ワイが文章をちょっと詳しく評価する![7]

このエントリーをはてなブックマークに追加
297†‡覇璢蟆†‡ ◆zzzTiljTBPTL
1/2

夜の住宅街、その一角。
「その刀をどこで手に入れた」
男がいった。街灯の下、スーツの胸ポケットから煙草を取り出す。
「弟から貰ったのよ」
対峙する少女が答えた。制服に包まれた身を低く構え、腰元の刀に手を掛けている。
男は何か考えているのか、口元を隠すようにして煙草を吸う。少女の射抜くような鋭い目を漫然と見返し、あの小僧か、と煙を吐きながら言った。
「お嬢さん、それは弟くんが俺達から奪った物だ。返しな」
少女は鋭い目のまま、口元に笑みを浮かべる。
「そうね、アンタ達がさらった女の子と交換なら、考えてあげる」
頭上の街灯に照らされて男の顔は影が差している。その影の中、男は目に蛇のような怪しい色を浮かべて笑った。
「騙し討ちをするような弟を持つ割に、ずいぶんと気の強いお嬢さんだ。……そうだ、どうせなら刀ごとお嬢さんを」
その視線が少女の背後に。
「さらうとしよう」
男の視線の動きに気付くより早く、少女は腰を落とした姿勢のまま反転した。
刀が鞘から抜かれる。一閃。光の筋が流れた。