「テレコ」 1/2
「バカ、ワタシ以外の先生に見つかってんじゃないわよ」
ボソッっと担任がオレに呟く。口元は少し笑っているように見えたので、そこまで怒って
いる訳じゃないだろう。タバコを吸っている現場を生活指導に見つかり、かれこれ三十分。
職員室の隅の応接セットで待たされている。今回で三回目、そろそろ停学も覚悟かな。
「先生タバコ持ってない?」
あまりにも待ってる間が手持ち無沙汰なので、思わず口から出かかった。そんな事言ったら
さすがに殴られるだろう。
そのとき生活指導のセンセイが入ってきた。
「まぁ、分かってるとは思うけど、ニ週間ね」
……まぁ、しょうがない。
次の日から家でゴロゴロしていたが、母親の小言を我慢すればそんなに悪い生活じゃない。
大学に行くわけでもないから、内申書なんて関係無いし。三年のニ学期からという中途半端な
時期に転校してきたオレには、学校に友達もいないし。ただ、生活指導に嫌味を言われていた
担任には少し申し訳ない気持ちがあった。
熱血丸出しの担任は一人浮いているオレを気に掛けて頻繁に声をかけてきた。タバコを
初めて見つかったのも担任だった。昼飯をオレと食べようと探し回っていたそうだ。
「あ、キミってそういうタイプ?」
そのヒトコトで黙認してくれた。それ以来、時々昼休みに一緒に食べた。一人で食べる
よりはよっぽど楽しい。教師とは言え若い女だし。
「テレコ」 2/2
停学七日目の火曜日、十五時過ぎに担任から携帯に電話がかかってきた。
「ちょっと学校来て、いいから来て、早く来て、教室で待ってるからね」
有無を言わさぬ感じで電話は切れた。ちょっと怖い。なにがあったんだろうか。急いで
制服に着替えて学校に向かう。大急ぎで自転車をこいで到着まで二十分を切った。過去最速
記録を更新。
上履きの踵を踏まずにきちんと履き、教室のある三階まで駆け上がった。
教室に入ると担任はいなかった。代わりに同じクラスの女子が一人、オレの席に座っていた。
「あ、あの、これ……」
近づいたオレにそう言って小さな箱と手紙を押し付けると、教室を出て行ってしまった。
なんだコリャ。状況をつかめないまま机に腰を下ろす。
そのとき携帯にメールが入った。担任からだ。
――この学校で過ごす期間は短くても、イイ思い出の一つも欲しいでしょ。今日はバレンタイン
だから、特別登校許可ね。帰りに生活指導にミツカルナ。また来週。
オレは涙が止まるのを、教室で一服して待った。
<end>
いいじゃん。
「チョコレートサーフィン」
フランス製の深皿ボウルは、海をすくいとったような色。
海岸通のお店で見つけて、お小遣いを貯めて買ったのはおととしのこと。たった一つの
チョコを作るために、マドラーもスプーンも全部揃えた。去年はケーキ型を買った。大学
に入ったらバイトをして、バーミックスの泡立て器も買えると思っていた。
今月はバイト代が余っていたから、買おうと思えば買えたのにね。
溜息を消すために、わたしは板チョコの銀紙を破る。ナイフを持つ。チョコを削る。
深皿の海にチョコは散り積もる。ごめんね、せっかく綺麗に固まっていたのにね。溶か
されて、また別の形に固められて。おもちゃじゃないのにね。
明日は部活もバイトもある。部室に何人先輩が来るかわからないから、小さく切ったブ
ラウニーをギフトボックスに詰めて、ラップをかけて置いておく。バイト用には、一つず
つラップに包んでリボンをかけておこう。リボンあったかな。お母さんが寝る前に聞いて
おけばよかった。去年もおととしもこうして作っていると、お父さんはぶつぶつ言いなが
らやってきて、冷蔵庫を開けて閉めては出ていった。今年は義理チョコだけだと知ったら、
覗きにも来ない。
散るが愛しく寝て削るなり、とはいかない。お徳用の一番大きな板チョコは、削っても
削ってもまだ手に余る。先に削ったチョコが溶け出してきてしまった。まだ半分残ってい
るチョコを置き、木べらでボールの底を掬う。とろりと滑らかな液体が、上に散ったチョ
コの粉を飲み込む。柔らかくあたたかい流れ。
このまま流れてどこか遠くへ行けたらいいのにね。
冷たく固められてしまうより、本当はその方が嬉しいでしょう。
ねえ、チョコ君、どこか行きたいところはない?
義理チョコなんて名前を付けられるまえに。流れるままに。
ねえ、本当に行きたいところはないの?
あ、と思い出した。
木べらとボウルを胸に抱え、そっと二階へ移動する。
パソコンを起動させ、いつものブラウザをクリック。
バレンタインデイ祭と入力。
チョコ君、旅をしておいでよ。
まだあたかいうちに。やわらかな流れのままに。
でも一つお願いがある。
旅の途中、わたしと同じ画面を見ている人に出会ったら、どうか伝えて。
わたしの感謝を、どうか伝えて。
(終)
「魔法のチョコボール」
三条夕子の奏でるピアノの曲が音楽室から漏れて、くぐもった音になって昇降口に突っ
立っている俺の耳に届く。吹奏楽部に所属する彼女は早朝練習を日課にしていて、毎朝、
学校中にその音色響かせているのだ。これを知ってから、俺は部活の朝練が好きになった。
俺のひそかな楽しみのひとつだった。
「聞いたよな」
「聞いた」
さっきまで三条がいた場所に、俺と部活仲間の高橋は立っている。
「お前、俺が、ってのは、いつから知ってた?」
「けっこう前からだな」
「三条は気づいてないよな」
「多分、クラスのやつらも知らないと思う」
俺は白地に黒で田中誠と印字されたシールをみつめていた。
この靴箱に、三条に付き添われた及川智子が白い小さな紙袋を入れているところを俺は
見ていた。
――はー、緊張した。
胸に手を当てて深呼吸する及川に、お疲れ様、と三条は笑いかけた。
――うん、ユウはいいの? いないの? チョコあげる相手。
――うーん、好きな人いないもん。
――そっかー、そうなんだ。ユウかわいいのにもったいないなあ。
――トモ、うまくいくといいね。
――うん、ありがと。
ふたりは笑い合いながら、校舎へと消えていった。
「篠宮」
呼ばれて振り向くと、高橋がなにかを俺に向かって投げてよこした。慌てて受け取ると、
それはキャラクターもおなじみのチョコボールの菓子だった。
「食え」
「おい、いきなりなんだよ」
「いいから食え」
有無を言わせない高橋に負けて、手のひらに出したチョコボールを口に放り込む。男か
らのプレゼントでも、まあ普通にうまい。
「つか、男にチョコなんてもらっても嬉しくねえ」
いつものように笑おうとして、パッケージの表面に黒いマジックでなにか書いてあるこ
とに気づく。
『これは魔法のチョコボールです。
ひと粒食べれば病気は治るわ大金を拾うわ
彼女をすっ飛ばして愛人ができるわで、もうウハウハです。裏へ続く→』
ひっくり返す。
『おまけの効果として、
長い間片思いをしてる相手に告白するための勇気も湧き出てくるという優れもの!』
顔を上げると、高橋が筆箱をカバンにしまいながら、俺を見た。
「行け、篠宮」
三条の弾くピアノの旋律は得意の、ゆったりとしたスローテンポの曲になっていた。
俺は音楽室を目指して走り出す。
リノリウムの床に滑りそうになりながら、階段も二段飛ばしで、驚きの速さで効いてき
た魔法のチョコを噛みしめながら、全力で。
〈了〉
投稿期間終了です。お疲れ様でした。
これから19日〈日〉まで感想期間になります。よろしくお願いします。
お疲れさまでした!
よろしくおねがいします。
最後の作品は、
三条は及川のチョコ入れ(田中君宛て)に付き添った。
それを篠宮(俺)が見ていた。
そして三条は好きな人がいないのを知る。
それを高橋に相談。
さっきまで三条がいた場所=下駄箱?
高橋が励ます。
って事かな?
これはバレンタイン当日の早朝のお話でしょうか?
主人公の諦めが早い気がしますが、15日の早朝なのかな?
少々状況が掴みにくくて何回か読み直してしまった。
でも、こんな話好き。
>>668テレコ
独白調の文体はその文体自体が主人公の性格を構成するんだよね
>大学に行くわけでもないから、内申書なんて関係無いし。三年のニ学期からという中途半端な
>時期に転校してきたオレには、学校に友達もいないし。
という描写と、文体(口調)、煙草というキーアイテムから想像される主人公の性格とは、
ありていに考えると「斜に構えたひねくれ者・無気力系」という感じだろうか
文体はラストまで崩れることなく統一できていると思う
ただチョコを渡した女子のことを華麗にスルーしているのがどうも
自室→自転車→教室という、短いセンテンスでの舞台移動でラストへの勢いがついているから、
ここで女子のことをだらだらと書くと逆にリズムを崩しちゃうんだろうけど、流石にもう一文欲しかった
あと、主人公以上のひねくれ者である俺がこの立場だったら、担任のメール見た瞬間、
あの女子は俺にチョコを渡すよう担任に頼み込まれたんじゃないか、などと邪推してしまうんだろうけどこれは蛇足だ
最近の高校じゃ煙草めっかっても一発で停学くらったりせんのな
従兄弟は一発で停学になってたが、まぁこれは学校によって変わるものだろう
俺も高三の頃から吸い始めたけど、半年くらいは一日一本か二本で充分だった
待ってる間も思わず吸いたくなるってくらいなら、かなり以前から吸い始めていたことになる
なかなかのニコ中になっているだろう そういうやつは、飯を食ったらすぐに煙草を吸いたくなるものだ
そんな主人公が昼食を教師と共にしているっていうのはどうだろう 黙認とはいえ流石に目の前だとNGになると思う
こういうディテールにもこだわるといいかも 特に愛煙家って偏屈が多いしね 俺とか、俺とか、他にも俺とか
なんか最後の方にどうでもいいようなことを書いた気がするけどまぁいいか
お疲れ様
>>671チョコレートサーフィン
これも独白調 さらに特化した文体
まわりなんて関係ない 目に映るのは自分だけの世界 デストローイ(AA省略
読んでて思ったのは、なんだか良い方向へ鬱屈してるなぁと いや、主人公がね
無機物相手への呼びかけとかも、こういう作品にとっては常套手段だからいいとして、
その呼びかけの根底に流れている「優しさ」がどこへ向かってのものなのか
読んだまま、義理チョコへと姿を変えられるチョコへなのか、
それとも本命を渡す相手がいない自分への感情の裏返しなのか
ラスト三行でどうやら後者じゃないかなという気がするんだけど、
流石に数十年間完全無欠の男として過ごしてきた人間なんで自信はない
淡々としたチョコ作りの作業の描写なんかは気持ちよく読めたんだけど、
ラストの五行で頭抱えちゃった ここだけポエムになってるよぅ
これを受け入れられる人と拒否反応起しちゃう人で評価は極端に分かれると思う
ゴメン 俺には無理だった
こんな感想にもなってない余計な駄文書いてないで、女性からの感想を待つのが正解だろう
お疲れ様 ろくな感想書けずに申し訳ない
>>673魔法のチョコボール
こちらも一人称視点だけど独白は使わず普通の描写に終始している
図らずも三者三様の文体構成になっていて、読者に与える印象の違いが浮かび上がって面白い
当たり前といえば当たり前なんだけど、文体のみで見ればこの作品が一番安心して読めた
安心して読めたっていうのは裏を返せばだらだらと読み飛ばすこともできるわけで、
そういう意味では話の筋や描写なんかに読者を惹きつけるものがないと薄っぺらくなってしまう
で、その話の筋なんだけど、「小粋な贈り物」というちょっといい小話的なものとしてはお手本のような作りだと思う
友人のために、バレンタインの前日にチョコのパッケージに字を書く男という、
歪んだ性格の男からみたら背中がぞわぞわしてしまいそうなエピソードなのに、
ラスト五行目の台詞を含めて、これっぽっちも嫌味を感じさせない
1000文字の中に流れてる時間もゆっくりとしていて、ラストの疾走感が、
物語の終了後から始まる別のドラマへの盛り上がりを連想させるようないい締め方になっている
ただ描写の方にちょいと引っかかる部分があった
五〜十一行目までの台詞が、初見ではどちらが誰の台詞なのかが分からなかった
最後まで読んで、もう一度見直してようやく分かった この部分はちょっと不親切かと
あと、
>これを知ってから、俺は部活の朝練が好きになった。
>俺のひそかな楽しみのひとつだった。
冒頭二文が少し長めの文だったので、ここが少しテンポが悪くなっているように感じる
使い古された表現だけど、「これを知ってから、眠気と寒気に苛まれるだけだった朝連に、
ひそやかな楽しみが一つ増えることになった。」みたいな感じに一文に纏めてもよかったかも
なんか長々と実のないことを書いちゃったけどお疲れ様
>テレコ
チョコはありがたく受け取れよw
読みやすかった。ストーリーも好きだ。
ただラストがな。担任との関係に終始する方がよかったんじゃね?
いきなり出てきた無名の女にオチ持ってかれんのはちょっとな。
>サーフィン
チョコが来たw
メタということでOK?この祭の画面みた俺が感謝してもらえるんだよな?
すまん。俺にわかるのはここまで。メタだとすれば、さらに詩みたくなってるのは無理があるんじゃないかな。
でも優しい雰囲気は好きだ。ただ甘いだけでなくどこか苦くていい。
>魔法
チョコもらうのかよw
ちと読みにくかったかな。名前が多過ぎる。
誰が何しているのかわかりにくいから、読み返した。
男同士も悪いわけでないが、これは女同士で魔法チョコ渡す話に換えてもいけるよな?
年頃の男の会話にしたいなら、もすこし照れやふざけた感じ出して工夫しないと、
退かれるかもしれない。でも話は好きだ。
感想ありがとうございます。
因みに題名は、生徒の方じゃなくて先生なんだよ、って事で「テレコ」にしました。
読み返してみれば教室に女子要らないか・・・。
担任のチョコが机にのってればソレで良かったんだなw
もともと担任が男の設定で書き上げて、
甘くしようと女担任に変えたからこんな事になったんだ。
オチも迷ったけど、「結局最後は教室で一服(タバコ)するんかい!」
っつー、コント的切ないバカ少年にしたかったんですよね。
まぁ、あんまりバレンタインは関係無い話にはなっちって反則でしたね。
スマソ
「テレコ」
>>668-669 主人公の一人称として違和感のない文章と、妙にリアリティのある担任がよかった。
もしかすると作者さんはこの主人公と近い年齢なのかもしれませんが、
>タバコを初めて見つかったのも担任だった。
>急いで制服に着替えて学校に向かう。大急ぎで自転車をこいで到着まで二十分を切った。
こういうところも狙いであったなら驚きます。
全体的に見ても、とくに引っかかってしまう部分もなく面白く読めました。
ただクラスメイトの登場が唐突に感じたので、出すのであれば、
あらかじめ「担任はクラスの女子にも慕われている」というようなことを書いておくのもいいかもしれません。
ですが、最後の一文がものすごく惜しい。
それまでの流れで現実的な物語だと読んでいただけに、主人公のこの行動は最悪です。
>オチも迷ったけど、「結局最後は教室で一服(タバコ)するんかい!」
>っつー、コント的切ないバカ少年にしたかったんですよね。
と作者さんが仰っているのでこれ以上の言及は避けますが、
「コント的」を狙うのであれば始めからそう提示した書き方をするか、
例は出せませんが、もっと別の「オチ」をもってくるべきだったのではないかと思います。
(
>>678さんの仰る「勘違い」というのもいいですね)
タイトルの「テレコ」ですが、
>因みに題名は、生徒の方じゃなくて先生なんだよ、って事で「テレコ」にしました。
「食い違う」という意味から、「俺(主人公)が気になっているのは担任なのに…」だったのでしょうか。
最後は感激の類ではなく、そういう「涙」なのかな。
ともあれ、投下お疲れ様でした。
「チョコレートサーフィン」
>>671-672 この雰囲気ですね。いいな、羨ましい。
いくら頭を捻っても気づくと「あらすじ的な」ものを書いている自分が嫌になります。
しかし難解だ。
前半はまだ「泡だて器を買わなかったのはなぜだろう」とか
「この主人公はなぜこんなに思い詰めてるんだろう」と展開を期待しながら読めたのですが、
だんだんとわからなくなっていきます。
「え、え、ブラウザ? …バレンタイン祭て」
最後には「い、いきなり誰に語りかけてんの」と、
>>679さんとほぼ同じ感想でした。
小物の使い方や女性的な視点、書き方がいい雰囲気を出していて、
ある種、詩を読んでいるような、飲み込まれてしまうような感じは好きです。
この主人公は、好きな相手に振られたかなにかで本命を渡す相手が
いなくなってしまって、落ち込んでいるのだと読みました。
そういう物憂げな心理描写は上手だと思いますし、
それでもチョコは手作りする主人公や覗きにくる父親というのもいい味を出しています。
でも通して考えると、申し訳ないですが僕も気の利いた感想はできそうにないです。
もしリアルと繋がりのある話なのだとしたら、これがその方に伝わるといいですね。
投稿お疲れ様でした。
>>668-669 面白かったです。
すらすら読めて主人公の気持ちに感情移入できて、
女の先生も、こんな先生いたらいいなあって好感がもてます。
>「バカ、ワタシ以外の先生に見つかってんじゃないわよ」
>ボソッっと担任がオレに呟く。口元は少し笑っているように見えたので、
こういうところも、いきなり会話から始まっているのに、
説明なくてもすぐ状況はわかるし、
二人の言葉のいらない呼吸の会話みたいな感じで、
とても好きです。
>そのとき携帯にメールが入った。担任からだ。
こういうの、参りました。
先生と学校でメールって、すごくどきどきします!
一つだけ残念だったのは、
やっぱり他の人と同じで、
個人的にこの先生がすごく気に入ったから、
この先生と主人公とのラストの方が見たかったかなと思いました。
>>673-674 いいですね、男の子同士。
二人とも友達にしたいような男の子で、
女の子達もとても可愛くてきらきらしてます。
こういう人の描き方好きです。
>彼女をすっ飛ばして愛人ができるわで、もうウハウハです。裏へ続く→』
この裏へ続く、というのが、好きです。
裏へ続く、こういうところでぎりぎり計るというのか試すというのか、
冗談で誤魔化しながら、でも大事なこと伝えてる感じですね。
1000字でこういうの使おうと思ったら、かなり字数計算しないといけないし、
すごいなあと思いました。
ラストぐんぐんスピードアップして終わる感じも、
1000字ならではの技をきっちり使ってきた感じでいいですね。
たくさん登場人物が出てきたので、あれ、あれ? と
ちょっと読み返す部分があったとこが残念だったのですが、
短い名字だけで統一してしまったらどうだったでしょう。
でも学校だから、フルネームの方がやっぱりいいのかな。
みなさん読んでいただいてどうもありがとうございました。
おまつりお疲れさまでした。
たのしかったです。
というわけで、
読み返すだけで恥ずかしい。。すみません。
たぶんメタを書いてみたいとか、思ったかもしれないのですが、
でも、書きたかったのはたった二行で、
さりげなく書こうとしたはずが、言葉ぬりかさねてしまって、
大失敗……。
以下書きたかった二行を。
鍛錬大会スレのみなさまいつもお世話になっています。
バレンタインです。どうぞ。 つ【甘いチョコレート】
感想期間終了です。
参加してくださった皆さん、本当にお疲れ様でした。
魔法のチョコボールです。たくさんの感想ありがとうございます。
では感想返しを。
>>677 すぐにレスを返したかったのですが、
それが言い訳になってしまいそうな気がして、終わるまで勝手に我慢してました。
お待たせしてしまい申し訳ないです。
>三条は〜
仰るとおりです。
ストーリーを要約すれば、
片思いをしてきた相手には特定の男がいなかったのだと知った主人公が、
友人に告白の「きっかけ」をもらい…、という感じでしょうか。
こうして考ても、今回もテーマとのつながりが薄いですね。反省しなければ。
>これはバレンタイン当日の早朝のお話でしょうか?
設定上は当日(14日)の早朝です。
「バレンタイン」→「といえば、下駄箱にチョコ」→「で、それを目撃している男がいて…」という風に連想して書きました。
わかりやすく読みやすくと意識して書いているのですが、まだうまくバランス感覚をつかめないのが歯痒いです。
今後とも最大の課題になりそうで、こういう感想をいただけるといい戒めになりますね。頑張ります。
>でも、こんな話好き。
このひとことで努力も報われる思いです。ありがとうございました。
>>680 照れくさいですが、褒めていただけると本当に励みになります。
構成や描写を考える上で意図したものをそのまま受け取っていただけたのも嬉しいです。
>歪んだ性格の男からみたら背中がぞわぞわしてしまいそうなエピソードなのに、
僕はこれをまったく意識していなかったのですが、問題ありですね。
>ただ描写の方にちょいと引っかかる部分があった
>五〜十一行目までの台詞が、初見ではどちらが誰の台詞なのかが分からなかった
>最後まで読んで、もう一度見直してようやく分かった この部分はちょっと不親切かと
読み返すと、ご指摘の数々がもうその通りで、反省しきりです。
推敲の段階でもっと客観的に読むことを心掛けていきます。
>>これを知ってから、俺は部活の朝練が好きになった。
>>俺のひそかな楽しみのひとつだった。
>冒頭二文が少し長めの文だったので、ここが少しテンポが悪くなっているように感じる
>使い古された表現だけど、「これを知ってから、眠気と寒気に苛まれるだけだった朝連に、
>ひそやかな楽しみが一つ増えることになった。」みたいな感じに一文に纏めてもよかったかも
指摘されると、「なんとなく違和感」だったものが「ものすごく違和感」になりますね。
参考になります。
丁寧な感想をありがとうございました。
>>681 >ちと読みにくかったかな。名前が多過ぎる。
構成と書き方に難アリですね。
及川なんかはとりあえず名前(フルネーム)だけで女性だと説明しようとして、
それが効果的にできていると「安心」してしまったのが失敗だったように思います。
こうやって、投稿したものに感想をいただいて、それについて考えて…と、本当に勉強になります。
>男同士も悪いわけでないが、これは女同士で魔法チョコ渡す話に換えてもいけるよな?
>年頃の男の会話にしたいなら、もすこし照れやふざけた感じ出して工夫しないと、
>退かれるかもしれない。
ネタ本位で(魔法チョコとオチを目指して)動かしていってしまい、リアリティを意識していませんでした。
「あらすじ」と言われてしまう原因はここにもありそうです。参考になります。
>でも話は好きだ。
こういう感想をいただけるのも自信につながります。ありがとうございました。
>>686 普段は男女の甘ったるい恋愛話ばかり書いているので、趣向を変えてみました。
同じような1ネタ(下駄箱で目撃、や、告白のきっかけ)でいくつか書いてみて、
最もしっくりきたのが今回の男同士の友情を絡めたものでした。
すこしは自然に書けただろうかと不安でしたが、救われました。ありがとうございます。
>>彼女をすっ飛ばして愛人ができるわで、もうウハウハです。裏へ続く→』
>この裏へ続く、というのが、好きです。
作品ごとに、気に入ったフレーズというか、自信のある箇所がいくつかあって、
たとえばこの「裏へ続く→」のあたりもそうなんですが、
こういうところに気づいていただけると特にありがたいです。感謝。
>ラストぐんぐんスピードアップして終わる感じも、
>1000字ならではの技をきっちり使ってきた感じでいいですね。
>>680さんの感想にも書いていただいたのですが、
ラストは余韻を残すよりも気持ちよくスパッと終わらせたいという狙いがなんとか成功したようで嬉しいです。
>たくさん登場人物が出てきたので、あれ、あれ? と
>ちょっと読み返す部分があったとこが残念だったのですが、
>短い名字だけで統一してしまったらどうだったでしょう。
>でも学校だから、フルネームの方がやっぱりいいのかな。
上のレスにも書きましたが、
「この人は女性です」というのを名前を書くだけで説明してしまったり、
それが悪いというわけではないのですが、適した書き方(構成)ができていないのだと思います。
このご指摘はとても参考になりました。
いつも、投稿したものを1000字制限で書けなかったことや感想で指摘していただいたものを踏まえて
書き直しているのですが、これだけは構成から考え直していくつもりです。
優しい感想をありがとうございました。
>>687 そんな考えが隠されていたとはまったく気づきませんでした。
チョコレートいただきます。ありがとうございます。
--------------------------------------------------
改めて、皆さんお疲れ様でした。
では、通常テーマ「モラル」「ファミレス」「すれ違い」に戻ります。
「ママ、ダイイング・メッセージって知ってるかい」
行きつけであるスナックの五十絡みのママは、どこかで聞いたことあるんだけど、と、
どうやらその単語の意味を知らないようだった。
こんな話がある、そう前置きをし、私は話しだした。
若い女が一人、手首を切り、死んだ。
女の直属の上司だった男は電話でそれを彼女の母親から聞かされ、見て頂きたいものが
あるんですと呼び出された。
死んだ? どういうことだ、男は酷く動揺しながらも、とにかく女の実家を訪ねた。
言葉少なに出迎えた母親が差し出したのは、数枚の写真だった。そこに写るのは一人暮
らしの部屋によくあるタイプの嵌め込み式の狭いバスルームだった。
「これは」一枚を手に取った。浴槽の内側、片側の広い面にだけ血が多く付いている様子
が写されていた。男はすぐに気がついた。液だれしていて書かれている内容までは分から
ないが、これは血文字だ。掠れた指先の跡。写真を持つ手が震えていた。
「警察の方が言うには、あの子の遺したダイイング・メッセージだと」
男は努めて冷静に「何と書いてあるんです」と訊いた。
「『翔太、ごめんなさい』、そう読み取れるそうです」
母親はもう我慢ならないといった様子で男に詰め寄った。
「あの、この名前に心当たりはありませんか? あの子、妊娠までしてたっていうんです。
何の前触れもなく自殺したかと思えば、こんな誰に宛てたのかも分からない言葉だけ遺し
て、その上、娘さんは妊娠していたようですなんて聞かされて、私もうどうしたらいいの
か……」
男は首を振り、嗚咽を続ける母親から逃げるようにして、家に帰った。
そして二日後、彼は勤めていた会社の屋上から飛び降りたのだ。
695 :
伝言 2/2:2006/02/21(火) 13:44:49
「すごい話」
ママはそう言って、肩をすくめた。
「翔太っていうのは誰の名前だったの?」
「どうも男が奥さんとの子供につけようと予定していた名前らしい。二人の携帯メールの
やり取りと、男の奥さんの話で判明したそうだ。当然、男のもとにも警察が話を訊きに行っ
た。彼が死ぬ前にね」
「死んでしまった彼女の、彼に宛てたメッセージだったのね」
怖いな、と漏らして、ママはため息をついた。
私は遥か彼方、生まれ育った街の方角を眺めている。風はなかった。真下を走る車の群
れから吐き出される排気ガスに汚された大気が、遠くの景色を朧気に見せた。
「ママ、本当はね、その上司はこれから死ぬんだ」
呟いて、虚空へと足を踏み出す。
〈了〉 テーマ「モラル」
>>694-695 1000文字だと最大でも四人くらいに登場人物が限られ、話の筋を重視すると更に登場人物を減らさねばならない
サプライズ・エンディングを目指そうとすると、どうしても古典的になってしまうのはいたしかたのないところだろう
で、古典的ではあるけど、筋をほとんど外すことなく最後まできっちり作れていると思う
ただ、娘に自殺された母親が相談する相手として娘の上司、というのはどうなんだろう
電話で済ますことなく家に呼び出してまで、となると特に
上司として面倒見がよく、私生活においても色々とサポートをしてくれていたので親とも面識があった、
とでも考えれば納得がいくんだけど、そうなると今度は不倫相手としての上司の姿がぼやけてしまう
母親との会話の中に、「『翔太』という名前に心当たりが無いか娘の友人にも数人あたってみたのですが」
という一文を差し込んでみれば、この違和感を少しは消せると思う
まぁ、話を根底から覆してしまうような違和感ってわけでもないんで考え過ぎかもしれんが
あと、一人称という構成上、仕方のない事なんだけど、ママとの会話の中に主人公の動きや思考が
全く表示されていないのがもったいないと思う
この話を、とっておきの話の種のようにニヤニヤ笑いながら話しているのか、
何気ない雑談の一部というように無表情で話しているのか、
本当にあった怖い話というようにしんみりと話しているのか
こういう表現があると、ラストの飛び降りのシーンで、
ママとの会話での男の態度には別の感情があったのだ、ということに読者は気づき、
そんな仕掛け(というほどのものでもないけど)が話をもう一段重くするんじゃないかと個人的には思うわけです
そういう意味では、一人称視点で書くより三人称視点で書いた方がよかったかもしれない
お疲れ様
面白かったです それだけにもったいないと思い、構成にまで注文をつけてしまいましたよ
>>694-695 おもしろかったです。とても。
このスレでミステリをみるとびっくりします。
1000字で書くには一番難しいと、たぶん、みんなわかってるので、
きっと最初から厳しい目で見てしまうと思うんです。
それをこんなふうにきっちり落とされると、
上手いです。
>翔太、ごめんなさい
このメッセージが、小説には全く顔を出さないなくなった女の人の、
内にひいた性格とか、弱さとか、
男と男の奥さんをどう思っていたかとか、
その三人の関係みたいなものを、
際だたせていると思いました。
1000字なのに、話がきっちり重いのは、こういう技があるのですね。
ただ、
>母親はもう我慢ならないといった様子で
>私もうどうしたらいいのか
たまりかねて、上司に縋っている感じではないかと思うのですが、
あるいは思いあまって、混乱して、上司に怒りをぶつけてしまうのか、
この二つの文が並ぶと、母親の心情が、
ちょっと難しかったかもしれないです。
我慢ならない、が強すぎて、どうしたらいいのか、が弱すぎるのかな、
でも、気持ちが混乱しているから、これでいいのかもしれない。
読解力の問題かもしれないです。すみません。
698 :
伝言:2006/02/22(水) 11:29:38
>>696 感想ありがとうございます。
> 1000文字だと〜
そうですね、今頃になって1000文字の短さを痛感しています。
ストーリーを重視した場合(プロットがほとんど固まっているような状態)だと、
優先順位的にどうしても書ききれない部分が出てきて、その取捨選択が難しいですね。
今回は少しでも混乱なく読めるものが書けたようで嬉しい限りです。
> ただ、娘に自殺された母親が〜
> 母親との会話の中に、「『翔太』という名前に心当たりが無いか娘の友人にも数人あたってみたのですが」
> という一文を差し込んでみれば〜
> あと、一人称という構成上、仕方のない事なんだけど、ママとの会話の中に主人公の動きや思考が〜
前者は「取捨選択」で削ってしまったところだったのですが、
後者は意識すらしていませんでした(私、という一人称を使いたかっただけかもしれません)。
この感想を読み、自作を読み返して、ものすごく納得しました。
ストーリーごとに一人称と三人称のどちらが適しているのか、そこまで考えるべきだったんですね。
これを再構成時の指針に、もっと深いところまで書き込もうと思います。
> 面白かったです それだけにもったいないと思い、構成にまで注文をつけてしまいましたよ
いえ、こちらこそ感想をいただいてばかりで申し訳ないです。
いつもながら、とてもためになります。ありがとうございました。
699 :
伝言:2006/02/22(水) 11:33:10
>>697 感想ありがとうございます。
> おもしろかったです。とても。
> このスレでミステリをみるとびっくりします。〜
よかった。実はこういう話を受け入れていただけるのか、心配でした。
オチとひとネタ(D・M)を絡め、リアリティのある話として書けたのかということも含めて。
あまり褒められると自惚れてしまいそうですが、ありがとうございます。
> >翔太、ごめんなさい
> このメッセージが、〜
自殺してしまった女性を含めた登場人物の背景や、
彼女と主人公との関係に触れるかどうかは、最後まで悩んだところでした。
好意的に補完していただけたみたいで安心しました。
> >母親はもう我慢ならないといった様子で
> >私もうどうしたらいいのか
> この二つの文が並ぶと、母親の心情が、
> ちょっと難しかったかもしれないです。 〜
母親の言動(特に台詞ですが)は
>>697さんの仰るように、
彼女の取り乱した様子を書こうとしたものです。
最初の文で「主人公が状況を把握するまで、大人として冷静さを保っていたが…」という様、
最後の台詞で「混乱の極みにある」状態だということを表現しようとしました。
読み返すと、ご指摘のとおり言葉の選択に失敗してしまっているかもしれません。
(例え些細なものであっても)気づいたことを書いていただけると本当に参考になります。
気兼ねなくどんどん言ってやってください。
ありがとうございました。
701 :
700:2006/02/23(木) 08:32:38
宣伝ageです。
普段のテーマに沿ったものだと500レス消費するのも一苦労なので
思い切って、毎回毎回季節テーマでやってみてはどうだろうか?
年に12回くらい?
500レス使ってテーマが変わるのも待たなくていいので
年に何回も違うテーマでかけるし。
703 :
名無し物書き@推敲中?:2006/03/04(土) 21:31:46
なんでこうも簡単に過疎るかね・・・。
実際5人くらいしかいないでしょ!?
そんなもんですかね。
はい、4作品投稿してます
いま色々読み返してきたのですが
>>39だけが
イマイチ腑に落ちないのですが、どなたか解説お願いできますか?
直後荒れてしまって、作品についての話があまりないもので・・・。
708 :
名無し物書き@推敲中?:2006/03/07(火) 21:35:49
>>702 現状ではそれがいいかもしれませんね。
とりあえず今は、毎月季節テーマの競作をやっていきましょう。
ただ、もし次スレもそれでいくとすれば、
現在のように毎月月末までに決め、毎月一日に発表していくという方法をとるのか、
立てる前に12ヶ月すべて決めてしまって、それを
>>1のテンプレに追加するのか、ですね。
>>1を読めば把握できるという点で、後者の方が混乱も抑えられ、手っ取り早いかもしれません。
まとめサイトの中の人とも話をしなければなりませんね。まだまだ先の話ですが。
>>705-706 まとめ乙です。ありがとう。
そろそろ卒業式の募集でもかけますか。
俺の予想では明日あたりいくつか来るかなと思ったり。簡素スレの様子をみただけだが。
あれは俺が大学一回生、メグが高校一年の3月14日のことだったよな。俺達は夕食の
後テレビを見ていた。メグの好きなあの映画の、地上波初放送だったと思う。父さんと母
さんはまだ仕事から帰ってなかった。
俺は始まってすぐうとうとしだした。わー、ぎゃー、と叫ぶメグに時折起こされては、
さっさと寝ようか風呂に入ろうか、いやこのままもう少し、と思うのは、久し振りにバイ
トのない夜、兄妹二人で映画を見ている、その安らぎが心地よかったんだ。これは本当だ。
一時間ほど経ったときだった。突然メグが俺を睨み付けた。テレビを切ってリモコンを
俺に投げつけた。何するんだ、と俺は怒鳴ってテレビを付けた。するとメグはテレビの裏
まで回ってコンセントを抜き、言ったんだ。
「ホワイトデーに家でだらだらと、バッカじゃないの」
「は? お前もだろ」
「なっさけない」
「何を突然キレてるんだよ? さっきお返し渡しただろ」
「知らない」
メグはぷいっと横を向いた。
俺は何が何だかわからない。腹立ち紛れにタコ足コードを引っ張り、手元も見ずにコン
セントを挿したんだ。その瞬間だ。
バシッと大きな音がして、強い光が走った。
埃がたまっていたんだ。コンセントを乱暴に挿したものだから火花が飛んで、コードの
穴一つが真っ黒に焦げた。
俺はただ呆然とコンセントを握りしめていた。何が起こったのか漸くわかって、笑った。
そんなときに笑うのが俺の性格だ。笑って、メグを見た。
すると、そう、メグは泣き出したんだ。あんなに声を上げて泣くメグを見たのは久し振
りだったな。
「バッカじゃないの、すぐ手え離しなさいよ、燃えちゃうよ、死んじゃうよ、お兄ちゃん
死んじゃうよ」
動転して泣き続けるメグに、俺は何と言葉をかけたんだっけ。
メグがなぜ怒ったのか、今ならわかるよ。
メグには予感があったんだろう?
次の年、メグは暁君と付き合い始めた。兄妹二人で過ごしたホワイトデーはあの日が最
後だった。だからあの日、うたた寝する俺に腹を立てたんだ。思えば俺も大学に入ってか
らはバイトバイトで、二人でテレビを見るのも随分久し振りだったんだよな。鈍感な兄貴
ですまなかった。
だけどメグ。明日結婚するメグにこれだけは言っておく。
男は鈍感だから、言葉で言われなくてはわからないことが多い。暁君に火花が飛ぶ前に、
すれ違う前に、言いたいことは自分の口で言いなさい。
それからメグ。覚えておけ。
コンセントの火花くらいで兄ちゃんは死なない。
<了> テーマ「すれ違い」〜ホワイトデイ〜
ここに書いた作品はきららに送っても無駄かな?
公開しちゃってるから。
2ch発のネタは初期の方で大賞とってたけど・・・。
715 :
きっとマシュマロはサーフィンができない 1/2:2006/03/14(火) 21:37:19
真っ白だと思っていた粉ゼラチンは、うっすらとピンク色だった。
水を計量カップで慎重に量り、砂糖と一緒に火にかける。外側はパステルイエロー。縁
から内側は白いこの小鍋は彼女の趣味だ。整頓され、綺麗に保たれたキッチンには寸胴や
フライパンから石けん置きにタオルかけまで色とりどり、カラフルに揃えられている。
砂糖が溶けてきったら水でふやかしておいた粉ゼラチンを混ぜ入れる。ネットから印刷
したレシピを確認しながら、煮立ってしまわないように弱火にして溶かしていく。
続けてボウルに卵をひとつ落とし、その殻で黄身だけを掬い取り除く。ボウルを斜めに
傾けながら角が立つまでよく泡立て、小鍋のゼラチン液を注いでいく。分離を避けるため、
少しずつ少しずつ、かき混ぜながら。真っ赤な取っ手の泡立て器がシャカシャカと小気味
良いリズムを奏でる。これが終われば、あとは色づけして固めるだけだ。調味料の棚に今
日のためだけに買ってきたエッセンスたちが並んでいる。バニラ、ストロベリー、ペパー
ミント。白、赤、青。――そのときだった。
鍵を開ける音がして、玄関を振り返る。外開きの扉が開く。目が合った。
「……ただいま」
「……おかえり」
なぜかいつもよりずっと早く帰ってきた彼女はブーツを脱ぎ、「なにしてるの」と近づ
いてくる。見るなとも言えず、泡立て器を手にしたまま、目で追う。物が散乱するキッチ
ンを見渡し、レシピを手に取った。
「『ふわふわの』」
716 :
きっとマシュマロはサーフィンができない 2/2:2006/03/14(火) 21:37:58
「……マシュマロ」
彼女はもう一度キッチンをさっと眺める。
「多くない?」
コーンスターチを平らに張ったバット。卵の尻でくぼませた、液状のマシュマロをひと
口大の大きさに分けるちいさな型は、合計で二十個あった。
「や、別に、俺も食べるし」
多分そうなるとは思うから嘘じゃない。
「パソコンで調べたの? 作り方」
冷蔵庫のとなりの棚、オーブンレンジの上にノートパソコンが載っている。
「うん、で、そのレシピを印刷した」
「ふうん」
彼女は含んだ笑みを浮かべ「まずかったら食べてあげないよ」と言って、コートを脱ぎ
ながらリビングへ入っていった。後姿を見送って、ほっと息をつく。なんとか怪しまれず
に済んだようだ。
パソコンに視線を戻す。ブラウザには《第三回……》。
まさか「バレンタインの日に溶けたチョコが画面からウヨウヨ」とか「そのお返しにマ
シュマロをなんとか液晶にすり込んで……」なんて言えるはずもなかった。
〈了〉 テーマ「危機一髪」
>>712―713
いいね。
というのはごめん、俺にも姉と妹がいてなんか冷静に読めないんだよこのジャンルは。
実際いきなり喧嘩ふっかけられて、あっという間に俺のせいにされるとか、うちの姉弟妹喧嘩にそっくりだし。
結婚まで持って行く流れが急だから最初に伏線入れた方がいいんじゃない?
だけど俺は読めた。それは俺の家庭事情で読めたのかどうかわからない。
>>715―716
なるほどパロディで返すのもありだったかw
実は俺も対抗ホワイトデーネタ考えてたんだけど、どうもゲロ甘になって無理だった。
パロるという手は考えつかなかったよ。
たださ、せっかくパロるならマシュマロにもサーフィンさせたらよかったのに。
マシュマロも泳ぐのかよっ、
ぐらい強引な方が俺好みだったかな。
ともあれハッピーホワイトデー
>>715-716 タイトルを見た瞬間、吹き出してしまいましたw
書いていると、こういう楽しさもあるのですね。
なんだかとても嬉しかったです。
>真っ白だと思っていた粉ゼラチンは、うっすらとピンク色
この書き出しとても好きです。
色がついててちょっと光ってるんですよね、
それがさっと浮かぶから、全体の雰囲気が1行で決まる感じがしました。
>見るなとも言えず、泡立て器を手にしたまま、目で追う
こういうところも、彼の緊張感が伝わってくると同時に、
彼女の動作も追っていて、1000字ならではの工夫ですよね。
いろいろな意味で、ごちそうさまでした。
>>714 これはたぶん公開にあたりますよね。
詳しくはわからないです、ごめんなさい。
>>717 感想ありがとうございます。
はい、絶対、伏線いりますね。。失敗しました。
好意的に読んでいただいて感謝です。
いま読み返すと、時の流れがわからないです。
ちゃんと推敲したはずなのに、また……。
ところで、
姉弟妹、という三人の関係の表現法って良いですね。
仲がよさそうw
>>712-713 いいですね。面白かったです。
構成もとてもよく考えられていると思います。
展開が急だという指摘もありますが、僕は違和感なく読めました。
手紙を書くなんていうのは、こういうときならではの特別なものだという先入観があるからでしょうか。
これに伏線が入ったとしたら、逆に気になってしまうかもしれません。
「地上波初放送」なんていう、なくてもいいようなひとことが味を出していたり、
オチを含めたラスト数行に作者のセンスが特に光っているような気がします。
…しかし参ったな。自分のレベルでは突っ込めるところが見あたらない。w
感想人が少ないのが悔やまれる。良い感想は参考にもなるのですが。
>>717 > たださ、せっかくパロるならマシュマロにもサーフィンさせたらよかったのに。
> マシュマロも泳ぐのかよっ、
> ぐらい強引な方が俺好みだったかな。
それは思いつきませんでした。こっちの方が全然読みたいですね。
最初から
>>716のオチで決めて、前半を書き換えても後半は固定してしまっていました。反省。
それから、
>>717さんの「ゲロ甘」も読みたかった。w
>>718 パロディというか、ネタで返すというか、
少し失礼に当たるかもしれないと思っていたのですが、読んでいただけてよかった。
こんなことを言っておいて、初めに考えたのは
>メイドイン不明のステンレスボウル(大)は、飾り気のない銀色。
で始まる、
>>671-672の丸パクリ(今風に言えば文章をインスパイヤ)だったりするのですが。w
> >真っ白だと思っていた粉ゼラチンは、うっすらとピンク色
> この書き出しとても好きです。〜
実際に驚いたというか印象に残ったので書きました。
外さなかったようでホッとしました。
> >見るなとも言えず、泡立て器を手にしたまま、目で追う
> こういうところも、彼の緊張感が伝わってくると同時に、
> 彼女の動作も追っていて、1000字ならではの工夫ですよね。
ありがとうございます。
前後の文章と並べると多少強引かとも思いましたが、伝わってよかった。
感想ありがとうございました。
>>721 感想ありがとうございます。
そうか、手紙だから伏線の量を気にしないといけなかったのですね。
あった方が良かったのか、なかった方がよかったのか、
いろいろ教えていただけてうれしいです。
季節ごとにお祭りをやるのも定着してきたので、
参加者さんと感想人さんが増えてくるといいですね。
地上波初放送、は実際の妹が小さいときに気に入って使った言葉で、
たぶん史上初放送とか聞き間違えていたと思うのですが、
妹がアナウンサーごっこしているビデオが残ってます。
ふと懐かしくなって使ってみました。。
724 :
名無し物書き@推敲中?:2006/03/21(火) 22:32:03
【告知】
第3回鍛錬スレ競作祭 テーマ「卒業」
投稿期間 3/21(火・祝日) 〜23(木)
感想期間 3/24(金)〜28(火)
・投稿の際、名前欄に「卒業祭参加」と適当なトリップ(半角#の後に任意の文字列)、
本文書き出しの前にタイトルを明記して下さい。
その他規定は
>>1に準ずることとします。
・ひとり一作品までです。
・感想期間終了後、それぞれの作者の方は作品名と投稿時に付けていただいたトリップを名前欄に入力し、
一番良かったと思われる作品をひとつ挙げて下さい。
集計はこの作者票のみとし、得票数の最も多かった作品が優勝となります。
【専用雑談スレ】
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/bun/1128148458/l50
「スカーフが落ちる間に」
「改札西口で三時半」
恵ちゃんからの電話を切ってすぐ、手帳に水色のペンで書き込んだ。恵ちゃんは前の学
校の友達で、高校三年で私が転校するまで毎日一緒に通学した仲だ。
来週、前の学校の卒業式がある。転校した私はもちろんそっちには出られない。そこで
恵ちゃんが仲の良かった子達に声をかけ、私のためにプチ卒業式をやってくれる。
「二組の子達もみんな会いたいって。りこちゃんの新しい学校と卒業式の日程違っててほ
んと良かった」
実はこっそり行って皆を驚かそうと思っていたのに、恵ちゃんにはほんと敵わない。
自由な校風で知られた前の学校は、堅苦しい式次第などない。卒業証書を手に並んで校
門を出た卒業生達は、駅へ続く川沿いの道をぞろぞろと歩く。川原で記念撮影をしたり、
好きな子に告白したり、突然肩を組んで校歌斉唱が始まり、校舎に向かって大きく手を振
り去って行く。去年も一昨年もそんな先輩達を羨ましく眺めていた。別れは爽やかな方が
いい。断然いい。
「駅に新しいケーキ屋さんが出来たから、そこでお茶しよう。カラオケは五時から。部活
の子達は川原でゆっくりするだろうからもう少し遅くなるかもしれないけど、いいよね」
弾んだ恵ちゃんの声を思い出しながら、私は洋服ダンスを開けた。
何を着ていこう。
去年の服はだめ。黒のジャケットも何か違う。白のワンピースを取ろうとして、その奥
の制服に気が付いた。前の学校のセーラー服だ。今の学校は制服がないので、記念に残し
ておいた。
726 :
卒業祭参加2/2 ◆HjUvYSyync :2006/03/23(木) 22:09:11
懐かしさにクリーニングの袋を破った。スカートを履き、上着を上から被る。ボタンを
下から留めていく。
スカーフ通しに白いスカーフを入れる瞬間が好きだった。プリーツスカートが、風には
ためくのが好きだった。片足でくるりと回る。スカートがなびく。ふと部屋の隅にある鏡
に目がいった。去年より長い髪が、セーラーの衿にふわりと乗った。
溜息が漏れた。
そうだった。恵ちゃん達はこの制服を着て卒業式に出る。智ちゃんも初美も制服でお茶
をして、カラオケを歌う。
私は……。
鏡を見ようとして止めた。
一人頷いてスカーフに手をかけた時、ベッドに投げ出していた携帯が光った。メール着
信。恵ちゃんからだ。
「報告! テニス部の子達も、りこちゃんに会いたいって! 涼ちゃん達も来るよ」
うんうん、と頷いて私は携帯を閉じた。
スカーフを抜き、ベッドに放り投げた。ふわりふわりとスカーフは舞い、半分に折れて
着地した。
涙が止まらなかった。
了
「三年目の奇跡」
卒業生代表の奴が壇上で、声をうわずらせて挨拶している。上手く喋れない様子に感化
されたのか、早くも女子がグスグスと鼻を啜っている。
「ぼ、ぼくは……このぉ、こうこうにぃ、きてぇ、ほんとぅにぃ……」
声が震えている。
――大の男が情けない。散々授業サボってたじゃねーか。何が悲しいんだよ。
オレは心の中で虚勢を張って、泣かないように努めた。泣いてる場合じゃない。
数分後の卒業証書授与でオレの名前を読み上げる担任は、ボクシング部顧問の生活指導
として全校生徒に恐れられていた。なにせ、生意気そうな奴には入学式の当日に鉄拳制裁
である。最初が肝心、とばかりにナンクセつけて拳が飛んでくる。
オレの時は多少太いズボンが原因だった。せっかくの入学式に初対面のオッサンにクド
クド言われるのをしばらく我慢していた。
「……チッ」
舌打ちした瞬間にパンッと殴られた。
あの日から三年間、オレを含め不真面目連中はヤツに煮え湯を飲まされ続けてきた。
恐ろしい事に、ヤツは「フリッカージャブを使いこなす生活指導」として近隣他校の不良
にまでその名は鳴り響き、畏怖されていた。何発殴られたか定かではないが、結局ヤツの
拳は一度もよけられなかった。
ここで会ったが三年目、入学式のカリは卒業式で。オレは復讐を考えていた。
しばらく無心で座っていると、ついにオレのクラスが壇上に呼ばれ始めた。オレは緊張と
興奮が入り混じり、証書の受け取り方なんか完全に忘れてしまっていた。アイツの動揺した
顔が目に浮かび、ついつい口元が緩む。アドレナリンが大量に分泌されている。
卒業式に似つかわしくない、初めて喧嘩した時のような異様な興奮のままオレの順番がくる。
――コヤマ タカシ
オレの名前がスピーカから聞こえてきた。オレは無言で立ち上がる。返事をしなかったので、
流れ作業が滞った。そのまま動かないでいると、一瞬体育館が無音になった。チャンス。
「先生、オレの名前はコヤマじゃなくてオヤマです」
一拍おいて、大爆笑になった。本名は勿論コヤマである。が、担任は読み間違えたと思い
動揺している。
――オヤマ君最高!
後輩から声援を受ける。オレは勝ち誇り、壇上に上がる階段に向かった。他の生徒と同じ
手順で途中にいる担任に一礼しようと立ち止まる。顔が真っ赤かである。その時、三年間の
修行の成果が出た。一礼すべきところをスウェーバックである。
初めてアイツの拳をかわせた。
end
「ライク ザ ダスティン・ホフマン」
背後で扉の開く重々しい音がした。
私は前を向いたまま、うつむき加減に目を閉じている。オーダーメイドのタキシードは
体にぴったりと合ってはいるが、それでも首のところが窮屈に感じられる。それなりに緊
張しているのだろうか。
一歩ずつゆっくりと進む衣擦れの音が聞こえる。父親にエスコートされた花嫁がバージ
ンロードを歩いているのだ。静かな教会内に、来賓達の感嘆の溜息や洟をすする音、軽い
咳払いなどが響く。
やがて、花嫁が隣に立った。
そこで初めて、私は彼女を見た。ベール越しにも緊張しているのが分かる。
私と目が合うと、彼女はぎこちなくお辞儀した。私もゆっくりと会釈し、彼女に向けて
柔らかく微笑んでみせた。二人して前に向き直る。
神父が聖書の朗読を始めた。
神妙に耳を傾ける振りをしつつ、ちらと腕時計に目をやる。この後もスケジュールが詰
まっているのだ。このまま順調に終われば、次の仕事にも余裕を持って移動できるだろう。
突然、背後からドンドンと荒々しく叩かれる音がした。
私は振り返った。教会内の皆も、音のする方を見ている。
そこには、教会の窓ガラスを拳で叩いている一人の男性がいた。何かを叫んでいる。
私の隣にいた花嫁が走り出した。男性のいる方へ、である。
来賓席から歓声と口笛、拍手が沸きあがる。
男性は窓ガラスから離れ、花嫁のために扉を開いてやった。二人はそこで抱き合い、手
を繋いで教会から走り去った。
730 :
卒業祭参加 2/2 ◆VkRJrkn7Rs :2006/03/24(金) 13:52:10
私は、花嫁と二人で戻るはずのバージンロードを一人で走り、二人の後を追った。が、
外へ出てすぐに足を止める。バスに乗り込む二人の背中へ、私は軽い拍手を送った。
来賓達が披露宴会場へ向かい、新郎新婦の両親との短い挨拶を終え、私はようやくタキ
シードの襟元を緩めることができた。
「お疲れ様」
ウェディングプランナーの香織が缶コーヒーを片手に寄ってきた。
『映画のような結婚式』という彼女の企画で、私は幾度となく『式の最中に花嫁を奪わ
れる新郎』役をやらされている。今日も、この後もう一度花嫁を奪われなくてはならない
のだ。
「たまには俺以外のやつに新郎役やらせろよ」
私は溜息混じりにぼやいた。
「奪われ役が男前だと、新婦さんが戸惑っちゃうのよ。だから、アンタ」
香織は冗談めかして言うと、私に缶コーヒーをよこした。
「これで俺が行き遅れたら、お前責任取れよ」
「あら、ダスティン・ホフマン役がやりたいの?」
笑って答える香織に、私はもう一度溜息を吐いた。
<了>
よくよく見たら投稿期間って昨日までじゃん なにしてんだ俺
ってことで
>>729-730はなかったことに
自分も忘れてて、大急ぎで書いて投稿しました。
ギリギリセーフw
携帯からなのであとで二つの感想かきます。
呑みに行かなければ、ですが。
あれ!?
トリップ忘れてもぅた・・・
「三年目の奇跡」です。
>>727 面白かったです。
読みやすくて感情がはっきりしているし、
復讐がこんなラストになるなんて吃驚しました。
>「先生、オレの名前はコヤマじゃなくてオヤマです」
これ、実際にあったら、すごく怖いですよね。
体育館中凍り付いてしまうと思うのですが、
>一拍おいて、大爆笑
この短い一言で緊迫を伝えるところが、巧いです。
>一礼すべきところをスウェーバック
ここも絵を見るような描写でとても好きです、
実はスウェーバックがわからなかったのですが、
それでも絵が浮かんでしまったのでw
>>725-726 「スカーフが落ちる間に」
これはつまり、転校の寂しさを書きたかったのでしょうか。
そうだとするとあっけない、というか、後半の「気づく」場面が大げさのような気がします。
> 溜息が漏れた。
> そうだった。恵ちゃん達はこの制服を着て卒業式に出る。智ちゃんも初美も制服でお茶
> をして、カラオケを歌う。
> 私は……。
ですが、前半の、
> 自由な校風で知られた前の学校は、堅苦しい式次第などない。卒業証書を手に並んで校
> 門を出た卒業生達は、駅へ続く川沿いの道をぞろぞろと歩く。川原で記念撮影をしたり、
> 好きな子に告白したり、突然肩を組んで校歌斉唱が始まり、校舎に向かって大きく手を振
> り去って行く。去年も一昨年もそんな先輩達を羨ましく眺めていた。
というところを、僕は主人公が教室の窓からそんな風景を眺めている「映像」として読んだので、
ここで卒業生は制服着てるって思い出してるなと、ひとり突っ込んでしまいました。
文章は読みやすかったです。
> スカーフ通しに白いスカーフを入れる瞬間が好きだった。プリーツスカートが、風には
> ためくのが好きだった。片足でくるりと回る。スカートがなびく。ふと部屋の隅
> にある鏡に目がいった。去年より長い髪が、セーラーの衿にふわりと乗った。
この段落が印象的で、とても好きです。
投稿乙でした。
>>729-730 こちらも面白かったです。
すごいですね。
>来賓達の感嘆の溜息や洟をすする音、軽い
>咳払いなどが響く。
この辺りの前半の部分、
1000字でこれだけ細かく描写出来るのかと驚きました。
面白くて一気に読んだのですが、
ただ、、ごめんなさい。
実はなぜ卒業なのかよくわからなくて、
「モラル」の方なのかなと考えて、
タイトルのダスティンホフマンをググッて初めてわかりました。。。
映画を知らないわけではなかったんですが、
わかってからもう一度読んだら、吹き出しました。
勉強不足でごめんなさい。
>>727-728 「三年目の奇跡」
「フリッカージャブを使いこなす生活指導」、いいですね。
この先生のキャラの立たせ方は見習いたいです。
少しリズムが気になりましたが、
一人称も読みやすく、最後まで一気に読めたのですが、
読み間違いオチは一読では意味が分からず、〆には首を捻ってしまいました。
前者はいくらなんでも担任が「え、俺間違えた?」とはならないだろうと思ってしまい、
後者は、
> 後輩から声援を受ける。オレは勝ち誇り、壇上に上がる階段に向かった。他の生徒と同じ
> 手順で途中にいる担任に一礼しようと立ち止まる。顔が真っ赤かである。その時、三年間の
> 修行の成果が出た。一礼すべきところをスウェーバックである。
> 初めてアイツの拳をかわせた。
この部分に、担任の主人公を殴ろうとする動作の描写がないので違和感がありました。
でも三年間の復讐がこんなオチというのは意外で、面白かったです。最後の最後はパンチをかわすのも爽快ですね。
投稿乙でした。
>>729-730 「ライク ザ ダスティン・ホフマン」
面白かったです。すごく。
文章がぎこちないのに、リアルな一文一文にどんどん引き込まれて、
どんどん読み進めていきました。
ダスティン・ホフマンの「卒業」は知りませんでしたが、
テーマの「卒業」とどう絡むんだろうと、
>>736さんと同じようにぐぐり、
また驚きました。これはすごいですね。文句なしに面白かったです。
投稿乙でした。
みなさん、おつかれさまでした。
たのしかったです。
>>735 感想ありがとうございます。
>後半の「気づく」場面が大げさのような気がします。
>ここで卒業生は制服着てるって思い出してるなと、ひとり突っ込んでしまいました。
…… orz
大失敗。恥ずかしいです。
リアリティのなさ、ってこういうところですね。
なんで気付けないんだろう。。
実は「自由な校風」の部分は実体験が混ざっていて、
卒業式の切ないイメージが全然ぴんとこなかったり、
>主人公が教室の窓からそんな風景を眺めている「映像」
これも実体験としてあるのです。
ただ制服のない学校だったので、私服の卒業生の映像で……。
こういうつなぎ合わせをすると、物語の整合性が失われるのですね、
反省ばっかりです。
ありがとうございました。
740 :
名無し物書き@推敲中?:2006/04/05(水) 10:12:53
【告知】
第4回鍛錬スレ競作祭 月決めテーマ「新人」
投稿期間 4/16(日)〜4/18(火)
感想期間 4/19(水)〜4/23(日)
・投稿の際、名前欄に「新人祭参加」と適当なトリップ(半角#の後に任意の文字列)、
本文書き出しの前にタイトルを明記して下さい。
その他規定は
>>1に準ずることとします。
・ひとり一作品までです。
・感想期間終了後、それぞれの作者の方は作品名と投稿時に付けていただいたトリップを名前欄に入力し、
一番良かったと思われる作品をひとつ挙げて下さい。
集計はこの作者票のみとし、得票数の最も多かった作品が優勝となります。
テーマ「すれ違い」
遠慮というものを知らないせっかちなインターホンに応じて玄関の扉を開けると、そこ
には薄汚いぼろ切れの塊があった。よくよく見ると、それはぼろ切れを纏った人だった。
汚れた肌の色が布地のくすんだ色とあまり変わらないため、ぼろ切れの塊と見間違えてし
まったらしい。
小柄な体は猫背気味に曲がり、腰にまで届きそうな長い髪は風雨に晒され続けたのかち
りちりに縮れている。デッキシューズらしきものを履いているが、くるぶし辺りまで乾い
た泥がこびり付いている。
俺は、その風体を頭からつま先まで眺め回し、鼻に付くすえた臭いに顔を顰めながら尋
ねた。
「誰?」
「貧乏神です」
貧乏神らしい。確かに、漫画にでも出てきそうな貧乏神の格好だ。
「ああ、なるほど貧乏神だな。それで、何の用?」
「あなたを貧乏にしにきました」
貧乏神は朗らかに答えた。
俺は思わず眩暈を覚え、目頭を押さえてしまった。
「あー、そうね。貧乏神だもん、そりゃそうだ。うん、じゃあ帰って」
俺は、犬でも追い払うかのように手を振った。
「部屋にあげてくれないんですか?」
貧乏神はさも心外だという顔をした。
「誰が貧乏神を部屋にあげるかよ。って、無理やり入ろうとすんな」
俺の体を押しのけてドアを潜ろうとする貧乏神を、アイアン・クローで迎撃する。貧乏
神が俺の手首を勢いよく叩いて降参の意を表した。ドアの外まで押し返してから開放する。
「うわ、なんかベトベトしてる」
貧乏神のこめかみにがっちりと食い込ませていた親指と中指を擦り合わせると、粘着質
な嫌な音がした。
「酷いことするなあ。せっかく来たのに」
こめかみを揉み解しながら文句を言う貧乏神に、
「勝手に入ろうとするからだ。それに、貧乏はもう間に合ってるよ」
と答える。
「貧乏なんですか?」
「そ。彼女が金のかかる趣味を持っててな、それに付き合わされてるうちに万年金欠にな
っちまったんだよ」
「はあ、そうだったんですか」
「そう、だから――」
「上がっていいですか?」
「だーかーらー!」
部屋の中で胡坐をかき、コーヒーを啜る。浴室からは、シャワーを浴びる音がする。玄
関から浴室まで新聞紙の道が敷かれてある。異臭を放つぼろ切れはビニール袋の中に丸め
て突っ込んである。
コスプレという趣味にケチをつけるつもりは更々ないが、彼女の演じるキャラクターの
選択には、いつもすれ違いを感じる。っていうか、あいつ着替え持ってきてたっけ。帰り
どうするつもりだろう。
また眩暈がした。
<了>
テーマに無理やり絡めてる感がひしひしとしますが、そこはほら「優しさ」でカバーしてください
なんていうか、星新一氏の短編集読んでたら出てくる悪魔だの幽霊だのが全部本物なので
「短編で天使とか悪魔とか出てきたら読者は勝手に本物だと思い込むだろう」というミスリードを狙ってみたもの……なのかな?
さてさて、成功しているでしょうか
744 :
えいいち ◆GRGSIBERIA :2006/04/26(水) 23:34:23
1/2
憂鬱な棺屋
クリフォードは、つい先日に亡くなった、祖父の身体を入れるための棺のカタログを、
俯きながら見ていた。クリフォードの隣には、おおかたセールスマン風のブレザーを着こ
なした、でぶでぶと太った棺の販売員がいる。二人とも、ゆったりとしたソファーに座っ
ているのだが、クリフォードはまるで銅像がソファーの上に置かれているかのように、ず
っしりとソファーに身を沈めていた。
「この棺はどうですかね?」男はカタログを指差して言った。「この棺は特殊な樹脂でで
きていて、雨風から体を守ります。つまり、骨は土に返らず、永遠にお父さんと同じ形を
保っていられるのですよ」
クリフォードは爪を噛みながら断った。「ちゃんと土に返れるような棺にしてくれ。そ
れと、余計なオプションはいらない。全部土に返ればいいんだ。それに予算もない。高級
な棺もいらない」
745 :
えいいち ◆GRGSIBERIA :2006/04/26(水) 23:36:46
「では、この棺はどうでしょう? この棺は一見黒檀ですが、安めの素材に土に溶けやす
い塗料を塗っています。そのため、お値段の方もお手ごろですよ」男はまるでブルドック
を強引に笑わせたかのような顔をした。
「好きにしてくれ。予算がないんだ。安くて土に返ればなんでもいい」
「わかりました。ではそれにしておきましょう。お金の方は最初から決まっている通り、
小切手で?」と男が言うと、クリフォードは頷いた。
男はまるで相棒のような計算機を、ブレザーの内ポケットから取り出し、人差し指に力
をこめてボタンを叩き始めた。やがて計算が終わると、男はクリフォードに計算機に表示
されている数字を見せ、言った。「今月はセールの最中ですので十パーセントほど差し引
いた値段となります」クリフォードはそれでいい、と言った。
「少々お待ちください。手続き用の用紙を持ってきます」男は席を立ち、革靴が大理石の
床を蹴る音を残してどこかへ行ってしまった。クリフォードは手で顔を覆い、顔全体を撫
で回した。そして、肺にある空気をすべて吐き出すかのような大きい深呼吸をすると、男
は親指の爪を噛み始めた。男の指は綺麗だった。
掲載に関してだけど、一応掲載はOK。
ただし、僕のサイトを一番下に載せるのならの話。
サイトはメル欄。
>>742-743 確かにすれ違いと結びつけるのは無理があると言わざるを得ないかと思います。
文章の書き方には巧みさというより面白さを感じました。
星新一が好きな人には(私も含め)こういう淡々とした会話が面白く感じられるんでしょうね。
で、星新一好きにはこのミスリード狙いは間違いなく成功するでしょう。
ただ、それならオチももっと星新一的であって欲しかったと思いました。
具体的な例を出すのは野暮なのでやめておきますが。。
純粋にあっさりしたショートショートとして面白かったですよ。
>>744-745 まず、どのテーマに沿って書かれたのか分かりません。
提示もされていないので。
話自体もオチが無いというより完結していなくて
長編のほんの一部分のように思われます。
なんとも批評のしようがありません。(それなら発言するな、と言われそうですが。。。)
>>742-743 とても面白かったです。
完全にミスリードされたし、コスプレに貧乏神という発想が、
彼女可愛すぎて、彼氏可愛そうすぎて、
とても印象的です。好きです、こういうの。
すれ違いのテーマは、少しずれるのかな。
あともう少し字数があって、彼氏が本当はコスプレ好きという伏線があれば、
ずれないような気もするのです。
>>744-745 テーマがわからなかったのが残念ですが、
>余計なオプションはいらない。
>安くて土に返ればなんでもいい
>相棒のような計算機
こういう先への引っ張り方や、言葉選びがとても面白いと思いました。
>>748,750
テーマは「モラル」です。
亡骸を入れる棺をガラスケースのように扱ったり、
セールなどを行って値引いたりする道徳観念にほとほと呆れたクリフォードは、
棺屋の販売員を軽くあしらいます。
完結していないのは暗黙によって、後の物語を読者に想像させるためです。
しかし、それらのメッセージを伝えたいつもりが伝わらなかった。
つまり、自分の力量不足なので、真摯に批評を受け止めたいです。
>>742-743 単純に面白い。
1000文字だからこその、キレのあるオチがイイですね。
>>774-775 >セールなどを行って値引いたりする道徳観念にほとほと呆れたクリフォードは〜
こういうモラル話だったら、もう少し呆れた描写を入れたほうが分かりやすくなったと思います。
1000文字しかないんだから、キチンとラストがないと意味が分からないですよ。
ポエムじゃないんだから。
>掲載に関してだけど、一応掲載はOK。
>ただし、僕のサイトを一番下に載せるのならの話
何様ですか?と思いました。
正直そこまでして、載せたいとも思わないです。
むしろ「載せてください」と言うなら載せますが・・・というスタンスです。
>>744-745 「少々お待ちください... 以降が少し人の立ち位置がわかりにくいかな。
最後に爪を噛んでいるのはクリフォードor販売員?
完結させないなら、リドルストーリーの様にある程度選択肢を用意していないといかんと思うね。
書き始めは普通に棺屋の飄々とした態度が伝わってきていいですね。
>>752 掲載OK →載せる
掲載拒否 →載せない
どっちでもいい →基本的には載せない
条件付きOK →条件が面白かったら載せる
意思表示無し →載せない
投稿者の権利を最大限大切にするのがここでのスタンス。
+未来アンカー乙
>>753 えいいちみたいな偉そうな勘違いガキのサイトを載せたくないのは住人の総意だと思うが
しかも、くだらねー条件つけてるし。
面白いもん書いてるつもりなのが痛すぎ。
載せて欲しいならそうい言え。
とりあえず保守しておくか
見慣れない服を着た、君が出て行った……。
髪形を整え、テーブルの上もそのままに。
テーマ「すれ違い」
疋田は大きなボストンバッグを肩に担ぎ、アパートの階段をゆっくりと下りていった。
鉄筋の階段は傾いた西日を浴びてぼんやりとした朱色に染まり、一段下りるたびに乾いた
音を立てる。
彼は無表情であった。合法、非合法の手段を織り交ぜ、一人の男の人生を破滅させると
いう、八年越しの復讐を果たしたというのにである。
罪の意識はなかった。爽快感もなかった。憎悪だけが、昔と変わらず心の中に残ってい
た。恐らく、あの男をなぶり殺しにしたとしても、この感情だけは消え去ってくれないの
だろう。そんな思いが、彼の表情を削ぎ落としていた。
階段を下り終えた疋田は、ずり下がったバッグを担ぎ直し、出口へ向かおうとした所で
足を止めた。
アパートの正面に、一台のセダンが停められている。スーツを着た男が一人、車に寄り
かかってじっと疋田を見ていた。男は煙草を携帯灰皿にねじ込み、車から身を離した。首
をごきごきと鳴らしながら、アパートの敷地内に入る。
「そうやって、八年前みたいに突然消えるつもりか?」
疋田の前まで来た男は、そう言って彼をじろりと睨んだ。
「なんの事でしょう」
疋田は無表情のまま返す。
男は頭を掻いて苦笑し、ぼそぼそと語り出した。
「松前の会長は辞任したよ。今はまだ脱税ってだけだが、これから談合の実態や口封じの
指示の事も明らかになるだろう。あの爺さんはもう終わりだ。もう充分だろう? 由梨絵
の所に戻ってやったらどうだ、坂上」
疋田は答えなかった。由梨絵への想いや目の前の男との友情、元の顔などと一緒に八年
前に捨てた名で呼ばれ、答える言葉が見つからなかった。軽く一礼し、男の横を通り過ぎ
る。
「成田か?」
すれ違いざまに男が尋ねた。
「同窓のよしみだ。送ってやるぞ」
男の言葉に少し立ち止まった疋田は、結局、無言のままアパートを去っていった。
残された男はもう一度首を鳴らし、ここへ来る前に一人の女性を空港まで送った車に乗
り込んで、署へと戻っていった。
<了>
久しぶりにエセハードボイルドっぽいものを書いてみたけどなにやらぐだぐだな文章になってしまった
1000文字に収めようとしたら書きたい事の半分も書けなくて説明不足もいいところだし
あーなんだろな……まぁいいや ゴメン言い訳もぐだぐだ
759 :
ドーベルマシン ◆/58MpLl8gc :2006/05/29(月) 04:21:41
まだ活動してたんかコレ
なつかし
>>757-758 一読して、やはり長編の一部分(あるいはラスト)みたいだなと
最初に思いました。
もう一度読み返すと短いセンテンスの中に、背後にある大きいあらすじが
見え隠れしていて、読み手に色々と想像させてくれます。
テーマの「すれ違い」は相当強引なのが残念ですが
それを別にして、面白いと思います。
761 :
名無し物書き@推敲中?:2006/06/18(日) 19:28:20
762 :
名無し物書き@推敲中?:2006/06/18(日) 20:19:51
石原 ◆k7cUHBNNT.にも投票してくれ。
763 :
名無し物書き@推敲中?:2006/06/30(金) 22:04:21
ageておこう
764 :
名無し物書き@推敲中?:2006/07/13(木) 21:34:23
保守だな
hs
テーマ「すれ違い」
丸に少し欠ける月が全てを青白く浮かび上がらせる夜に、喉を詰まらせたような男の短
い悲鳴が響いた。
辺りでは、ここ一ヶ月の間に二件の辻斬りが発生していたこともあり、月の明るい夜と
はいえ人通りは全くない。ただ一人、暗がりでその叫び声を耳にした平賀久馬は、身を硬
くして声の元へ急いだ。
路地に入った久馬は、うつ伏せに倒れた男と、その身を起こして懐の中を探ろうとする
もう一人の男の姿を認めた。
「誰だ!?」
久馬に気づいた男が脇に置いた刀に手を伸ばして誰何した。
「平賀久馬でござる」
相手は武士である。久馬は素直に答えた。顔を確認しやすいよう、軒から伸びる影が差
さない道の中央を歩み寄る。
「おお、平賀殿か。確か右筆の……」
男はほっと息を吐き、刀から手を離した。
「お馬回り役の水野殿か?」
お互いの顔が分かるほどまで近づいて、久馬は男に尋ねた。
「いかにも」
水野が認め、久馬は地に伏せた男を見た。その視線に、水野は不承不承といった様子で
弁解を始めた。
「こやつは江戸屋敷詰めで藤巻派の者。江戸におられる主君の密書を携えて帰参したとこ
ろでござる。我ら伊塚派としては、それを藤巻中老の手に渡すわけにはいかず、やむなく
討ち果たしたのでござる」
久馬は黙ってそれを聞いていた。
伊塚大老派と藤巻中老派の対立は、以前から藩の懸案だった。久馬自身はどちらの派閥
にも属していない。
「背後から斬られましたか」
久馬はぽつりと呟いた。
「何を……」
水野は僅かに身じろぎした。久馬は続ける。
「悲鳴は一つしか聞こえませんでした。逃げ惑う声も、切り結ぶ音も。密書を帯びた者が、
夜道で相対する派の者と出会い、すれ違いざまに斬られたのであれば、それはこの者の不
心得ですが、暗がりに身を寄せ背後から斬りかかったのであれば、それは武士として――」
言い終わる前に、水野が刀を再び掴んで久馬の脇腹を薙ぎにいった。久馬の姿が揺らめ
き、水野の刃は空を切る。一歩引いた久馬は踏み出し、水野の首根を抜きつけざまに断ち
割った。右に体を捩り、花が咲いたように噴出す血を避ける。
久馬は死体から密書を探り出し、それを自分の懐へ仕舞った。
密書の話を聞き、辻斬りを起こして夜半の人目を無くし、凶行に望みやすく仕向ける。
この策は完全に当った。両派の者が斬られて密書が消えたとなれば、闘争は更に苛烈なも
のになるだろう。そこを仲裁という立場で幕府が乗り出し、藩を取り潰す。
久馬は『草』であった。
<了>
またテーマをぞんざいに扱って書いてしまいまいた 台詞の中に一個あるだけ クスクス
あー文字数足りねー あと300は欲しー
要るかどうか分からないけど一応解説
右筆というのは書類作成・整理を役目としている武士の職で、
お馬回りというのは有事の際に備えて武勇に優れた人をとりあえず置いておくための役職です
大雑把だけどそんなイメージで捉えてくらはい
で、だ 右筆という毎日筆と硯を前にして腕より頭を働かせているようなやつに
お馬回りの人が武士としての行状を咎められたため、頭に血が上っていきなり斬りつけたわけです
武士として恥となる行為を知られてしまったために口を塞ごうとした、という理由もありまふ
文字数がもうちょっとありゃあこういった説明もそっと差し込めたのになぁ
つーか作外での解説ってのは思っていた以上に卑怯だな 泣きそうだ
768 :
えいいち ◆GRGSIBERIA :2006/08/07(月) 00:01:42
女子トイレに入った経験を話そう
それは小学校四年生頃の話。男子トイレは右、女子トイレは左が常識だと思っていた頃
の話で、僕と父親で一緒に芦ノ湖に釣りをしに行った時の話だ。
僕は運悪く下痢をしていた。家から芦ノ湖までだいたい二、三時間ほどはかかる距離で、
当然ながら道中で出したくなった。しかし、僕は我慢した。
到着するとすぐさまトイレに駆け込む。トイレに入っている人々が僕に注目した。様子
が違う。何かが足りない。何かがいる。
そんな疑念を持ちながら臭い便所で用をたし、個室から出るとやはりそこにいる人々は
僕に注目している。何か腑に落ちない点があったのだけれども、そのまま普通に何事もな
くトイレから出た。まさかと振り向くと、出てきたところは女子トイレだった。そう理解
した瞬間、喉のつっかえが取れた。
そして顔が真っ赤になるほど恥を覚えたのは、家に帰ってトイレに入った時のことだっ
た。
今さっきブログ用に書いた奴だけど、テーマはモラルになるんじゃないかな?
とりあえず、サイト(メル欄)を載せるなら掲載OK。
テーマ「すれ違い」
帰宅したばかりでネクタイも緩めていない私に、楽しそうな表情をした妻が一通の封筒
を差し出した。
「ほら、こんなのが来てるわよ」
宛名に私の名が記された封筒を裏返すと、差出人のところに『××団地秘密倶楽部』と
あった。
「これね、この団地では結構有名な寄り合いらしくて、男性しか招待されないらしいの。
知り合いの奥さんに聞いた話だけど、参加した旦那さんに『どんな寄り合いだったの?』
って訊いても『どこにでもある普通の寄り合いだったよ』って言うの。しかもね、面白い
事に、他の家の旦那さん達も同じように答えてたんですって。その癖、集まりがある度に
みんな喜んで出かけるものだから、秘密倶楽部だなんて名前つけて、何やってんだろうね
って言ってたわ」
妻は目をきらきらと輝かせながら一気に喋った。
まだこの団地に越して来て一週間と経っていないのに、もうこんな噂話を拾ってこられ
るほどに交友関係を広げつつある妻に、私は少し置いてけぼりを食らったような気分にな
った。
「ね、アナタこれに行ってみてよ。そして私にどんな事があったか教えて」
私は苦笑交じりにそれを約束した。
当日、送られてきた案内状に記されていた公民館へ着くと、戸口付近でパイプ椅子を運
んでいる白髪交じりの年配の男性を見つけた。その男性に案内状を見せ、今日が初めての
参加である事を伝えると、彼はパイプ椅子を一旦置き、
「やあ、ようこそ。楽しい集まりですから気楽にして下さい」
と言って手を差し出した。
771 :
名無し物書き@推敲中?:2006/08/11(金) 01:12:18
「あの、この秘密倶楽部というのは、一体何をする集まりなんですか?」
握手を返した私が尋ねると、彼は素晴らしい微笑みを浮かべ、
「それは秘密です」
と答えた。
「え?」
呆気にとられる私に、パイプ椅子を抱えた彼は
「どうぞお入り下さい」
と中へ招き入れてくれた。
彼に続いて公民館の中へ入ると、かなりの数の男達が思い思いの形でくつろいでいた。
麻雀卓を囲む者、碁を打つ者、畳の上に寝転がって文庫本を読む者、缶ビールをやりなが
ら雑談に興じる者、それぞれである。
「ここはね」
パイプ椅子を壁に立てかけた白髪の男性が言った。
「ここでは全てが秘密なんです。集まった理由も秘密。どこの誰が参加しているのかも秘
密。年会費がどう使われているのかも秘密。そして、次にいつ集まるのかも秘密なんです」
彼の表情は、それが楽しくてたまらないといった感じだった。
それを見た私は、妻へどう答えるかを決心していた。
<了>
これもすれ違いっていうには微妙だなぁ
ただまぁいかにもショートショートらしい話は書けたかな、と ありがち過ぎて似た話がごろごろ転がってそうだけど
それにしても……人いねぇなぁw 雑談所スレもそろそろdet落ちしそうだし 保守はもうせんが
名前欄ミス
>>771は秘密倶楽部 2/2
まぁ書くまでもないだろうけど
773 :
えいいち ◆GRGSIBERIA :2006/09/01(金) 22:35:15
>>770 面白さで読み進めることができたし、読むことについて違和感はない。
なかなか面白かったよ。
短編でも読んでたと思う。
774 :
名無し物書き@推敲中?:2006/09/23(土) 11:46:59
サルベージ&ブタ殴り作戦は効くみたいだね。
相手にして貰えずただ殴られるだけというのは耐えられないだろうね、アスペルガー残飯にしてみれば。
775 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/18(土) 00:13:19
何か過疎ってるし、俺、板も文も初心者な上、スレのルールいまいちわからないまま、
ファミレス、モラル、危機一髪で書いたけど、お蔵入りにするの寂しすぎるから、
載せさせて貰おうと思っていて、投稿ミスとかあるかもしれないけど、許して欲しくて、
そうして出来たら、読んでやってください、短いんで。
776 :
1/2タイトル思いつきませんでした:2006/11/18(土) 00:14:59
早朝のファミレス。三時間居座って小説の案を練ろうとしたものの、
なんにもなしの空っけっつで疲れて眠ってしまった。
頭の中で天使が囁く。
「いつも推考ご苦労様。ゆっくりお眠りなさい」
言葉に導かれるように深いところへ落ちて行こうとした刹那、
埃っぽい風が肌を揺さぶる。嫌な予感がする。
「まさよし!こんな所で寝て恥ずかしいとは思わないの。
そういう息子に育てた覚えはないよ!」
げえ、母ちゃんだ。気不味い空気を悟ったのか天使はどっかに行ってしまった。
待ってよお。厳しいのは嫌だよう。
「ほら、いつまでもフラフラしてないで、いい加減就職決めないと、
23で高卒なのに、お母さんは心配だよ」
「辞めてくれよ、ここはファミレスだよ。モラルってものを考えてよ、恥知らず」
しまった、母さんの頬がピクピクしている。火をつけてしまったパターンだ。
「恥知らずはどっちだ!お父さんやお兄さんに申し訳ない気持ちはないの!
だいたい、いっつも言い訳ばかりで何にも行動起こさないじゃないの!」
「いや、それは、文学者らしい生き方を…ほら、太宰とか…」
母ちゃんは複雑そうな表情をしている。
感情と思いやりがぶつかっているような悲しげな雰囲気だ。
「母さんはねえ、まさよしに幸せになってもらいたいんだよ」
777 :
2/2:2006/11/18(土) 00:15:40
ごめん、ごめんよ母ちゃん。
「間違っていたよ。今日、いや、やっぱり明日こそ職安に行くよ。
きっとそうする。今まで悪かったよ」
「約束してくれる?ほら、指きり」
「俺はもう大人だよ、人が見てる」
母ちゃんははにかむ様に笑った。俺も合わせて苦く頬を緩めた。
ありがとう、母ちゃん、嘘ついてごめんね、ハローワーク行く勇気なんかないよ。
でも、安心させるのも息子の務めだもんね。ごめんね、本当にごめんね。
目が覚める。天使が出る前と同じ風景。
よし、今の夢を元に短編を書こう!親子の絆を描くんだ。
それを店員に見せて、280円で買ってもらう。そうだ、これだ。
これで晴れてドリンクバー代を払えて、この店から脱出できる、
そうだ、助かるんだ。財布がなくたって何とかなる、俺は芸術家だ。
さて、書き始めるか、ええと、あれ?ペンがないぞ?
おーい、ペンがなきゃ始まんないだろ、ええー!
おーい!ないぞー!どこだー!ペーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!
これで終わりなのか?
おわりです、すんまそん
あっ、読んでくれてありがとう
まあ、俺も暇なんだが、ちょっと付き合わないか。
文章を書いたのは初めて?
風呂入ってました。まだ起きていらっしゃるのなら、そりゃもう是非。
文章は友達に見せるのは良く書くんですが、
こうして、衆目の場にさらすのは2回目で、
ずっとバンドをやっていて、その合間、
何か思いつくときに書いたことはあったんですけど、
真面目に短編とか書き始めてからは3ヶ月くらいです。
僕は40分前には確かに画面の前にいた一人の2ちゃんねらーの事を考えた。
正直に言って、蔑みと嘲笑の不安に怯えていた僕の心をほぐしてくれた、
優しい2ちゃんねらーがどんな素敵な人だったかを、
スレ汚ししてどうするんだ、それは2ちゃんで最も恥ずべき悪徳だ、
いいや、どうせ過疎じゃないか、リサイクルリサイクル、と呟きながらイメージした。
彼は30分で姿を消した。暇、といっていたが、それは余計な心配を掛けないためで、
きっと、病弱で、看護士の目を盗んでPCをしていたものの、見つかる、
若しくは持病の盲腸が悪化して、電源を落とすはめになったか、
彼は地球観光に来た宇宙人で、30分の間にツアーUFOへの集合時間が来たに違いない。
宇宙人ならば、暇な範囲が30分というのも頷ける。
僕の暇が3時間単位なのよりも遥かに短い事は、
なにも僕が実家暮しアルバイターだからという理由だけではないはずだ。
僕は、風呂に入っている間に、彼との様々な会話を頭の中で思い描いた。
「君、文章書き始めて三ヶ月なのか、実に上手い、才能がある、
プロになったら君の文庫本を買おう」
「いやあ、まだまだですよ」
歪んだ欲望ではない、きわめて若者的な想像だ。
ウサギにツノ、これは、とにかくという意味らしいが、僕は賛辞を述べたい。
真面目に書いた文章を初めて読んでくれた赤の他人に。
ありがとう。いつか、貴方をモデルにSSを書きます。それくらい感謝しているのです。
漆黒の闇に浮かぶ一縷の松明、それが貴方だ。
実はこのスレに投稿したのも、寂しくて、誰かに構ってもらいたかったからだ。
反対人恐怖な人間の孤独な世界に投げ込まれた光明、
光あれ!と叫んだかは知りませんが、僕にはそんな存在に思えるのだ。
暗くなってしまいました、渡る世間は鬼ばかりのように、
すっきりしないのは嫌いなのに。
さあ、つまり、まとめると、またどこかで会いましょう。
誤字があった。半対人恐怖だ。
よく見ろよ、投稿した物だって、一箇所、
主人公が「母ちゃん」でなく「母さん」になっているところがあるだろうが。
ああ、誰も見ない癖スレ汚しなのに何やってるんだろう、
いや、いっそ、誰の目にも触れない方が良いではないか。
これを読まれて、あの、他人の批評ですら眺めた瞬間、
ヒイッと目を閉じてしまった、酷評しますスレの様に、
クソミソに貶されるよりマシではないか。
でも、止らない。なぜなら、寂しいから。構ってもらいたいから。
友達は、駄目だ。僕の文を書く面を特に楽しんでくれる人と付き合いたい。
2ちゃんでやるな、HPでも作れ?ごめんなさい、コツコツした努力ができない。
だったら誰かのサイトでも行け?既に出来上がった空間に入っていけない。
やっぱり、ここに僕の独り言を載せさせて貰う。
なんだかんだと言って、読んで欲しい。作品だけでない、ここまでも。
きっと、スレを日記にするなと叩かれるだろうから、
傷つきたくないから、もう閲覧しないと言っておく。
でも、おそらく、見ます。それは、またスレが落ち掛けた時だと思いう。
でも俺は気分屋だから、言葉に保障は出来ない。
長々目を通してくれた人、本当にありがとう、
もう一度言います、また、どこかで会おう!
よみかえしたら、ごじばっかだし、でもでもいいすぎだし、あああああ、あはははははh
オレも久しぶりにやろうかな。
面白い人もいるし。
オレ、バビロンシリーズ書いた奴。
懐かしいスレだな。一時結構盛り上がってたみたいだったのに、みなどこ行ったんだろ。
懐かしさついでに流し読みしたぜ。バビロン以降は祭もやってたのか。
790 :
787:2006/11/20(月) 20:49:27
決めた。
月内に書く。
(と思いつつ、せっかく書いたのはキララ辺りにでも送りたい心境ではあるがw)
腹立たしい。
車内で携帯電話をかける女子高生、狭い空間で新聞を広げるサラリーマン、香水の匂いを充満させるマダム、髪を逆立てて周囲を威嚇するバンドマン風、大声で下世話な話しと笑い声を撒き散らす中年女性。
どうなっとるんだ。
会社では、部下は書類を仕上げて来ない、上司は会議で居眠りする、OLは会社を喫茶店と混同し、新入社員は退勤時刻ばかり気にする始末。今日はトイレを詰まらせた馬鹿までいる。
腹立たしい。
改札の前に来ておもむろに切符を探し始める奴、改札機を停止させる奴、階段をノロノロ進む団体旅行者。
792 :
「モラル」(2)by河童:2007/01/14(日) 05:23:56
この国のモラルはどうなっとるんだ。
急いでるんだぞ。
路肩にしゃがみ込む女の子達、コンビニの前にたむろする不良共。
邪魔だろう。
モラル。
モラルモラル。
角を曲がる。
モラルは?
電柱脇の犬の糞。
モモモモラルは!?
田中部長の家の塀に小便の跡!
モモモモもう駄目だモモモラモルモレ
ジッパーを下ろすのももどかしく、我慢していたほとばしりを塀の濡れ跡目掛け放出する。
倦怠と恍惚の入り交じる中ふと見上げた窓からは、高校に入ったばかりの部長の娘が俺のいきり立つ肉茎と力強く弧を描く放尿を凝視している。
793 :
河童:2007/01/14(日) 06:52:42
エンド忘れた
「自省」
電車はトンネルに入った。携帯の電波が圏外になる。ふと顔をあげると、目の前には股
を大きく開いたミニスカ女子高生が座っている。私は目を細め、暗闇の奥にある光を探す
……が、なかなか見えない。女子高生がスッと脚を組んだ。もしかしてバレてしまったの
かと思ったが、どうやら携帯に熱中しているようだ。色白の肌に紺のソックスがよく似合
う。携帯をじっと見つめる目はまだ汚れを知らない。唇は鮮やかな桃色をしていて、柔ら
かな感触がこちらまで伝わってくる。視線を感じたのか、急に女子高生は頭をあげた。私
はすぐに視線をそらした。後ろの窓に映った自分と目があった。何をやってるんだ私は、
モラルの低下を利用して欲を満たそうとしているのか、まったく恥ずかしいことをしてし
まった。小さくため息をついた私は、ランドセルをからい直し別の席へと向かった。end
795 :
ひきこもりんぐ:2007/01/16(火) 16:16:08
携帯からなので失敗してたら泣いてわびる
せっかくだから感想を
>>791 前半部はもっと工夫できるのかも 具体例は出せないけど
>>776 友達になりませんか(?)
最後のぺーーん がケーーンに見えてしょうがなかったです