ガバッ。そこで目が覚めてベッドから飛び起きた。なんて夢だ・・・。パジャマが寝汗でビッショリだ。
「ちわーっす、小僧寿しでーす」玄関の方から声が聞こえる。
部屋の時計はAM7時を表示していた。
ドアを開けると、そいつは法被に前掛けという出立ちで、チョンマゲ頭に捩じ鉢巻きをしていたが、それよりなりより鼻の長い奴だった。
「おはようございます。小僧寿しでーす」
私は手に持っていた目覚まし時計を見て、もう一度、そいつの顔をみた。なるほどコゾウさんだと思いつつ、黙って時計をさしだした。
コゾウさんは時計を受けとると、文字盤を見て、裏を見て言った。「電波時計ですね」
私は半ば夢現、うん、と答えた。「電波時計だ。正確な時間で暮らしたいからね」
居間を見るとテレビに教授とミズキ助手の論文発表が映ってた「あー24時間耐久発表なんてみて眠ったからあんな夢見たのか」
教授の結論はいささか突飛なものだ、と言わざろう得ないというのが私の感想であった。彼はごく単純な事ですと述べていた。
「BC.2世紀、地中海のどこかの島に実在したと思われるユートピアの人々が夢オチをしなかったのは、単に彼等が眠らなかったからなのです」
気分が悪くなった私はテレビを見るのをやめ、コゾウさんを振り返った。コゾウさんは何故か怒っているように見えた。
出前持ち「ミズキさん、早く返してくれませんか」
私はようやく覚醒し始めた頭で考える。何を返せと言うのか? それに私はミズキではない。「君はきっと勘違いをしている」
「私はミズキの姉のミズホだ」
コゾウさんはいささか驚き、また困惑しているようにも見えた。私は続ける。「君はミズキに何を貸したというんだ?」
「僕の奪われたハートを」
馬鹿らしくなり、ドアを勢いよく閉めてロックした。朝7時から他人の与太話に付き合っている場合ではない。私は急に喉の渇きを覚え、冷蔵庫へ向かった。
コゾウ「冗談ですよー。この間の出前した器を取りに来ただけですよ。」
そんな声がドアの向こうから聞こえたが、私は無視してオレンジジュースの紙パックを冷蔵庫から取り出す。朝はオレンジジュースに限る。
そういえばミズキは今日の昼頃帰って来るからゴミの掃除しないと「もしもし警察ですか家の前に不審人物が」
908 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/13(木) 10:39:56
その時、コゾウさんがドアを蹴破って部屋に突入してきた。手には携帯式の警棒をかまえている。
909 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/13(木) 10:43:41
コゾウさんは言った「どうも、どうも。連絡をもらいました。警察の協力隊のボランランティアもやっているのです。で、不審な人物はどこですか?」
「レディーの部屋に土足で上がり込むなんて失礼じゃないか。出直したまえ」 私は冷静にそう言いながら、テーブルに置いてあった拳銃を後ろ手に掴んだ。
引き金を引くと先っちょから水がピュッとでるやつだ。縁日で買ったのである。
小僧は平静を装いながら、さっきから私の体をこっそりといやらしい目で盗み見ているのに気づいた。
913 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/13(木) 11:20:04
「不審な男は、あそこです」咄嗟に姿見の方を私は指さした。
コゾウさんは自分の姿を見て、かなり動揺したようだった。
915 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/13(木) 11:24:06
「うっ、美しい」
だが小僧はまた私に振り返ると「えへん。今から身体検査を行います」と顔を赤らめながら私に宣言した。
「服を全部脱いでもらいます。捜査上やむを得んのです。誤解なきよう」小僧はゴクリと唾を飲み込むと私にゆっくりと近づいてきた。
918 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/13(木) 11:53:03
まずい、どうあってもHな方向に邁進するつもりだ。私、ミズホ。27才にして純潔の危機!♪月光仮面がこないのよ♪と私は観念しそうになった。
919 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/13(木) 11:55:26
「ぬわぁーに、27にして純潔!!!」読心術の心得もあるらしいコゾウさんは、異様に興奮してきた。「それをいうなら、オー****」
920 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/13(木) 11:59:40
ミズホの目が夜叉のように吊り上がる。「はぁ〜。聞えません。オー、なに?」
私は後ろ手にもった拳銃をギュッと握りしめた。小僧の顔が私の顔の間近にきて、小僧の鼻息が私の顔にかかる。
922 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/13(木) 12:02:32
コゾウさんは、ゴホンと咳払いをして、その鼻をグルグルと回しだした。「ときにミズホさん。地学には興味がありますか。ぼくはよく処女水というものについて考えるのです」
「それをいうなら、オーシャンゼリーゼ♪」と唄いだした。
そして
924 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/13(木) 12:07:46
925 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/13(木) 12:11:37
「そんなこんなで地表の水の殆どは地球の内部から染み出したものだ、多くの人は考えています。たぶん今でも地核奥深くから少しづつ染み出しているではないか、と考えるのが人情でしょう」
926 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/13(木) 12:14:13
「この今、初めて地表に湧き出した水。循環する前の水を、処女水っていうんですけど、こんな話は退屈ですか?」
と平静を装いながらコゾウさんが私の肩に手を触れた。その手は微かに震えていてコゾウさんが緊張しているのだと気づいた。
その時玄関が開いた ミズキ「姉さん今帰ったわ……何やってんの姉さん」
929 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/13(木) 12:24:50
そこへ、妹のミズキが帰ってきた。
930 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/13(木) 12:26:03
「はれまぁ、ごめん、ごめん」
…とそんな場面を期待してはみたけれど、そんなに気配は微塵もなく、玄関はただシーンと静まり返っているばかりだった。
ミズキ「姉さん?いったい何処にいったの」
ミズキの姉は額に「M」の字を刻印され、バーゲン品を買いあさるメカに生まれ変わってしまっていた。
これもどっかのマッドサイエンティストの仕業である。
ミズキ「どっこいしょ」オヤジ臭い台詞を言いながら荷物を降ろすと、そこには
バラバラにされたロボミズホがあった「この手際は姉さん此処でいったい何が?」