猿に近しい人なのか、人に近しい猿なのか
毛むくじゃらの動物は大河から海へと流されていった
イカダとも言えぬ木の屑に乗り、不思議な物体を追い求める
以前、毛むくじゃらは透明な、まるで心臓のようなものを塩辛い水の中に見た
それは動物の中にあるものと大きく違うものだった
我を持ち、目的を持ち、生きる心臓に毛むくじゃらは驚き逃げ出した
逃げ出したと同時に後悔し、強い好奇心が芽生える
毛むくじゃらはその時の生きる心臓をもう一度見たかった
部族の者に手伝ってもらい、イカダらしきものを作る
毛むくじゃらは流れていく
クラゲの群れの中には木の欠片と、木を降り海へと帰った心臓が残った
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