670 :
ぷぅぎゃああああああ ◆Puug571Ifs :2010/04/20(火) 19:29:04
671 :
名無し物書き@推敲中?:2010/04/21(水) 21:59:12
立場の強い人たちが皆、志を持っているかと言えばそうではないし、
立場の弱い人たちが弱いのは、志操を持っていないからかと問われれ
ば、そうではない。私は後者の証人となる。古い心理学者がそうだっ
たように、弱い者がその人らしく、自己を肯定して生きてゆける一助
となるために、ものを書くのだ。
672 :
名無し物書き@推敲中?:2010/04/22(木) 03:09:26
司馬遼太郎の風景2 湖西のみち・韓の国紀行 の書評の一部です。
日本と韓国には深い溝がある。竹島問題や従軍慰安婦問題を見るだけ
でも、その片鱗をうかがい知ることが出来よう。河合隼雄が、両国は互
いに心理学で言う「影」の関係にあると述べていたが、良好な関係を堅
固なものにすることは、交流が急速に密になりつつある現在、不可能に
近いかもしれないが、それでも非常に重要である。
中井久夫が述べた言葉に「人は自らと折り合いをつけられる程度にし
か、他人と折り合いをつけることは出来ない」というものがある。あと
もう一歩成長するために、あえて「影」との関わり方を探ること。それ
がアジア、アフリカ、南米等、あらゆる地域に加速するグローバル世代
の今、重要なのではないか。そのように思いながら、司馬遼太郎の韓国
紀を読んだ。この中に、自らのコンプレックスを見通すためのヒントを
探したかった。
最近自分の文章に酔えません。
673 :
ぷぅぎゃああああああ ◆Puug571Ifs :2010/04/22(木) 04:22:48
>>671 どこの立場の人達の話かわからない!
古い心理学者の話を持ち出しても説明になっていない!
結果、どのような種類のものを書いて弱い人の一助にするのかわからない!
なにかの決意表明にはなっているが、中身に関しては無いに等しい!
評価するところがない!(`・ω・´;)
674 :
ぷぅぎゃああああああ ◆Puug571Ifs :2010/04/22(木) 04:56:28
>>672 心理学でいう『影』を世界規模で考察!
グローバルな視点から急速にすぼまり、
一冊の本に自身の影を見出そうとする!
>良好な関係を堅固なものにすることは、
>交流が急速に密になりつつある現在、不可能に近いかもしれないが〜
(両国の今の状態の、なにを指して良好と書いているのかわからない!
さらに交流が急速に深まることで良好な関係が不可能になると示唆する意味もわからない!)
この文章は書評というよりも個人の成長に主眼を置いた話に思える!
一冊の本の出会いが自身の影を浮かび上がらせ、
対峙して取り込むことで飛躍する、そんな情景が頭に浮かぶ!
この文章に限定すれば、エッセイのように思える書評なので、
ワイには正しい評価ができない!(`・ω・´)
675 :
ぷぅぎゃああああああ ◆Puug571Ifs :2010/04/22(木) 05:54:59
>>674 >良好な関係が不可能×
>堅固なものにすることが不可能○
676 :
名無し物書き@推敲中?:2010/04/22(木) 21:26:04
>>673 講評ありがとうございます。
ちょっと前にツイッターでつぶやいたら、気持ち悪かったのか
何人かフォロワーが抜けちゃったので、ひとにどういう印象を与えるのか
教えてほしかったんです。
もし小説で使う時があったら、もっと練り直します。
677 :
名無し物書き@推敲中?:2010/04/23(金) 02:19:32
>>674 レスありがとうございました。
丁寧に書いたつもりなんですが、かなり穴がありました。
直してみます。
でもここって小説に特化してるんですか?
もっといろいろな種類の文章を見てもらいたいなあ。
講評がもらえる所なんて他にないですし。
あと、もっと読みたくなる文章か、そうでないかなんかも教えてほしいです。
678 :
「なぜ作家になったのか」と訊かれて:2010/04/23(金) 03:24:07
私は逆だ。作家にだけはなりたくなかった。
文章だけは売り物にしたくなかった。
それが最後の砦だったからだ。
文学だけが、私のふるさとだった。
私は文学に生まれ文学に育って、やがて文学を避けてこの半生を生きた。
絵も描いた。数学もやった。物理も美学も建築学も、
好きなものはみんなやった。やる以上は専門家になるつもりで没頭し、
そのいくつかの分野で私はプロフェッショナルだと言われるようになった。
そうして決まって、それらを嫌いになるのだった。
ふと足元を見ると、文章だけが残っていた。
好きだったものはみな奪われて、ただ文学だけが私に残った。
ほとんど嗚咽とともに私はペンを握ったのだ。
母を賭け金にして、二度と戻れぬ道を私は進んだ。
作家は「なる」ものではないだろうと私は思う。
作家はただ、そう「ある」ものなのだ。作家はいつでもすでに作家であって、
三つ子の魂、すでに作家である。ただそれをいつ認めるか、自身作家でしかないことに
いつ観念するかという問題に過ぎないのだろうと私は思う。
作家とは、ある精神の状態のことを指すのだ。
-----
しばらく断筆した後のリハビリ文です。
他の大勢の回答者が「なぜなりたかったのか」を書くなかで、
「なぜなりたくなかったのか」から論を起こしています。
【ぷぅぎゃああさん評価お願いします】
「ごめんね待った?」
そこにあるいつもと変わらぬ人懐っこいお柿の笑顔。
そのあまりのまぶしさには、丁度真上から二人のつむじをジリジリと焼き焦がしているお天道様でさえ逃げ出すほどだ。
桃太郎の心には常々お柿の笑顔を独り占めにしたいという思いがあったが、それを表だって匂わすことは決してなかった。
「い、いや。僕も今来たとこだよ」
桃太郎は草履の裏を器用に使い足元に散らばった小枝の破片にそそくさと砂をかぶせながら答えた。
「あらそう」
その背景を知ってか知らずか、お柿はクスリと含み笑いを見せた。
お柿はいつだって全てを知っているようで全てを知らないようなそぶりを見せる。
そういうミステリアスなところも桃太郎を引きつける魅力のひとつだ。
しばしの沈黙の後、桃太郎から切り出した。
「ええっと。ここにいたらそのまま焼き芋になっちゃうから村はずれの海岸に行かない?あそこなら木陰もあるしきっと涼しい風が吹いてる」
二人が同時にプッと吹き出した。それを合図にしたかのように周囲の茂みでセミが一斉に鳴き出した。
「そうね。野良犬に食べられないうちに行きましょ」
スッと海岸の方向に顔を向けたお柿の額から流れた汗の粒がそのまま頬を伝い顎の先でキラリと光った。
桃太郎から1分ほど遅れてお柿が海岸へとたどり着いた
「おーいお柿ちゃんこっちこっち」
声が聞こえる方へと目をやると、葉の大きな2本の木がアーチ状に重なり合い
その根元がうまい具合に日陰となっている場所に座りながら手招きしている桃太郎の姿があった
お柿は小走りでそちらの方へと向かった
「なぜ先に行っちゃうの」
やや非難じみた口ぶりで桃太郎に投げかけた
ぞんざいな扱いを受けたと感じて少しばかり機嫌を損ねてしまったらしい
「いやあ、先に場所取りしとかないと誰かに取られちゃうかもと思ってさあ」
言いわけが最初から用意されていたかのように桃太郎は即答できた
「ふうん・・・」
いまいち納得できないといった様子で唇を尖らせながらお柿は桃太郎の横に腰を下ろした
微妙に空いた二人の隙間を、磯の香りをいっぱいに含んだ潮風が滑るように吹き抜け
肌にまとわりついた不快な熱気を一気にさらっていった
「ごめんね」
桃太郎がぽつりとつぶやく
※評価していただきたいのはここまでです。
前後の文章に関してですがだいたいのあらすじは構想してますが書いていません
一応このあと仲直りをして桃太郎は鬼が島へ行く事をお柿に伝えるます
681 :
名無し物書き@推敲中?:2010/04/23(金) 19:47:47
柿だと桃より老けて見える
そういう性癖なら仕方ないけど
682 :
名無し物書き@推敲中?:2010/04/23(金) 19:50:18
フケ専桃太郎
683 :
名無し物書き@推敲中?:2010/04/23(金) 19:51:27
おじいさんとおばあさんに育てられたからフケ専になったとかそういう設定?
684 :
ぷぅぎゃああああああ代理:2010/04/23(金) 21:40:40
またしてもアクセス禁止! 携帯電話も使えない! 従って代理に頼んだ!(`・ω・´)
>>676 よい!(`・ω・´)
>>677 小説に特化はしていない!
自作の文章が原則!
書評は対象になる本を読んでいないと正しい判断を下せない!
さらに引用文が多いと、自作の部分が薄れる!
まずは基本である文章の研鑽に励んだ方がいい!
ワイの考え!(`・ω・´)
>>678 好きなものを追及すると嫌いになる!
しかし、なぜか文学だけは手元に残った!
比喩の多用は文章の流れを悪くする!
>文学だけが、私のふるさとだった。
>私は文学に生まれ文学に育って
>ふと足元を見ると、文章だけが残っていた。
>母を賭け金にして
この文章の最大のキズは好きなものを追及すると嫌いになる理由が、
どこにも書かれていない点が挙げられる!
他のものが失われていく中で、どうして文学だけが残ったのか!
認識すれば作家になるという論法は全ての職業に当てはめることができる!
そうなると失うものはないように思える!
逆転の発想はいいとしても内容に賛同ができない!(`・ω・´)
685 :
ぷぅぎゃああああああ代理:2010/04/23(金) 21:45:51
>>679-680 『・・・』は『……』の方がいい!
>お天道様でさえ逃げ出すほどだ。
(お天道様は逃げ出さない! 比喩の形にもなっていない!)
>小枝の破片
(とても気になる! 小枝が壊れるとは思えない!)
>そういうミステリアスなところも〜
(地の文が時代背景に合っていない!)
お柿の会話文がおかしい!
>「ええっと。ここにいたらそのまま焼き芋になっちゃうから村はずれの海岸に行かない?〜
(この場所が暑いから桃太郎は涼しい海岸に行くことをすすめている!)
>「そうね。野良犬に食べられないうちに行きましょ」
(お柿は暑さと関係ない話をしている!)
桃太郎が今風に書かれている! 描写が少ないので住んでいる地域の特徴がよくわからない!
現代物のオリジナルで通用する! 従って設定が桃太郎である必要がない!
話の内容に合わせた文章を心掛ける50点!(`・ω・´)
686 :
678:2010/04/23(金) 22:38:31
>>684 心の底から感謝。
単に文章の添削どころか、ぼくには全く人生訓となった批評でした。
10年の垢が一気に落ちた気分だ。
ありがとう、本当にありがとう!
>>685 ありがとうございます
「野良犬」の部分は「焼き芋」の部分に関連づけてみたのですが
やはり分かりにくかったようで。基礎もままならないまま変な色気を出してしまった事を反省しています
考えてみれば野良犬が焼き芋を食べるいうイメージは全く一般的でないうえに
全編に暑さを強調する表現を散りばめているなかでお柿の「野良犬」は流れにそぐわぬ
場違いな表現でした
それと確かに名前がなければ現代物と変わりませんね
指摘された部分に注意して書きなおしてみますので
また是非評価していただきたいです
ご指摘が迅速かつ的確ですので非常に助かります
>>681 桃栗三年柿八年になぞらえて命名したのですが
まさにそのことわざ通り柿の方が年長に感じますね
>>682>>683 その発想ははなかったですwそういう背景も考えながら書くことも重要ですね
大変参考になりましたありがとうございます
689 :
ぷぅぎゃああああああ ◆Puug571Ifs :2010/04/27(火) 01:01:43
ようやく解除された!(`・ω・´)
長かったですねぇ。
乙
691 :
名無し物書き@推敲中?:2010/04/30(金) 01:20:10
かなり長くて申し訳ありませんが、お願いいたします(汗)。
『1』
国道から片側の斜面に生い茂った山林の林道へとハンドルを切ると、車は登攀が不満らしく僅かばかり唸り声を高くした。曲がりくねった坂道は途中から未舗装となり運転席には小枝を踏みしだく振動が伝わってくる。
ダッシュボードのデジタル時計を一瞥すれば間もなく正午だと告げている。木々の梢の合間に時折顔を覗かせる空は薄雲がかかって霞んではいるものの、心配していた天候の崩れもなく、天もこの久方ぶりの訪問を後押ししてくれているようだ。
蝉の声は途絶えたが紅葉にはまだ早い秋の初旬、僕はおよそ十年ぶりに故郷を訪れようとこうして車を走らせている。
なぜ急に思い立ったのか自分でも上手く説明できない。幼き日々の郷愁に浸りたいのも理由の一つではあるけれども、生家が完全に草木の中に埋もれる前に、網膜へその朽ちてゆく茅屋を焼き付けておきたいと思ったからかも知れない。
692 :
名無し物書き@推敲中?:2010/04/30(金) 01:22:10
2』
親父に先立たれ、生家に一人残された母を半ば強引に説き伏せて我が家へと迎えたのが十年前。そのとき以来、生家を訪れていなかったことになる。その母も一昨年の冬に他界した。
県外に暮らす兄弟とは互いに住まう場所が遠すぎるせいもあって一同に介する機会も滅多になかったが、母の葬儀で顔を合わせると姉も弟も妙に老け込んでいて、いやが上にも時の流れを思い知らされた。
「兄貴、あれから家にはいってみたかい?」
葬儀も終わり、身内だけのささやかな宴の席で弟が発した何気ない一言が頭の片隅にずっと引っかかっていたが、会社ではそれなりの地位にあったため仕事に忙殺されなかなか暇を取れなかったのも事実だ。
そこで今日、久しぶりに休みが取れたのを利用し前々から計画していた生家の訪問を実行に移した。妻には接待ゴルフへゆくと話して家を出たため後部座席にはゴルフバッグが積んである。
生家を一人っきりで訪れたいと正直に打ち明けたら、どうせ一緒に連れていけとゴネるに決まっていたからだ。
同じ県内とはいえ僕の住まいから生家までは端と端に位置しているため、ここに来るまで結構な時間を食った。その道のりも間もなく終着点へと差しかかっている。
693 :
名無し物書き@推敲中?:2010/04/30(金) 01:23:35
『3』
やがて道端に集落の所在を知らせる錆びた標識が佇んでいるのが見えてくる。そちらに車を乗り入れると林は少し先で途切れ、そこには半ば草木に呑み込まれるようにして二十件ばかりの廃屋が視界に飛び込んできた。やっと到着だ。
ここ僕の故郷は、いわゆる限界集落というやつだったが、最後の一人がこの世を去ったと風の噂に聞いてからかれこれ五年になる。高齢化の進む日本ではこうした廃村がこれからも増えてゆくのだろう。
車を生家の前に乗りつけると、懐かしい我が家の締め切った雨戸には蔦が這い登り、風雨に痛めつけられた屋根は瓦の剥落した箇所から草が伸びている。茫々と草むす庭は見る影もなく、ただ片隅で立ち枯れた一本の柿の木が昔を偲ばせるだけだ。
草を掻き分けながら玄関の前にゆくと扉には真鍮の南京錠がかかっている。僕はポケットから鍵を取り出して錠を外すと中に入った。途端に湿ったカビ臭い匂いが鼻をつく。荒れ放題の屋内はそこここに蜘蛛の巣がかかり、放置された寝具や雑誌などが朽ちて散乱している。
記憶を呼び起こしながら一亘り生家の探索を終えると、十年ぶりの邂逅だというのにさしたる感慨もなく、何か思わぬ発見があるのではと期待していた僕はいささか落胆して家を出た。
694 :
名無し物書き@推敲中?:2010/04/30(金) 01:24:36
『4』
すると、庭の片隅からこちらを伺ってる視線を感じ、僕はハッとして目を柿の木に向けた。刹那、小さな頭がヒョイと幹の陰に隠れるのを見た気がした。隠れた頭の位置から推測すると子供のようだ。
「まだ、誰かこの集落に住んでいたのか?」
僕は不審に思い、草に足を取られながら枯れた柿の木までいき、幹の陰を覗いた。
「誰もいない、おかしいなあ……」
少々薄気味悪くなった僕は車まで引き返すことにした。すると今度は停めた車から進行方向、隣家へと続く私道を子供の走ってゆく姿が見えた。その子は直ぐに生家の塀を曲がって姿を消した。
「あっちは山本さん家の方だな」
最前見た子供はおかっぱ頭で、ピンクのブラウスとチェックのスカート、そして真っ赤な運動靴、どうやら女の子のようだ。背格好から判断するに七、八歳といったところか。
正直そら怖ろしくなってきたものの、好奇心が勝った僕は隣家までいってみることにした。
695 :
名無し物書き@推敲中?:2010/04/30(金) 01:25:34
『5』
隣家にきてみると、そこは僕の生家以上に荒れ果てていた。無理もない、隣家の山本さん一家は僕たち家族よりもずっと以前に他所へ引っ越していたのだから。もうこの家も放置されて四十年は経つだろう。
とすると、誰か住んでいるのではという僕の予想は外れたのかと不安になった。無論、他の家々全てを見て回ったわけではないが、誰かしら住んでいるなら人の気配ぐらいはするものだ。
じゃあ、さっき見た女の子はいったい……。そう訝しんでいると、目の前の宙を何かが横切った気配がしてギョッとなった僕は、その“何か”へと目を凝らした。
それはこの秋最初に目にしたトンボ、一匹の赤トンボだった。
僕はふと思い当たった、そしてたちまち疑問が氷解した。なぜに山本さん一家がこの地を去ったのかを。そして、恐らく女の子の正体を。
かつてこの廃屋に山本さん一家が住んでいた当時、この家には僕と同い年の女の子がいた。
隣近所ということもあり幼なじみの茜とは大の仲良しだった。そう彼女は山本茜という名前だった。くりくりとした目が愛らしい女の子だった。
696 :
名無し物書き@推敲中?:2010/04/30(金) 01:36:52
『6』
ところがある日、その茜が行方不明になり小さな集落は上を下をの大騒ぎになった。そして住人総出で茜の行方を捜した。
彼女は見つかった。いや、正確には彼女の一部が見つかった。家からほど近い裏山の藪の中で、獣に喰いちぎられたと思しき片足だけが見つかった。歯型や脛に残った爪跡からして、茜を襲ったのは熊だとわかった。
真っ赤な運動靴を履いた小さな片足を棺に入れて、山本さん一家は茜を弔った。
それから一ヶ月ほどして、地元の猟友会の手により一頭の大きな雄熊が仕留められた。だが、この熊が茜を襲ったのかどうかは知る由もなかった。
その後、いたたまれなくなったのだろう、事件からほどなく山本さん一家は愛娘の悲しい思い出が残るこの集落を去っていった……。
697 :
名無し物書き@推敲中?:2010/04/30(金) 01:38:14
『7』
薄曇りの秋の空、赤トンボが僕の頭上を旋回している。仮にその昆虫が超自然的な存在だったとしても、不思議と恐怖は感じなかった。
「茜ちゃんだろ?」
僕は空を仰ぎながら赤トンボに問いかけた。それに応えるかのように赤トンボはスィと再び僕の目の前を横切ると、そのまま秋の空へと消えていった。
「バイバーイ」
微かな声が聞こえたのは僕の気のせいだっただろうか。
以上です。
ホント長くってすいません……。
698 :
ぷぅぎゃああああああ ◆Puug571Ifs :2010/04/30(金) 09:03:11
>>691-697 >国道から片側の斜面に生い茂った山林の林道へとハンドルを切る〜
(国道から山深い林道にハンドルを切る、という一文にしてはまどろっこしい!)
>秋の初旬
(初旬とは月の初めの十日のこと! 季節には使わない方がいい!)
>どうせ一緒に連れていけとゴネるに決まっていたからだ。
(連れていって欲しい者が、ごねるのはおかしい! せがむ方がいい!)
>集落は上を下をの大騒ぎになった。
(上を下への大騒ぎ!)
出だしがもたついたように思う! 後半はすんなりと読めた!
ただし、登場人物の茜の印象が薄い! 作者の中でキャラクターの設定が揺らいでいる!
そう感じる部分を以下に明記する!
@クマに襲われて片足を失った茜の話が活かされていない!
おかっぱ姿の時にはちゃんと走っている!
Aおかっぱ姿から赤とんぼに変化した! 肝心の赤とんぼの逸話が本文にない!
クマに襲われた時期が書かれていないので季節もわからない!
靴の色が赤い! 茜の名前がアキアカネにかけてある! どれも理由としては弱い!
磨けば光る話ではある65点!(`・ω・´)
699 :
名無し物書き@推敲中?:2010/04/30(金) 11:10:31
《ぷぅぎゃああああああさん、少し長いですがよろしくお願いします。童話のアレンジです》
1
話は、森の奥深く建つおばあさんの家に、オオカミが侵入したことを告げて始まる。
バスケットを手に、娘が町なかをニコニコと歩いている。彼女は病気に臥したおばあさんを見舞いに行く途中だった。久しぶりに、おばあさんと会えるのが嬉しい。
しかし娘はいわゆる「赤ずきん」ではない。純白のずきんをかむっていた。
問題があるだろうか?赤ずきんの赤は、何か重要な意味を持つのだろうか?
持つだろう。しかし白だって意味を持つ。清廉、純粋、真実。ならば「白ずきん」を象徴としても良いのではなかろうか?
変わることを恐れてはいけない。お見せするのは新しい「白ずきん」物語だ。「白ずきん」に誇りを持とう。
なのに、そんな、どうして、ずきんは赤く染まってしまった。
娘は元気で明るく、しかし少しだけ愚かだったので、再会の喜びに夏の朝の爽やかさや小鳥の笛音の美しさもあいまって、気持ちを抑え切れず、感動を心のままに歌い、縦横にステップし弾みながらクルクル舞い踊ってスッ転んだ。
スッ転んだ先は八百屋、野菜は吹き飛び中でも山盛りのトマトは娘の頭突きをくらってほとんど破裂、白いずきんはトマトの汁に赤く汚れ、強く頭を打った娘も一日の安静を必要とした。
700 :
名無し物書き@推敲中?:2010/04/30(金) 11:11:53
2
困ったのは娘の父親である。
彼は、おばあさん、つまり彼の母親を苦手としていた。
孫は溺愛し、息子には過激に厳しい。
父親は少年時代、ほとんど殺されかけていた。
愛しい孫娘が来れない、あまつさえ怪我まで負ったと知ったら、矛先は父親に向けられ、彼の責任を問い、怒鳴りつけるだろう。ブン殴られる。
父親は少年時代のトラウマに襲われ、めまいと吐き気の中、混乱は見事な防護策を案じさせた。
娘になりすまし、自分がおばあさんを見舞えば良い。
無茶だ。しかし、おばあさんは病気だ。目も開けられないかもしれないし、どうかすると頭もボンヤリしているかもしれない。
彼はそんな希望にすがった。そして希望とはしばしば「希望的観測」の名で、妄想の一ジャンルとして数えられる。
父親は、もう娘の着ないお古の洋服にムリヤリ袖を通し、例の赤く汚れたずきんを選んでかむった。
娘の1番のお気に入りのずきんで、だいなしになってしまったずきん。
おばあさんに見てもらいたかったのだろう。娘の想いを汲んでやりたかった。
汚れてしまった大切なものを、他人に見られてしまうことがどれほど屈辱か父親は知らない。
そして物語上、これからは彼を赤ずきんと呼ぶことにする。
701 :
名無し物書き@推敲中?:2010/04/30(金) 11:13:12
3
さて、おばあさんの家の内は、物が散らばり荒れていて、その中で満腹のオオカミはベッドで寝ていた。
これは不思議なことではない。このオオカミはこれから赤ずきんと問答するのだ。そんな高度な知能を持つこのオオカミが、寝床にベッドを選ぼうと、なんでもないことなのだ。
赤ずきんはというと、彼はもう玄関前まで辿りつき、エイヤと呼び鈴を鳴らしたところだった。
しかし反応がない。ドアを押すと開く。おばあさんはとても慎重で用心深い人だ。赤ずきんは妙に思う。中に一歩入る。おばあさんは寝ていた。
もちろんオオカミなのだが、毛布を頭からひっかむっていたため、赤ずきんはオオカミと気づかない。
乱雑な室内も気になるが、寝ているなら好都合、バスケットという見舞いに来た証拠だけを残し、そのまま立ち去れば良い、赤ずきんはそろっと動いた。
ほぼ同時だった。オオカミは毛布の息苦しさに目を覚ました。
オオカミは毛布にすき間を作り、新鮮な空気を取り入れようした。するとすき間から女装した男が見えた。
思わず「はぁ!?」と驚きの声をあげたのも無理はない。
赤ずきんも焦った。気づかれたのならこのまま立ち去る訳にもいかない。
なるべく顔を見られないよう、ずきんを目深にかむってうつむき、近づかないようにして応じるしかない。
そしてあの有名な問答、ということになる。
702 :
名無し物書き@推敲中?:2010/04/30(金) 11:17:11
4
「あんたは、誰?」オオカミが不安げに問う。
「私だって。孫、おばあさんの、孫」赤ずきんはおっかなびっくり。
「マゴ?」オオカミは顔を出さない。
「そう、孫。孫の――」ここで赤ずきんは娘の名を告げた。
その名を、オオカミは噂に聞いたことがあった。
元気で明るく、少し愚かで、でも蝶々の様に細く可憐で、白い肌を持つ少女。この男が、そうなのか?
「それならどうしてあんたは、そんなに筋骨隆々なんだい?」オオカミは、赤ずきんのたくましい両腕を見つめた。洋服の袖ははちきれて裂け、ヒラヒラゆらめいていた。
「ギリシャ彫刻って、美しくない?あの肉体美!ああ、アキレス!」赤ずきんは嘘をついた。
「ふぅん。それならどうしてあんたは、そんな小声で話しているんだい?近くに来れば?」
「私、間合いに入ったものを反射的に蹴りあげちゃうから」赤ずきんは少し前からパニック状態である。
「カンフー?だからあんたはそんなに日に焼けてるの?」徐々にオオカミは赤ずきんに興味を持ち出した。
「よく外で鍛練するからね」
赤ずきんは農夫であり日常的に日を浴びている。
「それなら、どうしてあんたは――」安々と警戒を解き始めたオオカミは、少し顔を覗かせようとしてハッと気づいた。
赤ずきんのずきんの赤は、染料でキレイに染め上げられたものではなく、まだらに濃淡広がりにじんでいる。
もちろんトマトを粉砕した結果であるが、オオカミにはそれが、血に見えた。
女装して少女を名乗り家にあがり込む、血染めずきんの男。
その異様さの答えはすぐに閃いた。オオカミは伝説の猟師の話を知っていた。そいつは血を好み残忍狡猾で、一蹴りすれば大地はえぐれ、素手で獲物を八つ裂きに、どんな奴も敵わないという。
影となったずきんの奥で、わずかに分かる、緊張した面持ちと大量の汗。何かを狙っている?
男と、日にやけた屈強な肉体で野山を駆け、血だまりに仁王立つ伝説の猟師のイメージとが、結びついた。猟師!俺を狙ってる!瞬間オオカミは叫んだ。「お願いです!!助けて下さい!!」
703 :
名無し物書き@推敲中?:2010/04/30(金) 11:18:22
5
赤ずきんも驚愕した。突然おばあさん(オオカミ)が哀願したのだ。
初めての経験だった。そんなに病が悪化していたのか?そういえば声はしゃがれ、毛布からもまだ顔を出していない。室内の荒れは苦しみもがいた跡?
フト、赤ずきんの胸中を「母の死」がよぎった
考えてみたこともない。心配したことすらなかった。
死ぬ!?
それは積年の恐怖を忘れさせ、母の愛情を思い起こさせるには十分だった。
思えば俺は、母に何もしてこなかった。少年時代の仕打ちも、俺の将来を思えばこそではなかったか?
それなのに俺は母を避け、こんな森の奥で一人にさせてしまった。あげくに俺は保身のためだけに母に嘘をついた。
赤ずきんは泣いた。せめてとバスケットから薬を取り出し、おばあさんに飲ませようと恐怖に凍るオオカミの毛布をはいだ。
涙にボヤける視界に、おばあさんの皮膚は茶色くにじみ、触ると毛深い、いよいよダメか、と、ますます号泣、前後も不覚、ただカンのみでおばあさんの口を探り薬を突っ込み、赤ずきんは遁走した。
その時の勢いは思いきり開けた玄関ドアが壊れるほどだった。
逃れながら赤ずきんは、母よ、嘘をつきすまない、俺はもうあなたに嘘はつかない、母の愛に報いる覚悟を決めた。
一方、薬を突っ込まれたオオカミは、すわ毒薬!!俺は死ぬ!!と失神した。
704 :
名無し物書き@推敲中?:2010/04/30(金) 13:00:04
6
ところで、こののんきそうなオオカミが人を騙せるだろうか?
赤ずきんの言う、用心深いおばあさんを騙し、カギを開けさせ、喰らうズル賢さが?ない。
オオカミは、戸口に現れた赤ずきんの気配やわずかに香ったはずのトマトの匂いに気がつかなかった。自身の絶対の危機にもガタガタ怯えるだけではなかったか。
このオオカミは高度な知能を持つとは前に書いた。しかし知能と有能さは違う。このオオカミは、オオカミとしてトロかった。
では、なぜオオカミはおばあさんの家で寝ていたのか?
事実は、飢え死に寸前のオオカミが、森に一軒家を見つけ、何か食べ物を恵んでもらおうと、玄関前まで行き、
一瞬意識が途切れ、倒れた拍子にドアが開き、オオカミはフラフラの体を動かして侵入、朦朧と家中をひっくり返し、なんとか食料を探しだしたに過ぎなかったのだ。満腹になると、眠くなった。
では、おばあさんはどこに?
そもそもおばあさんはなぜわざわざこんな森の奥深くに一人で暮らしているのだろう?
おばあさんは愛孫が来ると知って狂喜し、美味いものを食わせてやろうと病身にも関わらず森に食材を求め出かけた。
その際家のカギをかけ忘れてしまった。やはり頭がボンヤリしていたのだろう。慎重さが消えている。
ということは、赤ずきんの作戦は、結局正しかったのだろうか?そうではない。
オオカミが目を覚ました時、目に飛び込んできたのはクマを背にかつぎ弓を構える、一人の老女だった。
老女は、壊された玄関ドアのせいで丸見えになった室内に、オオカミの姿を確認していた。数百メートルも前の距離から。すでに見えていた。猟師は、目が命。
おばあさんこそ、森をなりわいとする、かの伝説の猟師だった。
オオカミの運命や、いかに。
705 :
名無し物書き@推敲中?:2010/04/30(金) 13:01:23
7
赤ずきんは、ずきんを脱ぎ父親に戻り、少年時代のなつかしき修行の日々を思い浮かべていた。トラウマは消え去った。
そうして一度ついた嘘も、つき通せば本物になると、ごちそうをエサに、見惚れる筋肉美と黒く焼けた肌を持つ健康格闘少女に仕立てて送り出した娘が、
孫に何がと目を丸くするおばあさんと、捕まりコキつかわれながらも結構楽しく暮らすオオカミと出会う時も近い。
父親の運命や、あわや。
以上です。焦って途中でさるさんくらってしまいました。評価お願いします。
706 :
名無し物書き@推敲中?:2010/04/30(金) 13:32:53
酷評スレも覗いてみたら、ここは原稿用紙と同じ形式で書くのですね。初めて来ましたので知らずに載せてしまいました。すみませんでした。
もしまだ評価していただけるようでしたら、一応、一行開けを改行と見て読んでいただきたいです。
基本も知らずに申し訳ありませんでした。
707 :
691-697 :2010/04/30(金) 22:47:54
>>698 講評ありがとうございました。
推敲不足で書き込んだ後にしまったと思うものがあったり、
語彙を間違えて覚えていてお恥ずかしいところをご覧に入れたりと反省するところしきりです(汗)。
ご指摘の通り、登場人物の因果関係が弱い部分なんかありましたね。
もっと少女の幽霊と過去の出来事を関連付けた描写を挿入するべきでした。
ですが的確なご助言のお陰で気付かぬ添削部分も把握できました。
また、お願いいたします。
708 :
ぷぅぎゃああああああ ◆Puug571Ifs :2010/05/01(土) 00:07:31
>>699-705 >オオカミが侵入したことを告げて始まる。
(オオカミが侵入したことで始まる、の方がいい!)
>娘が町なかをニコニコと歩いている。
(ニコニコとして、またはニコニコして、の方がいい!)
?のうしろに文章が続く場合は一文字分の空白を入れる!
>小鳥の笛音
(小鳥の囀りが笛の音のように聞こえるという意味なのか! よくわからない表現!)
>父親は少年時代、ほとんど殺されかけていた。
(半死半生の目に遭う!)
>混乱は見事な防護策を案じさせた。
(案じるは心配するという意味! 発案の意味はない!)
>そもそもおばあさんはなぜわざわざこんな森の奥深くに
(『そもそも』と『わざわざ』は不要!)
>孫に何がと
(打ちミス!)
>父親の運命や、あわや。
(孫を溺愛するおばあさんなので、父親の娘の育て方に目くじらを立てることはないように思う!)
全編を通して読み難い! 一文に情報を詰め込み過ぎ!
後半の大部分は粗筋! 読み物として成立していないように思える!
心を鬼にして評価する34点!(`・ω・´)
709 :
名無し物書き@推敲中?:2010/05/01(土) 00:54:16
>>708 評価ありがとうございます。バッサリ切っていただたいて本当にありがたいです。
これからは文章の読み安さと話の構成を修行します。
710 :
1/5:2010/05/01(土) 05:27:31
長かった学校生活も、あと三カ月で終わりかと思うとちょっとさみしい。 そんな想い
を抱きつつも、毎年恒例となっている卒業生追い出し公演の準備に演劇研究会に所属する
僕は忙しさに追われていた。
今回の演目はシンデレラをモチーフにしたというかパロディにしたというか、ともかく
原型はシンデレラだった筈なのだが、どうにもこうにも演劇という表現する世界に少なく
とも三年以上携わってきた面々が、観客は後輩達だけという身内演目なのだからはっちゃ
けるのも仕方無いとは思う。 仕方は無いとは思うんだけど、研究会に所属してから裏方
一筋とは言いすぎだけど、せいぜいモブ役でしか舞台に立たなかった僕がメインキャスト
になってしまったのは、なんというか、非常によろしくない予感がする。
基本的に大道具小道具に始まり凝ったところでは照明と音響に気を使い特殊効果まがい
のことまで、裏方といしては相当頑張ってきたという自負はある。 引きの画をよく見る
立場上、監修や演出も少しは齧ったつもりだ。 が、今まで主役級を張ったことがないと
いうのは揺るがざる事実であり、それは大いに僕を揺さぶった。
シナリオは現代版シンデレラもどきということで主役はマリアとジョン、舞台はニュー
ヨークでジャンルはラブコメ。 まぁ、こんな感じ。 ちなみに僕の役名はジョン、普通
のシンデレラなら王子としてパーティで一目惚れする役柄となったのだろうけど、そこは
演劇研究会。 男女の立ち位置を逆にしてシナリオを組んだというので、必然的に舞台に
出ずっぱり、セリフとアクションもてんこ盛りである。
711 :
2/6:2010/05/01(土) 05:29:30
僕が舞台に上がらなかった理由としては、生来我が強いというか、自分ならこう筋書き
立ててこう演出してこんなセリフを言わせて……といったところに気が行ってしまう割に
自分の能力が追いついていない、だからそれを発揮できるであろう裏方に回り、大いに貢
献してきたと自負している。 このことは同期、つまり今回のキャストはみな織り込み了
承済みである上、相方であるマリア役は役者一筋できた気の強い人なので、僕は彼女に教
えを乞うこととなった。
――「おぉマリア、あなたはあの輝く月より美しい!」「ジョン、なに間の抜けたこと
言ってるのよ」「この気持ちは本当さ!」――
「駄目ね。 全然ダメよ、ジョン」
あまりの僕の未熟さに「卒業生の威厳が霞むわ」となじった彼女は、特訓として「これか
ら本番まで、私はマリア、あなたはジョン。 この呼び名を徹底するわよ」とせきたてた。
卒業前の学生なんて、就職活動がうまくいっていれば僕のように暇なのは当然なのだろ
うか、彼女は全体練習、打ち合わせ以外の時間もこの学生最後の公演にエネルギーを注い
でいるようで、私生活を役柄に合わせまでしてこの公演に臨むようだった。 当然その余
波というのだろうか、入れ込み具合に僕も影響されて、二人でいる時間――ジョンとマリ
アとしてだが――は月日が迫るごとに多くなっていった。
712 :
3/6:2010/05/01(土) 05:30:20
「違う、ジョンはもっと社交的な筈だわ」「違わないね、マリア。 脚本から意図され
る僕の性格はもっと内気さ。 それがマリアと出会って本質が見えてくる」「本質が見え
てくるって言うならやっぱり内に社交性を秘めてるんじゃない」「だから、それをどうや
って表現すればいいんだい? 中途半端にしてブレてしまうよりはしっかり変化していく
方が――」
恒例となったジョンとマリアのぶつかり合い、まぁ役に入り込んでいる上劇中でも似た
ようなやり取りはあるのだが、それにしても公演日が迫っているというのにいまだに立ち
位置や役立ちの観点がまとまらないのはどうしたものだろうか。
確かに彼女の方が役者としてのキャリアは長いのだが僕だって観察、監修を怠っていた
ことはないし、なにより配役を受けた身としてはやりたいようにやりたかった訳で。
「まぁいい、マリア。 次は終盤の練習に付き合ってくれ」
「んー、どこから?ジョン」
まだまだ煮詰めなくてはならないカットが残っているので、僕はジョンを完成させるべく
マリアに手ほどきを受ける。 「ちょっとクライマックスの立ち位置なんだけど――」
713 :
4/6:2010/05/01(土) 05:31:01
本番一週間前、演劇研の定期ミーティング後に演目発表を終えキャスト全員での通しリ
ハーサルを行う日になった。 やっとセリフにアドリブを入れたり個人的に表現も納得を
できるような余裕ができてからのリハだったので、僕は彼女に「今日はちょっとアドリブ
入れるかも」とだけ伝えて、本番さながらのリハーサルが始った。
幕間で彼女に「いい調子よ、ジョン」と世事か本気か分からないが、とりあいず好評を
いただいた僕は、その日は上手く演目を済ますことができた。
その日、各担当も準備万端、おそらく心配の種であっただろう僕の成功もあってか無く
てか、公演前団結会と称して居酒屋に繰り出した僕たちは、各々の改善点と注意点を軽く
まとめて各々帰路についた。 ――僕とマリアは除いてだが。
マリアの酔い覚ましに付き合いつつ大学と居酒屋と僕の下宿先の中間にある公園をぶら
ついていると、ふと演目中のクライマックスと似た情景であると気がついた。
冬の公園。 帰ってしまうジョンについてゆくマリア。 見上げると、澄んだ空気に浮
かぶ、大きな月。 そんなことを思っていると彼女がつぶやいた。
「月って、届かないから綺麗なのよね……」
「マリア、君はそんな月より輝いているよ」
合いの手を返す。 劇中もっとも盛り上がるだろうポイントだけに、僕はかなりのアドリ
ブを考えていたし、返事には事欠かなかった。 彼女も続ける。
「そんなことを言っても、あなたは私から離れていくよのね」「折角見つけたと思ったの
に……」マリアはジョンに縋るように抱きつく。
ここまでならシナリオ通り、そしてこの後キャストが茶化して大団円、となるのが本来
の筋書きなのだが、あいにくここは帰り道。 二人のほかにキャストはおらず、酒のせい
なのか彼女はなかなか離れず、僕は困惑した。
しばらくして、彼女が「じゃあ、本番も頑張りましょ」と離れるまで僕はなにもできず、
離れた彼女の様子も動揺した僕は注視できずに、その日は家路についた。
714 :
4/7:2010/05/01(土) 05:32:10
そして本番当日。緊張はするもののそれは役者だからという訳ではなく、いつも通りこ
の舞台を自分はやり遂げるという、先に待つ快感の為のいつも通りの緊張感に包まれた。
普段なら大道具の仕事片手に照明と効果音のチェック、使用済みの衣装や小道具の整理な
どもする余裕もあったが、今日は主役ということで幕間の度に衣装替えや瞑想に時間を費
やすこととなっていたのが、今思うと災いしたのだろうか。
舞台もクライマックス、マリアの長い独白中に、なんと照明がすべて落ちてしまったの
だ。 だがそこは演劇研究会というのだろうか、全く声色に動揺を見せずにこの暗闇が演
出であるかのように続ける。
「都会の明かりが落ちて、もう彼の姿も見えないわ! あぁ、どうしよう、星空までも
堕ちてしまったよう!」
リハーサルより悲壮感に満ち溢れた舞台で必死に僕は考える。 僕のセリフは月がなけ
れば成り立たない! 彼女は尺を稼ぐつもりなのだろう、またもアドリブを続ける。
「やっぱり私、彼無しではダメなのよ…… 月夜のきらめきに敵わない私は、月がなけ
れば見てもらうことすら叶わない……!」
「そんなことはないさ!」このアドリブに乗るしかない。 僕は腹を括った。
「今宵は新月。 僕は月が輝かなくとも、すぐそばに、星空よりも綺麗な人がいてくれ
た!」一呼吸置く。 「君がどこにいようとも僕は輝きを忘れはしないだろう! だから
マリア……」
どこへ向かえばいいのだろう。 くそう、もうどうにでもなれだ! おかしな高揚感が
身体を包む。 僕の力量が及ばないなら彼女に任せるしかない。
「――!私の気持ちに気づいてよ!」
「!?」
「私はずっと――のこと、見てたんだから! あなたの、素直な気持ちを聞かせて!」
いきなり役名でなく僕の名前を呼ばれて思考が固まる。 一瞬して観客のざわめきに交
じり、舞台の裾をのぞき見た僕にカンペが飛び込む。「つきぬけろ!!」ちくしょう、も
うヤケだ。
「マリア……いや、――。僕は、君が大好きだ!」
もう演劇など知ったことか。 ぶちぬけてやったぞ。 そう思った瞬間、照明が復活し
た。 視界が光に包まれ、なにも見えない僕に、誰かが抱きついた。
辺りを見回すと、同期のキャストが勢ぞろいしており、エンディングの音楽が流れ、舞台
は大団円となっていた。 隣には彼女が、目に涙を浮かべて抱きついていた。
僕は、この演目のラストにぜひ取り入れたいと思った案を、実行した。
後から聞いたところ、あの停電もどきは僕以外の全員が企てたことで、本当ならリハー
サル後に事を起こす予定だったとか。 だが彼女の「もう少し待って欲しい」とのことで、
まさかの本番にぶつけてきた、ということだった。
「演劇的にはほぼ成功だったし、後輩もうすうすわかってたみたいでよかったわ」
「いいことあるか。 あの時すごい焦ったんだぞ」
そんなことを言い合いつつ、僕らは卒業までのわずかな猶予を楽しんでいた。
春風が、二人の間を駆け抜けていった。
長すぎて書き込めなかったりしてぶつ切りになったり名前欄間違えたりorz
評価おねがいします
>>710-716 行頭一字下げがない部分はコピペミスのような気がするので指摘しない! 長い文章なので細かい空白のミスも目をつぶる!
>毎年恒例となっている卒業生追い出し公演の準備に演劇研究会に所属する僕は忙しさに追われていた。
(滑らかではない一文! 並びを変えて少し手を入れれば読み易くなる!)
演劇研究会に所属する僕は毎年恒例となっている卒業生追い出し公園の準備の忙しさに追われていた。
>卒業前の学生なんて、就職活動がうまくいっていれば僕のように暇なのは当然なのだろうか〜
(『当然なのだろうか』という当たり前に疑問を投げかけて意味があやふやになった!
そのせいであとに続く文章が対比になっていない!)
>個人的に表現も納得をできるような余裕ができてからのリハだったので〜
(『できるような』と『できてから』の表現を工夫する!)
>「そんなことを言っても、あなたは私から離れていくよのね」
(打ちミス!)
>いつも通りこの舞台を自分はやり遂げるという、
>先に待つ快感の為のいつも通りの緊張感に包まれた。
(『いつも通り』の表現が、かち合わない工夫をする!)
>今日は主役ということで幕間の度に衣装替えや瞑想に時間を費やすこととなっていたのが、
>今思うと災いしたのだろうか。
(照明がすべて落ちる前に結果を知っている! 回想のように読める!)
>後から聞いたところ、あの停電もどきは僕以外の全員が企てたことで〜
(なぜか、この部分だけを知らない!)
時系列通りに話が進む物語では回想を挟まない方が無難!
一文がとにかく長い! 全編に渡るので単調に見える! 話の内容に合わせて文章を変えた方がいい!
主人公である二人の容姿がわからないのは残念!
主題が演劇なので作り物っぽいところがアラにならなかった62点!(`・ω・´)
>>717 公園×
公演○
ワイの文章を自身の手で訂正するとは!(`・ω・´;)
>>717-718 評価ありがとうございます
プロット、キャラ設定考えずに書いたにもかかわらず50越えでびっくり
これからも精進します