158 :
ふみあ:
1-4なんというか…カオス
>>葵
朝6時15分頃、私は風紀委員として全学生に起床時間を知らせるために、食堂に向かっ
ていた。
途中、同じ風紀委員でクラスメイトの雪乃さんと合流した後、集合場所の寮の食堂に向
かうと、すでに他の風紀委員は全員集合して、私たちの到着を待っていた。
「遅れてすみません。」と、風紀委員長に詫びると、
「なに、まだ集合時間にまだ時間があるわ。気にしないで。」と答えられた。
続きます
159 :
ふみあ:2009/06/03(水) 02:12:19
「では、これより本年度初の朝の点呼を行います。今朝の割り振りなのですが…」
と委員長がいつもどうりに活動内容を確認しようとしたとき、
「あのう…」
「どうかしましたか? 葵さん。」
「今日の私の担当、1年生棟に変更していただけないでしょうか。」
「かまいませんが、どうして?」
「いえ、従妹が今年度の新入生として入学したものですから。」
「あら、それはおめでとう。」
「ありがとうございます。」
「もうこちらにお越しになられてるのかしら。」
「ええ、昨日到着して、今日の入学式に出席するんです。」
「じゃあ、こちらで朝を迎えるのは初めてなのね。」
「はい。」
「よろしければ、私も一緒に行っていいかしら。あなたの妹さんに会ってみたいわ。」
「ぜひ。だけど妹じゃなくて従妹ですよ。」
「みたいなものでしょう?」
いたずらっぽく笑う委員長を見ていつも思う。まったくこの人にはかなわない。
まだ続くよ
160 :
ふみあ:2009/06/03(水) 02:14:12
>>薫
朝だ、日が昇り始めて辺りが明るくなり始めたのを確認して、僕はため息をついた。
とりあえずぐるっと周りを見回してみる。
まず南側に大きな開き戸タイプの窓があり、そのそばに机があり、向かい側の東側の壁
沿いに南枕のベッドが置かれ、反対側に本棚が見える。部屋の北側にクローゼットと入口があり、その向こうに玄関とシャワールーム、玄関そばに小さなキッチンらしきものも付いている。だがなぜかトイレが付いていない。これでざっと8畳の1DKといったところだろうか。
未だ寝起きでぼうっとしている頭で、僕は昨晩の出来事を思い返していた。昨日はほとんど眠れなかった。昨晩こちらの方についた時、無事到着したことを伝えようと、実家や向こうの友達に電話した時にいろいろ恐ろしいことを聞かされたからだ。
まだ続く
161 :
ふみあ:2009/06/03(水) 02:15:26
祖父からは、曾祖母が僕が前にいた学校、つまり中学を中高一貫の私立の男子校ではな
く、普通の公立中学校だと勘違いしていたと聞かされた。確かにうちの学校は地名がその
まま学校名になっているからそう思い違えても不思議ではないが、それと今回の転校とど
ういう関係があるのか問い詰めると、
「うーん、どうやら曾お婆ちゃんはおまえをどうにかして女らしくしたかったようじゃ。
ことに聖リリカルはキリスト教とこの手の教養教育に熱心な…」
もういい。と結局お茶を濁してしまった。曾祖母の公立校への不信と、淑女を育成するた
めの教育が僕にとって必要だという誤った認識が今回の遺言書を書かせた原動力らしい。
続く
162 :
ふみあ:2009/06/03(水) 02:18:13
さらに親友だった多田からは、聖リリカル女学院が、高等・中等・初等・幼稚舎からな
り、さらに名前こそ違うが、同系列の経営の大学まであるかなり規模の大きいマンモス校
だが、大学を除くすべての学校が、BFとなっているという事実を教えてもらった。
「ボーダーフリー? どういうこと?」
と、訊くと、
「うーん、ボーダーフリーというよりも、そもそも試験で一般公募しとらんみたいや。」
「試験をせえへんて?」
「寄付が多かった生徒や、スポーツや芸術なんかの推薦を取ったやつ、将来を嘱望、また
は名家出身の生徒を専ら取っているらしい。ま、後は綾小路みたいにコネがある奴やな。」
「いやな言い方するなよ…。」
「事実だろ。」
「まあ、そうだけど。こんなやり方でやっていけるんか?」
「いけるんとちゃうか、現に相当な生徒が毎年はいっとるんやろ?」
「みたいだけど。」
「まあガンバレや、どうせ連休には帰ってくるんやろ?」
「たぶんね。」
「じゃあその時また一緒に遊ぼうや。」
「ああ、楽しみにしてるよ。じゃ、おやすみ。」
「おやすみ。」
終話スイッチを押す。どっとため息が口から出てきた。
続く