プロの作品をコピペして、
感想や特徴を述べ合いながらネタ元を当てっこしましょう。
ネタ元は【日本の文学作品】に限ります。
ネタを投入する場合は、一回につき20×20字までの引用にしてください。
このスレは最終的に住人の文章技術を高めることをめざします。
プロの文章を分析しながら、自分の文章技術を上達させましょう。
2 :
名無し物書き@推敲中?:2006/10/05(木) 08:41:32
2ゲット
3 :
名無し物書き@推敲中?:2006/10/05(木) 08:45:01
サムガッキョン
4 :
名無し物書き@推敲中?:2006/10/05(木) 08:45:39
4ever
GO GO GO !!!!
むむむ?
7 :
名無し物書き@推敲中?:2006/10/05(木) 08:50:33
名無しの質屋さん
8 :
名無し物書き@推敲中?:2006/10/05(木) 08:51:38
やれやれ
9 :
引用:2006/10/05(木) 08:57:12
>こんな巨大な落日を見るのは初めてだった。傷口から溢れ出る朱色の鮮血に似た
>夕闇のなかに、歪んだ鏡に映して引き伸ばしたような太陽が溺れつつあった。光
>もなく、注視しても目が眩むこともなく、ただ、恐ろしい位に赤く、時計の分針
>が動くのが目に見えるように、刻々と砂丘の向こうに身を沈めつつあった。私は
>その音を聞いたような気がした。殆ど音とも聞こえない低い殷々たる響き、落日
>の音が天空を揺がした。あるいはそれは音ではなかったのかもしれない。かすか
>だが、はっきりと嗅ぎ分けられそうな香りが、大気に充満した。麝香、あるいは
>白檀、ヘリオトロープの甘い匂い。私は身震いした。焦燥はとうの昔に消えてい
>た。だが、上辺だけの諦観もお終いだった。重苦しい恐怖が身じろぎする力さえ
>奪い去るくらいに伸し掛かってきた。死ぬ前に気が狂うだろう、と、私はちらり
>と考えた。今、この瞬間、落日の音に耳を揺さぶられ、その香りにむせながら。
10 :
引用:2006/10/05(木) 09:10:38
>素裸になっているので、水は僕の体のいたるところの皮膚に、弾けるような冷たさ
>を感じさせる。熱い水に体ごとつかっているのか、それとも冷たすぎる水にくるま
>れているのか、わからないほどだ。僕は手と足をばたつかせながら、用心深く浅瀬
>で泳いでみて、不意に奇妙な楽しさを感じた。水の中にはいっていると、皮膚がな
>くなってしまい、体がとけたようになってしまう。僕はいつも僕たちが海賊ごっこ
>する時に使うインディアンの雄叫びを高くあげ、廃船の上からとびこもうとしてい
>る白いパンツをはいた白河君をみ、川口のほうにむかって泳ぎはじめている秀と鉄
>をみた。白河君はまるで水と喧嘩をするように水平にダイビングし、水面に腹をう
>ちつけた。僕は大声で笑ってやり、不機嫌に顔をしかめて泳いでくる白河君に、
>「おまえの母さんに、バレてしまうがい」と言ってやった。
11 :
名無し物書き@推敲中?:2006/10/05(木) 10:13:51
──── 終了 ────
読みにくい。
13 :
9:2006/10/05(木) 10:25:31
>こんな巨大な落日を見るのは初めてだった。
>傷口から溢れ出る朱色の鮮血に似た夕闇のなかに、
>歪んだ鏡に映して引き伸ばしたような太陽が溺れつつあった。
>光もなく、注視しても目が眩むこともなく、ただ、恐ろしい位に赤く、
>時計の分針が動くのが目に見えるように、
>刻々と砂丘の向こうに身を沈めつつあった。
>私はその音を聞いたような気がした。
>殆ど音とも聞こえない低い殷々たる響き、落日の音が天空を揺がした。
>あるいはそれは音ではなかったのかもしれない。
>かすかだが、はっきりと嗅ぎ分けられそうな香りが、大気に充満した。
>麝香、あるいは白檀、ヘリオトロープの甘い匂い。私は身震いした。
>焦燥はとうの昔に消えていた。だが、上辺だけの諦観もお終いだった。
>重苦しい恐怖が身じろぎする力さえ奪い去るくらいに伸し掛かってきた。
>死ぬ前に気が狂うだろう、と、私はちらりと考えた。
>今、この瞬間、落日の音に耳を揺さぶられ、その香りにむせながら。
14 :
10:2006/10/05(木) 10:29:10
>素裸になっているので、水は僕の体のいたるところの皮膚に、
>弾けるような冷たさを感じさせる。熱い水に体ごとつかっているのか、
>それとも冷たすぎる水にくるまれているのか、わからないほどだ。
>僕は手と足をばたつかせながら、用心深く浅瀬で泳いでみて、
>不意に奇妙な楽しさを感じた。水の中にはいっていると、
>皮膚がなくなってしまい、体がとけたようになってしまう。
>僕はいつも僕たちが海賊ごっこする時に使うインディアンの雄叫びを高くあげ、
>廃船の上からとびこもうとしている白いパンツをはいた白河君をみ、
>川口のほうにむかって泳ぎはじめている秀と鉄をみた。
>白河君はまるで水と喧嘩をするように水平にダイビングし、
>水面に腹をうちつけた。僕は大声で笑ってやり、
>不機嫌に顔をしかめて泳いでくる白河君に、
>「おまえの母さんに、バレてしまうがい」と言ってやった。
もっと易しいヒントがイイ。
17 :
名無し物書き@推敲中?:2006/10/05(木) 10:59:59
デッキのブリッジみたいにもろい文体だね
>>13 >>14 描写不足です。登場人物の位置関係がわかりません。小説になっていません。
新人賞に応募しても一次落ちは確実です。
19 :
13:2006/10/05(木) 11:18:04
>>13は日本ファンタジーノベル大賞を受賞した作品です。作者は女性です。
夕暮れ時の風景を聴覚や嗅覚を使って描写している点にオイラは魅力を感じます。
オイラも近所の川から眺めた夕焼けを描写しようと何度か試みましたが
なかなかうまくいきません。
20 :
名無し物書き@推敲中?:2006/10/05(木) 11:25:05
もう少しマイナーなものをお願い。
すぐにわかってつまらない。
21 :
名無し物書き@推敲中?:2006/10/05(木) 11:26:14
>>19 >オイラは魅力を感じます。
アンタ、ハニロウじゃないのか?
22 :
名無し物書き@推敲中?:2006/10/05(木) 11:27:08
>>21 >アンタ、ハニロウじゃないのか?
そうじゃなく、作品の作者を当ててください。
23 :
14:2006/10/05(木) 11:30:28
>>14は和歌山県出身の芥川賞作家が発表した処女作(短篇)です。
川で水遊びをする少年たちの様子が活き活きと描写されていると感じます。
川に浸かっている時の感覚についても、上手く表現しているなと思います。
ただのクイズスレじゃん。
>>18 プロの駄作と新人賞一次落ちではとても比較にはならないですよ。
プロでこのレベル?なら自分も。
この意識では、いつまで経っても一次通過がやっと。
まあそう言わずに24氏もなんぞ挙げてくりょ
>>13 佐藤亜紀『バルタザールの遍歴』第2部の第1章
>>14 中上健次『一番はじめの出来事』(作品集『十九歳の地図』収録)
28 :
名無し物書き@推敲中?:2006/10/05(木) 12:13:08
やっぱプロ作家ってのは、上手に感覚的な描写をするよな。
たぶん作家本人にしかわからないような、妄想?幻想?のような描写を。
ものすごくうまいと思うんだけど。
中上も。佐藤亜紀も。(佐藤は修飾過剰な気もするが、
俺には書けないなー、と思わせる。
中上は文章自体の巧さというより、感覚的なところが)
文法的な正しさとか教科書的な文章の良さとかを超えてるよな、さすが。
特に中上はそうだな。
じゃあ俺もいっちょ。
アソブさん、アソブさん、とわたしは繰り返し名前を呼んでいたっけ。
遊さんも、ミホ、ミホ、とわたしを呼んだ。しゃべっていないと間が
もたなかったからだ。でもしゃべることばはおたがいの名前しかなかった。
アイシテルなんていくら布団のなかとはいえ、そんな大嘘はつけない。
むこうはわたしにとって、雲のうえ、いや、屋根のうえくらいか、
それぐらいの憧れのスターだった。遠いといえばかなり遠い記憶、
だけれどわたしの処女を奪ってくれたひとのことだもの、忘れてはいない。
便所のなかや風呂上りに髪を乾かすなどのぼんやりしたひととき、
よく思いだしてきたものだ。
31 :
30:2006/10/05(木) 12:44:43
別にこれは俺の好きな文章ってわけじゃないんだが、
平易な文体と平易な言葉遣いなのに、
妙に味がある。
セックスの場面なのに、全然定型的でなく、
むしろうら寂しくて滑稽ですらある。
それなのに最後の二行とかは女性らしさを感じさせる。
ちなみに比較的最近の芥川賞作家。
32 :
30:2006/10/05(木) 12:53:05
もういっちょ。
洋子さんが現われたのは七月の終わりだった。
夕方、知らない女がやってきた。弟は出かけていて私は一人だった。
女は呼び鈴を鳴らさなかった。ドアががたんと開いたとき、私は居間で
膨らませた風船にマジックで絵を描いていた。それをしぼませると、描いた
絵がものすごく細密になる。何度みても不思議で、小さい頃から飽きずに
試していた。私は描きかけの風船を手に持ったまま玄関にいった。
33 :
30:2006/10/05(木) 12:54:43
これも比較的最近の芥川賞作家の作品だが、平易なんだよな。
こんなんでいいのかって思えちゃうぐらい。
ただ、風船とかの小道具の出し方が途轍もなくうまい。
こんなの、思い出せないよ、やってたとしても。
>>30は分かった。読んだことないけど、あの人(女性)だと思う。
個人的に、平仮名が多い文章、好きなんですよね。
単に読みやすい、という理由なんですけど(笑)
ワープロを使っていると、手書きの時には平仮名で
書くようなところまでついつい漢字で書いちゃうかも。
漢字が多いと、密度が濃く見える一方、理屈っぽくて
固い印象を読み手に与えてしまうかなあ。
最近のじゃすぐにわかってしまってつまらない。
もっと古いのでもいいよ。
古いのは日本語自体が異質だから
参考にならないんじゃないかと思って。
漱石とか、文体をそのもので使うやついないだろうよ
37 :
出題:2006/10/05(木) 13:32:33
けっこう古いよ。でも分かりやすい文章です。学ぶべき点は多いと思ふ。
十三歳で実母に死なれた時は取返しのつかぬ不幸に襲われたと思い、
私は非常に悲しんだ。以来、よく墓参りをした。
四谷の学習院から麻布三河台の自家(うち)への帰途(かえり)、
それ程、廻わり路ではないので、月々の命日は素より、
それ以外にもよく墓参りをしていた。
然し、年をとるに従って、段段そういう気持も薄らぎ、時には
「死者は死者をして葬らしめよ」というような積極的な気分にもなり、
特にこの数年は墓参りも殆んどしなくなった。
その代りというのも変な云草だが、私が死んでも墓は作らず、
灰にして、自家に置き、邪魔になった時、
海に沈めて貰いたいと家人に云っている。
わりと最近のだけど、わりとマイナーだと思います。
たくさんの情景が、まるで漫画の吹き出しみたいな輪に囲まれて
ぼくの頭にぽかりぽかりと浮かんでは消えた。
背景は異なっても、どれにも必ずひとつの不定形のものが光っていた。
数えきれないほどの、水たまりのある風景。
タバコ屋の店先の水たまり。キオスクの新聞入れの水たまり。
金物屋の暗がりにひっそりと光る水たまり。
書店の床で土足に踏みつけられている水たまり。
玩具店の軒下で蒸発しかかっている水たまり・・・・・・。
持ち主にとり残され、水源も水質も誰にも顧みられない
無数の小さな水たまりたちが、ぼくの頭のなかで一斉に虹色の光を放った。
>>32-33 誰かなあ?読んだような読んでいないような・・・
まあ、記憶というものは後から作られていくものだとも言いますね。
40 :
名無し物書き@推敲中?:2006/10/05(木) 17:01:29
二人が向かった先は地元では有名なry
いざ、着地してみるとそこは森の様な草むらに二人は降り立っていた。
42 :
名無し物書き@推敲中?:2006/10/05(木) 17:54:40
>>41 山田さん降臨だ!
そんな文章、普通の馬鹿では思い付かない。
43 :
名無し物書き@推敲中?:2006/10/05(木) 23:06:22
「朝倉君のように真面目に……か」
と、夕方の部長の口調を真似してみて、苦い笑いに頬を歪める。背は真っすぐのび、その顔に
は会社で見せていた控えめな微笑の影もない。
五年前に朝倉は私大の法学部を卒業した。第二部と呼ばれる夜間部を出たのだ。成績は抜群で
あった。そうでなければ、高校のとき両親を失い、新聞の勧誘員からタクシーの運転手までやり
ながら夜間部を卒業できた朝倉を、東和油脂が採用する筈がない。
無論、入社出来たからと言って、朝倉は前途にバラ色の栄光を夢見たわけではなかった。どん
なに真面目に働き続けたところで末は次長どまりだし、この会社がそれまでに潰れてしまわない
という保証はない。
朝倉は絶望には慣れている。希望を砕かれたときの苦杯を舐めるよりは、はじめから何も期待
しないほうがましだと思っていた。だが入社してから五年、会社の内情を掴みかけてきた朝倉に
は、別種の暗い希望が湧いてきているのだ。
東和油脂の経営陣は、親会社の新東洋工業の片岡社長の一族と、通産省や農林省から天下りで
迎えられた役人あがりによって固められている。
そして、彼らは会社という熟れきった果物のなかに巣食っている蛆虫であった。
やべ。
大藪春彦先生の『蘇る金狼・野望篇』から出題しようとページを捲っていたら、
つい夢中になって三分の一も読んじゃったよ。
世の中には「エンタメ」を馬鹿にする人がいるけど、何度読んでも飽きないね。
大藪先生がご存命だとしたら、いまごろ高橋なんかブッ飛ばされてんな。
小説は本来は娯楽だからね。けっして芸術として生まれたわけじゃない。
エンタメ馬鹿にするほどあほな事ないと思うけどね。
俺もこの本持っているけど、やっぱかっこいいな
>>43 おもしろそうだね。
>>44 昔の俺は、エンタメは邪道だから応募するなら純文学と勘違いしていたようだ。
最近は純文学とエンタメとの境がなくなりつつあるなんて言われているけど
やっぱりこだわっている人はこだわっているのかにゃ?
46 :
名無し物書き@推敲中?:2006/10/05(木) 23:25:50
ちがうよ
本来は宗教だよ
芸術の始まりも宗教だしね
ま、現在の本質的な目的なら娯楽だけどね
47 :
37:2006/10/05(木) 23:31:54
志賀直哉「実母の手紙」 短篇集『灰色の月・万暦赤絵』収録
作者および身内知人のプライバシーがだだ漏れしてしまっている身辺雑記ですが
頭から尻尾まで引き返すことなくスルスルと読みきってしまえる心地よさがあります。
音読に値する作品でしょうね。
そりゃ日本文学の原点をたどるのならば、『古事記』と『日本書記』だべさ。
でも「小説」というジャンルに限って論ずるならば
やっぱ、平安の『源氏物語』にはじまって江戸の『好色五人男』へと発展し
明治の『坊ちゃん』、昭和の『金閣寺』へと発展していったんじゃないのかにゃ?
49 :
名無し物書き@推敲中?:2006/10/05(木) 23:42:08
>>43 >高橋なんかブッ飛ばされてんな。
俺は先生にYoshiをブッ飛ばしてほしい。
50 :
出題:2006/10/05(木) 23:49:17
今日の献立はあさり貝のピラフで、
お婆さんにはたぶん聞いたこともない料理だから、
日本風に貝の西洋炊き込みごはんということにしておく。
おう、おう、貝の殻つきのごはんなんて。
おばあさんは、きもをつぶした声を出す。
「まあ、どうだろう、これはまるで海賊の食べるようなごはんだ!」
フタをあけたおばあさんは貝みたいに口をあけた。
「鍋の中で貝がフタをひらいておいしいお汁を出してくれるわ」
「すると、ごはんをいただきながら貝もつまんで、
両方一緒にいただくわけだね。まあ、忙しいごちそうだ」
そういうとおばあさんは、右手にスプーン、左手に貝の殻をつまみあげて、
ちょうど彼女の紐で締めた巾着みたいな襞のたくさんある口をあけて、
チュウチュウと貝の汁をすすり、実を吸いあげ、
それから殻の内側にくっついたごはん粒を舌の先でなめてとる。
そして、
「おいしい、おいしい。まあ孫のおかげでこんな磯べの貝掘りのような
ごはんを食べさせてもらって、長生きをしたおかげだ」
などというので、わたし達はスプーンを震わせて笑いつづけるのだった。
おばあさんの口が発するチュウチュウ、ズルズルという音の中で、
いつもより長い時間をかけた夕食がおわった。
・・・少々『美味しんぼ』ちっくですな。
>>45 >おもしろそうだね。
俺が持ってるのは角川文庫で松田優作先生のピクチャージャケットのやつだ。
表紙の折り返しにはこうあるよ。
『38口径のコルトが轟然と火を吹いた。その男の内臓は露出し、鮮血が一面に飛び散った。
たちこめる硝煙の中で、仮面をかぶった野獣は冷たい、残忍な笑いを浮かべていた……。
会社乗っ取りを企む非情な一匹狼。私利をむさぼり、甘い汁に群がる重役たちに容赦ない
怒りを爆発。悪には悪を、邪魔な奴は殺す!
目的に向かって直進する狼のすさまじいアクション。大藪春彦最高の本格ハードボイルド!』
♪動く標的 狙いをつけて
燃え上がる 真昼の 静けさは
塒を失くした 獣のなみだ
燃え上がる 真昼の 沈黙は
今日を賑わう 都会の 裏の顔
Wow wow wow〜
52 :
答え:2006/10/06(金) 01:01:26
30は大道珠貴の「しょっぱいドライブ」
32は長嶋有の「猛スピードで母へ」です。
最近の芥川賞の傾向を紹介したくて出しました。
芥川賞・直木賞より大藪春彦賞のがいい。
54 :
名無し物書き@推敲中?:2006/10/06(金) 01:05:19
あのブスの処女うんぬんって、私小説に違いないな
私小説批判じゃなくてあのおばはんの処女喪失話は正直もどしそうになった
55 :
名無し物書き@推敲中?:2006/10/06(金) 01:07:49
大藪春彦
↑
へたすぎる
レトリックもないし、話もふっつーの話だし
まぁ、俺もちょっと大藪はそこまで批判するのはどうかと思ったけど、
つっかえたな、結構。
話も、ありがちな願望充足というか
サラリーマンの恨みを代理満足させるものっぽくて。
ちょっと低く見られても仕方ないな。おもしろいんだろうけど。
57 :
名無し物書き@推敲中?:2006/10/06(金) 06:31:52
>>55 >レトリックもないし、話もふっつーの話だし
それがいつまでも廃れない理由だよ。
だから俺は純文なんかクソ喰らえっつってんのに、
オマエやっぱり解ってないじゃん。。
>>55 下手すぎるとまでおっしゃるならば、
是非とも酷評スレにてご自身の作文の提出をお願い致します。
すごい序章を期待してるよ
数年前、
ある機関が農業を営んでる人を対象に「本はよく読むか、どんな作家を読んでいるか」
ってアンケートを取ったところ、宮部みゆきと松本清張を挙げる人が多かった
って話、聞いたことあるなぁ。
松本清張先生も視点や語り口はたいてい同じかなと思います。
設定やトリックが豊富なのが面白い。
邪馬台国に関する作品はよう分からんが。
何にしろ執念を感じますわ。
>>52 あーふたあつとも外れましたわ。いい勉強になりました。サンクス
>>38 辺見庸『赤い橋の下のぬるい水』の真中あたり
この人の文章というか文体というか、独特ですよ。
比喩表現も豊富ですし、俺の中からは出ない世界ですが
読んでいると良い刺激になります。栄養になります。
62 :
38:2006/10/06(金) 14:06:49
>>61は出題した本人パピポですんで、念のためw
ついでに同じ作家からもう一題
夜勤を終えて、六本木のバー、マグナムで、
昼間は腕のいい板金工でもある中年オカマのシズカ相手に朝まで死ぬほど酒を飲み、
五十円玉一個に十円玉二個しか金がなくなったからしかたなしに虎ノ門駅まで歩き、
そこから定期があるので乗り継いで川崎の自宅に帰ろうとしたけれど、
ひどい吐き気に襲われたために電車は断念して、
桜田通りの歩道のツヅジにゲロを吐きかけ吐きかけ、
一週間ほど前の春の社員検診で指摘された胃潰瘍痕をなんとなく心配しながらまた五分も歩いたら、
ジョギング中のデブの白人と肩がぶつかって腋臭のカウンターパンチを食らい、
再び吐いて、もう吐くものなんかなんにもなくなり、
破れた鞴(ふいご)にでもなったような気持ちでやっとのことで神谷町駅にたどりつき、
来る前には必ずそうしろといわれているから、
いつも申しわけないが寝せてもらえばとても助かるんだけどと、
食肉チェーン店を経営していた助平な中国人の元愛人で、いまは広尾の硯問屋の経理をしている、
とても顔が大きくて人のいいササジマ・ケイコに、
一応電話で来意を告げようとしたのだった。毎度のことではある。
これってやっぱ新聞記者の文章かね?
63 :
名無し物書き@推敲中?:2006/10/06(金) 16:17:16
>>55 エンタメは、プロットと文体が最重要であって、純文学的なレトリックなど必要としないジャンルだよ。
それに、レトリックを用いても読者は分からないから、どうでもいいしね。
まあ、推理小説の場合伏線は不可欠だが、それも謎解きのヒントとしての機能しかないし。
>>43 あらすじかと思った…。このストーリィ知ってるし、面白いけど。
>このストーリィ知ってるし、面白いけど。
正しい日本語?
まちがってはないとおもうが?
67 :
名無し物書き@推敲中?:2006/10/06(金) 17:50:20
チミのあらすじとストーリィの区別をおしえれ
すじ=ストーリィだろ
あら=アバウトなんじゃねえの
【あらすじ】
計画、話、小説などのだいたいの筋、梗概。
【ストーリ】
物語、話、筋の運び、筋書き
同じ単語を繰り返すのを避けたという点で64は正しいと思ふ
70 :
50:2006/10/06(金) 18:13:06
>>50は、村田喜代子『鍋の中』昭和62年、第97回芥川賞受賞作
ついでにもう一ヶ所:
今日の夕食は昆布と高野豆腐と牛肉の炊き合わせと胡瓜のサラダである。
夕方わたしは裏の畑に胡瓜をもぎに行った。
空気は重く、吸う息が濃いような気がした。
胡瓜をもぐあいだにも蚊がおしよせてきた。
わたしは手をふりふり、足踏みをしながら胡瓜をちぎった。
濃い空気の底に胡瓜の色はふだんより深い緑にみえた。
空の雲はもうしぼると水が垂れてきそうなかんじである。
畑を出たところで重い夕立が降りはじめた。
わたしは胡瓜の入ったカゴを胸にかかえて駆けだした。
遠い田の方角から空はだんだん暗くなり、こちらにむかって雨足が襲いかかってきた。
ぐんぐんと雨のすだれが田を一枚ずつ呑みこんで迫ってくるのがはきりとみえた。
それはちょうど人間の足が走ってくるようすとそっくりだった。
71 :
名無し物書き@推敲中?:2006/10/06(金) 18:56:04
うむ、前後の文章との関係でこの引用部分がどのような意味を持っているのかについては、
当然のことながら知る由もないのだが、牧歌的な雰囲気があざやかに描かれているね。
純文学における文章表現というものは、作品全体の中での有意的な位置づけと、その位置づけを
考慮しなくとも、その文章自体を楽しむことができることの両者を充たす必要があるのだよ。
>>62 辺見さんか。
新聞記者はそんな長いセンテンス書かないんじゃないかな。
いわゆる新聞記事っぽさは感じない。
>>62 >ついでに同じ作家からもう一題
それ、辺見庸?
渋いね。いいネ。
やっぱ人生経験のない奴に小説は書けないって。
源一郎とは大違いだな。
オヤジはオヤジで考えがあってやってることだけど、
アの方向性はどうも馴染めない。
>>63 >純文学的なレトリックなど必要としないジャンル
そんなことないぞ。
フクダカズヤの『作家の値打ち』では綾辻の『殺人鬼』に高得点が付けられていたけど、
みんなイロイロ工夫してんじゃないの?
じゃあプロでもちょっと怪しいのあげてみるか。
ジャンル小説だと多そうだなぁ。
海の中はあらゆる音でみちている。水は空気の何倍もの早さで音を運び、雑音をこしとってしまう。
複雑な潮の流れや、海草の茂みが音の波をそらし、集め、また拡散させる。
海底の岩の割れ目をくぐりぬけていく底流の、かすかに空気の洩れるような音。流されてきた小さな貝殻が、
石灰サンゴの群体の間をゆるやかにころげ落ちてゆく、雨だれに似た断続的な緊張音。見えない磯で、
波に巻き込まれた空気の泡が、海面ではじけるごろごろという遠雷ともまごうひびき。はるかな海溝に面した
絶壁の一部が崩れ落ちてゆく、圧迫感をともなったにぶい振動。そして海に棲むおびただしい生物達のつぶやきがある。
ぐる……ぐる……ぐる、ぐる……るる
眠気をさそう小さな糸車のひびきは、二枚貝の吸水管を通ってゆく水の流れだ。
カッ……カ、カカカ……カカッ……
ウミユリの淡褐色のかたい柄が、かすかにたわむひびきが伝わってくる。
みたされることのない食欲のために、絶えず、クキ……クキッ……とあごをかみならしている甲殻類。
ごあおう、ごあおう、ごあおう……
擬音が出てくると馬鹿みたいに見えるなぁ。
書き写してて笑いそうになったよ。
ちなみに古い日本SFの名作です。
芥川賞にも怪しいのはあるw これは有名だからすぐバレるかな。
白熱灯の光を頭上から受けて、彼の体は黄金色に輝いていた。刈りそろえられた頭髪の下で
地肌が生々しく光を反射している。纏った舎房衣は袈裟のようにしなやかに彼を包み込み、
あらゆるカルマから彼を自由に離脱させているような柔らかさを放っていた。視線は本の行の
上を走り、そこに封じ込められていた世界の意味を黙読していた。真一文字に結ばれた口許は、
しかし同時に力が自然と脱けきっており、固さと柔らかさが共存していた。その頭の先から
肩を通り、組んだ両足の膝に至るまでの、宇宙の循環と合体したようなしなやかなフォルムに、
私は思わず固唾を飲むほかなかった。
この瞬間花井修がわざと落第したことは明白となった。同時に、私は監視者を失格し、彼への
報復にしくじった。
花井修は小箱の中で大仏と化した。
後者はあやしいなりに文章はスムーズに読めるから
さすがは芥川というべきなのか。
皆さんの評価を待つ。
>>50 素朴なようで技巧がすごいんじゃないかな、この文章。
おばあちゃんのキャラとか台詞がすごく生き生きしてるよね。
そこがすごくいい。
食い物もうまそうだ。
80 :
名無し物書き@推敲中?:2006/10/07(土) 08:30:42
>>75 前半の描写は海中の映像を見ているようできれいだ。
空気より水のほうが音をすばやく運ぶって本当なのかね?
後半は・・・・・・wwwwww ま、まあ、読んでいて楽しいっすよ。
ぐるぐる、カカカッ、クキクキッ、ごあおうごあおう・・・・・・と
怪獣たちがウルトラマンに襲いかかっていく光景が浮かびますしw
81 :
名無し物書き@推敲中?:2006/10/07(土) 08:42:53
>>77 あー、はいはい。好みが別れるところかなあ。
こういう硬質な文体が好きな人は読みやすいだろうと思う。
自分、この文章ざっと見たかぎりだと、
ワープロ入力オンリーでしょ?手書きしていないでしょ?って思うんだけど。
『白仏』まだ読んでないんだよね。今日あたり古本屋で探してみっかな。
82 :
62:2006/10/07(土) 08:55:47
>>62は『ゆで卵』でした。
辺見さんは地下鉄サリン事件の現場に居合わせたそうで
その日のことを書いたのが上の作品です。
>>72 一文の中に5W1Hを盛り込まずにはいられない職人気質のようなものを感じまして。
ちなみに、辺見さんは小説家としてより共同通信社で働いた経歴のほうが長いですね。
>>73 俺も好き。辺見さんならではのテンポが感じられる。
>>75 >じゃあプロでもちょっと怪しいのあげてみるか。
やってることはおかしくないけど、
擬音が地文とぶつかってるような気がする。
浮いて見えるのはそのためじゃないの?
わざと浮かしてるような意図も感じられないけど、、。
84 :
48:2006/10/07(土) 11:20:17
>>48は「発展」「発展」てくりかえしちまったがそうとは限らないかもな。
日本文学は平安時代が絶頂でその後はただの模倣ていう見方もあるよね。
85 :
出題:2006/10/07(土) 13:46:19
会話です。
「なつかしいねえ」トウタさんがこぶりの鉢を指さして、言った。
「なつかしいですか」
「昔はさ、ああいう、ゆがんだ器だったろう、みんな」
「そういえば」
「古びてるなあ」
「古びてますね、ほんとに」
「いい味のものに育ちあがってるじゃないか」
「私たちと同じくらい永らえてるんですね」
「俺たちよりもずっと上等さ」
「そうですか」
「俺たちはそのまま変わらない」
「変わってますよ」
「ほとんど変わっちゃいないさ」
86 :
出題:2006/10/07(土) 14:08:01
こちらも会話ですが、インテリに専門知識を語らせるのが特徴のようです。
上野の博物館で父親が息子と話しています。少々長くなりますが:
「ぼくはお父さんを待って、沙ガ羅や須菩提の前に、長いこと立っているうちに、
少しかなしく見えて来たんですが・・・・・・。」
「ふむ。二つとも乾漆の像で、乾漆という彫刻の素材は、仏師が抒情的に扱いやすいのかね。
天真な少年像に、日本の哀愁も出ている。」
「姉さんも、よく動く上まぶたに、ときどきまゆをひそめて、これと似たような、
かなしい目つきをしますよ。」
「そう。しかし、まゆの根を寄せるのは、仏像の作法の一つでね。
この沙ガ羅の仲間の、八部衆の、阿修羅の像や、
須菩提と同じ、釈迦の十大弟子の像のうちの、いくつかも、やはりまゆをひそめてるよ。
それに、この沙ガ羅は、かれんな童形に造ってあるが、八大竜王の一つで、実は竜なんだ。
仏法を護持する、おそろしい力がある。水の玉だ。この像にも、そういう力がこもっている。
肩にまつわったへびが、少年の頭の上に、かま首を持ち上げているだろう。
しかし、いかにも人間らしい作りで、心やすく親しめるから、だれかに似てそうに思うんだな。
ところが、こう写実と見えて、永遠の理想の象徴でね。
いじらしいようなあどけなさのうちに、澄み渡る大きさがあるし、
しみるように静かで、深い力の動きがある。
うちの女どもとは、残念ながら智恵の深さがちがうようだね。」
二人は沙ガ羅の前から、須菩提の前へ移って行った。
87 :
85:2006/10/09(月) 16:24:12
誰も突っ込んでくれないけど答え書いちゃうよ〜
>>85は川上弘美の短篇『無明』
女流文学賞、伊藤整文学賞を受賞した短篇集『溺レる』に収録されている。
ついでにもう一ヶ所、『百年』から:
夢見てた。怖い夢だった。サカキさんが言った。
どんな夢。
おぼえてない。怖い夢だ。
そう。そうなの。
助けてくれ。
どうしたらいいの。
わからない。助けてくれ。
ねえ、死ぬよりも、死んだつもりでどこかに逃げたらどうかしら。
同じだよ。
同じかしら。
どこに行っても同じだよ。
サカキさんの目が、またすわっている。
勝手気侭したら、気が晴れて、死にたくなくなるかもしれないわよ。
勝手気侭してるよ、もう。
たいして勝手気侭してないじゃない。
勝手気侭だ。たいがいのものを捨てて平気だって決めたときから、
じゅうぶん勝手気侭だ。
・・・以上ですが、カギカッコが省略されいるのが特徴ですね。
88 :
85:2006/10/09(月) 16:26:02
あ、すみません、最後のコメント「省略されている」です、「て」が抜けていました。
89 :
86:2006/10/09(月) 16:52:46
>>86は川端康成『舞姫』です。昭和26年に刊行。
この作品では「・・・・・・」が多用されていますね。
まず、書き出しからして、
東京の日の入りは四時半ごろ、十一月のなかばである・・・・・・。
ですし、会話の中でも、
音楽がやんでからも、品子や友子は母屋へ来ないので、
波子が見に行くと、けいこ場には、品子が一人ぼんやりしていた。
「友子さんは・・・・・・?」
「帰ったの。」
「朝御飯も食べないで・・・・・・?」
「これをね、お母さまに返して下さいって・・・・・・。」
品子は指輪の小箱をにぎっていた。
こんな風に「・・・・・・」がいちいち付いています。
歯切れが悪いというか、上品というか・・・・・・。
90 :
名無し物書き@推敲中?:2006/10/09(月) 18:35:24
意味がわからん
多用しているから悪いという先入観か?
良いか悪いか判断しきる以前に「・・・・・・」を多用する意味がわからん
付ける必要が無いように思える部分、むしろ普通は付けないんじゃ?
と思えるような文の語末にまで付いている
なんだ川上か。
俺はまた
>>85がフザけてんのかと思ったゼ。
トウタさんだのサカキさんだのって、なんで登場人物を「さん」付けしなきゃならんのだ?
また
>>87だが、カギカッコを外して文学ポイントを稼ぐ手法が鼻に付くな。
俺はやらん。
それにしても西村京太郎より激しい改行だな。
同じだよ。(改行)
同じかしら。
……こんなんアリかよ。
「金返せ」ってよく言われないな。
93 :
答え:2006/10/09(月) 20:23:20
75は光瀬龍の「百億の昼と千億の夜」。
日本SFではオールタイムベスト1の作品です。
まぁ、多少文章がこんなでもジャンル小説は面白ければ
ファンが支持してくれるってことっすね。
77は一部で評判の悪い辻仁成の芥川作「海峡の光」です。
文章自体は悪くないと思いますしストーリーもいい話なんですが、
引用した部分の最後の行とかちょっとないんじゃないかと思い引用しました
>>93 >75は光瀬龍の「百億の昼と千億の夜」
(やっぱりそうだったか。
以前、SFオタクと交流があったとき勧められた事があった。
手元に本がないから胸を張って答えられなかったが……
難しいな、このスレは)
95 :
出題:2006/10/10(火) 08:29:05
方言(関西弁)です。
あんたと初めて知りおうたのは小学校六年生のときやったから、昭和三十二年でした。
あの年は、いろいろと気色悪い事件が、わたしら一家を巻き込んだ年やった。
当時、わたしら一家は尼崎の阪神国道沿いの大きな木造アパートに住んでました。
ちょっと変った造りのアパートで、もともと道をはさんで並んでた長屋の上に、
そのまま大きなアパートを乗せるように増築してひとつの建物にしてしもたんや。
そやから、アパートの中に国道と裏通りにつづく地道がつづいてるというけったいな建物やった。
その年中陽の当たらん地道にはいっつも裸電球がともってて、
道の土は絶えずじめじめと湿って、いやな匂いを漂わせてました。
地道の上は二階の廊下で、人の歩く音ががんがん響いてた。
近所の人は「松田アパート」というちゃんとした名前では呼ばずに、「トンネル長屋」と呼んでた。
96 :
出題:2006/10/10(火) 08:53:14
95と同じ作家の違う作品からです。
「・・・・・・俺は、犬猫以下の人間や」
ぼくは驚いて、臥している有吉の耳から顎にあけての翳(かげ)を見つめた。
「なんで、そんなことを言うんや?」
有吉はそれには答えず、深いため息をついた。
有吉が窓の向こうから目を離さないのは、顔を見られたくないからかも知れないと思い、
ぼくは立ちあがってドアの横の小さな鏡に自分を映した。ぼくは何かに祈りたかった。
俺は犬猫以下の人間やと有吉が呟いたとき、ぼくは烈しい恐怖と優秀に、
夕暮の彼方から手招きされているような気持に包まれたのだった。
逃れようのない決定的な絶望に勝つためには、人間は祈るしかない筈だった。
ぼくが立ちあがったのは帰るためだと有吉は思ったらしく、初めて顔を向けて、
「またな」
と言った。ぼくがぼんやりと立ちつくしていると、有吉はもう一度、
「またな」
と言って、笑った。
97 :
96:2006/10/10(火) 08:54:51
訂正です。引用二行目「顎にあけての」→「顎にかけての」s
98 :
名無し物書き@推敲中?:2006/10/10(火) 09:50:51
>>96 宮本輝の『星々の悲しみ』ですね。
もう二十回以上読み返しているが、面白いねぇ。
宮本輝は平易な文章を書くから好きだ。余計な比喩も少ない。
創価の息が掛かってなければ作家になれたかどうか怪しいが、良い作品を書くのは確かだ。
99 :
名無し物書き@推敲中?:2006/10/10(火) 11:17:36
じゃあ95は「幻の光」だ。
読んだけどあんまり覚えてない。
100 :
95:2006/10/10(火) 17:09:57
>>95は
>>99さんの正解で、宮本輝『幻の光』。
語り手「わたし」は女性です。
昭和53年8月「新潮」に発表された短篇ですが
この年の1月には『蛍川』で芥川賞を受賞しています。
七年前、二十五歳で未亡人になった、という設定ですね。
作者はこの年三十一歳になったばかりですが、
なにやらすでに老成していますね。
江角マキコ主演の映画のほうも二度ほどテレビでみました。
キャスティングと白いパンツには賛否両論あるでしょうが(笑
原作の雰囲気を忠実に表現していると私は思います。
101 :
96:2006/10/10(火) 17:45:15
>>96は
>>98さんの正解です。二十回以上とはすごいですね。
なお、上の引用では何ヶ所か私の誤りがありました。「優秀」→「憂愁」
失礼いたしました。
原稿用紙に換算して百枚程度の短篇ですが
伏線のはり方などテクニックをたくさん学べますね。
でも、技術だけでは小説は書けないというのもまた一理あるかと思います。
上の場面は読んでいて込み上げてくるものがありますが、
読者を感動させようと狙って書けるものではないでしょうね。
102 :
出題:2006/10/10(火) 18:09:43
現在形(現在進行形?)が特徴です。作者は宮本輝と同世代。
びっしりと蔦が絡みついた図書館の壁に沿って、
一日じゅう陽のあたらない湿っぽい日かげの帯が続いている。
そのひんやりとした陰の中に僕は包まれている。
かすかに苔のにおいのするじめじめとした空気の澱みの中で、
僕は身体を図書館の壁にもたせかけ、息をひそめるようにしてただずんでいる。
まわりの空気は、蔦や、煉瓦の隙間の黒い土くれや、古びた壁全体が
かもしだすじわじわとおおいかぶさるような陰気さととけあっている。
その重く、わだかまったような空気の中に僕がいる。僕はここにいる――。
ここにいる僕とは何だろう――。
日ざしをうけて白く光っているキャンパスの地面の上を、
急ぎ足に通りすぎていくおびただしい数の学生たちの流れを眺めながら、
僕は自分自身に呟いてみる。昨日も一昨日も、僕は誰とも口をきかなかった。
この半月、ひとと会話らしい会話を交したことがない。
ひとり暮らしのアパート、慣れない東京での生活、大学にも知り合いはいない。
どこにいても、僕はいわば行きずりの人間だ。誰も僕のことを知らない。
僕に注意を向けようともしない。誰からもかえりみられず、
何ものとも関係をもたず、地の底で息づくちっぽけな虫のように、
僕は自分自身を生きながらえさせている。
103 :
答え:2006/10/13(金) 12:25:40
>>102は三田誠広『僕って何』1977年芥川賞受賞作品
現在形で語ることによって、発表されてから三十年たった今でも
読者が目の前で進行しているように感じる効果を発揮しています。
ついでにもう一ヶ所:
蒲団をはぐ。白い肩が目にとびこむ。手をかけるとレイ子の目が開く。
かまわずに腕をまわし、レイ子の身体を抱きしめる。かすかな抗い。
不安が胸をかすめる。腕に力をこめる。
僕の身体の下でレイ子の華奢な身体がもがいている。なぜもがくのか。
不安をふりはらおうとするように、しゃにむに身体をすりつける。
と、急に、いちだんと強いもがきようで、レイ子は僕から逃れようとする。
逃すまいと力まかせに押さえつける。「駄目よ」とレイ子がうめくように言う。
ずっしりとした痛みが胸の中心をつらぬく。
全身の力がぬけたような感じがしながら、手は無意識にレイ子の身体を押さえ続けている。
「駄目だったらァ」レイ子が叫ぶ。はっとして手の力を抜く。
自分の蒲団の方にとびのき、手を床についてじっとしている。
レイ子の方を見る勇気もない。レイ子の荒い息づかいだけがきこえる。
自分は愛されていなかった。それなのにレイ子を自分のものにしようとした。
レイ子はただ僕を甘く見て一夜の宿を借りただけなのだ。
考えてみればあたりまえではないか。レイ子は僕の“上司”なのだ。
大それたことをしてしまった。もうどうしようもない――
そんな思いが頭の中で渦を巻いている。
age
深夜の繁華街に二サイクル・エンジンの甲高い音が響いている。
マフラーを外した排気音は左右の建物に反射して、まるでステレオのように渡辺裕輔の
鼓膜を震わせた。
うしろからはパトカーが追いかけてくる。赤色灯が辺りを間欠的に照らし、ちらりと横を
向いた洋平の頬を赤く染めていた。
サイレンは鳴っていない。鳴らせばいいのにと裕輔は思った。そのほうが注目が集まる。
通行人はまばらだが、道端のあちこちには若い女たちがしゃがみこんでいる。あの女たちに
もっとアピールしたかった。
「前のスクーター、ただちに停止しなさい」パトカーの拡声器から低い声が発せられる。
ナンバープレートは折り曲げてあるし、そもそも無灯火なので、スクーターで足がつくことはない。
「前の三人、危険だから停まりなさい」
「誰が停まるか、バーカ」
背中で弘樹が怒鳴りかえしたら、「コラ。前の三人、いいかげんにしろよ」と、警官の口調が
いきなり荒っぽくなった。
裕輔の前にはハンドルを握る洋平。背中には弘樹がしがみついている。
「おい。コケるなよ」洋平に言った。
「まかせとけって」威勢のいい声が返る。
スクーターの三人乗りはもう慣れっこだ。背中を丸めないで、三人揃って反っくりかえるのが
コツだ。足はやじろべえのように両側に遊ばせる。そうするとバランスがとれる。
午前零時過ぎ、洋平のスクーターに三人で乗りこんだ。裕輔もスクーターを持っているのだが、
ノーマルのおとなしいやつなので暴走には向かない。それに三人乗りの方が目立つし楽しい。
繁華街を一周したところで巡回中のパトカーに見つかった。
「ヒュー」洋平と弘樹が奇声をあげ、裕輔が続いた。体温が一瞬にして上がった気がした。
これで今夜の自慢話がひとつできる。
スクーターは街灯をかすめるようにして角を曲がった。この先には遅くまで
営業しているドラッグストアがあり、その前には同じ年代の男女がたむろしている。
洋平もコースは考えているのだろう。田圃道を走ったって面白くもなんともない。
スピードを緩めパトカーを引きつけた。車間距離が縮まる。
もうひとつ
駐車場には、約束の時間より早めに着いた。
車を降りると、湿気を多く含んだ七月の濃い闇に包まれた。蒸し暑いせいか、闇が黒々と
重く感じられる。
香取雅子は息苦しさを覚えて、星の出ていない夜空を見上げた。冷房の効いた車内で
冷やされ乾いた皮膚が、たちまちねっとりと汗をかきはじめる。
新青梅街道から流れてくる排気ガスに混じって、揚げ物の油臭い匂いが微かに漂っていた。
これから雅子が出勤する弁当工場から来る匂いだ。
〈帰りたい〉
この匂いが嗅ぐと、この言葉が浮かぶ。どこに帰りたくてそんな言葉が生まれるのか
わからなかった。今出てきたばかりの家ではないことは確かだ。なぜ、家に帰りたくないのか。
いったいどこに帰るというのか。道にはぐれた気分が、雅子を当惑させる。
午前零時から朝五時半まで延々と休みなく、ベルトコンベアで運ばれる弁当を
作り続けなければならない。パートにしては高い時給だが、立ちづめのきつい作業だ。
体調の悪い時などはその辛さを思ってここで身がすくんだことも一度や二度ではない。
が、このあてどない気持ちはそれと違っていた。
雅子はいつものように煙草に火をつけ、その行為が匂いを消すためにしていたのだ、
と初めて思い至った。
弁当工場は武蔵村山市のほぼ中央、広大な自動車工場の灰色の塀が続く道に面して
ぽつんと立っている。周囲は埃っぽい畑地と小さな自動車整備工場群。
空のよく見える平べったい土地だ。工場の駐車場はそこから徒歩で三分。荒涼とした廃工場の
先にある。
駐車場は簡単に整地しただけの広い空き地だ。テープで駐車位置が決められてはいるが、
砂埃にまみれてその線も定かではない。従業員を運ぶワンボックスカーや、軽自動車などが
乱雑に停められていた。
誰かが草むらや車の陰に潜んでいてもわからないだろう。ここも物騒な場所だ。
雅子は念のために周囲を窺いながらドアをロックした。
うん
109 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/06(月) 01:12:14
>>106はライトノベルではないのかな??ちがうか
>>107はプロレタリア文学を思い起こさせるね。
でも、平成の作品でしょう?
110 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/06(月) 02:08:04
107はOUTだな。
こうやってみると下手な文章だ。
111 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/06(月) 02:18:18
>>110 俺は横書きというだけで下手に感じてしまう。
113 :
出題:2006/11/10(金) 00:35:48
同じ作家さんの違う作品三本から出題します。
いずれも作品の冒頭、書き出しの部分です。
まず一つ目:
失礼を承知で、私は彼女に体重を尋ねてみた。
すると運転席の美波は、前方に視線を向けたまま唇の端をきゅっと上げた。
「七十キロを出たり出なかったりかな」
鈴を転がすような彼女の甘い声。その横顔は微笑んだままだ。
恥じらいも困惑も、そんな質問をした私への怒りすらも、そこからは読みとれなかった。
「柊子は今何キロくらいなの?」
聞き返されることを予想しての質問だったけれど、やはりいい気分はしなかった。
「五十キロを出たり出なかったり」
「ずいぶん痩せたよね」
美波はずっと前を向いたままで、こちらを見ようとはしない。
「あの頃よりは十キロくらい落ちたかな」
「私は十五キロ増えたわ」
彼女の台詞に私はどう答えたらいいか分からなかった。車の中に沈黙が漂う。
彼女は黙ったままウィンカーを出し、ちらりとバックミラーを見てから右の車線に車を出した。
アクセルを踏み込んで前を走っていた大きなトレーラーを追い抜いて行く。
彼女は意外に運転が上手く安全運転だったが、いきなりかかった重力に私はひやりとしてしまった。
もしかしたら、やはり内心怒っているのだろうか。
「それにしても偶然ってあるのね」
トレーラーを追い抜いてしまうと、私は彼女の機嫌を取るように明るく言った。
114 :
出題:2006/11/10(金) 00:46:36
二つ目です:
二十五歳の誕生日、私は長年付き合ってきた恋人に「そろそろ結婚してもいいよ」と切り出された。
「結婚してください」でもなく「結婚しようよ」でもなく、それは許可を下す台詞だった。
言った本人はグラス一杯のワインで顔を赤くしにこにこしている。
だがその笑顔は自信満々で、決して照れて赤くなっているわけではなかった。
「そろそろって?」
彼の機嫌を損ねないよう、私も精一杯笑顔を作って問い直す。
「だって美都、二十五歳で結婚したいって言ってたじゃないか」
「私が?」
「記憶力ないなあ」
懸命に思い出そうとしたが、そんな発言をした覚えはなかった。
それにもし本当に私がそう言ったとしても、私たちは今結婚どころではない状況にある。
彼のアパートのそばにあるカジュアルなイタリア料理の店は、
十二月に入ったせいか忘年会の客がいて騒がしかった。
私と彼は奥まった場所にある小さなテーブルで、それぞれの思惑をもって互いの目を覗き込んだ。
彼は私が嬉しそうな顔をしないので訝しげな表情になり、
私は返事に窮してこの場をどう切り抜けたらいいか必死で考えを巡らせていた。
115 :
出題:2006/11/10(金) 01:09:51
三つ目です。
前の二つはいずれも短篇の書き出しですが、
以下は長編の「序」introductionです。
恋は人を壊す。僕は転職を機に、そのことを肝に銘じた。
人だけじゃない。幾度も繰り返された喧嘩の最中に目覚まし時計やコーヒーカップを壊され、
留守中に何着かのスーツやシャツを引き裂かれ、
彼女の執拗ないやがらせから逃れるためこっそり引っ越しをした。
そして何人かの同僚や上司から信頼を失い、会社にいられなくなった。
けれど、より破壊されたのは僕の生活ではなく彼女自身だろう。
無断欠勤の末解雇され、彼女は家賃を滞納してアパートを追い出され実家に戻っていった。
そして何より、傲慢な言い方ではあるが、彼女は僕を失った。
(長くなるので途中少し略します)
「あの、水無月さん」
彼女は鼻に引っかけた眼鏡の奥から、ぎろりとこちらを見た。
いっぺんに僕は話しかけたことを後悔した。
この愛想のないおばさんに、昔付き合っていた女からいやがらせの電話があるかもしれないと
言ったところで、同情してもらえるとは思えなかった。
「……何でもありません。邪魔してすみませんでした」
「何回か無言電話があったわよ」
カメラマンから電話があったわよ、というようないつもの平坦な調子で彼女は言った。
頭部から血がさあっと引いていき、その血が一気に胃腸に押し寄せた気がした。
以上です。最後にヒントを:
直木賞を受賞した女性の作家さんです。吉川英治文学新人賞も受賞しています。
116 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/10(金) 07:15:13
>>113-115 下手くそだとは思わないが、面白いとも思わない。
その原因は、俺の感性をフィックスできる人物がひとりも登場しないからだ。
おまけに毒もなければ頓智もない。
それを理由に酷評はしないが。
>おまけに毒もなければ頓智もない。
これはもう十分に酷だと思いますよw
僕の場合ですが、この作家さんの世界に心の線が触れると、
チクチクヒリヒリします。少々、神経症的なのかも?ですね。
たぶんだけど、こういう感覚に対してはできる限り鈍い方が
現実社会では幸せになれる可能性が高いだろうと思えます。
ちなみにプルーストを読んでいる時もチクチクヒリヒリします。
僕にとって、文学や小説の勉強にはなるけど、
心の蝕まれている部分にできたカサブタを容赦無くベリッと剥がしてしまう、
そんな世界なのかもしれません。
118 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/10(金) 11:46:51
113-115のあとでプルーストか。
一休さんよりすごいヒネリだ。
大技だ。
>>113-115 描写が得意ではないように見えるね。
状況や状態を描写していても簡単なもので、多くは説明文に頼っている。
使用している語彙だけから判断すると、あまり教育レベルの高くない人なのかもしれない。
などと、直木賞作家の作品に失礼なことを書いてしまった。
120 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/10(金) 15:52:53
>>119 ノブ・モリオの『介護入門』が芥川賞に選ばれる時代にそういう評価の仕方は無意味だよ
美しい文章が名文なのではない。
エロい人がお墨付きを与えた文章だけが名文と言える時代になったんだ
121 :
答え:2006/11/10(金) 16:30:18
>>113-115はいずれも山本文緒さんの作品から引用しました。
>>113は『秤の上の小さな子供』(『シュガーレス・ラヴ』収録)
>>114は『囚われ人のジレンマ』(『プラナリア』収録)
>>115は『恋愛中毒』
僕は、山本さんの描き方から焦燥感が伝わってきて
「生き急ぎすぎているのかなあ」としんどくなる時もあります。
でもこれって、皆が忙しい忙しいと急いでいる現代社会を
真摯に描写した結果、このような表現になるのかとも思います。
122 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/10(金) 16:43:35
123 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/10(金) 16:47:22
角田だろ。あのおばさん全然おもしろくないんだよなあ。
蛇足&スレ違いになりますが、プルースト逝っちゃいますw (訳:井上究一郎)
「アイスクリームはそんなに大きくなくてもいいの、
なんだったらハーフ・サイズだってかまわないの、
それでもあのレモン・アイスクリームはやっぱり山だわ、
小さく縮尺されていても想像力が元のプロポーションをとりもどしてくれるのね、
たとえばあの日本の盆栽の木々を見るとわかるように、
それがやっぱり杉だの、槲だの、マンチニールだのってことを
はっきり人は感じてしまうんですもの、
ですから、私のお部屋のなかに、小さな苗床を設けて、
その畝に沿ってあんな小人の木を何本か植えてみたら、
私は大きな河のほうにくだってゆく広大な森林をもっているようで、
子供なんかはそのなかで迷ってしまうでしょうね。
そんな子供とおなじように、私の黄色味をおびた
ハーフ・サイズのレモン・アイスクリームの山裾にも、
馭者だの旅行者だの駅馬車だのが私の目にはっきり見えるのよ、
それらのものの上に氷のなだれをすべらせて
それらを全部のみこんでしまうというのが私の舌の役目なの
(それをいう彼女の口ぶりの残酷な官能が私の嫉妬をかきたてた)」
>>121 ゆうべ「プラナリア」を読んでたから
>>114ですぐにわかった。
正直、こんなんで直木賞かよと思う部分もあるんだけど、どこにでもいる
ごく普通の女の、未熟で醜い内面が描かれてて良かったと思う。
でもやっぱり直木賞あげるにはかなりの疑問が残るな。
126 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/10(金) 19:27:04
>>121 ライトノベル出身ということで、表現が稚拙な理由が分かった。
それにしても、なんでこんなのが直木賞作家なのかとも思った。
127 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/10(金) 19:30:14
それが理解できないうちは
ずっと作家志望なんじゃね?
だよなぁ。
勘違い文学やってるやつ多すぎ
131 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/10(金) 20:16:10
すまん。通りがかりに煽っただけだ。
気にするな。意味はない。
132 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/10(金) 21:06:41
133 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/10(金) 21:40:09
いいか。
文章に上手はない。が、下手糞の領域はある。
人間の顔と一緒だ。まずい顔があるが、あとは好みだ。さらにその好みは時代によって変わる。
特に言葉などは変化しやすい。たとえば現代の言葉はほとんどが翻訳文体だ。
和文調や漢文調の、美しい文体、力強い文体といったものは消え去っているといってもいいだろう。
なぜだ? 翻訳調の文体に負けたからだ。いまやそれが翻訳調の文体だということに気づかない者も多い。
文法は目の位置や口の位置に相当する。これが狂っていたら話にならん。
だが、まちがってなければ個性になる。
プロの書くものを稚拙と称する奴等に、文章、言葉の本質が見抜けているとは思えん。
表現が稚拙なのか、てめえがこの時代の表現を読み取れないのか、どっちだという話だ。
往々にしてプロにけちをつける奴はてめえの筆力に自信のない奴だ。そのことだけははっきりしている。
134 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/10(金) 23:18:14
んじゃあ、このスレの皆が納得しそうな古いの逝ってみようか!
ヒント:芥川賞を受賞した作品ですよ。
第一部
お夏はほとんど抵抗する術を知らないような娘であった。
彼女は助けを呼ぶこともせず、僅か二尺しか離れない床に寝ている弟を
呼び起こそうともしなかった。静かに顔をそむけて目を閉じたまま
意志を失った和やかさで横たわっているばかりであった。
寝床はこの部屋の両側に五つずつ敷き連ねてあったのだから、
罪はこのような部屋の設備に有ったかも知れない。孫市もまた不注意であった。
彼はこの床の位置を変えて、姉を窓際に眠らせてやるべきであった。
彼女は殆んど小水助監督を無視しているようにさえも見えた。
彼が黙って自分の床に帰ってしまうと、お夏は彼に背を向け、
毛布を唇まで引き上げてそのまま眠ろうとするのであった。
135 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/10(金) 23:28:38
>>133 文章、言葉の本質とは一体何なのだね。
それから俺自身、自分の筆力に自信はないけれども、プロにケチをつけるのは、
プロもやっていることなわけで、自分の筆力に対する自信の有無は関係ないと思う。
136 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/10(金) 23:28:52
第二部
実を言うと彼は洗濯をしてもらいたくなかった。
日が経つにつれて二人の関係がうすらぎ遠ざかって行くことを願っていた。
ただ彼の良心を慰める方法は、過去の中におい込んで忘れてしまうという事しかなかった。
いま洗濯を頼むことによって、新しく二人の関係を生かしておくことが心苦しかった。
それと同時に又彼は孫市の善良さに圧倒され、お夏の気持ちの善良さに打たれた。
彼が今日までお夏に感じていたのはただ臆病な恐れであり、
それ故に彼女を避けることばかりを考えていた。しかし、いま改めて
彼女のしおらしい気持を示されると、ぐっと胸をついて来る愛情があった。
それは悲しいほどに素直な女の可憐さであった。
愛するというよりほかに言い様もない気持であった。
小水はほのぼのとした喜びを感ずることが出来た。
はっきりとした後悔を感じながら、その後悔の底の方で
自分の苦しかった気持が何か一つの解決を見出したような気がするのであった。
それはお夏に向って抵抗していた彼の気持の崩れに他ならなかった。
彼女は彼に抵抗してはいないのだ。彼も亦抵抗する必要がなくなった。
それと同時に自分の過失として承認し、貧しい心になって詫びたい感情であった。
>>126 そのときの選考委員が林真理子で
強力にプッシュしたのだと、
恋愛中毒のあとがきに書いてあった。
>>137 マジでか!?
林真理子が書いてるというだけで俺は手に取らない。
恋愛経験ないブスが妄想だけで書いた小説読みたかないし。
しかしアグネス論争の時だけは彼女の味方をしてしまった。
139 :
121:2006/11/11(土) 00:00:40
文緒さん、ごめんなさい。こんな糞スレで取り上げた僕がバカでしたorz
140 :
出題:2006/11/11(土) 00:29:14
>>134 >>136のつづきです。
第三部
お夏は船から持って来た草履をはき、
牛や馬の糞で一杯になっている凸凹の道を、下の方へ山水を汲みに行った。
息を切らせて帰ってくると、孫市や義三が草むらで顔を洗った。
お夏は弟の傍に立って遠い日の出を眺めた。
とろとろと融けた太陽が火の玉になって輝きながら雲の上にちらと浮んだ。
すると赤煉瓦の小舎の壁に横縞をつくってバナナの木の影がくっきりとうつった。
彼女は頬に朝の最初の日光の温かさを感じた。
その温かさは皮膚を透し血管を流れて五体にしみわたるようであった。
弟は洗面を終ると労働服のポケットからタバコを出して火をつけた。
日光をうけてオレンジ色の煙が流れた。その煙の向うを金色の矢のように
音もなく飛んで、蜂雀が野生の南瓜の黄色い花へ行った。
141 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/11(土) 03:36:46
自己表現の一つ、芸術的なもの。
ではなく結局エンターテイメントなんだろ。
より人に支持された奴の勝ち。
なら活字慣れの薄い人が多いらしい現代の人達には見目麗しい文章やさらりとしたキレイな文より
説明的でもいいから分かりやすい文章の方がいいって事じゃね?
ストーリーや構成がご飯で文章はオカズなら、今、どうやって美味しくご飯を頂いてもらうか。
その為にオカズをどう調理するか。
今時の化学調味料でゴテゴテの味にした方がいいって事じゃないか?
142 :
141:2006/11/11(土) 03:38:40
すまんw
凄い分かりにくい誤爆したw
いやあ、なかなか勉強になりますよ。
144 :
私は誰でしょう?(1):2006/11/11(土) 16:03:08
寺田は荒い蓆の上で寝射ち(プローン)の姿勢をとったまま、ためていた息をゆっくり吐きだした。
小さな黒点と化して覗孔照準器(ピープ・サイト)の中に浮かんで震えていた五〇メーター先の標
的が、スーッと上に消えていった。眼球の上を上から下に移動していた涙の筋も意識から消えた。
疲れている。朝、駅売りの牛乳を飲んだだけだからかも知れない。
寺田はレミントン五一三ターゲットの槓杆(ボルト)を起こした。銃をおろし、銃床の上に顔を伏
せて、疲れた目と首筋を休ませた。
標的の下のコンクリートの壕では、係の下級生が待ちくたびれているだろう。壕は冷たく、湿気が
充満している。床から水が引いたことがない。長くいるとリューマチにかかりそうな気がする。
しかし、さまざまのチャンピオン・マークをはりつけた寺田の広いユニフォームの背は動かなかった。
射撃競技は、まず何よりも忍耐力のスポーツだ。他人の思惑を完全に無視し、己れ自身の忍耐を試
す孤独なスポーツなのだ。耐えきれなくて、苦しまぎれに引き金をひくと、かならず弾着は外れる。
寺田は体の力をぬき、目を休めていた。瞼の裏側で渦巻いていた赤や紫の光が消えていった。
寺田は瞼を開いて、首を起こした。監的用望遠鏡(スポッティング・スコープ)の後で蹲った一級
下の野本が、火をつけて間もないタバコを揉み消した。
軽く血走った男らしい寺田の瞳に、紅葉しかかった秋の湘南、富岡の森が写っていた。写ってはい
たが、見てはいなかった。
寝射ち、膝射ち、立射ち、ともに四十発ずつの百二十発競技だ。試射が十発ずつある。
あと一発で寝射ちは終りだ。仕切りのむこうに並んで射っていた他の大学の選手たちは、すでに射
ち終ったと見えて銃声はしない。
寺田はボルトを倒し、重いライフルを構えた。ダブルになったセット・トリガーの後の引き金を引
いておき、吸いこんだ息をとめた。
孔照門の真中に標的の黒点がとまった。寺田は前部引き金にあてた人差し指を軽く絞った。
〇・二二小口径の発射音は、パカッと小さく乾いていた。反動もほとんどない。
寺田は大きく息を吐きだし、銃をおろして標的を見つめていた。十点センターに確実に命中したと思った。
145 :
私は誰でしょう?(2):2006/11/11(土) 16:04:07
夜──広大な面積を誇るグラント・ハイツは、靄の底に静かに眠っているようであった。
ガス燈を模した常夜灯の淡い光が、夜露に濡れたグリーンの芝生と、碁盤の目のように通った道の
はたに駐車した無数の外車をおぼろに浮かべ、カーテンから光の漏れる画一的な官舎のいくつかは、
柔らかな深夜放送を流していた。
ガードがカービン銃を持って歩哨に立っているバンクの建物の赤い標識から一〇〇メーターほど離
れた二件長屋の官舎の一つは、固くカーテンを閉じていた。ドアに打ちつけられた表札は、英語で米
空軍憲兵大尉ジョー・イーガンと読めた。
玄関を入ったところが、畳数にして十五畳ほどの居間兼応接間であった。部屋の右側には、ダイニ
ング・キッチンがついていた。
部屋でまず目を見張らすのは、正面左側におかれたガラス張りの超大型の銃器キャビネットであった。
小銃は六丁あった。ウェザビイの〇・三七五マグナム、ワルサーとウィンチェスターの口径三〇─〇六、
サコ=モーゼルの三〇〇マグナム、マインリッヘル六・五×六八といったボルト・アクションが多かった
が、新しく出た〇・三〇八口径のウィンチェスターM一〇〇の自動装填式も見受けられた。いずれも
コンディションは絶好で、ライフル愛銃家の垂涎をたれさすのに不足はなかった。
散弾銃は六丁であった。米人らしく、パーディとかチャーチルなどの高級銃は見当たらなかったが、
ブレダ、フランキ、FNブローニングなどの自動装填式のほかに、日本では高値を呼んでいるベレッタ
やメルケルやウィンチェスターM二十一の最高グレードの二連があった。
部屋の飾りも、銃や刀剣や獲物に関係のあるもので統一されていた。弾倉を断ち切られ、撃針を抜
いた重機関銃までが部屋の隅に置かれていた。拳銃を入れた金属製のボックスが、ハイ・ファイのセット
のそばにあった。
レコードは、ベラフォンテがサビのきいた哀愁のある声を聞かせていた。そして──部屋の左側の
背の高いソファでは二つの人影がからみあっていた。
長い
>>144-145 情報量が多すぎて個人的には苦手な世界。
漫画化してイラストで説明して欲しいと思うw
148 :
私は誰でしょう?(3ー1):2006/11/11(土) 18:43:50
竹田雅也が、母と一緒に住んでいる代々木初台のマンションで大学受験のテキストと取りくんでい
るとき、玄関のブザーが鳴った。
午後十一時過ぎであった。
奥の部屋から、母の信子が玄関に出るのが聞えた。三十六になった信子は、バーのマダムという商
売がら、本当の年よりもずっと若く見える。ぜい肉もつかず、細っそりとしていた。今夜は日曜なの
で、店は休みなのだ。
玄関のほうから、信子の甘えた声と、倉持の酔っぱらっただみ声が聞こえる。
雅也は、濃く長い睫にふちどられた涼し気な瞳に、苦笑いを浮かべてテキストを閉じた。倉持は母
のパトロンだ。このマンションや新宿のバーを母に買ってくれたのも倉持で、建て売り建築で儲けて
いるらしい。
雅也の部屋は四畳半であった。ベッドの上の棚にはモデル・ガンやモデル・カーが並び、壁には拳
法の稽古着や防具、それにレーシング・スーツやヘルメットなどがぶらさがっている。
机は二つあった。一つは、いま雅也が向かっている勉強机、もう一つは大きな工作机だ。万力やガ
ス・バーナーなどが固定された工作机の上には、自動車の部品が転がっている。その奥の壁の棚は工
具で一杯であった。
地響きをたてるような足音がして、雅也の部屋のドアがノックされた。
「鍵はかけてませんよ」
雅也は回転椅子に座ったまま、ドアの方へ体を振り向けた。十七歳の雅也は、細っそりしているよ
うに見えるが体重は七〇キロある。身長も一メーター七五あった。
ドアが開き、酔いに赤黒く顔を染めた倉持がはいってきた。ずんぐりと太った五十近い男だ。金歯
を光らせて笑い、
「やあ、勉強中を邪魔して済まんな。しかし、あんまり根をつめては体に悪い。気ばらしをしてきなよ」
と、五千円札を差し出す。
「どうも……」
雅也はその金を受け取った。もう俺は子供ではない。俺を追いだしたあと、倉持が母とどんなこと
をするかぐらいは分っているが、苦しい生活から抜けださしてくれたのは倉持だから、さからうわけ
にはいかなかった。
149 :
私は誰でしょう?(3ー2):2006/11/11(土) 18:44:31
機械油がしみたジャンパーとジーパンを、薄いグリーンのスポーツ・シャツと、こげ茶色のスラックス
に着がえる。ズボンと同色の背広を羽織り、玄関から出ていこうとすると、母の寝室のなかから、凄
まじい接吻の音が聞こえた。
雅也は肩をすくめ、廊下に出た。三階だ。自動エレヴェーターでマンションのロビーに降りる。マ
ンションの前庭が駐車場になっていた。雅也のグリーンのホンダN三六〇の軽四輪も、外車や国産二
リッター車のなかで小さくうずくまっている。
硬いスプリングに取り替えて車高を低くさげ、エンジンもチューン・アップしている。カム・シャフト
やスプリングなどの部品はスピード・ショップで買ってきたものだが、あとはほとんど雅也が自分の
力で改造したのだ。
個人でエンジンをチューン・アップする場合には、ホンダのように四サイクルでなく、スバルやス
ズキなどのような二サイクルのほうがやりやすい。
二サイクルの場合は、ピストン・ヴァルヴだとポート位置を高くし、ロータリー・ヴァルヴだと、
ロータリー・ディスクの切り欠きをひろげることによって高回転型のエンジンになる。
むろん、吸排気ポートを研究してひろげたり、クランクシャフトの穴を埋めて一次圧縮比を高めた
り、シリンダー・ヘッドを削って燃焼室の二次圧縮比を高めたりするが、二サイクルのパワー・アップ
の鍵は排気膨張管──エクスパンション・チェンバー──にある、と言われるように排気の脈動(パルス)
で吸気をみちびき入れるのがコツだ。すべて、簡単な工具で自製できる。
150 :
私は誰でしょう?(3ー3):2006/11/11(土) 18:57:20
それに反し、四サイクルの場合は、高速型のカム・シャフトにしろ、強化ヴァルヴ一個にしろ、自
製するわけにはいかない。しかし、四サイクルをチューン・アップしたときの利点は、低速トルクが
二サイクルほど犠牲にならないことだ。つまり、たえずアクセルをふかし続けている必要がない。
チューン・アップしたホンダN三六〇に乗り込んだ雅也は、エンジンをかけた。ダッシュ・ボード
にはめこんだ一万五千回転まで計れるエンジン回転計(タコメーター)の針が、エンジンに生命が吹
き込まれるとともに、急激にはね上がる。そのタコメーターはホンダの二輪レーシング・マシーン用
のものであった。
雅也は、三千回転でエンジンをアイドリングさせた。冷えているチューン・アップ・エンジンは、
回転がムラで定まらない。
雅也は、二気筒シングルオーヴァーヘッドカム三五四ccの三十一馬力八千五百回転のオリジナル・
エンジンを、排気量を軽四輪の制限一杯の三五九・五ccにふやし、圧縮比を十・五対一に上げて一
万四千回転で実に六十馬力を絞りだすようにしているのだ。キャブは、S八〇〇レーシング用のCR
キャブ二個をつけている。
空冷エンジンはすぐに暖まった。ギアをローに押し込み、一万回転でクラッチをつなぐと、前輪の
ブリッジストン・ラディアルのタイアが一瞬空転し、N三六〇はカタパルトで打ちだされたように飛
びだした。
>>137 なぁるほどね、林ならやりかねない。あれはバカだからwww
152 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/11(土) 20:20:14
>>139 うん、お前が一番馬鹿だ。あんな糞作家の文章を意味ありげに載せてさ。
>>144-145 >>148-150 どちらも大藪春彦の作品だ。
大藪の作品のマニアックな描写については、読者がマニアックかどうかを
無視して、延々と書き続けるのが大藪流なわけだが、正直感心した作法ではない。
もっとも、よく売れていた大藪春彦だから、何をしても許されたのだろうな。
今やったら、間違いなく削られるだろう。
155 :
答え:2006/11/11(土) 21:01:53
134、136、140は石川達三のブラジル移民を描いた三部作です。
一九三〇年(昭和五年)、秋田県からブラジルへ移民した人々を
ノンフィクション風に描いた群像劇。
>>134 第一回芥川賞を受賞した第一部『蒼氓』
「神戸の国立移民収容所に全国から集まってきたブラジル行きの移民たちの、
船に乗るまでの八日間の生態が描かれている」
(出典:山本健吉による新潮文庫の解説より)
>>136 第二部『南海航路』
ブラジル行きの「船内における四十五日間の出来事を描いた」(出典:同上)
>>140 第三部『声無き民』
「ブラジルへ着いてから入植するまでの数日間を描いた」(出典:同上)
昭和二十六年に発行された新潮文庫の解説によると、
第一回芥川賞の候補としては、石川達三の他に、
高見順、太宰治、外村繁などの名前も挙がっていたそうです。
菊池寛のコメントとしては、
「芥川賞の石川君は先ず無難だと思っている。この頃の新進作家の題材が、
結局自分自身の生活から得たような千篇一律のものであるに反し、
一団の無智な移住民を描いてしかもそこに時代の影響を見せ、
手法も堅実で、相当に力作であると思う」(出典:同上)
とのことです。
157 :
出題:2006/11/11(土) 22:01:37
芥川賞受賞作品です。
大阪新夕刊の編集局長に就任すると、津上はまず大胆に横型新聞の新しい型を採用し、
読者の対象ははっきりと都会のインテリ・サラリーマンにおき、文化性と娯楽性を看板にして、
記事の書き方にも、取材にも、整理にも、諷刺と諧謔と機智を前面に押し立てた。
津上の目指したこうした親夕刊紙の行き方は一応当ったと言える。
新夕刊は毛色の変った夕刊紙として、京阪神のサラリーマンや学生たちに迎えられ、
街の立売でも真先に姿を消した。
戦時中の野暮ったい新聞を読みなれた人々の眼には、確かに新鮮な魅力であった。
終戦後復帰した京都の大学の若い法学部の教授が、
これはインテリやくざの新聞だと、大学新聞の寸評欄で評したことがあったが、
その評言もまたある程度当っているかも知れなかった。
確かに、感受性の強い詩人なら、都会の若い知識人に迎えられるこの夕刊紙に
どことなく投げやりな、虚ろな、孤独の影を指摘できた筈である、
それはまたそのままその新聞の編集責任者津上のひそかに匿し持っている性格でもあった。
その津上の性格を一番よく見抜いているのは、
戦時中から三年越しに同棲したり別れたりして、
今日まで別れる別れると言いながら、結局はどうにもならぬ関係を続けているさき子だった。
「だれもあなたの、こんなずるい、自堕落な、やくざの面を知らないのね。
わたしだけ、わたしひとり」
機嫌のいい時、さき子はよくこんな事を言った。
158 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/11(土) 22:21:38
>>157 >芥川賞受賞作品です。
しらねぇーよ、バカ。
独りでやってろ。
159 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/11(土) 22:44:08
>>158 おい。いい気になるなよ。
スレタイを無視しているのはてめえのほうだ。
匿名だからつうって羽目外していると嵌め殺しにすんぞ。
160 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/11(土) 23:31:51
握力55もありまーす
161 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/11(土) 23:36:05
仕様がねぇスレだねぇ、まったく。
いいんだよ
163 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/12(日) 06:24:32
>>144-150 バイオレンスの巨匠・大藪春彦『青春は屍を超えて』(角川文庫)より
(1)「暗い春」(2)「拳銃のわかれ」(3)「自爆」
『試験に追われ、古ぼけたレコードのくり返しのような先公の講義を聞かされる学校生活。社会に出
ても、初めから富める者、貧しい者の差が歴然としており、面白味のない決りきった人生。──だが、
俺の人生だけは、これで終らせてなるものか。身体を鍛え、いつしか命を賭けて、俺の全エネルギー
を社会にぶつけてみせる……!
若者たちは、あたかも暗闇で獲物を狙う豹のように、そのチャンス到来に目を光らせていた。そして今……!
出口のない青春の中で暴発する、若者の美学と、ニヒリズムのエネルギーを描き上げた傑作集。』
それと、人間サイズのハチに小鳥サイズの脳味噌しか入ってない
>>154は可哀相。
こんな奴をちり紙交換に出してもポケットティッシュ三つ分。高橋は二つ分。
>>163 理由を言わずに人を非難するお前の方は、頭蓋骨の中に梅干しのタネが一つ転がっているだけだ。
自分の頭を振って見ろ、カラコロと梅干しのタネが転がる音がするからwwwwwwwwww
165 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/12(日) 10:17:19
>>163 大藪が資料を丸写ししたようなものを、プロの文章として晒すなよ。
>>149などは、息子が物体の世界に入りこんでいく時間と
母親と男が愛欲の世界にのめりこんでいく時間とが
表裏一体、渾然一体となっていると、俺は感じる。
>>148 >雅也はその金を受け取った。もう俺は子供ではない。
>俺を追いだしたあと、倉持が母とどんなことをするかぐらいは分っているが、
>苦しい生活から抜けださしてくれたのは倉持だから、
>さからうわけにはいかなかった。
ここの部分は、コピペ間違いなのか?と思うんだけど、
もしかして、もしかしたらの自由間接話法なのか?内的独白なのか?
いずれにしても、無邪気な幼稚園児のように、
「ママと仲の良いおじちゃんがおこずかいくれて
外で遊んできていいって言ってくれたよ〜♪ うわあ〜い♪」などという心境ではないのは明らか。
十七歳という多感な年頃、母親と男が寝室で何をしているか分かっている。
その行為の最中には息子である自分が母親にとって邪魔であることも。
「玄関から出ていこうとすると、母の寝室のなかから、凄まじい接吻の音が聞こえた。」
は、若者にとって、けして心地よく感じられるものではないだろう。
ちゅばちゅばという音に「じゃまだから早くお行きよシッシッ」と
追い立てられているような気分じゃないのか。
そして、若者は気をまぎらわそうと、メカの世界に深く没頭するのだ。
この作品の全体はどういう話か知らないが、
とりあえず、上のコピペを読んだ限りで、俺はそう解釈した。
167 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/12(日) 14:48:10
自由間接話法に決まってるだろ
168 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/12(日) 14:52:06
世の中、両親だけじゃなくて、パトロンという存在も、恩を笠に着る人種だもんな
立場上さからえない
169 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/13(月) 12:33:45
>>166 >
>>148 >>雅也はその金を受け取った。もう俺は子供ではない。
>>俺を追いだしたあと、倉持が母とどんなことをするかぐらいは分っているが、
>>苦しい生活から抜けださしてくれたのは倉持だから、
>>さからうわけにはいかなかった。
>
>ここの部分は、コピペ間違いなのか?と思うんだけど、
いや、原文通りだ。
170 :
166:2006/11/13(月) 13:36:08
はいよ。そうか、原文通りか……。
いや、自由間接話法だと、文体がもっと台詞っぽくならないかなと思ってね。
もう俺は子供ではない。
俺を追いだしたあと、倉持が母さんと何をするかぐらい分かってる。
でも、俺と母さんが苦しい生活から抜け出せたのは倉持のお陰なんだから、
逆らうわけにはいかない。
それかあれかな、推理小説(なのかね?)で、雅也が犯人だったとして
逮捕された後で刑事に向って過去を語っている、という設定なのかな。
>164
ちょっとちょっとそこの奥さん!!梅干しの種をバカにしちゃあいけねえよ!
172 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/13(月) 14:14:57
>>170 >はいよ。そうか、原文通りか……。
>いや、自由間接話法だと、文体がもっと台詞っぽくならないかなと思ってね。
おそらく、売れっ子作家には2ちゃんで管を巻くような時間がないんだろう。
推敲に時間がかけられない。
そして、
もう俺は子供ではない。
俺を追いだしたあと、倉持が母さんと何をするかぐらい分かってる。
でも、俺と母さんが苦しい生活から抜け出せたのは倉持のお陰なんだから、
逆らうわけにはいかない。
なによりもそのテンポの悪さは《大藪春彦》であるわけがない。
キャブをいじったL20型から木炭エンジンに積み替えるようなものだ。
これだから高橋は・・・
173 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/13(月) 20:15:19
まあ、プロの文章スレで、大藪なんかを晒した奴も馬鹿といえば馬鹿だけどな。
174 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/13(月) 20:58:07
「プロ」ときて「芥川賞」と返す奴もバカだろう? タコ助。
じゃあ誰がプロなら許されるのか教えてくれよ、>174
176 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/13(月) 21:41:26
>>175 >じゃあ誰がプロなら許されるのか教えてくれよ、
マン汁臭いこと云うな、タコ助。
林真理子読んで寝ろ。
タコ助ってなんかカワユスw 気に入ったよ〜
『タコ助の平成大冒険』で一本いかがでしょうか?先生
ストーリー:タコ助は広くて深い海の底で生まれ育ちました。
でも、ある時、昼寝の最中に足を一本取られてしまいました。
犯人を追いかけると陸地に逃げていきました。
タコ助の旅が始まります。陸地に上がるとそこは大阪でした。
タコ助はタコ焼き屋さんで働きながら、客から情報を仕入れます。(続く)
うはっオバサンなんだかタコ焼き食べたくなっちゃったわ〜
178 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/13(月) 22:11:47
大藪(笑)
179 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/14(火) 19:12:59
>>175 >じゃあ誰がプロなら許されるのか教えてくれよ
ノブタのやつ。
180 :
177:2006/11/14(火) 19:18:02
取りあえず晩飯代りのタコ焼き上手かったよ♪ ごっつぁんです
181 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/14(火) 21:04:59
しかしなんだな、このスレの存在意義は、文章自体は大したことはなくてもプロとして
評価されることはできるというところにあるね。勇気づけられるよ。
182 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/14(火) 21:21:06
おまいに批評眼がないだけじゃね?
スッゲーやせ我慢w
184 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/14(火) 21:27:23
>>178 >大藪(笑)
でもアンタはすぐに大藪だと直感できた。
その断片を晒しただけで判っちゃうんだ。
これはスゴイ事だと思わないか?
185 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/14(火) 21:28:13
おまいの妄想がすごいんじゃね?
186 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/14(火) 21:30:27
「大藪の前に大藪なく、大藪の後に大藪なし」
孤高のローン・ウルフ、大藪春彦。
ある意味、誰だかわかんねぇ「直木三十五賞」より「大藪春彦賞」のほうが栄誉だぞ。
187 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/14(火) 21:42:44
つうか、直木賞は大勢の日本人が知っているけど、大藪賞を知るものは極めて少ない。
大藪春彦も忘れ去られつつあるし。
188 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/14(火) 21:47:52
>>187 >直木賞は大勢の日本人が知っている
どうして識る事になったのだ?
189 :
↑:2006/11/14(火) 21:55:42
池沼?
190 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/14(火) 21:59:41
>>188 >どうして識る事になったのだ?
関係筋が金をかけてプロモーションに徹底したからだ。
清張、大藪といえば戦後の二大巨星なのに清張は残って大藪は忘れられるというのは寂しい話だね。
バイオレンス系はその後、多くのバリエーションが派生したせいかも知れないな。
平井とか夢枕とか多かれ少なかれ大藪の流れを受け継いでいるんだけど、
SFとかファンタジーというジャンルに分類されて、大藪の亜流と呼ばれることもあまりないし。
そのてんミステリは先にやったもん勝ちな部分があるから清張は残ったのかも知れない。
エポックメーキングな作家というてんでは両者の大きさは同等だと思うよ。
まあ、ミステリにいく前に清張は芥川賞とってるから大作家としての素地は充分あったんだろうが。
平井は大藪の影響を受けているらしいが、作品のカッコヨサは大藪を越えている。
俺は、平井のような作品を書きたいと思っているが、とても無理だろうな。
ウィキペディアの情報なんだけど、
大藪作品の愛読者の一人が三○由○夫だって〜
太く短く叫びたいことを書き尽くして果てたタイプ?
武者小路実篤の対極というか・・・
194 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/14(火) 22:23:49
だから、
俺にチャンスをよこせといっとるんだっ、ブタ一郎!
そのあとでオマエに引導を渡してやる。
俺の体には「クリムゾン・レッド」の血が流れている。
ブタ一郎さん落ち着いて!
>>191 そうじゃない。どれだけ人間を描いたかの違いが大きい。
大藪の作品は、目的達成の「手段」を描くことに重点が置かれ、動機を通じての人間描写が浅い。
だから、大人が読むのに耐えるものではなかったということだろう。
197 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/14(火) 22:42:03
>>194 >ブタ一郎!
テメェ、群像に拾われた日の事を忘れンじゃねぇーゾ、コノ野郎。
なにが「柴崎友香」だ、笑わせんなって。
夜道と背中に気を付けろ。
>>196 いや、当時でそういう人間を描いたということは或る意味冒険だし凄いことだと思いますよ。
199 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/14(火) 22:46:45
>>196 >人間描写が浅い。
>だから、大人が読むのに耐えるものではなかったということだろう。
果たしてそうか?
俺が思うに、(男子の)青春は砕け散るものなんだよ。
だから大藪は時代を超えて若い男子に愛されるんだ。
そうでないなら、それはプロモーションが足りないからだ。
少し前に「宝石」をパラ読みしたら『バカ女』ってタイトルの作品が掲載されていた。
その感覚は俺に通じるものがある、が、、、
光文社さん、貴社にいま何が欠けているか、賢明な判断を期待する。
200 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/14(火) 22:47:28
>>199 >光文社さん、貴社にいま何が欠けているか、賢明な判断を期待する。
最後は泣き言になってて、、ププッ
201 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/14(火) 22:49:37
娘より若い女を騙して審査員してるような奴に否定されることほど屈辱はない。
>娘より若い女を騙して審査員してるような奴に否定されることほど屈辱はない。
いや、審査員のいい加減さなんて大なり小なりそんなものでしょう?
例えば、清張だって審査委員長までやって選考作に目を通さないなんてザラで、
お祝いの挨拶の前に編集や他の選考委員から情報を仕入れて挨拶してたなんて有名な話ですよ。
203 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/14(火) 22:56:07
204 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/14(火) 23:03:18
205 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/14(火) 23:05:17
>>194 >「クリムゾン・レッド」
文庫本の背表紙のカラーだ。
角川文庫で大藪を知った者(世代)に説明は不要だろう。
光文社はそうした細かな点に無頓着すぎる。
206 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/15(水) 12:36:43
207 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/15(水) 22:31:04
>206
俺はたまりかねて夕方の定時後に抜け出し、上等兵の様子を見に行った。
ホテルの部屋の中で、彼はすっかり病人の色をしていた。毎朝毎晩、俺は
上等兵の様子を確認しに寄っていたのだが、いつも彼は
「私は大丈夫です。ゴホッ、ゴフッ・・・、軍曹殿は気にせずに出勤してください」
と言って、俺が病院に連れて行くのを拒んだ。病院へ行く事になれば俺も欠勤
しなければならないと気遣ってくれているのだ。そう、彼は自分の会社ではその
まま欠勤処理されていたのだ。
職場を抜け出して食料と医薬品を調達してホテルに向かうと、上等兵は本当に
虫の息に見えた。バスルームには明らかに吐血したのを隠した跡があった。
「ぐ、軍曹殿。私の事は構わないで下さい。貴方の評価まで傷ついてしまう」
「何を言っているんだ!一緒に群馬に戻ろう」俺はやせ細った上等兵の肩を
抱きしめた。骨と皮じゃないか。
俺の中で何かが切れた。
最近の娯楽小説だとこれぐらいばっさりと簡単にしたほうが良いのだろう
そう、ほんとはかわいい顔しておとなしくしているべきだったのかもしれない。かわいい顔と
言っても、男のおれじゃ限度があるけれど。おれはここポッツ郡の保安官。年二千ドル近い
報酬が得られる上に、余禄の収入もある。おまけに裁判所の建物の階上にただで住居を
提供されていて、申し分ない住み心地だ。バスルームまであって、おかげで町の大方の
住人のように、たらいで体を洗ったり、外の便所まで用を足しに行かずにすむ。おれにとって、
ここはこの世の天国だってことは、わかってもらえるだろう。おれが手に入れたものだ。
そして、そのまま自分のものにしていられそうだった。ポッツ郡の保安官の地位に留まっ
ているぎり、つまり、どうしても関わり合いにならずにはいられなくて、しかも大事になりそうも
ないとき以外は、なんにでも目をつぶって、人を逮捕したりしないでいればだ。
それでも、おれには心配ごとがあった。心配ごとが多すぎて、病気になりそうだ。
たとえば、ポークショップ五、六切れに、目玉焼きを二、三個、グレイヴィーをかけて
粗挽きトウモロコシを添えた温かいビスケット一皿という献立をまえにしても、おれは食えなかった。
全部は食えない。気になっていることについて考えはじめると、まだ食い物が残っているのに
テーブルを離れてしまうのだった。
夜も眠れない。ほとんど一睡もできないと言っていいだろう。今夜はぐっすり眠れそうだぞと
思ってベッドに入っても、だめなんだ。うとうとしはじめるまでに、二十分も三十分もかかる有様。
それでいて、たったの八時間か九時間で目がさめてしまう。すっかり目がさめてしまうんだ。
ぼろぼろに疲れ切っているのに、もう眠りに戻ることができない。
というわけで、その晩も眠れずにベッドの上でいつまでも寝返りをうっていて、いらいらして
どうしようもなくなったと思ってくれ。おれは自分に言った。「ニック、ニック・コーリー。
おまえは心配ごとで頭がおかしくなってるんだ。急いで何か考えるんだ。結論を出せ。
さもないと後悔するぞ、ニック・コーリー」
それで、おれは考えに考えた。とことん考えた。そして、とうとう結論を出した。
おれの結論は、おれにはどうしたらいいか皆目見当がつかない、というものだった。
ほしゅっ
test