自作小説を書いて見るスレ

このエントリーをはてなブックマークに追加
175ふみあ
2-3食堂にて
>>薫
 学校の寮は学校内の一番北側にあり、東側の1年生棟、西側の2年生棟、南側の3年生棟が真ん中にある大きな十字型の本館を中心に七の字になるように配置され、
正面入り口は本館の南西にエントランスとして設けられており、エントランスの北側、本館一階の本館と1・2年生棟への連絡する廊下の交差するところに大きな食堂がある。
北側の少し飛び出したところまで食堂として機能しているので、学校案内によれば300人が一度に食事をとることが出来るらしい。
 ちなみに、一棟あたりが30世帯×10階建てと半端ない大きさのため、それに見合わせて本館もかなり大きく、食堂以外のリクリエーションもいろいろあるらしい。
 (よくまあこんな広い建物で、たった10人そこらで全員を起こそうとするよなあ)
と、風紀委員の活動に感心したが、後で聞くと長期休暇明けの前後数日間だけで普段はほとんどやってないらしい。とにかく僕はエレベーターホールから食堂に向かっていた。
176ふみあ:2009/06/16(火) 04:33:15
 1階のエレベーターホールや廊下はお嬢様学校の寮のそれに相応しくやたら豪華な造りになっている。だが、一面大理石の床や真紅の絨毯、壁や天井の彫刻やシャンデリアなどは少し高級なホテルや豪邸にはよくある仕様なので特に驚くことはないが、
少し、いやここまでやるかと思うくらいやり過ぎている感がある。しかしながら建築家やデザイナーのセンスや職人の腕が並外れて良かったのか、不思議とそこまで下品には感じない。
 廊下の豪華な雰囲気に共鳴するように左側の壁に並んでいるシックで重厚な扉の群れを抜けしばらく行くと廊下は大きくL字型に折れ曲がったところに出る。角を曲がってしばらく行くと、向こうに本館のエントランス、こちらに本館エレベーターホールと階段、
そして右側に例の食堂が見えるエリアに来る。ちなみに先ほど一年生棟のエレベーターホールから歩いてきた廊下の上、つまり2階以上の共用廊下については普通のマンションと同じような感じになっているがドアのデザインは同じである。ついでに食堂入り口から
エントランスを突っ切ってまっすぐ走る廊下をずっと行くと3年生棟の入口にぶちあたる。
177ふみあ:2009/06/16(火) 04:33:56
 とりあえず予想はしていたが、寮の食堂も食堂というよりホテルか高級フレンチのレストランのでかいやつだと思った方が正しいらしい。金メッキの格子戸に、分厚いガラスがはまった重厚な観音扉の向こう側には仕切りがあるのか薄暗く、
よくわからないが、奥からかすかに光が洩れているし、向かって右側の扉のドアノブには飾り字で「Open」と書かれたプレートが掛っている。
 誰の姿も見えない分不安が募るが、Openというからにはやってはいるのだろう。恐る恐る扉に近づくと、突然人影が現れたと思ったら向かって左の扉が奥の方へ開いた。見ると黒いスラックスに黒の皮靴を履き、白いフォーマルシャツに黒いベストを着た
若いドアマンが「いらっしゃいませ、ようこそ。」と、お辞儀しながら中に通してくれた。
178ふみあ:2009/06/16(火) 04:34:36
 ドアマンがいんのか、本格的だなあと感心していると次はカウンターの奥からドアマンと同じような格好をした、しかし上から黒い燕尾服を着た中年の男性、おそらくここのチーフか何かだろう、が現れ、
「いらっしゃいませ、お早う御座います、お嬢様。お一人でいらっしゃいますか?」
とお辞儀しながら恭しく聞いてきた。
179ふみあ:2009/06/16(火) 04:35:18
「今は一人ですが、中にたぶん連れが待っていると思うんですが。」
と答えると、
「さようですか。それでは御席はその方と相席で構いませんね?」
「ええ、ですけどいない時は一人でお願いします。」
「かしこまりました。ところで今朝の朝食はどのようにいたしましょうか。」
「あの、僕、今日初めてここを利用するので、何があるのかわからないんですが。」
「初めて?」
「僕、今日入学する予定の新入生なので。」
「それは失礼しました。御無礼をお許しください。」
「いえ、そこまでは、ところで朝はどのようなものがあるんですか。」
「当レストランでは朝食に、和食、ブリティッシュ、アメリカン、フレンチ、中華の計5種類をご提供させていただいています。」
「具体的には?」
「和食はご飯に味噌汁と納豆と焼き魚が付きます。」
「ブリティッシュは?」
「ブリティシュは定番のトーストとサラダ及び、ベーコン、ハム、ウインナーエッグの3種類のなかから1品、コーヒーか紅茶のうちいずれかをお選びいただけます。トーストにはバターとジャムをお付けいたします。」