『我々は滅びるだろう。
しかし、もし神の気まぐれで生き残ることを許された人々がいるのであれば、
我々は彼らに小さな幸せを運びたいと思う。
最後の冬眠装置には、青い鳥を入れることが決まった。
願わくば、人類の未来に幸あらんことを』
カプセルの蓋を開けると、そんな音声と共に一羽の小鳥が飛び立っていった。
青い鳥だ。
空の色とのコントラストが、眼に痛いほど鮮やかだった。
「なんて不吉な」
私は複眼を閉じて頭を振る。視神経に不吉な青の色が焼き付いてしまっていた。
「まったく、美を理解しない生物など滅びて当然だ……」
澄み渡った空の下を、一羽の青い鳥がどこまでも高く羽ばたいていく。
そして、赤い空の色の中に、溶け込んでいった。
お次は、「スリングショット」「花束」「共感」で。