忘れてはならない。
∧,,∧
(;`・ω・) 。・゚・⌒) あなたががチャーハンを作る時、
/ o━ヽニニフ))
しー-J
∧,,∧
。・゚・。 (;`・ω・))) チャーハンもまたあなたを作っていることを。
。・゚゚。.━ヽニニフ))
/゚・.7
3 :
8:2005/07/06(水) 17:15:33
ドコに書き込めば良いかわからんかったからココに書き込んどきます
中国のとある村のハズレにあるガレキ山。
そこにオバケが住んでいました。(キョンシー・少女)
そのオバケは、もう昔から一人でガレキ山にいます。
彼女はいつもいつも、村に出ては友達を求めて歩きます。
でも、自分がオバケだから、片目だから、
子供達から石を投げられ、大人は彼女を追い払います。
彼女は何百年も、ガレキ山でひっそりと暮らし、友達を欲しがっています。
「友達欲しいな・・・ なんで私はのけものにされるんだろう」
彼女は「生きる意味って何だろう」と毎日考えています。
ずっとそのことばかり考えて・・・来る日も来る日も・・・何年も・・・
そうして生きる意味と友達を求めて・・・追い出されて・・・
「毎日同じ事の繰り返し。何か変わった事は起きないのかなぁ?」
( 片目のオバケだ!やーいやーい!)
( ここに何しにやって来た!出て行け!)
( 待って。私は何もしない。ただ、ただ、友達が欲しいだけなのに・・・)
4 :
8:2005/07/06(水) 17:16:01
彼女に友達が出来る事なんてあるのでしょうか?
血走った右目。つぶれた左目。死臭。青い肌。
彼女に寄ってくる人間なんていません。・・・人間は。
もうしばらくすると、年が明けます。
彼女は毎年のように、年末の夜にこう祈ります。
「神様。今年こそ私に友達をください。」
しかし彼女の願いが叶った事は一度もありません。
いつもと同じ様に年が明け、一人の少女が目を覚ましました。
いつもと変わらぬ朝。周りにはいつの間にか、見た事の無いゴミがたくさんありました。
「変な箱。人の形をしている。それにキラキラしている。」
そのワイヤーが詰まった銀色の変な箱を投げると後ろから声がしました。
今時間が足りないんでここまでにしときます。
続きが見たい物好きな人は一言声かけてください。
5 :
名無し物書き@推敲中?:2005/07/06(水) 17:19:01
6 :
名無し物書き@推敲中?:2005/07/07(木) 16:39:57
続き見たいので保守しとく
7 :
名無し物書き@推敲中?:2005/07/07(木) 19:54:48
続き希望
8 :
しょた:2005/07/07(木) 20:57:58
僕も載せてみます。
続きが万が一見たい人がいたら続き書きます
崩れていく建物、ひびの割れた地面。
いったいどうしてこうなってしまったのだろう。
私の家も壊れてしまった。
この町、いやこの世界は、一か月ぐらいまえまでは平和だったのに。
「こんなところで寝ていたのか。風邪をひいてしまうぞ」
ケイズさんが、コンクリートのうえに布を敷き、あおむけになっている私に言う。
彼は、ここでまとめ役のような存在で、数々の問題を様々な知識と、経験をもって解決してきた。
また、人柄も優れているので多くの人から慕われている。しかも、まだ43才という若さである。
「でも、いつ崩れるか分からない建物にいるのは不安です。」
「気持ちは分からないではないが……。もはやどこにいようと危険に違いないのだよ。」
「私は空を見ているのが好きです。最近はすることもないからいつも空を見ています。でも最近空も歪んで見えるときがあるんです。」
「………。」
「緑も動物達も元気がないんです。一体この世界はどうなってしまったんですか?」
「………。この世界はもともと不安定な存在と言われている。単独では存在することができない不安定な存在だ。
つまりなんらかの干渉やエネルギー供給がなければこの世界は存在しえないんだ。」
「つまり……。最近エネルギーの供給がとまったということですか?」
「その説が有力だと言われている。原因はわかっていないが…」
一呼吸おいてからケイズさんは空を見上げながら話を続けた。
「そろそろまた『影』が動きだす時期だ。サンシャインへ来たほうがいい。
確かにあそこも危険には違いないがこの辺では一番しっかりした建物だ。
少なくともここにいるよりは安全だろう。」
『影』というのはなんなのかわかっていない。とにかくすべての物を破壊していく。
それが建物を目的に壊すというわけでもなく、木や岩、地面までも破壊していく。
色がない…というか透き通った黒というかただの闇のような物体なので『影』と呼ばれている。
光を吸収してしまうのだろう。『影』たちは定期的にあらわれる。
9 :
しょた:2005/07/07(木) 20:59:37
「少したったらサンシャインへ行きます」
「そうか。では早めにくるようにな」
そういって小走りで次の民の元に向かった。ケイズさんが伝えてまわっているのは、
もうすでに放送設備とよばれるものが残っていないからだ。それにまだ『影』がくると予想される時間までには余裕がある。
ちなみにサンシャインというのは非難場所として造られたとても大きい建物だ。土台は地震に強いつくり、壁は鋼鉄でできていて、
あらゆる災害に対応した建物である。ケイズさんは、あそこも危険には違いないといったけど、本当にあそこも危険なのならもう
人類はおしまいだと思う。
さてと…。私もそろそろ行くことにしよう。サンシャインまではここから500メートルくらいだ。建物という建物は多く残っていないので、
まだ崩れず残っている建物のうち大きい建物に向かってすすめばいい。
人通りは、あたりまえだけど少ない。さっき私がしていたようにあおむけに空を見ている少年2人がいるだけだ。
崩れた建物の残骸でコンクリートだらけの道を歩いていく。
こんな町で、こんな世界で私は何を目標に、何をして生きて行けばいいのだろう。私が他の人のためにできることなんて何かあるだろうか。
父さんのようにはなれない。まず自分自身がこれからいきていけるのだろうか。サンシャインにある食べ物が無くなってしまったら
……どうなってしまうのだろう…。
とにかく、今はサンシャインに行くことが最善なんだろう。
大きく開かれている門を通り過ぎる。みんながここに集まったときこの門はしめられる。換気ぐらいはできる造りになっているだろうが、
門を閉めた時この建物は密閉されることになる。もちろん『影』の侵入をふせぐためだ。
さてと、私はすることもないからソファー(ふかふかのいす?)にすわって待っていることにしよう。
10 :
名無し物書き@推敲中?:2005/07/07(木) 21:08:16
わりと面白いかも。
11 :
5:2005/07/07(木) 21:14:16
>>8、
>>9 まったく興味が沸かん。こういう作品はネット上でいっくらでもある。正直最初の一文から読む気失せた。ごめんね、痛くて。
12 :
しょた:2005/07/07(木) 21:31:51
ぼくは旅にでるよ・・・
頭の悪そうなスレタイに惹かれて来てみたら、
スレの中身もかなり頭悪かった。腹いたい。
14 :
名無し物書き@推敲中?:2005/07/08(金) 16:53:48
挑戦者はいないのか?
15 :
3:2005/07/08(金) 17:02:42
今、続き書いてますのでもう少しお待ちを。
16 :
名無し物書き@推敲中?:2005/07/08(金) 19:37:20
>>8-9よりは
>>3-4のがよかったな。
>>8-9はエネルギー止まって、もっと奇妙なこと起きればよかったな。
時間の流れがおそくなって、
ゆっくーりーとーしーかー歩ーけーなーくーなーるーとーかー。
17 :
3:2005/07/08(金) 20:42:49
今日も途中までですが。
「あの、こんにちは」 「え?」
彼女が後ろを見るとさっきの箱と同じ物が立っていました。
その箱はあちこち傷だらけで、所々錆びて
肩の所に何か文字が彫り込まれていました。
「キミ・・・誰?」
「私の名前、ラールと申します。」(ロボット・男性型)
目の前の箱が自己紹介を終わらすと、
とにかく何も考えず彼女は箱にこう言いました。
「ねえ!友達になろう!」
言ってしまった。目の前にいる箱はどう思っているのだろう。
いきなり化け物から友達になろうと言われたんだ。また逃げられるかもしれない。
また何か投げられるかもしれない。今度はここから追い出される?
そんな事を考えている内に箱は彼女にこう言いました。
「はい、もちろんです。」
「・・・ほ、本当に!?」
「ええ、本当です。」
信じられない。いつの間にか涙があふれていた。
嬉し泣きなんて初めてだ。悲しくて泣いた事は何度あっただろうか。
泣いていると箱が、いや、彼が私にこう言った。
「何故、泣いているのですか?」
「嬉しくて・・こんなの初めてだから・・」
18 :
3:2005/07/08(金) 20:43:45
彼女が泣きながら言った声は声になっていませんでしたが、
彼にはちゃんと何を言っているのかわかりました。
「なんで・・友達に?」
「私は、あなたと友達になりたいと思ったからです」
彼にも友達はいませんでした。いえ、一人だけ彼の友達と言える存在はいました。
彼は捨てられ、動かない仲間達とここにやって来たのです。
(・・・私のせいで。本当に、申し訳ございませんでした。)
(さっさとこのポンコツを捨ててくれ。もうこいつの顔も見たくない。)
(やめて、お父さん!ラールは悪くない)
(待って!ラールを捨てないで!)
・・・この人の所からは、絶対に離れない。
もう二度と同じ事は繰り返さない。彼はそう誓いました。
「それより、あなたのお名前を教えて下さい。」
「わ、私?・・・私は・・・」
考えてみれば自分の名前もわからない。生前の事なんて何百年前の事だろうか。
でも、私が付けている物にひとつだけ名前の様な物が書かれてある。
(私が起きたとき、棺桶に入っていた物。これが私の名前?)
彼女の首にある飾りには泪と(れいとりん)と書かれてある。
(前から気になっていた。これのどちらかが私の名前だろうか?)
考える暇も無い。とりあえずこう言っておこう。
19 :
3:2005/07/08(金) 20:44:40
「・・・レイリン」
「レイリン、ですね。良い名前をお持ちで。」
名前なんて今までは気にしてもいなかったのに。
名前が無いなんて言われたらなんて思っていただろうか?
とりあえず私は今日からこの名前を使う事にした。
彼女が仮の名前で自己紹介をすると、ラールがガレキの中をあさくりだしました。
「何しているの?」
「使える物を探しているのです。適当な物を使って何か作るんですよ。」
「それって楽しいの?」
「ええ。昔から物を作るのは大好きなんです。」
・・・昔から、大好きだった。あの人が喜んでいたから、私は物を作っていた。
あの人の笑顔を見る事が私にとって一番の幸せだったから。
あの人と同じようにこのお方の為に物を作ろう。このお方が喜ばれるように。
(お誕生日、おめでとうございます。プレゼントです。)
(わ!ありがとう、ラール!)
(ラール、いつもありがとう。わざわざ僕の為に・・・)
(いえ、いつもあなたにはお世話になっていますから)
何故だろう。あの人の事を思い出すと悲しくなる。
機械の私が悲しくなるなんて馬鹿げている。
守れるはずが、守れなかったから?
20 :
3:2005/07/08(金) 20:45:41
彼は過去の出来事を思い出しながらガレキから使えそうな物を取りました。
錆びた糸ノコ、少々腐った木材、何故か血染めの鉈。
「…ここじゃ、こんな物で精一杯ですね」
「私も手伝うよ。一緒に探そう。」
そして二人で手分けして、要る物を探しました。
そういえば人の手伝いなんて初めてだ。生前はどうか知らないけど。
何だか嬉しい。友達の為にお手伝いをすることって本当に嬉しい。
「生きる意味」っていうのは自分や友達の為にあるんだろうか。
父親や母親みたいな大切な人の為にも?
「友達が出来ても生きる意味はわからないんだなあ。」
でもいつかわかるよね。そう思いながらガレキをあさくりました。
しばらくして、彼らの目の前に木材の山が積まれました。
「いっぱい取れたね。」
「はい。これだけあれば沢山作れますよ。」
気が付くと夕方になっていた。ついさっきまで朝だったのに。
「何だか時が経つのは早いね。」
「ええ。今度はあっというまに夜になりますね。」
「さあ。これから沢山、物を作りますよ。」
「ラールが何を作るかとても楽しみだよ。」
「期待しておいてください。」
21 :
3:2005/07/08(金) 20:46:14
そう言うと、彼は作業を始めました。
数十分経つと腐っていた木材は立派な芸術となっていました。
[POWER DOWN]
[コレヨリ待機モード]
「ふう、そろそろ休みましょうかね」
手を休めたラールは、レイリンをちらりと見ました。
疲れたのか、寝ていました。
「いつの間にか真っ暗になっていますね・・・」
空を見るといくつもの星が散らばっている。
そして月が私達を見ている。今日は満月だ。
ラールは作った物に布をかけて、布に何か書きました。
「さて、私も寝ますか」
[POWER OFF <<OK>>]
一台の機械が眠りにつきました。
22 :
3:2005/07/08(金) 20:50:15
今日はここまでにしておきます。
いきなり訳の分からんロボットが登場したりして変だぜコレとかあるでしょうが、
こんなモンしか思い浮かばなかったんです。すいません。
いきなりロボットが過去の事を思い出したりしますが、
その事についてはその内書こうと思っています。
う〜む。
出だしは面白いかと思ったんだが、
片目の女の子について深く語ることなく、
安易にロボットの友達をあてがってしまったという印象が……。
24 :
4:2005/07/08(金) 22:39:05
奴は、きっと今日もここに来るはずだ。
オレは、自前のサブマシンガンを両手に、あの女を待つ。
手にじっとりと汗がにじむ。あの女を殺す。
30分程経った頃、女があらわれた。
女は、高級車から下りると運転席の男に何かを話しかけ、マンションへと足を運ぶ。
オレは、すかさず物陰から飛び出し、高級車に鉛弾の雨を降らした。
高級車は、カンカンと鳴き、火を噴き爆発した。ほんの一瞬の出来事だったが、時が止まったように、
酷くゆっくりと時が流れていた。運転していた男は、炎に包まれ黙って、額に穴を開けて
こっちを見ている。オレは燃え盛る高級車だった火だるまを撃ち続けた。
女は、現実を呑み込めないのか、目の前の事態に呆然としていた。
オレは、サブマシンガンを捨て、腰元のパイソンの引き金を引き、女に近づく。
女は、オレの姿を見るや、マンションへと駆け出した。
女は誰よりも美しい女だった。そんな女の逃げる姿は、何よりも醜く無様でオレは笑った。
マンションの入り口はガラスの自動ドアだった。ドアが開いた瞬間、女の足に弾丸が命中した。
女は醜い声で、泣きながら助けを求めている。実に醜く、またオレは笑った。
25 :
4:2005/07/08(金) 22:53:08
あの女は生かしておけない。オレに恥をかかせたからだ。
オタクの何が悪い?人を馬鹿にして、負け組み扱いか?
オレは、いつ負けを宣言した?オレはいつだって勝ち組さ。今日だって、あの時だってそうさ。
オレは、じっと眺めていた。無様で醜い女を。
女がこっちを向いた時、女の肩に弾丸が突き刺さった。
うめく女。オレは、笑いが止まらなかった。
その時、不意に扉の向こうから、初老の男の姿が見えた。
管理人だろうか、それとも通りかかっただけだろうか。
男は、異様な状況に困惑し、逃げ戻ろうと振り返った時には、既に顔面に風穴が開いていた。
オレは、いつまでもこの時が止まっていれば良いと思ったが、それが長く続かないことを悟った。
女は、足を引きずりながら、逃げようとしていた。この世でこれほど醜い女はいないだろう。
オレは、パイソンを腰に戻し、バックから肉切り包丁を取り出し、ゆっくりと女に近づき、背中に突き刺した。
女は絶叫したが、貫通した肉切り包丁はそれを静止した。
オレは、醜い女の返り血を浴びないたく無かったが、予想以上の返り血は、激しくオレの手を汚した。
26 :
4:2005/07/08(金) 23:03:18
女は動かなくなった。思い出した様に痙攣する足は、酷く気持ちが悪かった。
包丁を抜くことなく、オレはその場を離れた。別れ際に女の後頭部に弾丸を2発ぶち込み、
オレの復讐は完了した。これからはオタクの時代だ。オレは、ここに宣戦布告にして、独立宣言を
したのだ。我々は、押し黙り負け組みの煮え湯を飲まされたりはしない。
我々の存在を脅かすことが、どういうことが思い知らせてくれる。
オレは、新しい明日へと一歩踏み出したのだ、憎いあの地下鉄での悪夢を拭ったのだ。
これが僕たち2CHねらの答えさ。
ガトリングガンを組み立て、今僕は、秋葉原へと向かう。オタクに誇りを与えるために
多くの犠牲を出すことに躊躇することは無いのだ。今日は、秋葉原の独立記念日だ。
電車男 完
続編はちょっといまいちでしたね。うんうん。
28 :
3:2005/07/09(土) 10:04:46
出直してきます
あー、まずキョンシーの事を優先して、あとでロボを出すべきだったのかー
29 :
23:2005/07/09(土) 19:23:37
いや、他人の意見は他人の意見として。
気にする必要はないけど。
村の中で疎まれていた片目少女が、
いきなりロボットと二人の世界で……という感じだから、
それがどうかなと思っただけ。
つまり片目のない奇形少女が村の中でどう扱われ生きていくのか
という重くて鬱な話かと思ったら……ということね。
ドロドロした話を期待していたから。
30 :
3:2005/07/09(土) 23:46:54
あ、鬱な展開も予想しているんですけどね。
最終的にバッドエンドかハッピーエンドで終わるか悩んでいるんですよ。今。
ロボの方も過去に暗い話がある事にしていますし。
出直すとか言いましたが、途中で投げるのもアレなんで続けます。
醜い出来になっても許して下さい。
ほし
32 :
◆7ep0vKNiRc :2005/07/13(水) 00:36:52
創作小説『青木ヶ原大炎上』
ある朝、彼は勤め先の工場長に
事務室へ呼びつけられた。
何だろうと思いながら襟を正し帽子を取って
事務室のドアの前で立ち止まり一度深呼吸して
「山岡紀明、入ります!」と大きくハッキリとした口調で
入室の挨拶をしながらドアを開けた。
早朝出勤のため事務室にいるのは工場長と課長、A〜Eラインの
班長そして紀明の8人だけ。
紀明は小学校の頃から職員室とか事務室が嫌いで入るとそわそわ
落ち着きがなくなる。入って来る時あれだけの大声で挨拶したのにも
拘わらず誰ひとりとして紀明の顔を見ようとしなかった。
呼びつけた工場長でさえ下を向いたまま何やら書類に目を通している。
「工場長、おはようございます。何の御用ですか?」
紀明が4、5歩進んで工場長のデスクの前に立った時、初めて
顔を上げた。
〜つづく〜
33 :
◆7ep0vKNiRc :2005/07/13(水) 10:30:40
創作小説『青木ヶ原大炎上:第2話』
紀明は工場長の頭を上から見下ろす形になっている。
「お?あ、ああ、山岡さんおはようございます。で、何か?」
自分で呼びつけておきながらそれはないだろうと、紀明は内心
憤慨したがかろうじて顔には出さず心に留めた。
工場長は持っていたボールペンを置いて話しはじめた。
「あ、そうそう。実はですね山岡さん、大変申し訳ないんだけど…
あなた今月もう4回遅刻して1日無断欠勤してるんですよ。でね、
社長が言ってたんだけど、その……」
皆まで言うなという感じだった。紀明にはわかっていた。
いや、紀明でなくても彼と同じ立場の人間なら全部は聞かずとも
察しがつく。
…山岡紀明48歳、2年前突然のリストラに遭って会社を解雇され
以来、パートとアルバイトで食い繋いできた冴えないオヤジである。
今日まで生きてこられたのは彼が妻も子供もいない"自由な"独身だからだ。
独り暮らしで飯を食べたくなければ抜いてもいいし冬場などは
入浴も週に4回ということが少なくない。養育費とか教育費を払う必要も
なく休日などは冷蔵庫以外のコンセントを全て抜いてお昼すぎまで
泥のように眠っていることがほとんどなので節電にもなっているのだ。
そんな紀明が派遣会社に登録したのが1年前。無料の転職情報誌を見て
登録する気になったのである。
〜つづく〜
34 :
◆7ep0vKNiRc :2005/07/13(水) 10:44:36
◆訂正事項◆
__
〜紀明は工場長の頭を上から見下ろす形になっている〜
頭ではなく顔でした。工場長はすでに顔を上げているので
真っ先に紀明の目に入るのは工場長の目や鼻、口ですから。
35 :
◆7ep0vKNiRc :2005/07/14(木) 11:18:33
創作小説『青木ヶ原大炎上:第3話』
工場長が奥歯に物が挟まったような言い回しをするので
紀明はつい
「工場長、派遣社員に気ィつかうことないですよ。わかってますから」と
口走ってしまった。もう半ば自棄(ヤケ)になっているのだ。
それに紀明は日頃からあることで不満を抱いていた。
工場長が自分よりふたつ下、A〜Eラインの班長が12〜15歳下だと
いうことだ。48の男がそんな年下たちに毎日ヘイコラするのは
かなり苦痛であり屈辱でもある。しかし辞めて他の勤め先を
探すにしてもこの歳では正社員で雇ってくれる所などなかなかない。
結局また派遣で就労する破目になるのだ。
それらが頭の中でグルグル回って紀明は不満爆発寸前なのだ。
紀明は独り者だが何故、結婚しないのか?
しないのではない、できないのである。
それは学歴に問題があるからだ。中学を出て職業訓練校に入学したものの
訓練校という所は世間から "学力が低い者の滑り止め" とか "人生を
諦めた者の学校" などと嘲弄(チョウロウ)されがちである。
両親も訓練校入学には反対したが紀明はもともと頭がいい方では
ないので他に選択肢がなかったのだ。
〜つづく〜
36 :
◆7ep0vKNiRc :2005/07/15(金) 01:59:20
創作小説『青木ヶ原大炎上:第4話』
訓練校での生活は苛められたわけでもなく悪い道に
反れたわけでもない平々凡々な毎日だった。
今にして思えば万引きのひとつも犯してクラスの
注目を集めておけばよかったと紀明は後悔している。
周りはほとんどタバコを吸ったり暴走族に入ったりと
悪の限りを尽くしているのに紀明はそういう人種の
仲間になることが将来の挫折、堕落に直結すると
考えていたがなんのことはなかった。
「不良」と呼ばれていた連中は今や10人に4人が
工場を創業したり会社で重要なポストに就いているのだ。
不良は根性があるから会社でつらい目に遭っても
ジッと耐えることができるのだと紀明は勝手に納得していた。
できることなら30年前にタイムスリップして不良になりたいと
考えている。やはり少々頭のネジがゆるい紀明の考えそうなことだ。
〜つづく〜
ざっと読ませてもらいましたよ
実際にありそうで怖い((((((;゚Д゚))))))ガクガクブルブル
38 :
◆7ep0vKNiRc :2005/07/16(土) 20:52:33
ありがとうございます。
結末はタイトル通りになるんですが
それまでの工程をダラダラと書いてみようと
思っています。
39 :
◆7ep0vKNiRc :2005/07/17(日) 20:58:21
創作小説『青木ヶ原大炎上:第5話』
紀明は学生時代から女に縁のない生活を送っていたのだが
かと言って異性に興味がないわけではなかった。
どちらかと言えば、いや、むしろ人一倍スケベだと言っても
過言ではない。ただ街で可愛い子に遭遇しても学歴コンプレックスが
あるため自信がなくてナンパもできず、エッチをするチャンスに
恵まれなかった哀れな男である。ではどうやってあっちの処理を
していたか?言うまでもなく「自家発電」である。
当時、どこの防風林にも少し奥へ入ると"お宝の山"があったものだ。
お宝――→エロ本の山である。
どこの誰が捨てたかわからない雨風に曝された汚い砂だらけのエロ本。
それが紀明のようなモテない男の"彼女"だったのだ。
ヌード写真だけを破り取ってポケットに無雑作に押し込み家に持ち帰って
それを見ながら……これ以上は言うまでもないだろう。
学生時代はそうやって処理していたのだが働くようになってある程度の
金が手に入るとソープランドに行くことが多くなった。
しかしそれが紀明の堕落人生の序章だった。
〜つづく〜
41 :
3:2005/07/18(月) 14:55:49
―――――――――――って
今さっき規制解除されましたw
皆さんこれからも宜しくお願いします。
42 :
◆7ep0vKNiRc :2005/07/19(火) 01:49:03
創作小説『青木ヶ原大炎上:第6話』
本物の"女"を知ってしまった紀明は月いちでソープに
通うようになった。たかだか17〜20万の給料では
高級ソープへは行けないが紀明にとって高級だろうが
低級だろうが頓着はなかった。やれればそれでよかったのである。
ソープ通いは20の頃から現在まで28年の長きに渡って続けられている。
最初の会社をプイッと辞めて3ヶ月間無職になってからも僅かな貯金から
2万、3万と下ろしてソープに足を運んだものだ。
その後6回ほど職を転々として気付いた時は40を越えてどこも
正社員では雇ってくれる所がなくなり現在に至っている。
派遣社員に身を落とした今でも給料が入れば食費を切り詰めてでも
ソープへ行くという自堕落な生活を送っているのだ。
〜つづく〜
43 :
3:2005/07/21(木) 00:24:50
ロボの過去話中心で。
辺り一面が、世界が、真っ暗だ。
私は今、ドコにいるのだろう?
昨日はあのガレキ山にいたハズなのに。
…そう、新しい主人。そして新しい友人のレイリン様のガレキ山に。
とにかく私は歩いた。暗闇の中にいるが、何故だかどこを進めばいいかわかる。
なんだろう。不気味だ。聞こえるのは私の電子音と換気口の音だけ。
暗闇の中を進んでいくと、いきなり鈍い光が現れた。夜の光だ。
「…ここは」
辺りを見回す。見慣れた場所だった。
故郷だ。私の故郷。あのいまいましいユー家の近くだ。
そこには前にラールが仕えていた家がありました。
家のドアには美しい文字がしっかりとボルトで打たれていました。
一。五。三。七。 1537番、この家の番地だ。間違いない。
とにかく何故あの村からこの街に戻ってきたのだろう。
「…何でまたココに戻ったんだ」
「もう戻りたくもなかったのに」
この街からどうあの村に行けばいいかわからない。
全て知っているのは私を不法投棄した以前の主人だけだ。
44 :
3:2005/07/21(木) 00:26:27
とにかくこの家は見たくも無い。
素早く後ろに向きを変えると、聞き慣れた声が後ろから聞こえた。
「ラール」
首を後ろに向けると、あの少年が立っているではないか!
ロニー様だ。私の名付け親でもあり、私の友人だ。
「ロニー様…!」
「ラール、戻ってきたんだね」
…信じられない。驚きと悲しみでいっぱいだ。
の腕を見る。あの憎いイカレた野郎にやられた傷はもう無い。
義手だからだ。今思えば私があの村に運ばれた最大の原因は、あの事件からだ。
あれは私がこの家に仕えていたときだった。
45 :
3:2005/07/21(木) 00:27:23
ちと短いですけど今日はココまでで。
過去話は結構長くなるかもしれません。
このスレ人少ないな
何人いるんだろ?
3さんと、◆7ep0vKNiRcさんと、おれと?
ひといないね
ほす
49 :
3:2005/07/29(金) 22:23:47
続き執筆中、でもなかなか進まない。
えーい糞!やーい糞!
50 :
3:2005/08/04(木) 17:57:34
ちうかココ人いるんですかね?
誰も見ていない所で作品投稿するのもなんか気が引けるです。
51 :
ガンダムっぽい世界観:2005/08/04(木) 21:29:20
〜プロローグ〜
時代がいくら進んでも、戦うことをやめないのが人類。
戦闘機、毒ガス、戦車・・・・・・・
近代化に伴い、軍事面も進んでいった新たな戦い第1次世界大戦・・・
ボタン1つで都市、国を消せるようになった第2次世界大戦・・・
そして、米軍が開発した2足歩行ロボット兵器「機械兵」(通称・RobotoSoldier/RS)が実戦投入された
カルネージ事件からの第3次世界大戦の勃発
世界はまた分かれた。
アジア諸国連合国とEUにアフリカ連合、南アメリカ連邦、トルコ・イスラム帝国、
そしてアメリカ合衆国、ネオ・ソビエト
各国の思惑が交錯するなか、開戦から2年半が過ぎた頃に
「六ヶ国合同停戦協定」により、1年間の停戦が決定された。
停戦終了まであと1ヶ月を切った頃、均衡を保っていた世界が揺らぐことになることが起きた・・・・
52 :
3:2005/08/05(金) 13:59:07
面白そうです。これからの展開に期待してます。
>>51 オーストラリアとカナダはどこですか?
日本、中国、朝鮮が同じ連合として結ばれると思いますか?
Robotoってなんですかwww 英語勉強しろ
54 :
>>51だが:2005/08/05(金) 18:41:14
>>53 作品内でそうのうち出すがオーストラリアは先の大戦で小さい島でいくつにもなった状態
誰が実際の話と昏倒しろとおっしゃいましたか?
Robotoの件については、
最初はmachineだったんだが、略するとMSになってかぶるんで
ロボットにしたんだが、Robotだがoをくっついてたのきずかなくて
55 :
>>51だが:2005/08/05(金) 18:43:17
好きなもの書かせてちょうだい。
もうひとつの浮世草
1.〜夢から覚めたら〜
夢から覚める
また夢を見る
繰り返される
心の呪縛
「頑張ったけど、もうだめみたい...」
「よく頑張ったよ、少し休みなさい...」
・・・お前はそれでいいのか???・・・
順二は、まどろみの中から目覚めた。
まだ、夢の中なのか、現実なのか分からない気がした。
遠くから響くような声が、頭の中で反射している気がした。
この辺りは、春だというのにまだ肌寒い。暖房の効いた部屋の中で、朝のニュースをボーっと聞きながら、身支度を済ませていく。
・・・今日の予定は・・・
彼にとっては、久し振りの出張だった。ここに転勤してきてからというも、あまり本社の方には、顔を出していない。
・・・たまには、向うにも顔を出しておくか・・・
もうひとつの予定が、頭の中をよぎった。
・・・急な花見の予定か・・・
今日のところは、まだそれほど集まるわけではないし
普段は、私服で車通勤なのだが、今日はそういう訳にはいかない。
スーツを着て電車に乗らなくては・・・。
アパートを出て駅までの近道を歩く。
近道といっても、田んぼの畦道のような道をのんびりと歩くのだ。
彼は、ここを歩くのが好きで、よく使っていた。
東京の雑踏のような世界から、この片田舎に移って丸二年が過ぎていた。
遠くの青く薄い山並みには、まだ白い残雪が残る。
・・・今年はまだ登れそうもないな・・・
彼の趣味の一つに増えた登山ができるようになるには、もう少しかかりそうだ。
15分程の道のりを歩くと、小さな駅に着いた。昨日のうちに買っておいた切符で改札をくぐる。
自動改札などは、ここにはない。発車前になると駅員が出てきて昔ながらの切符を切ってくれる。
・・・普通で、30分に1本、特急で1時間に1本か...
向うに居たときには考えられないことだが、二年の月日は、これが当たり前のように感じられるまでになった。
電車の中で、今日の仕事の内容をもう一度チェックして、一通りの書類に目を通しておく。
頭の中のシナリオが完成すると、軽い睡魔に襲われて、浅い眠りについた。
2時間後、彼は、西新宿の雑踏の中にいた。
・・・長野の片田舎とは、大違いだな・・・
半ば呆れ、微笑みながら、少し暑く感じる人ごみの中を進んだ。
2.午後のひととき
午前の仕事は、難なく済ませ、久しぶりに元の上司に挨拶に行った。そして、そのまま、昼食を取ることとした。
元上司で、今は課長の吉田と一緒に食事を取る。
「お前、元気そうだな」
いつもながら、鷹揚な吉田の声が響く。
「おかげさまで、元気にやってますよ」
少し控えめな、順二が返す。
「いい空気と、うまいもん食ってのんびりしてたら、元気にもなるよな。どうだ、そろそろ戻る気にはなれんか?もうあそこじゃ飽きるだろ?」
相変わらず単刀直入に切り込んできた。
「ははは、まあ、どうでしょう。でも、こんな浦島太郎じゃ役に立たんでしょ。」
「人手が足りんよ。ほんとのとこ。」
「あれだけ優秀なスタッフがいたら、何の問題もないでしょ。」
「おい、分かってる癖に、つまらんこと言うな、お前にできてもあいつらにできる訳ないだろ。今の客、全部手放して路頭に迷うか。はははは...」
豪快な笑い声が響く。順二は、内心、簡単には退いてくれそうもないなと思いつつ。
「まあ、そのときはそのときで、考えましょ。」
「ふん、まあいい、そのうちそっちにもお邪魔するからよろしくな。」
「はは、どうぞ」
食事を食べ終えて、順二は、会社に戻った。午後の仕事までは、少し時間があるので、余ったデスクに腰掛けながら、ボーっとしてみる。
吉田とは、馬が合うというか、よく一緒に飲みに付き合っていた。
豪快に見える雰囲気のわりに、細かいことに気の付く性格が、若干、神経質な性格の順二と合っていたのかもしれない。
吉田からの誘いに、内心彼も、動揺せずにはいられなかった。
・・・それは、それ・・・
すでに田舎暮らしにすっかり馴染んでしまった彼には、今更、東京に戻るつもりにはなれなかった。
3.花見の後で
順二は、午後の仕事を終えると、東京駅に向かった。
次の予定があったからだ。
いつもの待ち合わせ場所にいると、学生時代からの友人の智子が、慌しくやって来た。
「お久しぶり、陽一は?」
と、順二が声をかけると
「現地に向かったって」
「今日、陽一泊めてくれんらしい」
「うちでいいよ」
「すまん、旦那さんに会うのは、久しぶりだね。」
・・・とりあえず、泊まるとこは確保だ・・・
智子は、学生時代からの友人で、かれこれ10年以上の付き合いになる。
強引というか、積極的というか、とにかく順二にとっては、ある意味苦手な相手ではある。
学生時代から付き合っていた彼氏が元々いたのだが、別れてしまって、フリーになってしばらくした頃、順二が告白したが、時すでに遅く、新しい彼氏と付き合い始めたばかりだったのである。それが、今の智子の夫である。
智子は、結婚後、退職し、夫の転勤先の福島にしばらく住んでいたが、1年ほど前に東京に転勤で戻ってきていた。
しばらくは、専業主婦をしていたが、働くことにした。順二は、東京時代の知り合いの派遣会社を何件か紹介し、智子は、その中の一つに入社して今は、OLをしている。
もう一人の友人の陽一は、学生時代からの順二と智子の友人で、しばらく海外に赴任していた。
英語はもちろんだが、北京語もあやつり、フランス語、ドイツ語、イタリア語も日常会話程度ならこなす。
どこの国の人間とも溶け込んでしまう性格が、海外での彼の仕事の一番の強みなのだ。
元々、この花見の企画は、陽一の提案なのだが、肝心の彼の用事が忙しくて、本番の花見は明後日と決まっていた。
今日は、3人だけの花見だ。
上野駅を降りると、予想通りの混み合いぶりだ。田舎暮らしに慣れていた順二はいい加減辟易していた。
公園の入口で陽一が待っていた。
「よう...」
スーツ姿の陽一が声をかけた。
「待ったのか?座れるとこありそう?」
順二が声をかける。
「お久しぶりーー。陽ちゃーーん」
智子も挨拶する。
「智ちゃん、元気そだね。悪いけど順を泊めてやってくれよ」
「オッケイーー」
と乗り気でテンションの高い智子が応える。
場所取りの隙間に入り込むように座り込んで、缶ビールと簡単なつまみで、会話がはずむ。
「陽一、お前、明日忙しいんだろ?珍しいな。なんかあるのか?」
「ああ、ちょっちょな」
・・・そうか・・・
あまり詮索しないで、次の会話に変わっていく。
仕事の事、昔のこと、話が尽きず、とにかく飲み交わしていく。人の数もまばらになった頃、解散となった。
「おい、順、じゃあ、また、明後日な!!」
「ああ、またな」
「またねーーー」
花見もお開きになり、順二と智子は、電車で智子の家に向かった。
「陽ちゃん、明日用事あるんだね。忙しいのかな?」
「ふふ、大事な用事だろ。」
意味深に、順二は含み笑いをしながら答えた。
「うん?順ちゃん、どゆこと?」
怪訝そうに覗き込みながら、智子が尋ねた。
「女だよ。多分ね。よほど重要なんだろ。事によると...」
「え?そうなの?聞いてないよ?なんかあるのかなあ?」
「最近のメールの話の流れ見てりゃ検討つくだろ?伊達に10年以上も付き合ってないし。」
智子は、順二に言われて、何だか納得してしまった。
駅を降りて、家に向かう途中、順二は
「旦那さんに、挨拶しなきゃね」
と、声をかけると
「あ、忘れてた。今朝、急に出張になったって言ってた。夜に戻ってくるはずだったけど、夕方になって戻れなくなったって連絡あった。」
・・・しまった。やられた・・・
いつの間にか、彼女のペースに巻き込まれていることに気づいたのである。
順二の思考回路が、激しく回転する。
「旦那さんに連絡しとかないとね。」
順二が瞬時に切り替えした。
「そだね。」
内心残念そうな気持ちを隠しながら、智子は、携帯から夫を呼び出した。
「今日、お世話になります。すみません。」
順二は、一応の挨拶を済ませておいた。
「随分、寛大な人だね。」
内心、ホッとしながら、応えた。
「あんまし、干渉しないだけだよ。心配もしてくれないし。」
「そういうものなのかな?」
・・・
途中までですが、なんとか。
続きは書けるのだろうか。
4.邂逅
智子の住むマンションに着くと、少し千鳥足で、居間まで向かった。
一息入れたところで、
「お風呂入るでしょ。汗かいたからね。」
うっすらと赤みがかった上気した顔で、智子が尋ねる。
「ありがと、シャワー借りるよ。」
少し、疲れ気味に順二は答えた。
「旦那のスウェットで良かったら使っていいよ。」
・・・さすがに主婦は、気が利くな・・・
「ありがたく、使わせていただきます。」
冗談交じりに、丁寧に挨拶する。
「どうぞ、お使いください。ふふふ。」
楽しそうに、智子がタンスから、スウエットを持って、順二に渡した。
ボーッと、シャワーを浴びながら、一息入れる。
・・・ここに泊るのは、久しぶりだな。前の飲み会以来か。あのときは、5人くらい泊ったな。・・・
風呂から出ると、パジャマ姿の智子が、
「はい、どうぞ、風呂上りはこれでしょ。」
うれしそうに、冷蔵庫から、缶ビールを1本差し出した。
「ありがと、悪いね。」
上機嫌に、答えながら、早速、一気に飲んだ。
「かーー、やっぱり風呂上りは、うまいね。格別だ。」
まさに、うまそう、という勢いで順二が飲んでいると。
「私も飲みたいから、お風呂行ってくる。のんびり、テレビでも見ててね。」
と、風呂に行ってしまった。
順二は、髪を下ろしてボサボサという感じの髪型で、パジャマ姿の智子の後姿を見ていて、少し昔の学生時代を思い出していた。
・・・そういえば、仲間内でよく旅行に行ったりしたな。・・・
しばらく、テレビのニュースをボーっと聞いていると。
「ふうーー、気持ちよかった。ビールーーーー!!ちょうだーーーい!!」
と、ドタドタという足音と供に、すっぴんで、サッパリした顔の智子が、待ちきれないという顔でやってきた。
「ホレ!!」
缶ビールを渡す。
「かんぱーーーい。」
智子も、一気に飲む。
「やっぱり、おいしいね。風呂上りのビールだよ。うんうん。」
少し、オバさんぽく智子が、はしゃいでいた。
「風呂上りビールは、しないの?うまいのに。」
「それが、聞いてよ、うちの旦那、下戸だから付き合ってくれないのよ。ほんと、つまんないっ」
「まあ、それは、仕方ないだろ。あんな、いい旦那さんいないって。」
「何も知らないくせに...」
小声で、智子はつぶやいた。
順二は、それは、聞こえてないようなフリをして、別の話題に変えていく。
しばらく、飲んでいると、智子は座りながら器用にうつぶせに、寝てしまった。
・・・仕様のない奴だな・・・
勝手知ったる他人の家よろしく、布団のしまってある部屋に行って毛布を取りに行こうとドアを開けると、そこには丁寧に布団が2組敷かれていた。
さすがにこれには、順二も、少し驚いた。おそらく順二がシャワーを浴びてる間に準備してくれてたんだろうな、と思いつつ・・・
少し冷静さを取り戻して、押入れから毛布を取って何食わぬ顔で、智子の上から毛布をかけてやった。しばらく、無言でニュースを見ながら独り酒をしていると。
「うーーーん、ふーーー。あれ?毛布?うん?」
間の抜けた智子が、寝ぼけ眼で起きだしたが、すぐにまた横になってしまった。
・・・ふふふ・・・と、その仕草に思いながら...
「うーー、寝てしまった。よーーー」
目をこすりながら、まだ、ボーっとしている。
「もう、寝よっか?眠いだろ。」
順二が、助け舟を出した。
「うん、寝る。お布団敷いてあるから、寝よ。おやすみ・・・ふうーー」
「おやすみ。」
智子の後に続いて、寝室に入ると、布団にまっすぐ入り込んだ。
智子は、布団に入るなりすぐに眠ってしまった。
・・・相変わらずだな・・・
と、思いつつ、ボーッと天井を見ながら、順二は、考え事をしていた。
・・・記憶が遡っていく・・・
「俺、智ちゃんのこと好きだよ・・・」
張り詰めた糸が、更に張られたような声で、順二が胸の内を搾り出した。
「ありがと・・・」
うれしそうな、寂しそうな
ここまで、思い出すと、いつしか順二も、深い眠りに落ちていた。
休みの日は、原稿が進みますね。続きを書き始めてしまった。
>>3 続きはまだでしょうか?
お待ちしてます。
楽しそうに書いてるなって気がしました。
>>12 戻っておいで。これから、これから
>>24 最後のオチに笑ってしまった。
>>32 面白いかも。
賛否両論だと思いますよ。
心情的に入り込める人と拒絶する人と。
そこが面白いかも。
>>51 プロローグだけ読むと、新聞のコラムみたいですけど、
これから小説らしくなるのかな?期待してます。
>>56 最初何?って感じでしたけど、
大人の話ですよね。
これから、どんな展開になるのかな?
登場人物の描写とか、嗅覚とか聴覚、触覚みたいな
ものが表現されると、よりリアルになるような気がします。
75 :
3:2005/08/08(月) 12:59:11
続き書いてますよ。でもあんまり進まないんですよ。
ボツったネタとかで短編とかも書いてみようかな、とか思ってます。
76 :
>>51だが:2005/08/08(月) 15:41:55
>>74 つづきをここに載せたほうがよろしいですかな?
>>76 すみません、こっそりロムる人なので、
載せていただけると助かります。
>>75 楽しみにしてます。
78 :
名無し物書き@推敲中?:2005/08/08(月) 16:08:58
おもろい。載せてくれ。
79 :
名無し物書き@推敲中?:2005/08/08(月) 21:01:15
登場人物紹介もあるんでちょっと長いですけど
〜登場人物〜
主人公-1 アジア諸国連合国
連合国機械兵部隊-第01師団
隊長補佐 ケイジ・サトウ中尉(男)
上司 アジア諸国連合国
連合国機械兵部隊-第01師団
艦長 ロン・ワン中佐(男)
アジア諸国連合国
連合国機械兵部隊-第01師団
隊長 ウーティップ・サトウ少佐(女)
(主人公の従姉)
アジア諸国連合国 連合国代表議長
ナルガエ代表議長(女)
南アメリカ連邦 元・近衛師団-「ボムズ」隊長
現・国民議会副議長
ウトア 将軍(男)
同僚 アジア諸国連合国
連合国機械兵部隊-第01師団
旗艦「スタリオン」パイロット
隊員 チャン・チー少尉(女)
隊員 ヨシイ・タナカ中尉(男)
隊員 ヤンヤン曹長(女)
隊員 リー軍曹(男)
80 :
名無し物書き@推敲中?:2005/08/08(月) 21:03:06
ニッポン・旧トウキョウ郊外・・・
「軍のハンコ・・・お!ケイジからかな?」
おもむろに便箋をびりびり破く。
「なになに・・・」
「親父へ
元気か!
オレは元気で過ごしている
親父がこれを読む頃には、オレは香港にいると思う。
先の大戦では機械兵がほとんどなくてほかから買うしかなかったが
やっと生産にこぎ付けたみたいで、やっと部隊が組織できた。
俺ら自身は、トルコ・イスラム帝国の方としか戦っていないから
よかったものの、、、、
相手も生産体制が整って、急ピッチで生産していると聞いている。
停戦終了まであと3週を切っていろいろいそがしくてよ〜
今度は南アメリカ連邦と手を組むとかなんとかと・・・・
そんなこんなで大変なんだよ
それでも停戦延長のための会議もやっているからまだ平和かもしれない
停戦延長が決まったら、休暇をとって家にかえるからな!
P・S
オレの部隊の隊長は従姉のウーティップの姉貴だからよろしく言っとく
ケ イ ジより」
よんだ手紙をビリビリやぶきながら、空に向かってタバコを吹かし、
「早くかえってこいよ!」
そのころ香港では・・・・
81 :
名無し物書き@推敲中?:2005/08/08(月) 21:04:44
アジア諸国連合国 香港軍部では
「予備の装甲はどうした!」
「中国方面からの部隊はどうしたんだ!」
「迅雷を早くスタリオンへ運ぶんだよ!」
「会議のための警備はどうなってるんだ!」
現場は混乱中・・・・
「ったくもう、いったいなんでここまで混乱しまくってんだよ。」
ぼやきながら「烈風」を操縦するリー軍曹。
「ほら!ぼやかないで、さっさと仕事しなさいよ!」
激を飛ばすヤンヤン曹長。 搭乗機は「迅雷」
「今日からこんなに準備しなくてもいいんじゃないんですかね?」
「そうよね、、準備に越したことはないけどどうしてここまでいそがせるのかしらねぇ」
話に割って入るかのように無線が鳴ると同時にタナカ中尉が叫ぶ
「軍曹、曹長 緊急招集だ!すぐブリッチに来い!」
「は!中尉」
「了解です!」
一方その頃、香港軍部-会議室では・・・
「それでは決まりですな・・・」
白髪の老人がズッシリとした声で話した。
「そうですね、それにしてもこんなことしてていいんですかね・・」
苦笑しながらも返答する、まだ20代後半であろうか、白い肌がその黒い綺麗な長い髪がとても似合う感じな女性がいた。
老人が再び話を始めた
「今回の条約締結はくれぐれも内密にしてもらわんとお互い困りますよ」
「それはお互い理解して今回の会談があるのでは?」
「フォフォフォ、確かにな・・・」
82 :
名無し物書き@推敲中?:2005/08/08(月) 21:06:43
「それでは、例の品物はいつほど・・・」
女性が問いかけると
「まぁまぁ、あせりなさんなナルガエ代表議長殿」
あなたはこの国民議会副議長で・・・・」
その時耳を指すような爆音とともに、どこからともなく攻撃が始まった。
「警戒警報発令! 未確認国籍の機械兵出現 数は約50
直ちに第1級戦闘態勢に入れ!繰り返す・・・・」
スタリオンの艦内では・・・
「なんだ、なんだぁ?」
リー軍曹が壁にぶつかりながらもあわてながら言った
「敵みたいね・・・・」
動揺しつつも冷静になりながらヤンヤン曹長が言う
83 :
名無し物書き@推敲中?:2005/08/08(月) 21:07:43
オペレーターの裏返った声の指示が聞こえた
「艦内にいるRSパイロットは直ちに出撃してください!」
「早く行くわよ、軍曹!」
「ちょっちょっちょ、待ってください〜」
格納庫に着いた2人に対して、整備兵が
「遅いぞお前ら! ケイジとチャンはもうでってたぞ」
親に怒られてむっとした子供のように
「はいはい、すみませんでしたねぇ〜 今行きますよ!」
「なら早く来い!」
「烈風の装備は、大型マシンガンと盾しか装備してないからな」
「わかりましたよ! リー、烈風でまぁす!」
「迅雷はビックアックスと頭部バルカンのみだか装甲は厚いが
極度の集中攻撃の場合はやばいから気をつけろ」
「はい!了解しました。 ヤン曹長 迅雷行きます!」
第2話 激突!
>>83 いよいよ、始まりましたね。
戦闘シーンか。
どんなふうになるのかなあ。
こっからが、大変そうだなあ。
ガンバレーー
>>3 なんか、次にどうなるんだろうとか、想像しちゃいますねえ。
ラールの過去
レイリンとラールの今後とか
ラールの過去とレイリンの過去のどこかで、接点が
あるような気がしてならないです。
今後、どこかで記憶がよみがえるとか。
>>72 今、やっと読み終わりました。
長いですねえ。ふーーって感じです。
不倫の予感?それとも別の展開?
どんな感じに進むんだろうなあ。
86 :
>>51だが:2005/08/09(火) 07:20:00
>>84 戦闘シーンという戦闘シーンはもうちょっと先なんですよ〜
第1章でいうと5話ぐらいですかね・・
3話まで書きましたが
87 :
クビノタネ:2005/08/09(火) 07:37:05
何もかもが退屈な日々だった。高校を卒業してからというものの大学に行くで
もなく、就職するでもなく、何もしない日々が続いた。親しい友人がいるわけ
じゃないし、何か熱中できる趣味もなかった。
家ですることといえばパソコンをいじるか、本を読んだり、ビデオを観たり
するくらいで、あとの時間はほとんど寝ていた。一日の半分以上を寝て過ごし
た。一日に八時間以上眠ると脳が腐っていくというのを何かの本で読んだ気が
する。
そんな日がどれくらい続いたのかはよく覚えていないが、そのころには僕はも
うすっかり鈍化していた。憂鬱で、退屈で、何もかもをもてあましているのに
何もする気がおきず、脳が日々腐っていくのを日々感じながら、ただ生きてい
た。
88 :
名無し物書き@推敲中?:2005/08/09(火) 07:38:23
ある日僕は一週間ぶりくらいに家をでた。べつにどこかに行こうと決め
て出たわけではなく、適当に本屋やレンタルビデオ屋をまわるくらいだ。
まず古本屋にいこうと路地裏を歩いていた。そこは昼間とはいえ、人通
りがまったくと言っていいほどなく、妙に薄気味悪い雰囲気が漂ってい
た。そこを歩いていると、そこだけが世界から取り残されたような感覚
におちいる。人ごみや雑音が嫌いな僕はこの道を通るのが好きだ。
少し歩いていくと露店がでていた。店をやっているのは五十くらいの汚
らしいオヤジで、何かの種みたいなのを売っている。こんなところでめ
ずらしいな、と思いすこし気になって見ていると店のオヤジが声をかけ
てきた。
「兄ちゃん、種はいらんかね」
その声はひどくしわがれていて実際の男の年よりも年老いて聞こえた。
「なんの種ですか?」
僕がそう尋ねるとオヤジは「そいつぁ育ててからのお楽しみさ」と、ゲラ
ゲラ笑いながら答えた。種は肌色で、手にとってみたがなんだか人間の
皮膚のような感触がした。
「いくらですか?」
「千円だよ」
89 :
クビノタネ:2005/08/09(火) 07:40:50
その値段が高いのか安いのかよくわからないが、僕は妙にその種が気になり結
局買うことにした。財布の中から千円を取り出して手渡すと、オヤジはニタア
と微笑んで言った。
「毎度ありィ」
そのあと僕は古本屋で適当に時間をつぶしてから家に帰った。
家に帰るとさっそく種を植えることにした。よくよく考えると植物を育てた
ことなんかないので、とりあえず母が育てている植木鉢の花を引っこ抜いてそ
こに種を入れた。今思い返すとなんでこんなものに千円も払ったのだろうと少
し後悔したが、次の瞬間にはもうどうでもよくなってそのまま寝ることにした。
次の日目を覚ますともう芽がでていた。その葉はやけに濃い紫色をしていて、
異常なはやさで成長していった。その日の夕方には一メートルを越え、三日ほ
どすると僕の身長を越えていた。やがてその植物には一つの実ができた。
90 :
クビノタネ:2005/08/09(火) 07:42:23
その実は人間の顔をしていた。中学生くらいのきれいな少女の顔をして
いて、寝ているように目を閉じていた。以前の僕なら少しはまともな反
応……つまり驚いたり、怯えたりしたのかもしれないが、もうすっかり
脳が腐って鈍化してしまっている僕は、ただ彼女の顔に見とれていた。
そのまだ幼さの残しながらもどこか大人びた顔も、やわらかそうな唇も
、首だけというその奇妙な風貌さえも、すべてが美しく魅力的に思えた。
しばらく眺めているとやがて彼女は目をゆっくりと開いた。彼女はあ
たりをキョロキョロと見渡すと、怯えたような表情で何かを訴えるかの
ように叫んだ。しかし肺がないせいだろうか彼女の口からは声はでない
。ただ金魚のように口をパクパクさせるだけだ。何を喋ろうとしている
のかは僕にはわからなかったし、また興味もなかった。ただ吐き気がす
るような退屈な日に訪れた、このささやかな刺激に僕は歓喜し、彼女を
飼うことにした。
91 :
クビノタネ:2005/08/09(火) 07:43:37
それからの僕は外にも出ず彼女の顔を眺めて、時々水をやり一日を過ご
した。育てるには水があれば十分のようだった。何度か彼女の口に食べ
物を与えたがすぐに吐き出してしまった。
僕は以前から眠れる森の美女のような体温のある死体を欲しいと思って
いた。もともと僕は人間に興味がなく、むしろ嫌っていた。例えば好き
な女性ができたとしてもたいていの場合、その子の言動やしぐさを見て
理想とのギャップを感じ幻滅してしまうのだ。だから死体という完璧な
受動体は僕にとって理想のエロスなのだ。それらは反抗することも、口
答えすることもない。したがって幻滅することもありえない。
しかし死体がその美しさを保っていられるのは、わずかの時間だけだ。
だから死体でありながらその美しさを保ち、なおかつ肌に触れればその
温かみを感じられる体温のある死体というものを僕は欲していた。その
意味でこの首の少女は理想に近い存在であるように思う。抵抗すること
も、僕を幻滅するような言葉を喋ることもできない。できればその表情
もなくなれば完璧なのだが、そこは我慢するしかない。
92 :
名無し物書き@推敲中?:2005/08/09(火) 08:22:44
続きはまたあとで
93 :
3:2005/08/09(火) 12:32:53
なんだかオドロオドロしいですね。
もっと育てていくうちに、体も生えてくるとか。
94 :
クビノタネ:2005/08/10(水) 00:45:08
僕は彼女の頬を撫で回し、その美しい髪に触れた。彼女はビクッと震えて、す
こし怖がっているようだった。その表情もとても可愛らしかった。彼女の近く
にくるといい匂いがした。僕は彼女の頬を愛撫するように舐めまわしたあと、
そのやわらかい唇に口づけをした。なんだか甘い味がする。僕は彼女の口の中
に舌を入れた。
「つぅ!……」
突然舌に激痛が走った。何がおこったのかわからず、思わず彼女から離れて見
ると、彼女の口から血が滴っているのが見えた。彼女が僕の舌に噛み付いたの
だとわかった。
何でこんなことをするんだこの女は? 誰のおかげで生きていられると思っ
ているんだ。一人では生きられないくせに、たかだか舌を入れられたくらいで
なぜこんなことをされなくちゃあいけない? 僕は無性に腹が立ち、また彼女
が所詮その辺にいる女たちと大して変わらないのだということに幻滅して、せ
めて彼女を本物の死体にしてやろうと思った。
95 :
クビノタネ:2005/08/10(水) 00:46:33
僕は台所から包丁を持ち出して、まず甘い味がしたそのやわらかい唇を
切り裂いた。すると嘘のように血が吹き出し、彼女のその白い肌と床を
みるみるうちに紅く染めていった。血まみれになった彼女の顔からは涙
が溢れ、その表情は恐怖と苦痛に歪み、とても美しく思えた。その唇を
さらに切り裂くと、僕は彼女の唇に噛み付き、そのまま引きちぎった。
唇は思ったよりも歯ごたえがあった。それがはたして本当の人間の肉
と同じものでできていて、同じ味がするのかはわからないがとてもおい
しく感じた。さらには少女の肉を自ら切り裂いて喰らうという背徳感が
最高の調味料となり、形容しがたい甘美なものになっていた。
そのあと頬を喰らい、眼球を喰らい、順番に彼女の肉を食べていった
。その間も彼女は涙を流し恐怖と苦痛で顔を歪ませながら、何かを訴え
るかのように口をパクパクさせていた。本来ならとっくに死んでいるは
ずの傷を負わせてもそれが途絶えることはなかった。
96 :
クビノタネ:2005/08/10(水) 00:48:23
あらかた肉を食べ終わったあと僕は次に彼女の脳みそを食べることにし
た。頭蓋骨を割るために金属バットで何度も彼女の頭を殴った。何度も
何度も何度も何度も何度も……。その単純な破壊行動は僕を興奮させた
。気がついたときにはもう原型をとどめていないほどグシャグシャにな
っていた。
僕はあたりに飛び散った脳みそを貪るように食べた。それはさっきま
で食べていたどの部分よりも美味しかった。あまりの美味しさと、いい
しれぬ快感にまるで夢の中にいるようなどこか不安定で、心地よい感覚
に襲われて、僕はそのまま眠ってしまった。
目が覚めると誰かが僕の頭の中をいじっているのがわかった。まだ頭
がボーッとしている。しばらくしてそれがあの露店のオヤジだと気づい
た。オヤジは僕の脳みそに手をつっこんで何かを探すようにグチュグチ
ュとかき回していた。何だかむずがゆいような気持ち良いような感じが
したが、痛くなかった。「おっ! あった。あった」とオヤジは嬉しそう
に叫び何かを取り出した。それはあの肌色の種だった。僕はそのまま気
を失った。
次に僕が目覚めたのは見知らぬ部屋だった。目の前には知らない女の子
がこちらをじっと見ていた。逃げ出そうにも僕にはもう体はなく、首だ
けしかなかった。僕は自分があの少女と同じような姿になっていること
に気づいた。僕はこの女の子に食べられるのだろうかと思うと、怖くな
り必死で「タスケテッ!タスケテッ!」と叫ぼうとしたが声はでず、金
魚のようにただ口をパクパクさせるだけだった。
END
97 :
3:2005/08/10(水) 10:32:30
((((((;゚Д゚))))))
あらすじだけ書いておく
「最近彼氏とマンネリぎみの彼女、でも別れられずにいる。
彼女はいつも、彼が買ってくれた白いブラウスを愛用している。
ある日彼女は、彼が浮気している現場を目撃してしまう。
怒りというより、分かっていた様な、どうしようもなさが込み上げてくる。
その時、干していたブラウスが風に吹かれて何処かに飛んでいってしまう。
それを見て彼女は、彼と別れようと決意する。」
ラストはつげの「チーコ」を見て思い付いた。
けど「チーコ」になんか及ばないけどね。
これを文章化したいけれど、
飛んで行くブラウスを見てどのように別れる決意をするか、
という下りを上手く表現できないため、未だに出来ないでいる。
でもここであらすじ書いちゃったから、
たぶんもうどこにも発表しないだろうね。
99 :
名無し物書き@推敲中?:2005/08/10(水) 22:22:17
age
100 :
3:2005/08/11(木) 01:36:49
100いただいときますね
詰まっていた所が何とかとれたので原稿進みそうです。
101 :
名無し物書き@推敲中?:2005/08/11(木) 18:05:03
>>96 食事中に読んでしまった。orz
なかなか、なかなかやりますな。
最後まで読んで、思わず しまった、やられたーーな感じでした。
102 :
オメガ石松:2005/08/11(木) 18:10:02
なんで自分の独創でと書いてあるスレでまでパクる奴がいんのだ
103 :
オメガ石松:2005/08/11(木) 18:15:03
人が考えたアイデアをなんのことわりもなしにパクル奴が何人もいるふざけんなよ、昨日も一人いたぜ、すっとぼけやがって、くそが
104 :
オメガ石松:2005/08/11(木) 18:18:45
キスして噛み付くのは俺が考えたんだ、そんな話きいたこともない、出典があるなら出してもらおうか、さあ早くいえ
105 :
名無し物書き@推敲中?:2005/08/11(木) 18:40:45
日本語しゃべれ
>>74 表現が稚拙ですみません。
嗅覚とか触覚かあ。思いつかんかった。
>>85 残念ながら、不倫にはなりません。
私が不倫嫌いだからw
でも、そういう想像させるような展開に進んでますね。
ここに書かれてる皆さんは、想像力が豊かでうらやましい限りです。
私は、どうしても、身近なことからしかヒントがつかめないので、
なんだか、つまらない感じのものになってしまいますね。
別スレの話ですみませんが、
試しに「べたな恋愛小説を書こう」で別のものを書いてみました。
主人公の名前だけは同じになってしまった。
設定だとかは違いますけどw
まあ、なんとか邪魔が入らぬうちにカキカキするしますか。
うるさいのが起き出してきそうだから。
「おふぁよーーー」
やばい、でわでわ
はああ、やっと少しまとまって進んできたので、載せてみます。
なかなか進みませんね。
5.桜並木
朝の薄暗い中、順二の目が覚めた。ほんの少しの間、隣で寝ている智子の寝顔に目をやった。
筋の通った鼻と、薄く細い眉、細く尖った顎のラインと、膨らみのある唇の影が、薄日に照らし出されて
いた。
布団の上に出ている薄いピンクのパジャマが、見え隠れしている。
・・・誰かに似てる?・・・
記憶をたどっていく。
「智子さーーん、やっぱりキレイですよーーー。女優の○田○○子みたいって、言われません?」
酔っ払いの後輩が、智子に絡んでいた。
「僕と一緒にお酒飲みましょうよーー。」
フラフラッとして、足取りもたどたどしい。
智子の顔が、ほんの少し青ざめていた。
「はいはい、その辺にして一緒に飲もうな。」
順二は、後輩の肩をつかみながら他の席へと誘導していく。
「順二さん、僕はですねえ。僕は...」
順二は、ロレツの回らない後輩を店の床に優しく寝かしつけた。
智子の顔に、目だけで合図を送る。安心した智子が、目だけの返事を返した。
・・・いつもそうだったな。お守り役か・・・ ・・・誰かに似てる?・・・
結局、思い出せないまま、しばしまどろむ。
朝の光とともに意識が覚醒していく。
・・・そろそろ、頃合か・・・
順二は、上半身だけ起き上がった。
もう一度、智子の顔を覗き込もうと思った瞬間、
「お早う・・・ ・・・よく寝れた?ふあーー・・・」
智子も目を覚ましていた。
・・・相変わらずのタヌキだな・・・
順二は、問いには答えず
「顔洗ってくるね。」
と、言うなりそそくさと立ち上がった。
「うん、じゃあ、起きるかあ...」
ふわふわっとした感じで、智子が起き上がった。
順二が顔を洗っている間、智子は、ボーッとしていた。
・・・なかなか、うまくいかないものね・・・
ホッとしたような、寂しいような、そんな感情が胸の中から湧き上がっていた。
順二はいつも優しい。どんなときでも無条件で。
だから、甘えてしまうのかもしれない。結婚した今でも。
夫との生活は、充実していた。
優しい人だし、収入も安定しているし。
しかし、ここのところすれ違いが多く、まともな会話もできないでいた。
智子の仕事が忙しくて帰りが遅くなっていたせいもある。
それでも、帰ってくれば夫が夕食を準備して待っていてくれる。
夫は、転勤からこちらに帰ってきてからというもの、
前の職場で始めたフットサルの試合のために、度々遠征していた。
刺激の少ない生活だった。
そのことが、好奇心の強い智子の性格に災いしていた。
そんな矢先の陽一からの誘いである。
メールで、順二がやってくると分かったとき、久しぶりに心の中で何かが囁いた。
陽一は、急用があって順二を泊められないので、泊めてやってくれと頼んだ。
そこへ夫の出張話である。
しかし、予想外のことが起こった。
順二が電話をするように頼んできたのだ。
智子の中の淡い期待は、簡単に崩れてしまった。
それでも、まだ諦められないで、順二の変化を待っていたが、結局いつも通り何事もなかった。
・・・仕方ないか・・・
力なく立ち上がると、朝食の準備に向かった。
順二は、朝のシャワーを浴び終わると、着替えてリビングに向かった。
すでに出かけられる格好になっていた。
そこへ、まだパジャマ姿の智子が台所から声をかけた。
「おはよ、もうちょっとしたら朝ごはんできるけど、食べてく?」
忙しそうに準備をしながら智子が尋ねると。
「申し訳ない。いただせていただききます。」
楽しそうに順二が答える。
「ふふふ、もう少しよ。」
智子も幸せそうな声で返した。
朝食には、ごはんと味噌汁、それに漬物と焼き魚が出てきた。
「うまそうだねえ。いただきます。」
ご飯に夢中という顔つきで、食べ始めていた。
「はい、いただきます。」
智子も合わせた。
順二にしてみれば、何年かぶりのまともな朝食である。
智子も楽しそうだ。何年か前には、よく陽一と順二は、おいしそうにご飯を食べてくれた。
そして、決まって、味噌汁のおかわりを頼む。
昔を思い出していると・・・
「味噌汁のおかわり、いいかなあ・・・」
照れくさそうに、順二がお碗を差し出す。
「はい、どうぞ・・・」
うれしそうに、智子が返す。
「ありがとう。」
順二も、うれしそうに応えた。
食後のお茶も飲み終えてのんびりしていると。
「そうだ、ハム男にエサあげなきゃ。」
智子が、立ち上がった。ハム男は、智子がかわいがっているハムスターの名前だ。
「あれ、おかしいな。ハム男がいない・・・」
智子の怯えたような声が響いた。
順二も立ち上がった。見るとハムスターのゲージの入り口が開いていた。
「どこに行ったんだろう?」
智子も不安そうだ。ベランダの窓に近づいた時、窓が少し開いていることに気づく。
「ここから逃げたんじゃない?」
順二が目で合図する。
智子は、ベランダに降りて、屈んで(かがんで)辺りを見廻した。
すると、隣のベランダとの仕切りの小さな隙間の向こうにハムスターが丸まっているのが見えた。
「いた!!おいで」
智子が手招きして、エサを持って合図する。
順二がベランダに出たその時、物音に気づいたのか、隣の部屋の奥さんとおぼしき人物が
窓越しにこちらを見ようとカーテンを開け始めているのが見えた。
・・・しまった。智子と一緒のところを見られたか?・・・
物陰に、サッと隠れる。奥さんがカーテンを開けた瞬間、ハム男は、智子の両手の中に
入り込んで隠れてしまった。
「おはようございます。」
何事もなかったかのように智子が挨拶を交わす。
奥さんも、軽く挨拶して奥に消えていった。
・・・ギリギリセーフだな。・・・
順二は、緊張から解けて、ホッとした。
「危なかったねえ。ハム男いるのバレたらまずかったのよ。ほんとにお前はすぐ外に出たがるんだから。」
智子は、ハムスターに楽しそうに話しかけた。
・・・危なかったのは、俺の方だろ・・・
「今日はどうする?」
何気なく順二が尋ねる。
「どうしよっか?」
智子は出かける準備をしながら、返事をした。
「桜並木の綺麗なところあるけど行ってみない?」
順二が、提案すると。
「あ、行く行く。そこにしよ。」
化粧の途中の智子が、応えた。
・・・それにしても、どうして化粧中の顔を見せることができるんだ?・・・
昔から、順二にはあまり羞恥心を見せることが少ない智子に呆れてしまった。
電車を乗り継いで目的の駅に降り立つと、心なしか花の香りがしているような気がした。
休日ということもあり、人影もまばらだ。
この駅は、昔順二がよく使っていた駅であるし、仕事の同僚もよく使うので、
誰かに会ったりしないか、少し心配ではあったが、
・・・そのときはそのとき・・・
と、順二は、軽く考えていた。
駅から、少し歩くと閑静な住宅街の中に、長い桜並木が見えてくる。
場所柄なのか、酔っ払いなどはなく、子供連れの家族などが、桜の下を歩きながら楽しんでいる。
「わあ、綺麗だね。ほんとに。」
智子は楽しそうに、はしゃいでいた。
「この先、結構歩くよ。」
順二が答える。
・・・しまった、智子の声は思ったより響く・・・
それに、誰かは忘れたが、女優に似ている顔立ちなので、目立ってしまうのだ。
人がすれ違う度に、智子に一瞬目をやっていた。
そんなことは、お構いなしに智子が続ける。
「写真撮ろうね。」
デジカメを構えながら、無邪気にはしゃぐ。
そのとき、前方から2,3歳くらいの小さな女の子が、トコトコという感じで歩いてきた。
順二にぶつかりそうになったので、順二が、しゃがんで声をかけた。
「どうしたの?」
子供と同じ目線の高さで、順二が話しかけた。
「あのね、お母さん探してるの」
不安そうに答える。
「じゃあ、一緒に探してあげるね。」
優しく微笑みながら、話しかける。
「うん、ありがと。」
それまでとは打って変わったような笑顔だった。
「お名前はなんて言うの?」
「ようこ」
「ようこちゃんて言うんだね。」
順二は、立ち上がると、女の子の手をつなぎながら、歩き始める。
・・・相変わらずね・・・
智子は、順二の子供好きをよく知っている。
こういうときの順二の笑顔は、子供そのものだ。
・・・かなわないな・・・
「ようこちゃんのお母さんはいらっしゃいませんかあーー」
周りじゅうに聞こえるような順二の声が、何度か響く。
しばらくすると、慌てたふうの婦人が、順二の前に現れた。
「お母さん・・・」
女の子は、その婦人に駈け寄った。
「ほんとにすみません。ありがとうございます。」
母親が恐縮したように挨拶する。
順二は、笑いながら
「よかったね、見つかって」
「うん」
楽しそうな声が返ってきた。
順二は、智子に先ほどの笑顔のままで
「よかったね。見つかって」
「ふふ、ほんとにね」
智子が答えると、順二は智子の手を取って歩き始めた。
・・・私は、子供じゃないんだけど・・・
内心、そう思いながらも、なんだか楽しい気分になって、
順二の後をついて行った。
順二は、子供の母親が見つかったのが余程嬉しかったのか、
智子を連れて歩いていることなど忘れて、桜並木を楽しんでいた。
奥に行くにつれて、出店も出てきて、賑わいが増していく。
人出が増えてくると、目立つ智子と歩くことに、恥ずかしさが沸いてきた。
すっかり、忘れていたのだ。少し足早になりながら、桜並木を通り抜けた。
並木の先には、小さな公園があった。
比較的大きな沼があって、小さなボートが浮かび、水鳥が楽しそうに泳いでいた。
周囲を囲うように背の高い木々が、日差しを和らげ、気持ちのいい風が吹く。
緑の香りに混じって花の香りが漂う。春の香りだ。
智子のつける香水と髪の香りが、心地よい。
沼には小さな島があって、橋を渡って行くことができる。
島のベンチに座って、水面に浮かぶ木々の影と水鳥達に目をやる。
順二は、途中買ったジュースの1本を智子に渡し、
もう1本を飲みながら、景色に見とれていた。
智子は、順二の横顔をボーっとしながら見とれていた。
順二は、その視線を感じながらもそれを無視して、前だけを見ていた。
・・・変わったね・・・
智子は、昔の順二とは違うと思った。
もっと、幼くて頼りないという印象だった。
順二が、搾り出すように告白したときも、
仲のいい弟が慕ってくれているような気さえしていた。
しばらく見ぬ間に、順二は、大人になっていた。
就職して仕事をしていくなかで成長したのだろうか。
以前は、何かを決めるのにも優柔不断さが見え隠れしていたが、
今は、しっかりとリードしている姿が様になっている。
そう考え始めると、頭の中で小さな嫉妬の炎が燃え始めていた。
・・・誰かと付き合ってるのかな?・・・
こういうデートに場馴れしているようにも思えてきた。
「そろそろ行こうか。」
順二が静寂を破った。
「うん」
風が優しく頬をなでた。
6.花見の席で
翌日は、よく晴れていた。約束の時間にはまだ早い。
結局、もう一晩泊めてもらった順二は、智子と一緒に花見の会場に向かっていた。
先に4、5人のメンバーが着いていた。
「順、お久しぶり」
仲間の一人が声をかけてきた。
「お久しぶりーーー」
答えたのは後ろに隠れていた智子だった。
「あれ?智ちゃん、順と一緒なの?旦那さんは?」
周りの視線が集まってくる。
「出張で出かけてるの」
智子が悪びれずに答える。
「そっかあ」
誰かが返す
順二は周りを見回しながら
「陽一は?」
「まだみたいだよ」
と答えたきり、勝手に缶ビールを開けて、花見は始まってしまった。
しばらく話し込んでいると、陽一がひょっこり現れた。
「陽一!!もう始めちゃってるよ。」
順二が、明るく声をかける。
「おう、悪りいな。」
そう答えながら、今度は陽一の後ろから一人の女性が現れた。
一斉に視線が集まって会話が止まる。
色白で、鼻筋が通り、大人しめで小柄だがハッキリと美人と断言できる。
「広子といいます。よろしく。」
照れながら陽一が紹介する。
「おい、聞いてないよ。どゆこと?」
誰かが、驚きながら声をあげた。
智子も驚いて、順二と顔を見合わせる。
しかし、順二は落ち着いた様子で、「やっぱり」という顔をしている。
「やっぱりなんか知ってたの?」
興味をそそそられた智子が小さな声で聞く。
「さあ、なんとなくだよ。」
そう答えると、返す刀で順二の鋭い質問が飛び出した。
「プロポーズは、終わったってことかな?ここに来てるということは。ゆっくり聞かせてもらおうかな。」
あまりに核心を突いた問いに陽一も戸惑いを隠せない。
他の仲間も順二の唐突な言い方に驚きと、まさかという空気が流れる。
「順には叶わないな。昨日、プロポーズしたよ。結婚式の場所と日取りは今日決めた。」
さすがに、この早さには順二も驚いた。
行動力があることはよく分かっていたが、まさかプロポーズの翌日には、結婚まで決めてしまうとは。
少し心を落ち着かせて
「それで、うちに泊めてくれなかったんだな。」
順二がポロリとこぼした。
「悪いな。智ちゃんとこに泊めてもらったんだろ。」
陽一が陽気に答える。
「ああ」
と答えた瞬間。・・・あっ・・・
「あれ、智ちゃんの旦那さん出張してなかったっけ?」
誰かの鋭い指摘。これには陽一も驚いた。
「聞いてないんだけど。」
順二の目を覗き込むように陽一が迫る。
「なあんもあるわけないだろ。」
開き直って順二が答えると、陽一も妙に納得してしまった。
回りの仲間もなんとなく納得してしまう。
一人驚いているのは、広子だけである。
「ほんとに、大丈夫なの?」
陽一に不安そうに尋ねると
「ははは、それが大丈夫なんだよ。順はそういう奴さ。」
豪快に笑い飛ばした。
新しく仲間に加わった広子を交えて、花見は益々盛り上がっていく。
花見が終わって、順二が電車に乗って家に着く頃には、日付が変わっていた。
やっと、進みました。ふうーーっという感じです。
続きは、またあとで。
125 :
名無し物書き@推敲中?:2005/08/15(月) 19:39:07
age
126 :
3:2005/08/16(火) 15:13:31
HDDが吹き飛び、原稿消失…
皆さんごめんなさい。まだまだ投下できそうにないです…(´・ω・`)
127 :
山ア渡:2005/08/18(木) 02:23:59
>>126大変ですね。がんばってください。
さてさて、続きでも書きますか。やっと、自由な時間がとれました。
7.結婚式
幻のような夢を見る
また、現実に連れ戻される
消えたはずの傷跡が疼きだす
心の呪縛
「頑張ったけど、もうだめみたい...」
「よく頑張ったよ、少し休みなさい...」
・・・お前はそれでいいのか???・・・
・・・扉は開き始めてる・・・
・・・運命が引き合わせるならば・・・
順二の意識は、夢と現実の間を彷徨っていた。
・・・お前はそれでいいのか???・・・
もう一度、声は尋ねる。何がいいというのか。
ようやく現実の世界に戻って、覚醒していく。
6月ともなると、寒い季節から急激に夏の暑さに変わっていく。
今日は、陽一の結婚式の日である。
と言っても、ここのところ出張ばかりしていたし、陽一の結婚祝いと称して何度も東京に出かけていた。
身支度を整えてアパートを出る。
いつもの畦道も、草が伸び放題に伸び、草の香りが鼻をつく。
遠くの山並みもすっかり、青一色となり、残雪の跡は見えなくなってしまった。
東京へ向かう電車の車窓から見る景色もすっかり春から夏へと変わろうとしていた。
陽一の結婚式は、巨大な古木に覆われた古い神社で執り行われた。
控え室では、友人達や陽一の親類と挨拶を交わす。
陽一の両親とは、顔見知りだった。
「おめでとうございます。」
順二は、幾分緊張して挨拶した。
「順ちゃん、わざわざ遠くから来てもらって、ありがとね。」
陽一の母親は、申し訳なさそうに応えた。
結婚式は神前で執り行われる。
それにしても、羽織袴の陽一と白無垢の広子の姿は絵に描いたような美男美女の組み合わせだ。
式場への移動中も一際周囲の目を惹く。
荘厳な中、粛々と式は進行していく。
そんな中、順二は横目で新婦の友人達にちらっと目をやった。
着飾った女性の集団が目に入った。
式が終わると披露宴の会場へと移動が始まる。
智子もその群れの中にいた。
「順ちゃん、誰か気に入った子いた?」
小声で尋ねる。
「さあ、よく見てないし。」
「ふふふ、そうなの。」
悪戯っぽく智子がからかう。
・・・かなわないな・・・
砂利を踏みしめる音を聞きながら、順二は少し曇り始めた空を仰いだ。
披露宴は近くのホテルで行われた。
新郎新婦の入場を待つ間、しばしの間がある。
順二は、今日の挨拶の言葉をもう一度考えていた。
・・・ま、なんとかなるだろ・・・
音楽と伴に新郎新婦が入場する。
一斉に拍手と歓声が上がる。
ウエディングドレスに着替えた花嫁がいっそう輝いて見える。
フラッシュとビデオカメラが一斉に入口に向く。
披露宴は華やかに進む。
友人代表として呼ばれた順二も、緊張しながらスピーチする。
昔話をする度に会場で爆笑が起こる。
生真面目な顔をした順二が淡々と思い出話をしているだけなのだが、そのギャップが面白いのか
会場は、妙に盛り上がる。ウケル度に、陽一の顔がどんどん赤くなって、とうとう下を向いてしまった。
最後に締めの挨拶をすると、会場中から拍手が巻き起こった。
「順ちゃん、いい挨拶だったよ。」
智子の声が響く。
「ありがと。」
一息入れてホッとした順二が応える。
「続きまして新婦の友人代表・・・お願いします。」
まだ、ざわめきが納まらぬ中、新婦の側の友人代表のスピーチが始まる。
ドレスアップした女性が前に出る。
色白の顔に大きく見開かれた瞳がライトに照らされて輝いて見える。
一瞬、息を呑む。
「陽一さん、広子、結婚おめでとう。私には面白いお話も何もできないから、歌を歌わせてもらいます。うまく歌えないかもしれないけど、
一生懸命歌わせてもらいます。」
ピアノの生演奏に合わせて、歌が始まる。
・・・何の曲だろうか?・・・
聞いたことのある曲だとは、思ったが思い出せないでいた。
しかし、そんなことは些細なことだと思えるほどに順二の心は、揺さぶられた。
自分でも歌はうまいほうだと思っていた順二ではあったが、
この歌声を聴いてそんなつまらない比較など意味がなかった。
・・・感動・・・
その言葉通り心が揺り動かされ震えが走った。
歌が終わるまでの間、魂が抜けたようにボーゼンとなる。
拍手を忘れる程の出来事だった。遅れて大きな拍手が会場中を揺らす。
新婦の目にも涙が浮かぶ。
・・・こんな歌声があるんだ・・・
まだ、夢から覚めていないという感の順二が心の中でつぶやいた。
披露宴は、感動の中で無事終わった。
8.宴(うたげ)
順二は、披露宴の行われたホテルに泊る予定だったが、彼の泊る部屋は次の飲み会の会場と化した。
新郎の友人が4,5人順二の部屋に集まって、缶ビール片手のささやかな飲み会を始める。
今日の結婚式のこと、披露宴のこと、話題には事欠かない。
智子も少し顔を赤らめながら話に加わっている。
しばらく歓談していると、新郎新婦と新婦の友人二人が部屋に入ってきた。
簡単に挨拶を交わす。
一人は、ジーパン姿に髪もボサボサで、スッピン顔にメガネをした葉子。
もう一人は、背が高くキリっとした美人顔の由美。
新婦の実家が秋田と言うだけあって二人とも色の白さが目立つ。
肝心の主役達は酔いが回ってしまったのか早々に自分達の部屋に帰ってしまった。
話も盛り上がった頃、順二は披露宴の事を思い出しながら
「あの歌歌ってた人、すごかったよね。感動したよ。」
「うん、そだね。びっくりしちゃった。」
智子が、嬉しそうに相槌を打つ。
すると、正面にいた葉子と由美が、キョトンとした顔をしている。
・・???・・・
と、順二は不審に思って顔を向けると
「え?何?」
「それ私だよ。」
葉子が、不思議そうな顔をしながら応えた。
順二も暫時言葉が出なかった。
「いや、その・・・」
急に恥ずかしさがこみ上げてきた。
本人を目の前に、何を言ってるのやら。
その場は、なんとか誤魔化したが、ついマジマジと見てしまう。
・・・いや、別人じゃないのか?・・・
ついつい、智子と顔を見合わせてしまった。
すると、突然
「ははは、そんなに変わってた?」
葉子が楽しそうに笑う。
「すみません、ほんとに気付きませんで・・・」
申し訳なさそうに、順二は頭を掻いた。
「正直な人ですね。面白い・・・」
順二は、少し小馬鹿にされたような気もした。
しかし、ポンポンと小気味いい声が、顔に当たるような気がして
それが、心地良いような気がした。
「馬鹿なだけでしょ・・・」
順二も軽く返す
「ごめんなさい笑ったりして・・・はは」
「そんなに可笑しい?・・・」
「ええ・・あ、ごめんなさい。」
「そうか・・・可笑しいか・・・」
順二が生真面目な表情で応えると、我慢できなくなったのか
「はは・・ははは・・・だ・・て・・・」
もう意味不明な程、堰を切ったように止まらなくなった。
しばらく歓談が続くと、一人二人と消えて、室内には、順二、智子、葉子、由美の四人だけになった。
「葉子は、昔ほんとに歌手を目指してたのよ。レッスンも受けてたしね。」
由美が控えめに、懐かしむように語る。
「そんなの、昔の話よ。今は楽しめればいいよ。ふふ」
葉子は、楽しそうに話しながら、足を崩してベッドの上で胡坐姿。
「そうだよね。楽しめればね。あ、そうだ、葉子、彼氏の件どうなの?」
由美は心配そうに尋ねた。
「う、うん、まあね。大丈夫というか、相変わらずだよ。」
少し寂しそうな声の葉子が俯く。
「彼氏と何かあったんですか?」
何気なく聞いてしまってから
「あ、ごめんなさい。つい・・・」
順二は、口を滑らしたと思った。
「あ、いいんですよ。別に・・・ふうーー」
「実は、彼氏は作家志望なんです。
自主出版やろうって友達から誘われて
一緒に出版するところまで漕ぎ着けたんですよ。
でも、うまくいかなくて、借金ができてしまったんです。
ま、それはいいんですけど。仕事が仕事ですし、借金もあるってことで、うちの両親にも紹介できないというか。
私は、構わないと思うんですけど、彼が恥ずかしくて挨拶できないとか言って。
それで、結婚も考えてたんですけど。ほんとにこの人でいいのかなあと思って・・・
今は、塾の講師とかして食べてますけど。将来とか不安になって・・・」
葉子は、熱にでもうなされたように、また堰を切ったように一気に語った。
「あ、ごめんなさい。関係ない話を・・・」
順二は、彼女が話している間、生真面目に聞き入っていた。
一呼吸おいて、考え事をしてるような表情の順二が、少しづつ噛み砕くように・・・
「借金の金額にもよるから、無責任な言い方になるかもしれませんが、
彼にヤル気があって才能のある人なら、借金のことは、問題ないと思いますよ。
ただ、今後どうしたいのか、それはハッキリさせるべきです。
ミエかもしれないけど惚れた女を心配させない気遣いはあっていいと思いますよ。
正直に親御さんに話して挨拶に行くべきですよ。
カッコつけても仕方ない。嘘はバレるでしょ。」
「あ、ごめんなさい。生意気なこと言ってますね。」
言ってしまってから、順二は自分に少し呆れていた。
今度は葉子が真剣に聞き入っている。
「だったら、順二さんが彼の立場だったら、どうします?
こんな状況で、どうしたら解決できるんですか?」
それまでとはうって変わった表情で迫ってきた。歌に向かった時の表情で・・・
気押されながら順二は
「自分だったら、まず、どうしたら解決できるのか。
お金の問題、仕事の問題、まず真剣に考えてみる。
そして、それがうまくいくか、いかないかは、やってみなくちゃ分からないけど、
でも、何か始めなくちゃ何も変わらないと思う。
そして、やりたい事が決まったら、あなたと話し合う。納得するまで。
そして、親御さんには、今の状況を正直に話して、今後の方針をハッキリ言うよ。
それでダメなら、仕方ない。諦めもつく。
でも、やりもしないうちから諦めてたら何も始まらないよ。
何でも初めからうまくいくわけじゃない。誰だって失敗はするものだよ。
失敗した後が大事なんじゃない?」
順二も何かを思い出したように、何かに憑かれたように一気にまくしたてた。
「そうだよね。それしかないよね。うん、うん・・・」
涙ぐんだ葉子は、力強くうなずいた。
・・・何か始めなくちゃ何も変わらない・・・
・・・誰だって失敗はする・・・
順二は、心の奥底にあったものを吐き出したような言葉だと思った。
その言葉が、葉子の心に響いた。
しかし・・・
それは、智子にとっては心に突き刺さる痛い言葉だった。
・・・傷つくことの怖さは良く知ってる筈なのに・・・
葉子に急激に関心が向かっている順二を見ながら、智子は急に心配になってきた。
・・・同じことの繰り返し?・・・
・・・夢にうなされてるみたい・・・
・・・覚めることのない夢に・・・
それは、無意識に彼女が順二の中に残した大きな傷跡だった。
昔の彼には、今の言葉は言えなかっただろう。
ここ何年かの成長が、言わせたものだ。
言葉の裏に確信めいたものがある。
・・・いったいどんな苦労をしてきたんだろう?・・・
失敗をしてきた人間にしか見えない世界。
失敗を乗り越えてきた人間にしか・・・
重い空気が流れた。
「あ、また、生意気なこと言ってしまった。ごめんなさい。」
我に帰ったという感じの順二が、間の抜けた言葉を発した。
「いいえ、なんだか順二さんの言葉は、重みがあって心に響く言葉でしたよ。
私には、なんだか待っていた言葉が返ってきたみたいな。」
葉子は、何か熱にうなされたようにボーっとしていた。
「私も、いいなあと思いましたよ。」
由美が横から割り込んでくる。
「うらやましいな・・・」
ボソっという感じで葉子がつぶやいた。
「何が?」
順二が聞き返す。
「いえ、なんでも・・・」
それから、話が尽きず結局朝方になってしまった。
やっと続きが書けました。
それにしても、ほんとにここは人少なそうですね。
そろそろ忙しくなるので、しばらく撤退してロムります。
でわでわ。
144 :
>>51だが:2005/08/18(木) 21:45:52
司令部内・・・・・
「司令! 大半の基地守備隊とのシグナル途絶えました!」
司令部は突然、襲撃してきた機械兵によって混乱していた・・・
「なんだと! スタリオンのRSはどうしたんだ!」
「何を慌てておる!」
大きな声が司令室にこだました。
その声の持ち主は、ナルガエ代表議長とウトア将軍
「ヨシダ司令、何をしているのですか!ただちに撃退しなさい」
「議長閣下・・無理です こちらのRSのパイロットはエリート中のエリート
ですが、まだ実戦を経験してない点ではヒヨッコ同然ですよ!」
司令室には沈黙が支配した・・・
「未確認RS部隊のリーダー格とおぼしき人物より、声明が!」
その報告に司令室はわっとした。
145 :
>>51だが:2005/08/18(木) 21:46:43
覆面をした男が画面に現れた。
唯一見えたのは透き通るような青い瞳がまず目に入った
そして男は語り始めた・・・・
「我々はこの世界に新たなる平和と秩序をもたらすために結成された
”アンカライト旅団”である!
先の大戦から大国が兵器として使用しはじめた機械兵によって世界は
混迷の世になってしまった。そしてこの戦争しかしないような今の人類な どないほうがいいと!我々は悟ったのだ。
我々の同志には国に見捨てられた物、虐げられた物など国の都合によって
切り捨てられた”アンカライト”なのだ!
今こそ神にたまわれた新たな力を手に入れた我らは世界を変えるのだ!
君たちが最初の犠牲者だ!
我々などに交渉など無意味、無能なことは考えないのが利口だ。
だが、今回の我々の目的を達成したため攻撃は中止し撤退しよう。
君たちが最初の犠牲者だということは忘れないでいてほしい 以上」
”・・・・・・・・・・・・・”
146 :
>>51だが:2005/08/18(木) 21:47:57
「司令、議長閣下!」
通信兵が沈黙を破るように伝えた
「タナカ・チャン両名より報告
”今度は香港上空にネオ・ソビエトの輸送機確認”
迎撃の許可を求めてますが・・・・」
腕を組み黙り込んでたヨシダ司令が議長・将軍に”ぼそり”と耳打ちした
「どうしますか議長閣下?」
「・・・・・・・」
黙り込むナルガエ
「将軍閣下は?」
「他国のことに干渉する義務などないのぉ 帰らせてもらおうか」
ため息をつきながらゆったりと答えた。
「ヨシダ司令、スタリオンのRSに将軍閣下をお送りするよう伝えて、
それとネオ・ソビエトにホットラインをつないで」
ヨシダは敬礼した。
第3話 終
アンカライトとは
世捨て人と言う意味です
147 :
>>51だが:2005/08/18(木) 21:48:54
第4話 ひとつの事実
時間をさかのぼる事、香港襲撃1時間前
日本海上空
ネオ・ソビエト所属 大型輸送船ヴィスナー級・サバーカにて
「しっかし、艦長サン。なんで今回我々空軍が民間の仕事をやるんですか?」
「仕方ないだろうが、これも重要な任務なんだぞ」
若いスーツを着た男が髭をたくわえた艦長に愚痴をこぼしている。
この大型輸送艦ヴィスナー級・サバーカはある重要な任務を帯びて
東南アジアに向かう途中であったが、、、、、
「ビービービービー」
突然鳴り出す警報音。
あわてながらオペレーターが
「艦長! 正体不明の戦闘機とおぼしきものが、我が艦の後方に!」
オペレーターの報告と同時に艦長が
「第1級戦闘配備! 積んできた積荷使うぞ!」
その命令に一番驚いたのは若いスーツを着た男だった。
「まってくださいよ、艦長サン! それは頼まれた品物なですよ!
そんなことしたら命令違反ではないんですか?」
148 :
名無し物書き@推敲中?:2005/08/18(木) 21:49:59
「グチグチ、うるせいやつだな かわりにお前を出すぞ!」
その一言に黙り込んだスーツの男は、近くの椅子に座り込んだのだった
それと同時のオペレーターが
「艦長、積荷の発進準備整いました。」
「よし、ニェーパ発進!」
サバーカの後部ハッチが開き、ニェーパが飛び出した。
パイロット同士の無線では
「後ろのハエさん、叩き落とすぞ!」
「了解!」
「了解です、中尉」
「敵編隊、ミサイル攻撃確認 迎撃お願いします」
未確認戦闘機6機から発射されたミサイルを落とすためにニェーバは
隊長機は腰に装備している大型スナイプライフルを構え、
のこりの2機は標準装備の小型ミサイルをロック。
「うてぇーー」
隊長の号令とともに
放たれた小型ミサイルは正確に敵のミサイルを捕らえ、全弾命中
隊長機の大型スナイプライフルは発砲して戦闘機に攻撃するも
弾道を見切った戦闘機は身を翻し、うまくよけた
149 :
>>51だが:2005/08/18(木) 21:50:54
「えぇい!このような相手に武装が合わないとは」
「早すぎる!相手が違いすぎるぅぅ」
「たったっ隊長ぉぉ、ぐわぁぁぁ」
耳を劈く爆発音とともに部下の悲鳴。
あまりにも突然のことで呆然とした隊長は隙を作ってしまった
「しまった」
しかし、対応は遅れてしまい、彼が最後に見たのは・・・
「なんだこれはぁぁぁぁ」
「ニェーバ3機のシグナル消えました!」
「何だと!」
「だから言ったろう!積荷を使うのは」
スーツの男は半分泣きながら、艦長に怒りをぶつけた
この事態に対し、艦長は冷静に言い放った
「現在の位置は!」
「香港上空に差し掛かることです。」
半泣きのスーツの男が”まさか・・・”といいたそうな顔をしながら
「もしかして、あそこに行こうなんて思ってませんよね?」
「そのまさかだ」
その考えがあたってしまったスーツの男は床にうずくまったその時
150 :
>>51だが:2005/08/18(木) 21:51:58
「敵戦闘機、引き返していきます!」
「!?」
ブリッチにいるクルーは唖然としていたが、すぐに電文が届いた
それを見たオペレーターは艦長にすぐ報告
「艦長!これを」
「・・・・・・」
「今までの状況を詳しく電文に載せて、着陸の許可をもらってくれ
攻撃は受けてないが念のためだ。」
「は!」
第4話 終了
保守
153 :
K.A.:2005/08/26(金) 18:37:20
コテを付けてみました。
誰も来ないみたいですねえ。じゃあ、続きを書きますよ。
154 :
K.A.:2005/08/26(金) 18:39:13
9.胎動
車は、木々の生い茂る森の中を抜けると海岸沿いの道を真っ直ぐに進んでいる。
順二は、しばし、頭の中をカラッぽにしながら、運転に集中していた。
時間は遡る・・・
日本に帰ると、蒸し暑さが陽一達を出迎えていた。陽一は手を団扇代わりにしながら、
「さすがに、こっちは暑いな」
「ニュージーランドは冬だったからね。」
広子は、暑いのはあまり得意ではない。少し疲れた表情だ。
成田の広いロビーを抜けて、帰りの電車に乗って、少し一息入れることができた。
「そういえば、由美から聞いたんだけど、披露宴の後の飲み会で、順二さんと葉子が随分、親密になってたらしいよ。聞いてない?」
広子が思い出しながら、尋ねた。
「順からは、智ちゃんも含めて四人だったって聞いてたけどね。」
・・・順が葉子さんと・・・ ・・・何か、隠してるのか?・・・
陽一は、記憶を辿りながら、順二のことを考えていた。
「ほら、葉子の例の彼氏のことで順二さんに相談したらしいんだけど、由美の話では、結構カッコよかったみたいだよ。
葉子は順二さんの話に感動してたし、すごく楽しそうに話してたみたい。」
広子が続けた。
155 :
K.A.:2005/08/26(金) 18:41:05
「智ちゃんもいたんだよね。それは、まずいかもしれないなあ・・・」
その話を聞いて、陽一も心当たりがあった。
「え?でも、あの二人は大丈夫だって言ってなかったっけ?」
広子は不安そうに尋ねた。
「確かに大丈夫だよ。智ちゃんがちょっとくらいイタズラしたくらいじゃ、順は何もしないよ。
でも、葉子さんていう第三者が入った時に、智ちゃんのヤキモチに火がつかなきゃいいけどね。」
いたずら気味に楽しそうに陽一が答える。
「でも、順二さんが葉子を好きになるとは限らないでしょ。」
少し、不審に思った広子が返した。
「間違いない。順は葉子さんに惹かれてるよ。 あの歌声を聴いて、順が何も感じない訳がない。」
確信めいた陽一の嬉しそうな横顔を見ていたら、広子の中で悪戯心が動き始めた。
「じゃあ、あの二人を近付けちゃおうか?」
広子は、面白いオモチャでも見つけたようにはしゃいでいた。
「それは、いい手だな、この前、葉子さんの彼氏と会ったけど・・・」
「そうでしょ。順二さんのほうがいいような気がする。」
似た者夫婦というべきか、二人の意見が一致した。
156 :
K.A.:2005/08/26(金) 18:41:41
翌日、順二の元に、陽一からのメールが届いた。
みんな、久し振り。昨日、新婚旅行から帰ってきたよ。ニュージーランドは寒かった。
こっちは暑いね。結婚式、披露宴、ありがとう。
順のスピーチも良かったし、その後の歌もよかったね。感動したよ。
今度、旅行の土産見せたいから、飲み会しよう。それでは
順二は、何気なく返信した。
久し振り。そうか、新婚旅行は楽しかったか。
結婚式、楽しかったよ。つまらん話しかできなくて、すまなかったな。
あの歌、よかったよね。感動したよ。なんて曲だったかなあ。誰か知ってる?
また、飲み会しようね。でわ
順二からの返信を読んだ広子は、陽一と顔を見合わせながら、
「やっぱり、あなたの思った通りみたいね。」
「連絡してみたら?」
「葉子に電話してみる。」
広子は、期待に胸を膨らませていた。
157 :
K.A.:2005/08/26(金) 18:42:47
10.追憶
暗い部屋の中で、葉子はため息をついた。ベッドの脇には男が横になっている。
急速に彼への愛情が冷めていた。・・・今日も何の進展もない・・・
シャワーを浴びると、声もかけずに男の部屋を出て行った。
・・・そういえば、最近楽しいことないな・・・
楽しいこと、と、思い出していると、広子の披露宴を思い出していた。
・・・あんな結婚式だったら挙げてみたいな・・・
心の隅に隠れていた願望が、芽を出し始めていた。
そして、絶望の壁に怯んで行く自分の気持ちにも気づいていた。
・・・派手でミエを張ったものでなくて、ほんとに楽しい結婚式・・・
ふーーっと力が抜けると、あの言葉が蘇ってくる。
・・・何か始めなくちゃ何も変わらない・・・
変わろうとしない男の姿と順二とを重ね合わせて見ていた。
彼は彼、私は私、接点のない二人だと思えた。過去のどのタイプの男とも違うと思えた。
葉子は、昔の記憶を辿っていく・・・
158 :
K.A.:2005/08/26(金) 18:43:26
広子は、小学校の同級生だった。高校を卒業して、東京の大学に進学したときも、
学校は違ったが、お互い数少ない同郷の友人として付き合いは続いていた。
広子は、今の会社に入社して陽一と出会い、結婚した。
葉子には、夢があった。歌手として歌を歌う夢が。
アルバイトをしながらレッスンを受けていた。
やっと、その夢が叶い、オムニバスのアルバムの1曲に自分の歌が加わったときほど嬉しかったことはなかった。
しかし、運命は急激に変わっていった。体の変調が、突然、彼女を襲ったのだ。
意識を失い、緊急入院。心臓の疾患だった。病状は意外に重く、結局1年の入院が必要だった。
そして、今でも彼女はいつ来るか分からない発作に悩まされなければならなかった。
159 :
K.A.:2005/08/26(金) 18:43:57
そんな彼女を支えたのは、病院で知り合ったある若者だった。
彼も同じ病気を患い、苦しい闘病生活を送っていたが、いつも明るい笑顔を振りまいていた。
「笑ってないと、いいことは逃げてしまうよ。無理しないでお互いがんばろ。」
彼の口癖だった。葉子は恋に落ち、付き合い始めていた。
退院してしばらくは、彼の見舞いに訪れていたし、今まで以上に近づけていた。
しかし、ある日突然、彼は葉子に、別れ話を宣告してしまう。
葉子は、突然突き放されて、何をしていいかも分からず、心の中に穴が開いたまま、日々を過ごしていた。
そんな中、一通の手紙が届いた。彼からの最後の手紙だった。
160 :
K.A.:2005/08/26(金) 18:45:19
あなたを私は幸せにはできないでしょう。
これ以上、あなたの中に私が居続けることは、きっとあなたを傷つけてしまう。
あなたには、悪いことをした。すまないと思う。
あなたに私の苦しむ姿を見て欲しくなかった。
最後に楽しい時を過ごせたことに感謝したい。
私のことは忘れて、幸せになって欲しい。ありがとう。
送り主は、病院の関係者で、ベッドの下に隠すように差し込まれていたものだという。
彼は死んだ。自分がどんなにつらくても、笑いながら葉子を励まし続けていた彼が・・・
悲しみが全身を駆け抜け、彼女の中から全てのやる気を無くさせていた。
逃げるように実家に帰ったのは、そのすぐ後だった。
161 :
K.A.:2005/08/26(金) 18:45:52
実家に帰っても何もやる気が起きなかった。
父は出張しがちで、なかなか家にいない。
母は、会社の経営者として、母親というより実業家で、もっぱら葉子の面倒を見ていたのは、
雇われた家政婦しかなかった。両親の不仲にも悩まされていた。・・・昔はこうじゃなかったのに・・・
次第にふさぎこんだ葉子は、人を近づけないようになっていた。
そんな折、彼女にはもう一度チャンスが訪れた。応募していた海外留学に当選したのだ。
彼女は、また、逃げるようにロンドンに旅立った。
ロンドンでの生活は、何もかも新鮮だった。日本で見聞きするものとは、全てが違う。
そんな中、彼女にも友達ができた。ホームステイ先の娘だった。
歳は若いが、葉子のほうが幼く見える。彼女の中で、また違う何かが芽生え始めた。
強気な彼女は、「俺の女」というような態度を取る男が嫌いだった。
男性への嫌悪感から、娘への親愛の情が生まれていた。少しづつ少しづつ。
一方で、誰かに必要とされることに幸せを感じていた。母親のような気持ちだった。
・・・子供と関わる仕事がしたい・・・漠然と心の中に響いた。
162 :
K.A.:2005/08/26(金) 18:46:31
一年を過ぎて、彼女は日本に帰った。それは、新たな出発だった。
彼女は、日本に戻って子供相手に英会話を教えることにした。
そんな日々が続いた中、今の彼に出会ったのだ。
インテリな空気が漂い、文学を愛し、夢や理想のある男だった。
細身の体と繊細な性格が彼女の心を捉えた。
女のような白くて細い腕、中性的な顔立ち。
頼りなさそうな姿が、葉子の母性本能をくすぐった。
元々積極的な性格で、恋に落ちれば行動は早かった。
しかし、付き合い始めてすぐに、男の中に大事な何かを見落としていたことに気づき始めていた。
・・・笑ってないと、いいことは逃げてしまうよ。無理しないでお互いがんばろ・・・
死んだ彼の言葉が、心に突き刺さった。いつでも葉子のことだけを案じてくれていた彼を・・・
葉子が男に必要とされているという期待に喜びを感じる一方で、
彼が死ぬ前に見せてくれた優しさとのギャップに愕然としてしまったのだ。
・・・ただの甘えたいだけの人・・・
冷めた気持ちには中々火がつかなかった。
今日も、食事をしようと誘われて男の部屋に行ったのだが、また、喧嘩してしまった。
こんなことの繰り返しだ。
163 :
K.A.:2005/08/26(金) 18:48:37
11.広子の陰謀
広子は、順二にだけメールを送った。
お久し振りです。
歌のこと気になります?
覚えてますでしょうか?歌を歌っていた葉子のこと。
興味があるようでしたら、彼女に連絡を取ってみたいと思うのですが。
彼女も大変お世話になったようですから、お礼したいと思っているでしょうから。
メアド、彼女に教えてもいいでしょうか?
順二は、一呼吸考えてから
メールありがとうございます。
メアドの件、よろしくお願いします。
私の方こそ、お礼しなくてはならないと思っていましたので、よろしくお伝えください。
164 :
K.A.:2005/08/26(金) 18:49:12
広子は早速、葉子に電話した。
「お久し振り葉子」
「おうおう、広子?お久し振りじゃん。」
「結婚式はありがと。新婚旅行、ニュージーランド楽しかったよ。今度お土産持って帰るね。」
「ありがと。よかったね。ニュージーランドかあ、行ってみたいなあ・・・」
「新婚旅行で?」
「まだ、結婚は先だよ。あああ、あんな彼氏じゃ絶対無理だよ。昨日も喧嘩したし。」
「じゃあ、別れる?」
「そっかあ、別れちゃうか?そのほうがいいかなあ。ふふふ」
「冗談よ。簡単に別れられないでしょ。それよりね。順二さんて覚えてる?」
「う、うん覚えてるよ。スピーチしてた人でしょ。」
「ほんとに?それだけ?由美から聞いてるよ。」
「な、何を?由美ったらなんか言ってたの?」
「朝まで二人でじっくり話しこんでたって。葉子が男の人とそんな風に話すなんてないんじゃない?」
「だって、何でもちゃんと答えてくれるからさ、つい、いろいろ聞きたくなるじゃない。」
「ふーーん、それって、どういう意味かなあ?」
「いや、だってさあ、普通あんな話したら引いちゃうよ。
でも、ちゃんと全部聞いてくれたし、自分の言葉で答えてくれたよ。ひとの言葉じゃなくて」
「ふーーーん、詳しく聞きたいなあ。その辺、どうなってるのか?」
165 :
K.A.:2005/08/26(金) 18:49:46
「どうなってるも何も、あんときだけだもん。連絡してるとかじゃないし。今度、また会えるってわけでもないでしょ。」
「じゃあ、連絡取れたら取ってみる?」
「え?・・・」
「どうしたの?」
「うん、なんでもないよ。それで・・・」
「だから、メアド聞いてるから教えてあげるよ。」
「でも、迷惑じゃない?あんなに迷惑かけたあとで・・・」
「じゃあ、お礼をしたいっていうので、どう?そろそろ暑中見舞いの時期だし、ちょうどいいタイミングだよ。」
「そっかあ、お礼は必要だよね。そうだ、お礼だ。お礼しなきゃね。」
「お、どうした、乗り気だね。じゃあ、夏はうちらも帰るから、順二さんも連れてくように旦那にしかけてみようかな?」
「いや、でもね、広子、そんな急に言っても、順二さんにも用事があるでしょ?」
「どうだろ、旦那に聞いてもらうよ。その辺は。」
「あの女の人も来るのかなあ?」
「智子さんのことかな?」
「うん、順二さんと仲良くしてたから、彼女かなんかじゃないの?そんな感じだったよ。普通に・・・」
「あ、そう、そういう風に見えたんだ。ふーーーん。」
「ふーーーん、て何よ。なんかあるの?」
「別に、そんなに気にしてるんだあ、って思ってね。」
「いや、そういうわけじゃないんだけど。どういう関係なのかなあって思っただけ。」
「智子さんは結婚してるよ。旦那さんは結婚式に出席してないけど。」
「そうなんだ。てっきり綺麗な人だから・・・」
「何をそんなに嬉しそうに言ってるのやら。じゃあ、結婚してなかったら何か問題でも?」
「え、そんなことは別にないよ。ほんとに・・・」
「ま、いいやそれは。メアド、メールしとくからね。じゃあね。」
「ほーーーい。」
166 :
K.A.:2005/08/26(金) 18:50:15
一連の会話を横で聞いていた陽一が、不敵に笑う。
「ほおお、どうやら向うもその気らしいね。さて、どう出るか楽しみだなあ。
しかし、順も意外になかなかやるなあ。これは、すごい進歩だよ。」
「でも、あんなに同様してて、可愛らしい葉子って、見たことないなあ。面白い。」
広子も、楽しそうにワクワクしながら答えた。
「なかなか、思った通りいい組み合わせだろ?」
陽一もまんざらでもない。
「ほんと、そうね。あとは順二さん次第ね。」
「多分、葉子さんからメールが届けば、決まると思う。」
167 :
K.A.:2005/08/26(金) 18:53:35
数日後、順二に葉子からのメールが届いた。暑中見舞いと共に風景画の入った絵が添付されていた。
暑中、お見舞い申し上げます。
P.S.
先日は、いろいろとありがとうございました。楽しかったです。
また、お話したいですね。
夏休みは、どこかに出かけられますか?
よいお休みになるといいですね。
葉子
メールを読んで、順二も少し戸惑い気味だった。
どうしたら良いものやら、広子経由でメアドが伝わったことは理解できた。
返事を書くのに、少し苦労しそうだったが、
メール、ありがとうございます。
こちらこそ、生意気なことばかり言ってすみません。
夏は涼しいところがいいですね。東北でも回ってきます。
もし、良かったらですが、秋田に寄ってもいいですか?
陽一達も夏は帰るでしょうから、予定を合わせて、4人で食事でもしませんか?
順二
168 :
K.A.:2005/08/26(金) 18:54:38
葉子の心臓が一気に高鳴った。どうしたらよいものか・・・
早速、広子に電話してみる。
「広子、こんばんわ!!」
「どしたの?」
「順二さんから、メールの返事来てね、よかったら夏に広子達も含めて4人で秋田で、食事しませんか?って」
「ええ、そうなの?そんなにあなた達進んでたの?知らなかった」
「え、そうじゃなくて、暑中見舞い出して、この前のお礼書いて、また、お話したいって書いただけだよ。」
「それは、普通誘いのメールだよ。どうかしてない?」
「あ、そっか、そうだよね。どうしよ?」
「じゃあ、どうしたいの?」
「だって、広子達の都合もあるし、ねえ」
「私達のことは、この際、どうでもいいでしょ。葉子の気持ちよ。」
「でも、ねえ、二人きりで会おうってわけじゃないし。順二さんて、そんなに積極的な人なのかなあ?」
「うーーーん、聞いてる話と違うイメージだなあ。ただ、会いましょって言われたから、真面目な人だから、そう答えたんじゃないの?」
「そうかなあ。じゃあ、私が会いたいって書いたから、来ちゃうのかなあ?」
「順二さんも会いたいからじゃないの?それしか考えられないでしょ。」
「そうなの?なんで?私、自分の愚痴しか言ってないし、ジーパンでボサボサ頭で、胡坐してたんだよ。普通、幻滅でしょ。」
169 :
K.A.:2005/08/26(金) 18:55:34
「ふふ、それって、付き合いたいかどうかって、質問に対する答えじゃない?」
「え、あ、そうか会うだけだもんね。そうだ、東北に旅行に行くつもりだから、そのついでだって言ってたし。」
「ふーーん、そうなんだ、うらやましいな。それ」
「ちょっと、広子は結婚してるんだから、いいでしょ。」
「だって、そんな遠くまで葉子に会うために行くんでしょ。大変だと思うなあ・・・」
「やっぱ、大変だし、悪いから、やめたほうがいいかなあ?」
「じゃあ、断ったら?そしたら、順二さん、葉子は会いたくないんだって思うよ。」
「そ、そんなことないけどさあ。」
「じゃ、やっぱ、会いたいんだ。正直に言ってごらん。お姉さんが聞いてあげるよ。」
「会って話したいよ。この前の話の続き。話してて楽しいもん。」
「ふふふ、そうなんだ。自白したな、お主。じゃあ、チャンスをやろう。」
「ははあ、お代官様、なにとぞ、これで・・・」
「ははは、馬鹿みたい。じゃあ、旦那と相談したげるよ。」
「う、旦那さんに悪くない?」
「そんなことないよ。じゃあ、葉子が問題ないなら、ちゃんと連絡とって、待ち合わせとか決めときなさい。じゃあね。」
「うん、分かった。じゃあね。」
広子に電話をして、少し落ち着いた葉子だったが、どうしたものか、順二への返事に窮していた。
170 :
K.A.:2005/08/26(金) 18:56:29
「ふふふ、面白かった。二人は会うみたいね。」
広子が楽しそうに言った。
「そうなると、我々も秋田に戻って、あの二人と合流か」
楽しそうな陽一がつぶやいた。
「順二さんて、そんなに積極的な人?葉子にも聞かれたけど」
気にしていたことを広子は、口にした。
「あいつは、こうと決めたら、早いよ。ふふふ、あとは葉子さん次第だね。」
「そうなの?葉子の気持ち次第で決まるってこと?」
「そうさ、順が動くとなれば、告白することくらいやってもおかしくないよ。結婚を前提にしてでもね。」
「え、そんなに先のことまで考えられるものなの?」
「順は真面目なのさ。そして、真っ直ぐすぎるんだよ。でも、その素直さがあいつのいい所さ。」
「なんだか、うらやましいな。葉子が・・・」
「ふふふ、順は動かない時は、ほんとに動かないよ。動いたらほんとに早いけどな。」
「そうなんだ・・・ふーーーん。」
広子は、葉子の恥ずかしそうな顔を想像していた。
171 :
K.A.:2005/08/26(金) 18:57:05
12.再会
順二の車は、海岸線に沿って延々と走り続けた。
運転に集中しながらも、これから始まるであろう流れをいくつも想像していた。
頭の中が高速に回転している。そして、いくつかの答えが見つかる度に、胸が締め付けられるような思いがした。
・・・緊張してるのかな?・・・
どうなるのか?何が起こるのか?出たとこ勝負だな。という感があった。失敗を恐れてはいない。
失敗するのが当たり前だと考えていた。・・・うまくいく確率などほとんどないか・・・
緊張が最高潮に達したとき、目の前に目的の店はあった。
小洒落た喫茶店という感じの店構えだが、中に入ると落ち着いた雰囲気の店だった。
順二は夏らしく、紺の短パンに白いシャツを羽織っていた。ラフな格好だ。手や足の露出部分が多い。
先に来て待っていた葉子が手を振る。近づいた順二を見て、葉子は驚いた。
色白で、細い二の腕、体毛がほとんどないせいか、手だけを見れば女性かと思える。
足も同じようで、男らしいイメージはどこにもなかった。
・・・目のやり場に困ってしまう・・・心拍が上がっていくのが、自分でも分かった。
172 :
K.A.:2005/08/26(金) 18:58:31
一方、葉子はというと、白のブラウスにベージュの長めのスカートといういでたち、
髪をアップして、うなじの線がくっきりして、色の白い顔が更に白く見える。
一見してお嬢様という感がある。
順二には、とても新鮮で、別人にまた会ったような気がした。
順二も緊張の色を隠せない。そして、理解できない不安も・・・
「お久し振りです。お待ちしておりました。どうぞ、こちらへ。」
葉子が丁寧に案内する。
「ありがとうございます。」
緊張した順二が葉子の前に腰掛けた。
「広子達、少し遅れるそうです。」
「そうですか。じゃあ、先に始めましょうか。」
「はい」
オーダーをして、しばし休憩。順二は窓の外の景色に目を向ける。
葉子は、その横顔を見つめていた。
「なかなか、いい感じのお店ですね。」
順二は葉子の方に顔を向けていた。
「ありがとうございます。落ち着くでしょう。味もなかなかですよ。」
そんな話をしていると、料理が運ばれてきた。
「さあ、食べましょう。」
葉子は、誘うように言った。
173 :
K.A.:2005/08/26(金) 18:59:03
「先日は、いろいろとお話を聞いていただき、ありがとうございました。」
「いえいえ、生意気なことを言ったのでは、と反省しているところです。」
「そんなことはないですよ。順二さんの言葉には、重みがありましたし、心に響きました。」
「そう言っていただけると、なんだか安心します。あの件で、怒ってらっしゃらないか心配でしたから」
「ふふふ、ほんとに変わった方ですね。」
「え、そうですか?」
「はい、とっても」
楽しそうに葉子は微笑んだ。そして、遠くを見るような目で、順二を見ながら、
「何かを始めなくちゃ。そう思ったんです。そうしないと、変わらないでしょ。」
悪戯っぽい笑いで、順二を挑発する。
「ははは、変わりましたか?」
順二は、自分の言った言葉を思い出しながら答えた。
「私、少し体が弱いものですから、どうしても思い切った行動が取れなくなってしまったんですよ。
だから・・・何かもっと自分でできることはないか、考えているんです。」
「お体悪いんですか?」
「心臓を少し・・・」
「それは、大変でしょう」真剣な面持ちで順二が答える。
「でも、もう大丈夫だと思います。昔のようにはいかないけれども。」
「何か、やりたいことがおありなんですね。」
「はい、実は子供達のための英会話スクールを作りたいと思っているんです。
今も、アルバイトでやってますけど。本格的なものを」
174 :
K.A.:2005/08/26(金) 19:00:03
「それは、すばらしいですね。ふふふ、無理はしないで頑張ってください。」
「はい?」葉子にとっては、忘れかけた、何か、心に響く言葉だった。
「だから、うーーん、無理しすぎないで頑張れ!!ってことですよ。」
・・・笑ってないと、いいことは逃げてしまうよ。無理しないでお互いがんばろ・・・
死んだはずの彼の言葉が蘇った。
「そうですね。無理しないで頑張ります。ふふふ。」
「そうです。笑ったほうがいい。ふふふ」
なぜ、死んだ彼に順二がかぶっていくのか分からなかった
「どうかしましたか?」
不審に思った順二が尋ねた。思わず俯いた葉子は、目頭を押さえていた。
ふいに、涙が出てしまったのだ。
「すみません、つい」
少し鼻声の葉子が恥ずかしそうに答えた。
順二は、しばらく外の景色を見ることにした。
ゆっくりと時間が流れる。
175 :
K.A.:2005/08/26(金) 19:00:31
「すみません、こんなで。つい、昔のことを思い出してしまって。」
「そうですか」順二は、こう答えるしかない。
「何を、とは聞かれないんですか?」
「聞かれたくないことかもしれないかと思いまして」
「どうしてです?」
「あなたのその顔を見ていたらなんとなくです。違います?」
不意に気持ちの昂ぶりが、葉子の中で大きく渦を巻いていた。
必要以上の緊張感が走る。
・・・どうして、この人は自分の考えていることが分かってしまうのだろうか?・・・
葉子には、単なる偶然とは思えない何かを感じていた。そして・・・
「私には昔病気で死んだ彼氏がいました。
その人の言葉と、あなたの言葉が重なってしまったものですから。つい・・・」
順二は、それには答えず優しい目だけを葉子に向けた。
悲しみは、着飾った言葉だけで癒すものではない。
順二は、ただ話を聞くことに専念した。
176 :
K.A.:2005/08/26(金) 19:01:26
「彼は私に無条件に優しかった。その優しさが今でも思い出されるんです。」
「おかしいでしょ?泣いてしまうほど嬉しいことってあるんですね。」
「あなたには、泣かされてばかりですね」
「どうして・・・どうして・・・」
あとは、言葉にならなかった。一方的に葉子は話し、順二はそれを聞いた。
そして・・・
「外に出てみませんか?どうやら陽一達は来そうもない。外のほうがいいでしょう。」
そう言って、差し出した順二の手を、葉子は強く握り返した。
177 :
K.A.:2005/08/26(金) 19:01:58
やっと、ここまで来ました。ふうう、まだまだだな。でわでわ。
保
hoshu
ここ創作文芸だよな?この程度の作文、他の板にいくらでもありそうなんだが、もしかしてここ隔離?
頭の悪そうなスレタイだし、
スレの中身も頭悪いし
切ないから保守
”インテリジェント・ゴリラスーツ”を常に身に着けることが、この未来社会での第一のルールだった。
それを着用しない外出は、まさしく死を意味した。ゴリラスーツに装備された高価な機械が発見次第
すぐ反応し、パワーアームで、即撲殺。辺り一面が肉片や汚物で汚れても、パワーアームできれいに
掃除するから手は汚れずに済む。未来社会では水は人の命よりも高価だから、それは環境にも
やさしい。指先すべてに仕込まれた、肉食の昆虫が全ての肉片や汚物を食べてしまうのだ。その後、
今度は虫が排泄した糞がゴリラスーツの動力となるのである。何と合理的であろうか。
このゴリラスーツを開発した、J・チャリティ博士はその為に大いに苦労した。
184 :
名無し物書き@推敲中?:2006/01/21(土) 06:53:04
a
185 :
名無し物書き@推敲中?:2006/01/27(金) 23:52:04
ちっとしもネタ系の駄文さらしてもいいかい?
186 :
名無し物書き@推敲中?:2006/01/27(金) 23:52:37
公務員
”インテリジェント・ゴリラスーツ”を常に身に着けることが、この未来社会での第一のルールだった。
それを着用しない外出は、まさしく死を意味した。ゴリラスーツに装備された高価な機械が発見次第
すぐ反応し、パワーアームで、即撲殺。辺り一面が肉片や汚物で汚れても、パワーアームできれいに
掃除するから手は汚れずに済む。未来社会では水は人の命よりも高価だから、それは環境にも
やさしい。指先すべてに仕込まれた、肉食の昆虫が全ての肉片や汚物を食べてしまうのだ。その後、
今度は虫が排泄した糞がゴリラスーツの動力となるのである。何と合理的であろうか。
このゴリラスーツを開発した、J・チャリティ博士はその為に大いに苦労した。
188 :
名無し物書き@推敲中?:2006/04/25(火) 18:13:25
完
ガラクタ山のオバケさん
190 :
名無し物書き@推敲中?:2006/07/11(火) 23:44:51
ハッと自分の手元を見回した、時計がない、、、何で忘れたのだろう?
部屋に戻りそっとドアを開ける。見渡してみるともう何も置かれていない。
「もう私の部屋じゃないんだよね…」
陽が傾き一つしかない窓からオレンジ色が流れる。
引越しの準備をしてきた時とは違う。なんか寂しい、、、
六畳一間に何もない、独身寮に入ったころを思い出す。
(あの時は何であんなに自信があったんだろ?)
「そっだ、時計時計」っと言っても見えるところには何も無い…
「あった(何で?ここに?)まっ、いいや帰ろう」
時計は奥の壁にかけられている。手にしたとき
『誰?』っと背後から声をかけられた。「すいません、すぐ帰ります」
「『…えっ……私!?……』」
191 :
名無し物書き@推敲中?:2006/07/11(火) 23:45:42
振り向いた自分を待っていたのは同じ顔だった。
私の前に居るのは私だと直感した。良く着ていたお気に入りのTシャツ、安物のジーンズ。
(何処にしまったかな?)サイズが合わなくなってから着なくなっていた。
ドアの前に立つ自分もはっとした表情から同じ考えなんだと思う。
自信のこもった色のキツイ目(私、こんな眼してたんだ。)
この時は、自分なら何でもできると思っていた気がする。
『私なのかな?何でここにいるの』
「ぷっくくっははっはあっはっは、、、ストレートすぎるよ、普通は夢とか思わないの?。」
昔の自分のに笑みがこぼれる。『だってそう思うんだから、当たりでしょう?』
(スゴイね過去の自分…)『それで、何しに来たの?』「入ってきたのはアナタじゃない」
『それは屁理屈ね』(…ああ言えばこういう)「ゴメンね…何でなのか分からないよ。」
『あなたは、いつの私なの?』「200x年だよ」『未来はたのしい?』
「幸せだよ守るものができたし、守ってくれる人もいる」
(そっかあんな事を言ったから、こんな夢を見てるのかな)
好きな人に送った言葉、かえって来た返事、嬉しかった。
「「昔の私に言ってあげたいよ未来は幸せだよって」」心から思った感情。
「忘れてた…うん、、あ、あのね、伝えたいことがあるんだけど」
『なに?』「期待してて!あなたはスッごくしあわせになるから!!!」
私は多分、今までで一番、良い笑顔ができた気がした。
『いろいろと聞きたいこともあるけど、未来のことだし…聞かない方が良いわね』
「何で?結婚する人のこととかしりたくない?」
『聞いたら未来が変わっちゃうかもしれないじゃない』
そっか「じゃぁ、そろそろいくね」私は過去の自分の横を通り寮から出て行った…
足を止めて、外から寮を見上げる、自分の部屋の明かりは付いたりはしなかった。
(夢だったんだよね)「だって私、未来の自分に会ったことないし」
Bravo
194 :
名無し物書き@推敲中?:2006/09/06(水) 13:12:46
無職残飯、諦めて働け。おまえに小説は無理だって。いや、すべてが無理。私以外の被害者を探すことだ。ばかやろうwww
195 :
救援求ム!:2006/09/06(水) 15:02:01
196 :
名無し物書き@推敲中?:2006/09/06(水) 16:23:34
なんて酷いママンなんだろう。
仕方がないからぼくはパパにねだって本物の犬を手に入れた。
毎日毎日、根気よく可愛がって芸を仕込んだ。
ある日、ママンが滅多にしないおめかしをして香水を自分の首に
振りまいた。すると僕の犬がママンに飛び掛っていった。
ママンは血塗れになりながら悲鳴を上げている。
すごいや。やっぱりママンの言ったとおりだね。
ぼく、ちゃんと犬に教えたんだよ。
この香水のにおいがする人は悪い人だから食い殺したっていいんだよ
って。毎日毎日、ドッグフードにちょっとずつ香水を混ぜながら、ちゃんと
襲わせる練習もしたんだよ。
だけどママンはもうぼくの話を聞いてなかった。
ぼくの犬は誇らしげにママンの首の肉を平らげた。
やっぱり本物の犬ってすごいんだね、好きになってよかったよ。
197 :
名無し物書き@推敲中?:2006/09/24(日) 00:32:22
アスペルガー残飯おまえは必ず発作を起こす
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>>196-7 最近起きた事件を先取りするような書き込みが
されていたのを今知った。予言者の仕業か?
199 :
名無し物書き@推敲中?:2007/01/17(水) 16:17:44
200 :
金原文則 ◆jG/Re6aTC. :2007/01/17(水) 18:34:06
独創?
盗作専門の盗っ人寄生虫野郎が?
202 :
名無し物書き@推敲中?:2007/01/19(金) 01:11:38
203 :
MMMO:2007/01/22(月) 23:45:18
204 :
MMMO:2007/01/23(火) 17:04:16
批評してくれなくていいです。
お騒がせしました
諦めが早すぎるぞ
俺はこの前250枚書いて150枚捨てたぞ
書き直せばいいじゃん
>204
諦めてないならアドバイスするぞい。
207 :
MMMO:2007/01/25(木) 21:43:33
>>205さん
>>206さん
ありがとうございます。けれど気持ちだけもらっておきます。
自分でもっと良文を読もうと思います。
今の自分ははずかしい
がんばれー
諦めることと、途中で放り投げることはちがいます。
お互い前向きに頑張りましょう。
文章が良いと思う本をいくつかあげておく。
池澤夏樹「真昼のプリニウス」
奥泉光「鳥類学者のファンタジア」
北村薫「空飛ぶ馬」
笠井潔「バイバイ、エンジェル」
アゴタ・クリストフ「昨日」
梶尾慎治「サラマンダー殲滅」
乙一「暗黒童話」
テリー・ビッソン「世界の果てまで何マイル」