915 :
やまなしせい:2007/01/03(水) 16:11:10
「……そろそろ時間だ。じゃあ、俺は行くぜ?」
一応、彼女に声をかけてから、ゆっくりと立ち上がる。それから、彼を待つ出立の仲間を真っ直ぐに見据えて。
彼女の傍を去るための、最初で最後の一歩を踏み出す。そして、二歩目を踏み出そうとして――その足首を彼女が
捕らえた。途端、彼はバランスを崩し、何とか尻餅をつくことだけは免れたが、その場におかしなステップを刻んでしまう。
遠くで仲間がその様子に身体を折っているのを視界の隅に捉え、彼らへの眼差しを鋭くすると、彼女に文句の一つでも
言ってやろうと、彼は肩越しに振り返って……先程から用意していた言葉を失った。瞳を潤ませた彼女が、いつになく真剣な
表情で彼に問いかけてきたのだった。
「…ねぇ。もしよ?もしも、貴方が水になれたとして、貴方は何をするの?」
何故。それをこんな時に、何を今更訪ねるのか。そう思わないでもなかったが、彼は答えをきちんと遺すために、
再び彼女の隣りに腰を落とす。そうして、少し時間をおいてから、望まれた言葉を発した。
「……旅。旅がしたい」
「旅?どうして?」
問う彼女の表情は、本当に不思議そうだ。彼はごく微かな笑いをもらして、その理由(わけ)を告げる。
「だってさ、今の俺はただ一瞬のためだけにこのまま下へ下へ堕ちてくしかないけど、水になったら右へ左へ、
上へ下へ、東西南北自由に漂えるんだぜ?ってことは、今までしたくても出来なかった自由な旅が出来る。
俺は世界を見て回りたい。それだけ」
それは、彼の夢でもあった。絶対に叶うことなどない、小さくて大きな、夢。
916 :
やまなしせい:2007/01/03(水) 16:15:08
「……じゃあさ、もしそれが叶って、旅に出て、世界中を回って、何にもすることがなくなって、
そうしたら、また会える?会ってくれる?また、一緒にこうやって話したり、笑いあったりしてくれる?」
そう言って、彼女は目尻に残った水をそのままに、にっこりと綺麗に微笑う。彼は、それが素直に嬉しかった。
――己は、どうせすぐに、溶けて消えてなくなる存在で、己のこの現状以上の何かを求めるのは、
してはいけないことなのだけれど。彼女の、その笑顔を守るためなら、決して果たせないと知っていても。
「もちろん。いつか、な」
――してもいいと思った、未来の約束。夢よりも先に叶えたいと思った、守りたいと願う心。
「…よかった。ありがと」
彼の返事に彼女は安心したように微笑んで、彼の別れの挨拶を両の瞼に受け取って。感じていた温かな
ぬくもりが離れると当時に瞳を開け、しばらく視線を絡ませ、耐え切れなくなって、二人して笑いあう。
けれど、幸せな時間が過ぎるのは本当に早くて。
「じゃぁ、いい加減そろそろヤバイし、もう本当に行くぜ?」
彼女を安心させるようにふわりと柔らかな微笑を湛え、今度こそ彼は立ち上がる。永遠を込めて、
自らの唇で掬い取った、彼女の水の名残を手土産に、もう随分と待ちくたびれているであろう、
彼の仲間の元へ駆け出した。その背に彼女は一瞬の離別を想い、再会の日を誓う。また溢れてきた涙に
彼が気づいてしまわないよう、いつもより大きな声を出して、彼の姿をしっかりと瞳に焼き付けて。
917 :
やまなしせい:2007/01/03(水) 16:18:48
「…またね、ヒョウ」
「ああ。またな、ソラ」
そう、軽くさらりと彼は言い遺し、自らの運命さえも見据え、一度も行ったことがない地上を目指して、
多くの仲間と共に勢いよく雲の上から飛び降りていった。ただ見守ることしか出来ない彼女は、
ぽたぽたと落ちる雫を厭うこともせず、必死に彼の姿を追い、小さな星つぶのようになり、やがて見えなく
なってしまっても、延々と彼が消えた先を見つめいていた。
おしまい。
ありがとうございました。
執筆中のアクション短編のワンシーンです。評価のほど、よろしくお願い致します。
「さて……」
外は冬。
まだ早い時間でありながら、日はつるべ落としに輝きをなくしてゆく。メールボックスを開けても、仕事の依頼は着ていなかった。
この間の仕事の実入りが大きかったせいで、とりあえず過ごすには苦労していないのだが、それでもやくざな自営業――「厄除け屋」――なんてのを営んでいたりすると、「仕事がない」という危機感はやはり大きい。
一人でネガティブなことを考えると思考は沈むほう沈むほうに向かうのは自明だ。
とりあえず現実逃避に酒でも飲むかと古めかしい冷蔵庫を開けると、空っぽのワインの瓶だけが転がっていた。つまみも何もない。それどころか酒さえない。
「……参ったな、おい」
音を立てない瓶を持ち上げながら一人ごちる。酒を飲むには寒空の下、馴染みの酒店にまで歩かなければならないらしい。……正直言って、寒いのは嫌いだ。暑いのも嫌いだが。
椅子の背に引っ掛けたコートに目をやる。フェイクレザーの安物で、温度調節機能も付いちゃいない。こんなものを着て外に出るのは、仕事でもなければごめんだ。
溜息ばかりが出る。酒を飲むために寒い思いをするか、酒を我慢して惰眠の続きをむさぼるか、さてどちらにしよう、と考えながら空っぽの瓶を弄ぶ。ひんやりとした瓶を右手で投げ上げてキャッチして、大あくび。
……往生際の悪い逡巡の後、仕方がないから買いにいこう、と決意を固め、左手でコートをばさり、と持ち上げたその瞬間、俺の耳に届いたのは、ドアを蹴り破るような音で――
目に入ったのは、深いブルーの髪とワインレッドの瞳を持った、年若い女だった。手に大振りなアタッシュケースを持っている。
「は?」
ぽかん、と口が開く。
俺が現状把握に勤める間に、女は全力疾走のていで俺に駆け寄ってきた。
その後ろで低い音とともに――チカリ、と何かが瞬く。それが減音器をつけた拳銃のマズルファイアだと気付いた瞬間、鼓膜に甲高い音が雪崩れ込む。
右手が随分と軽くなったので目をやってみたら、瓶の下半分が吹っ飛んで行方不明になっていた。
なるほど。とても分かりやすい敵対のアクションだ。
「……おい、何の冗談だ」
問う前に女は俺の背中に回り込み、俺の右腕を抱きこんでいた。殺気は感じない。状況的には、俺と女、大振りなデスクを挟んだ向こう側にドア。そして、その向こうには今まさに不法侵入を果たそうとしている黒服が三人。
女が、俺を盾にするようにしてから叫ぶように言った。
「厄除け屋、アイハラシン!! 間違いない!?」
そりゃ相原辰ってのは俺の名前だが。
「依頼よ! わたしを助けて!!」
女の叫び声に被さって、減音された銃声が数発響く。舌打ちしながら割れた瓶を投げ捨て、女の手を引いてデスクの影にしゃがみ込む。連なるくぐもったガンファイア。合成ものの木材で出来たデスクにぶすぶすとめり込む銃弾の音。
「なんだなんだ俺に何を運んできやがったお前、もしかしてとびっきりのヤバい話なんじゃないのか? こいつは可愛い疫病神だ、今すぐ手を離して置き去りにしてやりたいんだがどうだ? 俺は無関係だと言い張るぞ」
早口でまくし立てると、人形みたいに整ったツラで、女は雲に埋もれた晴れ間を見たときみたいな笑顔をして見せた。
「向こうはそうは思ってないみたいよ?」弾む息、したり顔で続けざまに、「逃げないと一緒に蜂の巣ね!」
ジーザス、クライスト。
「タチ悪ぃぞこのクソアマ!!」
この仕事を始めて六年になるが、受ける受けないの選択権が無い依頼なんてついぞお目にかかったことが無かった。ああ、そうさ、今この瞬間までは。
「……ああまったく畜生め、今日は厄日だ!」
コートを投げ上げる。
黒い布が放物線の頂点に達して、銃弾がそれにめり込むのを尻目に、脚を振り上げてデスクにつけ、力の限り蹴り飛ばした。
その行く先を見ないまま女の腕を振り払う。軽い悲鳴。通信設備一式の載ったデスクが右二人の男めがけて空中を浮く、轟音の一瞬前。その瞬間に、椅子の足をすくい上げるように持ち上げて、腕の振りだけで左の男へ投げ飛ばす。激突音、黒服たちの怒号と悲鳴が折り重なった。
落ちてきたコートに右袖を引っ掛け、左袖に腕を通す。ぼろぼろと銃弾が地面に零れ落ちた。呻く襲撃者たちに構わず、懐に縫い付けたポケットからシガレットケース大のスタン・グレネードを取り出す。
――日頃の備えってのは大切だ。いつ何が必要になるか分かったものじゃない。
「逃げるぞ」
言い捨てて立ち上がると、女はアタッシュケースを持ち直しながら口笛を吹いた。
「渋々の割には乗り気じゃない?」
「気乗りはしないが死ぬのもイヤなんでな。付いてこい」
黒服が起き上がらないうちに、傍らの勝手口のドアを開け、ピンを抜いたスタングレネードを投げ、すぐに閉める。慌てた声が聞こえてくるが、もう遅い。もう少し早く突入しておけばよかったのにな、と心の中で同情してやった。
薄板一枚を隔てて爆発音が響き渡る。確認して二秒後、外に飛び出した。出て三歩目で目を押さえてうずくまる男につまづきかけるが、どうにか体勢を維持して走り出す。ちらり、と後ろを確認すると、女はひらりと男を飛び越えて、すぐに俺に追いついてきた。
「あははっ! すごいすごい、おみごと! 本職の人って違うわね、やっぱり!」
「その分報酬も凄いんだってことを忘れるなよ。迷惑料の分もしっかり取るぜ、あのデスクは割と気に入ってたんでな」
雨上がりの匂いを孕ませた風を頬に受け、ダウンタウンを駆け抜ける。後ろで叫び声と、幾つかの銃声が響くが、振り向くよりは軽くジグザグに身体を振りながらただ逃げる。このあたりは俺の庭みたいなものだ。逃げるだけなら、絶対の自信がある。
逃走経路を割り出していく。待ち伏せの可能性を考慮して細い路地は避け、人に紛れられるでかい通りを何本か抜ければ撒けるか――
「あー、もー、なんていうか、映画みたいっ! 気持ちいいー!」
横にばたばたうるさいのがいる。少し黙ってほしい。
……ああまったく、これが銀幕の上なら気が楽なんだがな。アクション映画の主人公は死なないって約束だし、派手に何かが爆発すれば全部の問題が解決することになってるんだから。
どこに逃げ込むかを必死に計算しながら、俺はすぐそばの壁で弾けた銃弾に身を竦めた。
>>919 よくある間違いなのだが、消音機で低い音なんてしない。
アクションシーンにも関わらず部屋の描写が無いのが困る。
>>919-921 勝手口が都合よくある部屋なんてあるか?
防弾のつもりでも、ペラペラのコートに銃弾が“めり込む”なんて表現もおかしい。
台詞も決まっていないし、そもそもこんな時にベラベラ喋っているのは女も主人公もお互い様。
一言で言うと、ひどい。
>>919 > この間の仕事の実入りが大きかったせいで、
もっと他に言い回しあるだろ。なに、この間のって。知らんわ。
> とりあえず過ごすには苦労していないのだが、
え? なんすか、とりあえず過ごすって。生活のこと?
> やくざな自営業――「厄除け屋」――なんてのを営んでいたりすると、「仕事がない」という危機感はやはり大きい。
ああ、なるほどな、厄除け屋ってのは確かに仕事がないときついもんなー、ってあるか、ぼけ。
ここまで読んで疲れた。
あとはもう読む気がまったくしない糞文。
【0円】
さて、神視点と三人称一元視点についての論議でも始めようか
そういえば試験にもでてきたんだが、小説の表現としては正しいの?
一人称と三人称の混合って
まず何の試験かなのか伺おう
>>928 この小説の表現の特徴を説明せよという問題で、解答が
『一人称と三人称を使い分けることにより、“私”の過去の回想である事を表現している』
だった。
930 :
名無し物書き@推敲中?:2007/01/04(木) 01:57:26
>>926 荒れる元だから他所で頼む。
もしやるなら自由間接を最初に持ち出して秒殺してくれよ。
>>919-921 基本ができていないし描写もまったくダメ。
設定もありきたりで使えそうな部分もないな。
全部捨てて書き直すことをオススメする。
俺は怒っていた、何もかもにも怒っていた。肌にまとわり付く作業服の気持ち
悪さにも、館内放送のスピーカーのキイキイ声にも怒っていた、もちろん七月
のプレハブのこもった汗臭さにも怒っていたし、休憩時間だというのに延々と
廻り続けるベルトコンベアにも怒っていた。おまけに、そのくそみたいな場所
で、俺は作業監督の野郎からかれこれ三十分以上も説教を受けつづけていたん
だ、嫌気が差して当たり前だ。作業監督の奴と来たら馬みたいな面を真っ赤に
ひん剥き、唇をぐにぐにと回しまくって止まりそうもなかった。
話の内容は聞かなくても分かっている、要するに奴は俺の事をクズだと言い
たいんだ。子供でも出来る単純作業のノルマさえ達成出来ない欠陥人間だと言
いたい訳だ。確かにこの仕事は単純だ、コンベアから流れて来る製品をトラッ
クにどんどん上げていけばいいだけだからな。そして俺は十三時の出荷に間に
合わせられなかった。
やっぱ自分に酔ってますか?
何かなあ……
>>933 >>919 ?
もし919だとしたら、ちゃんと推敲してるか?
最低でも一日、二日は置いて読み返してみろ。
温度差にびっくりするから。
いやあ違うよ
けど他人から見たところの評価が分かったわあ
うーん
最近ここ過疎スレだね
正月だしな。
何言ってんだ、ここはもう潰れて終わったスレだろ
:.
::::..
::::...
::::...
::::... ∧_∧_∧
::::.(∀・( ´Д`) まだはじまってもいねえよ
r -( ( O┰O
..::ii'⌒< < ) 冊冊〉
::'、__,,l!しし(_)l!lJ´
'、__,l!j
勝手に決めんなボケ
941 :
名無し物書き@推敲中?:2007/01/05(金) 12:43:34
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942 :
名無し物書き@推敲中?:2007/01/05(金) 12:46:00
>>942 > そんな感じの名前の技があるんだけど、あれで一度、
> 「 先崎さん!!!!!!!!!」
> お迎えがきたようだった、彼女は、
>
> 「 先崎さん!!!!!起きて!!!!」
> 彼女は玉田万里(たまたまり:デムパ)という名前、
> 僕はいたって寝てなんていないのに、彼女ときたら、
> しつこい、彼女を尻目に僕は背を向け歩きつづける。
分裂症かよ、お前・・・
944 :
酷評お願いします。:2007/01/05(金) 12:53:45
「何もしない人ほど批評家になる」
自分がバカにされないことに意識を集中する。
これが劣等意識がもたらす「引き下げの心理」なのです。
部下の行動、妻の言動、何かのコラムを批評することで
「自分の方が偉いんだ!凄いんだ!」と自分で確認しなければ、気がおさまらない。
だから良いところより、批判することにのみにすぐに意識が向く。
なぜ人を誉めることやよい所を認めることに、ある人はこれほど抵抗感を持つのか。
誉めないまでも、一つの考え方としてとらえる事ができないのでしょう。
演劇や舞台の批評文ばかりを見て、あの舞台はキャスティングミスさ、台本の流れが問題さ、
と退屈と苛立ちにアグラをかいて人を批判するより、
一生懸命作っている演出家や出演者の方が人生を楽しんでいるし、心からの友達も多いはず。
何もしない人ほど批判精神ばかりを育てて、人生を孤独にする傾向があるのです。
批判ばかりがクセになると、自分の小さな行動に対しても「くだらない」「意味がない」
と自分にも批判精神は向いてしまい、自分の前向きなエネルギーまでもが枯渇します。
話は分かった
要するにおまえは
愛情乞食アスペルガー犯罪人ということだな
バカ残飯
マジで終わってんじゃん、ここ。
>>944 締め、纏め、落としがない、寝言のような糞文。
ν速でさんざん馬鹿にされた奴をここに張る意味が判らんな。
ν速民だが、どのことを言ってるんだ?
このスレを見ている人はこんなスレも見ています。(ver 0.20)
東野圭吾 Part31 [ミステリー]
過去ログ [危ない海外]
お前らのマンガをうpスレ [アニメ漫画業界]
ROSE DE NOIR [生活全般]
ν速ではもうかなり前に落ちた。
小説を書こう、みたいなスレ?
いや、ν速民は行動力が無いという揶揄として。
プチ祭りになってたはずだが、本当にν速民なのか?
仕事中も電車の中でも、常にν速開いてる末期だ・・・
そんなスレあったっけか?
覚えてないわ。
スレ立て魔が立ててるスレは、開かずに透明あぼーんしてるけど、もしかしたら魔が立てたのか?
そう。
あぼーんされたんだな。
956 :
名無し物書き@推敲中?:2007/01/05(金) 13:08:14
どれの事?
しかし、ν速自体も末期だな。
とうとうアニメ系の鯖に移ってしまった…
いやいや、この間news鯖に戻ったぞw
そうなのかw
この頃はあんまり見てないんだ。
凋落が激しすぎて。
ケツ毛以来なんか醒めたよ。
まあ、そろそろスレ違いってことで。
962 :
名無し物書き@推敲中?:2007/01/05(金) 13:15:59
>>962 読むのが苦痛なほどの糞文なんで、俺はスルーしとく。
酷評してくれる人が現れるまで、焦らずに待て。
964 :
名無し物書き@推敲中?:
>>962 なんだか最初の数行読んだだけで、えらく疲れる。
しかも重い文…ということでもなく、単に面白味も何もない文ってもんだから、もう救いようなし。
まだ創作するには早いだろうな。
もっと本読んで、いろんな文にふれるべき。
今すぐパソコン切って本屋へ行け。