361 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/27(土) 06:32:15
さて、ヘイドレクである。
のび太の回想を聞きながら、ヘイドレクはズボンのポッケに手を入れて、自分のちいさいおちんちんをにぎにぎしていた。
う、羨ましい。なんて羨ましいんだ。僕も茉莉子先生みたいな素敵なお姉さまにチェリーを捧げたかった!
だがヘイドレクは小学生時代、クラスメイトからブタまんじゅうという素敵なあだ名で呼ばれ続けた過去しかなかった。
授業中、同級生の女の子をじろじろと見ながら、完全に皮の被ったちんちん(今も被ってますが)を固くさせてニヤニヤ。
女子生徒たちから気持ちワルがられ、男子生徒たちはそのようなヘイドレクを詰り、教師たちは遂に匙を投げる。
そんな過酷な運命をくぐり抜けながら、ヘイドレクはファンタジックヒーローとしてすくすくと今日まで生きてきたのだ。
ああ、何と言う悲しき運命! その悲しきサーガを知れば知るほど、人々は腹を抱えて笑った。
権田の館の一室で不朽の名作”源氏物語”を書き連ねる紫式部。
それに引き換えヘイドレクは、小学一年生の漢字練習帳レベルの文字を書き連ね、ノーベル文学賞に応募する日々。
ある意味度胸があるが、ノーベル文学賞って投稿作品の募集かけてたっけか?
まあいい、ノーベル財団にちょっとした威力業務妨害を続けながら、ヘイドレクは今日もまたオナニーで快楽を貪る。
果てしない夢を求めて。いつかたどり着く栄光を待ちながら。
ヘイドレクがパンツの中に射精したのは、それから40秒ほど経ってからのことだった。
その瞬間、ヘイドレクの醜いあばた面に、奇妙な微笑みが浮かんだ。
362 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/27(土) 12:33:44
小学校時代は豚マンジュウだったヘイドレク。
年月が過ぎ、第二次成長を経ている。
しかしその成長は筋肉や性器の発達という男性美を司る方向に働かず、
無駄な体毛を増やし、行き所のない精液を増産するという呪わしい方向にしか作用しなかった。
しかもそのうえ豚顔にはブチュラブチュラと膿ニキビ。
髭をそり落としても、数時間後には肌が青々と光りだす。
人は彼を、「青カビの生えた豚まんじゅう」と呼んだ。
腐った豚マンから湧き出す精液・・・
深きものどもも裸足で逃げ出すおぞましさ。
363 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/27(土) 19:35:04
>>361 のび太は変わった。あの日の午後を境にして。
学校の東校舎第12棟裏にのび太を呼び出し、軽くリンチするつもりだったジャイアン。
だが、ジャイアンは拳をふるうことができなかった。身体がそれを拒んでいた。
何故だろう、今までと違う。何かが違う。
のび太の、ジャイアンを静かに見つめるその眼光の輝きに、ジャイアンはおののいた。
まるで獣…のび太の奥に野蛮で凶暴な猛獣が潜むのを、ジャイアンの本能は感知したのだろうか。
何も気づかず、のび太を罵る言葉を吐くスネ夫をよそに、ジャイアンは怯えた。
春本番の、この生温い空気が、一気に十度くらい下がったような、そんな寒気を覚える。
「ジャイアン、のび太の奴、今日金持ってきてないみたいだぜ! 殴っちゃおうぜ!」
スネ夫はジャイアンに縋る。こいつはしょせん腰ぎんちゃくでしかない。
自分が虐められたくないがために、強い奴に引っ付いて弱いものいじめをするだけの、下らない男だ。
ジャイアンはスネ夫のその無邪気な笑顔を見下ろし、激しい嫌悪感を感じた。
何だろう、この下らなさは。それに比べてこの目の前で静かに佇む、のび太の異様なまでの落ち着きは?
「…い、いくぞスネ夫!」
ジャイアンは踵を返した。のび太の双眸から注がれるあの輝きに耐えられなかった。
スネ夫は、何でだよ? のび太は金を持ってこなかったんだから、ヤキ入れなきゃだめじゃん!と抗議する。
364 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/27(土) 19:36:41
刹那、ジャイアンは切れた。
文句を言いながら騒ぐスネ夫を、気づいたら殴っていた。反射的に、迷うことなく。
固く握った拳に、スネ夫の歯を砕く嫌な感触がした。それとともにスネ夫のグウッ! という情けない呻き。
気づくとスネ夫は、ジャイアンとのび太の間に倒れこみ、驚いたような顔でジャイアンを見上げている。
その目は涙でにじみ、何でボクが殴られなきゃならないの?と驚いたような顔だ。
鼻血が流れ、口元が裂け、その血が頬を伝い地面に滴り落ちる。前歯も折れているようだ。
ジャイアンもまた驚いた。自分が今してしまったことが信じられなかった。
握ったままの拳は震えている。鼓動が高鳴り、額に汗が滲んでくる。実に嫌な感じだ。
ふと視界の端に、のび太の姿を捉えた。
のび太は、立ったまま震えるジャイアンの姿と、倒れ伏してすすり泣くスネ夫の姿を、冷ややかな目で見つめていた。
その冷徹なまでの眼光に、ジャイアンは恐怖した。
何かが違う、今までとは何かが!
365 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/27(土) 19:37:44
「こらっ! 貴様ら何をやってるんだっ!!」
校内を見回る教務課の教員が、この校舎裏にやって来ていた。
まずい、見つかった!
ジャイアンは焦った。
もう一度ここで学校側から処分が下れば、おそらくは退学処分。
つい先日、ロッカーの中から憶えのないハイライトの箱が教師に見つかり、三週間の停学処分になったばかり。
あれは冤罪だったが…おそらくジャイアンの横暴っぷりに反発した卑怯者の陰謀だろう。
だが、今回は言現行犯、もはやい訳ができない。
「貴様ら、こんなところでリンチか! ここは神聖な学び舎だぞ!」
教師達はツカツカと歩み寄ってくる。手にした竹刀をブンブンと振り回しながら。
スネ夫はジャイアンを詰るように睨み、その視線を教師達の方に向けた。
決定的だ。これで退学になるジャイアンに、スネ夫はもう容赦はしないだろう。
ジャイアンに殴られた、その一言を教師に言えば、それでジャイアンはここから永遠に去る。
「おい! 殴られたのはスネ夫か! 一体誰がやったんだっ!」
教師は怒鳴りつける。その声がジャイアンにはどこか遠くから響いてくるように聞こえた。
ジャイアンの学園生活がここで終焉を迎える。この学園を卒業し、エリートコースへ乗る夢も崩れさる。
実家の零細青果店の下働きをさせられ、そこで生活に追われる日々…。
この瞬間、ジャイアンの脳裏に浮かんだのは、その絶望的な未来予想図だった。
366 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/27(土) 19:45:05
だが、ここで予想外のことが起きた。
スネ夫が口を開こうとしたその瞬間、それを遮るようにのび太が一言。
「ボクがやりました。」
そう言って教師たちの前に進み出た。
一瞬、空気が止まった。唖然とするスネ夫の表情がジャイアンの目に映った。
ジャイアンもまた、状況を掴みきれていなかった。今、のび太の言った一言が信じられなかった。
「野比! 貴様が骨川を殴ったというのか! そうなんだなっ!」
教師はそう叫び、のび太に詰め寄る。
だが、のび太は教師達を前にしても、泰然自若とした態度を全く崩していない。
それどころか、口元にうっすらと笑いを浮かべている。
そののび太の視線が一瞬、ジャイアンとかち合った。
それだけで充分だった。ジャイアンはその一瞬で全てを理解した。
のび太はジャイアンをかばったのだ。今までのび太のことをいじめ続けたこの男を。
決して恩を売りつけるような、そんな態度ではなく、ただちょっとした些事を軽やかにこなすかのように。
のび太の態度は冷静そのものだった。
教師たちが激しい口調で叱っているにも関わらず、まるで表情を変えない。
今までののび太からは想像も付かないほどに、のび太は変わってしまっている。
ジャイアンは己の卑小さを悟らされた。これで充分であった。
拳はおろか、言葉すら交わすことなくジャイアンはのび太の前に敗れ去ったのだ。
だが何故だろうか、悔しさはなかった。むしろ本能的な恐怖が、ジャイアンの心を暗鬱に支配していた。
367 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/27(土) 19:46:25
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ先生!」
我に返ったスネ夫が叫んだ。涙声で。
自分を殴ったのはジャイアンであって決してのび太ではない、そう主張したかったのだろう。確かに真実はそうだ。
それにのび太ごときに殴られたとなっては、スネ夫は学園中でバカにされる。
そう、今までののび太であったならばそうであろう。だがスネ夫はのび太の変貌に気づいていない。
「先生違いますっ! ボクを殴ったのはっ…」
スネ夫が口を開こうとしたその瞬間であった。
目の前で俄かに信じがたいことが起きた。
のび太の蹴り上げた足が、スネ夫の側頭部に打ち込まれた。
鞭のようにしなるその蹴り足が当たった瞬間、バツンと渇いた鈍い音が校舎裏の空間に響く。
嫌な音だった。無情で容赦ない、真の暴力の音だった。
サッカーボールのように蹴り上げられたスネ夫の頭部は、そのまま激しく地面に叩きつけられた。
スネ夫は失神。それだけではない、スネ夫のズボンがみるみると濡れてゆく。失禁したのだ。
今目の前で起きたことに、教師たちも絶句した。
ジャイアンにも信じられなかった。まるで虫けらを踏み潰すかの如きのび太の暴力。
368 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/27(土) 19:47:15
一方、のび太は何事も無かったかのように、教師の方に向き直った。
「骨川くんを殴ったのは僕です。ちょっとこいつ生意気だったんで、ヤキを入れただけです」
のび太は教師にそういうと、何と微笑んでみせた。
その無邪気な微笑みに、ジャイアンだけでなく教師たちすら慄然とした。
「ただ今は反省しています。だから先生方の下された処分はキチンと受け入れます。申し訳ございませんでした」
のび太だけが話していた。淡々と、冷静に。それ以外の人間は全て時が止まっていた。
騒ぎを聞きつけたのだろうか、無数の生徒たちがこの校舎裏に集まってきた。
無言で立ち竦む教師たちとジャイアン。その目の前で教師にしおらしく謝罪の弁を述べるのび太。
そして地面に倒れ伏しているスネ夫…流血し、泡を吹いて倒れるその姿に、数人の女子生徒たちが悲鳴を上げる。
その悲鳴を聞き、我に返った教師たちは、のび太を生徒指導室に連行してゆく。
その後姿を、ジャイアンは呆然と見つめていた。
間もなく、救急車のサイレンの音が遠くから響いてきた…。
369 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/27(土) 20:51:31
「ねえ、のび太くん。やりすぎよ…」
茉莉子先生はそう言うと、クスリと笑った。
生徒指導室には茉莉子先生とのび太の二人。
ガラス天板のテーブルを挟んで、のび太と茉莉子先生は向かい合って座っている。
のび太は無言だった。
ただソファーに座りながら、茉莉子先生からもらったヴァージニアスリムの煙を、ゆっくりと吐き出している。
他の先生方は、全てを担任の茉莉子先生に任せて授業に戻っていった。
混乱する校内を押さえるためにも、カリキュラムはあくまで平常どおりに進める必要があったのだ。
「救急車で運ばれた骨川くんは、そのまま緊急の開頭手術ですって…おかしいわね!」
茉莉子先生はそのままケタケタと笑う。自分の受け持ちの生徒が重篤になったにも関わらずにだ。
別にあんな下らない坊やなんて、正直どうでもよかった。
まあ、のび太に傷害致死罪が加わらなかった分、よかったかな、という程度。
のび太は尚も無言。ただ煙草の煙が立ち昇るさまを、無感動な目でジッと見つめているだけ。
眼鏡の奥のその瞳は、あくまでも冷徹のままだ。
この件で、かなり重い処分が下るのは間違いないにも関わらず、彼は平然としている。
その冷たさに、茉莉子の中の女が疼いた。
目の前の少年の中に潜む、暴虐なまでの逞しさに、茉莉子は涙が出るほどの感動を覚えた。
370 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/27(土) 20:53:36
おそらくのび太に下る処分は長期停学であろう。だが、正当防衛を主張し、それを軽減する余地はある。
何せ彼は今までジャイアンとスネ夫にいじめられてきたのだ。
ジャイアンはのび太に不利になる証言はしない。
既に先ほど茉莉子がジャイアンに行った事情聴取で分かっている。
初めにスネ夫を殴ったのはジャイアン。ジャイアンはあのままでは退学だったのだ。それをのび太は庇った。
のび太もその事実はとりあえず認めた。面倒くさそうに。そんな些細なことなど、どうだっていい、そんな態度だ。
悍馬の如く荒々しいその性は、本来のび太の中に眠っていた本性そのものだ。
今までその目覚めは抑えられてきたのだ。あの”ドラえもん”なる下らないおもちゃのせいで。
のび太は煙草を灰皿の中で乱暴にもみ消した。茉莉子先生はそれをジッと見つめている。
まだ時間はタップリある。ここでのび太を”事情聴取”し、”反省を促す”ための時間がたっぷり。
親御さんへの連絡は済んでいる。のび太の両親の反応は驚愕と困惑だった。
うちの息子がまさか! ウソでしょ! そんな酷いこと、うちののびちゃんがやるなんて!
電話口でそう叫ぶのび太の母は、取り乱していた。
アンタの息子は本来はこういう男なんだよ。今までアンタたち両親は気づかなかったんかい。
茉莉子は呆れながら母親のたわ言を聞き流し、その電話を切った。
こののび太の親とは思えないほど、実に下らない母親だ。
あんなくだらない母親から、よくまのび太のような傑物が生まれ落ちてきたものだ。
茉莉子は再びのび太を見つめた。
ブラインド越しに差し込むのび太の顔は、どこか危険な薫りがただよう。
眉が引き締まり、幼さを残しつつもその表情は力強さが漲っていた。
眼鏡の下のその瞳…あのジャイアンすら恐怖をおぼえたほどの鋭い眼光は…おそらくこれから多くの女を殺すのだろう。
371 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/27(土) 20:55:08
茉莉子はコーヒーを淹れるために立ち上がった。
ゆっくりと、のび太に己の美脚とヒップをアピールするように、艶めかしく。
短く切り込まれたスカートの奥は、既に熱く潤っていた。
この狭い空間に、のび太と二人きりでいるのだ。
コーヒーを淹れる水音だけが、静かな部屋の中で響く。
背中越しにのび太の存在感を意識し、茉莉子は無意識に緊張する。
それは同時に期待だった。のび太を激しく求める女の本能の昂ぶりだった。
茉莉子はコーヒーカップをテーブルに置き、そのまま今度はのび太の隣に座った。
のび太の腕にしなだれかかるように身体を添え、頬をのび太の肩に預ける。
のび太の息遣いが聞こえる。まるで落ち着き払ったその息遣いに、茉莉子は軽く嫉妬する。
私ほどの美女が寄り添っているのに、何で興奮してくれないのかしら、と。
耐えられなくなった茉莉子は、のび太の頬に軽くキスをした。
その後数度、のび太の頬のキスを繰り返し、のび太の耳朶を唇で噛む。
「ねえ、ここで抱いてくれる? ドアの鍵は掛かっているから…」
茉莉子は囁く。その声はどこか上ずっている。
372 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/27(土) 20:56:05
のび太は無反応なままだった。
茉莉子はゆっくりとのび太の股間に手を這わせ、そのジッパーを引き下ろす。
まだ眠ったままの女殺しの凶器に手を触れた。
怒張していないにも関わらず、茉莉子の手に余るほどの大きさ。
あの日の午後以来、幾度も茉莉子を苛め、茉莉子を快楽の園に導いた逞しい男の鉄槌。
ブリーフの中からそれを引き出し、ゆっくりと指でしごく。
のび太は茉莉子の好きにさせた。まるでセックスしたければ奉仕してみろ、といわんばかりに。
そのクールな態度は、茉莉子をさらに昂ぶらせる。
ブラウスのボタンを自ら外し、ブラのホックを解く。
ブラインド越しに差し込む午後の光の中に、その豊かな乳房が露わになった。
丸くたわんだその乳房と、その先端にある敏感な桃色の乳首が、のび太の胸にこすり付けられた。
のび太は尚も動かない。徐々に茉莉子の息遣いが荒くなる。
茉莉子はのび太の股間に顔を寄せ、のび太の肉茎にキスをした。そのまま唇で亀頭を包み込む。
ゆっくりとのび太の肉茎が熱を帯びてくる。茉莉子はそれを口に含み、舌で刺激を与えてゆく。
のび太の手が、茉莉子の髪を掻き分けた。己の巨根をくわえ込む美しい女の顔を見るために。
茉莉子はその視線を意識し、のび太の方を見上げながらフェラティオを続ける。
唾液をたっぷりと分泌させ、のび太のその凶器を鍛え上げてゆく。
373 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/27(土) 20:56:55
もはや口の中に納まらないほどに巨大となったのび太のペニス。
それを茉莉子は魅入られたようにうっとりと眺めた。
欲しい、この肉の凶器で私のあそこを刺し貫いて欲しい!
堪えきれなくなった茉莉子はスカートをたくしあげ、自らショーツを脱ぎ去るとのび太の上に跨った。
もはや前戯など無用であった。液が滴るほどに濡れた茉莉子のヴァギナは、そのままのび太のペニスをくわえ込んだ。
まるで茉莉子を引き裂くかのように、のび太が侵入してきた。
茉莉子は夢中でのび太の上で弾み、己の膣の奥へとのび太をさらに誘う。
一方のび太はテーブルの上においてあったヴァージニアスリムの箱を取ると、そこから一本取り出して火をつけた。
それを口にくわえながらのび太は茉莉子の淫らな姿を見下ろす。
はだけた上着から覗く乳房は、茉莉子が腰を弾ませるたびに上下する。
その敏感な乳首を、のび太は指先で弄った。既に隆起している乳首の反応を楽しむ。
茉莉子はさらに昂ぶり、ほんの僅かの間に数度、絶頂感を味わった。
そのたびに苦しそうに呻き、大量の愛液を迸らせ、しかし尚も貪欲にのび太を求めた。
のび太は煙草の煙を吐きながら、茉莉子先生を冷徹に見つめる。
素晴らしい女だ。俺に大人の女の快楽とは何かを知らしめてくれた、愛すべき女だ。
それが、何か目論見があってやっていることは既に分かっている。
そのあたり、茉莉子先生は食えない女だ。だからそれだからこそ、今この時、この瞬間の悦びを貪り合おうではないか。
のび太は煙草を灰皿に放り投げると、己のペニスに跨る茉莉子先生を抱え上げた。
その瞬間、茉莉子先生は再び達し、のび太の大隊を伝い落ちるほどの熱い液を吐き出した。
374 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/27(土) 21:10:23
息も絶え絶えに、のび太に縋りつく茉莉子。
その可愛らしいあえぎを耳元で聞き、のび太の中のオスは解き放たれる。
茉莉子の身体を床の上に乱暴に押し倒す。
そのまま己のペニスを、茉莉子の熱い膣の中に叩きつける。
殆んど悲鳴に近い声をあげ痙攣を繰り返す茉莉子を、のび太は押さえつけるように抱いた。
肉と肌と粘膜がぶつかり合うような、激しいセックス。
互いが互いの快楽を求め合い、凄まじい勢いで絶頂へと上り詰めてゆく果てしない高揚感。
ついにのび太のペニスも限界に達した。
茉莉子先生の粘膜の齎す女の柔らかさに、のび太は疼きを抑えられなくなっていた。
数秒後、のび太は射精した。
茉莉子の華奢なその肉体を床に押し付けるように抱きながら。
子宮の奥まで突き入れた巨大なペニスからは、大量の精液が吐き出される。
それは茉莉子の膣からあふれ出し、愛液と入り混じりってリノリウムの床に滴った。
のび太と茉莉子は互いに抱き合ったまま、痙攣を繰り返す。
遂にのび太が全てを吐き出したとき、茉莉子先生はのび太の腕の中で失神していた。
その表情はしかし女神のように美しかった。
のび太もまた、茉莉子先生の乳房の中に顔を埋め、快楽の余韻に酔いしれた。
茉莉子の中で徐々に力を失ってゆく己のペニスの、心地よい痺れを感じ取りながら。
375 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/27(土) 22:29:58
茉莉子はやがて、意味の無い吐き気に悩まされるようになった。
生理も止まった。
376 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/28(日) 03:09:16
茉莉子のそれは、ただの食あたりと生理不順であった。
一方、のび太に下された処分は、停学一ヶ月だった。
なお、あと二週間で夏休みとなり、その間も停学期間は加算されるために、実質二週間の停学でしかない。
一時は危篤状態に陥ったスネ夫の容態を考えれば、この処分は軽すぎると言えた。
スネ夫の実家の骨川家はこの程度の処分を不服とし、野比家と学園サイドを訴えると息巻いていた。
だが、それも立ち消えになってしまった。
長期休養となったスネ夫のロッカーを学園側が整理したところ、
中から煙草やブランデー(これはスネ夫が実家から持ち出したもの)が見つかり、
さらにはしずかちゃんの盗まれたブルマその他数点まで見つかってしまったのだ。
これをもみ消す代わりに学園側ものび太とスネ夫の間で起きた不祥事に”目をつぶる”ことになり、
かくしてのび太の停学期間はこれほどの短いものと決定されたのだ。
だが、のび太にとっては、そんなことなどどうでもよかった。
停学なんてしょせんは長期休暇のようなもので、夏休みが他の連中より二週間ばかり伸びたと思えばいい。
その”特別休暇”を、彼は”有意義”に費やすことにした…。
377 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/28(日) 03:10:26
「…ああっ! す、凄いっ! もう駄目ェ!」
のび太の腕の中で、峰不二子は激しく悶えた。
逞しいのび太の突き上げに、不二子のグラマラスな肉体は翻弄された。
不二子に分け入ったのび太の、並外れて巨大なペニスは、不二子の膣の粘膜の中で横暴に振舞う。
普段、取り澄ましたような不二子が、のび太の獰猛な愛撫にすすり泣きを始める。
のび太は不二子に圧し掛かり、無言で腰を突き出す。
その突き出すリズムに合わせ、マットレスの上のグラマラスな女怪盗は悶え、喘ぐ。
栗色の長い髪の分け目から、不二子の表情がうかがえる。普段は冷静で、ツンと気取ったこの女。
だが、今はのび太の凄まじいセックスの下で理性の箍は吹き飛び、痴態を露わにしている。
「も、もう駄目っ! ああ、もう許し…あうっ!」
のび太は容赦しなかった。不二子のヴァギナを力強くえぐった瞬間、不二子は絶頂に達し、
シーツをぐっしょりと濡らすほどの愛液を垂れ流した。
その生暖かい感触が、のび太の内腿を伝う。
不二子はのび太の視界の中で、顔を顰め、何度か嗚咽のような声を上げる。
同時にのび太の巨大なペニスを締め上げる括約筋が引き締まり、のび太を絶頂へと誘う。
だが、のび太は許さない。彼の年齢や経験数から考えれば信じられないような自己抑制で、
己のペニスにチリチリと走る快楽の痺れを押さえつける。
のび太は不二子の乳房を吸った。大きく丸みを帯びたその乳房を両手で寄せ、その乳首を舌先で激しく転がす。
同時にスラストを再開し、べっちょりと濡れそぼった不二子の股間に己の腰を叩き付けた。
ヴチュ! ヌチュ! という粘液質の音が、不二子の膣から漏れる。
378 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/28(日) 03:12:55
「あぐうっ! あひいっ!」
絶頂からほんの束の間、再び押し寄せた凄まじい快楽の波に、不二子はもはや抗することが出来なかった。
自分の体を押さえつけるのび太の力強さ、自分の子宮を焦がさんばかりののび太のペニスの熱さ。
メスの悦びの全てが不二子に殺到し、彼女の理性は完全に吹き飛んでしまっていた。
もはや吠えるようにあえぐ。ベッドルームにはマットレスのスプリングが軋む音と、不二子の悲鳴だけが響き渡る。
その中で、のび太だけは不二子を冷たく見下ろし、ひたすらペニスをヴァギナに突き入れ続けた。
まるでマシーンの如く。そう、のび太はもはや立派なセックスマシーンであった。
再び不二子が絶頂に達し、快感のあまり意識が一瞬飛んだ。だが、のび太は意に介さずペニスを暴れさせ続けた。
取り留めなくあふれ出す不二子の愛液の熱さを感じながら、額に流れる汗を拭おうともせず。
こんな高飛車な女はとことん狂わせてしまえばいい。
とことんまで痴態を晒させて、本能のレベルまでセックスで洗脳して、メス奴隷にしてやれ。
そう、これは調教であり、拷問であった。
この女は己の魅力で馬鹿なフランス人怪盗を手玉にとっているみたいだが、こののび太にはそれは通用しない。
その事を、このベッドの上で体で分からせてやるのだ。
ついにのび太が絶頂に達したとき、不二子は完全に失神していた。
のび太は己の欲望の雫を不二子のヴァギナにたっぷりと注ぎ込む。
二十秒ちかくもの間、勢いよく吐き出されたのび太の精液はことのほか大量で、不二子のヴァギナを満たし、溢れた。
379 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/28(日) 03:14:19
…のび太はベッドの脇に座ると、ハイライトを取り出し、火をつけた。
ベッドの上で不二子は白目を剥き出し、ヴァギナからはのび太の精液を溢れさせている。
失神し、口元からヨダレを垂れ流す不二子は、レストランでの取り澄ました姿からは想像もつかない変貌ぶりだ。
のび太は不二子をジッと眺めた。
仰向けになっても形を崩さない不二子の乳房に、のび太は少し驚嘆する。
あれは中々見事だ。ルパン三世なるアホが夢中になる理由も分かるというものだ。
今はだらしなく開かれた両足の間には、きちんと切りそろえられた陰毛が見える。
毛先に汗と愛液を光らせ、赤紫色のヴァギナをデコレートしているそれはとても卑猥だった。
そのクレヴァスの間から、今もなおのび太の放った白い粘液が溢れ出ている。
その粘液は、不二子の愛液と入り混じり、臀部を伝ってベッドシーツに新たなシミを作っている。
のび太はベッドルームに密かに据えつけたビデオカメラの一つを抱えた。
煙草を吸いながら、まず不二子の顔をアップで映し出す。
失神して白目を剥き、浅く息している不二子の顔は不様だ。
真珠のように白い歯も、緩んだ唇から剥き出しになり、そこから溢れた唾液が頬まで流れ出ている。
それからのび太は、不二子の乳房を舐めるように撮り、さらに不二子のヴァギナをアップで捕えた。
のび太のペニスで荒々しく開発された膣口は、そののび太のペニスの巨大さゆえか、今は少し広がっている。
そこからは流れ出る精液は、ヴァギナ全体を白く染め、肛門の方にまで溢れていた。
のび太はさらに不二子の両脚を押し広げ、その模様をじっくりと撮影した…。
380 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/28(日) 03:15:27
…のび太が撮影機材を仕舞い、服を着はじめたころ、ようやく峰不二子は目覚めた。
全裸でだらしなく横たわっている姿を恥じらい、慌ててシーツを体の上に被せる。
いつもの自信満々の姿はもはやどこにも無かった。
これほどまでに不二子を狂わせた男は、のび太が初めてであった。
今までならば、不二子の方が様々なテクで男たちを狂わせ、その財産や財宝を奪い去ってきたのだ。
だが、もう今は駄目だ。本能が、女の性が、のび太に逆らうことを拒絶している。
この男に蹂躙され、支配されたいという、今までの不二子からは考えられないような欲望が芽生えていた。
「目が覚めたかい?」
のび太は不二子の方を剥き、眼鏡の奥から微笑んだ。
そののび太の視線…茉莉子先生曰く、女殺しの瞳、に射すくめられた不二子は、思わず頬を赤らめる。
それと同時に、ぎこちなく、恥ずかしげに微笑み返す。
のび太はもう一度微笑むと、そのまま帰り支度を始めた。やることはやった。もうこれ以上長居する必要は無い。
そのあたり、のび太は極めてクールだった。かつてのひ弱なのび太の面影など、もはやどこにも無かった。
「ねえ、泊まっていかないの?」
不二子は言った。とりすましているようで、声には本音が滲んでいた。
それは哀願だった。せめてこのままのび太と一緒に夜を過ごしたい、そういう本音が声色に出ていた。
のび太は無言であった。シャツのボタンを留め、茉莉子からプレゼントされたアルマーニを羽織る。
姿見の前でネクタイを直し、髪を撫で付けた。
381 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/28(日) 03:37:50
背後から、不二子の視線を感じる。のび太を求める女の目線だ。
だがもう今日はこの女に用は無かった。既に彼女のペルソナは剥がれ落ちたのだ。
後は時折メンテナンスをこなし、利用できるときにとことん利用する。邪魔なら殺す。
「ごめん、ボク宿題があるんだ。だから今日は早く帰らなきゃ」
のび太は申し訳なさそうに、そう言った。ここで笑顔。これは忘れてはならない。
この笑顔一つで女は安心し、さらにのび太への愛を深める。
のび太は微笑みながらベッドに腰掛け、不二子の栗色の髪を撫でた。
不二子はまるで少女のように従順に、のび太に身を寄せる。
「近いうちにすぐ会えるさ。そのときは一緒に朝日を眺めよう」
のび太はそう言うと、不二子の唇に己の唇を重ねた。そのまま舌を差し入れ、さらに軽く乳房に手を触れる。
一分ちかいキスの後、さらに求めようとする不二子を優しく押し戻す。
不二子は少し拗ねた。その拗ねた横顔にもう一度キスをして、のび太は素早く立ち上がる。
「多分来週の火曜日には会えるよ。それまでに例の件をお願いね、不二子さん」
のび太はさりげなく念を押し、名残惜しそうな目で見送る不二子を残し、部屋から出た…。
382 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/28(日) 03:38:37
…ホテルのロビーを抜け、ロータリーで車を待った。
夏の日差しが眩しい。空気には潤いと熱気が満ち溢れ、のび太の額にたちまち汗が浮かぶ。
気を利かせたポーターがハイヤーを呼ぼうとするのを丁寧に断り、そのままのび太は玄関の庇の下に立つ。
数分して、アストンマーティンがロータリーに入ってきた。
12気筒エンジンの心地よい響きが、ビル間に響き渡る。
のび太の前に停車するアストンマーティン。
素早く扉を開け、のび太は助手席に座り込むと、再びエンジン音を響かせてスタートした。
「ねえ、どうだった? のび太くん」
運転席には茉莉子先生がいた。サングラスを掛け、真っ赤なルージュを引く姿は相変わらずセクシーだ。
のび太は茉莉子先生の太ももに手を置き、軽くさすった。くすぐったそうに笑う茉莉子先生。
のび太はそれでも太ももを優しく撫でる。スカートの裾に手を入れ、内腿の素肌を優しく。
「そんなことしたら、事故起こしちゃうわよ」
茉莉子先生はモモを閉じようとする。おそらく感じてしまったのだ。
「先生と一緒に事故に遭って死ねるなら、ボクは本望ですよ」
のび太はクールに言った。茉莉子先生がハッとしたのが分かった。
臭いセリフはタイミングよく言えばストライクなのだ。
「大丈夫ですよ茉莉子先生。首尾は上々です」
のび太はそう答え、レカロのシートの中に深々と身を横たえた…。
383 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/28(日) 06:22:17
「…ねえ、のび太くん。どうしたの? 何か最近、変だよ?」
のび太は机に向かって夏休みの宿題をやっている。
科目はラテン語U。のび太が比較的苦手としていた科目である。
民法総則や刑事訴訟法、回路理論や量子力学、非線形微分方程式論は既に全て終えている。
ラテン語を終えた後には担保物件法、破産法などの法学系のレポートや、物性物理学の問題集を終えるつもりだ。
のび太はドラえもんの問いかけを無視した。鉛筆がノートの上を走り、ラテン語の文法問題を次々と解いてゆく。
間もなく夏休みの課題分の問題は全て終える。かなりのハイペースである。
だが、現在ののび太の脳は知識と理解を激しく渇望していた。
渇いた砂に水が染み入るが如く、のび太の知識体系は脳内に着実に築きあがってゆく。
ラテン語の問題集を終え、見直しを終えた後、それらを既決のトレーに放り込む。
これからはキケロの著作をまとめたテキストを読み込めば、おそらく二学期のテストはトップであろう。
384 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/28(日) 06:23:31
ついでのび太は本棚から法律のテキストを取り出した。
瑕疵担保責任の制度趣旨…何故、無過失の債務者に責任を課すのかという、その法的根拠を学ぶ。
具体的な判例を判例集から拾い上げ、それらを吟味し、理解のためにノートの端にメモを採る。
しばらくそれらを読み込んだ後、民法の論文問題の過去問集を紐解く。
それには民法の各制度ごとの問題の索引があり、のび太はそれから三つほどの過去問を解いてみた。
関係者の法的関係を図示し、それらを検討し、論文構成を決定する。
その後、既に記憶した論述パターンを組み替え、今度は実際にそれを記述してみる。
模範解答例のページを開き、そこで自分の論述と比較検討。出来は中々だな、とのび太は思った。
一学期の間、比較的苦手にしていた民法もこれでかなりの高得点を期待できそうだ。
理数系を比較的得意としていたのび太だが、語学科目と法学科目を苦手にしていた。
これらをこのひと夏の間に全てマスターし、新学期からはトップレベルの成績をとる。無論実力で。
茉莉子先生は教師という立場から、のび太の成績スコアの改ざんを提案したが、それはのび太のプライドが許さなかった。
実力で全て取る。己自身を鍛え上げ、どのような困難にも立ち向かう力を自ら培う。のび太の決意は堅固だった。
さらに刑法…共同正犯の正犯処罰の根拠とは、意思の連結が正犯の結果惹起の危険性を高めるから。
刑法総則60条の法制度趣旨をきちんと学び取り、事例問題集を解く。なるほど上々だ。
385 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/28(日) 06:25:51
人権の比較考量的解釈による判例…。
表現の自由とプライバシー権の比較考量判例の判例には三島由紀夫の「宴のあと」が使われていた。
プライバシー権の条文規定は現在のところは存在しない。だがそれは憲法の人権規定の趣旨から導かれるもの。
憲法21条の表現の自由と、人権趣旨から当然の如く導かれるプライバシー権は両者相譲らず重要な人権。
ゆえに事例を具体的に考量し、個別具体的に判断するのが妥当である…。
「ねえ、のび太くんってば! 聞いてるの?」
ドラえもんの声は少し怒っていた。今まで何度ものび太に声をかけていたようだ。
のび太はその声を聞き、苛立ちを覚える。今、俺は目の前の勉強に集中しているっていうのに。
だが、のび太は自らの心を落ち着かせた。不必要に感情的になるな、それがのび太が己に課した掟の一つ。
のび太は椅子を回転させ、ドラえもんの方に向き直ると、柔和な笑顔を作ってみせた。
「なんだいドラえもん。今、ボクは夏休みの宿題に打ち込んでいたところなんだよ?」
どうせ下らない要件だろう、とのび太は思っていたが、それは一切表情に出さない。
ドラえもんは、今はのび太の最高の友達、その関係を崩さないためにはある程度の我慢は必要だ。
ドラえもんは心配そうな顔でのび太を見つめている。
一体何が心配なのだろうか? ドラえもんなんぞに心配されるようなことなど何もないってのに。
「ねえのび太くん。さっきから何度も声をかけてるのに、まるで耳に入ってないみたいだけど?」
お前なんかネズミにかじられて耳そのものが無いじゃん、とのび太は言いかけたがやめた。
人の心の傷をむやみやたらに触れるのは、良い結果を伴わないのだ。
とはいえ、このドラえもんは人ではなく未来の世界からきた青タヌキ型ロボットだが。
386 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/28(日) 06:27:16
「いや、だってほら、ボク、夏休みの宿題に没頭してたから…ゴメンね心配かけて」
のび太はしおらしく謝った。というより、人が熱心に勉強しているのの、どこがおかしいのだろうか?
ドラえもんは黙った。心配そうに見つめる瞳…未来の世界の技術は凄いな、とのび太は感心する。
こうした微妙な心理を、目や表情筋の動きでたくみに表現してみせてしまうのだから。
「で、なんだいドラえもん。何か用?」
黙したまま一向に口を開かないドラえもんに、今度はのび太の方から質問した。
ドラえもんは溜め息を付く。さすがにこのロボットも、最近ののび太の変貌くらい気づいているはずだ。
幾ら適当にはぐらかしても、これだけ毎日一緒に居て気づかないという方が変である。
「…あのね、のび太くん。今日の午後、空き地で少年探偵団の会合があるんだけど…」
ドラえもんは語尾を濁した。そのまま目線を逸らし、困惑げな表情を浮かべる。
おそらくはスネ夫の件であろう、とのび太は推測した。
スネ夫を病院送りにして以降、同級生たちはのび太から距離を置くと決めたようで、連絡一つ寄こさなくなった。
まあそうだろう、あれだけ派手に蹴り入れたからな。
「今日の午後かい? …そうだね、別に用も無いから行けるけど、何か問題でもあるのかい、ドラえもん?」
用はある。だがそれは夜やればいいだけの話だ。
それよりも歯に物が詰まったかのようなドラえもんの態度に、のび太は少し苛立つ。
387 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/28(日) 06:28:02
ドラえもんはなおも目を逸らしたまま、どこかまごついている。
下らないことにこだわってるんだな、とのび太は呆れた。
スネ夫みたいなクズがどうなろうと、正直どうだっていいことじゃねーか。
だが、のび太はそんな考えは一切、表に出さない。柔和な表情を作り、ドラえもんの言葉を促す。
ドラえもんは意を決したように、のび太に向き直った。
決然とした目といえば大げさだが、一応大事なことらしい。
「ねえ、のび太くん。今日はスネ夫くんも来るんだ。だから…」
「だからスネ夫に謝って欲しい、そう言いたいんだろ? ドラえもんは」
下らない、実に下らないことにこだわってるんだな。
だがドラえもんの表情はパッと晴れた。のび太の、たった一言で。
気のせいか、目が潤んでいるようにも見えた。
「分かってるよドラえもん。みんなの前で、ちゃんとスネ夫に謝るから心配しないで」
のび太はそういうと、それで用は済んだだろ、と肩をすくめて見せて、机に向き直った。
ドラえもんは携帯電話を取り出し、おそらく団長の山下くんに電話を入れているのだろう。
今日、のび太くんも行くってさ。ちゃんとスネ夫くんに謝るって言ってたから…。
先ほどまでやっていた憲法の事例問題に取り掛かるのび太。
取り掛かってほんの数秒で、先ほどまでのドラえもんとの会話など完全に頭から消え去っていた…。
388 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/28(日) 07:39:06
空き地に集まった少年探偵団のメンバーたちの目が、一斉にのび太に注がれた。
そこには微かな怯えの色が見える。のび太という級友との関係を図りがたい不安感が見て取れる。
真夏の陽射しが差し込む空き地は、目を開けていられないほどに眩しい。
そこに夏休み中の少年少女たちが群がっている。
今日は少年探偵団の定例会議の日だ。
毎週木曜日、少年探偵団は全員の招集をかける決まりになっていた。
少年探偵団規約第二章7条にそう書かれているのだ。
また、必要に応じて幹部資格のあるメンバーの呼びかけにより緊急会議が開催することがある(第二章8条)。
ダンテ伯爵との戦いが始まって以来、この緊急会議の開催の頻度が増していた。
それだけこの悪の伯爵の活動が盛んになってきた証拠である。
だが、今日は通常通りの定例会議であった。
最も、のび太はあのスネ夫への暴行事件以来、呼ばれていなかった。
実は一時、のび太の少年探偵団からの追放も検討されていたのだ。
389 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/28(日) 07:40:09
暴行事件は団内部の風紀の乱れの問題として重要視され、幹部会(第二章12条)でその後何度も討論され続けた。
当初、のび太の行った凄惨な暴行行為に対する風当たりも強かったが、それ以上に問題となったのがスネ夫だった。
ジャイアンの陰に隠れて卑怯なマネばかりするスネ夫に対する、ヒラ団員たちの不平不満が表面化したのだ。
のび太の行為は、幹部や中堅団員たちが行うヒラ団員への嫌がらせに対する抵抗だと、支持する声もあった。
幹部会はそれらの声を受け、のび太に対する処分を無期限謹慎とした。
一時的に少年探偵団の団員資格を停止させ、その後の事態の推移で復帰の可否を検討する、という結論に至った。
同時に団上層部からヒラの団員に至るまで再び風紀粛正が図られ、団内の引き締めを厳しくした。
余談だが、のび太はドラえもん原作では主人公であるにも関わらず、ここでは幹部資格の無いヒラの団員に過ぎない。
その他の主要キャラであるジャイアン(初代団長で現突撃隊長)やスネ夫、
しずかちゃん(現副団長)、出来杉(現副団長)は当然幹部である。
さらに少年探偵団に協力してダンテ伯爵と戦う正義の味方、ドラえもんは幹部であり、団の顧問でもある。
今までのび太はずっと蚊帳の外に置かれていた。それはかつてののび太にとっては辛いことであった。
周囲からは、ドラえもんを団の協力者にする際に引っ付いてきた不良債権、くらいにしか思われていなかったのだ。
だが、今ののび太は違う。少年探偵団の内部処分など正直どうでもよかった。
クビにしたくばすればいい、俺はもうそんなママゴトなんぞやってる暇はねえんだよ、それがのび太の本音だった。
390 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/28(日) 07:41:10
だが唯一、のび太の心に引っ掛かることがあった。それはしずかちゃんの存在だ。
恋…そうかも知れない。だが、既に複数の美女を手玉に取るのび太にとって、
ションベン臭い小娘などもはや眼中にないはずである。
そうではない、別の何かの理由が、このしずかちゃんにあった。
副団長二人制を敷くこの少年探偵団の中で、しずかちゃんは出来杉と並んで副団長である。
もう、ヒラ団員でしかないのび太からは遠い存在である。
学園内でも、この少年探偵団の序列が物を言い、序列の低い者は学園内でも立場が弱いのだ。
だが、のび太はそうした序列の外の人間になってしまった。
のび太自身もそう思っていたし、本日集まった少年探偵団の団員全員の目も、それを無意識に悟っていた。
既に超越してしまったのび太…メンバーたちが困惑するのも無理はない。彼は一匹狼なのだ。
ここに来なくてもよかったのだ。もうこいつらと群れている必要など無いのだ。
にも関わらず、のび太は今日、ここへ来た。おそらくしずかちゃん絡みで。しかもそれがはっきり分からないままに。
ドラえもんとともに空き地に入り、他のメンバー全員からの違和感に満ちた目線を浴びながら。
それでものび太の心は平然としていた。のび太にとって、連中などただの虫けらでしかなかった。
一切、動揺の色を見せないのび太の態度にも、メンバーたちは困惑した。
あれほどの事件…人を一人殺しかけた、を引き起こしたにも関わらず、
のび太のこの落ち着き払った態度は一体なんなのだろうか…そういう疑問が顔に浮かんでいる。
のび太は笑いたくなった。馬鹿じゃねーのこいつら、何こだわってんだよ!
もっともそれが表情にでることは無かった。それくらいの自己抑制など、今ののび太には朝飯前だ。
391 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/28(日) 07:42:16
…車椅子に座っているスネ夫の目は、明らかに怯えていた。
未だ包帯の取れない頭は、確かに痛々しい。
のび太はスネ夫を見た。そのまま視線を注ぎ続ける。
その視線に気づいたのか、スネ夫はさらに怯え、車椅子の中で小さくなっていく。
つまらない奴だな、そうのび太は思った。
こんな下らない奴にかまげてる暇なんぞ無いはずだろお前ら。
ダンテ伯爵とやらとの戦いがあるってーのにさ、馬鹿じゃね?
ドラえもんに促され、団長の山下くんと、副団長の出来杉、しずかちゃんに挨拶をする。
今まですまなかった、団に迷惑をかけたことは心から謝罪する。そう心にも無いことを平然と並べ立ててみせた。
剛毅な性格の山下くんは、のび太に、明らかに上からの目線で何かを言っている。
何を言ってるのか興味がなかったので、のび太は完全に聞き流した。どうせ下らない訓示かなにかだろ。
それよりも出来杉が自分を見つめる目が気になった。
初めはのび太の行為を詰ってるのかと思いきや、どうやらそうではないらしい。
真っ直ぐにのび太の横顔を見つめる出来杉の目線が、徐々に煩わしさを増してゆく。
「…分かったかな、のび太くん!」
目の前で団長の山下が言った。のび太は適当に、だがはっきりと「はい」と答えた。
392 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/28(日) 07:43:04
一瞬、しずかちゃんと視線がかち合った。しずかちゃんの目にも、やはり怯えの色が浮かんでいる。
その視線に、さすがののび太の心も疼いた。
少年探偵団設立以来、幹部になってしまったしずかちゃんと、
ヒラ団員でしかないのび太は接触の機会が殆んど無くなっていた。
かつては毎日のように遊んでいたのに…人は出会い、そしていつかは分かれてゆく。
こうして今日、しずかちゃんを間近に見るのは久しぶりであった。
少年探偵団のヒロインらしく、その佇まいも楚々として美しい。
この夏の暑さを忘れさせるほどの涼やかなその美少女ぶりはさすがだ。
のび太は無言のまま目線を逸らせた。今は語る時期ではない。
のび太はスネ夫の前に立ち、恐怖を隠せないスネ夫に向かって謝罪の弁を述べ、頭を下げた。
死ねばよかったのに、と心の中で呟きながら。
とにかくこれで禊は済んだ。
ふとドラえもんの方を見た。ドラえもんはのび太の方を見て微笑みながら頷いていた。
押し付けがましい友情を語るドラえもんらしい、良い子ぶった態度だな、と少し呆れる。
その横の、出来杉の目線がやはり気になった。
よそう、今は分からないことは考えないようにするんだ。
のび太は始まった定例会に参加する振りをして適当に聞き流し、
今夜、茉莉子先生のマンションでの熱い夜を思いながら、軽くペニスを勃起させた…。
陽射しが眩しかった。誰かをブッ殺してやりたくなるくらいに…。
393 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/28(日) 18:46:57
「のび太くん…何で少年探偵団なんかに戻ったの?」
茉莉子先生は気だるそうに聞いてくる。耳元で囁くように。
のび太は天井を見上げながら、その質問にどう答えようか考えていた。
確かに、あんなママゴトのごっご遊びに戻る理由はない。
既にのび太はあの烏合の衆から離脱し、独立独歩の道を歩み始めているのだ。
「…まさか、あの源しずかって娘?」
ズバリ、茉莉子先生は言った。
おそらくはそうだろう。のび太もそれは否定しない。
初恋なのか、愛なのか、それとももっと別の理由なのか…分かりかねている。
「嫉妬してるんですか、茉莉子先生」
のび太はからかうように言った。すると茉莉子は少し身を起こし、拗ねたような顔でのび太を睨んだ。
のび太はその目を真っ直ぐに見返した。ジッと目を逸らさずに。
茉莉子先生の瞳の奥に、確かに嫉妬の炎が見える。実に分かりやすい。
かつては憧れの美人教師であった茉莉子先生は、今はもはやのび太の女だ。
彼女の体を翻弄し、彼女の心を玩ぶ。
全てを支配しているのはのび太で、茉莉子はのび太の支配を望んでいる。
そんな女が、のび太に自分の感情を隠すことなど、もはや出来なかった。
394 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/28(日) 18:47:48
「意地悪ね、のび太くんっ!」
そう言うと、茉莉子先生は強引に唇を重ねてきた。
前歯と前歯が軽くぶつかる。茉莉子先生は意に介さず、舌を強引にのび太の口に滑り込ませる。
茉莉子先生の手がのび太のペニスを探り当てた。
先ほどの放精により力を失った巨大なペニスに、茉莉子先生のしなやかな指先が這う。
のび太は茉莉子先生の好きにさせた。
のび太の乳首にキスしながら、その手はのび太の巨根をしごいている。
その心地よい感触を味わいながら、のび太の思考は別の場所に飛んでいた…。
…とりあえずは資金だ。既にあの峰不二子からは、十数億円ほどの上納を受けている。
ルパン三世らのチームから、あの馬鹿なルパンを騙しに騙し、多額の資金を巻き上げている。
その資金の大部分は、今のび太のペニスに刺し貫かれている茉莉子先生も知らない。
”必要経費”として不二子や茉莉子に廻す分を除いて、全てはのび太の野望のためにストックしてある。
不二子…あの女はもはやのび太の奴隷だ。
週に一〜二度ほど貫いてやるだけで、どんな命令にも従ってくれる。
既にのび太は、ルパン一党が自分の存在に気づいていると読んでいた。
少なくとも、峰不二子に男の影がある、ということに。それに対応しなければなるまい。
395 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/28(日) 18:48:59
「…ああっ! あうんっ!!」
のび太に跨っている茉莉子先生は、長い髪を振り乱しながら喘いでいた。
勝気で衝動的な女である不二子とは違い、この茉莉子はきちんと自己抑制ができている女だ。
あれだけのび太と情事を重ねているのに、この間の学園の夏季講習授業ではそのそぶりを一切見せなかった。
のび太もいる教室の教壇に立ちながら、以前から変わらぬクールさで授業を淡々と進めていた。
大した女だ、とのび太は思った。
あの夏季講習の期間中、のび太の命令で茉莉子先生は、
普段より裾の短いスカートを身に着けさせられ、その下はノーパンであった。
ブラウスも胸元が広く開いたものをあえて身につけさせ、その下には透けるように、黒いブラを装着させる。
さすがにあの時の茉莉子は、こういう格好に抵抗を見せたが、のび太の熱いキス一発でそれを受け入れた。
授業中、思春期どっぷりの男子生徒連中の目線は、茉莉子に釘付け状態。
おそらく多くの連中は、その日の夜、この茉莉子の艶姿を想像しながらマスターべションに励んだに違いない。
もちろんのび太も罰として、その日の夜、茉莉子先生の燃え上がったエロスを鎮めるために励まざるを得なかったが…。
396 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/28(日) 18:51:08
「…ああっ! も、もう駄目っ! あぐっ!」
茉莉子は何度目かの絶頂に達し、体を痙攣させながらのび太の胸元に倒れこんできた。
汗ばんだ茉莉子の乳房が、のび太の胸板との間で押し潰され、形を崩す。
のび太の顔に、女の匂いに満ちた長い黒髪がふぁさっと覆いかぶさる。
茉莉子先生の荒い吐息が、のび太の胸板に吐きつけられる。
その生暖かさが、のび太の官能を呼び覚ました。
のび太は茉莉子先生の体を抱き上げた。そのまま今度はのび太が上になり、茉莉子先生を組み伏せる。
「ああっ! のび太くん駄目! こ、これ以上されたら、私、壊れちゃう!」
茉莉子先生はすすり泣いている。愛する男に翻弄されつくした女の、可憐なその表情。素晴らしい。
「でも先生、しずかちゃんに嫉妬してんだろ? 答えろよ」
のび太は己の巨大な根に、さらに力を込める。熱く濡れた茉莉子先生の膣内で、そのペニスをかき回す。
先ほど絶頂に達したばかりにも関わらず、茉莉子先生はものの数秒で再び昇りつめた。
だがのび太は許さない。完全に勃起しきった己の凶器で、茉莉子先生をとことん苛め抜く。
もはやこれは拷問であった。愛の拷問だ。力強いのび太の愛撫を前に、茉莉子先生は壊れてゆく…。
…のび太が絶頂に達し、巨根から大量の精液を吐き出したのは、それから実に一時間近くあとであった。
勢いよく発射された精液が茉莉子先生の膣の中で愛液とぐちゃぐちゃに混ざり合う。
快感で痺れるペニスで、茉莉子先生の膣内に溜まったその粘液をかき回す。
この女を完全に征服したことを確認するかのように。
それを受け入れる茉莉子先生は、のび太の下で力なく横たわり、もはや息絶え絶えであった…。
397 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/28(日) 18:52:34
…のび太の胸の下で、この美人教師茉莉子は、のび太を本気で愛してしまったことにおののいていた。
のび太はいつか自分の下から立ち去るであろう。そうなれば自分はのび太無しの人生に耐えられないであろう。
そのときは、茉莉子は迷うことなく死を選ぶであろう、そう彼女は悟ってしまった。
必ず破滅で終わるこの禁じられた愛の関係。だが、もう彼女は後戻りできなかった。
死で終わるならば、私はのび太の為に死にたい。のび太の野望の礎となって、のび太の夢に殉じたい。
射精し終わったのび太の巨大なペニスが茉莉子の中から引き抜かれるのを感じながら、茉莉子は涙した。
全てを焼き尽くすこの愛にはまり込んだ自分の運命に、喩えようもない女の悦びを感じながら…。
398 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/28(日) 19:38:20
しかしその当時ののび太は、ルックスはイケメンではなかった。
399 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/28(日) 20:07:13
…のび太が超高級マンションの一室で、茉莉子先生と熱い夜を過ごしているころだった。
少年探偵団の団員全員に緊急招集が掛かった。
携帯電話にメールが行き渡り、メンバーは最優先で少年探偵団の秘密基地に駆けつけた。
ただ一人、のび太を除いて。
「何をやっているんだ! アイツは!」
団員復帰後、いきなりのサボタージュに対して、山下団長は憤っていた。
集った団員達は戦闘装備の準備に追われ、この秘密基地内部は騒々しい。
ダンテ伯爵の送りこんだモンスターが、この富士見町の住宅街で暴れているのだ。
その事件の解決のために、学園民兵組織と化したこの少年探偵団は、
警察の治安部隊とは別の作戦行動に打って出ようとしている。
「ドラえもん、君はのび太と同居しているのだろう! 何でのび太の行方を知らないんだ!」
山下団長はドラえもんに向かって詰問した。
400 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/28(日) 20:08:01
ドラえもんは困惑した。
実はドラえもんは、最近ののび太の行動を把握できなくなっていた。
かつては、困ったときにはドラえもんといわんばかりに、のび太は全面的にドラえもんに依存する生活を送っていた。
ただひたすら、成長や成熟を回避するのび太の生活。
だが、スネ夫への暴行事件の頃から、のび太のそういった生活は一変していしまっていた。
今夜ものび太は「これからバイトがあるから」と一言残し、家を出ている。
ここ最近、ずっとこんな調子なのだ。何か秘密を抱えているのは間違いない、ドラえもんもさすがに気づいている。
だが、のび太を捕まえることはできない。のび太のドラえもんに対する警戒心は、異様だった。
普段接する態度では、そんなそぶりは一切見せないのだが。
未来の世界の便利すぎる道具の数々を用いてのび太の追跡を試みたが、
さすがにのび太もドラえもんの道具を使い尽くしてきただけあり、その全てをかいくぐって行方をくらましてみせた。
何かおかしい、ドラえもんはそう思っているも、のび太は一切、しっぽをつかませてくれない。
「…ゴメン、山下団長。バイトだからと言って出て行ったきり、何処に行ったのか分からないんだよ…」
ドラえもんは申し訳なさそうに言った。事実、ドラえもんの監督の不行き届きを責められても仕方が無い。
401 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/28(日) 20:08:57
だが、山下団長はそれ以上、このことを問題にしなかった。
このあたりが、ジャイアンから団長の地位を襲った団長らしい切り替えの早さだ。
「まあ、所詮のび太はヒラの団員でしかないし、今回のこの召集命令の無視の件についても後日改めて審議すればいいさ」
そう言うと山下団長は、副団長の出来杉やしずかちゃん、特攻隊長のジャイアンに指示を与え始める…。
ドラえもんもまた四次元ポケットから、今回の戦いに臨むための様々な道具を出した。
ヒラリマント、空気砲、タケコプター…おなじみの道具を取り出し、それをチェックし始める。
のび太…ボクはのび太のことを助け、正しい道を歩ませるために未来からここに来たのに。
だけど、最近ののび太は、ボクの手の届かないところに去ってしまった…そんな感じだ。
かつてはなんでも打ち明けることができた友人同士だった。
のび太とドラえもんの関係は人間とロボットの関係を遥かに超えた、真の友情と信頼で結ばれていたはず。
そうだったはずなのに…一体何が、のび太くんを変えてしまったのだろう。
402 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/28(日) 20:09:49
「…ドラちゃん?」
しずかちゃんが、ドラえもんに声を掛ける。どうやら団長との最高幹部会議は終わったみたいだ。
ドラえもんは、なるべく平静を装い、しずかちゃんの方を振り向いた。
しずかちゃんは、悲しそうな目でドラえもんを見ていた。
この少年探偵団きっての美少女であり、この団のヒロインでもある彼女の笑顔は、陰鬱に曇っている。
「ドラちゃん…のび太さん、最近一体どうしちゃったの?」
しずかちゃんは心配そうに尋ねる。
だが、その問いにドラえもんは答えることが出来なかった。
何かがおかしい、それは分かっている。だけどのび太の心は既に閉ざされてしまっていた。
「大丈夫だよしずかちゃん、今日はのび太くん色々忙しいから来れなかったけど、次はちゃんと来るよ」
ドラえもんは笑って見せた。自分でも不自然な笑顔だとわかっていた。
ドラえもんに組み込まれた高度なAIは、プリインストールされたプログラムによる感情表現を超え、
人間のそれと同じくドラえもんの心理そのものを表すようになっている。
そのドラえもんの心理は、のび太やその友達たちとの付き合いにより、人間と変わらないレベルまでに達している。
もはやドラえもんに、メカニカルに作られた表情など無かった。
その表情は人間のそれと同じ、心の窓そのものであった。
403 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/28(日) 20:10:43
「…そう。忙しいのにごめんね、ドラちゃん」
しずかちゃんはそう語ると、その場から立ち去った。
寂しそうに歩くしずかちゃんの後姿を、ドラえもんはいたたまれない目で見る。
やはりしずかちゃんは、のび太のことをずっと気にかけていたのだ。
ヒラの団員のまま打ち捨てられたも同然ののび太と、最高幹部の一人になってしまったしずかちゃん。
日常の付き合いも殆んど皆無になっていたにも関わらず、しずかちゃんはまだのび太を気にかけてくれている。
まだ、希望はあるかもしれない。
ドラえもんは思った…。
まだ、友情を信じることが出来る、しずかちゃんならのび太の心を動かせるかもしれない。
それを優しく見守ってあげよう、そしてのび太を信じてあげよう、それが友情じゃないか。
それが儚い希望でしかなく、この先には破滅しかないということなど、この時のドラえもんは知る由もなかった。
404 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/28(日) 20:23:03
一方その頃、ヘイドレクは・・・
405 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/28(日) 21:07:50
「…くそっ! フォイエルバッハ将軍めっ!」
ダンテ伯爵が送り込んだモンスター、フォイエルバッハ将軍の攻撃の前に少年探偵団のメンバーたちが次々と斃される。
フォイエルバッハ将軍の、阿修羅のように無数に並ぶ腕の先から、毒を含む糸が次々と吐き出されてゆく。
その糸に絡めとられた団員たちは、身動きがとれずもがき苦しみ、悲鳴とともにドス黒い血反吐を吐く。
住宅街の通り道は地獄絵図だった。
近隣の住民たちは将軍の糸に囚われて、電信柱や家屋の軒先に吊るされている。
フォイエルバッハ将軍と共にここに来たポンパドール夫人は、その住民たちの肛門にぎょう虫に卵を植え付けて回る。
何と言う、何と言う非道!
山下団長は歯噛みした。これほどの強敵を送り込むようになるとは、ダンテ伯爵の世界征服計画は予想以上だった。
ドラえもんはショッカーが放ったネズミに仰天し、その場で失神して使い物になら無い。
「団長、ここは一度、生き残った団員たちを全部呼び戻すべきです!」
出来杉は山下団長に訴えた。しずかちゃんも同調する。
「このままでは、分散した班ごとに個別撃破されてしまうわ! お願い早く決断して!」
そうこうしている間も、目の前で団員たちがフォイエルバッハ将軍の手にかかり、打ち倒されている。
各団員たちは自主判断でショッカーの群れを打ち倒すも、ボスたる将軍にはまるで歯が立たない。
だが、ジャイアンが孤軍奮闘して頑張っていた。さすがに彼は頼りになる。
バッドの先端に火を付け松明とし、フォイエルバッハ将軍の放つ毒糸を焼き払いながら将軍に向かって突進している。
崩れそうになる少年探偵団の陣営を、殆んど一人で支えていた。
406 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/28(日) 21:09:07
「みんな! ジャイアンを援護するんだ! 早く!」
山下団長は退却ではなく、ここで乾坤一擲の勝負をかけることにした。
ジャイアンのあの勇気…仲間を救おうとたった一人で最前線に立ちはだかるその姿に、心が震えた。
山下団長もまた陣所から飛び出した。
狙撃銃でジャイアンを狙うショッカーを打ち倒すと、返す刀で乱戦の只中に飛び込む。
残りの団員たちも突撃を開始する。
おのおの武器を振り上げ、将軍を守るために集ったショッカーを次々と斃してゆく。
将軍の目の前にまで迫ったジャイアンが駆ける。
「とどめだ! 覚悟しろフォイエルバッハ将軍っ!」
ジャイアンは叫んだ。大きく振りかぶったバッドはフォイエルバッハ将軍の頭を性格に狙っている。
渾身の力を込めたその一撃が、フォイエルバッハ将軍の頭蓋骨を打ち砕こうと振り下ろされ…。
フォイエルバッハ将軍の顔の口元が歪んだ。彼は笑っていた。
「まずいっ!」
その笑顔を見た出来杉くんは思わず叫んだ。だが、その声がジャイアンには届かない。
次の瞬間、フォイエルバッハ将軍の胸から発射された巨大な繭玉が、一瞬にしてジャイアンを包み込んだ。
それは数十メートルもの距離を飛び、どこかの民家の壁に張り付く。
繭玉の中でジャイアンはもがく声がする。初めは怒号…だがその声は徐々に悲鳴に変わってゆく。
407 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/28(日) 21:10:02
「はっはっはっはっ! 掛かったなジャイアン!」
フォイエルバッハ将軍は高笑い。それと同時にショッカーたちも大笑い。
勝利を確信したかのような、そんな笑い声が住宅街に響き渡った。
「き、貴様! ジャイアンに何をした!」
出来杉が怒鳴る。その声に気づいたフォイエルバッハ将軍は、その獰猛な目を出来杉に向けた。
「目障りだったジャイアンを斃せるんだ! ジャイアンが死ねば、お前らなんぞ烏合の衆だぞ!」
そう叫ぶと、今度は心底嬉しそうに笑ってみせた。
歯噛みする山下団長や出来杉くん、泣きそうな顔のしずかちゃんを睥睨し、嘲笑う。
「さ〜あ、どうするよ、少年探偵団の諸君! もう少しでジャイアンは全身に毒が回って、紫色に変色して死ぬぞ!」
どっ、と沸き立つショッカー軍団。それに対して一気に意気消沈する少年探偵団の面々たち。
繭玉の中のジャイアンの声が苦しそうな呻きに変わる。
ジャイアンが中で暴れて揺れていた繭玉も、今はジャイアンの衰弱とともに徐々に収まってゆく。
「こ、このままじゃ、ジャイアンが死んじゃう!」「な、何とかしてくれ、団長! 出来杉!」
「ドラえもんは一体なにをしているんだ!」
ドラえもんはネズミ攻撃にやられ、機能停止状態に陥っていた。
システムダウンからの復旧は、最低でも24時間は掛かる。
「…もう駄目だ。」
団員たちは絶望し、次々と膝をつく。中には涙を流す団員すらいる。
夜の住宅街に、ショッカー軍団の歌う勝利の歌と、フォイエルバッハ将軍のけたたましい笑い声が響き渡る…。
少年探偵団は、負けてしまうのか!
408 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/28(日) 21:10:57
…その瞬間であった。
ジャイアンを取り込んだ繭玉が、爆発音とともに吹き飛んだ。
突然の爆音に、悪の軍団たちが驚く。少年探偵団の面子も状況が読めず、唖然としている。
爆発した巨大な繭玉は、その破片をメラメラと焼きながら崩れてゆく。
その中には既にジャイアンの姿は無かった。空っぽの繭玉が、燃えながら焼き崩れ、消滅してゆく…。
「う、うぬうっ! 何者だ、貴様!」
フォイエルバッハ将軍は屋根の上の人影に向かって怒鳴りつけた。
その声に少年探偵団たちも反応し、その人影を見上げる。
月明かりに照らされたその人物…気絶しているジャイアンを両腕に抱えて仁王立ちをしている人物。
その姿を見て、少年探偵団たちは思わず唸った。
「のび太さん…」
しずかちゃんは、信じられない、そんな声でそう呟いた。
のび太は悪の軍団と少年探偵団の群がる車道を、その眼鏡をかけた目で冷ややかに見下ろしている。
表情は読めない…月明かりが照らしつける地獄絵図の中で、のび太だけただ一人、別世界の人物のようだ。
歯噛みするフォイエルバッハ将軍。驚きのあまり声を失う少年探偵団たち。
その全ての目線がのび太に向けられている。
その注目の中で、のび太は気絶しているジャイアンをそっと屋根の上に寝かせた。
表情を崩さないまま、のび太はもう一度修羅場を見下ろす。
そののび太の動きに敏感に反応したフォイエルバッハ将軍が身構えた瞬間だった。
のび太の姿が掻き消えた。
409 :
名無し物書き@推敲中?:2010/03/28(日) 21:11:53
「う、ぬうっ! おのれ何処だ!」
のび太を見失うフォイエルバッハ将軍がキョロキョロしている間に、電柱や軒先にぶら下がった繭玉が次々と燃え落ちる。
同時に中に閉じ込められていた住民たちや団員が、そこから転げ出てくる。
「な、何っ!」
驚愕するフォイエルバッハ将軍。
だが次の瞬間、その将軍の目の前にのび太が立っていた。
眼鏡の奥の、のび太の冷たい目が将軍に注がれる。
その冷徹とした視線に、将軍は激しい恐怖に襲われた。
「くそっ!」
そう叫んだ将軍は、胸から巨大な繭玉を発射する。繭玉は瞬く間にのび太を包み込み、その姿を飲み込んだ。
「はっはっはっはっ! 口ほどにも無いわ! 驚かせおって、大したことないではない…」
フォイエルバッハ将軍がそのセリフを言い終わる前に、ケリが付いていた。
繭玉は破られ、そこから伸びたのび太の逞しい腕が、フォイエルバッハの胴体を真っ二つに切り裂いていたのだ。
同時に繭玉は燃え上がり、その中からのび太の姿が現れる。
信じられない、と言った表情でのび太を見つめるフォイエルバッハ将軍。
その将軍に目もくれず、のび太はただ一言言った。
「うぜえんだよ、このクズ!」
それがフォイエルバッハ将軍が生涯最後に耳にした言葉だった。
聞き終わると同時に将軍の魔力は解け、小さな一匹の蜘蛛となり、燃え上がった。
フォイエルバッハ将軍は、地上から永久に消滅した…。
410 :
名無し物書き@推敲中?:
どこかで続く…。