763 :
名無し物書き@推敲中?:2009/03/02(月) 21:52:42
ほ
「すまない……」
橙に染まる部屋。染まる繭。染まる男と女。二人の間には冷たい刃。女を貫く剣を伝って垂れる黄緑の滴。
「やはりこれ以外なかった」
男は剣を抜き、直ぐに彼女を抱きしめた。
「また、逢えるのでしょう?」
女は微笑みながらいった。男は答えなかった。その代わり女の鼓動が感じられなくなるまで強く抱きしめた。女の息が無くなると、男は女の絹のように美しい黒髪を撫でた。そしてもう一度強く抱きしめ、それから同じ剣で女の後を追った。
「社長」
顔を上げると秘書が不安そうな視線を向けていた。どうやらまたあの夢を見ていたようだ。最近よく見るあの不思議な夢。卓上の小さい鏡には自分の青白い顔が映っている。
「今日移動してきた社員が挨拶に来ていますが……御気分が優れないようでしたら明日にしますか?」
「いや、構わん。通せ」
ゆっくりとドアが開く。どこか見覚えのある顔……動悸が激しくなる。視界に橙が染み込んでくる。蚕のかじる音……あの繭の乾いた匂い……絹のように美しい長い髪……そうか……あの夢の………
動けない私にその女は夢と同じ微笑で言った。
「また……逢えましたね……」
765 :
名無し物書き@推敲中?:2009/04/09(木) 23:39:55
保守
「鏡」「剣」「蚕」1/3
わけありの品を持ち込んだのは、旧知の友人だった。
友人というより腐れ縁に近いその男は、古物商の傍ら、曰くありげな品を引き受けては
私の元へ持ち込んでくるのだ。
今回は一振りの刀だった。
見るまでもない、無造作に束ねられた刀剣の中から、私はおぞましい気配の元を引き出した。
「打刀だな。――あまりいいものではない。これをどこで?」
「近郊の山間だ。旧家の取り壊しの折りに土蔵で見つかったらしい」
彼の話によれば、蔵の奥で木箱を見つけた解体業者が処分を任されたものの、
困り果てて店を訪れたのだという。
「おそらく中身を確認するために札を剥がした為に、封印が解けたのだろう。
いろいろと怪異があったとかで、まとめて二束三文で引き取ったら随分と喜ばれたよ」
残りの刀剣をまとめて仕舞いながら、友はにこにこと笑った。
「じゃあ、これでよろしく」
滅多に手に入らないという銘酒を置きみやげに彼が立ち去ると、あとには私と刀が残った。
「鏡」「剣」「蚕」2/3
「ふむ」
鞘からするりと抜き出した。いわゆる普通の日本刀である。
柄の部分が黒く染まっているのは多くの人の血を吸ったせいか。
刀身を眺めれば、長く放置されていたにもかかわらず錆の色もない。
刃の鏡面に、女が映った。うつむいた女の口の端から、つつっと赤い血が流れた。
青白い肌にぎらぎらと目ばかりが大きい女は顔を上げ、何かを探すように視線を泳がせた。そして。
――目があった。
この世とあの世とが繋がった。ふっと辺りの空気が冷え、一切の音が消える。
ざわざわと、刀の表面から長い髪が生え出て指を捕らえ、手首に絡みつく。
細い髪がびっしりと右腕を這い上がるのを眺めながら、私は息をついた。
「まったく厄介なことだ」
――カエセ
女が叫ぶ。悲痛な声が頭のなかを響き渡った。
――カエセ、カエセ、カエセ
腕がぐいと引っ張られた。刀身が首に向かって近づいてくる。
絡みつく髪が刀を持つ手を操って、自刃を狙う。
自由な左手で鞘を掴み、壁にたたきつけた。
「お前が探しているものはこれだろう、ほら、持って行け」
――アアアアア
悲鳴とも歓喜ともつかない声があがり、黒髪が一瞬にして刀身の中へと戻っていった。
自由になった右腕をみれば、赤く鬱血した手のあとがあった。
「成仏したか」
真っ二つに割れた鞘の中からは、一筋の黒髪がこぼれ落ちていた。
「鏡」「剣」「蚕」3/3
「……ということで、もう居なくなったから」
数日後、私は訪ねてきた友人に例の刀を手渡した。
「鞘はなくなったが、刀は供養済みだ。もう何も問題はない」
「結局、何があったんだ」
持ち込んでおいてこの言いぐさだ。私はため息をついた。
「生糸工場の女工の話を知っているだろう。食事も休憩もなく、体をこわしても朝から晩まで死ぬまで働かされた」
「野麦峠の女工哀史だな」
「ああ、全国どこでも普通にあった話だがね。そういう時代だったんだ」
私は右腕を見た。もうほとんど痕は残っていないが、絡みついた髪の感触はまだ覚えている。
「中には、死にかけた女工の髪を剥いで売り飛ばしていた者もいたのだよ。――髪を返して欲しかったそうだ」
刀身に映った女の頭には、一筋の髪もなかった。はぎ取られた頭皮が赤黒く固まっていた。
「働きに来たときに死ぬ覚悟は出来ていても、髪を盗まれたことは許せなかったんだろう」
女の命って言うしな、と友人が呟いた。けろりとした彼の横顔を見ながら、私はため息をついた。
霊感がないというのはうらやましい……。
「鏡」「剣」「蚕」
繭の中で私は考える。
羽化したあとは、私は元の私ではない。鏡を見るたびに泣きたくなる、デブで醜い芋虫のような私はいなくなる。
テレビで見た蚕のように、白い糸を吐き、美しく生まれ変わる。ここから出るまでもう少し、もう少し……。
出ておいで、と優しい声がする。
だめだめ、あれは魔物。出て行ったら取り殺される。まだ準備が整わないうちに、私を繭から引き出そうとする悪魔の声。
前にも、同じことがあった。呼ばれて出て行くと、とても嫌なことがおこるのだ。
――嫌なこと。
思い出せないけど、とても嫌なことがあったっけ。
――ああ、静かになった。
私は繭を開け、外に出た。しんと静まった部屋の中、ベッドの上の白いシーツ。
私はくるまった繭のからを脱ぎ捨て、散らかった菓子箱や、ジュースの空き瓶、空のコップ、
カップ麺の入った袋を足で避けながら、ゆっくりと歩いた。
鏡の前に立つと、生まれ変わった自分の姿を確かめた。
――チガウ!
私は悲鳴を上げた。
等身大の鏡には、皮のたるんだ醜い骸骨の姿があった。
黒ずんだ皮膚の色、骨ばった体。
これは私じゃない!
よろけた拍子に、短剣が手に触れた。普段はレターオープナーとして使っている、装飾過多の洒落た品だった。
――そうだ、これを使えばいいんだ。
私は気づいた。繭の中から出ただけで、まだ蛹の殻を脱ぎ捨てていないのだと。
私は剣を両手で持ち、思い切り体に突き立てた。
悲鳴を聞いて駆けつけた両親が見たものは、一面血の海の子供部屋だった。
「いったいどうして」
鏡の前には脱ぎ捨てられたように床に貼り付いた人の皮と、その横にぺたりと座り込んだ形の人骨があった。
「まだちょっと早すぎたみたい」
骸骨がぽろりと赤い涙を流した。
770 :
名無し物書き@推敲中?:2009/05/12(火) 20:53:44
>>766-768 三分割でのご投稿ですが、もちろん規定の800字を大きく超えています。
表現を整理して800文字に収める工夫をしましょう。
雰囲気は大変結構だと思いました。
771 :
名無し物書き@推敲中?:2009/05/12(火) 21:02:00
>>769 前半の一人称での語りと、後半部分とがほとんど地続きになっているので一瞬戸惑います。
表現を上手く工夫してみて下さい。
最後の場面は目に浮かぶようです。
772 :
名無し物書き@推敲中?:2009/05/12(火) 22:16:53
>>766-768 あと、さっきは気付かなかったのですが、「蚕」を入れ忘れてますね。
まぁ、生糸工場の事が出てきてますから、恐らく推敲の段階でうっかり削ってしまわれたのでしょうが。
いよいよ盛り上がってまいった。
774 :
774物書き@推敲中?:2009/06/10(水) 13:42:47
そろそろ次のお題でも募りますか?
775 :
名無し物書き@推敲中?:2009/06/10(水) 13:54:53
三題噺のコツみたいのってありますか?
776 :
名無し物書き@推敲中?:2009/06/14(日) 04:53:56
>>775 三題噺に限った事ではありませんが、常日頃から引き出しを沢山用意して置く事だと思います。
三つのお題からどれだけ物語を広げられるか。それも読者に強引な印象を与えずに…。
その為には想像力の土台が必要です。土台とは何か。それは毎日の読書や見聞の蓄積です。
どんなにユニークな発想でも、記憶と言う蓄積以外からは生まれないのです。
777 :
名無し物書き@推敲中?:2009/06/15(月) 00:04:56
よし!じゃあ、次のお題↓
お題その1『軍服』
いきなりベタなのを挙げちゃったので、次は軽めのをヨロ↓
お題その2『スニーカー』
次ヨロ↓
お題その3『南京玉スダレ』
↓
では「軍服」「スニーカー」「南京玉スダレ」ということで。
……難しくね?
783 :
名無し物書き@推敲中?:2009/07/14(火) 23:37:30
稀に見る難度www
お前らさ、人の死体見たことある? いや、葬式とかじゃなくて。
赤の他人の死体を見ることなんて普通まずないよな。
俺はあるよ。
まだ小学生だったころ、首吊り自殺の死体を見たことが。
すげぇ怖かったよ…。野次馬根性丸出しで見に行ったのを心底後悔したね。
もういきなり半端ないインパクト。
首がさ、南京玉スダレみたいにビョ〜ンて伸びちゃってんのよ、ビョ〜ンてwww
そいつ軍服みたいな色の半袖シャツ着てたんだけど、腕も顔もシャツとおんなじような色になってるし。
ちょwwマジで人の色じゃありませんからwwwww
で、浮いてる足見たら、ちゃんとスニーカー履いてやんの。
…まぁ当たり前っちゃ当たり前なんですけど。
でも空中にぶら下がってんのに靴履いてんのが何だか不思議な感じがしてさ…。
意味なくね?とか思いながらしばらくそれ見てる内にいきなりハッと我に返っちゃった。
そいつが単なる「グロ物体」なんかじゃなくて、「少し前まではちゃんと生きてた人間」なんだって、やっと本当に理解したんだろうな。
泣きながら家に飛んで帰ると爺ちゃんに抱きついたね。
そしたら爺ちゃん、ポンと俺の頭のうえに手を置いて撫でてくれた 。
爺ちゃんの手はゴツゴツしてて撫で方も荒っぽかったけど、温かかった。
それから飴を一粒くれた。うまかった。
――その味は甘くてクリーミーで、こんな素晴らしいキャンディーをもらえる私は、きっと特別な存在なのだと感じました。
今では私がおじいちゃん。孫にあげるのはもちろんヴェルタース・オリジナル。
なぜなら彼もまた特別な存在だからです。
塀の向こうの屋敷から陽気な歌声が聴こえた。
屋敷の前をうろついていた男はにやりと笑い、身軽にその塀を越えて屋敷へ
忍び込んだ。男は言うまでもなく強盗である。
近所でも噂のこの屋敷は、初老の男性が一人しか住んでいない。
大層な金持ちだが、頭がおかしいため身内の者も寄りつかず、朝晩と
ヘルパーの世話になっているそうだ。
男が歌声のする縁側へ向かうと、初老の主は噂にたがわぬ変わり者ぶりで、
昔自分が着ていたものであろう薄汚れた軍服に麦藁帽子、片足にサンダルといった
いでたちで、南京玉スダレを歌いながら踊っていた。庭先には一列に並べられた
将棋の駒、茶碗や鍋、バケツにスコップ、金槌やらモップやら様々に置かれている。
それらを客と思っているのか、雑多に並べられた物に向かって
歌い踊り、笑っている。
男が近寄ると、初老の主は「おお今日は千客万来だ!」と言って
まるで男を怪しむ様子もない。男が「こんな奴が来て千客万来か」と
鼻で笑うと、初老の主はいよいよ調子を良くした。
「はい、そこの青いスニーカーのお嬢さん、それから長い黒髪の素敵なあなたも
老夫婦さんも新婚さんも、ああ白衣のあなたはお医者様ですね。皆さん
どうぞ楽しんで行って下さい!」
男はぎょっとした。初老の主が次々口に出す人間は皆、男の被害者と重なるではないか。
「お客様、たくさんの友人に囲まれて幸せでしょうね」
その言葉に恐ろしくなった男は後ろ手に隠していたナイフも投げ捨てて逃げようとした。
陽気に歌い始めた初老の主は、男が背を向けたとたん、庭先の金槌を握りしめ男を殴り
つけた。「お客様困ります、講演料払っていただかないと」ぐったりした男の衣服から
財布を抜き取ると、初老の主は狂ったように笑った。
786 :
名無し物書き@推敲中?:2009/12/06(日) 02:21:04
不定期age
もう、随分昔の話だ。
私は、大陸で sneaker (軍偵)として勤務していた。
黄燐県から雪花蠣に至る途中に小さな村があった。私と、同僚のTは、情報収集に、
移動していた。
村に着くと、集会所を尋ねた。何やら人だかりがしており、私達は確認の為、中に
入った。
一種の祭りのようで、しかし、それは異様な状況だった。白木の、簡素な棺桶の
ような大きさの箱が板の間に置かれ、その周囲を、赤や黄の生地に、刺繍を施した
祭り装束を着た男達が、覆面を被って同じ節で歌を唱和していた。声は高く低く、
単調な旋律でくり返される。
彼らの手には、枝垂れ柳状の簾が持たれており、正しくそれは、「南京玉スダレ」の
日本で観る姿と大きくは変わらない。
問題なのは、その彼らの中央に置かれた棺桶状の箱で、中に人が入っているらしく
時折、「どんどん、どんどん」と中から蓋を叩く音がする。ひとりの、それは普通の
村人の恰好の中年男が板の間に上がって箱の片側、中に入っている人物の口元
と思しき辺りを軽く指で叩く。
呼吸を引くような声がした。子供?若い女?
「……神降り様、神降り様。来年の作柄はいかがでしょうか?」
男は続けて聞く。「……米は……」中から声がする。叫び続けて嗄れた声、女だ。
「米は凶」集会所の入り口から覗き込んだ人々は、これといって反応を示さず聞き
入っている。「麦は?」「キビは?」その都度、予言の作柄を巫術師が答える。
「キビはよろしい……」
「……ありゃ、閉所恐怖とあの単調なリズムで、一時的に過酷な精神状態にして
いるんですな」心理学専攻のTはそう言い、その場を後にしようとした。
「日本人は出て行く!日本には赤い火柱が降る!」
装束を着た男達と、入り口から走りこんだ男達が箱の蓋を外す。
箱の中からは白装束の十六、七の顔立ちが整った女が汗みずくで足腰も立たない。
白目を剥き、箱の中に排尿していた。口をふさぐ、途端にぐったりした少女は気を
失った。
「旦那様方、……これは座興でございます。どうか御気にお留めなさいませんよう」
軍服の懐中に黄金製の首輪を無理に入れてきた。
座興か――戦雲は傾きつつある。そう思った。
そもそも戦雲は傾かないんでねえの?
あと日本人を蔑称である鬼子(グイツ)などとすれば
よりリアリティがでるとおもた。
まあ、いろいろ要推敲。
>>788 ありがとうございます。
「戦雲が傾く」はおかしいです。「戦局が傾く」「戦況が傾く」の
方がいいかと思います。
ご指摘にあった「鬼子」(ri ben gui ziは自分も表現として考えて
いたのですが、
今日、娯楽的な読み物としては、政治的もしくは思想的なはばかり
があるよう判断したので、あえて外しました。
作物の植生はおおまかにしたので、大陸のどの部分か、不明確
だと思います。
地名に関しては、架空の物です。
当時の日本の将校が、二人で大陸を移動できたかという点は、
安全性に疑問はある部分ですが、少人数でのやりとりにしたい
意向がありましたので、史実とは別にしました。
他にも色々稚拙な部分も有りますでしょうから、ご指導を賜れば
幸いです。
790 :
名無し物書き@推敲中?:2009/12/20(日) 07:47:42
過疎ってるけど、新しいお題出してきませんか?
出すだけなら……
「ドリル」
「裏庭」
うんこ
「ドリル」「裏庭」「うんこ」
「ごめん、うんこしたい、トイレ貸して」譲連に言うと、下駄をつっかけて、庫裏裏
の小屋に向かった。その裏庭は、苔むして滑る。何かにつまずいた。
少し盛り上がった裏庭の一部には苔は生えてない。俺は、下駄に当ったドリル
の歯を見つけた。「なんやこら……」古刹には似つかわしく無い埋蔵物である。
心なしか、そのドリルの埋まった地面の下は他のふかふかした地面の感触と違い
何か堅いものが埋まっている感じがする。俺は、浴衣の裾を捲り上げて這いつくばっ
た。膝にも何か金属の小片の感触がする。
「ああ、それは鬼や、鬼が埋まっとるよ」振り向くと譲連が立って居た。
「鬼……なんやそれ」譲連は、水銀灯の灯りを眼鏡に反射させ、「まあ、観たかったら
来いや」と庫裏横の宝物殿に誘った。
「なんや……」御簾を上げたケース内に、巨大な頭部のミイラが安置されていた。
人体と言うには抵抗がある。眼窩の周囲が化石人類のように、出ていた。
「……つい十八年前の物や」「近所に、鬼児が生まれた。怖い顔で、髪が生えて、
歯が牙のようだった、恐ろしくでかい子供や」「乱暴、極まりなく。女は襲う、子供
は半殺し、物は盗む、……このミイラになった段階で幾つや思う?」俺は黙っていた。
「これで八つや。信じられへんやろ?」「うちで暫く預かったが、粗暴は収まらず、
どうしようかという話になった。……うちは、魔滅砕の寺や。親父も爺ちゃんも
可哀想とは思ったやろが、隣町でこいつが、人を殺した」「うちの親父が、帰り道に、
ドリルの歯を何本も打った。こいつは、バイクが好きやった。パンクしてこけた。
額にある穴も電動ドリルや」頭骨の至る所に穴がある。「頚椎を切断しても、動い
とった。やけ、頭と身体を引き離し、身体は重石して裏庭に埋めた」
「バイクに、ドリルの歯で打ち付けてな」「なんで、ドリルかて?」譲連は微笑んだ。
「般若心経には、螺旋が内包されてるんて。オカルトやなあ」
>>794お疲れ様。
どうしても非常に心配なことが一つ。
トイレに行く途中なので、「俺」の便意は大丈夫だったのだろうかと。漏らさなかったろうかと。
という冗談は別にして、最後の方はもう少し整理された方がよいかと。
会話文ためか個別の一文の唐突感の方が大きく感じます。
>>795 「ごめん、うんこしたい、トイレ貸して」譲連に言って、庫裏裏の小屋で
用を足し、手水を使った。裏庭は、苔むして滑る。何かにつまずいた。
こうすりゃよかったですかな……
ゆうちゃんは交差点で、ひらべったくなっていた。
ランドセルからは算数のドリルと、折れたリコーダーがとび出て
いた。ゆうちゃんの頭はトマトを地面に投げつけたように、赤い
液体の中に、融かしたチーズのようなものを混ぜて、広がって
いた。ゆうちゃんの半ズボンの尻から、うんこが、はみ出て、湯気を
寒風に、たてていた。
運転手は、おおきなタイヤの前で、腰をおろして、病人のように、
ふるえた。サラリーマンが、ネクタイをゆらして、集団下校の子供達
を歩道の奥においはらった。
おかあさんは、裏庭で、灯油をファン・ヒーターのタンクに詰めていた。
首筋が、なにか、むずがゆくなった。地面に、たてたタンクを押さえながら、
手のひらで異物をさぐった。それは、てかてかして、つまんだ指から、
ころげおちそうになった。
黒いてんとう虫だ。ふたつ赤い星が背中に付いていた。星はひとみの
ように観えた。冬のてんとう虫に、おかあさんは、すこしびっくりした。
「越冬してたのかな?こごえちゃうぞ」
そして、おかあさんは、ゆうちゃんを投げた。
「おかあさん、バイバイ、バイバイ」
黒いてんとう虫は、太陽に向かって、永遠に飛んでいった。
お題はアイテムとか伏線に使えよ
単語が出たからオッケーなんてのは、相当面白い作品にしか許されないと知れ!
「さて、そろそろ時間か」
私はそう呟き、宿直室ドアを開け製鉄工場へ出かけた。
宿直室からの工場までは100m程の距離がある。
ふと見上げると、薄闇のカーテンにぽっかり穴が開いたように満月が鈍く光りを放っていた。
月を見る度、思い出す。大好きだった母が狂った日のことを。
私が七つの時、父と兄が交通事故で死んだと母から聞いた。
その後、母は新興宗教に傾倒していった。
邪神教という名で、死んだものを生き返らせる事ができると信者に触れ回っていた。
年に一度、4月の終わりにどこかで本格的なミサが行われているらしいが
家からは遠いため、母は家で儀式を行うことを習慣としていた。
その儀式が始まる前には決まって
「良い、覗いてはダメよ?あなたは大切なのだから……」
と私に言うのだった。
しかし、私は好奇心からそのドアを握りしめた。
いつもと違うヌルリとしたドアノブの感覚に私は飛び上がった。
そこには油がたっぷりと塗られてあったのだ。
後で調べたところによると、それは貴重な油だったらしい。
中を覗いた私の目に飛び込んできたもの、それは
薄闇の中で部屋の絨毯に描かれた六芒星の中に置かれた白骨、
やせ細った兄、そして母の視線だった。
私は生まれて初めて悲鳴を上げた。
それと同時に母は右手に私に走り寄り私を押し倒した。
そして私に馬乗りになり、包丁を振りかざしこう言った。
「ごめんなさいね、たかしちゃん。こうしないとダメなの」
そういった母の目に罪悪感はなかった。
私は見知った母の明確な殺意に驚き、咄嗟に近くに合った燭台を母に突き刺し難を逃れた。
致命傷だった。
それから私はずっと施設で育ってきたのだ。
兄があの後どうなったのか私には教えてもらえなかった。
ふと気づくと目の前に、薄茶けたドアがあった。
20年物の製鉄工場のドアである。
私はそっとドアノブに手をかけた。
ドアノブには油が塗られていた。あの時の感触が蘇る。
さぁ母を生き返らせよう。
「ドリル」「裏庭」「うんこ」
―こいつらは気が狂っている.頭がおかしいとしか思えない.
猛烈な便意に襲われながら,男は糞まみれの中央通りを
早足で自宅へと向かっていた.
その街は糞にまみれていた.
数年前,突如巻き起こったルネサンス回帰運動がねじれにねじれた結果,
人々は街に汚物を垂れ流す暮らしを選択したのだった.
男がそこらに目をやれば,糞を垂れ流しながら談笑している学生たちや,
糞を投げ合って笑っている子どもたちをいくらでも見つけることができた.
歩道にうず高く積み重なったうんこの前には,ハイヒールなど何の意味も無いように思えた.
―こいつらは気が狂っている.
男はなるべくどこにも視点を合わせないようにしながら,
自分の家の便所を目指して歩を進めた.
男の便意は限界に達していたが,奴らの仲間入りをすることは
意地でも避けねばならないと思った.
我が家だ.
男は大急ぎでパンツを脱ぎ散らかし,
"彼の便所"へと飛び込んだ.
「あいつらは気が狂っている.」
男は,うっとりとした顔で自慢の裏庭を眺めながら呟いた.
裏庭は,ドリルのような形をした,立派な巻き糞で埋め尽くされていた.
「こんな素敵なものを独占しないなんて――頭がおかしいとしか思えない.」
802 :
名無し物書き@推敲中?:2010/02/07(日) 17:36:45
うんこメインとは
『たんけん くその町』 作詞 糞詩人
知らない糞が おいでおいでしてる
出かけよう 尻笛吹いてさ
脱糞しようよ ぶりりのり!
調べてなっとく うん、こーか!
スカトロ地図を広げよう
脱糞 排便 糞の町
804 :
名無し物書き@推敲中?:2010/05/05(水) 05:02:25
不定期age
未発表のオリジナル怪談作品(本文800字以内)
メールの内容に、上記の5点を必ずお書き添えください。
ニックネームはお一人につき一つのみとさせていただきます。
また今回は、お一人につき3作品までご投稿いただけます。
複数のニックネームやメールアドレスを用い、4作品以上ご投稿された場合、
発覚した時点で失格とさせていただきますのでご注意ください。
応募締切:7月21日(水)午前10時30分まで
結果発表:8月20日(木)予定
806 :
名無し物書き@推敲中?:2010/06/12(土) 08:58:20
このスレ見てる人いる?
新しいお題出していきませんか?
ほいじゃ
「泥団子」
「修正液」
「地下鉄」
俺はその日も残業で帰りが遅くなり、最終電車に間に合おうと走っていた。
あるだけの体力を使い切り、どうにか電車に乗ることができた俺は、ヘタヘタとシートに座りこんだ。
安堵したと同時に、家に帰ってからしなければならない家事のことを思い出し、ため息をつく。
その時、俺にあてられた視線に気づいた。
右を向くと、シルバーシートのところにドロドロの何かが座っている。
黒いヘドロのようなものがびっしりついていて、目が、眼だけが光っている。
その何かに恐怖を感じ、呼吸を一瞬忘れてしまうほどだった。
どれだけ時間が経ったのかわからない。
いや、本当は数秒だったのかもしれないが、俺はドロドロの何かから目が離せなかった。
ハッと我に返った時、ドロドロの何かは立ち上がり、ゆっくりと動き出し俺に近づいてきた。
立ち上がった姿から、そいつは人間の形をしていることに気づいた。
そいつが動くたび、ヘドロがボトボトと落ちる。
そして先ほどから眼は俺を捉えて離さなかった。
怖い。恐怖だ。俺は逃げ出したかった。
でもあいつの眼が俺を逃がそうとしない。
俺へだんだん近づき、俺の足がヘドロで埋もれるまで近寄った時、そいつは腰をかがめて俺の顔の前にドロドロの手を持ってきた。
ずっとそいつの眼だけを見ていた俺の目は、ここで初めて違うものへ視線を移すことができた。
視線の先にはドロドロの丸い物体があった。だが、それはそいつとは違い、真っ白のドロドロだった。
直感的に俺へ食べろと差し出しているような気がして、おれはその白い物体を手に取り、口に入れた。
今思えば、その時俺は恐怖で頭がやられていたのかもしれない。
口に入れた瞬間、目の前にいた黒いドロドロの何かはいなくなっており、そいつが床や俺の足にこぼしていたヘドロも、きれいになくなっていた。
ただ、口の中にある、ドロドロの食感と奇妙な味だけが残っていた。
それがちょうど3カ月前に実際に起こった出来事だ。
あの黒いドロドロのことは何だったのかいまだに謎のままだ。
だがそいつからもらった白いドロドロの物体。俺はその味が忘れられなかった。
どうにかしてその味を再現しようと思考錯誤し、ようやく近づけたのがこの泥団子に修正液をかけたものだ。
これは今の俺の主食になっている。
器用に納めすぎてるかな。という印象も最初はありましたが、
ジャンプさせにくいこのお題を考えると、うまくまとめたな。という感じです。
山の中の柿の精に柿の実を食べさせられる話をちょいと思い出しました。
812 :
名無し物書き@推敲中?:
歐古堂のひとはもういなくなってしまったんですか?