この三語で書け! 即興文ものスレ 第二十五ヶ条

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「牛乳パック」「パーク」「駅伝」

暴力的な眩しさで目を覚まし、部屋の中を彷徨いながら冷蔵庫から氷の様な人工牛乳を取り出し、胃袋に落とし込む
牛乳パックをダストシュートに放り込むと、地底人の賛美歌のような禍々しい回収音が響き渡った。
テレビをつけると100年前の駅伝が放送されていた。
駅伝は1000年経っても同じように楽しまれるのだろう。
この「パーク」は人類の結論として地球の衛星軌道上に設置された居住空間だ。
収容人数は5000万人で、全人類が居住して居る。
完全な自給自足を実現し、大地は再び動植物の楽園となった。
それが600年前。
なぜ人類がこの選択をしたかは記録に残っていない。
だが未来はわかっていた。
パークのメンテナンスをできる人間が居ないので人類は滅亡を避けられない。
やがてパークが壊れ、食料や燃料の供給が止まれば終わりだ。
メンテナンスできる人間が最初から居なかったのか、忘れられたのか誰もわからなくなっていた。
パークについての見解は複数あった。
人類が悟りを得、地球を守る為に計画的に居住した空中都市であるという永住説。
核戦争からの一時的な避難を目的としたシェルターであり、そろそろ帰るべきだとする帰還説。
帰還説派は大気圏再突入用の動力の存在を信じ、たびたびパークの内壁を引っぺがして故障させるので永住説派から蔑視されていた。
そして、永住説派はその倦怠からよく自殺をした。
人類は緑溢れる大地を眼下に収めながら身動きできないでいた。
楽園というものがあるとしたら、それはきっとこの様な地獄の様な場所なのだ。
私は人工りんごを放り投げ、手のひらで受け止めた。

「黒胡椒」「シンガボール」「隣に座っている人」
73黒胡椒 シンガポール 隣〜:2011/02/15(火) 23:45:12
私が飲食店に求めるものは極めてシンプルである。
まず間口の広い入り口。出来ればガラガラっと引き戸のタイプが良い。
それから、カウンター席の幅は隣りに座っている人に干渉せずに済む1m弱が理想的である。
定食屋にありがちな盆を、背後から客の前に差し出す隙間を考慮した至高の幅こそが1m弱なのだ。
料理の頼み方に決まりこそないが、女々しく料理のウンチクなど垂れ流すのは愚図の極みである。
例えば、「洋食料理屋のシェフをはかるにはオムレツを作らせろ」
などと戯言を吐くなど、言語道断である。
そんな戯言を私の横で吐いた日には、その輩の頭へ卓上の塩を振りかけ、もしも
スパイスとして黒胡椒も常備してあれば迷わず振りかけるであろうから、
飲食店のカウンター席は幅が大事なのだ。
幅と言えば、カウンターバーの世界規準を定めるならば、シンガポールスリング発祥のホテル……
つまるところ、私は極めてシンプルである。

「雪」「岩」「宇宙」