>>3-5 >>27-28 の続き。
「来たモナ……」
ギコは後ろに、モナーの震える声を聞いた。
「モナー、後ろをちゃんと見張っておけよ」
「が、頑張るモナ」
モナーの声には不必要に力が入っていた。誰からとも知れぬ垂れ込みを刑事課
に伝えに来たにも関わらず、眠ってしまったぼんやりさんだが、今ばかりは緊張
しているらしい。湿った暗闇の中、ロールスロイスから人影が下りた。
「行っていいモナか?」
逸って言うモナーをギコは制した。
「取引現場を押さえなければ現行犯逮捕できない。我慢しろ」
その時、耳元でカチリ、と冷たい音が響いた。
「なるほど。しかしそれをされちゃぁこっちは困るんでね」
ギコは舌打ちした。突き付けられた拳銃の先でハトーシンがシニカルに笑って
いる。裏社会では有名なブローカーだ。ハトーシンの手下達が、手際よくギコと
モナーを後ろ手に縛った。
「モナー巡査。後ろを見ておけと言っただろう」
ギコがモナーに恨み言を言う。モナーは泣きそうな顔になった。
「無理モナ。モナは刑事に向いてないモナ」
「今それを言うか!?」
「おっと、痴話喧嘩に付き合っている暇はないんでね。さっさと移動して貰おうか」
ギコは拳銃で小突かれ、顔を歪めた。モナーは別の意味で顔を歪めた。
「痴話……? 違うモナ。モナは男モナ!」
「へえ、プニプニしてるのに」
小さく零れた手下の言葉に、モナーは眉間に皺を寄せた。
「うっ……、モナだって分かってるモナ! でも甘いものが好きなんだモナ! でも、
でも……、いつかこれが筋肉になるんだモナ……ウワァァン!!」
モナーの言葉にギコは溜息をつき、ハトーシンの額に青筋が浮かんだ。
「とにかく、さっさと歩きやがれ!」
拳銃に小突かれた二人は倉庫へと足を踏み出した。闇に浮かぶ倉庫は海の光を映して、
冷たく鈍く光っていた。
自分で指示しておいて自分で書いてしまった;
次来た時に参加者が増えていることを祈りつつ……。
おやすみなさい。また来るよ。
98 :
名無し物書き@推敲中?:2005/11/05(土) 00:20:07
お
も
ち?
の
し
た
104 :
名無し物書き@推敲中?:2005/11/05(土) 18:33:13
ご
105 :
名無し物書き@推敲中?:2005/11/05(土) 18:35:15
し
106 :
名無し物書き@推敲中?:2005/11/05(土) 18:36:33
ら!
107 :
名無し物書き@推敲中?:2005/11/05(土) 18:37:27
え
∧_∧
( ´∀` ) <ウマー
109 :
1 ◆fHUDY9dFJs :2005/11/05(土) 21:39:58
110 :
名無し物書き@推敲中?:2005/11/06(日) 14:10:47
後頭部に銃を突きつけられたまま、二人は倉庫につれて行かれる。
大きな扉が口を開いていた。
月光にうすく照らし出されたモルタルの倉庫は、巨大な魔物に見えた。
モナーが入るのを嫌がっている。
ハトーシンの手下が銃でモナーの頭を小突く。
モナーは「ヒィ」と悲鳴を上げて、怯えながら歩を進めた。
中に入ると、足元さえ見えぬ暗がりが二人を包んだ。
ひんやりとした空気が満ちている。
「もっと奥に進め」
ハトーシンが低い声で促す。その声は、冷徹な死神のように響いた。
男たちの革靴がコンクリートの床を叩き、倉庫の中で不気味に反響する。
ギコの背を、冷たい汗が流れた。
「勘弁してくれ」
モナーが泣き言をいう。
「どうするつもりだ」
とギコは問うた。
さあな、とハトーシンはとぼける。
「殺さないで下さい……」
モナーはもう泣き声になっていた。
その声を踏みにじるように背後でガラガラと大きな音がして、
倉庫の扉が閉ざされた。
完全な闇が、辺りを覆った。
小さな閃光とともに、銃声がふたつ、響いた。
ドサリ、と何者かが倒れる音がした。
111 :
名無し物書き@推敲中?:2005/11/06(日) 14:12:08
ハトーシンが、倉庫の壁についたブレーカーを上げる。
天井に付けられた幾つもの蛍光灯が、昼寝から起こされた保育所の幼児のように、
ばらばらに点滅し、ゆっくりと白い明かりを点した。
そして倉庫の様子を照らし出す。
ハトーシンは、そこにギコとモナーの死体を見るつもりでいた。
二人が頭から流した血が、倉庫の床を赤黒く汚しているはずだった。
だが、そこに倒れていたのは、二人の部下だった。
今、ギコに脚を払われた三人目が倒れた。
その男はコンクリートの床に頭をぶつけ、鈍い音をたてた。
ハトーシンは、無能な部下に舌打ちする。
彼の右の眉は吊り上がって痙攣した。
「撃ち殺せ!」
ハトーシンが怒声を上げる。
ギコは両手のロープを外していた。
「来い」
床にうずくまっているモナーの手を引くと、ギコは倉庫の窓に向かって走る。
≪感想≫
>>110-111 モナーがすっかりヒロイン化していて笑った。可愛い。
いわゆるキャラ萌えをして、これが>1にとっては、続きを読みたくなる一番の要因になった。
>モナーが入るのを嫌がっている。
ここでうちのワンコロを思い出して、プルプル震える可愛いモナーを想像した。
>モナーの手を引くと
おなじ警察官の筈が、保護されてヒロイン化しているモナーに笑った。
他にも、工夫された部分が面白かった。まず比喩表現が面白かった。
>冷徹な死神のように
ここが一番ピッタリ合っていて好き。
次に、展開が上手いと思った。突然の暗闇を作り次に明るくなった時に、
予想外の事を起こす……という読者を飽きさせない展開が上手い。
今後、この方向でもっと上手くなって面白いものを読ませて欲しい。
比喩表現については、誰視点からの比喩を書くのかを考えるのも面白いと思う(素人意見ごめん)。
キャラ萌えを引き出せる人なので、それが出来ない>1としてはとても羨ましい。頑張って!
113 :
1 ◆fHUDY9dFJs :2005/11/06(日) 20:05:31
1はまず文章打つ前にAA作れるようになったほうがいいよ
かなり悲惨
同意
頑張ってるのは微笑ましいんだ、同時に痛々しくもある
116 :
名無し物書き@推敲中?:2005/11/07(月) 08:07:45
もう復活したのか。二日しかもたなかったな。
117 :
名無し物書き@推敲中?:2005/11/07(月) 11:35:21
___......__
/ \ かくして事件は解明偏を欠き、迷宮というファイルに閉じられ終わった。
/________ヽ
118 :
名無し物書き@推敲中?:2005/11/07(月) 11:41:30
___......__ 大捜査線の網の目のから逃れた者は誰か。それは重い蓋の下に閉ざされた謎。
/ \ いわぬが花よ、にだ。
/________ヽ
119 :
名無し物書き@推敲中?:2005/11/07(月) 11:42:30
/ \
/__________ヽ
| ∧_∧ | ウェーハッハッハ
ヽ< `∀´ >/
/ /
〈 (
し J
120 :
名無し物書き@推敲中?:2005/11/07(月) 11:46:30
∧_,,∧ 半島では事件解決できなかった人の罰ゲーム決まっているニダ
- < `∀´ > 虫の卵入りキムチ食うニダ ウェーハッハッハ
(mO) )
〈 (
し―-J
121 :
名無し物書き@推敲中?:2005/11/08(火) 17:56:58
122 :
名無し物書き@推敲中?:2005/11/10(木) 00:06:47
___
__!___l -∧_∧ 「ニダが犯人だったらしいよ」
| ̄(´∀`)(゜∀゜) ̄| 「別に驚かないね。お約束さ。それより僕は君の乱れ方の方に
|\ ⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒\ 驚愕をおぼえたよ」
| .\ \ 「うふふ。憎いひと」
\ |⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒|
\.|____________|
123 :
名無し物書き@推敲中?:2005/11/16(水) 20:21:49
1が消えてから早10日。
迫り来るのは自由を拒むように硬く閉ざされた二重窓。突然ギコがモナーの
手を離した。
「ギコ!」
モナーが不安に叫ぶ。悲痛を感じさせる彼を、ギコは強い目で見返した。
「付いて来いよ!」
ギコは迷いなく窓に向かって跳んだ。モナーは恐怖に慄いた。ギコが向かっ
ている窓は、普通なら体当たり程度で破れる窓ではない。怖さで息が止まりそ
うなモナーの前で、ギコは素早く、持っている筈がなかった銃を抜き、窓に向
かって連射した。甲高く激しい音が倉庫を満たし、砂が降るように窓が破られ、
ギコはその中を、まるでグラウンドを走るランナーのように、これが当然とい
う態度で通り抜けた。
耳をつんざく音と予想外の事態に誰もが呆然とし、動きを止める。
静寂が訪れた。それは時間が歪み止まったような奇妙な静寂だった。
長く感じられて実は一瞬の、その静寂から最初に立ち直ったのはモナーだっ
た。
「モナー」
という泣き声と共にギコの後を追う。その声にハトーシンが我に返り、腕を
振り上げた。
「何をしている! お前ら、追え!」
−−−
「ギコ、銃持ってたモナ?」
「今は逃げるのが先だ」
ギコは、息を切らせて追ってきたモナーの手を再び取り、あつらえたように
すぐ近くにあった車に乗せた。
「警官が車を盗むモナ!?」
「俺の車だ」
ギコは付けられたままだったキーを回し、すぐにアクセルを踏んだ。爆音と
いうのが相応しいエンジン音が静かな港湾に響き渡った。そして後には、悔し
がるハトーシン達のみが残された。
125 :
1 ◆fHUDY9dFJs :2005/11/16(水) 23:02:27
126 :
1 ◆fHUDY9dFJs :2005/11/17(木) 18:36:20
誰か純文学風な重厚なのを書いて欲しい。ギコとモナーじゃ無理かな。
もちろんラノベ調も歓迎だけど。
この設定でそれは無理だ。
128 :
1 ◆fHUDY9dFJs :2005/11/17(木) 18:39:39
>>127 設定気にしなくていいよ。これまでの話でも設定通りじゃないし。
129 :
名無し物書き@推敲中?:2005/11/18(金) 21:24:26
俺はこのコップが好きだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!
130 :
名無し物書き@推敲中?:2005/11/19(土) 02:02:45
胸ポケットに常駐していたチョコボールは既に融けていた。
シャカシャカと振ると箱の口を注視する。
その太すぎるだいこん足に落ちた一粒は、まるで珠玉の宝のように感じられた。
摘み上げたそれを眺めると、思わず嬉々とした言葉を発してしまった。
不意に視界がゆがむ。
右わき腹に腹痛が走り、視線を向けるとギコのこぶしが食い込んでいた。
声にならない悲痛な叫びをあげ、必死に目で謝罪を訴えるといつもの長い長いお説教がはじまった。
僕は朝食は何を食べようか、窓の外を眺めた。
131 :
名無し物書き@推敲中?:2005/11/19(土) 02:07:48
↑
※○→僕の太すぎる ×その太すぎる
↑
※○右わき腹に激痛 ×右わき腹に腹痛
133 :
1 ◆fHUDY9dFJs :2005/11/19(土) 17:01:56
>>130-132 投稿ありがとう。流石は創作文芸板って感じの文章だね。
一応規定文字数があるので、訂正した
>>130に付け足して、
600字にして再投稿してくれると本編の続きに出来るのでありがたい。
20日朝8:00頃まで待って、再投稿がなければ、
これは番外編ということで感想を付けるね。
しっかりお腹に溜まる感じの文章で嬉しいよー!
ついでに番外編を募集しよう。
>1の感想が付くのは同じ。
名前欄か本文の、よく分かる場所に、「番外編」と書いてね。
5、6台のハトーシンの追手もギコの運転には敵わなかった。
ただ、追手を撒いてからしばらくしても車内の液晶はずっと3桁の数字であることは変わらなかった。
「ちょっ、ちょっと、もう追手は撒いたモナ」
挑発するかのようにメーターはどんどん上がっていく。
「えっ…やめるモナ!速度違反だモナ」
ネオンにぶつかる蛾のようなそんな、腹立たしそうな返事をされた。
「ふぅ……」
緊張したあとは何かと甘いものが欲しくなるもの。
こういうときに備えて僕の胸ポケットにはいつも何かしらお菓子が入っている。
このとき常駐していたのは……チョコボール。
既に融けていたチョコレートをシャカシャカと箱の中で躍らせると、箱の口を注視する。
僕の太すぎるだいこん足に飛び出した一粒は、まるで珠玉の宝のように感じられた。
摘み上げたそれを眺めると、思わず嬉々とした言葉を発してしまった。
不意に視界がゆがむ。
右わき腹に激痛が走り、視線を向けるとギコのこぶしが食い込んでいた。
声にならない悲痛な叫びをあげ、必死に目で謝罪を訴える。
なにかおかしい。
ギコは黙ってたばこを吸殻入れに押し付けると深くため息をついた。
すると足をトントンとばたつけはじめた。
「な、なにをそんなに怒っているモナ?」
これは渋滞で込んでいる時とか、イラついているときによくするギコの癖モナ。
「今ごろ気づいたのか……」
そんな横目で睨まれると静かに降りろと言う。
「もういい、お前との付き合いはこれまでだな、降りろ……いいから降りろや、ゴラァ」
僕は蹴飛ばされるように車を降ろされた。
信号は青になり、けたたましい爆音とともにギコは去っていった。
「なんでモナ……」
僕は呆然と立っていると後ろから声をかけられた。
「すいませーん、こちら本日開店となっております」
渡されたのは外食チェーン店のクーポン券。
腕時計の短針は既に8時をまわっていた。
僕は少し躊躇した後、その店に入った。
136 :
1 ◆fHUDY9dFJs :2005/11/20(日) 08:42:55
>>135 再投稿ありがとう。
≪感想≫
チョコボールに関わる描写がとても面白い。
>僕の太すぎるだいこん足に飛び出した一粒は、まるで珠玉の宝のように感じられた。
この一文を読んだ時、この書き手はいいものを持っている! と感じた。
それは、これが普通とは違った独自の視点で書かれているからだ。
「甘いもの好き」を強調したモナーからの視点だ。
描写もいい。感じられるのは、
>注視する
甘いものに対する執着
>太すぎるだいこん足
モナーのコンプレックスとコミカルさ
>珠玉の宝
モナーにとってチョコボールが物凄く大切なものであること
>嬉々とした
甘いものが好きなこと
等々……。本当にいい表現だと思う。
キャラクターを完全に自分のものにしていると感じさせられた。
モナーの一人称で書かれていることも、この表現に合っていていい。
残念なのは、上下を付け足してもらったことで(>1が言ったことなのにごめん!)、
この表現がぼけてしまったこと。
全て甘いもの好きなモナー視点でまとめたものを読みたかった!
ところで、この「独自の視点」は、書き手に独自の感覚がなければ出来ないもの。
こういう視点を持っていることに、
>>135は自信を持って欲しい。
身に付けようと思って身に付くものではないから。
そしてこれを今後も生かして、面白いものを書いて欲しい。
これからも頑張ってね。
良かったら>1にも読ませてね。
138 :
名無し物書き@推敲中?:2005/11/21(月) 18:20:29
僕は連続した危機に疲労困憊し、ギコを怒らせてしまって落ち込んでいた。フラフラと
わかめダンス風で店に入った。
「いらっしゃいませぇ(はぁと)」
ふりふりエプロンでピンクなウエイトレスが、うそ臭いほほえみを向けた。引き返そう、
と思った。こんなポヤヤンでうそ臭い雰囲気は、今の気持ちに似合わない。もっと落ち着
ける、渋い場所を探すことにした。
「オムライスとチョコレートパフェとメロンソーダ」
しかし、口が勝手に注文を口走っていた。僕の食欲が僕の口を勝手に使ったのだ。僕の
食欲が。僕の食欲め。僕の食欲め! 目に悔し涙が溢れた。
「こちらへどうぞぉ(はぁと)」
悔しさでグズグズと鼻水をすすりながら、クーポン券は手にしっかりと握り締め、背中
を丸めた負け犬状態でウエイトレスに付き従った。ウエイトレスの案内したテーブルでは
シイ探偵が手を振っていた。僕は回れ右をした。
「ちょっと待ちなさいよ!」
三歩歩いただけで僕は、うまが合わないシイ探偵に簡単に捕まってしまっていた。悔し
い!
「僕が悪いんじゃない、食欲が悪いんだ!」
悔し紛れに訳の分からない言い訳を口走っていた。シイ探偵の右フックが僕の頬に炸裂
した。生まれて初めてパラシュートが破れて落ちた時以上の衝撃だった。店の入り口まで
吹き飛ばされた。
「あまったれてんじゃないわよ!」
シイ探偵がメンチを切った。僕の言い訳も訳が分からないが、シイ探偵はもっと訳が分
からなかった。しかし負けたのは確かだった。
「ちくしょう!」
僕は滝のように涙を流しながら店を飛び出した。
↑モナー視点 一人称
あと、名前が消えてた。
141 :
1 ◆fHUDY9dFJs :2005/12/06(火) 22:37:22
”インテリジェント・ゴリラスーツ”を常に身に着けることが、この未来社会での第一のルールだった。
それを着用しない外出は、まさしく死を意味した。ゴリラスーツに装備された高価な機械が発見次第
すぐ反応し、パワーアームで、即撲殺。辺り一面が肉片や汚物で汚れても、パワーアームできれいに
掃除するから手は汚れずに済む。未来社会では水は人の命よりも高価だから、それは環境にも
やさしい。指先すべてに仕込まれた、肉食の昆虫が全ての肉片や汚物を食べてしまうのだ。その後、
今度は虫が排泄した糞がゴリラスーツの動力となるのである。何と合理的であろうか。
このゴリラスーツを開発した、J・チャリティ博士はその為に大いに苦労した。
143 :
名無し物書き@推敲中?:
それにしても、無名草子さんたちとは、さぞやすごい作家先生の匿名書き込みなんでしょうね。
作家なんて才能が全てだから、津井ついみたいに、いくら努力したって駄目なものは駄目ですよ。
私なんか、早々に見切りをつけて趣味の世界で細々ですから。
小説現代ショートショート・コンテスト優秀賞受賞 阿部敦良