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テクスト論と酷評スレについて 1/5:
テクスト論。触りぐらいしか知らないけれど腑に落ちる考え方だな。
創作やってたこれまでの経験の中で、何となく書いた表現、ストーリー展開に特別の意味を持たれて解釈されたことって
ない?
「あるところを取り上げて褒められた・批判されたんだけど、ぶっちゃけ自分そんなつもりで書いてないんだけれど。なん
となくだし」というやつ。
作者が言うんだから、彼らの解釈は間違ってるのかな。それとも誤解されるように書いた作者自身が下手だったのかな。
「作者は、伝えたいことをきちんと文章で読者に伝えられなければならない」と定めたときには、誤解されるように書いた
作者が悪いと言えるね。一方で、「読者は作者の伝えたいことを正確に理解しなければならない」と定めたときは、理解力
が無い読者が悪いと結論付けることもできるだろう。けれど、ここで言いたいことはそのどちらが正しいのか間違っている
のかではなくて、そこから一度、離れて考えてみようじゃないかということ。
作者がどう解説しようとも、出来上がった小説そのもの、中身自体は変わらない。逆に読者がいくら後書きで解説したと
ころで、当たり前だけれど小説の文章が書き直されるわけでもない。
小説という名の文章作品は、後付けで誰がどのように主張したところで、作品が書き換えられることはなく、文章作品が
ただそこに存在しているのみなのだ。ただ在る文章作品は、偶然にしろ誤解にしろ多様な解釈が可能であって、それと同時
に作者本人の言うような解釈も可能ってことだね。
繰り返しになるけれど「読んで、だからどう思った」のプロセスを考えてみよう。まず文章作品が存在していて、それを
読んだ各人が、論理的か感覚的か、あるいは無意識的に『解釈』した上で、だからどう思ったに到達するんだ。
この『解釈』の過程は、当たり前だけれど各々の読者の頭の中身に属していることだから、人それぞれ、同じ人だとして
もその時の状態に左右される。