この三語で書け! 即興文ものスレ 第二十ボックス

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306名無し物書き@推敲中?
 教会内は、ステンドグラスを通した光で彩られていた。虹色に染まった光の中、
神の子たちの歌声が響いている。私が作った賛美歌を歌っている。
「これを目にできて幸せだ」
 傍にいた弟子が「そうですね」と、静かに頷いた。
「教会から破門され、帝国から追放宣告されたとき、私の修道士としての人生は
終わったと思っていた。不幸だと思っていた。しかし、恵まれていたのだな。私
を保護してくれた選帝候、そして共感してくれる人たち、君たち……」
 神の子たちの歌声は、帝国と教会からの迫害に疲れた心に沁みた。
「師は、どうして修道士になったのですか」
 ふと、弟子が問いかけてきた。私はその頃を思い出し、苦笑いをした。
「大学で学んでいた頃、神の偉大さを見たのだ」
 実際は、目前に雷が落ち、恐怖で修道士の誓いを立てたのだった。
「マジ怖かった」
 思わずぼそりと呟いてしまった。
「何かおっしゃいましたか」
「いや、何も」
 その時、教会の鐘が透き通る音色を響かせた。教会内には、賛美歌を歌い終え
た神の子たちがすらりと立っていた。言葉が零れた。
「この美しさが胸にあればこれからも頑張れる。そう思わないか」
「お供します」
 今、この時を忘れないだろう、と思った。

     了
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題改変容赦願(エセ中国人?)

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