後ろから男の声がする。
みどりは無視するようにまた歩き出した。
「どうしたんです? 手を貸しますよ」
「……」
「ねえ、返事くらいしてもいいじゃないですか」
「……うるさいわね」
「え?」
「うるさいって言ってんの!」
「そんな、僕はただ親切で……」
「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!」みどりはつぶやく。
子供をつれた若い女がこっちを見る。
「どうしたんです? みんな見てるじゃないですか、なんかおかしいですよ、だいたいあなたには荷が重過ぎる。
 悪いようにはしませんよ、変な下心じゃないんですよ、僕だって同じ方向に行くんだし」
みどりはバッグから手を離すと耳を押さえて叫んだ。
「うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うるさい!
全部あんたのせいじゃないか! あんたのせいでこうなったんだ」
「だから手を貸すって」
「い・ら・な・い! 黙らないと殺すわよ」
「どうやって? 無理でしょ」
「じゃあこうしてやるわ」
           *
金村今日子はその時のことを警官にこう証言した。
「ええ、たしかに私見ました、あの女が、突然叫びだしたかと思うと、バッグの中から、
 血のついた腕をとりだして『手なんかいらないわよ』って叫んだかと思うと肉に噛み付いて
 ……それを見て私恐ろしくなって」