アリの穴401:104穴のリア

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147奇子 ◆QP2O0BuTTA

珍しく僕の電話が鳴った。骨川からだ。私立の中学に進学してしまい、もう顔を合わせることもほとんどない。
「もしもし」
「よ、野比、元気か?」
「まぁね。骨川は、うまくやってるかい」
「もちろんさ。やっぱ金持ちばかりの学校はいいよ。おまえら貧乏人に合せる必要もないしさ」
それから骨川は、延々と学校の自慢話を話し続けた。その話を聞いているうちに、本当は骨川も、学校でうまくやれてないんじゃないかって気がしてきた。
あまりにも話が長いので、僕は思わず口を挟む。
「骨川さ……」
「なんだよ。人が気持ちよく喋ってるのに」
「友達できたか? 同じ小学校のやつ、ひとりもいないんだろ?」
沈黙。剛田の今の状況を、骨川は知っているのだろうか。
「剛田とは会ってるか?」
「いや。あいつんち貧乏だから携帯持ってないし。連絡すら取ってない」
「直接会いにいけばいいだろ」
「そうだな。でもわざわざいじめられに行くようなもんだし」
どうやら骨川が、今現在剛田がいじめにあっていることを知らないようだった。
「静香ちゃんは元気? 彼女になら、会いたいな」
 静香ちゃん……。彼女もまた問題を抱えていた。中学校に入ると、前みたいに僕らは遊ばなくなった。いや、まったく遊ばなくなってしまった。普段僕らとばかり遊んでいた彼女は、女友達がひとりもなく、教室の中で、完全に浮いた存在になっている。
最近の彼女はとても暗い。授業中、ノートの端に絵を描いては、クスクスと笑っていることもある。
その姿は、かつての僕らのマドンナじゃなかった。僕の友達、といってもうわべだけの友達だったが、そいつらも、彼女のことをオタクだと言って馬鹿にしている。とても骨川にそのことを伝えられなかった。