839 :
819:2006/09/15(金) 13:51:08
840 :
839:2006/09/15(金) 13:56:22
827だすまん
北国の冬は厳しい。厚く積もった雪、その下に張る氷は堅く、それらを吹雪く風が固め、春を
遅らせる。すべての生き物を拒絶するかのような自然の結界。マタギと呼ばれる狩人たちはそれ
でも、そこから動かずに暮らす。
老いたマタギ、モンメの家は他の家々と等距離に規則正しく並んでいた。方角もぴったり同じだ。
屋根は左右非対称で丁度、への字になっている。これは陽が差したときに少しでも屋根の雪を溶か
すための知恵だった。日が当たるほうが長くなっている。家の中には主のモンメと女達、モンメの
孫がいた。モンメの息子のハリコは狩りに出ていた。おそらく、3日は帰らない。
家の中では囲炉裏を中心に彼らがすわっていた。囲炉裏の周りには小動物の毛皮を張り合わせた
皮がびっしりと敷かれていた。柳の木の汁につけて、なめしたものだ。それが土間からの床木に伝
わる冷気を遮っている。
戸には目張りが張られており冷たい風を入れないようにしてある。また、つっかい棒は人が来る
時にしかはずされることはない。風が戸を簡単に開けてしまうからだ。目張りも戸ががたがた動くと
はがれそうになる。
モンメは孫達に縄の結び方を教えていた。縄や紐の結び方は非常に重要でこれが出来なければマタ
ギにはなれない、ようするにここでは暮らしていけない。
「おめだの父ちゃんもこやって仕事おぼえでったんだ」縄を結んだり解いたりして見せてから縄を
孫達に持たせる。手際のいい子はすぐに真似をして結び目を作って見せた。
モンメの声は小さかったが、あまり大きい声は雪崩を起こす。雪国に住む人間の習性的なもの
といえた。
ひとり、まったく結び目が作れないでいる孫の手からモンメは縄を無言で取り上げると二人羽織
のように後ろから孫に覆いかぶさり、ほれ、といって縄をもたせ動きをつける。
「でぎたあ」
孫は歓声をあげたが、モンメは大きな声を出しちゃいけない、と孫をたしなめた。そうだった、と
ばかりに元気のいい孫は声を潜めた。
842 :
名無し物書き@推敲中?:2006/09/15(金) 13:59:29
そもそもこのスレッドの成立過程ってやつが噴飯物で、韓国の無学なやつらがちょっと日本語を
勉強したつもりで偉そうな御託を垂れ流すスレッドだった。
酷評しますという思い上がったスレタイにバカどもの基本姿勢が現れている。
前よりはマシになったとは思うがバカどもは隙あらばと奪還を夢みているだろう。
バカども、日本の小説に触れるか、せめて韓国のおもろい小説でも紹介しやがれ。
ムエグルはめちゃくちゃおもろかったぞ、最後を除けば。
>>842 グエムル、じゃなかったっけ、漢江だったっけ?
844 :
名無し物書き@推敲中?:2006/09/15(金) 14:20:00
すまん間違えた。
韓国文化にも希望を見ている。お互い刺激しあって切磋琢磨するのはなんか
グローバルでいいと思う。
>>841 このスレの中では一番いいんじゃないかな。
一次通過以上の実力はあると思います。
最終選考で見かけても違和感がないかな。
あとは全体のバランスと好みになりますが、個人的には自然風土と
家の中の描写がもう少しあってよいような感じがします。
がんばって下さい。
846 :
名無し物書き@推敲中?:2006/09/15(金) 14:41:31
>>811 一行でやめたとか言いながら、最後まで読んでるじゃん
>>841 うるるん旅のナレーションみたいだ…。この後から話が展開していくのでしょうか。
848 :
名無し物書き@推敲中?:2006/09/15(金) 14:54:12
>>841 いや、どうだろう。
>厚く積もった雪、その下に張る氷は堅く、それらを吹雪く風が固め、春を
遅らせる。
いきなり指示語ふたつって。しかもこれ、両方削れるでしょ。
意図して書くにしても、せめて一個にしたほうがいいんじゃないかな
850 :
名無し物書き@推敲中?:2006/09/15(金) 14:58:09
劣等批判者の負け惜しみが続く^^
批評の批評によって明確になった劣等批判者の浅さ^^
851 :
名無し物書き@推敲中?:2006/09/15(金) 14:59:14
劣等批評者の言い訳募集中^^
よほど批評の批評で明確になった事実の羅列が悔しかったようだ^^
852 :
812:2006/09/15(金) 18:49:02
>>837 酷評ありがとうございました。参考になりました。
>〜誘惑を振り払うように一気に両足を踏ん張った。
>洗面所に向かって歩く彼の男性器は、
の文章の繋がりは自分でも違和感があったんですけど、うまく修正できませんでした。
初カキコさせていただきます。宜しかったら、読んでみてください。
桜がちらほらと舞っている。
そこに至るまでの一本道には、両端にずらりと桜の樹木が立ち並んでいる。いつからの
ものかは不明だが、ずいぶん年季のある大樹ばかりである。肌にやっと感じるか感じない
かのそよ風にわずかに梢を揺らし、葉と葉を擦らせ、小さな雫を灰色のアスファルトの上
に落としている。
ざわ、と多少強い風が吹けば、まるで何かの呼びかけに一斉に呼応するかのように、枝
葉の揺れるさざめきが一つの合唱になって、人気のない道に反響した。じっと耳を傾けてい
れば、そのまま別の世界にぽっかり吸い込まれてしまいそうな、幻想的な隔離された空間
であった。
ざわめきが収まり、再び静寂が辺りを埋めても、茶色い枝からは多量の花びらが振るい
落ち、降り続けている。花片の色はとても薄く、桃色というより白に見えた。音も立てず、
白い花弁がただ地面に向かって真下に降りゆく光景は、美観というより圧巻に近かった。
四月の水色に澄んだ青空をバックに、白い雪が降りつもっていく様であった。
どうでしょうか。
自分ではあまり自信がなく、人の意見が聞ければ参考になると思います。
まぶたの裏側に場景が浮かんでくるような文章を目指していますが、うまくいきません。
もし宜しければ、批評をお願い致します。
854 :
名無し物書き@推敲中?:2006/09/15(金) 19:21:24
>>839 >>809はダメだ。「はっとするものがあった」とか、まるで緊張感ゼロ。ひとごと。そこで読む気が失せる。一例だが、
「………(電話の会話)………」
違和感。聞くにつれて不安へとそれは変わる。
みたいかな…まだ良くできると思うが。
まだ人の死を扱うほどおめはんは思索が辿り着いてなさそうだ。俺だって人が死ぬ話は
そうそう書いたことが無い。こないだの斑鳩先輩の話くらいだな。
>>824はいいよ。続きがあるならどっかにうpしてから貼ってくれ。続きを読みたい。
もし音楽大学に通ってなくてそこまで書けるのは結構勉強したんじゃないかと思う。
それらしさがよく出ている。音楽大学ってそんな感じなんだろーなー、的な。
昼間は携帯だったからアンカーたどるのがめんどかった。で、今レスした。
>>809と
>>824が同じ作者だってのは結構驚いた。うん。いや、それくらい
>>809は
ダメなんだけどね。
855 :
名無し物書き@推敲中?:2006/09/15(金) 19:32:40
>>853 よくここに「書き出し」を貼る人いるけど、そのー。長文の書き出しだけ読まされても、
あまり意義を感じない。手垢のついた用語だが、5W1Hをなんだかんだ言って読者は
求めている。長文の書き出しだけでは、5Wまではフォローできても肝心の1Hが語りきれない。
読者は登場人物が与えられた状況の中で結局「どうなる」のかを知りたがっている。そこで
初めて自分の人生なり知識なりと比較ができるから。
だから俺はここでは短文しか書かないけどね。もちろん、俺も文章書き始めの頃は最初から
長文に挑んでいた。でも、俺も苦痛になるし読んでくれる友達も苦痛そうだった。そこで、
まぁ、俺の才能がさほどでないことを認めて短文にしぼっている。
美文そのものはそうそう記憶に残るものじゃない。記憶に残るものは主として因果律、因果関係だ。
「こうだから、こうなった」
説得力のあるそれを世界から探し当ててそれを発表してくれ。それが新しい主眼によるものなら、
読み手の記憶に残るだろう。
谷崎純一郎の文章読本を読んでます。
「文章と云ふものは〜…」これはすごくよさそうだ!
紹介ありがとう。
>>853 桜は舞わないだろ。花びらは舞うが。
風はざわっとは吹かないし。枝葉に対する擬音だろ。
音だけじゃ幻想的とはいえないだろ。たいてい視覚からくるものだし。
“花弁が振るい”のあとに“花片”、“白に見えた”のあとにも“白い花弁”って、くどすぎる。
>>841 >北国の冬は厳しい。
この書き出しはよくない。削除すべき。
「厳しいと作者が言う」のではなく「厳しいと読者に思わせる」のが小説。
その意味で、続く「厚く積もった雪、〜」の文章から始めたほうがよい。
が、その「厚く積もった雪」以下の文章も相当にぎこちなく読みづらい。
というのも「静的描写」の連続だから。家の描写も静的でしょ。
「動的描写」のほうが読み手の頭に入りやすいのよ。
例えば、次の書き出し。
>よこしなぎの雪が寺泊の海岸へ降りかかる。海は汚れた灰いろで、…… (水上勉『寺泊』)
雪が降るようすを描いているけど「降りかかる」=「動的」でしょ。
もちろん全てを動的にという話じゃないけどね、そのへんはお分かり頂けると思うが。
>>856 まあ、嬉しいわ。
わざわざありがとう。
>>853 ボキャブラリーがちょっと貧困かな。
>桜が【ちらほら】と舞っている。
>両端に【ずらりと】桜の樹木
絶対に駄目とは言いませんがなるべく使わないほうがいいです。
>ずいぶん年季のある大樹
なぜ年季が入っていると分かるのでしょうか?
幹の感じとか枝ぶりなどを具体的に。
>【茶色い枝】からは【多量の花びら】が
>【振るい落ち】、【降り続けている】
もうちょっと何とかなりませんか?
いっそシンプルに「花びらが降り続けている」のほうが格調高いです。
それと、描写が無駄に長いので半分くらいに削りましょう。
小説は「物語」を書くものですから風景描写が延々と続くのはNGです。
>>740 評ありがとう。
さすがにくどかったか。
>明日、明後日、明々後日になろうが、一週間、一ヶ月、一年たとうが、
あまり変わりはしない
なるほど。すごく参考になった。
863 :
名無し物書き@推敲中?:2006/09/15(金) 20:26:33
>>861 いや、ハンドルの番号が間違いですわ。作品は両方おれ。
午前中に男女平等を扱ったという作品の投下があって少し荒れた。それへのアンチとして書いたのが後者の女が主役のほう。
なんで結構時間練ったほうが叩かれるんだろうな、力を抜けということか。
853です、批評を下さってどうもありがとうございます。
自分ではなかなか気づけなかったことなので非常に勉強になりました。
くどさを無くし、なおかつ過不足なく表現できるように精進したいと思います。
才能は無いかもしれませんが、描いていたら楽しいので地道に描き続けていきたいです。
どうもありがとうございました。
865 :
名無し物書き@推敲中?:2006/09/15(金) 21:19:41
>>863 あー。
イイデスナァおなのこの表面しか知らないお方は、のんびり人生で。
アンチテーゼと知ったとたん評価が落ちたぞwおまいはマリア様を信じてるタイプかにゃ?
>>857さん
>風はざわっとは吹かないし
批評どうもありがとうございます。文を読んでいただいたついでに、
もう一つ伺いたいのですが、よく漫画などでは強く風が吹いた際には
まわりに木々などがなくても「ざーっ」とか「ざあっ」とかの
擬音が使われていますが、小説の場合は不適切な表現なのでしょうか。
つい陳腐な表現ばかりしてしまうので、今後とも気をつけて行きたいです。
867 :
名無し物書き@推敲中?:2006/09/15(金) 23:19:25
さて、山出しカップルは中野にいた。今は無き「クラシック」で誕生日に薔薇を10本贈ったり贈られたり。
ほんとは二十歳の誕生日だったので二十本じゃなきゃならなかったのだが、そうすると1万円必要だった。
それで恨んだり恨まれたりという話もあるのだがそれは本代いや本題では無い。
「精神年齢に合わせた」と男が超余計な一言をつけくわえたおかげでその恨みが骨髄に至ったことすらである。
なぜか?本題は二人がお互い生まれて初めての らぶほてーる に突入するか田舎のいや否かの
どきどきばっくんアニマルな状況下にあったからだ。身体。火照る。
中野のあのなんちゃら言うヲタの新聖地、中野サンジェルマン通り 明らかに違うな 中野ジュヴナイル
これも違う まあ通じただろう あそこの裏手にある「エデン」というラブホをまず女が発見した。
女はノリノリだった。「ねぇ入ろうよう!」男の腕を両手でつかんで引っ張る。
男はたじろいでいた。名前が嫌だったのだ。男は幼少の頃の教会学校の体験やらなんやらかんやらで
鋼の無神論者になっていたからだ。「エデンの園でアダムとイヴになりましょうってか?おぞけが走るわボケ!」
ちなみに新世紀エヴァンゲリオンの放映はこれより5年後である。
しかしチキンハートな男はそういうことをはっきりと女に叩き付けれるガッツの持ち主ではまだなかった。
なんとなく苦々しい顔をしてみせて、空気嫁作戦に出た。まぁ、男が乗り気じゃないなら女もあんまり
エロスな顔をし続けることはできない。なにしろ男は未だ減益いや現役バリバリ入学一年目の東大生様である。
前途があるのである。90年である。バブルである。学歴社会は未だ健在だったのである。逃してなるか、
金の玉。じゃない、玉の輿。いや、金の玉でも合ってるかな。すまん、どうでもいいか。
868 :
名無し物書き@推敲中?:2006/09/15(金) 23:31:58
さて、C調で書いてきたがここからが根が深い。
二人はなんとなく場をつなぐために公園に辿り着いた。あのあたりに猫の額ほどの公園がある筈だ。ほんとに
ちっちゃい、俺が今までに見てきた数ある公園の中でも一二を争うちっちゃなちっちゃな公園である。
そこのベンチに二人は腰掛けた。
どういう話の流れだったか?まぁ男と女の話だったと思う。恋する二人には男と女についての抽象論が、
そしてそれについての議論が、論戦が必要なのだ。なまじ高学歴なだけに二人とも超耳年増。ヤリヤリ
実践派のJKだの円光親父が聞いたら吹出すようなやりとりだったろう。理屈よりヤったら?みたいに。
まあでも、藤村操の例もあるように、インテリはまず理屈で故意をいや恋をする。それは仕方の無いことだ。
ちんこが勃ったら即座にまんこを探すような人間はインテリにはなれない、残念ながら。
で、女が微笑みながら可愛らしい顔で言った。
「ねぇ、不倫ってダメかなぁ?」
”打ちました!王選手、ホームラン世界新記録達成!!”
男はその時の意識の空白を、後々1978年の王貞治ホームラン世界記録達成のラジオ放送に例えて反芻している。
男は9歳のとき、ナショナルのモノラルラジカセで夕食時に家族とその放送をちょうど聴いていた。
>>867 すげーおもしろいしうまい。40代特有のギャグのくだらなさに鳥肌が立つがそれは些細な問題。
A
870 :
名無し物書き@推敲中?:2006/09/15(金) 23:45:50
女は半同棲当時、「誘惑」という極めて爛れた紺野美沙子と古谷一行じゃなかった林隆三と篠ひろ子と吉田栄作の
出てるドラマにおおはまりだった。男は極めてそれを苦々しく思っていた。そして、「予備校ブギ」を喜んで観ていた。
女は吉田栄作の大ファンであり、男は渡辺満里奈の大ファンだったのである。
想像するに、女は「金曜日の妻たちへ」も喜んで観ていたのだろう。
おまけに、女は岩手県のR市のゲフゲフの娘と友達だった。そう、そういうセレブ志向が男の錬金術じゃなくて
無神論よりも頑とした鋼として彼女には存在したのである。女は、繁栄を強く望んでいた。
そして、繁栄には、極私的な繁栄には、そーゆー「不倫もおけーい」な柔軟性が必要なのネ、と
結論付けていた節がある…、ま、知らんけど。
別の女友達が一万円札の男の大学でしっぽり教授と不倫している話も教えてくれた。
ただ、その教授だったか助教授だったか助手も、俺と…いやいや男と同じで勃たなかったらしい。
女は現実を知っていた。男は現実を知らなかった。
そして、二人は言葉を交し合うことにより、お互いの世界を知り。
隘路に陥るのである。
871 :
名無し物書き@推敲中?:2006/09/15(金) 23:57:11
女はぽろぽろと涙を流しながら言った。
「一夫多妻制がいいんでしょ?」
男は二十歳である。まー馬鹿である。本心と建前がごっちゃになっていて、
「んなはずねーじゃんw」とか笑って誤魔化せると思っていた。だから笑った。
しかし女は泣くのをやめない。男はだんだん真顔になってくる。馬鹿である。馬鹿なのかな?
それは未だにわからない。
覚えているのは、
「一生お前だけだよ。だから笑って。」
と悪魔も震え上がるような言葉で女を泣き止ませたことだ。
傍らを男子高校生の集団が通っていた。俺はいや男は、ここでこんなやりとりをしていて
袋叩きにはあわないんだろうかとノミの晋三を縮み上がらせていつつもいた。
だって東京の男子高校生ですよ?90年ですよ?そして飛鳥山公園だった。ええ、場所も日時も
違うんです。飛鳥山公園にまだSLはありますか。
男は、その北区で泣いた女と中野で微笑んだ女が同一人物であることが、どうしても一致しなかった。
だから、女に「身体を使う」女になってほしくないと強く願うようになった。それが、男の、なんかよくわからん
心の変化だった。今はそう思う。
>>866 漫画は画と文字で補足しあえるけど、小説って文字だけだよね。
どちらとも取れるような誤解を招くような表現は、なるべくしないほうがいい。
せりふ等に取り入れるくらいなら、いいとは思うが。
それに、参考にするなら小説だろ。小説書いているんだし。
873 :
名無し物書き@推敲中?:2006/09/16(土) 00:18:14
私たちは毒を見ていた。灼熱の嗚咽の活火山のような顔の縁取りを。
私たちは四谷にいた。滑走する飛行機が真夏の水鉄砲を装備しながら大量の汗をかいていた。
どうしても水鉄砲がほしかったの、とよしこさんは私たちへ訴えて腰の骨を折ってしまった。
874 :
名無し物書き@推敲中?:2006/09/16(土) 00:26:35
路面に触れる靴底からでも夏は感じられた。
周囲ではセミのけたたましい鳴き声が響き、幾重にもなるそれは、まるで重奏だっ
た。見渡すと、遠くの方では山々が連なっている。けれど、身近の木々は点々として
いて、屋根すらも無いこの場所に影など無かった。無理も無い、向日葵畑があるのだ。
向日葵の町、と銘打ったからには予断は許されないのだろう。日差しを存分に浴びた
向日葵は、すくすくと育っている。このままあと二週間ほど経てば、閑散としたこの
町も、観光客がやってきて少しは賑わうだろう。まあ、この僻地にやってくる観光客
の数なんて高が知れているが。
陽射しのせいで、だんだんと何かを考えることも億劫になり、加奈はバス停のベン
チで腰掛けながら、ぼうっとしていた。時折吹く風が涼しく、向日葵がさわさわと揺
れ、視覚的にも妙に心地よく思えた。
ちらりと腕時計に目を走らせる。
ちっとも進んでいないと思っていた針は、いつのまにかバスが来るはずの時間にな
っていた。
加奈は不思議に思い、道路の先を覗き込む。蜃気楼で浮き上がった景色が広がるば
かりで、肝心のバスはそこに無かった。
「こんにちは」
あまりにも突然だったので、加奈はギョッとして背筋を伸ばした。
慌てて振り返ると、加奈と同じくベンチに腰掛けた若い女性が微笑んでいた。
なんとなくホッとして、こんにちは、と返す。
「バス、来てないんだ。時間ぴったりに着きそうだったから、やった、って思ったの
に」
小さな町、少ない人口。それゆえに、町で知らない人はまったくと言っていいほど
いない。町で一つの家族なのだ。たとえ知らない人でも、親しげに話しかけるのはだ
からこそだった。
「ほんと。あたしなんて三十分前から待ってたのに」
「三十分も前から? 大丈夫? ……ほら、これでも飲んで。脱水症状になるよ?
そうだ。折り畳み傘も持ってるから日傘にしようか」
女性は、水筒を取り出してフタに注ぐと、それを加奈に渡した。
「ありがとう」
加奈はこの町で生まれた良かった、とあらためて思った。
終わりです、お願いします。
バスの中で目を覚ましたとき、まず最初に窓の外の異様なまでの白さに
気が付いた。まだ僕は不完全な覚醒の内を漂っているんだろうと考えた。
けれど、確かに乗っていたはずの他の乗客たちの気配さえ、あたりのどこにも
感じられないのはさすがにおかしい。車内の前方に目を向けると、運転手の姿さえもない。
僕は呆然とした思いのまま、無意識のうちに後ろをふりかえった。一番後方の座席に
見知った顔があった。そのこと以上に、後方の窓の向こうに見えた、長方形の青さに
注意が向かった。バスの前方に座っていた僕は、やっとこのバスの状態を把握した。
後方窓から空の一部が見えるということは、このバスは車体の大部分を雪に埋もれさせている
ということだ。このバスは確かに雪の降りしきる中を走っていたのだ。
けれど、一体ここはどこなんだう?
878 :
名無し物書き@推敲中?:2006/09/16(土) 02:12:14
>>875 >けれど、身近の木々は点々として
>まあ、この僻地にやってくる観光客
「けれど」とか、「まあ」とか余分。意図的に使う場合もあるけれど、この程度の背景の描写には必要ない。
この場合「けれど」必要ないよね。なにを打ち消しているの?
それに、「けれど」って話し言葉だから、せりふに使う以外は「けれども」を使うべき。
考えていてもきりがないと思った僕は、とにかくバスの後方にふらふらと
歩いて行った。幸い窓のひとつを開ければ出られそうだと思った僕は、ほっとして、
後部座席に座っているクラスメイトを見た。
少し近付いて、目を閉じている北蔵さゆりの表情を見たとき、死んでるんじゃないかと思った。
まるで生気が感じられなかったし、その肌は窓の外でバスを覆っている大量の雪と同化しようと
しているかのように真っ白だった。
わずかに声をあげた彼女に驚いて、僕はもう少し彼女の身体に近付いた。
僕はためらいがちに彼女の肩に触れると少しだけ、揺すってみた。
制服越しにも彼女の皮膚の冷たさが伝わってくる。彼女は半分死んでるんじゃないだろうか。
生きている半分の彼女に伝わるように、僕はもう少し強く彼女を揺すった。
小さな声を漏らすと、北蔵さゆりは眠りの深みから浮かび上がるように、徐々に目を開いた。
しばらく彼女はぼんやりとした視界を調整するように僕をみていたが、ゆっくり首を動かして
自分の肩に添えられている僕の手を見た。
僕は気がつくとはっと手を離した。
僕は教室で彼女と一度も話をしたことがない。
事情は何であれ、単なるクラスメイトでしかない僕に揺すり起こされるいわれ
などありはしないのだ。
「つ・・・」
北蔵さゆりはこめかみあたりをおさえると、頭を前方に傾けた。
大丈夫?と僕が声をかける前に彼女は言った。
「ここ・・どこ?」
僕は一度窓のほうを見ると、わからないと正直に答えた。
「わからないって・・・これは事故か何かなの?」
それもわからなかった。目が覚めてみてわかったことといえば
市バスの車体のほとんどが、雪に埋もれていることと、車内には僕と
北蔵さゆりしか乗っていなかったということだけだ。
また変な異世界に迷い込む話を書こうとしている俺。良かったら
誰か批評くださいな。
882 :
名無し物書き@推敲中?:2006/09/16(土) 03:37:47
>>873 うまい。酷評も褒めちぎりもできないがね。
>>875 > 路面に触れる靴底からでも夏は感じられた。
一体何を感じているのだ?
> 周囲ではセミのけたたましい鳴き声が響き、幾重にもなるそれは、まるで重奏だっ
た。
同じ種類の楽器が同じように演奏されてても重奏とは言わない。
だから、この条件で「重奏」の比喩は正しくない。そもそも、安易に比喩を使わない
こと。
>見渡すと、遠くの方では山々が連なっている。けれど、身近の木々は点々として
いて、屋根すらも無いこの場所に影など無かった。
「けれど」は前の文も反対とし後の文をつなげる。
「身近の木々は点々として」は「遠くの方では山々が連なっている」の反対になって
ない。(小学生レベルの間違いはちゃんと潰すように)
また、「屋根すらも無いこの場所に影など無かった」ここも前の文との関連性がなく、どういう意図でくっついているのがわけわからん。(それにこの場合「陰」だろ)
>無理も無い、向日葵畑があるのだ。
同じく、どういう意味で「無理も無い」のだ?
向日葵畑があるからといって、涼む陰が無いってアクロバティックな理屈を展開され
ても困る。
全体的に上記のような指摘箇所が多すぎる。
感覚だけで書いている印象が強く、論理的な整合性が取れてない。特に文と文と繋ぐ
とき(接続詞だけじゃなく)に間違いが多すぎ。
>>875 書き出しの8行のしんどさに比べて、それ以降はまともな文章になっている。
冒頭はすべて削除して、「陽射しのせいで」からはじめたほうがいい。
>ちっとも進んでいないと思っていた針は、いつのまにかバスが来るはずの時間にな
>っていた。
これなんか上手いよ。
ただし「ちらりと腕時計に目を走らせる」の「ちらりと」は余計。削除すべき。
「ちらりと」とか「ふと」とか「思わず」とか、つい書きがちな言葉なんだけど、9
割がたは削除したほうが文章が引き締まる。
文章ではなく中身についてだけれど、田舎のバスは時刻どおりに来ることのほうがま
れだろう。地元の人が「バス、来てないんだ」云々はちとどうか。
>町で一つの家族なのだ。たとえ知らない人でも、親しげに話しかけるのはだ
>からこそだった。
これも違和感あり。小さな町であればこそ、余所者・見知らぬ者には警戒感を抱く。
うさんくさそうに見たり、探るように話しかけたりはするが、いきなり「親しげに」は
話しかけないものだよ。
885 :
1/2:2006/09/16(土) 10:25:58
>>877 無駄な言葉が多すぎる。もっと文章を刈り込まなければ駄目だよ。
>バスの中で目を覚ましたとき、まず最初に窓の外の異様なまでの白さに
>気が付いた。まだ僕は不完全な覚醒の内を漂っているんだろうと考えた。
>けれど、確かに乗っていたはずの他の乗客たちの気配さえ、あたりのどこにも
>感じられないのはさすがにおかしい。車内の前方に目を向けると、運転手の姿さえもない。
>僕は呆然とした思いのまま、無意識のうちに後ろをふりかえった。
これをリライトではなく、削除だけしてみる。
バスの中で目を覚ましたとき、窓の外の異様なまでの白さに
気が付いた。まだ僕は不完全な覚醒の内を漂っているんだろうと考えた。
けれど、他の乗客たちの気配さえ、あたりのどこにも感じられないのは
さすがにおかしい。運転手の姿さえもない。
僕は呆然とした思いのまま、後ろをふりかえった。
886 :
2/2:2006/09/16(土) 10:26:37
>>877 もう一箇所。
>しばらく彼女はぼんやりとした視界を調整するように僕をみていたが、ゆっくり首を動かして
>自分の肩に添えられている僕の手を見た。
>僕は気がつくとはっと手を離した。
>僕は教室で彼女と一度も話をしたことがない。
これは1行だけいじってみる。
しばらく彼女はぼんやりとした視界を調整するように僕をみていたが、ゆっくり首を動かして
自分の肩に添えられている僕の手を見た。
僕は手を離した。
僕は教室で彼女と一度も話をしたことがない。
どう?
「僕は気がつくとはっと手を離した」と
「僕は手を離した」を比べて。
言葉を刈り込んだほうが効果を上げていると思うが。
887 :
名無し物書き@推敲中?:2006/09/16(土) 10:59:44
劣等批判者の負け惜しみが続く^^
批評の批評によって明確になった劣等批判者の浅さ^^
888 :
名無し物書き@推敲中?:
劣等批評者の言い訳募集中^^
よほど批評の批評で明確になった事実の羅列が悔しかったようだ^^