新しい部室に引っ越してからも、活動の内容は以前と全く変わりはなかった。ゲーム、漫画、雑談、それらが日常になりすぎて、ときたまここが本来何部だったかも忘れるほどだ、
「したがって、彼らにも選挙権があるはずだ!!」
始まった、Yの演説だ。
Yは変わっていて、本来の部活動をやらないという点では他の部員と変わりはないのだが、たまにこのような演説を披露する事がある。完全な自己満足なので他の部員が聴いていようがいまいが関係ない。
Yのこういう考え方が好きな僕は、ときどき耳を傾けることがある。ただ今日の演説の内容は些か説得力と面白みに欠けている。
僕はさっきコンビニで買った肉まんの最後の一口を食べ終えるとYに提案した。
「Y先生、今日はここまでにして次は女性の生態について知識を深めるのはどうでしょうか」
「よろしい。」
演説を中断されたのに少しだけムっとしたが、先生と呼ばれたことに気を良くしたYは鞄のなかからDVDを取り出した。
下らない毎日、ただ意味もなくすり減らす毎日、だけど僕はこの糞みたいな日々を忘れないだろう。