この三語で書け! 即興文ものスレ 第二十五ヶ条

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20カナリア、激突集会、中華料理
一部では激突集会なんて呼ばれてる今回の生徒会会議に、新聞部の代表として早島を送り込むのは、坑道にカナリアを連れて潜るようなもので、かなり気が引けた。
確かに本人も来年度は部長という立場もあり乗り気なのだが、なんと言っても学校内を二分する前期と後期の生徒会長対決の場所に、その前期生徒会長の妹である彼女が取材というのは痛くもない腹を探られない方が奇跡だ。
しかも、目の前の見た目だけ好青年の腹黒顧問は明らかに何かを狙ってる。
私は今度の会議には自分と副部長の高橋が取材に行く事を早口で告げると、帰宅しようと鞄を持って立ち上がったところで、手首を掴まれてしまった。
「まぁ、待ちなさい。これは早島にはいいチャンスだし、生徒会にも起爆剤になる筈だよ」
いちいち耳元で囁くように喋るのがウザいがこの人の場合、これ以上のセクハラには発展しないからその点だけは安心だ。それよりも問題なのは、この後に彼から見せられた携帯の写真だった。
そこにはなんと、中華料理なんてつつきながら見つめ合う早島と、後期生徒会長松山の姿が写っていたのだ。
「どう見ても、デートだよねぇ。若いってうらやま……痛タッ」
私は全体重を目の前の盗撮教師の足の甲にかけると、部室を飛び出した。後から考えると、取材行為の一環もしくは早島兄への橋渡しを頼んでいただけかもしれないのにその時の私は酷く短絡的であった。


すみません、次は「硝子」「九つ」「灯」をそのまま使わせてください
21「硝子」「九つ」「灯」:2011/01/19(水) 21:05:46
 今私たちの間ではやってるおまじない
硝子の欠片を九つ(ビー玉でもオハジキでもいい)と、ろうそくを一本
机の上に、五芒星と逆五芒星を重ねて書き一番上がろうそく、他の星の先端に
硝子の欠片を並べます。

 真ん中に好きな人の写真を並べて、ろうそくが消えるまで”好き”を唱えることを12日間続けます。
途中でろうそくが消えたり、1日でも忘れると絶対に結ばれない諸刃の剣で、友達には『素人にはお勧めできない』と、訳のわかんない事を言われました。

 私にも意地がるので、天にも負けず風邪にも負けず今日で12日目。
途中ロウソクが私のくしゃみで倒れるというトラブルはありましたが、ロウソクの灯は既に五芒星も好きな人の写真も巻き込んで強く燃えています。

 もうすぐロウソクは無くなるので、最後の灯という奴でしょう。
何となくコタツもいつもより熱くなって来ました。私の愛の炎が燃えています。

流石です私、40度の熱でもおまじないを続けた甲斐があります。
何となく、意識がぼーっぼーっとしてきましたが、いい夢が見られそうです

おやすみなさい。


次は「プリンタ」「フォーマルハウト」「電子レンジ」でお願いします
温めていたミルクを電子レンジから取り出すと、彼女は2つのマグカップに注ぎ分け、ココアとマシュマロを無造作に加えた。
温かい飲み物にマシュマロをいれた物は彼女と暮らしだしてから、冬の定番だった。ココアはいつものように僕の体を暖めてくれたが、心には冷たい隙間風が吹き続けていた。
「もう、こんな美味しいココアは飲めないのかな」
一瞬、その瞳に悲しげな影を見た気がしたが、彼女は微笑みながら言った。
「あなたはレシピを知っているし、本当は何だって一人で出来る人でしょ。ココアだって、ずっと美味しく淹れられる。私はそうじゃなかったの。飲んでくれる相手がいないと駄目だった。でも、これからは一人でも頑張れる私でいたいの」
その彼女の言葉に、僕はいつか二人で見た秋の星空を思い出していた。南の空に輝く秋のひとつぼし。フォーマルハウトを見つめながら、もしかしたら既に一人で生きていく事も彼女は考えていたのかもしれない。
荷造りが終わって、彼女を送りだし、家具は何一つ減ってないのに妙に広くなった部屋の中で僕は途方にくれた。
部屋の隅では随分と使ってなかった筈のプリンタが接続されたままになっていた。
おそらくは、彼女が職務経歴書か何かを印刷しようとしたのだろうと履歴を見ると、意外にも僕の写真をプリントアウトしていたらしかった。
いつか、屑籠に捨てられるとしても、僕はその写真が羨ましかった。


次は「白紙」「豆腐」「ボール」でお願いします