368 :
名無し物書き@推敲中?:2009/03/16(月) 05:14:45
リライ
「アサヒより、キリンのほうが美味いんだ」。
大学に入って、最初の宴会で隣の男に言われた一言だが、今でも鮮やかに思い出せる。
その時の僕は愛想笑いを浮かべ、さもその気持ちが分かるような振りをして、思い切りよく口にビールを運んだ。
直ぐに口中に苦味が広がった。
僕は下戸である。
だからアサヒだろうと、キリンだろうと、どっちでもいい、酒そのものを美味いと思ったことが無いのだから。
しかし大学生活を続けていく上で、酒は友達を作る重要な、云わば科目のようなものだ。
だが僕の場合は、絶望的にその科目は取れそうにない。
その日も、一口飲んだだけで顔中が熱くなり、強烈な頭痛が襲い、視界はぐるぐると回りだした、が、何とか倒れるのだけは、耐えることが出来た。
もはや体質的な問題であり根性等でどうにかなるものでは無かった。
その証拠として、親類には危うく命を落としかけた人もいた。
父の弟、つまり僕の叔父に当たるヒロシおじちゃんは、やはり大学生の時に、飲み会で一気をやらされた(新入生恒例のアレ)その直後に、みるみる顔色が真っ青に変わっていき、口から泡を吹いて倒れた、直ちに病院に運ばれが、そのまま二晩生死をさ迷った。
その時、祖母(つまり叔父の母)は、もしかしたら助からないかもしれないと、仏壇から位牌を持ってきて、病室の枕元で何度も「ヒロシをどうか連れ戻してください」と位牌に向かって頼んでいたそうだ。
当然、叔父はそれ以来、酒を飲むことはなくなった。
「ハァーアンッ リライ(ト)ッテナニソレ? オンナノコ キモチ
ウッフン〜ギャグシ〜〜 マグナム〜〜〜〜〜□?(;;)〜〜〜
タベレル? オイシイ? スッポンポン〜!!○×▼Ω!!」
……僕の指は虚しく麒麟の汗を拭う。
僕は酔えない。というか、飲めない。一滴も。一族郎党、
両親共の下戸。アルコールに対する遺伝的免疫が0(ゼロ)なのだ。
これは大学生的には甚だ面白くない。
今、人数合せに駆り出されたコンパでカラオケに来ているのだけど、
好きでもない女の子のキンキン声など素面で耐えられるもんじゃない。
僕は盛り上がってる部屋をそっと抜け出し、廊下で落ち着く。
父の歳の離れた弟、ヒロシ叔父さんは匂いだけでも顔が真っ赤になる。
歳が近く気安い、今は某IT関連企業でサラリーマンをやってる叔父さんに、
お酒飲めなくて大学時代にお酒が飲めなくて困らなかったかどうか聞いてみた
ことがある。
新入生歓迎会の一気で、泡を吹いて悶絶。生死の境を彷徨ったそうだ。
そのとき、介護してくれたのが今の奥さん、トキエ叔母さんだそうで、
のろけまくられた。その、のろけの最中、一時、表情を引き締めて、
ヒロシ叔父さんが言うには、
「酒は飲めなくても構わん。下戸なら周りにはっきり断って飲むな。
意識が他より明瞭な分、空気を機敏に読み取れ。話術で周りを楽しませるんだ。
飲めないこと自体、ネタの一つにでも出来れば、まあ、一人前だ」
……………僕は人と喋ること自体あまり得意じゃない。特にお酒席だと、
気持が萎縮してしまって巧くしゃべれない……………特に女性相手だと。
会話文だけできたのですが、その他のリライトお願いします。
「結局のところ“自発対称性の破れ”ってのはなんなんスかねぇ」
「解説しましょうか?」
「お願いしまス」
「例えば、常温の部屋に氷を放置すれば解けて水になってしまうでしょう。それと同じで、
超新星爆発で生まれた宇宙の素になった物質も、空間に存在するうちに平衡状態を保てな
くなってしまうんです。本来対称性を保っている物質はまだ未発見の物質とぶつかり対消
滅して無に帰るわけなんですが、それが出来ずに何割かの物質が残る。自然に平衡が崩れ
るというその現象を自発対称性の破れと言うんです」
「へーそうなんスか」
「……本当に聞いてました?」
「はい。今ので小林益川理論の解説を聞いても理解出来なそうって事がわかったっス」
「そうですか。僕にとっちゃ化学より物理より生物の方がよっぽどややこしく感じますけ
どね。酵素とかわけ分かんなくなりません?」
「えーでも面白いんスよ?分子標的薬剤による癌治療とか聞くとゾクゾクしません?」
「僕は医療の進歩ってむしろ怖いです。だって死因No.1の癌まで治せるようになっち
ゃったらもう人間死にませんよ?“メトセラの子ら”みたいな長寿人類が“ソイレントグリーン”をむさぼる世の中になりそうで」
「はは、多分そこまで僕ら生きてないっス。でも癌のみについて言えば根治なんてすぐでスよ。腎不全治療で研究されてきたHGF(肝細胞増殖因子)が癌細胞の成長を促す物質だってわかってから、実際に分子標的薬剤開発が始まっていますから。5年以内に新薬発表らしいっス」
「……今度はこっちがついていけませんでした」
「ん、医療の話か? コーヒー淹れてやるから私も混ぜてくれよ、理系インテリの諸君」
カーズが円卓の上にドンと剣を落とすと、俺は卓上から脚を払われ尻餅を付く形になった。
オマールが口を開く。
「結局のところ“自発対称性の破れ”ってのはなんなんスかねぇ」
ああ、異世界の話か。俺は、石畳につっぷして、狸眠り。
「解説しましょうか?」
カーズが付き合ってやるようだ。
「お願いしまス」
オマールの第三の目がギラリと妖しく光る。
「本来対称性を保っている物質はまだ未発見の物質とぶつかり対消滅して無に帰るわけなんですが
…………るというその現象を自発対称性の破れと言うんです」
「へーそうなんスか」
オマールの奴、自分で話を振った割には、気のない返事をしやがる。何かあるのか?
「……本当に聞いてました?」
カーズは眼鏡の智を人差指で押し上げる、お得意のポーズで聞き返す。
「はい。今ので小林益川理論の解説を聞いても理解出来なそうって事がわかったっス」
(あとはパス。オチは誰かヨロシコ?)
372 :
名無し物書き@推敲中?:2009/07/03(金) 12:33:20
リライトお願い。シュールでファンキーでナンセンスなやつよろしく。
「ねえ、伊井くん、その、――いいかしら?」
「――ああ、構わないよ」
昼休み、教室で、少年は声をかけられた。伊井と呼ばれた彼は、細身で色白で、儚げな空気を纏っていた。
伊井は頷き、シャツをたくし上げた。そして少女から顔をそむける。少女は手に持った鉛筆を伊井のヘソへと差し込み――
ガガガガガガガガッ
突然、伊井の鼻から木屑が飛び出してきた。伊井の向いている方向にいた生徒が「イテテテテテテテテッ」と悲鳴をあげ、気絶した。
「伊井くん、いつもありがとう。流石は秘密組織の人造人間ね。この学校鉛筆削りがないから助かるわ」
「お安い御用さ。僕の特技だからね。――っと、電話だ。もしもし。……はい、はい、すぐ行きます」
彼は携帯電話を閉じ、少女に言う。
「用事が出来た。先生に、気分が悪くなって早退したと伝えておいてくれ」
とある高層ビルの最上階、ブラインドの閉じきった部屋。そこには男たちが詰め寄っていた。
「本当に、いいんだね」
「……お願いしやす」
強面の男が、伊井に左手を差し出し、その小指を伊井のヘソへと入れる。
瞬間、耳障りな、硬いものを砕く音が、部屋中に響いた。
同時に、伊井の鼻からは赤い血とミンチが飛び出し、男の顔と伊井の制服を汚した。
音が止む。伊井が口を開く。
「おめでとう。これで君も、檻加羅組の仲間入りだ。今後の活躍を期待している」
「……がとッ……ごぜ……やすッ」
周囲から拍手が送られる。伊井はハンカチを取り出し、男の血まみれの手を優しく包み、手近なものに手当てをするよう指示した。
「さて」
伊井は、顔に付いた血を拭いもせず、部屋の隅に顔を向ける。
そこにいた、縛り付けられている男が、びくっ、と震えた。
「織瀬津組の方ですよね。少し、お話をお伺いします。……大丈夫、命までは取りませんから」
373 :
名無し物書き@推敲中?:2009/07/07(火) 12:17:19
その時有紀子は、特急スーパーあずさの座席に座っていた。そこから、新宿駅のホーム
を見ていた。ホームの人たちの話し声や、歩く音は、もちろん車内にいる有紀子までは
聞こえてこなかった。新宿の雑踏から解放されて、有紀子はなんとなくホッとした気持
ちでいた。有紀子は、ちょうどこれから、甲府の実家へと帰るところだった。
新宿駅の構内の売店で買った、サンドイッチを食べるのは、もう少ししてからにしよ
う。喉が渇いたから、その前に紅茶でも飲むことにしよう。そう思って、同じ売店で買
ったペットボトルの紅茶を取り出す。このシリーズの紅茶は、適度に甘いけど、カロリ
ーがゼロなので有紀子は気に入っている。
紅茶を飲んだあとで、有紀子はニンテンドーDSを取り出してクイズのゲームを始め
た。有紀子が退屈な時にいつもやっているゲームで、正解するとそれなりに楽しい。例
えば、有紀子に出された最初の出題は、『ニカラグアの首都はどこでしょう?』という
問題だった。選択肢は、1.サンホセ 2.マグアナ 3.グアテマラ 4.ブエノス
アイレス。と、四つ。4のブエノスアイレスは、アルゼンチンの首都だから違うだろう。
3のグアテマラは、ニカラグアと同じく北中米の国の名前。ここまでは、有紀子にも簡
単にわかった。でも、1のサンホセか?2のマグアナかは、北中米の地理に詳しいわけ
ではないから、有紀子にはよくわからなかった。仕方がなく、ほとんどただの勘で、2
のマグアナを回答してみる。すると運がよく正解となった。ゲームの解説者のキャラク
ターの教授が笑っている。彼によるところ、1のサンホセは、ニカラグアの隣国、コス
タリカの首都だった。そういえば、聞いたことがある名前のような気がした。これは、
なかなか難しい問題ね。有紀子は、正解できてなんとなく微笑んだ。すると、ニカラグ
アの人口は、約500万人で、言語はスペイン語。カトリックの国だとキャラクターの
教授が解説で教えてくれた。
そんな、ゲームを何題か解いてから、有紀子はサンドイッチを食べ始めた。特急列車
は、武蔵野の大地を走っている。車窓から有紀子が見渡すかぎり、住宅やビルが広がっ
ていた。東京は、やはり広いと有紀子はあらためて思った。
面白そうなスレだとROMりに来たときには、もう、誰もいないビーチ状態で……
元からの住人、どこに消えちまったんだろ〜ね?
>>372は
固有名詞を駄洒落系にして、自分でリライトしてみれば。
あと、「イテテテテテテテテッ」とか、なんとかならない?
(ってか、どこの生まれだよ?
日本では、シュールは東村山音頭、ファンキーは米×2クラブ、ナンセンスは基地外ぬこなんだぞ
)
>>373は、文末に「お」を入れると今風になるお。試してみるお。
☆ チン
☆ チン 〃 ∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ヽ ___\(\・∀・)<
>>1まだおー?
\_/⊂ ⊂_)_ \_______
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/|
|  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄:| :|
新宿8時00分発、特急スーパーあずさ3号。出発時刻まで、あと1分23秒。
有紀子は座席で背だけ立たせ顎を上げ、ぺットボトルから紅茶を2度、喉に流し込んだ。
実家のある甲府に9時23分、終着の松本には10時37分、到着予定。
隣の席の若いサラリーマン風体の男はアタッシュケースを足に挟んだまま、
既に仮眠に没入している。平日で手馴れた乗客が多いのか、整然と席の埋まった
車内は、駅構内の賑々しさから半ば切り離され、有紀子には妙に収まりが悪くも、
心地良くもあった。風景が流れ出す。
サンドイッチと紅茶を補助テーブルに備え、
有紀子はバーバリーのバッグからニンテンドーDSを取り出す。
『ニカラグアの首都はどこでしょう?』四択の正解は2のマナグア。
DSの小さな画面の中で、実在の某タレント教授を模した、トンボ眼鏡のキャラクターが
正解を大袈裟に褒め称え、嬉々として解説をはじめる。有紀子は、適当に読み飛ばし、
幾度か褒められたり励まされたり。サンドイッチを頬張りながら横目で車窓の遠くを見やる。
群れなす一軒家、団地、ビル、ショッピングモール、キャンパス、目立つ煙突の工場、
西部ドームらしいスタジアムといった混沌とした郊外の街並みが、どこまでも広がっていた。
「ほうだっちゅうこん、東京は広いじゃんけずら」
有紀子は点のような人々に向かい独りごち、もう、故郷の言葉を準備してる自分の気早さに
ニンマリした。直に八王子盆地を入り抜け関東山地に入る。有紀子は今度は静に微笑した。
設定も山場も定めぬままで全体ぼやけた。原文、有紀子さんの情報、わざと伏せてる?
主人公キャラは好みで少しお茶目にしますた。
風景はでっちあげ、方言はニセ甲州弁ということでご容赦。
>>372 頑張ってリライト。いっちゃてる感じは凡そ原文に敵わない。
合理化しちゃって、なんかダメなの。センスがないって言われればそれまでおー(あっでもナシセンス)
※以下、不謹慎なものや暴力的なものが嫌いな良い子は読まないでねm(_ _)m
「ねーねー、飯野くん、いいの〜なんちって」
「…………」
南茅香は、承諾を待つことなく、犬介の学生服のシャツをたくしあげ、それを差し込む。
シュワ〜ンギロギロ、ドロリン。独特の快音で最新の生体とニッケル合金の三重コーティング、
ポリバイオテック螺旋刃は少女に差し込まれた鉛筆をズンズン侵食する。
犬介の体内で分離された黒鉛は、鉄砲玉、ハートのスパイラルを描き、
運悪く斜め前の席をあてがわれていた男子生徒の後頭部にどッキュン。ツッぷらせる。
クラスメートは、端目にも気にかけやしない。茅香は、ボソッと、お礼をつぶやき……
あとは、削れ尖っ、、、究極にチビッた鉛筆に思いを馳せ、自分の世界に浸るのみ。
犬介は一発やった倦怠とも満足とも、どうでもいいよの放心で、グデグダ。
疑問に思うものは誰もいない。見慣れたいつもの日常。
飯野犬介は町内公然の秘密組織バウバウアーのこれまたクラス公認の秘密諜報部員。幹部怪人でもある。
今日も今日とて、組織から電話一丁、学校をフケ、任務に向かう日々。ドッキン、バックン、アウー!
雄たけびとともに、今月13枚目の窓ガラスをぶちやぶりウイング全開愛機を飛ばす。
…………………………………………………………………………。
…………………………………………………………………………。
…………そうそう、鉄砲玉がどこから発射されたのかも公然の秘密。
※以下、不謹慎なものや暴力的なものが嫌いな良い子は読まないでねm(_ _)m
ハマの高層、最上階。糸の切れかけたブラインドは閉じられたまま。
ドヤドヤドヤガヤガガヤヤ、絶不調の空調が暑苦しい部屋に肉厚な男たちと若干のおかま……ゲッ、まじ我慢大会。
いやいや、これから、身も凍る、惨劇のはじまりはじまり〜…………?
新参の忠誠の誓い。犬介の腹の中、男の左腕は変容を遂げる。
足してやらなきゃならん材料は、古タイヤ1/4,アルミ缶2,スチール缶1,塩飴の包紙1,犬の尻尾の毛1房、以上。
不可逆な工程、しばしの悲痛、人生の哀歌、男は善戦空しく悶絶して果てた。今日の3分クッキング一丁あがり。
ふむ、どうも、先程、受け入れた茅香のアレの木屑が残っていたようだ、犬介はこっそり、舌打ちする。
一群の中から、嬉々キーな、おかまが進み出て甲斐甲斐しく介抱にあたる。皆、一度は通った道……アーメン。
さて、メインイベント。犬介は、不敵にクールに額から余剰の血飛沫を吹き上げ、
引く人群の中央を歩み、問題の男に詰める。梁の下で怯える男の頬を一舐め。
これが噂の犬怪人のキッス。一舐めされた男は、犬の口臭の恐怖に喘ぎ声を漏らす。
「ドレインマウス組の方ですよね。少し、お話をお伺いします。……大丈夫、魂までは取りませんから」
378 :
名無し物書き@推敲中?:2009/08/06(木) 02:30:45
age
リライトお願いします。
僕はいつ頃から自分の力の無さに自覚を持ったのだろうか。
力だけではない。今の自分に何ができるのか、何をすべきなのか見付けようと考えていたにも関わらず、気が付けば己の未熟な部分を見付けてばかり。
これといって熱中できる趣味もなければ自慢できる特技もない。勉強もスポーツも。何もかもが中の下で中途半端だった。
それでも月日が経てば体が大人になってしまうのは当然で、僕は上司に怒られながら働いている。
毎日を作業的な仕事に費やす。退勤すればコンビニで弁当を買い、帰宅して食べて入浴を済ませて寝るだけ。
早くも今両親も親戚も一人すらいない。励みも目標もなく趣味もない僕は休日を寝て過ごす。
いつまでこの生活が続くのだろうか。
最近では仕事にも慣れ、ふとしたきっかけで知り合いになった女性が一人いる。
しかし、僕は今まで女性とろくに話をしたことがなかった。職場も男しかいなかった為、話題作りや接し方で苦戦したのは言うまでもない。
それでも彼女は無邪気な笑みを浮かべて手を差し伸べてくれた。
付き合いを重ねていく内に僕からも誘うようになり、ドライブと買い物や遠出をしたり、今までの休日が嘘のように一転し充実した1日1日。
毎週の楽しみ、これが励みなんだと気付いた。
プロポーズはデート先の綺麗な夜景と海の見渡せる高台。
いくら女性に慣れた僕でもその時になると頭の中が真っ白になり何も言葉にならず、結局告白とキスは彼女からだった。
彼女からの逆プロポーズを耳にした僕は豆鉄砲をくらったような顔をしていたらしい。
今でも思い出す度に当時の僕はつくづく情けない男だったと思う。
それでも彼女が好きだ。一生守ると誓った。今もこれからも、共に生きていく。
これが僕の新たな人生の始まりなのだ。
380 :
名無し物書き@推敲中?:2009/08/22(土) 07:57:05
小学生の作文
うわ、これは難しいな
独り言のリライトはなあ…
>>380-381 379の者です。
小学生のような作文とのご意見ありがとうございます。
そして困難なリライトを願い出たことのお詫びと、より多い指摘をいただきたいので別の文章を書いて出直してきます
頑張ってください。
文章の上手下手より、まず、テーマを明確にしてもらえると、
リライトし易いので。
>>379 僕は一体、何者なんだ。
ありきたりな中学生が思うありきたりな質問に僕はいまだに答えを出せないでいる。
声は低くなったし、スポーツはできなかったけど体だって昔に比べりゃ少しはたくましくなった。勉強も得意じゃなかったけど何とか大学を卒業して、地元の医療器具の営業として働いている。
それなのに僕は答えが出せなかった。
それどころか「何か」として必要とされることもなくなっていた。両親は早くに亡くなって僕の「息子」としての役割は終わったし、「友達」だって働いてから距離が遠くなったし、「会社員」としては上司に嫌われて、「お前の代わりなんていくらでも」って言われていた。
このまま自分は何者かを知らないまま、顕微鏡の検品作業のように人生が淡々と進んでいくのが恐くなった。
だから僕は結婚する。僕は「夫」になるんだ。彼女だって僕を必要としてくれている。
今日から新しい生活が始まる。
鏡には「新郎」の姿が写っている。白いタキシードはちょっぴり恥ずかしいし、レンタルなのに汚したら……って考えるだけでも恐ろしい。肩だってパッドが厚くて体格が良さそうに見えるけど、その下にはひょろひょろの肉体が詰まってる。
どうだろう?
一応書いてみたが
強いて言うと、原文の主人公が、優柔不断な内気君なら、
384の主人公は、もっと、身勝手で、おまけに、ケチ臭い感じ。
>顕微鏡の検品作業
は、微妙、説明不足で唐突。主人公の仕事か? どう淡々としているのかとか? 軽く補っておくと良いと思う。
ストーリィー極薄の作文(吐露)は、キャラ(心情)が少しズレても、全くの別物って感じになるんだな。
どうでもいいけど、原作者、382で、リライト希望を辞退してるじゃありますぇんか。
386 :
名無し物書き@推敲中?:2009/09/05(土) 00:19:08
>>385 >>384を書くとき主人公をどうしようか迷った。
>>379を見る限りでは主人公の性格はかなり受動的。
というか女性経験も少ないしスポーツも頭も良くない主人公が黙ってるだけでモテて、彼女のための努力はすべて報われ、彼女は無邪気に手を差し伸べくれて、必要なときに積極的になってくれる、かなり都合が良いストーリー。
それでいて彼女を守ると主人公は言っているんだから、結構なんというかこの主人公は変にプライド高いよね。
(内気なら自分が彼女を守る自信がないはずだし、この主人公は守ってもらっている立場なはず)
この小説の冒頭は自分に何ができるのか、何者なのかというテーマから始まっているわけで、これは小説の根幹なんじゃないかと自分は感じた。
考えてみると、彼女がどうこうよりも、自分が努力しただとかは書かれているが彼女がなぜ好きなのかというのは薄い。
だからこの主人公は意外に自分が好きなんじゃないかなって。(自分を否定しつつも自分が好きなタイプ)
そうした主人公の自分への愛、卑屈さや弱さや身勝手さを出した方が小説的に人間味が出ると思った。
顕微鏡の件はご指摘の通り。本来なら書かなきゃいけないよね。そこまでやる気が出せなかった。
387 :
名無し物書き@推敲中?:2009/11/02(月) 03:00:50
11月も夜中になるとタバコのメンソールが余計に冷たい。吐く息はまだ白くはなっていないけど。後少ししたら、ケムリも吐息も白く混ざって一体になる季節がやってくる。ここのコンビニの窓にもケーキとおせちのポスターが貼られるようになった。
またあの季節が来る、あの人が去ってからもうすぐ1年になろうとしているのね、去年の今ごろは二人でここにおでんを買いに行ったなと思いながら、思い出しちゃいけないのに、部屋は模様替えできたとしてもこの町には去年と変わらないのねと
タバコのケムリとため息を一緒に吐いて、私は店の前にある灰皿にタバコを捨て、中に入った。
夜中のコンビニはまず「いらっしゃいませ」が違う。昼間のコンビニで耳にするような高校生の明るい「いらっしゃいませ」は聞こえない。明らかにフリーターに見えそうな青年や悲壮感漂う中年男のもの寂しい声が聞こえるのだ。
いつしかお互いに顔を覚えあったであろうころに、お互いの人生を1分程度の会計でかいま見ようと探り合い、客は店員の顔を見ずにお釣りを受け取って、店員はマニュアル通り「ありがとうございました」と言う。
私はあの中年男にどう見られているんだろうと考えながら、眠り酒を選んでいた。
388 :
名無し物書き@推敲中?:2009/11/02(月) 23:46:35
341の「雲があれば空の高さが分かり、また人の哀しさにも気付く」は名文
純文学としても通用する
新人賞受賞作品にこんな名文を書いてる人いないし
389 :
名無し物書き@推敲中?:2009/11/03(火) 02:00:50
>>388 「名文」が純文学で通用するとするあなたの感覚が意味不明
390 :
名無し物書き@推敲中?:2009/11/16(月) 05:14:48
age
391 :
名無し物書き@推敲中?:2009/11/16(月) 13:13:48
>>387 リトライする。詩作メインでやってるけど。
11月、タバコに夜が混ざる。メンソールの冷たさからも吐く息の白さからも遠い場所に季節がやってきて、窓に、
ケーキやおせちのポスターを貼り付けては片っ端から通り過ぎていくのがわかる。
去っていったものばかりが残り、残らなかったものもやはり去っていたままの形で、季節を巡ったまま凍えている。
去年の今頃、おでんを買ったことが思い出されては、翻ってばかりいる部屋の模様。タバコのケムリを握り潰す様にして、
私は灰皿ばかりを口に含んで。
夜中、コンビニからは真昼が抜け落ちて、影がレジを打っている。影の声がし、手が差し出され、分け与えられた
少数の銅。それをポケットの暗闇へ押し込むときに、初めて自分の影に気づく。
とても眠たい。そして、コップにブドウ酒が満たされて、枕が寝返りを打つ。私は決して寝る事ができない。
392 :
名無し物書き@推敲中?:2009/11/16(月) 13:25:23
>>379 うざい内容なので蹂躙する。過剰に圧縮して、過剰に装飾する。
無力さが幾ばくかの終わりを伴って、相槌を打つ。力だけではない、と、語ったものが、人知れず、
消えていくのを唇をなぞりながら感じて、私は私ではなかった、と、言葉が降りてくる。
体から始めて、怒りが降り注いだままのこの土地で、繰り返される毎日が死んでいったものを、
よみがえらそうとしていつも失敗し、唇を雨がなぞる。
貴方が始めての唇を、私に分け与え、貴方から私が降る。
手をつないだ。どこまでも遠くを見つめるようにして二人で。終わったばかりのことから始まって、
始めて、「私たち」は、と、分け合った唇で語り合って。
393 :
名無し物書き@推敲中?:2009/11/18(水) 01:14:42
>>391 ポエムっぽくなって面白いですね。やはり人によって変わりますね。
394 :
名無し物書き@推敲中?:2009/11/21(土) 09:52:46
>>387 最後の一息を吸い込む。メンソールの煙がコートを着ている私の中に寒さをねじ込んでくように思えた。
肺の中を一周した煙を吐き出すと、それは、夜の空にとけ込んでいった。
私はフィルターについた口紅を指先で拭い、入り口の傍にある灰皿に投げ込む。
彼が口紅跡のある吸い殻を嫌ったから始まったこの癖も、もう何年になるだろうか。
別れてから一年になるのに、止められない。未練ではないと思う。男の人は口紅の後が好きじゃないんだ。
次の男の為だ。そんな風に自分に言い訳をしている。
私だけが残ったアパート。一番近くにあるこのコンビニは想い出だらけだった。
去年の今頃は、寒いと悪態をつきながら、彼と二人でおでんを買いに来た。
彼が店を出た途端、歩きながらおでんを食べ出したのも、ついさっきの事のように覚えている。
おでんの入れ物から湯気が上がっていて。寒さを忘れて、私も一緒に食べた。
アパートに着いた時には、入れ物しか残っていなかった。
コンビニのガラス窓には、クリスマスケーキやおせちのポスターが貼られている。
去年はこんなものがあっただろうか。あの時の私は彼の事しか見ていなかった。
ガラス戸を押し開けて店内に入る。中年の店員は雑誌の補充作業に忙しく、
私の事など気にもとめていないようだ。彼の白髪の交じった髪の毛に、不況という言葉を身近に感じてしまう。
行き場の無い捨て犬が、段ボールの中で悲しげな瞳で私を見つめているような、そんな気持ちが私の中に広がった。
395 :
名無し物書き@推敲中?:2009/11/21(土) 09:53:31
>>394続き
アルコールの納められたガラス張りの冷蔵庫の前で立ち止まると、私は虚ろな私の姿が映り込んでいるのに気がついた。
ジーンズに、着古した芥子色のジャンパーを着て、ノーメイク。
顔はぼやけていてわからないが、眉毛が無いから、間抜けな顔をしているだろう。
恋を忘れた女の姿なのだろうか、それとも恋を忘れられない女の姿なのだろうか。
お酒を飲まなければ、眠れない。そんな事を自覚してから、毎晩通い詰めている。
冷蔵庫を開けて、シンガポールスリングを二本取り出し、レジに向かう。
遅れて店員がレジにやってくる。彼は私の顔も見ず、無言でバーコードをスキャンしていく。
夜中に酒を買いに来るすっぴんの女を、彼はどう思っているのだろう。
二本の酒。防衛策であり、三十路女のささやかな見栄。分かって欲しい事、分かられたく無い事。
私はもう、店員である彼のを覚えてしまったけれど、彼は眉毛の無い私の事を、覚えているだろうか。
一言も会話を交わす事が無いままの縁。
彼は俯いたまま、ビニール袋に入れた二本の瓶を私に差し出してくる。
ふたつのガラスがふれ合い、無機質な音を立てた。
397 :
名無し物書き@推敲中?:2009/11/23(月) 22:22:18
>>394ー395
続きが読みたくなってしまったw
アルコールの入った袋を片手に私は家路を急いだ。急がなきゃいけないわけじゃないけど、こんな姿を誰にも見られたくなかった。
いつか私が少女と呼ばれていたころ、通学路でよく見かけた鮮やかな真っ赤なルージュと痛んだ金髪の中年女を思い出してしまう。
当時の私は学校という居場所があって、まっすぐ歩いて、お日様を恐れずに歩けた。
彼女はアルコールのせいかなんなのかふらつきながら道を行き、シワやシミを隠すためであろうか塗りたくられたファンデーションが妙に悲しくて、
私はあんな風にはなりたくないと彼女を見ていた。
あれは今思えば、同族嫌悪だったのかもしれない。
そんなことを考えながらアパートのドアノブを回した。鍵をかけ忘れたのか、
もしかしたらあの人が帰ってくることを期待していたのか何なのかは今となってはわからない。
ドアを開けるとやっぱり誰もおらずがらんとしていて地方都市だからこその
12畳ワンルームが何も言わず私を出迎える。一人では広く、二人では少し物足りない。
この時期になってくると寒さが部屋いっぱいに広がってしまう。
つい続きを書いてしまいました。。
400 :
名無し物書き@推敲中?:2010/01/17(日) 22:37:20
>>379 僕が自分の無力さを自覚し始めたのはいつ頃からだろうか。
力だけではない。
今の自分に何ができるのか、何をなすべきなのか探し続けていたにも関わらず、いつまでも自分の未熟な部分だけしか見付けられずにいた。
これといって熱中できる趣味もなければ自慢できる特技もなく、勉強もスポーツも、何もかもが中の下で中途半端だった気がする。
それでも月日が過ぎれば大人になってしまうのは当然で、就職した僕は上司に怒られながらも自分なりには真面目に働いていた。
しかし毎日は機械的な仕事と、夕食のコンビニ弁当を買い帰宅して食べて入浴後に寝るだけに費やされる。
早くに両親を亡くし、親戚も無く、励みも目標もなく趣味もなく休日は寝て過ごす。
いつまでこの生活が続くのだろうか、と自問する事にも飽きた頃彼女と出会った。
ありていに書くと僕にはふとしたきっかけで知り合いになった女性が一人いる。
一人かよと思う人は多いだろうが、僕は今まで女性とろくに話をしたことがなかった。職場も男しかいなかった為、話題作りや接し方で苦戦したのは言うまでもない。
一人と付き合い始めただけでも良くやったと誉めて欲しいものだ。
彼女は無邪気な笑みでドギマギする僕に手を差し伸べてくれた。
付き合いを重ねていく内に僕からも誘うようになり、ドライブや買い物とかの遠出もした。
今までの休日が嘘のように一転し充実した一日一日へ変わった。
毎週の楽しみ、これが励みなんだと気付いた。
プロポーズはデート先の綺麗な夜景と海の見渡せる高台だった。
なんとか彼女だけとは自然に会話できる様になった僕でもその時になると頭の中が真っ白になり何も言葉にならず、結局告白とキスは彼女から受けた。
彼女の逆プロポーズを耳にした僕は鳩が豆鉄砲を喰らってクルックしたような顔をだったらしい。
今でも思い出す度にさっきの僕はつくづく情けない男だったと思う。
それでも彼女が好きだ。一生守ると誓う。今もこれからも、共に生きていく。
これが僕の新たな人生の始まりなのだ……そう思っていた。
何が起きたのかは解らない。しかし今は彼女を探す方が先だ。
(生きていてくれ)
そう願っていた。
>>309の1
闇夜の黒い空と海面に、次々と打ち上がる華麗な花火が鮮やかに映った。
佑子がそれに心奪われる脇で、ぼくは手近な屋台で買った焼きそばをずるずると
音をたてて食べていた。濃いめのソースがなかなか美味いと思えた。
花火の打ち上げが一息付いた当たりで佑子がぼくに振り向きため息を付く。
「あんたと眺めていると、ロマンチックの欠片も味わえないわね」
ぼくの肩程のところに頭天のあるちっこい佑子は片唇を尖らしている。
彼女とは同じ予備校を通った頃から大学の別れた現在まで交友が続いている。
少しは色気のある格好をして欲しい物だと思ったが頼み込むのも気が引けて、
腐れ縁にそんな気を使う必要なしとでも言うような、グレーのパーカーに淡い水色のジーンズという華の無い普段着を楽しむに留まっていた。
「バーカ、視覚で花火に感動とか、味覚で焼きそばに感動とか、
複数の器官で感動するぼくに、非難される謂れは無い」
「うるさいんだよこの野郎、横でずるずるずるずる、わたしが花火に感動できないじゃないか」
佑子はぼくの靴先を踵で踏んだ。
「なにするんだこのヤロー」
ぼくは空になった焼きそばの容器を捨て、佑子にチョーク・スリーパーをかけた。
「乙女にプロレス技かけるとは、不逞な野郎だ」
振り向き様、佑子はぼくの金玉を、蹴り上げる。
「!!!!!!」
玉がたまらずバランスを崩し、佑子から離れて、地面を転がった。
「タイム!」
とぼくは抗議する間も、彼女は腹を抱えながら笑っていた。
そんな風にいつもじゃれあっているから、恋人みたいなロマンチックな関係にもなれないし、
楽しいからお互いに離れられなかった。
>>309の2
芝生みたいな草原に寝転んで花火を見ていると、佑子は横に座り込み、やがてだらしが無く脚を伸ばしてぼくの隣に並んで横たわった。
「一度くらい甘い思い出も良いと思わない?」
「どうするんだ」
「左手、貸してみ!」
佑子は自分の右手で、左隣に寝ているぼくの左手首を掴むと思いきり引き寄せた。
弾みで佑子の上にうつぶせに倒れ込んだぼくを背中に回った佑子の両腕が抱き締める。
「アドリブ期待しているからね……あ、だめだ、口が滑ってムード壊すんだから台詞禁止」
さらに言葉を続けようとする佑子の唇に人さし指を軽く押し付ける。
「愛している。ずっと好きだった」
ばくは死ぬ迄には一度言いたいと思っていた台詞を言葉にした。
グスグスと鳴き始めた佑子がとても可愛いと感じていた。
>>29-30の1
聞き慣れたチャイムが鳴り響いた。この予鈴のあと五分したら五時限目の始まりを知らせる本鈴が鳴る。
(さあみんな教室に戻って戻って。図書室でサボられたりしたら私が叱られちゃうわ。あ、本を無断で持ってっちゃだめよ)
上原さんの声がチャイムに続く。それをきっかけに、図書室がうめき声にあふれる。
「昼休みが終わるのは早いですわね」
と川窪さゆりは呟く。
「全くだね」
と僕は頷きながら椅子を立ち上がった。
「本日はありがとうございました」
取り戻した笑顔を見せて、彼女はそう言う。
「どういたしまして」
僕も笑顔を返す。このやり取りがなんだか、昔に戻ったみたいだなとふと思わせた。
しかし、一年間が築いた壁はあまりに高くて厚い。僕はもう彼女に恋心を抱くことはないだろうし、
たぶん彼女もそんなことは考えないだろう。
人の波に乗って図書室を出ると、喧騒に満ちた廊下の空気がどこかすがすがしがった。
それは図書室に篭っていたからか、彼女との話に夢中になっていたからなのか、たぶん両方だろう。
「それじゃ、またね」
「はい、ごきげんよう」
相変わらずお嬢様な別れの言葉を残すと、彼女は僕を置いて歩いていった。次の授業は自分の教室らしい。
教室に向かいながらの僕は次の授業に出る気分になれずにいた。
>>29-30の2
(野中先生に死んで頂くのよ)
確かに彼女はそう言った。
図書室へ生徒を探しに来た野中先生に気付いた川窪さゆりの目が冷たく濁った時、
僕の振った野中先生の話題にきつい意見を並べ始めた時、
野中先生には自業自得を実践して頂きたいと思いを吐き出した時、
ならどうすればいいのかな?と僕が訊いた時、確かに彼女はそう言った。
僕の目に気付いた彼女はすぐに冗談と言って笑ったけれど、彼女の弁解には違和感があった。
あの言葉は何かの意味を持っている。
5W1H。
彼女は彼女にとって大切なことを一つだけ言った。いや、そもそも僕の気の回し過ぎかも知れないんだけれど。
とにかく彼女は、冗談で済ませてしまった。
……いまさら聞き直す気分にもなれない。自分で調べよう。そうすぐには何も起きないだろう。
と、気付けば僕は廊下にぽつんと独りきり。さっきまで騒がしかったのは嘘のように廊下は静まり返っていた。
それから五秒と経たずに本鈴が鳴った。風邪で休んだことはあっても、サボったことはなかった。
だから、僕はこういう時のサボリ場所知らない。帰ってやろうか。
そう思ったけど、このまま帰ったりでもしてみて途中誰かに呼び止められるのは嫌だった。
「……はぁ」
結局、僕は五時限目の授業が始まっている教室へと足を向けた。机で色々と考えよう。
てす(`・ω・´)
407 :
1/5:2010/04/16(金) 17:18:09
俺、明石 星佳は今日、可愛い魔女の女の子を奴隷にしました。
……別にイカれてなんかないからな。
正直、自分でも未だに夢なんじゃじゃないかなぁって思う。
だからさ、散々、赤くなるまでほっぺや手の甲をつねってみた。
だけど目は覚めなかった。
それならばと近くにいた買い物帰りのおばさんに、今日は何日ですかと尋ねてみた。
当然、俺の知っている通りの日付をおばさんは教えてくれた。
哀れなモノを見るその冷たい目線は、一生忘れられないだろう。
俺は、寝ぼけてるわけでも、狂ってるわけでもなかった。
そしてもちろん、俺は魔法の国の王子様でもなければ、未来の国の未来人でもなく、何処にでも居る平々凡々な一高校生である。
それならなぜ、そんなことになったのか。
全ての事の発端は、放課後、俺が特に仲の良い高校の友達二人にジャンケンで負け、コンビニにアンパンを買いにパシらされた帰り道から始まる――
俺の通う高校がある街、姫塚町は都心から少し離れた地方にあった。
昭和の名残を感じさせるような建物がちらほらと残ってたりするこの古き良き街が、俺は大好きだ。
そしてこの街の丁度真ん中を区切るように走るのが姫塚川。
江戸時代の頃に治水工事がなされ、平成の今日に至るまで、陰に日にこの街の発展を支えてきた由緒ある川である。
俺はその時、右手にアンパンが三つ入ったコンビニ袋をぶら下げて、その姫塚川の近くの土手を歩いていた。
季節は秋真っ盛り。まさに天高く馬肥ゆるって奴だ。
もう放課後の時間帯というだけあって、日も傾き、辺りは淡いオレンジの光に包まれていて、川の周りを漂う赤とんぼからは、どこか心穏やかな秋の空気を感じる。
秋は夕暮れ、言ったのは清少納言だったっけ?
まぁ誰が言ったかなんてのはどうでもいいが、その言葉はまさに核心を付いていると思った。
見てみろよ姫塚川の水面を、夕焼けの明かりを反射してまるでガーネットを散らしたかの様にキラキラ輝いてやがる。
408 :
2/5:2010/04/16(金) 17:23:05
俺は昔から、一人でこういう美しい光景を見ると興奮してしまう性質だ。
聞いてるとヤバげな人間に聞こえるかもしれないが、まぁ外見にでる違いは少し足取りが軽くなったり、コンビニ袋の揺れ幅が大きくなったりぐらいだから問題ない、と思う。
そんなこんなで、俺はちょっぴりハイになってたんだよな、その時。
だからさ、
「ねぇ」
いきなり後ろから空いていた左手を握られて、
「あんたもしかして、ニンゲン?」
こんな意味不明な質問された時も、なんの疑いもせずに後ろを振り向いた。
俺の後ろに居たのは、一人の小柄な少女だ。
髪は黒い艶のあるショートヘアで、服は水色のワンピースを着ている。
肌は雪のように白くきめ細やかで、その可愛らしい顔は目鼻口が絶妙な場所に配置され様式美さえも感じられた。
そして何よりも俺の心を奪ったのは、少女のその大きな瞳であった。
俺の顔を見詰めるその双眸は、俺が今まで見たことも無い、鮮やかなオレンジ色の光を灯していたのだ。
「ねぇ、ニンゲンなの?」
少女の再びの問いにハッっと我に返る。
この少女の、何処か人間離れした瞳に見とれて、少し呆けていたようだ。
「ああそうだ、俺は人間だ。それがどうかしたか?」
俺は平静を取り繕ってこう少女に返事をした。
今考えると、どうかしてたのは俺のほうだったのだ。
普通は、いきなり見ず知らずの少女に『お前は人間か』なんて聞かれたら気味悪がるもんだ。
だが、さっきも言ったよう、その時の俺は、ちょっぴりハイだったのだ。
これっぽちもそんなこと、疑問にすら思わなかった。
「ふふ、じゃあ、お兄さんにこの指輪をあげる。大事にしてね」
正直何が『じゃあ』なのかは解らなかったが、少女は薄く笑いながら、ポッケから一つの指輪を取り出し俺に差し出した。
それは銀製の、細部まで装飾の施された、明らかに高価な物と解る指輪だった。
お前達だったら、そんなとても値の張りそうな、ブランド物っぽい指輪を他人にくれると言われたら、受け取るか?
俺はもちろん貰わなかった。多分当たり前だろう。
409 :
3/5:2010/04/16(金) 17:28:37
……ここから先は、正直話したくは無い。
だが、それでは話が進まないのだ。
恥を忍んで、続けるとしよう。
だから俺はさ、
「お嬢ちゃん、こういう物は簡単に他人にあげちゃいけないんだぜ」
とかなんとか言って、格好つけて、その少女の指輪を彼女のお人形のような右手を取って、その人差し指に嵌めてやったのさ。
優雅に、華麗に、美しくな。
……笑いたきゃ笑え。その時は俺もどうかしてたんだ。
さてさて、それで少女が「そっかぁ、解ったよお兄ちゃん。じゃあねー」でどっかに言ってしまえば、それでよかった。
それなら俺は、この話をただの黒歴史として、自分の心の奥深くにコンクリ詰めにして沈めていただろう。
だが、そうはいかなかったから、俺は今話しているのだ。
「あ、あぁ……」
なんと、指輪を嵌められた少女が、この世の終わりを三回ぐらい味わったような顔で、つまり顔面真っ青にして、小刻みに震えているではないか。
「お、おい、どうしたんだ」
その突然の変化に心配になって、俺が少女の顔を覗き込もうとすると
「あんたなんてことするのよぉ〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!」
少女の、可愛らしい怒鳴り声が俺の耳を突き抜けていった。
その時はまだ、俺は何で少女が急に怒鳴ったのかも解らなかったし、自分が一体何をしてしまったのかも気づいていなかった。
解るわけはないし、気づける筈が、なかった。
「馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿ぁ! あんたなんてことしてくれたのよぉ!」
少女が半泣きで俺の頭をポカポカと殴ってきた。謂れのない迫害だ。
「おい、俺はただ指輪を嵌めただ」
「これは『隷属の指輪』なのっ! ただ嵌めたじゃ済まされないのよぉ〜。ううぅ……」
とうとう少女はその場に座り込んで愚図り始めてしまった。
これじゃまるで俺がこの子を泣かせたみたいで凄く気まずい。
「というか何なんだその『隷属の指輪』って」
410 :
4/5:2010/04/16(金) 17:35:01
随分と不吉な名前である。
なんてたって『隷属の指輪』だ。RPGかなんかじゃ装備しただけで、トラウマになりそうな音楽が響きそうである。
「この指輪はねぇ、嵌めさせた相手を自分の言う事を何でも聞く奴隷にする、すっごい指輪なのっ! この意味が解るかニンゲンっ!」
嵌めさせた相手を奴隷にする指輪とな?
それは
「つまり、どういう意味だ?」
「だぁっもうこの低脳! いい、あんたが私にこの指輪を嵌めさせたの、解る!? つまり私は、あんたみたいなのの奴隷に……うわぁーんんん!」
怒ったり泣いたり忙しい少女だ。
さて、少女の話を信じるなら、俺はこの子を、『隷属の指輪』とやらで奴隷にしてしまったということらしい。
その話を信じるなら、今すぐ教会の神父さんかなんかに呪いを解いてもらわなきゃな。
そしてもちろん
俺はそんな話は信じない。
ここは、RPGの世界なんかじゃない、現実、リアル、トゥルーワールドなのである。
「お嬢ちゃん、お兄ちゃんをからかってるのかな? そんな夢みたいな指輪あるわけ無いだろ」
俺が慈悲深い声で少女を諭すように話しかける。
「じゃあこれを見ても同じことが言えるっ!?」
すると、少女はキッっと半べそで俺を睨みながら、いきなり姫塚川に向かって左手を突き出した。
そしたら突然、少女の体が淡いオレンジ色の光を帯びて
そして、信じがたいことが起こった。
「凍れっ!」
少女の鋭い声と共にその光が爆発したかの如く溢れかえる。
すると、なんということだろう、姫塚川の大体十メートル四方ぐらいの範囲が、一瞬で凍ってしまったではないか!
その氷は、ただ表面に張っているのではなく、しっかり川の中を泳いでいた魚達まで瞬間冷凍保存している。
俺は恐らく、生まれて初めて、空いた口が塞がらないってのを直に体験した。
411 :
5/5:2010/04/16(金) 17:41:53
「お、お前、こりゃどうゆう仕掛けで」
仕掛け? 仕掛けだって?
川の水を一瞬で凍らせるなんて、そんなの小手先芸で出来るわけが無いだろ。
俺は、口で言いつつも本当は解っていたのだ。
この現象には、種も仕掛けもないって事ぐらい。
それでも、簡単には認められない。
だってこんなことは、それこそ
「仕掛けも何も、これは魔法よ!」
そう、魔法でも使わない限り実現不可能だって事ぐらい、一目瞭然だったからだ。
「さぁニンゲンっ! お前はこれを見た上で、この偉大なる黄昏の魔女、ナランハ・ソーサレスを夢幻の類だと言い切れるのかっ!」
そう言って少女――ナランハ・ソーサレスは目に涙を溜めながら、俺に右手の人差し指をビシリと突きつけた。
その指の付け根に輝くは、銀色に光る『隷属の指輪』。
俺は、魔法という、俺たちの生活から最も身近で、最も遠い、ファンタジーの世界を初めて目の当たりにしたのだった。
.二章
「――と、まぁ、こんな感じだった訳だ」
「訳なのよっ!」
俺の落ち着いた声と、ナランハの威勢の良い声がその部屋に響いた。
場面変わって、ここは姫塚高校の美術室。
この絵の具独特のすいた臭いのする部屋が、俺の所属する美術部の部室だった。
ただ、美術部といってもこの部活は、部員が俺を含めて三名しかおらず、またその活動も一般的な美術部とはほとほとかけ離れていた。
まぁどこの高校にも、廃部寸前の部活を乗っ取って部室を駄弁り場にするなんてのは良くあることで。
つまり、そういうことだ。
「そんなのどうでもいいから、早くアンパンよこせ明石」
人生は神ゲーだ
本気でがんばるとぎりぎり倒せるように絶妙のバランス調節がされた敵。
単純作業じゃ効率が悪いけど、工夫次第でどんどん効率を上げられる経験値システム。
リセット不可の緊張感。
でもシレンとかよりずっと死ににくいからあんま気にする必要なし。
つーか普通のゲームでもリセットなんて邪道じゃん。
全てのキャラが深い人間性と歴史を持って登場する、圧倒的リアリティ。
グラフィックが綺麗すぎ。
多分、無限×無限ピクセルで、毎秒無限フレームで動いてる。
色も多分無限色使える。夕焼けとかマジありえねー美しさ。
BGMの種類がほぼ無限。選曲も自由。自分で作った曲を流すこともできる。
人間が作ったとは思えない、とんでもなく複雑で洗練されたシナリオ。
リアル出産システム採用。自分と、自分よりも大切に思える相手の遺伝子を半分ずつ受け継いだ、奇跡のようなキャラを生み出して、そいつに自由に色々教えて育てることができる。すごく嬉しいし、ちょー楽しい。
ネコっつー生き物が登場するんだけど、これがちょーかわいい。
食いきれねーほどの種類の料理があって、超うまいものが時々食える。
説明書が無く、仕様が明かされてないから、自分でデータとって仕様を推測するしかない。
これがまたとんでもなく高度に洗練された仕様になってるっぽくて、なかなか正確には分からん。
だから、とりあえず大雑把に推定し、それに基づいて行動して、データを取りつつ徐々に予測値を修正していく必要がある。
これがまた楽しい。徐々に明らかになっていく世界観。
未だに明らかになってない謎が山盛り。友達と一緒に協力して遊べる。無料。
本気で自分を愛してくれるキャラがいたりする。ゲーム内で別なゲームやったりアニメ見たり出来る。
登場キャラと本当に心を通わせることが出来る。
信じがたいほど深い感動を味わえるイベントが結構ある。もちろん本気でやらないとフラグを無駄にするだけだが。
こんなとてつもない神ゲーを糞ゲーとか言ってる奴は、本気でこのゲームをやったことがない奴だけ。
まあ、一切がんばらずにクリアできるようなヌルゲーばかりやってる奴には、このゲームはちょいとハードかもしれんがな。
でも一端ハマった奴はみんな、このゲームを辞めたくないって言ってるぜ。
413 :
名無し物書き@推敲中?:2010/05/31(月) 21:40:37
>>412の文章はたまたま2chで見かけた、人生をゲームにたとえたものです。
誰が作った文章かは分かりませんが、ちょっと面白い発想だと思ったものの
ところどころ「惜しい」と感じました。
まず文章が漫然としすぎてまとまりがない。
ドライブゲームはゲームジャンルとして定番だが、車に関して書いていない。
自分で金を稼いで自由に使うこと、そして人生において最も肝心な「セックス」に
関して何も書いてない。
また、誰に対して語りかけているのかも分かりにくいので、「人生を悲観し、
ゲームぐらいしか楽しみがない若者に対してのエール」というテーマで、
倍ぐらい長くなっても全然構いませんので、アレンジをよろしくお願いします。
414 :
名無し物書き@推敲中?:2010/05/31(月) 22:29:11
>>404 リライトありがとうございます。
たまたま偶然このスレ見つけたから数年ぶりにきてみたんです。
そしたら、数年越しに俺の書いた奴がリライトされていて
いろんな気持ちでいっぱいです。
運命ってあるんですね。
久しぶりに小説でも書こうという気持ちになりました。
本当にありがとう!
415 :
名無し物書き@推敲中?:2010/07/07(水) 01:57:13
プロの文章をリライトしてレベルアップさせました
1 :名無し物書き@推敲中?:2010/07/06(火) 23:34:44
シリンという芥川賞候補作家の文章
「熱気で曇った車内の窓にへばり付く乗客の固まった視線を一瞬だけ覗かせる満員の新快速が、
風を起こしながら通り過ぎた。」
これがあまりにも下手なので、俺がもっと優れた文章にリライトしました。
「満員の新快速が、風を起こしながら通り過ぎた。
熱気で曇った車内の窓にへばり付く乗客の視線が一瞬だけ見えた。」
これが俺の文章です。明らかに凄いでしょ?
『満員の新快速が、人いきれで窓を曇らせながら通り過ぎる。
その僅かな合間に車窓にへばり付いた乗客の、死んだような眼がチラッと姿を見せ、直ぐに流れていった。』
これは俺よりもセンスの無い奴がリライトした文章です。
芥川賞候補作家の文章を優れた文章にリライトできる俺がなぜ新人賞の1次も通らないのか不思議です
やはり毛ねが無いと駄目なのかな。才能では勝ってるのに
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/bun/1278426884/
416 :
名無し物書き@推敲中?:2010/07/23(金) 18:42:48
風ひとつ吹かない、夏の午後一時。麻美子は新宿駅のホームで、甲府行きの特急列車を待っていた。
梅雨明けからしばらくした七月の終わり。ちょうどこの夏一番の猛暑日に当たっていた。照りつけ
る太陽。蒸し蒸しとした空気。正直、麻美子は暑いと口に出して呟きそうなほど暑さに我慢がなら
なかった。キャミソールにデニムを穿いたラフな格好だけれども、じっとりと汗ばむほどなのだ。
このホームでも、その向かいのホームでも、とにかく人々は暑さにうだっていた。
麻美子は会社から夏休みを早めに貰っていた。この日はその休みの初日だった。それで実家の甲
府へと帰省するのである。正月には友達の有理とテニアン島へ旅行に行って帰省できなかったから、
一年ぶりの帰省になる。麻美子は高校を卒業すると東京の大学へと進学した。今年で東京暮らしは
八年目だった。
特急あずさ号がホームへ到着し、麻美子はそれに乗り込む。もう、学校の夏休みが始まっている
ため、家族ずれや、大学生らしき団体なども見える。麻美子は二人掛けの窓側に座った。幸いなこ
とに、隣に乗客は乗ってこなかった。
真夜中の廊下を歩いていた
奥で赤い光の様なものが 斜めに路を射していた
それは 横の襖の穴から洩れでているものらしく
恐る恐るも その襖の前まで近寄ると
膝をゆっくりと折り 正座の姿勢で 片目を隠し
指の輪っかほどの穴から 中をのぞきこんだ
薄暗い空間の中心に 一本足のテーブルが立っていた
テーブルの上には 一本のロウソクが底を
がっちりと固定されているかの様に立たされていて
ロウソクの上には 拳一つほどの星が
赤くぼんやりと垂れさがっていた
星はロウソクの火に焙られていて
ただ 赤いだけではなく
そのロマンチックな光景の中には何か得体の
知れないどす黒いものさへ立ちこめられていた
焙られている星は 膨張するでもなく
ただ 鈍くでらでらと光り続けていた